(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る感光性樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置、及び有機発光表示装置について順に説明する。
なお、本発明において光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波、さらには放射線が含まれ、放射線には、例えばマイクロ波、電子線が含まれる。具体的には、波長5μm以下の電磁波、及び電子線のことをいう。また本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートのいずれかであることを意味する。
【0024】
[感光性樹脂組成物]
本発明に係る感光性樹脂組成物は、下記一般式(I)で表される色材と、分散剤と、多官能チオール化合物と、感光性バインダー成分と、溶剤とを含有することを特徴とする。
【0025】
【化3】
(一般式(I)中、R
I、R
II、R
III、R
IV、R
V及びR
VIは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又はフェニル基を表し、X
−は、(SiMoW
11O
40)
4−/4及び(P
2Mo
yW
18−yO
62)
6−/6の少なくとも1つで表され、y=1、2または3の整数であるヘテロポリオキソメタレートアニオンを表す。)
【0026】
本発明の感光性樹脂組成物は、上記特定の色材と、分散剤と、多官能チオール化合物とを組み合わせて用いることにより、従来のフタロシアニン系顔料よりも高輝度で、かつ、従来のレーキ顔料よりも耐熱性及び耐光性に優れているとともに、上記色材を感光性樹脂組成物に用いた際に生じる特有の問題であった、現像密着性が経時保管後に低下することも抑制することができる。
【0027】
上記特定の組み合わせにより、上記のような効果を発揮する作用としては、未解明の部分もあるが、以下のように推測される。
上記一般式(I)で表される色材は、フタロシアニン系顔料よりも高輝度で、従来のレーキ顔料よりも耐熱性及び耐光性に優れている。しかしながら、一般式(I)で表される色材を用いて調製された感光性樹脂組成物は、後述する比較例1〜3の通り、保存後に用いると、現像密着性が低下して、細線パターンの着色層が現像時に欠損し残存できなくなるという問題があった。比較例1〜3の感光性樹脂組成物は、粘度安定性に優れたものであり、上記現像密着性の低下の問題は、単に分散安定性を改善すれば解決するというものではなかった。現像密着性が低下する理由は未解明であるが、保存中に色材と感光性バインダー成分とが徐々に相互作用することによって、現像時における基板との密着力が徐々に低下するものと推測される。
本発明は、上記一般式(I)で表される色材と、分散剤と、多官能チオール化合物と感光性バインダー成分とを組み合わせて用いた感光性樹脂組成物とすることにより、上記保存中の色材と感光性バインダー成分との相互作用が緩和されるものと推測される。その結果、当該感光性樹脂組成物を長期間保存した後であっても、現像時に当該感光性樹脂組成物を用いて形成されたパターン状の着色層と、基板との密着性が低下しない。
【0028】
本発明の感光性樹脂組成物は、色材と、分散剤と、多官能チオール化合物と、溶剤とを含有するものであり、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて他の成分を含有してもよいものである。
以下、このような本発明に係る感光性樹脂組成物の各成分について順に詳細に説明する。
【0029】
<一般式(I)で表される色材>
本発明においては、下記一般式(I)で表される色材が用いられる。
【0030】
【化4】
(一般式(I)中、R
I、R
II、R
III、R
IV、R
V及びR
VIは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又はフェニル基を表し、X
−は、(SiMoW
11O
40)
4−/4及び(P
2Mo
yW
18−yO
62)
6−/6の少なくとも1つで表され、y=1、2または3の整数であるヘテロポリオキソメタレートアニオンを表す。)
【0031】
一般式(I)で表される色材は、染料をレーキ化した色材であるため、従来の染料と同様に、高輝度化に適している。更に、上記特定のヘテロポリオキソメタレートアニオンを用いているため、従来の色材と比較して耐熱性や耐光性に優れている。
【0032】
上記一般式(I)のR
I〜R
VIの炭素数1〜3のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基などが挙げられる。
【0033】
トリアリールメタン骨格を有するカチオン部分の構造は所望の色度等によって適宜選択すればよい。中でも、高輝度及び高コントラストを達成しやすい点からは、従来公知のトリアリールメタン系染料のカチオン部分と同様の構造を有することが好ましい。具体例としては、例えば、一般式(I)において、R
I〜R
Vがエチル基で、R
VIが水素原子であるベーシックブルー7、R
I〜R
IVがメチル基、R
Vがフェニル基、R
VIが水素原子であるベーシックブルー26、R
I〜R
IVがメチル基、R
Vがエチル基、R
VIが水素原子であるベーシックブルー11、R
I〜R
Vがメチル基、R
VIがフェニル基であるベーシックブルー8等のカチオン部分が挙げられ、高輝度及び高コントラストを達成しやすい点から、中でも、ベーシックブルー7と同様のカチオン部分の構造を有することが好ましい。
【0034】
上記一般式(I)のX
−は、(SiMoW
11O
40)
4−/4及び(P
2Mo
yW
18−yO
62)
6−/6の少なくとも1つで表され、y=1、2または3の整数であるヘテロポリオキソメタレートアニオンである。上記一般式(I)で表される色材におけるX
−としては、(SiMoW
11O
40)
4−/4、又は、(P
2Mo
yW
18−yO
62)
6−/6の1種のみを用いても良いし、(SiMoW
11O
40)
4−/4及び(P
2Mo
yW
18−yO
62)
6−/6の2種以上を混合して用いても良い。
【0035】
(SiMoW
11O
40)
