(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
黒色系の強磁性体粉末と有機高分子エラストマーである粘結材を主たる成分とする第1黒色系不透明層の片面に、表面に印刷を施した白色系不透明層を積層又は表面に印刷可能な第1白色系不透明層を積層後に印刷を施した第1複合フィルム、又は、表面に印刷を施した白色系不透明層の片面に第1黒色系不透明層を塗布によって形成又は表面に印刷可能な白色系不透明層の片面に第1黒色系不透明層を塗布によって形成後に印刷した第1複合フィルム又は及び該第1複層フィルムの印刷面に離型紙付の透明粘着層を設けた第1部材と、黒色系の強磁性体粉末と有機高分子エラストマーである粘結材を主たる成分とする前記第1黒色系不透明層と磁気吸着可能な第2黒色系不透明層の片面に、表面に印刷を施した第2白色系不透明層を積層又は表面に印刷可能な第2不透明層を積層後に印刷した第2複合フィルム、又は、表面に印刷を施した第2白色不透明層の片面に第2黒色系不透明層を塗布によって形成又は表面に印刷可能な第2白色系不透明層の片面に第2黒色系不透明層を塗布によって形成後に印刷した第2複合フィルムである第2部材を、前記第1黒色系不透明層と第2黒色系不透明層の表面同士を合わせて磁気吸着力で貼着して成る磁性複合層を有するウインドーフィルムであり、この構成により、両面共に表面に入射する可視光線を第1又は第2白色系不透明層で反射し、更に透過した可視光線を第1黒色系不透明層及び第2黒色系不透明層で吸収することによって、裏面側に透過印刷陰影が生じないこと、及び第1部材と第2部材を磁気吸着力で貼着したことによって第2部材を容易に取替え可能としたことを特徴とする磁性複合層を有するウインドーフィルム。
前記第1部材の黒色系不透明層の黒色系強磁性体粉末を、高透磁率で低保磁力の軟質磁性体であるスピネル型フエライト粉末として、強磁性体粉末、有機高分子エラストマー、加工助剤より成る組成物の全量に対する強磁性体粉末の充填量が55〜65容量%で厚みを50〜180μmのフィルムとし、白色系不透明層の厚みを50〜150μmとした第1複合フィルムを第1部材とし、前記第2部材の黒色系不透明層の黒色系強磁性体粉末を、高透磁率で高保磁力の硬質磁性体であるマグネトプランバイト型フエライト粉末として、強磁性体粉末、有機高分子エラストマー、加工助剤から成る組成物の全量に対する強磁性体粉末の充填量が55〜65容量%で厚みが60〜250μmの片面又は両面に多極着磁を施した永久磁石フィルムとし、白色系不透明層の厚みを50〜150μmとした第2複合フィルムを第2部材としたことを特徴とする請求項1記載の磁性複合層を有するウインドーフィルム。
前記第1部材の黒色系不透明層の黒色系強磁性体粉末を、高透磁率で高保磁力の硬質磁性体であるマグネトプランバイト型フエライト粉末として、強磁性体粉末、有機高分子エラストマー、加工助剤から成る組成物の全量に対する強磁性体粉末の充填量が55〜65容量%で厚みを60〜250μmの片面又は両面に多極着磁を施した永久磁石フィルムとし、白色系不透明層の厚みを50〜150μmとした第1複合フィルムを第1部材とし、前記第2部材の黒色系不透明層の黒色系強磁性体粉末を、高透磁率で低保磁力の軟質磁性体であるスピネル型フエライト粉末として、強磁性体粉末、有機高分子エラストマー、加工助剤より成る組成物の全量に対する強磁性体粉末の充填量が55〜65容量%で厚みを50〜180μmのフィルムとし、白色〜淡色不透明層の厚みを50〜150μmとした第2複合フィルムを第2部材としたことを特徴とする請求項1記載の磁性複合層を有するウインドーフィルム。
前記第1部材の第1黒色系不透明層の黒色系強磁性体粉末を、高透磁率で高保磁力の硬質磁性体であるマグネトプランバイト型フエライト粉末として、強磁性体粉末、有機高分子エラストマー、加工助剤から成る組成物の全量に対する強磁性体粉末の充填量が55〜65容量%で厚みが60〜250μmの片面又は両面に多極着磁を施した永久磁石フィルムとし、白色系不透明層の厚みを50〜150μmとした第1複合フィルムを第1部材とし、前記第2部材の第2黒色系不透明層の黒色系強磁性体粉末を、高透磁率で高保磁力の硬質磁性体であるマグネトプランバイト型フエライト粉末として、強磁性体粉末、有機高分子エラストマー、加工助剤から成る組成物の全量に対する強磁性体粉末の充填量が55〜65容量%で厚みが60〜250μmの前記第1部材の片面又は両面に多極着磁を施した永久磁石フィルムと同極間の片面又は両面に多極着磁を施した永久磁石フィルムとし、白色系不透明層の厚みを50〜150μmとした第2複合フィルムを第2部材としたことを特徴とする請求項1記載の磁性複合層を有するウインドーフィルム。
前記請求項2、3、に記載のスピネル型フエライト粉末を、マグネタイト粉末とし、前記マグネトプランバイト型フエライト粉末を、ストロンチュウムフエライト粉末としたことを特徴とする請求項2〜4いずれか1項に記載の磁性複合層を有するウインドーフィルム。
前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁性複合層を有するウインドーフィルムを、透明基体の室内側に透明粘着層によって貼着し、前記第2部材を脱着容易に交換出来ることを特徴とする両面表示機構。
前記請求項2又は4に記載の磁性複合層を有するウインドーフィルムを、透明基体の室内側に透明粘着層によって貼着し、前記第2部材の表面に軟質磁性体であるスピネル型フエライト粉末、有機高分子エラストエラストマー、加工助剤より成る組成物の全量に対するスピネル型フエライト粉末の充填量が55〜65容量%で、厚みが60〜180μmの軟質磁性フィルムと、厚み50〜150μmの装飾層より成る軟質磁性表示片を磁気吸着力で1枚以上に亘って着脱可能としたことを特徴とする両面表示機構。
前記請求項3又は4に記載の磁性複合層を有するウインドーフィルムを、ドアガラス、窓ガラスなどの透明基体の室内側に透明粘着層によって貼着し、前記第2部材の表面に硬質磁性体であるマグネトプランバイト型フエライト粉末、有機高分子エラストマー、加工助剤から成る組成物の全量に対するマグネトプランバイト型フエライト粉末の充填量が55〜65容量%で、厚みが70〜200μmの前記第2部材又は第1部材と同極間の片面又は両面に多極極着磁を施した永久磁石フィルムと、厚み50〜150μmの装飾層より成る硬質磁性表示片の磁極方向を第2部材又は第1部材の磁極方向に合わせて磁気吸着力で1枚以上に亘って着脱可能としたことを特徴とする両面表示機構。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を
図1〜
図12に基づいて説明する。
(1)、
図1は、本発明の磁性複合層を有するウインドーフィルムの基本構成と、その一例を示す断面模式図であり、基本構成でのAは窓などに貼着する側の第1部材で、Bは第1部材Aと磁気吸着して用いる第2部材で、M1は第1部材Aの第1黒色ないし黒褐色(「黒色系」という。)不透明層、M2は第2部材Bの第2黒色系不透明層で、第1黒色系不透明層M1と第2黒色系不透明層M2は磁気吸着できることが必須条件であり、Wは第1部材Aと第2部材Bが磁気吸着して成る磁性複合層を有するウインドーフィルムを示す。
