【実施例1】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る電動リニアアクチュエータの第1の実施形態を示す縦断面図、
図2は、
図1のアクチュエータ本体を示す縦断面図、
図3は、
図1の中間歯車部を示す要部拡大図、
図4は、
図3の変形例を示す要部拡大図、
図5は、
図1の第2のハウジングを示す正面図、
図6(a)は、
図5のスリーブを示す正面図、(b)は、(a)の側面図、(c)は、スリーブの変形例を示す斜視図、
図7は、
図1の第2のハウジングを示す縦断面図、
図8は、同上斜視図である。
【0028】
この電動リニアアクチュエータ1は、
図1に示すように、円筒状のハウジング2と、このハウジング2に取り付けられた電動モータ(図示せず)と、この電動モータのモータ軸3aに取付けられた入力歯車3に噛合する中間歯車4と、この中間歯車4に噛合する出力歯車5とからなる減速機構6と、この減速機構6を介して電動モータの回転運動を駆動軸7の軸方向の直線運動に変換するボールねじ機構8と、このボールねじ機構8を備えたアクチュエータ本体9とを備えている。
【0029】
ハウジング2はA6063TEやADC12等のアルミ合金からなり、第1のハウジング2aと、その端面に衝合された第2のハウジング2bとからなり、固定ボルト(図示せず)によって一体に固定されている。第1のハウジング2aには電動モータが取り付けられると共に、これら第1のハウジング2aと第2のハウジング2bの衝合部には、ねじ軸10を収容するための袋孔11、12が形成されている。
【0030】
電動モータのモータ軸3aは、その端部に入力歯車3が圧入により相対回転不能に取り付けられ、第2のハウジング2bに装着された深溝玉軸受からなる転がり軸受13によって回転自在に支持されている。平歯車からなる中間歯車4に噛合する出力歯車5は、後述するボールねじ機構8を構成するナット18にキー14を介して一体に固定されている。
【0031】
駆動軸7は、ボールねじ機構8を構成するねじ軸10と一体に構成され、この駆動軸7の一端部(図中右端部)に係止ピン15が植設されている。また、第2のハウジング2bの袋孔12には後述するスリーブ17が嵌合されている。このスリーブ17は第2のハウジング2bの袋孔12に装着された止め輪16により軸方向に位置決め固定されている。そして、スリーブ17の周方向に対向する位置に軸方向に形成された凹溝17a、17aにねじ軸10の係止ピン15が係合され、ねじ軸10が、回転不可に、かつ軸方向移動可能に支持されている。
【0032】
係止ピン15は、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼あるいはSCr435等の浸炭軸受鋼で形成され、その表面には、炭素含有量0.80wt%以上、58HRC以上の浸炭窒化層が形成されている。なお、係止ピン15に針状ころ軸受に使用される針状ころを適用することにより、58HRC以上の表面硬さが得られ、耐摩耗性が優れていると共に、入手性が良く、低コスト化を図ることができる。
【0033】
本実施形態では、止め輪16は先端がテーパ状に形成されている。これにより、止め輪溝への装着時に止め輪16がスリーブ17の端面に当接しながらスリーブ17を反対側(図中右側)に押圧するため、軸方向にガタなくスリーブ17を位置決め固定することができる。
【0034】
ボールねじ機構8は、
図2に拡大して示すように、ねじ軸10と、このねじ軸10にボール19を介して外挿されたナット18とを備えている。ねじ軸10は、外周に螺旋状のねじ溝10aが形成されている。一方、ナット18は、ねじ軸10に外挿されると共に、内周にねじ軸10のねじ溝10aに対応する螺旋状のねじ溝18aが形成され、これらねじ溝10a、18aとの間に多数のボール19が転動自在に収容されている。そして、ナット18は、ハウジング2a、2bに対して、2つの支持軸受20、20を介して回転自在に、かつ軸方向移動不可に支承されている。21は、ナット18のねじ溝18aを連結して循環部材を構成する駒部材で、この駒部材21によって多数のボール19が無限循環することができる。
【0035】