4−/4で表されるヘテロポリオキソメタレートアニオンは、対応するヘテロポリ酸、又は対応するヘテロポリオキソメタレートアルカリ金属塩として、例えば、Journal of American Chemical Society, 104(1982) p3194に記載の方法に従って得ることができる。具体的には、硝酸水溶液とモリブデン酸アルカリ金属塩水溶液を混合攪拌し、これにK
8(α型SiW
11O
39)を加え、2〜6時間攪拌することでヘテロポリ酸を得ることができる。更に、得られたヘテロポリ酸をアルカリ金属塩化物と反応させることにより、ヘテロポリオキソメタレートアルカリ金属塩とすることができる。
【0036】
また、(P
2Mo
yW
18−yO
62)
6−/6で表されるヘテロポリオキソメタレートアニオンは、対応するヘテロポリ酸、又は対応するヘテロポリオキソメタレートアルカリ金属塩として、例えば、Inorganic Chemistry, vol47, p3679に記載の方法に従って得ることができる。具体的には、タングステン酸アルカリ金属塩とモリブデン酸アルカリ金属塩とを、水に溶解させ、これにリン酸を加え、加熱攪拌しながら5〜10時間加熱還流することで得ることでヘテロポリ酸を得ることができる。更に、得られたヘテロポリ酸をアルカリ金属塩化合物と反応させることによりヘテロポリオキソメタレートアルカリ金属塩とすることができる。なお、上記タングステン酸アルカリ金属塩とモリブデン酸アルカリ金属塩の仕込み量を適宜調整することにより、上記ヘテロポリオキソメタレートアニオンにおけるモリブデンの数yを1〜3の範囲に調整することができる。
【0037】
また、モリブデン酸アルカリ金属塩を水に溶解させ、これに塩酸を加え、次いでK
10(α2型P
2W
17O
61)のような、α2型の欠損ドーソン型リンタングステン酸アルカリ金属塩を加えて、10〜30℃にて、30分〜2時間攪拌することで、yに分布のないP
2Mo
1W
17O
62のみを得ることもできる。
【0038】
ヘテロポリオキソメタレートアルカリ金属塩としては、例えば、K
4(SiMoW
11O
40)、K
6(P
2MoW
17O
62)、K
6(P
2Mo
2W
16O
62)、K
6(P
2Mo
3W
15O
62)などが挙げられる。
【0039】
得られたヘテロポリオキソメタレートアニオンに対応するヘテロポリ酸、又はヘテロポリオキソメタレートアルカリ金属塩と、所望の構造を有する染料とを塩置換することにより、上記一般式(I)で表される色材を得ることができる。塩置換の反応収率が高い点から、ヘテロポリ酸よりも、ヘテロポリオキソメタレートアルカリ金属塩を用いることが好ましい。
【0040】
上記一般式(I)で表される色材は、結晶水を持つ水和物であってもよく、無水物であってもよい。また、上記一般式(I)で表される色材は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
本発明に用いられる上記一般式(I)で表される色材の平均一次粒径としては、カラーフィルタの着色層とした場合に、所望の発色が可能なものであればよく、適宜設定すればよい。中でも、10〜200nmの範囲内であることが好ましく、10〜100nmであることがより好ましい。色材の平均一次粒径が上記範囲であることにより、本発明感光性樹脂組成物を用いて製造されたカラーフィルタを備えた表示装置を高コントラストで、かつ高品質なものとすることができる。また従来の色材と比較して、耐熱性や耐光性に優れていることから、色材の粒径の微小化に伴う、耐熱性や耐光性の問題を生じる恐れが少ない。本発明においては、特に、後述する分散剤と組み合わせて用いることにより、分散性や分散安定性に優れているうえ、耐熱性も向上するものであるため、該色材の平均粒径が上記範囲に示すように、従来に比べ微小であるほど、本発明の感光性樹脂組成物が有する特徴を発揮することができる。
なお、上記色材の平均粒径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、個々の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、その平均をその粒子の粒径とした。次に100個以上の粒子についてそれぞれ粒子の体積(重量)を、求めた粒径の直方体と近似して求め、体積平均粒径として求めそれを平均粒径とした。なお、電子顕微鏡は透過型(TEM)又は走査型(SEM)のいずれを用いても同じ結果を得ることができる。
【0042】
<分散剤>
本発明において分散剤は、公知の分散剤の中から適宜選択して用いることができる。分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。界面活性剤の中でも、均一に、微細に分散し得る点から、高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。
【0043】
高分子分散剤としては、例えば、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、変性ポリエステル、変性ポリアミド等の高分子分散剤を挙げることができる。具体的には、ポリアクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体類;ポリアクリル酸等の不飽和カルボン酸の(共)重合体の(部分)アミン塩、(部分)アンモニウム塩や(部分)アルキルアミン塩類;アミノ基を有するポリアクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体、当該重合体のアミノ基の(部分)酸変性物;水酸基含有ポリアクリル酸エステル等の水酸基含有不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体やそれらの変性物;ポリウレタン類;不飽和ポリアミド類;ポリシロキサン類;長鎖ポリアミノアミドリン酸塩類;ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離カルボキシル基含有ポリエステルとの反応により得られるアミドやそれらの塩類等を挙げることができる。このような高分子分散剤の市販品としては、EFKA−4046、EFKA−4047、EFKAポリマー10、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー4300、EFKAポリマー4310、EFKAポリマー4320、EFKAポリマー4330(以上、BASFジャパン(株)製)、Disperbyk111、Disperbyk161、Disperbyk165、Disperbyk167、Disperbyk182、Disperbyk2000、Disperbyk2001、BYK−LPN6919、BYK−LPN21116(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)、SOLSPERSE24000、SOLSPERSE27000、SOLSPERSE28000(以上、ルーブリゾール社製)、アジスパー(登録商標)PB821、PB822(味の素ファインテクノ(株)製)等が挙げられる。
