(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上型を取り付けるための上型ホルダを有する上テーブル及び下型を取り付けるための下型ホルダを有する下テーブルを有し、前記上テーブルと前記下テーブルとを離接させて前記上テーブルと前記下テーブルとの間に挿入されたワークを曲げ加工する加工部と、
前記ワークを把持して前記上テーブルと前記下テーブルとの間に挿入するロボットハンド装置と、
曲げ加工の際の前記ワークのゲージング動作において、前記ロボットハンド装置によって前記ワークが突き当てられる伸縮自在の突き当て部と、
前記突き当て部の伸縮方向の位置を検出して前記位置に応じた信号を出力するポテンショメータと、
前記加工部及び前記ロボットハンド装置の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記信号に基づいて前記ゲージング動作に異常が発生したか否かを判定し、異常が発生したと判定した後に異常の内容を前記信号の態様に基づいて複数の区分に分類し、分類した前記区分毎に前記区分それぞれに対応して予め設定された修正動作を前記ロボットハンド装置に対して実行させると共に、前記複数の区分の分類を行った場合にその異常の履歴を保存し、前記異常が発生したと判定した場合、直前の前記ゲージング動作が正常終了しているならば、前記修正動作の実行前に前記ゲージング動作を再度実行させるよう構成されていることを特徴とする曲げ加工装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
現状、曲げ加工装置の自動運転がゲージング動作の異常発生で停止した場合、作業者が復帰作業を行うようになっているが、その復帰作業の内容を発明者が鋭意分析した結果、異常の発生状態それぞれに対応した修正動作をすることで、自動機でも充分リトライ動作によりゲージングを継続し得る場合の多いことを見い出した。
本発明は、発明者が見い出したこの新しい知見に基づいて創出されたものであり、その本発明の実施の形態を、好ましい実施例により
図1〜
図17を用いて説明する。
【0010】
本発明の曲げ加工装置の実施例は下降式のプレスブレーキ51である。
図1〜
図3を参照して、そのプレスブレーキ51の構成を説明する。
図1は、プレスブレーキ51でワークWを加工する直前の状態を説明するために主要部を抽出して部分切断した概略側面図であり、
図2は、プレスブレーキ51のブロック図であり、
図3は、プレスブレーキ51の突き当て部5,6にワークWを突き当てた状態を示す上面図である。
図1及び
図3にはワークWも記載されている。
【0011】
プレスブレーキ51は、下部テーブル1と、下部テーブル1に連結された左右一対の側板2(右側の側板2のみ図示)と、一対の側板2の上方に設けられ、油圧等を駆動源とした駆動部KDにより下部テーブル1に対して離接するよう昇降する上部テーブル3と、上部テーブル3の後方側に配置され前後方向に直線移動可能とされた一対の突き当て部5,6及び各突き当て部5,6の直線移動に伴って変わる位置をそれぞれ検出するセンサとしてポテンショメータM5,M6を有するバックゲージBGと、ワークWの前方縁部を上ハンド7a1及び下ハンド7a2により上下方向から把持するグリッパ7aを有し、前後左右上下方向及び回動等の動作によりワークWの位置及び姿勢を変えることができるロボットハンド装置7と、を備えている。
【0012】
プレスブレーキ51の動作は、制御部SGにより制御される。制御部SGは、記憶部MRなどと共にNC装置8に格納されている。
具体的には、NC装置8には、外部から加工プログラムPGを含む加工情報JHが供給される。制御部SGは、供給された加工情報JHを記憶部MRに一時記憶すると共に、その加工情報JHに基づいてプレスブレーキ51の加工動作及び加工に関する動作を制御する。この加工に関する動作には、ロボットハンド装置7によって行われるワークWのゲージング動作を含む。
【0013】
また、ロボットハンド装置7からは、可動部であるグリッパ7a等の動作や姿勢の情報が制御部SGにフィードバックされる。
プレスブレーキ51は、加工プログラムPG等に基づき、NC装置8によって周辺装置と協働しつつ自律的に自動運転される。
【0014】
下部テーブル1及び上部テーブル3を含み加工部KBが構成されている。
下部テーブル1はダイホルダ1aを有し、ダイホルダ1aには金型であるダイDが着脱自在に取り付けられている。
上部テーブル3は、パンチホルダ3aを有し、パンチホルダ3aには金型であるパンチPが着脱自在に取り付けられている。