A1は軟質磁性体層(磁石の被着体)型の第1部材Aの1例、B1は硬質磁性体(永久磁石)型の第2部材Bの1例、W1は磁性複合層を有するウインドーフィルムWの1例であり、11は軟質磁性体(磁石の被着体)を用いた黒色系不透明層、12は片面多極着磁を施した硬質磁性体(永久磁石)(
図12参照)を用いた黒色系不透明層であり、1aは軟質磁性体を用いた黒色系不透明層11と硬質磁性体を用いた黒色系不透明層12が磁気吸着で形成された黒色系不透明層を示す。
2は表面が印刷可能な白色ないし他の色で淡く着色された白色(「白色系」という。)不透明層であり、3は印刷インキ層、4は透明粘着層(感圧接着層)、5は離型紙、8は主たる磁束を示す。
尚、軟質磁性体(磁石の被着体)を用いた黒色系不透明層11の背面漏洩磁束の記載は省略している。
【0035】
第1黒色系不透明層M1及び第2黒色系不透明層M2は、黒色系の磁性体粉と粘結材であるプラストマーないしエラストマーを主たる組成とし、磁性材料粉としては軟質磁性材料粉であるスピネル型フエライト粉末であるマグネタイト(主成分が四三酸化鉄である合成マグネタイトないし磁鉄鉱)粉、マグヘマイト(ガンマ三二酸化鉄)粉、ニッケル・ジンクフエライト粉、マンガン・ジンクフエライト粉が挙げられ、硬質磁性材料粉であるマグネトプランバイト型フエライトとしてはストロンチュウムフエライト粉、バリュウムフエライト粉、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0036】
粘結材であるプラストマーないしエラストマーとしては、可塑化塩化ビニル、アクリル樹脂(エチレンエチルアクリレート)塩素化ポリエチレン樹脂等のプラストマー、及び、塩素化ポリエチレン系エラストマー、クロロスルフォン化ポリエチレン系エラストマー、エチレン酢酸ビニル共重合体系エラストマー、エチレンプロピレン系エラストマー、エチレンエチルアクリレート系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等が挙げられ、黒色系の磁性材料粉、粘結材、加工助剤などより成る全量に対する磁性材料粉の充填量は、磁気吸着力を得る為に55〜65容量%程度が望ましい。55容量%より少ないと場合によっては磁気吸着力が不足と成り、65容量%より多いと加工性の低下と必要以上の磁気吸着力となるので不経済である。
【0037】
黒色系の磁性体粉を軟質磁性材料粉(磁石の被着体材料粉)とする場合は50〜180μm厚みが好ましく、50μmより薄いと場合によっては透過印刷陰影(透過画像)防止効果と磁気吸着力が不足となり、180μmより厚いと取り扱いに嵩張る上に不経済である。又、硬質強磁性材料粉(永久磁石材料粉)とする場合は、軟質磁性体製の表示片を多重磁気貼着することを考慮して60〜250μm厚が好ましく60μmより薄いと場合によっては磁気吸着力と透過印刷陰影(透過画像)防止効果が不足となり、250μmより厚いと取り扱いに嵩張る上に不経済である。
【0038】
黒色系不透明層の製造は、磁性材料粉、粘結材(有機高分子エラストマー)、少量の加工助剤からなる組成物を用いて、公知のマグネットシート成型方法(圧延成型、、押出圧延成型など)及び磁性材料粉、粘結材(有機高分子エラストマー)、少量の加工助、溶剤からなる塗布成型方法で製造することが出来る。塗布成型ではコンマコーター、リバースロールコーター、グラビヤコーター(スムージングナイフ付き)などが好適である。
【0039】
表面が印刷可能な白色系不透明層2は、合成紙、白色無機粉末を充填したプラスチックフィルム、又はプラスチックフィルムの表面に白色無機顔料粉を含有した塗料を塗布したものにインキ受理層を塗布したものが挙げられ、合成紙は各種印刷インキに対応したグレードを選べばよい。合成紙としては、例えばユポ合成紙FEB,FGS,FPG,VJFP,VJF等((株)ユポコーポレイション製)、トヨジェットGP,MW,MT,YP等(東洋紡績(株)製)、ピーチコートSPUY,MP等(日清紡(株)製)が挙げられ、無機粉末等を含有したプラスチックフィルムとしては半硬質塩化ビニルフィルム−10P(リケンテクノス(株)製)等が挙げられ、インクジェット受理層を設ける場合はインクジェット受理層の厚みを2μm〜20μmが望ましく、2μmより薄いとインクの受理能不足となり、20μmより厚いと必要以上の受理層となり不経済である。
【0040】
白色無機顔料粉を含有した塗料としては、ポリエステル系SS16−611(東洋インキ(株)製)、ポリエステル系PALマット8,ポリエステル系RAM,ウレタンアクリル系ULA等(セイコーアドバンス(株)製)が挙げられる。
【0041】
前記、白色無機顔料粉を含有した塗料の塗布は、ブレードコーター、バーコーター、コンマコーター、グラビヤコーター、ロールコーター、リバースロールコーター等公知の方法で行う事が出来る。
【0042】
インキ受理層の形成に用いる処理剤としては、特に制限はなく市販のものが使用できるが、インクジェット受理層の形成に用いる処理剤としては、例えば、パテラコールIJ−150R(無機質充填剤含有ウレタン樹脂系ディスパーシヨン)DIC(株)製、RSI−100(無機質充填剤含有ハイブリット樹脂系ディスパーシヨン)DIC(株)製、MZ−477、MZ−480、(無機質充填剤含有アクリル樹脂系ディスパーシヨン)高松油脂(株)製が挙げられる。又、塗布装置としては公知のものが使用できるが、例えば、エアナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、コンマコーター、グラビヤコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、カーテンコーター等が挙げられる。
【0043】
前記、第1黒色系不透明層M1及び第2黒色系不透明層M2への白色系透明層2の貼合せは、接着剤とラミネーターを用いて公知の方法で行う事が出来る。この場合に用いる接着剤としては、ポリエステル系(二液型)AP−368A/B(中央理化(株)製),ポリエステル系(二液型)TM595/CAT56(東洋モートン(株)製)等が挙げられる。
白色系不透明層2の磁気表示片を貼着する側の厚みは、50μm〜150μmが好ましく、50μmよりも薄いと透過陰影防止効果及び黒色不透明層の黒色に対する隠蔽力不足となり商品価値が低下する場合があり、150μmより厚くなると場合によっては磁石のエアーギャップによる磁気吸着力の低下が無視出来なくなる。
【0044】
印刷インキ層3は、施すイラスト画などに適した印刷方式(インキジェット、オフセット、フレキソ、グラビヤ、スクリーンなど)で印刷又は塗布したもので良く、断面は断続ないし連続の印刷インキ層である。
透明粘着層(感圧接着剤)4は、略無色透明で層厚は25〜80μm程度の基材レスタイプ(例えば大日本インキ化学社製ダイタックZ87012・アクリル系0.05mm厚)又は透明フィルム基材の両面粘着層(例えば大日本インキ化学社製ダイタック8625S・アクリル系0.08mm厚)が望ましい。層厚が25μmより薄いと場合によっては粘着力不足になり、80μm以上であると場合によって画像の透視障害を招く恐れが有る。また、磁性複合層を有するウインドーフィルムの第1部材Aを透明基体T(
図6参照)に貼付後、貼替え(剥がす)作業時に印刷可能な白色系不透明層2が合成紙である場合に合成紙によっては、弱い表面層が透明基体Tの表面に取られて残る不都合を生じる場合があるが、透明フィルム基材の両面粘着層を用いることでこれを防止できる。