【0044】
高分子分散剤の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で500〜100,000の範囲が好ましく、より好ましくは1,000〜30,000である。重量平均分子量が500以上であれば分散安定性が向上し、100,000以下、より好ましくは30,000以下であれば、現像性、解像性が向上する。
【0045】
高分子分散剤としては、中でも、前記一般式(I)で表される色材の分散性、及び分散安定性に優れる点から、窒素原子を有する高分子分散剤が好ましく、中でも、アミン又はアンモニウム塩を有する高分子分散剤がより好ましい。
【0046】
アミン又はアンモニウム塩を有する高分子分散剤を用いる場合、アミン価は、分散液の安定性の観点から、200mgKOH/g以下の範囲が好ましく、50〜180mgKOH/gの範囲がより好ましく、70〜170mgKOH/gの範囲が更に好ましい。アミン価が前記範囲であると、前記一般式(I)で表される色材に対して分散剤のアミン部の吸着量が適切となり、分散安定性が良好となる。
なお、本発明においてアミン価とは、固形分1gを中和するのに必要な塩酸量に対して当量となる水酸化カリウム(KOH)の重量(mg)を表し、JIS K7237に記載の方法により測定することができる。
また、アミン又はアンモニウム塩を有する高分子分散剤を用いる場合、アミン又はアンモニウム塩は、側鎖、又は樹脂末端に存在するものが好ましい。
【0047】
アミン又はアンモニウム塩を有する高分子分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸等の不飽和カルボン酸の(共)重合体の(部分)アミン塩、(部分)アンモニウム塩や(部分)アルキルアミン塩類;ポリウレタン類;不飽和ポリアミド類;ポリエチレンイミン誘導体;ポリアリルアミン誘導体等が挙げられる。
【0048】
本発明において用いられる分散剤としては、分子内に顔料吸着部位と溶剤親和部位が機能分離されたブロック共重合体タイプもしくはグラフト共重合体(櫛型)タイプの高分子分散剤が、分散性の点から好ましい。
【0049】
<多官能チオール化合物>
本発明の感光性樹脂組成物において多官能チオール化合物は、1分子内にチオール基を2個以上有する化合物である。
本発明の感光性樹脂組成物においては、前記一般式(I)で表される色材と、当該多官能チオール化合物を組み合わせて用いることにより、感光性樹脂組成物の経時的な劣化を防ぎ、長期間保存後であっても、現像性や現像密着性に優れている。
【0050】
多官能チオール化合物は、1分子内にチオール基を2個以上有する公知の化合物の中から適宜選択して用いることができる。本発明の感光性樹脂組成物において、多官能チオール化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多官能チオール化合物の具体例としては、例えば、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−へキサンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、デカンジチオール、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビスチオグリコレート、1,4−ブタンジオールジチオグリコレート、1,4−ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(3−メルカプトプロピオネート)、その他、種々の多価アルコールとチオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸等のチオール基含有カルボン酸とのエステル、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。
【0051】
多官能チオール化合物は、チオール基に対してα位及び/またはβ位の炭素原子に置換基を有する多官能チオール化合物であっても良い。このような具体例としては、例えば、2,5−ヘキサンジチオール、2,9−デカンジチオール、1,4−ビス(1−メルカプトエチル)ベンゼン、フタル酸ジ(1−メルカプトエチルエステル)、フタル酸ジ(2−メルカプトプロピルエステル)、フタル酸ジ(3−メルカプトブチルエステル)、フタル酸ジ(3−メルカプトイソブチルエステル)などが例示できる。
【0052】
また、エチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、プロピレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、オクタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(2−メルカプトプロピオネート)、プロピレングリコールビス(2−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトプロピオネート)、ブタンジオールビス(2−メルカプトプロピオネート)、オクタンジオールビス(2−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2−メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトイソブチレート)、プロピレングリコールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、オクタンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトイソブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトイソブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトイソブチレート)、エチレングリコールビス(2−メルカプトイソブチレート)、プロピレングリコールビス(2−メルカプトイソブチレート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(2−メルカプトイソブチレート)、オクタンジオールビス(2−メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトイソブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトイソブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2−メルカプトイソブチレート)、エチレングリコールビス(4−メルカプトバレレート)、プロピレングリコールビス(4−メルカプトイソバレレート)、ジエチレングリコールビス(4−メルカプトバレレート)、ブタンジオールビス(4−メルカプトバレレート)、オクタンジオールビス(4−メルカプトバレレート)、トリメチロールプロパントリス(4−メルカプトバレレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(4−メルカプトバレレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(4−メルカプトバレレート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトバレレート)、プロピレングリコールビス(3−メルカプトバレレート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトバレレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトバレレート)、オクタンジオールビス(3−メルカプトバレレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトバレレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトバレレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトバレレート)等が例示される。
【0053】
本発明においては、多官能チオール化合物が、チオール基が結合する炭素原子が第2級炭素原子である2級チオール基を有する多官能2級チオール化合物であることが好ましい。2級チオールは、1級チオールと比較して、反応性が低いため、後述する感光性バインダー成分等、感光性樹脂組成物中の各成分との反応が進行しにくく、感光性樹脂組成物の保存安定性に優れるからである。
【0054】
また、前記多官能チオール化合物は、下記一般式(II)で表される多官能チオール化合物であることが、感光性樹脂組成物とした時の安定性と反応性、臭気の点から好ましい。
【0055】
【化5】
(一般式(II)中、R
1は、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、R
2は、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Qは水酸基数2〜6の多価アルコールの残基を示し、nは2〜6の整数である。)
【0056】
一般式(II)において、R
1は、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基である。中でも、感光性樹脂組成物の保存安定性の点から、R
1が、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、炭素数が1〜3のアルキル基であることがより好ましい。
【0057】
炭素数1〜6のアルキル基は、直鎖、分岐、又は環状のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、などを挙げることができる。また、炭素数1〜6のアルキレン基としては、直鎖、又は分岐のアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、各種ブチレン基、各種ペンチレン基、各種ヘキシレン基などを挙げることができる。
【0058】
また、Qは、特定のチオール基含有カルボン酸とのエステルを形成している多価アルコールの残基である。ここで用いられる多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が例示されるがこれらに限定されるものではない。pは、特定のチオール基含有カルボン酸と多価アルコールのエステルの数を表し、水酸基数2〜6の多価アルコールの残基の水酸基数に対応した2〜6の整数である。
【0059】
本発明に用いられる多官能チオール化合物において、1分子中のチオール基の数は、3個以上であることが好ましく、更に、3〜6個であることが、感光性樹脂組成物の保存安定性に優れ、現像性及び密着性に優れる点から好ましい。
【0060】