プレスブレーキ51における、バックゲージBG,ロボットハンド装置7,及び制御部SGとを含みゲージング装置GSが構成されている。
【0015】
図3に示されるように、バックゲージBGにおいて、突き当て部5,6は、前後方向に移動自在とされており、通常、図示しない付勢部材(コイルバネなど)により前方に向け(矢印DR1方向)に付勢されている。
ポテンショメータM5,M6は、それぞれ突き当て部5,6の前後方向位置に応じた位置信号SN5,SN6を制御部SGに向け出力する。
【0016】
ロボットハンド装置7は、ワークWの前方縁部をグリッパ7aにより把持し、例えばワークWを水平姿勢にして後方縁部を一対の突き当て部5,6に突き当てて(矢印DR2)それらを後方側に押し込む。
制御部SGは、この押し込み動作によって変化する位置信号SN5,SN6に基づいて得られた突き当て部5,6の前後方向位置と、記憶部MRに記憶された加工プログラムPGで設定されているワークWの正規の突き当て位置とを比較する。そして、突き当て部5,6が所定の位置(正規の突き当て位置)に達したと判定したら、ロボットハンド装置7によるワークWの押し込みを停止し、ゲージングを完了する。
制御部SGは、このゲージングの完了後、加工プログラムPGに基づき曲げ加工を実行する。
【0017】
制御部SGによる突き当て部5,6の位置の把握は、突き当て部5を例にとると、
図3に示されるように、位置信号SN5に基づいて前後方向の所定の位置を原点Kとして設定し、原点Kから後方側にY軸を設定し、原点から後方側を正値として突き当て部5の先端位置をY座標(KY)で把握する。突き当て部6も同様である。軸の設定において、原点Kを後方側に設定し、原点から前方側を正値とする軸を設定してもよい。
【0018】
次に、ゲージング動作で異常が生じた場合のリトライ動作について詳述する。
通常、ゲージング動作の異常は、ポテンショメータからの出力値が異常になることでその発生が検出される。
実施例において、制御部SGは、ポテンショメータからの出力値が異常になったか否かだけではなく、異常値の内容も信号SN5,SN6の態様から分析し、それぞれの異常内容に応じた修正動作をロボットハンド装置7
に実行させて、ゲージング動作をできるだけ停止させないようにする。
【0019】
具体的には、制御部SGは、位置信号SN5,SN6から得られる突き当て部5,6の位置に対応した測定電圧値Vsと、加工プログラムPGにおいて設定された突き当て部5,6の正規位置に対応した基準電圧値Vkと、を比較し、両者の差がばらつき等を考慮した所定の許容範囲を超えた場合に異常と判断し、かつ、その異常の状況を、時間的変化も含めて分析して、例えば、次の三つの区分に分類する。
(区分A)測定電圧値急変:ゲージング動作中に測定電圧値Vsが急変した異常。
(区分B)測定電圧値不変:ゲージング動作に拘わらず測定電圧値Vsが変化しない異常。
(区分C)測定電圧値不正:ゲージング動作開始時に測定電圧値Vsが設定された取り得る値の範囲外となっている異常。
【0020】
ゲージング動作の異常は、ほぼこれら三つの区分に分類される。分類し得ない異常が発生した場合は、アラーム処理とするが、その発生は極めて稀である。
【0021】
図4のフロー図を参照してこの分類を行う手順について詳述する。
(1)外部からのゲージング動作の開始指示を受け、制御部SGは、位置信号SN5,SN6の測定電圧値Vs5,Vs6が、ゲージング開始時の値として予め設定された電圧値を示しているか(正常な状態か)、否か(異常な状態か)を判定する(Step1)。
(2)正常な状態と判定したら(Yes)、制御部SGは、加工プログラムPGに基づきロボットハンド装置7に対しゲージング動作の実行を指示する(Step2)。この指示を受け、ロボットハンド装置7は、把持したワークWを突き当て部5,6に突き当てて所定の位置まで押し込む動作を実行する。
(3)押し込み動作に伴い変化する測定電圧値Vs5,Vs6が、共に、加工プログラムPGに設定された突き当て部5,6の位置に対応する値(目標値)で維持されたか否かを判定する(Step3)。
(4)否(No)の場合は、(Step4)へ進む。
(5)(Step3)で維持されたと判定したら(Yes)、ゲージング動作を終了する。
(6)(Step1)で否(異常)と判定したら(No)、測定電圧値Vs5,Vs6が共に予め設定された測定電圧値の取り得る範囲内にあるか、否か、を判定する(Step4)
(7)(Step4)が否〔少なくとも一つの測定電圧値が範囲外〕の場合(No)、「区分C」と判定し(Step5)、フローC(