【0045】
(2)、
図2は、
図1の軟質磁性体を用いた黒色系不透明層11と硬質磁性体を用いた黒色系不透明層12が入れ替わった磁性複合層を有するウインドーフィルムW2の構成を示す断面模式図であり、A2は硬質磁性体(永久磁石)の片面多極磁性フィルム型第1部材、B2は軟質磁性体層(磁石の被着体)型第2部材である。
図1の第2部材B1は他の強磁性体板であるスチール黒板やスチールロッカーへも磁気吸着して掲示または保管できる利点があるが、複数枚で取り扱う場合にお互いに磁気吸着するので場合によっては不都合である。他方、
図2の軟質磁性体層(磁石の被着体)型の第2部材B2は磁束を出さないので複数枚での取り扱いが容易な利点がある(1bは硬質磁性体を用いた黒色系不透明層12と軟質磁性体を用いた黒色系不透明層11が磁気吸着した黒色系不透明層を示す)。
【0046】
(3)、
図3は第2黒色系不透明層M2が両面多極着磁を施した硬質磁性体(永久磁石)を用いた黒色系不透明層13を含む磁性複合層を有するウインドーフィルムW3の構成を示す断面模式図であり、A3は軟質磁性体層(磁石の被着体)型第1部材、B3は硬質磁性体(永久磁石)で片面多極着磁フィルム型第2部材である。この磁性複合層を有するウインドーフィルムW3は、比較的厚みが厚い場合に磁性複合層を有するウインドーフィルムW3の室内側面(部材B面)の漏洩磁束が強く出るので磁性表示片(磁石の被着体型)を多数枚重ねて磁気貼着出来る利点がある。(1cは軟質磁性体を用いた黒色系不透明層11と硬質磁性体を用いた黒色系不透明層13が磁気吸着した状態を示す)
尚、軟質磁性体を用いた黒色系不透明層11の背面漏洩磁束の記載は省略している。
【0047】
(4)、
図4は、第1黒色系不透明層M1と第2黒色系不透明層M2とが共に片面多極着磁を施した硬質磁性体(永久磁石)を用いた黒色系不透明層12を含む磁性複合層を有するウインドーフィルムW4の構成を示す断面模式図であり、A4は硬質磁性体(永久磁石)で片面多極着磁フィルム型第1部材、B4は硬質磁性体(永久磁石)で片面多極着磁フィルム型第2部材である。この磁性複合層を有するウインドーフィルムW4は、磁極方向を上下方向に対して直角方向(横方向)としたもので、第1部材Aと第2部材Bとの間の上下方向の剪断引張り磁気吸着力が強く得られることに着目した仕様であり、第2部材Bに比較的重い物を添付した場合に好適である。
【0048】
第1部材A4と第2部材B4との間で上下方向の剪断引張り磁気吸着力が強く得られる現象は、同極間の多極着磁を施した硬質磁性フィルム(永久磁石フィルム)同士を磁気吸着させた場合に、磁極方向に対して直角方向の引張剪断磁気吸着力が他の方向の場合に比べて最大であり、垂直磁気吸着力(着磁面に垂直方向の磁気吸着力)と略同等値が得られる。即ち、垂直磁気吸着力と磁極方向に対して直角方向の引張剪断磁気吸着力の比が略1:1であるが、垂直磁気吸着力と磁極方向に対して平行方向の引張剪断磁気吸着力の比は略1:0.5である。又、平滑な鋼板との垂直磁気吸着力と引張剪断磁気吸着力(方向は関係が無い)の比は略1:0.5である。
【0049】
必須条件として第1部材A4と第2部材B4の多極着磁の磁極方向が上下(縦)方向に対して直交する(横)方向であり、両者A4,B4の多極着磁の極間が同じであることである。
両者A4,B4の多極着磁の極間が同じでない場合は、各対峙する磁極が全て異極と成らないで同極反発を生じる箇所を生じる不都合を招く(多極着磁を施した磁石フィルム同士を磁気吸着する仕様全般に言えることで、磁極方向に平行とする場合においても極間を同じくする必要がある)。
【0050】
(5)、
図5は、硬質磁性体(永久磁石)で片面多極着磁フィルム型第1部材A4の構成と、第1部材A4と同極間の硬質磁性体(永久磁石)で両面多極着磁フィルム型の第2部材B3の構成と、磁極方向を横に片面着磁を施した硬質磁性体(永久磁石材料)を用いた黒色系不透明層12に対して、第2部材B3に磁極方向を横に両面着磁を施した硬質磁性体(永久磁石材料)を用いた黒色系不透明層13を用いた磁性複合層を有するウインドーフィルムW5の構成を示す断面模式図である。磁性複合層を有するウインドーフィルムW5は前記(4)項と同様に上下方向の剪断引張り磁気吸着力が強く得られ、又、両面多極着磁を施した硬質磁性体(永久磁石)を用いた黒色系不透明層13を用いているので、比較的厚みが厚い場合に室内方向の漏洩磁束が強く、磁性表示片(軟質磁性体型)を多数枚重ねて貼着出来る利点が有る。
【0051】
(本発明の磁性複合層を有するウインドーフィルムを用いた両面表示機構について)
(6)、
図6は、本発明の磁性複合層を有するウインドーフィルムを用いた両面表示機構の基本構成と、本発明の両面表示機構の1例を示す断面模式図である。基本構成でのSは本発明の両面表示機構を示し、Tは透明基体(ドア、窓、ショーウインドー、壁などの透明板ガラス、透明プラスチック板)(以後の図面に於いて同じ)、W10は本発明の磁性複合層を有するウインドーフィルムWの離型紙5を剥がしたものを示す。その1例である両面表示機構のW11は前記
図1に示す本発明の磁性複合層を有するウインドーフィルムW1の離型紙5を剥がして透明基体Tに貼り付けた状態を示す。
透明基体Tに本発明の磁性複合層を有するウインドーフィルムW10,W11を貼着することで、両面に異なる絵柄を印刷し両面共に裏面に透過陰影を生じない両面表示機構が得られる。
尚、軟質磁性体(磁石の被着体)を用いた黒色系不透明層11の背面漏洩磁束の記載は省略している。
【0052】
表示片の磁気吸着は、第2部材B(
図1参照)の背面漏洩磁束によって軟質磁性表示片(磁石の被着体型)C1を磁気吸着し、軟質磁性表示片C1が磁化され更に背面に漏洩磁束が生じることで軟質磁性表示片C1を複数枚重貼着することが可能で有る。(
図6は表示片1枚であるが、1枚以上重ね貼着が可能である)
【0053】
軟質磁性表示片C1の軟質磁性フィルム(磁石の被着体)9は、高透磁力で低磁持力である軟質磁性材料粉であるスピネル型フエライト粉末〔マグネタイト(主成分が四三酸化鉄である合成マグネタイトないし磁鉄鉱)〕粉末、マグヘマイト(ガンマ三二酸化鉄)粉末、Ni・Znフエライト粉末など〕と、粘結材である有機高分子プラストマー〜エラストマー(可塑化塩化ビニル、アクリル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂等のプラストマー、及び、塩素化ポリエチレン系エラストマー、クロロスルフォン化ポリエチレン系エラストマー、エチレン酢酸ビニル共重合体系エラストマー、エチレンプロピレン系エラストマー、エチレンエチルアクリレート系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーなど)と加工助剤より成る全量に対する軟質磁性粉の充填量が磁気吸着力を得る為に55〜65容量%程度が望ましい。この充填量が55容量%より少ないと、場合によっては磁気吸着力が不足と成り、65容量%より多いと加工性の低下と必要以上の磁気吸着力となるので不経済である。
【0054】