各ねじ溝10a、18aの断面形状は、サーキュラアーク形状であってもゴシックアーク形状であっても良いが、ここではボール19との接触角が大きくとれ、アキシアルすきまが小さく設定できるゴシックアーク形状に形成されている。これにより、軸方向荷重に対する剛性が高くなり、かつ振動の発生を抑制することができる。
【0036】
ナット18はSCM415やSCM420等の肌焼き鋼からなり、真空浸炭焼入れによってその表面に55〜62HRCの範囲に硬化処理が施されている。これにより、熱処理後のスケール除去のためのバフ加工等を省略することができ、低コスト化を図ることができる。一方、ねじ軸10はS55C等の中炭素鋼あるいはSCM415やSCM420等の肌焼き鋼からなり、高周波焼入れ、あるいは浸炭焼入れによってその表面に55〜62HRCの範囲に硬化処理が施されている。
【0037】
ナット18の外周面18bには減速機構6を構成する出力歯車5が一体に固定されると共に、この出力歯車5の両側に2つの支持軸受20、20が所定のシメシロを介して圧入されている。これにより、駆動軸7からスラスト荷重が負荷されても支持軸受20、20と出力歯車5の軸方向の位置ズレを防止することができる。また、2つの支持軸受20、20は、両端部にシールド板20a、20aが装着された密封型の深溝玉軸受で構成され、軸受内部に封入された潤滑グリースの外部への漏洩と、外部から摩耗粉等が軸受内部に侵入するのを防止している。
【0038】
また、本実施形態では、ナット18を回転自在に支持する支持軸受20が同じ仕様の深溝玉軸受で構成されているので、前述した駆動軸7からスラスト荷重および出力歯車5を介して負荷されるラジアル荷重の両方を負荷することができると共に、組立時に誤組み防止のための確認作業を簡便化することができ、組立作業性を向上させることができる。なお、同一仕様の転がり軸受とは、軸受の内径、外径、幅寸法をはじめ、転動体サイズ、個数および軸受内部すきま等が同一なものを言う。
【0039】
また、ここでは、一対の支持軸受20、20のうち一方の支持軸受20がリング状の弾性部材からなるワッシャ27を介して第1のハウジング2aに装着されている。このワッシャ27は、強度や耐摩耗性が高いオーステナイト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS304系等)、あるいは防錆処理された冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC系等)からプレス加工にて形成されたウェーブワッシャからなる。そして、その内径Dが支持軸受20の内輪外径dよりも大径に形成されている。これにより、一対の支持軸受20、20の軸方向ガタをなくすことができ、円滑な回転性能を得ることができると共に、ワッシャ27が、支持軸受20の外輪のみに当接し、回転輪となる内輪とは干渉しないため、逆スラスト荷重が生じてナット18が第1のハウジング2a側に押し付けられても支持軸受20の内輪がハウジング2aに当接して摩擦力が上昇するのを防止し、ロック状態になるのを確実に防止することができる。
【0040】
ここで、
図3に示すように、歯車軸22は第1、第2のハウジング2a、2bに植設され、中間歯車4は、転がり軸受23を介してこの歯車軸22に回転自在に支承されている。歯車軸22の端部のうち、例えば、第1のハウジング2a側の端部を圧入する場合、第2のハウジング2b側の端部をすきまばめに設定することにより、ミスアライメント(組立誤差)を許容して円滑な回転性能を確保することができる。本実施形態では、転がり軸受23は、中間歯車4の内径4aに圧入される鋼板プレス製の外輪24と、保持器25を介して外輪24に転動自在に収容された複数の針状ころ26とを備えた、所謂シェル型の針状ころ軸受で構成されている。これにより、入手性が高く、低コスト化を図ることができる。
【0041】
