【実施例】
【0050】
以下実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、この実施例によって限定されるものではない。
【0051】
本発明のインキの実施例1〜4を以下の処方で調製した。
<実施例−1>
スピロンバイオレットC−RH [保土ヶ谷化学工業製] 8.0%
スピロンイエローC−GNH [保土ヶ谷化学工業製] 5.0%
Printex#35 [デグッサ社製] 8.0%
ポリビニルブチラール BL−1 [積水化学製] 4.0%
ポリビニルブチラール BH−3 [積水化学製] 0.7%
ハイラック110H [日立化成製] 10.0%
SOLSPERSE 28000 [Lubrizol製] 1.0%
(酸価:29、重量平均分子量:約3400)
ベンゾトリアゾール 0.5%
3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール 62.8%
【0052】
<実施例−2>
スピロンブルーC−RH [保土ヶ谷化学工業製] 8.0%
スピロンバイオレットC−RH [保土ヶ谷化学工業製] 4.0%
クロモフタルブルーA−3R [チバガイギー社製] 8.0%
ポリビニルブチラール BL−1 [積水化学製] 7.0%
ポリビニルブチラール BH−S [積水化学製] 0.5%
ハイラック110H [日立化成製] 7.0%
SOLSPERSE 32000 [Lubrizol製] 2.0%
(酸価:15、重量平均分子量:約3900)
ベンゾトリアゾール 0.5%
エチレングリコールモノフェニルエーテル 1.0%
3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール 62.0%
【0053】
<実施例−3>
スピロンバイオレットC−RH [保土ヶ谷化学工業製] 10.0%
クロモフタルバイオレットB [チバガイギー社製] 5.0%
ポリビニルブチラール BL−S [積水化学製] 3.0%
ポリビニルブチラール BH−S [積水化学製] 0.5%
ハイラック110H [日立化成製] 8.0%
SOLSPERSE 32000 [Lubrizol製] 1.0%
(酸価:15、重量平均分子量:約3900)
エチレングリコールモノフェニルエーテル 5.0%
3−メトキシブタノール 12.5%
3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール 55.0%
【0054】
<実施例−4>
スピロンバイオレットC−RH [保土ヶ谷化学工業製] 8.0%
スピロンイエローC−GNH [保土ヶ谷化学工業製] 5.0%
Printex#35 [デグッサ社製] 8.0%
ポリビニルブチラール BL−1 [積水化学製] 6.5%
ポリビニルブチラール BH−3 [積水化学製] 1.0%
ハイラック110H [日立化成製] 5.0%
SOLPLUS K500 [Lubrizol製] 2.0%
(酸価:20、重量平均分子量:約1700)
ベンゾトリアゾール 0.5%
3−メトキシブタノール 9.0%
3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール 55.0%
【0055】
比較例1〜6を以下の処方で調製した。
<比較例−1>
スピロンバイオレットC−RH [保土ヶ谷化学工業製] 8.0%
スピロンイエローC−GNH [保土ヶ谷化学工業製] 5.0%
Printex#35 [デグッサ社製] 8.0%
ポリビニルブチラール BL−1 [積水化学製] 4.0%
ポリビニルブチラール BH−3 [積水化学製] 0.7%
ハイラック110H [日立化成製] 5.0%
3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール 69.3%
【0056】
<比較例−2>
スピロンブルーC−RH [保土ヶ谷化学工業製] 8.0%
スピロンバイオレットC−RH [保土ヶ谷化学工業製] 4.0%
クロモフタルブルーA−3R [チバガイギー社製] 8.0%
ポリビニルブチラール BL−1 [積水化学製] 4.0%
ポリビニルブチラール BH−S [積水化学製] 0.5%
ハイラック110H [日立化成製] 8.0%
エチレングリコールモノフェニルエーテル 5.0%
3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール 62.5%
【0057】
<比較例−3>
スピロンバイオレットC−RH [保土ヶ谷化学工業製] 10.0%
クロモフタルバイオレットB [チバガイギー社製] 5.0%
ポリビニルブチラール BL−S [積水化学製] 3.0%
ポリビニルブチラール BH−S [積水化学製] 0.5%
ハイラック110H [日立化成製] 8.0%
エチレングリコールモノフェニルエーテル 5.0%
3−メトキシブタノール 12.5%
3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール 56.0%
【0058】
<比較例−4>
スピロンバイオレットC−RH [保土ヶ谷化学工業製] 8.0%