軟質磁性表示片C1の厚みは40〜180μmが好ましく、40μmより薄いと場合によっては磁気吸着力が不足となり、180μmより厚いと取り扱いに嵩張る上に不経済である。装飾層7は厚み50〜150μmの印刷又はラミネートしたもので良く、50μmより薄いと磁性層にたいする隠ぺい力が不足する場合があり、150μmより厚いと磁石のエアーギャップの影響が無視出来なくなり、又不経済である。
【0055】
(7)、
図7は、
図2の磁性複合層を有するウインドーフィルムW2の離型紙5を取り除いた磁性複合層を有するウインドーフィルムW21を用いた両面表示機構S2を示す断面模式図であり、第2部材B(
図1参照)が軟質磁性体(磁石の被着体)11であり、背面漏洩磁束に対して硬質磁性(磁石タイプ)表示片C2を磁気吸着したことを示す。硬質磁性表示片C2の極間を部材Aと同様にすることで、硬質磁性表示片C2は第2部材Bを介して第1部材A(
図1参照)の磁極と磁気回路を形成し硬質磁性表示片C2を複数枚重貼着することが可能で有る(
図7は表示片2枚であるが、1枚以上重ね貼着することが可能である)。
【0056】
硬質磁性表示片C2の硬質磁性フィルム(永久磁石)10は、高透磁力で高保磁力である硬質磁性材料粉であるマグネトプランバイト型フエライト粉末〔ストロンチュウムフエライト粉末、バリュウムフエライト粉末、これらの混合物など〕と、粘結材である有機高分子プラストマー〜エラストマー(可塑化塩化ビニル、アクリル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂等のプラストマー、及び、塩素化ポリエチレン系エラストマー、クロロスルフォン化ポリエチレン系エラストマー、エチレン酢酸ビニル共重合体系エラストマー、エチレンプロピレン系エラストマー、エチレンエチルアクリレート系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーなど)と加工助剤より成る全量に対する軟質磁性粉の充填量が55〜65容量で、軟質磁性粉の充填量が磁気吸着力を得る為に55〜65容量%程度が望ましい。この充填量が55容量%より少ないと場合によっては磁気吸着力が不足と成り、65容量%より多いと加工性の低下と必要以上の磁気吸着力となるので不経済である。硬質磁性フィルム10の厚みは60〜200μmが好ましく、60μmより薄いと場合によっては磁気吸着力が不足となり、200μmより厚いと取り扱いに嵩張る上に不経済である。装飾層7は厚み50〜150μmの印刷又はラミネートしたもので良く、50μmより薄いと磁性層にたいする隠ぺい力が不足する場合があり、150μmより厚いと磁石のエアーギャップの影響が無視出来なくなり、又不経済である。
【0057】
又、硬質磁性表示片C2は、この他に磁性層の両面に装飾層として厚み50〜150μmの印刷又はラミネートしたものを設けて両面使いを可能としても良い。
又、磁性表示片(片面及び両面使い)の磁性黒色系不透明層は、磁気吸着力を得る他に貼着する磁性複合層を有するウインドーフィルム又は重ね貼着する表示片の絵柄が表示片の表面に透過陰影と成って出現する現象も防止する効果が有る。
【0058】
(8)、
図8は、
図3の磁性複合層を有するウインドーフィルムW3の離型紙5を取り除いた磁性複合層を有するウインドーフィルムW31を用いた両面表示機構S3を示す断面模式図であり、第2部材Bが両面着磁を施した硬質磁性体(磁石)であるので、比較的厚みが厚い場合に外部漏洩磁束が強く軟質磁性表示片(磁石の被着体型)C1を複数枚重ね貼着出来る利点がある。
尚、軟質磁性体(磁石の被着体)11の背面漏洩磁束の記載は省略している。
(
図8は表示片1枚であるが、1枚以上重ね貼着することが可能である。)
【0059】
(9)、
図9(a)は、
図4の磁性複合層を有するウインドーフィルムW4の離型紙5を取り除いた磁性複合層を有するウインドーフィルムW41を用いた両面表示機構S41を示す断面模式図であり、上下方向の剪断引張りせん断磁気吸着力が強く得られるので、比較的重い第2部材B(室内側部材)を用いる場合に適する((4)項に記載)。
【0060】
図9(b)は、片面多極着磁を施した磁石フィルムの磁極の吸着状況を示す
図9(a)の部分拡大概念図(断面模式図)である。磁石フィルムの厚みと極間、磁石が異方性か等方性かにもよるが略厚みが極間の1/2以下の場合に多極着磁面の磁極の背面に弱い異極を生じている(n(小文字)とs(小文字)で表示)ので、異極吸引、同極反発によって磁気吸着し磁気回路を形成することで表示片の多数枚重ね貼着ができる(
図9aは背面の弱い異極の記載省略)。又、必須条件として第1部材A、第2部材B、硬質磁性表示片C2の3者の磁極間が同じであることである。
(
図9は表示片2枚であるが、1枚以上重ね貼着することが可能である)
【0061】
(10)、
図10は、
図4の磁性複合層を有するウインドーフィルムW4の離型紙5を取り除いた磁性複合層を有するウインドーフィルムW41を用いた両面表示機構を示す断面模式図であり、前項(9)と同様に上下方向の剪断引張りせん断磁気吸着力が強く得られるので比較的重い第2部材B(室内側部材)を用いる場合に適する。
第2部材Bの背面漏洩磁束で軟質磁性表示片C1が磁化され、更に背面漏洩磁束を生じ、軟質磁性表示片C1の多重貼着を可能とする。(
図10は表示片2枚であるが、1枚以上重ね貼着することが可能である。)
【0062】
(11)、
図11は、
図5の磁性複合層を有するウインドーフィルムW5の離型紙5を取り除いた磁性複合層を有するウインドーフィルムW51を用いた両面表示機構を示す断面模式図であり、上下(縦)方向の剪断引張り磁気吸着力が強く、又、第1部材A及び第2部材Bの硬質磁性フィルム(永久磁石フィルム)の厚みが比較的厚いので室内側の漏洩磁束が強く軟質磁性体型(磁石の被着体)表示片を多数枚重ね貼着出来る利点がある。
上下(縦)方向の剪断引張り磁気吸着力に関しては、前項(4)と同様で、必須条件として多極着磁の磁極方向が上下(縦)方向に対して直行する(横)方向であり、両者の極間が同じであることである。(
図11は表示片2枚であるが、1枚以上重ね貼着することが可能である)
又、軟質磁性表示片C1は、この他に磁性層の両面に装飾層として厚み50〜150μmの印刷又はラミネートしたものを設けて両面使いが可能としても良い。
【0063】
尚、磁性層を有するウインドーフィルムの第1黒色系不透明層、第2黒色系不透明層、及び表示片C1、C2の各磁性層表面には、用途環境によって公知のマグネットシートの着磁面と同様にブロッキング防止層を設けることが望ましい。
【0064】
以下実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、磁性複合層を有するウインドーフィルムの実施例1〜7の構成と性能の評価について表1に、比較例1〜7の構成と性能の評価について表2にまとめ、又、磁性複合層を有するウインドーフィルムを用いた両面表示機構の実施例8〜14の構成と性能の評価について表3に、比較例8〜14の構成と性能の評価について表4にまとめている。
【実施例1】
【0065】
1、第1部材Aの作成
(1)黒色系不透明層(軟質磁性)11及び表面が印刷可能な白色系不透明層2の作成
1)白色系不透明層の作成
ポリエステル系合成紙クリスパーK2311(東洋紡績社製)38μm厚×930mm幅の表面に、インキジェットインキ受理層形成材であるMZ480(無機質充填剤含有アクリル樹脂系ディスパーション)(高松樹脂社製)を用いて公知のコンマコーターで12μm厚(ドライ)に塗布し乾燥することで、50μm厚のインキジェット印刷用合成紙を得る。