また、中間歯車4の両側にはリング状のワッシャ28、28が装着され、中間歯車4が直接第1、第2のハウジング2a、2bに接触するのを防止している。ここで、中間歯車4の歯部4bの幅が歯幅よりも小さく形成されている。これにより、ワッシャ28との接触面積を小さくすることができ、回転時の摩擦抵抗を抑えて円滑な回転性能を得ることができる。ここで、ワッシャ28は、強度や耐摩耗性が高いオーステナイト系ステンレス鋼板、あるいは防錆処理された冷間圧延鋼板からプレス加工にて形成された平ワッシャからなる。なお、これ以外にも、例えば、黄銅や焼結金属、または、GF(グラス繊維)等の繊維状強化材が所定量充填されたPA(ポリアミド)66等の熱可塑性の合成樹脂で形成されていても良い。
【0042】
さらに、転がり軸受23の幅が中間歯車4の歯幅よりも小さく設定されている。これにより、摩擦による軸受側面の摩耗や変形を防止することができ、円滑な回転性能を得ることができる。
【0043】
図4に、
図3の変形例を示す。歯車軸22は第1、第2のハウジング2a、2bに植設され、中間歯車29は、滑り軸受30を介してこの歯車軸22に回転自在に支承されている。本実施形態では、中間歯車29は、歯部29bの幅が歯幅と同一に形成されると共に、滑り軸受30は、中間歯車29の内径29aに圧入され、グラファイト微粉末を添加した多孔質金属からなる含油軸受(NTN商品名;ベアファイト(登録商標))で構成されている。そして、中間歯車29の歯幅よりも大きく設定されている。これにより、ワッシャを装着しなくても中間歯車29が第1、第2のハウジング2a、2bに接触して摩耗するのを防止し、回転時の摩擦抵抗を抑えて円滑な回転性能を得ることができると共に、部品点数増加を抑えて低コスト化を図ることができる。なお、滑り軸受30は、これ以外にも、例えば、射出成形を可能にした熱可塑性ポリイミド樹脂で形成されていても良い。
【0044】
図5に示すように、ねじ軸10を回転不可に、かつ軸方向移動可能に支持するスリーブ17は、第2のハウジング2bの袋孔12に嵌合されている。このスリーブ17はS55C等の中炭素鋼あるいはSCM415やSCM420等の肌焼き鋼から冷間圧造法によって形成され、高周波焼入れ、あるいは浸炭焼入れによってその表面に55〜62HRCの範囲に硬化処理が施されている。これにより、量産性が向上し、低コストを図ることができる。そして、
図6(a)(b)に示すように、一端部に大径部31と、この大径部31から軸方向に延びる円筒部32とからなる。大径部31には対向する平坦部31a、31aが設けられ、この平坦部31aの略中央に軸方向に延びる凸条33が僅かに突出して形成されている。
【0045】
一方、スリーブ17を嵌合する第2のハウジング2bの袋孔12には、スリーブ17の平坦部31aに対応するフラット面34、34がアルミダイカスト法によって形成されている。これにより、量産性が向上し、低コストを図ることができる。そして、フラット面34にスリーブ17の平坦部31aが軽圧入されることにより、ガタなくスリーブ17の回り止めを行うことができる(
図5参照)。なお、ここでは、スリーブ17の平坦部31aおよび第2のハウジング2bのフラット面34を対向配置したものを例示したが、基本的には一箇所でスリーブ17の回り止めを行うことができる。
【0046】
また、スリーブ17の強度・剛性を確保するため、
図6(a)に示すように、凹溝17aは平坦部31aと90°位相をずらせた位置に形成されている。さらに、凸条33は平坦部31aに一箇所に限らず2〜3箇所に形成しても良い。これにより、圧入性や圧入部の経時的な摩耗による許容ガタツキ量の適正化を図ることができる。
【0047】
図6(c)に前述したスリーブ17の変形例を示す。このスリーブ35はS55C等の中炭素鋼あるいはSCM415やSCM420等の肌焼き鋼から冷間圧造法によって一体に形成され、一端部に大径部36と、この大径部36から軸方向に延びる円筒部37とを備え、内周には対向する位置に軸方向に延びる凹溝17a、17aが形成されている。そして、これら凹溝17a、17aの外径側に、軸方向に延び、断面が半円状で、端部が半球状の突起部38、38が形成されている。
【0048】
一方、
図7および
図8に示すように、このスリーブ35が嵌合される第2のハウジング2b’の袋孔39は、スリーブ35の突起部38、38に係合する円弧状断面からなる凹み部40、40が形成されている。これら凹み部40、40の曲率半径はスリーブ35の突起部38の曲率半径よりも小さくなるように設定されている。これにより、ガタなくスリーブ35の回り止めを行うことができる。