スピロンイエローC−GNH [保土ヶ谷化学工業製] 5.0%
Printex#35 [デグッサ社製] 8.0%
ポリビニルブチラール BL−1 [積水化学製] 4.0%
ポリビニルブチラール BH−3 [積水化学製] 1.0%
ハイラック110H [日立化成製] 5.0%
3−メトキシブタノール 9.0%
3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール 60.0%
【0059】
<比較例−5>
スピロンバイオレットC−RH [保土ヶ谷化学工業製] 8.0%
スピロンイエローC−GNH [保土ヶ谷化学工業製] 5.0%
Printex#35 [デグッサ社製] 8.0%
ポリビニルブチラール BL−1 [積水化学製] 4.0%
ポリビニルブチラール BH−3 [積水化学製] 0.7%
ハイラック110H [日立化成製] 5.0%
ベンゾトリアゾール [ヤスハラケミカル製] 0.5%
3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール 58.8%
【0060】
<比較例−6>
実施例1におけるSOLSPERSE 28000(酸価:28、重量平均分子量:約3400)をSOLSPERSE 20000(酸価:なし、重量平均分子量:約1900)に置き換えて、それ以外の成分は実施例1に従って処方した。
【0061】
<比較例7>
実施例2におけるSOLSPERSE 32000(酸価:15、重量平均分子量:約3900)をSOLSPERSE 41000(酸価:50、重量平均分子量:約47000)に置き換えて、それ以外の成分は実施例2に従って処方した。
【0062】
以上の様に実施例および比較例で得られたインキを充填し、下記評価テストを行った。
試験に用いたボールペンは、内径1.60mmのポリプロピレンチューブ、ステンレスチップ(ボールは超硬合金で、直径1.0mmである)を有するものである。また、充填した後、温度25℃、湿度65%条件下にて30分放置した後に下記評価を行った。
【0063】
評価1)書出時カスレ評価(官能評価):
「三菱」という文字を書き、文字のカスレ度合いで判定する。
◎:ほとんどかすれないもの(「三」の1あるいは2番目の線以降書ける)。
○:僅かにかすれるもの(「三」の2番目の線が多少かすれるが、それ以降かすれない)。
△:カスレが少し多いもの(「菱」以降かすれない)。
×:カスレが非常に多いもの(「菱」が最後まで書けない)。
【0064】
評価2)書出時カスレ評価(機械評価):
温度25℃、湿度65%条件下において、ペンを60度にセツトし、200gの荷重をかけ、接触している紙を2m/分の速度で動かし、その筆記描線を観察する。その時、始点から書出始めた描線までの距離を測定する。ペンは5本用意し、その平均値を測定値とした。尚、この試験では、長期的なカスレ性を観察するために、温度25℃、湿度65%条件下での放置期間は1日間とした。
【0065】
判定基準は以下のとおりである。
◎:測定値≦10mm
○:10mm<測定値≦50mm
△:50mm<測定値≦100mm
×:100mm<測定値
【0066】
評価3)筆記性評価/線割れ性(官能評価):
室温下でPPC用紙を用い、連続的にラセン状に筆記した時の描線の線割れ(筆記時にインキが転写しない部分)度合いを観察し、判定する。
【0067】
判定基準は以下のとおりである。
◎:ほとんど線割れしないもの。
○:僅かに線割れするもの。
△:少し線割れが多いもの。
×:非常に線割れが多いもの。
【0068】
4)腐食性(1)(筆記による官能評価):
ガラスデシケータ下部に水をはり、水に浸からない様に注意しながら仕切り板(中板)にペン体を置き、蓋を閉め、温度50℃で1週間放置した。その後取り出して1時間後、室温下でPPC用紙を用い、連続的にラセン状に筆記した時の描線状態(筆記時にインキが転写しない部分)度合いを観察し、判定する。また、ペン先の状態を顕微鏡にて観察した。
【0069】
判定基準は以下のとおりである。
◎:ほとんど問題なく筆記できるもの。
〇:僅かにボールの回転に抵抗感があるもの。
△:ボールの回転に抵抗があり、描線にインクを転写できない部分があるもの。
×:描線にインクを転写できない部分が多いもの。
【0070】
5)腐食性(2)(顕微鏡による官能評価):
上記4)のサンプルのペン先状態を顕微鏡にて観察して以下のように評価した。
○:ほとんど問題なく綺麗なもの。
△:僅かにチップのホルダー側に腐食らしき痕が観察できるもの。
×:チップのホルダー部に腐食による欠落部が観察できるもの。
【0071】
【表1】
【0072】
以上の結果から明らかなように本発明の範囲となる実施例1〜4のインキ組成物は、本発明の範囲外となる比較例1〜7のインキ組成物に比べて書出時のかすれに対して非常に優れ、筆跡の柔らかく滑らかな筆感にすることに優れていることが判明した。
【0073】
本発明によれば、ボールペン用油性インキとして好適に用いられ、金属チップに対する書き出し時の筆記カスレの抑制やボールの回転に対して高い潤滑性を発現することで筆跡の柔らかく滑らかな筆感にすることに優れたボールペン用油性インキ組成物が提供される。