【0066】
2)白色系不透明層の片面に黒色系不透明層の形成
(塗工液の配合)(配合No1)
・エチレン・酢酸ビニル共重体 商品名:エバフレックスEW−40LX(VA41%)
三井・デュポンポリケミカル社製〔エラストマー〕・・・・・・・・・・8.69重量部
・エチレン・酢酸ビニル共重体 商品名:エバフレックスV−5772ET(VA33%)
三井・デュポンポリケミカル社製〔エラストマー〕・・・・・・・・・・3.72重量部
・マグネタイトBL−10 チタン工業社製〔軟質磁性材料粉〕・・・・・100重量部
・メチルエチルケトン〔有機溶剤〕・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30重量部
・トルエン〔有機溶剤〕・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90重量部
〔固形分中の磁性材料粉の充填量 89.0重量%(60.0容量%)〕
【0067】
(塗工液の作成)
前記配合に従って、攪拌機(ディスパー;剪断型 羽径200mm)に有機溶剤とエラストマーを投入し攪拌溶解後、攪拌しながらマグネタイト粉を投入し混合攪拌したものを、サンドミル(ビーズ;1.25mm、ディスク;平型、周速12m/s)にて分散処理を行う。
【0068】
(コーティング)
前記塗工液をコーティングの直前に攪拌機でコーティングに適した粘度に粘度調整を行う。次に前記白色不透明層表面に前記の塗工液を用いて巻出機/コンマコーターヘッド/乾燥炉/ニップロール/冷却ロール/巻取機より成る公知のコンマコーターで、乾燥後の厚み60μmにコーティングして黒色不透明層を得る。尚、乾燥炉の温度条件は50〜100°C×10分とする。
【0069】
3)印刷加工
前記の白色系不透明層に黒色不透明層を形成した白色系不透明層の表面に、インキジェットプリンター/VJ−1626UH(LED−UVランプ)、インキ:VJ−LUHIシリ−ズ7色(武藤工業社製)にて絵柄を印刷する。
【0070】
4)離型紙付透明粘着層の付与
前記印刷加工を施した複層フィルムの片面に、透明の基材レス両面粘着テープ ダイタックZ87012W(大日本インキ化学社製)を公知のラミネーターを用いて張り合わせて離型紙付透明粘着層を付与する事によって第1部材Aを得る。
【0071】
2、第2部材Bの作成
(1)黒色系不透明層(硬質磁性)12及び表面が印刷可能な白色系不透明層2の作成
1)白色系不透明層の作成
前記実施例1の(1)の1)と同様にする。
【0072】
2)白色系不透明層の片面に黒色系不透明層の形成
(塗工液の配合)(配合No2)
黒色系磁性材料分を、硬質磁性材料粉(永久磁石材料粉)である異方性ストロンチュウムフエライト粉(商品名:FH801戸田工業社製)に置換した他は前記実施例1の1、第1部材Aの(1)の2)の配合と同様にする。
〔固形分中の磁性材料粉の充填量 89.0重量%(60.0容量%)〕
【0073】
(塗工液の作成)
前記配合に従って、攪拌機(ディスパー;剪断型 羽径200mm)に有機溶剤とエラ
ストマーを投入し攪拌溶解後、攪拌しながら異方性ストロンチュウムフエライト粉(商品名:MA951(戸田工業社製)を投入し混合攪拌したものを、サンドミル(ビーズ;1.25mm、ディスク;平型、周速12m/s)にて分散処理を行う。
【0074】
(コーティング)
前記塗工液をコーティングの直前に攪拌機でコーティングに適した粘度に粘度調整を行う。次に前記白色不透明層表面に前記の塗工液を用いて巻出機/コンマコーターヘッド/乾燥炉直前に永久磁石型磁場配向装置を有する乾燥炉/ニップロール/冷却ロール/巻取機より成る公知の磁性層形成コーターで、乾燥後の厚み60μmにコーティングして黒色不透明層を得る。尚、乾燥炉の温度条件は50〜100°C×10分とする。
(片面多極着磁)
公知の着磁方法である着磁電源(直流、パルス)と着磁ヨークより成る着磁装置にて磁極方向を横に極間2mmピッチの多極着磁を施す。
【0075】
3)印刷加工
前記の白色系不透明層に黒色系不透明層を形成した白色系不透明層の表面に、インキジェットプリンター/VJ−1626UH(LED−UVランプ)、インキ:VJ−LUHIシリ−ズ7色(武藤工業社製)にて絵柄を印刷する。
【0076】
3、磁気貼り合せ
前記第1部材Aと前記第2部材Bをラミネーターを用いて磁気吸着力で貼り合せることで磁性複合層を有するウインドーフィルムを得る。
【実施例2】
【0077】
1、第1部材Aの作成
実施例1の第2部材Bと同様にして作成した印刷加工を施した複層フィルムの印刷面に、透明の基材レス両面粘着テープ ダイタックZ87012W(大日本インキ化学社製)を公知のラミネーターを用いて張り合わせて離型紙付透明粘着層を付与する事によって第1部材Aを得る。
【0078】
2、第2部材Bの作成
実施例1の第1部材Aと同様にして作成した印刷加工を施した複層フィルム(離型紙付透明粘着層の付与はしない)を第2部材Bとする。
【0079】
3、磁気貼り合せ
実施例1と同様にして、磁性複合層を有するウインドーフィルムを得る。
【実施例3】
【0080】
1、第1部材Aの作成
黒色系不透明層の厚みを90μmとし、白色系不透明層をPP系合成紙115μmとし、印刷方式をスクリーン印刷とする以外は実施例1と同様にする。
(1)白色系不透明層
ポリプロピレン樹脂系合成紙ピーチジェットSPUY−115SIP(インキジェット印刷対応)115μm厚、914mm幅、(日清紡績社製)を用いる。
(2)印刷加工
白色系不透明層の表面に、スクリーン印刷インキ:UV硬化プロセスインキFDSS14シリーズ・4色(東洋インキ社製)、スクリーン:380メッシュ、硬化:120Wメタルハライドランプにて別柄の印刷を施す。
【0081】
2、第2部材Bの作成
黒色系不透明層の厚みを90μmとし、白色系不透明層をPP系合成紙115μmとし、印刷方式をスクリーン印刷とする以外は実施例1と同様にする。
白色系不透明層と印刷方式をスクリーン印刷は前記A部材と同様にする。
(両面多極着磁)
黒色系不透明層に公知の着磁方法である着磁電源(直流、パルス)と着磁ヨークより成る着磁装置にて片面づつ磁極方向を横に極間2mmピッチの多極着磁を施す。
3、磁気貼り合せ
実施例1と同様にして、磁性複合層を有するウインドーフィルムを得る。
【実施例4】
【0082】
1、第1部材Aの作成
黒色系不透明層の厚みを70μmとし、白色系不透明層の厚み90μmとし、磁極方向を縦にする以外は実施例2と同様にする。
(1)白色系不透明層
ポリエステル系合成紙クリスパーK2323)(東洋紡績社製)75μm厚×930mm幅の表面に、インキジェットインキ受理層形成材であるMZ480(無機質充填剤含有アクリル樹脂系ディスパーション)(高松油脂社製)を用いて公知のコンマコーターで15μm厚に塗布し乾燥することで、90μm厚のインキジェット印刷用合成紙を得る。
【0083】
2、第2部材Bの作成
粘着層を付与しない以外は、前記部材Aと同様にする
3、磁気貼り合せ
実施例1と同様にして、磁性複合層を有するウインドーフィルムを得る。
【実施例5】
【0084】
1、第1部材Aの作成