【0049】
さらに、本実施形態では、第2のハウジング2b’の袋孔39には、すり鉢状に遷移し、凹み部40の溝幅に集束する案内部41(図中ハッチングにて示す)が形成されている。この案内部41により、組立時、位置決め治具等の特別な組立装置を配設しなくても、スリーブ35を第2のハウジング2b’の袋孔39にスムーズに精度良く圧入することができ、組立作業性を向上させることができる。
【実施例2】
【0050】
図9は、本発明に係る電動リニアアクチュエータの第2の実施形態を示す縦断面図、
図10(a)は、
図9のスリーブ単体を示す正面図、(b)は、(a)のX−X線に沿った縦断面図、
図11は、
図9のXI−XI線に沿った横断面図、
図12は、
図10のスリーブの変形例で、(a)はスリーブの正面図、(b)は、(a)のXII−XII線に沿った横断面図、(c)は、スリーブの背面図、
図13(a)は、
図12のスリーブの底板を示す正面図、(b)は、(a)のXIII−XIII線に沿った横断面図、(c)は、底板の背面図、
図14は、
図10のスリーブの他の変形例で、(a)は、
図10のスリーブの他の変形例を示す正面図、(b)は、(a)の側面図である。なお、この実施形態は前述した実施形態(
図1)と基本的にはスリーブの構成が異なるだけで、その他前述した実施形態と同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部品や部位には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0051】
この電動リニアアクチュエータは、
図9に示すように、円筒状のハウジング2と、このハウジング2に取り付けられた電動モータ(図示せず)と、この電動モータのモータ軸3aに取付けられた入力歯車3に噛合する中間歯車4と、この中間歯車4に噛合する出力歯車5とからなる減速機構6と、この減速機構6を介して電動モータの回転運動を駆動軸7の軸方向の直線運動に変換するボールねじ機構8と、このボールねじ機構8を備えたアクチュエータ本体9とを備えている。
【0052】
駆動軸7は、ボールねじ機構8を構成するねじ軸10と一体に構成され、この駆動軸7の一端部に係止ピン15、15が植設されている。また、第2のハウジング2bの袋孔12には後述するスリーブ42が嵌合されている。そして、スリーブ42の周方向に対向する位置に軸方向に形成された凹溝17a、17aにねじ軸10の係止ピン15、15がそれぞれ係合され、ねじ軸10が、回転不可に、かつ軸方向移動可能に支持されている。
【0053】
本実施形態では、第2のハウジング2bの袋孔12の開口部に環状溝43が形成され、この環状溝43に装着された穴用の止め輪44によってスリーブ42の軸方向の抜け止めがなされている。好ましくは、冷間圧延鋼板からプレス加工にて形成されたウェーブワッシャでスリーブ42の端面を押圧するようにすれば、スリーブ42の軸方向のガタを防止することができる。
【0054】
ここで、スリーブ42は、金属粉末を可塑状に調整し、射出成形機で成形される焼結合金からなる。この射出成形に際しては、まず、金属粉と、プラスチックおよびワックスからなるバインダとを混練機で混練し、その混練物をペレット状に造粒する。造粒したペレットは、射出成形機のホッパに供給し、金型内に加熱溶融状態で押し込む、所謂MIM(Metal Injection Molding)により成形されている。こうしたMIMによって成形される焼結合金であれば、加工度が高く複雑な形状であっても容易に、かつ精度良く所望の形状・寸法に成形することができる。
【0055】
前記金属粉として、後に浸炭焼入が可能な材質、例えば、C(炭素)が0.13wt%、Ni(ニッケル)が0.21wt%、Cr(クロム)が1.1wt%、Cu(銅)が0.04wt%、Mn(マンガン)が0.76wt%、Mo(モリブデン)が0.19wt%、Si(シリコン)が0.20wt%、残りがFe(鉄)等からなるSCM415を例示することができる。スリーブ42は、浸炭焼入れおよび焼戻し温度を調整して行われる。また、スリーブ42の材料としてこれ以外にも、Niが3.0〜10.0wt%含有し、加工性、耐食性に優れた材料(日本粉末冶金工業規格のFEN8)、あるいは、Cが0.07wt%、Crが17wt%、Niが4wt%、Cuが4wt%、残りがFe等からなる析出硬化系ステンレスSUS630であっても良い。このSUS630は、固溶化熱処理で20〜33HRCの範囲に表面硬さを適切に上げることができ、強靭性と高硬度を確保することができる。