図14参照)を実行する。
(8)(Step4)が正〔すべての測定電圧値が範囲内〕の場合(Yes)、次に、ゲージング動作において、変化しない測定電圧値があるか、否か、を判定する(Step6)。
(9)(Step6)で正の場合(Yes)、「区分B」と判定し(Step7)、フローB(
図10参照)を実行する。
(10)(Step6)で否〔測定電圧値はすべて変化している〕の場合(No)、変化度合いが、ロボットハンド装置7によるワークWの移動速度に対応した変化度合いを超えて急変している測定電圧値があるか、否か、を判定する(Step8)。
(11)(Step8)で正〔急変している測定電圧値がある〕の場合(Yes)、「区分A」と判定し(Step9)、フローA(
図6)を実行する。
(12)(Step
8)で否〔急変している測定電圧値がない〕の場合(No)、区分A〜Cの対象外としてアラーム処理区分に分類し、アラーム処理を実行する(Step10)。
【0022】
次に、区分A〜Cそれぞれの詳細について、
図6,10,14(フローA,B,C)を参照して詳述する。
【0023】
(区分Aについて)
図5A及び
図5Bは、区分Aの発生事例を示す図である。
この例は、
図5Aに示されるように、グリッパ7aで把持されたワークWが、一方の突き当て部5に対して僅かに当たっている状態となって突き当て部5,6を押すようになっており、その押す過程で
図5Bに示されるように、ワークWの突き当て部5に対する当たりが外れて突き当て部5が前方に急伸してしまった場合である。
この場合、突き当て部5に対応したポテンショメータM5の測定電圧値Vsが急変するので、制御部SGによって区分Aとして分類される。
このように、急変した測定電圧値Vsがあるという区分Aでは、ゲージング動作中にワークWが突き当て部5,6のいずれかから左右方向に外れてしまった可能性が高い。
制御部SGは、例えば
図5Bに示されるように、突き当て部5から外れてしまった場合のリトライ動作を
図6に示されるフローAのように実行する。このフローAに対応する修正動作は
図7に示される。
【0024】
(A1)まず、制御部SGはゲージング動作を停止する(StepA1)。
(A2)制御部SGは、ロボットハンド装置7に指示して、ワークWの前後方向位置を、ゲージング初期位置に戻す(StepA2)(
図7の矢印6a)。
(A3)測定電圧値Vsが急変したポテンショメータに対応する突き当て部を特定する。この例では、突き当て部5か、否か(突き当て部6か)、を判定する(StepA3)。
(A4)ロボットハンド装置7に指示して、ワークWを、特定した突き当て部のある方向に所定距離だけ移動させる。この例のように、左側にある突き当て部5の場合は(Yes)、ワークWを左方向に所定距離だけ移動させる(StepA4)(
図7の矢印6b)。右側にある突き当て部6の場合は(No)、ワークWを右方向に所定距離だけ移動させる(StepA5)。
ここで移動させる所定距離は、ワークWの形状等に応じて予め設定され、加工情報JHに含められている。作業者により設定を変更できるようにしてあるとよりよい。
(A5)次に、
図4のフローにおけるA1へ戻り、再度ゲージング動作を実行する(Step2)。
例えば(StepA4)を実行することで、
図7に示されるように、ワークWの位置が突き当て部5に確実に当接する位置へ修正される可能性が高い。従って、少なくとも数回の修正動作を経ることで再ゲージング動作で異常とはならずにゲージングが完了し、ワークの加工が継続できる。
【0025】
(区分Aの別フロー例)
区分Aにおいては、
図8に示される別のフローAAに従ってリトライしてもよい。
このフローAAは、直前加工時のゲージングが正常に終了したとするならば、今回の異常は偶発的なものである可能性があるとして、修正動作を行わずに再ゲージングをn回(n:1以上の自然数)行うものである。nは閾値として予め設定しておく。
図8において、制御部SGは、ゲージング動作を停止したら(StepAA1)、修正動作なしで実施した再ゲージングの回数kをnと比較し(StepAA2)、回数kがnを越えていなければ(No)、修正なしの再ゲージングを行うように
図4のフローにおけるA1へ戻り、再度ゲージング動作を実行する。
(StepAA
2)で回数kがnを越えていると判定されたら(Yes)、修正動作を伴うフローAを実行させる。
偶発的に生じた異常の場合、修正動作を実行すると正規状態からより外れてしまう場合があるので、ゲージング装置やワークの加工内容から、偶発的な異常発生の可能性が否定できない場合、このフローAAをフローAの前段に挿入するとよい。
【0026】