本発明に用いられる多官能チオール化合物としては、中でも、ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)(BDTP)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)(TMTP)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(PETP)、トリス (2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリス(3−メルカプトプロピオネート)(THEIC−BMPA)、ペンタエリスリトールテトラ(3−メルカプトブチレート)(PTMP)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)(TPMB)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)(TEMB)、ペンタエリスリトールテトラキス−(3−メルカプトプロピオネート)(PEMP)等のメルカプトアルキレート誘導体;エチレングリコールビスチオグリコレート(EGTG)、ブタンジオールビスチオグリコレート(BDTG)、ヘキサンジオールビスチオグリコレート(HDTG)、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート(TMTG)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート(PETG)等のチオグリコール酸誘導体; 1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、が保存安定性、反応性、臭気による作業性の点から好ましいがこの限りではない。
【0061】
<感光性バインダー成分>
本発明の感光性樹脂組成物は、感光性バインダー成分を含有する。本発明における感光性バインダー成分としては、通常、ネガ型感光性バインダー成分が用いられる。
上記ネガ型感光性バインダー成分としては、アルカリ可溶性樹脂と、多官能モノマーと、光開始剤を少なくとも含有する系が好適に用いられる。以下、アルカリ可溶性樹脂と、多官能モノマーと、光開始剤について、具体的に説明する。
【0062】
(アルカリ可溶性樹脂)
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂はカルボキシル基を有するものであり、バインダー樹脂として作用し、かつパターン形成する際に用いられる現像液、特に好ましくはアルカリ現像液に可溶性である限り、適宜選択して使用することができる。
本発明における好ましいアルカリ可溶性樹脂は、カルボキシル基を有する樹脂であり、具体的には、カルボキシル基を有するアクリル系共重合体、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。これらの中で特に好ましいものは、側鎖にカルボキシル基を有するとともに、さらに側鎖にエチレン性不飽和基等の光重合性官能基を有するものである。光重合性官能基を含有することにより形成される硬化膜の膜強度が向上するからである。また、これらアクリル系共重合体、及びエポキシアクリレート樹脂は、2種以上混合して使用してもよい。
【0063】
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーとエチレン性不飽和モノマーを共重合して得られる。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更に芳香族炭素環を有する構成単位を含有していてもよい。芳香族炭素環はカラーフィルタ用着色樹脂組成物に塗膜性を付与する成分として機能する。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更にエステル基を有する構成単位を含有していてもよい。エステル基を有する構成単位は、カラーフィルタ用着色樹脂組成物のアルカリ可溶性を抑制する成分として機能するだけでなく、溶剤に対する溶解性、さらには溶剤再溶解性を向上させる成分としても機能する。
【0064】
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2,2’−オキシビス(メチレン)ビス−2−プロペノエート、スチレン、γ−メチルスチレン、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどの中から選ばれる1種以上と、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、アクリル酸の二量体(例えば、東亞合成(株)製M−5600)、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの無水物の中から選ばれる1種以上とからなるコポリマーを例示できる。また、上記のコポリマーに、例えばグリシジル基、水酸基等の反応性官能基を有するエチレン性不飽和化合物を付加させるなどして、エチレン性不飽和結合を導入したポリマー等も例示できるが、これらに限定されるものではない。
これらの中で、コポリマーにグリシジル基又は水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を付加等することにより、エチレン性不飽和結合を導入したポリマー等は、露光時に、後述する多官能モノマーと重合することが可能となり、着色層がより安定なものとなる点で、特に好適である。
【0065】
カルボキシル基含有共重合体におけるカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの共重合割合は、通常、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%である。この場合、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの共重合割合が5重量%未満では、得られる塗膜のアルカリ現像液に対する溶解性が低下し、パターン形成が困難になる。また、共重合割合が50重量%を超えると、アルカリ現像液による現像時に、形成されたパターンの基板からの脱落やパターン表面の膜荒れを来たしやすくなる傾向がある。
【0066】
カルボキシル基含有共重合体の酸価としては、30〜150mgKOH/gであることが好ましい。本発明において酸価とは、重合体の固形分1g中に含まれる酸成分を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数をいい、JIS−K0070に定義された方法により測定することができる。
カルボキシル基含有共重合体の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜50,000の範囲であり、さらに好ましくは4,000〜25,000である。1,000未満では硬化後のバインダー機能が著しく低下し、50,000を超えるとアルカリ現像液による現像時に、パターン形成が困難となる場合がある。ここでいう重量平均分子量とは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算値として求めたものである。