【0056】
ねじ軸10を回転不可に、かつ軸方向移動可能に支持するスリーブ42は、第2のハウジング2bの袋孔12に嵌合されるが、このスリーブ42は、
図10に示すように、カップ状に形成され、袋孔12の底部に密着するまで嵌合される底部45を有し、内周には対向する位置に軸方向に延び、係止ピン(図示せず)が係合する凹溝17a、17aが研削加工によって形成されている。そして、外周には対向する位置に平坦面46、46が形成されている。なお、この平坦面46は凹溝17aと略直交する位置に形成されている。これにより、スリーブ42自体の強度を確保することができる。
【0057】
ここで、
図11に示すように、第2のハウジング2bの袋孔12には、スリーブ42の平坦面46、46に対応して平面部47、47が形成されている。そして、この平面部47とスリーブ42の平坦面46が嵌合することによって、スリーブ42の回り止めがなされている。これにより、スリーブ42の形状が簡素化でき、軽量化を図りつつ、加工工数の削減による低コスト化ができると共に、第2のハウジング2bの損傷と摩耗の低減を図ると共に、耐久性と強度を高めて信頼性の向上を図った電動リニアアクチュエータを提供することができる。なお、ここでは、スリーブ42の平坦面46は対向する2面とされているが、負荷されるトルクによって1面であっても良い。なお、止め輪44によってスリーブ42の軸方向の抜け止めがなされている(
図9参照)。
【0058】
図12は、前述したスリーブ42(
図10)の変形例で、このスリーブ48はカップ状に形成され、円筒状のスリーブ本体49と、このスリーブ本体49の一端部に嵌着される底板50とで構成されている。そして、第2のハウジング2bの袋孔12の底部に密着するまで嵌合されている。また、スリーブ本体49の外周には対向する位置に平坦面51、51が形成されている。なお、この平坦面51は凹溝17a、17aと略直交する位置に形成されている。これにより、薄肉となる部分をなくし、スリーブ48自体の強度を確保することができると共に、2体構造によりスリーブ48の構造が簡素化され、量産性が一段と向上する。なお、このスリーブ48も前述したスリーブ42と同様、止め輪44によって軸方向の抜け止めがなされているが、本実施形態においても、スリーブ48と止め輪44との接触面が円形に形成されているため、止め輪44の位相に関わらず、常に止め輪44によってスリーブ48を均一に押圧する状態が維持でき、軸方向にガタなく安定してスリーブ48を位置決め固定することができる。
【0059】
スリーブ48の底板50は、
図13に示すように、スリーブ本体49の形状に沿った形状に形成され、スリーブ本体49の端部に嵌合される側面に一対の突起50a、50aが一体に形成されている。これらの突起50a、50aがスリーブ本体49の凹溝17a、17aに係合することにより底板50がスリーブ本体49に嵌着される。
【0060】
図14は、前述したスリーブ42(
図10)の他の変形例で、(a)(b)に示すように、このスリーブ52は、一端部に大径部53と、この大径部53から軸方向に延びる円筒部54とからなる。大径部53には対向する平坦面53a、53aが設けられ、この平坦面53aの略中央に軸方向に延びる凸条55が僅かに突出して形成されている。そして、(a)に示すように、このスリーブ52の強度・剛性を確保するため、凹溝17aは平坦面53aと90°位相をずらせた位置に形成されている。さらに、凸条55は平坦面53aに一箇所に限らず2〜3箇所に形成しても良い。これにより、圧入性や圧入部の経時的な摩耗による許容ガタツキ量の適正化を図ることができる。
【0061】
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。