磁極方向を横とする以外は実施例4と同様にする。
2、第2部材Bの作成
磁極方向を横とし、両面多極着磁とする以外は実施例4と同様にする。そうして両面多極着磁は実施例3の第2部材Bと同様に施す。
3、磁気貼り合せ
実施例1と同様にして、磁性複合層を有するウインドーフィルムを得る。
【実施例6】
【0085】
1、第1部材Aの作成
黒色系不透明層の厚みを90μmとし、白色系不透明層の厚み100μmとする以外は実施例4と同様にする。
(1)白色系不透明層
ポリエステル系合成紙クリスパーK2323(東洋紡績社製)75μm厚×930mm幅の表面に、インキジェットインキ受理層形成材であるMZ480(無機質充填剤含有アクリル樹脂系ディスパーション)(高松油脂社製)を用いて公知のコンマコーターで25μm厚に塗布し乾燥することで、100μm厚のインキジェット印刷用合成紙を得る。
【0086】
2、第2部材Bの作成
黒色系不透明層の厚みを150μmとし、両面多極着磁とする以外は前記第1部材Aと同様にする。
(1)黒色系不透明層
(配合)(配合No2)
塩素化ポリエチレン(エラスレン301A)昭和電工(株)製〔エラストマー〕
100重量部
エポキシ化大豆油(W100EL)DIC(株)製・・・・・・・・・・・・5重量部
ステアリン酸カルシュウム(SC−100)堺化学(株)製・・・・・・・・1重量部
ジラウリルチオプロピオネート(スミライザーTPL−R)住友化学(株)製
0.3重量部
異方性ストロンチュウムフエライト粉末・機械配向(OP−56)DOWAエフテック(株)製〔硬質磁性材料〕・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・711重量部
磁性材料粉の充填量 87.0重量%(59.0容積%)
【0087】
(ペレットの作成)
上記配合に従って加圧ニーダー(40L)にて120°C×15分混練後、冷却した後ハンマー型粉砕機で粉砕ペレットを作成する。
【0088】
(磁性フィルムの作成)
上記ペレットをφ18インチ2本ロール圧延機(表面温度80°C)にてペレット圧延を行い150μm厚の黒色系不透明層を得る。
(2)白色系不透明層を黒褐色不透明層にラミネート
【0089】
巻出機/グラビアコーターヘッド/乾燥機/加熱ロール/巻出機/ニップロール/冷却ロール/巻取機より成る公知のドライラミネーターを用いて、前記部材Aの白色不透明層と同様な合成紙を接着剤で前記黒色〜黒褐色不透明層にラミネートして部材Bの原反を得る。
尚、この時の条件は接着剤;ハイドランHW−311(DICグラフィックス社製)、塗布厚;2〜3μm、熱活性温度;80〜90°C、ニップロール;ゴムロールの硬度;ショア60 線圧;約150N/cm。
【0090】
(3)両面多極着磁
前記第2部材Bの原反の黒色系不透明層の表面に、公知の着磁方法である着磁電源(直流、パルス)と着磁ヨークより成る着磁装置にて片面づつ磁極方向を横に極間2mmピッチの多極着磁を施す。
3、磁気貼り合せ
実施例1と同様にして、磁性複合層を有するウインドーフィルムを得る。
【実施例7】
【0091】
1、第1部材Aの作成
黒色系不透明層の磁極方向を横とする着磁をする以外は実施例6と同様にする。
2、第2部材Bの作成
黒色系不透明層の磁極方向を横とする着磁をする以外は実施例6と同様にする。
3、磁気貼り合せ
実施例1と同様にして、磁性複合層を有するウインドーフィルムを得る。
【0092】
〔比較例1〕
第1部材Aの黒色系不透明層の磁性粉を40%にする以外は実施例1と同様にする。
〔比較例2〕
第2部材Bの厚みを40μmとする以外は実施例2と同様にする。
【0093】
〔比較例3〕
第1部材Aの黒色系不透明層の厚みを40μmとし、第2部材Bの黒色系不透明層の厚みを90μmとする以外は実施例5と同様にする。
【0094】
〔比較例4〕
第1部材Aは実施例5の第1部材Aと同様にする。
第2部材Bの黒色系不透明層の磁性粉充填量を40%とし、厚みを90μmとする以外は実施例5の部材Bと同様にする。
〔比較例5〕
第1部材Aを実施例7の第1部材Aと同様にする。
第2部材Bの黒色系不透明層の厚みを40μmとする以外は実施例7の第2部材Bと同様にする。
【0095】
〔比較例6〕
第1部材Aと第2部材Bの黒色系不透明層の磁性粉の充填量を40%とし、厚みを30μmとし、
白色不透明層の厚みを90μmとする以外は実施例1と同様にする。
【0096】
〔比較例7〕
(1)第1部材Aの黒色系不透明層が無く、白色系不透明層の厚みを100μmとし、インキジェット印刷を施した後、実施例1と同様にして透明粘着剤を設ける。
(2)第2部材Bの黒色系不透明層が無く、白色系不透明層の厚みを100μmとし、インキジェット印刷を施す。
(3)貼合せ
巻出機/グラビアコーターヘッド/乾燥機/加熱ロール/相手方巻出機/ニップロール/冷却ロール/巻取機より成る公知のドライラミネーターを用いて、前記部材Aの白色系不透明層の裏面と前記部材Bの白色系不透明層の裏面を貼合せる。尚、この時の条件は接着剤;ハイドランHW−311(DICグラフィックス社製)、塗布厚;2〜3μm、熱活性温度;80〜90°C、ニップロール;ゴムロールの硬度;ショア60 線圧;約150N/cmとする。
(以下両面表示機構の実施例示す)
【実施例8】
【0097】
1、透明基体に磁性複合層を有するウインドーフィルムの貼着
実施例1の磁性複合層を有するウインドーフィルムの離型紙を剥ぎ取り、透明基体である高透過ガラス板(6mm厚)の室内側に貼着して両面表示機構を作成する。
2、表示片(磁石の被着体タイプ)の作成
実施例2の部材Bと同様にして表示片の原反を作成する。
3、表示片の貼着
前記の表示片の原反をA4サイズに裁断して両面表示機構に磁気貼着する。
【実施例9】
【0098】
1、透明基体に磁性複合層を有するウインドーフィルムの貼着
実施例2の磁性複合層を有するウインドーフィルムの離型紙を剥ぎ取り、透明基体である高透過ガラス板(4mm厚)の室内側に貼着して両面表示機構を作成する。
2、表示片(永久磁石タイプ)の作成
実施例1の部材B(磁極方向を横)と同様にして表示片の原反を作成する。
3、表示片の貼着
前記の表示片の原反をA4サイズに裁断して両面表示機構に磁気貼着する。
【実施例10】
【0099】
1、透明基体に磁性複合層を有するウインドーフィルムの貼着
実施例3の磁性複合層を有するウインドーフィルムの離型紙を剥ぎ取り、透明基体である高透過ガラス板(6mm厚)の室内側に貼着して両面表示機構を作成する。
2、表示片(磁石の被着体タイプ)の作成
白色系不透明層を合成紙2(PP)の厚み90μmとし、スクリーン印刷を施す他は、実施例1の部材Bと同様にして表示片の原反を作成する。
3、表示片の貼着
前記の表示片の原反をA4サイズに裁断して両面表示機構に磁気貼着する。
【実施例11】
【0100】
1、透明基体に磁性複合層を有するウインドーフィルムの貼着
・実施例4の磁性複合層を有するウインドーフィルムの離型紙を剥ぎ取り、透明基体である高透過ガラス板(6mm厚)の室内側に貼着して両面表示機構を作成する。
2、表示片(磁石の被着体フィルムタイプ)の作成
・白色系不透明層の厚みを90μmとする他は実施例2の第1部材Aと同様にして表示片の原反を作成する。
3、表示片の貼着
前記の表示片の原反をA4サイズに裁断して両面表示機構に磁気貼着する。
【実施例12】