(区分Bについて)
この例は、
図9に示されるように、グリッパ7aで把持されたワークWが、例えば突き当て部5に対して上方に逃げて突き当てがされてなく、突き当て部5が伸びた状態でダイDに当接してしまっている場合である。
この場合、突き当て部5に対応したポテンショメータM5の測定電圧値VsがワークWの前後方向の移動に拘わらず変化しないので、制御部SGによって区分Bとして分類される。
このように、測定電圧値Vsが不変の区分Bでは、ゲージング動作において、ワークWが突き当て部5,6の少なくとも一方から上方側に外れて突き当て部がダイDに当接してしまっている可能性が高い。
制御部SGは、例えば
図9に示されるように、ワークWが突き当て部5の上方にずれてしまった場合のリトライ動作を、
図10に示されるフローBのように実行する。このフローBに対応する修正動作は
図11に示される。
【0027】
(B1)まず、制御部SGはゲージング動作を停止する(StepB1)。
(B2)制御部SGは、ロボットハンド装置7に指示して、ワークWの前後方向位置をゲージング初期位置に戻す(StepB2)(
図11の矢印10a)。
(B3)次に、制御部SGは、ロボットハンド装置7に指示して、ワークWを、
下方
へ所定距離だけ移動させる(StepB
3)(図
11の矢印10b)。
ここで移動させる所定距離は、ワークWの形状等に応じて予め設定され、加工情報JHに含められている。作業者により設定を変更できるようにしてあるとよりよい。
(B4)
図4のフローにおけるB1へ戻り、再度ゲージング動作を実行する(Step2)。
例えば(StepB3)を実行することで、
図11のようにワークWの位置が
突き当て部
に対して突き当たるように修正される可能性が高い。従って、少なくとも数回の修正動作を経ることで再ゲージング動作で異常とはならずにゲージングが完了し、ワークの加工が継続できる。
【0028】
(区分Bの別フロー例)
区分Bにおいては、
図12に示される別のフローBAに従ってリトライしてもよい。
このフローBAは、直前のゲージングが正常に終了したとするならば、今回の異常は偶発的なものである可能性があるとして、修正動作を行わず再ゲージングをm回(m:1以上の自然数)行うものである。mは閾値として予め設定しておく。
図12において、制御部SGは、ゲージング動作を停止したら(StepBA1)、修正動作なしの再ゲージングの回数kをmと比較し、回数kがmを越えていなければ(No)、修正なしの再ゲージングを行うように
図4のフローにおけるB1へ戻り、再度ゲージング動作を実行する。
(StepBA
2)で回数kがmを越えていると判定されたら(Yes)、修正動作を伴うフローBを実行させる。
偶発的に生じた異常の場合、修正動作を実行すると正規状態からより外れてしまう場合があるので、ゲージング装置やワークの加工内容から、偶発的な異常発生の可能性が否定できない場合、このフローBAをフローBの前段に挿入するとよい。
【0029】
(区分Cについて)
図13A及び
図13Bは、区分
Cの発生事例を示す図である。
この例は、
図13Aに示されるように、グリッパ7aで把持されたワークWが、突き当て部5,6の最も伸びた状態に対しても届いていない場合、又は、
図13Bに示されるように、突き当て部5,6が、ワークWによって最も縮められた状態あるいはその近傍まで押し込まれてしまっている場合、である。
これらの場合、突き当て部5に対応したポテンショメータM5の測定電圧値Vsが、設定された可変範囲の最小値若しくは最大値、又はそれらの近傍で維持され、制御部SGによって区分Cとして分類される。
このように、測定電圧値Vsが設定された可変範囲の最小値若しくは最大値、又はそれらの近傍で維持された区分Cでは、ワークWの前後方向位置が異常になっている可能性が高い。
制御部SGは、この区分Cにおけるリトライ動作を、
図14に示されるフローCのように実行する。
【0030】
(C1)まず、制御部SGはゲージング動作を停止する(StepC1)。
(C2)制御部SGは、ロボットハンド装置7に指示して、ワークWをゲージング初期位置に戻す(StepC2)。
(C3)突き当て部5,6の位置が最前端側にあるか、否か(最後端側にあるか)、を判定する(StepC3)。
(C4)最前端側に位置している場合(Yes)、グリッパ7a(ワークW)を所定距離だけ後方へ移動する(StepC4)。これにより突き当て部5,6はワークWに押し込まれる。
(C5)否の場合(No)、グリッパ7a(ワークW)を所定距離だけ前方に移動する(StepC5)。これにより突き当て部5,6は前方側に伸びる。