【0101】
1、透明基体に磁性複合層を有するウインドーフィルムの貼着
実施例5の磁性複合層を有するウインドーフィルムの離型紙を剥ぎ取り、透明基体である高透過ガラス板(6mm厚)の室内側に貼着して両面表示機構を作成する。
2、表示片(磁石の被着体タイプ)の作成
白色系不透明層の厚みを90μmとする他は実施例2の第2部材Bと同様して表示片の原反を作成する。
3、表示片の貼着
前記の表示片の原反をA4サイズに裁断して両面表示機構に磁気貼着する。
【実施例13】
【0102】
1、透明基体に磁性複合層を有するウインドーフィルムの貼着
実施例6の磁性複合層を有するウインドーフィルムの離型紙を剥ぎ取り、透明基体である高透過ガラス板(6mm厚)の室内側に貼着して両面表示機構を作成する。
2、表示片(磁石の被着体)の作成
白色系不透明層の厚みを100μmとする他は、実施例2の部材Bと同様にして表示片の原反を作成する。
3、表示片の貼着
前記の表示片の原反をA4サイズに裁断して両面表示機構に磁気貼着する。
【実施例14】
【0103】
1、透明基体に磁性複合層を有するウインドーフィルムの貼着
実施例7の磁性複合層を有するウインドーフィルムの離型紙を剥ぎ取り、透明基体である高透過ガラス板(6mm厚)の室内側に貼着して両面表示機構を作成する。
2、表示片(磁石の被着体タイプ)の作成
白色系不透明層の厚みを100μmとする他は、実施例2の部材Bと同様にして表示片の原反を作成する(実施例13と同様)。
3、表示片の貼着
前記の表示片の原反をA4サイズに裁断して両面表示機構に磁気貼着する。
【0104】
〔比較例8〕
1、透明基体に磁性複合層を有するウインドーフィルムの貼着
比較例1の磁性複合層を有するウインドーフィルムの離型紙を剥ぎ取り、透明基体である高透過ガラス板(6mm厚)の室内側に貼着して両面表示機構を作成する。
2、表示片(磁石の被着体フィルムタイプ)の作成
実施例2の部材Bと同様にして表示片の原反を作成する。
実施例2の部材Bと同様にして表示片の原反を作成する。
3、表示片の貼着
前記の表示片の原反をA4サイズに裁断して両面表示機構に磁気貼着する。
【0105】
〔比較例9〕
1、透明基体に磁性複合層を有するウインドーフィルムの貼着
比較例2の磁性複合層を有するウインドーフィルムの離型紙を剥ぎ取り、透明基体である高透過ガラス板(4mm厚)の室内側に部材Aの磁極方向を縦に貼着して両面表示機構を作成する。
2、表示片(永久磁石フィルムタイプ)の作成
実施例1の第2部材Bと同様にして表示片の原反を作成する。
3、表示片の貼着
前記の表示片の原反をA4サイズに裁断して両面表示機構に磁気貼着する。
【0106】
〔比較例10〕
1、透明基体に磁性複合層を有するウインドーフィルムの貼着
比較例4の磁性複合層を有するウインドーフィルムの離型紙を剥ぎ取り、透明基体である高透過ガラス板(6mm厚)の室内側に貼着して両面表示機構を作成する。
2、表示片(磁石の被着体タイプ)の作成
白色系不透明層を合成紙2(PP)の厚み90μmとし、スクリーン印刷を施す他は、実施例1の部材Aと同様にして表示片の原反を作成する。
3、表示片の貼着
前記表示片の原反をA4サイズに裁断して両面表示機構に磁気貼着する。
【0107】
〔比較例11〕
1、透明基体に磁性複合層を有するウインドーフィルムの貼着
比較例5の磁性複合層を有するウインドーフィルムの離型紙を剥ぎ取り、透明基体である高透過ガラス板(6mm厚)の室内側に貼着して両面表示機構を作成する。
2、表示片(磁石の被着体タイプ)の作成
実施例12の表示片と同様にして表示片の原反を作成する。
3、表示片の貼着
前記表示片の原反をA4サイズに裁断して両面表示機構に磁気貼着する。
【0108】
〔比較例12〕
1、透明基体に磁性複合層を有するウインドーフィルムの貼着
比較例6の磁性複合層を有するウインドーフィルムの離型紙を剥ぎ取り透明基体である高透過ガラス板(6mm厚)の室内側に部材A及びBの磁極方向を横に貼着して両面表示機構を作成する。
2、表示片(磁石の被着体タイプ)の作成
実施例13の表示片と同様にして表示片の原反を作成する。
3、表示片の貼着
前記表示片の原反をA4サイズに裁断して両面表示機構に磁気貼着する。
【0109】
〔比較例13〕
1、透明基体に磁性複合層を有するウインドーフィルムの貼着
比較例3の磁性複合層を有するウインドーフィルムの離型紙を剥ぎ取り透明基体である高透過ガラス板(6mm厚)の室内側に部材Bの磁極方向を横に貼着して両面表示機構を作成する。
2、表示片(磁石の被着体タイプ)の作成
実施例10の表示片と同様にして表示片の原反を作成する。
3、表示片の貼着
前記表示片の原反をA4サイズに裁断して両面表示機構に磁気貼着する。
【0110】
〔比較例14〕
1、透明基体にウインドーフィルムの貼着
比較例7のウインドーフィルム(黒色系不透明層・磁性層を有しない)の離型紙を剥ぎ取り透明基体である高透過ガラス板(6mm厚)の室内側に貼着して両面表示機構を作成する。
2、表示片(磁石の被着体タイプ)の作成
実施例13の表示片と同様にして表示片の原反を作成する。
3、表示片の貼着
前記表示片の原反をA4サイズに裁断して両面表示機構に磁気貼着する(磁性複合層を有するウインドーフィルムでないので磁気貼着出来ない)。
【0111】
次に、性能試験評価方法について説明する。
1、透過陰影防止効果試験方法
試験室と廊下の隔壁に600×600mmの開口部を設けて試験試料を垂直に設置し、室内側から3波長型蛍光灯にて試験面に対して直角に照射して、試験面の照度を1500Luxとし、照度150Luxの廊下側から目視にて透過陰影(透過画像)の発生の有無と程度を観察して4段階に評価する。反対面側の試験は試験試料を反転して同様に試験する。
〔評価〕◎:優れる(透過陰影・透過画像を認められない)、○:良い(殆ど認められない)、△:やや劣る(やや認められる)、×:劣る(認められる)
【0112】
2、磁気吸着力測定方法
2−1、垂直磁気吸着力
1辺が約50mmの正方形の試験試料1003を、水平に固定した平滑なプラスチック板1001の表面に両面テープ1002を用いて非測定面を貼着し測定面に、背面中央に引掛けを設けた1辺が40mmの正方形の平滑なプラスチック板1005に試験試料1004の裏面を両面テープ1002を用いて非測定面を貼着した測定冶具を磁気吸着させて、垂直方向に引き離すに要する力をプラスチック板1005の背面の引掛けにバネ秤1006を引っ掛けて測定し、垂直磁気吸着力(g/cm
2)算出する。(
図13参照)
【0113】
第1部材Aと第2部材B間の磁気吸着力を測定の場合は、
図13の試験試料1003:第1部材A、試験試料1004:第2部材Bであり、第2部材Bと表示片間の磁気吸着力を測定の場合は、1003:第2部材B、1004:表示片となる。
【0114】
2−2、引張剪断引張磁気吸着力
平滑なプラスチック板1001の上面に1辺が約60mmの正方形の試験試料1007を両面テープ1002を用いて貼着する。一方、側面中央に引掛けを設けた1辺が50mmの正方形のプラスチック板1009に両面テープ1002を用いて他の試験試料1008を貼着する。そして両者1007,1008を磁気吸着させて水平方向に引き離すに要する力を、プラスチック板1009の側面の引掛けにバネ秤を引っ掛けて測定して引張剪断磁気吸着力(g/cm
2)を算出する(
図14参照)。
【0115】
第1部材Aと第2部材B間の剪断引張磁気吸着力を測定の場合は、
図14の試験試料1007:第1部材A、試験試料1008:第2部材Bであり、第2部材Bと表示片間の引張剪断磁気吸着力を測定の場合は、試験試料1007:第2部材B、試験試料1008:表示片となる。
【0116】
3、多重貼着性試験方法(多重貼着可能限度枚数)
表示片の試験片として、A4サイズに裁断したものを、垂直に保持したB4サイズの透明基体の片面に貼着した磁性複合層を有するウインドーフィルムの表面に磁気吸着によって貼着し、更に試験片を1枚ずつ重ね磁気貼着して行き、脱落を生じる1枚手前の枚数を求めて表示基板に対する多重貼着可能限度枚数とする。
【0117】
【表1】
【0118】
【表2】
【0119】
【表3】
【0120】
【表4】
【0121】
次に試験結果について説明する。
各実施例及び比較例について各試験を行いその結果を表にまとめた。表1は磁性複合層を有するウインドーフィルムに関する実施例の仕様と性能を示し、表2は磁性複合層を有するウインドーフィルムに関する比較例の仕様と性能を示す。
表3は磁性複合層を有するウインドーフィルムを用いた両面表示機構の実施例の仕様と性能を示し、表4は磁性複合層を有するウインドーフィルムを用いた両面表示機構の比較例の仕様と性能を示す。
【0122】
1、磁気吸着力
1−1磁性複合層を有するウインドーフィルムの第1部材Aと第2部材B間の磁気吸着力
1−1−1垂直磁気吸着力
(1)第1部材Aと第2部材Bの磁性フィルムを、軟磁性フィルム(磁石の被着体)と硬磁性フィルム(磁石)を入れ替えて用いても得られる磁気吸着力は変わらない(実施例1〜2)。このことから部材Bの取り扱いの都合で、第2部材Bを磁束が出ないで複数枚重ね易い軟磁性フィルムにするか、取り外した第2部材Bを他の場所に磁気貼着させるために硬磁性フィルムにするか用途によって決めれば良い。
(2)第1部材Aと第2部材Bの磁性粉の充填量と厚みが、どちらか一方が特定値に満たない場合は、その影響で得られる磁気吸着力が弱くなる(実施例1〜2に対して比較例1〜2、実施例5に対して比較例3〜4、実施例7に対して比較例5)。
(3)第1部材Aと第2部材Bが硬磁性フィルム(磁石)同士の場合の垂直磁気吸着力は、多極着磁の磁極方向(縦同士又は横同士)が変わっても磁気吸着力に差を生じない(実施例4と5、実施例6と7)。
(4)当然のことであるが、磁性粉の充填量、磁性層の厚みが特定値に満たないと得られる磁気吸着力は低下し、第1部材Aと第2部材Bの磁性フィルム両者が特定値に満たないと磁気吸着力が劣る(比較例6)。又、磁性層が無い場合は当然に磁気吸着力が得られない(比較例7)。
【0123】
1−1−2 剪断引張磁気吸着力
(1)多極着磁を施した磁石フィルムと軟質磁性フィルム(磁石の被着体)、多極着磁を施した磁石フィルム同士で磁極方向の剪断引張磁気吸着力は、磁石フィルム(未着磁品)と被着体の接する面の静止摩擦係数にも依るが、垂直磁気吸着力に対して、略40〜50%程度が剪断引張磁気吸着力となる(実施例1〜4、6)。
(2)同極間で多極着磁の磁極方向が上下方向(縦)に対して、上下方向に直角方向(横)同士で剪断引張方向が上下方向(縦)の剪断引張磁気吸着力は、垂直磁気吸着力と略同等の優れた値を発揮する事が分かる(実施例5、7、比較例3〜4)。このことは磁極方向に対して直角方向の剪断引張磁気吸着力が垂直磁気吸着力と略同等の値を発揮する事であり、部材Bに比較的重いものを取り付けて使用する場合に有利である。
(3)比較例1〜6についても同様な傾向を呈するが、黒色系不透明層の磁粉充填量と厚みが特定値を逸脱しているので得られる磁気吸着力は劣る。
【0124】
上記1−1−1及び1−1−2 の結果から黒色磁性層の磁粉充填量と厚みが特定値内であることが望ましい事が分かる。即ち、特定値内である実施例は全て実用的に優れるが、特定値を逸脱した比較例は実用に耐えない結果を呈する。
【0125】
1−2 両面表示機構の磁性複合層を有するウインドーフィルムの第2部材Bと表示片間の多重貼着性
(1)各磁性表示片の磁性層の磁性粉の充填量と厚みが、各実施例及び各比較例において同じであるので、得られる磁気吸着力は主として磁性複合層を有するウインドーフィルムの部材、特に部第2材Bの磁性及着磁形式に左右される。即ち、磁性複合層を有するウインドーフィルムの第2部材Bの室内側の表面が片面着磁の背面漏洩磁束である場合は、磁束密度が比較的低いので、表示片の多重貼着出来る枚数も比較的少ない(実施例8)。
(2)表示片の磁性層が硬質磁性(磁石)で多極着磁の各極間が同一の場合は、表示片の多重貼着出来る枚数が優れる(実施例9)。
(3)部材Bの磁性層が硬質磁性(磁石)で比較的厚みが厚く両面多極着磁であるので、磁束密度が高く得られ、表示片の多重貼着出来る枚数が良い(実施例10)。
(4)第1部材Aと第2部材Bが多極着磁の磁極方向と極間が同じものは、背面の漏洩磁
束が優れるので、表示片の多重貼着出来る枚数も優れたものとなる(実施例11、12)。
(5)第1部材Aが片面着磁で、第2部材Bが第1部材Aの磁極方向と同極間で比較的に
厚みが厚い両面着磁の場合は第2部材Bの表面漏洩磁束が強く、表示片の多重貼着枚数が特に優れたものとなる(実施例13、14)。
(6)黒色不透明層の磁性粉充填量と厚みが、特定量を逸脱した磁性複合層を有するウインドーフィルムを用いた両面表示機構は、いずれも実用出来ない性能のものとなる(比較例8〜14)。
【0126】
2、透過陰影防止効果
・磁性複合層を有するウインドーフィルムの第1部材A及び第2部材Bの黒色系不透明層の磁性粉充填量と厚みが、特定量を大きく逸脱したものが、透過陰影防止効果が劣り又、黒色系不透明層を有しないものは透過陰影防止効果を有しない(比較例6〜7、13〜14)。つまり、本発明のウインドーフィルムの第1部材A及び第2部材Bの必要磁気吸着力を満たす磁性粉充填量と厚みであれば透過陰影防止効果的にも充分である。又、白色不透明層も透過陰影防止効果に影響するが特定範囲内の厚み(黒色系不透明層の黒色系を隠蔽する程度)であれば、透過陰影防止効果も充分あることが分かる(実施例1〜7)。
【0127】
3、結言
各実施例、比較例から分かるように、黒色系不透明層の磁性粉充填量と厚み、及び白色系不透明層の厚みが特定値範囲内であれば実用的に必要な磁気吸着力、透過陰影防止効果が得られる。それに対して特定範囲を逸脱した比較例は全て実用的でない結果を呈する。
【課題】片面と他の片面で異なる画像の印刷を施し、両面共に反対面に透過印刷陰影を生じない、窓ガラスなどに貼付けて用いられ、室内側の印刷画像の取替えが容易に出来るウインドーフィルム及び両面表示機構を開発する。
【解決手段】第1黒色系不透明層M1の片面に印刷を施した第1白色系不透明層2を設け、その表面に透明粘着層4を設けた第1部材Aと、前記M1と磁気吸着可能な第2黒色系不透明層M2の片面に印刷を施した第2白色系不透明層2を設けた第2部材Bを前記M1面と前記M2面を磁気吸着させて成る磁性複合ウインドーフィルムとすることで第1又は第2白色系不透明層2で可視光線を反射し、更に透過した可視光線を前記M1と前記M2で吸収することで透過印刷陰影を防止し、室内側の印刷画像の取替えを第2部材Bの取替えで容易とし、更に磁性表示片も磁気吸着で着脱容易にした。