(StepC4),(StepC5)で移動させる所定距離は、ポテンショメータM5,M6の仕様やワークWの形状等に応じて予め設定され、加工情報JHに含められている。作業者により設定を変更できるようにしてあるとよりよい。
(StepC4),(StepC5)の移動は、それ自体がリトライ動作となるので、
図4のフローにおけるC1に戻り、次にStep3の判定が実行される。
これら(StepC4)又は(StepC5)を実行することで、ワークWの前後位置が修正され異常を回避できる可能性が高く、ゲージングが完了してワークの加工が継続できることが期待される。
【0031】
(区分Cの別フロー例)
区分Cにおいては、
図15に示される別のフローCAに従ってリトライしてもよい。
このフローCAは、直前のゲージングが正常に終了したとするならば、今回の異常は偶発的なものである可能性があるとして、修正動作を行わず再ゲージングをp回(p:1以上の自然数)行うものである。pは閾値として予め設定しておく。
図15において、制御部SGは、ゲージング動作を停止したら(StepCA1)、修正動作なしの再ゲージングの回数kをpと比較し、回数kがpを越えていなければ(No)、修正なしの再ゲージングを行うように
図4のフローにおけるC2へ戻り、再度ゲージング動作を実行する。
(StepCA
2)で回数kがpを越えていると判定されたら(Yes)、修正動作を伴うフロー
Cを実行させる。
偶発的に生じた異常の場合、修正なしにリトライをすることで正常動作となる場合が多いので、ゲージング装置やワークの加工内容から、偶発的な異常発生の可能性が否定できない場合、このフローCAをフローCの前段に挿入するとよい。
【0032】
(アラーム処理について)
図4に示される(Step10)のアラーム処理について説明する。
実施例のゲージング方法においては、(Step1)で異常と判定した場合、その後、区分A〜Cの分類が為され、各分類に応じた修正動作が実行されるので、従来よりも遙かに高い比率でゲージング動作を停止させることなく、ワーク加工が継続維持される。
この手順において、僅かの比率で、これらの区分A〜Cの各修正動作を実行しても異常が解消しない場合がある。この場合、制御部SGは、アラーム処理を実行し(Step10)、ゲージングを中止する。
【0033】
このアラーム処理及び上述のフローA〜Cの分類が生じた場合、制御部SGは、異常の区分A〜Cや、各区分で実行したリトライの種類(例えば区分Aにおける右方向修正移動及び左方向修正移動)、また、フローAA,BA,CAを行った場合は、設定した閾値n,m,pの種類を、加工プログラム名称、日付、アラーム発生時刻及び各修正動作実行時刻、等を相互に関連づけ履歴ファイルとして記憶部MRに保存する。
【0034】
この履歴ファイルは、例えば、
図16に示されるファイル構成で
図17に示される内容が記憶部MRに保存される。
具体的には、「自動運転用ファイル」フォルダの中に、「ロボット運転用データ」、「ロボット補正データ」、「プレスブレーキ運転用データ」、等の各ファイルと共に「運転中修正履歴」ファイルとして格納される。
【0035】
以上、詳述した実施例によれば、異常となった原因を区分し、各区分に応じた修正動作を行うので、ゲージング動作が停止する率が低減し、ワークの加工が継続される率が向上する。
それにより、生産効率が向上し、特に、夜間の自動運転が安定して行えるので生産効率向上は顕著となる。
また、区分した異常原因を履歴として残すので、自動運転中のリトライを経て生じたアラームによる装置停止を解消して復帰させる作業において、作業者は、リトライの経緯やチェックすべき項目が容易に限定的に把握できるので、復帰に要する時間が短縮できる。
また、残された履歴から、発生頻度が高い異常が認められる場合は、装置固有の問題が生じていることが予測できるので、それに応じた的確なメンテナンスを行うことができる。
【0036】
本発明の実施例は、上述した構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において更に別の変形例としてもよい。
【0037】
実施例のゲージング装置が適用できる加工装置は、上述の曲げ加工装置に限定されない。
区分は上述した三つに限定されない。また、各区分における修正動作は、上述した動作に限定されない。
区分の種類や修正動作の内容は、加工の種類及び内容、ワークの材質及び形状、金型の形状、ロボットハンド装置の動作の自由度等において、最適な区分を設定し、その区分それぞれに応じた最適な修正動作を最適な移動量で実行するように適宜設定できる。