【0067】
カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、特に限定されるものではないが、エポキシ化合物と不飽和基含有モノカルボン酸との反応物を酸無水物と反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート化合物が適している。
エポキシ化合物としては、特に限定されるものではないが、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、またはビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物などのエポキシ化合物が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0068】
不飽和基含有モノカルボン酸としては、例えば(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、β−フルフリルアクリル酸、β−スチリルアクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、α−シアノ桂皮酸等が挙げられる。これら不飽和基含有モノカルボン酸は、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0069】
酸無水物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等の二塩基性酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、エンドビシクロ−[2,2,1]−ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物のような多価カルボン酸無水物誘導体等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
このようにして得られるカルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート化合物の重量平均分子量Mwは特に制限されないが、好ましくは1000〜40000、より好ましくは2000〜5000である。
【0070】
本発明の感光性樹脂組成物において用いられるアルカリ可溶性樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、その含有量としては、感光性樹脂組成物に含まれる色材100重量部に対して、通常、10〜1000重量部の範囲内、好ましくは20〜500重量部の範囲内である。アルカリ可溶性樹脂の含有量が少な過ぎると、充分なアルカリ現像性が得られない場合があり、また、アルカリ可溶性樹脂の含有量が多すぎると色材の割合が相対的に低くなって、充分な着色濃度が得られない場合がある。
【0071】
(多官能モノマー)
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物において用いられる多官能モノマーは、後述する光開始剤によって重合可能なものであればよく、特に限定されず、通常、エチレン性不飽和二重結合を2つ以上有する化合物が用いられ、特にアクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有する、多官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0072】
このような多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、アクリル化イソシアヌレート、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジ(メタ)アクリレート、リン酸ジ(メタ)アクリレート、亜鉛ジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0073】
また、三官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、無水コハク酸変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、無水コハク酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ウレタントリ(メタ)アクリレート、エステルトリ(メタ)アクリレート、ウレタンヘキサ(メタ)アクリレート、エステルヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0074】
これらの多官能(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明の感光性樹脂組成物に優れた光硬化性(高感度)が要求される場合には、多官能モノマーが、重合可能な二重結合を3つ(三官能)以上有するものであるものが好ましく、3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物が好ましく、具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのコハク酸変性物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートのコハク酸変性物、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物において用いられる上記多官能モノマーの含有量は、特に制限はないが、上記アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して、通常5〜500重量部程度、好ましくは20〜300重量部の範囲である。多官能モノマーの含有量が上記範囲より少ないと十分に光硬化が進まず、露光部分が溶出する場合があり、また、多官能モノマーの含有量が上記範囲より多いとアルカリ現像性が低下するおそれがある。
【0075】
(光開始剤)
本発明の感光性樹脂組成物において用いられる光開始剤としては、特に制限はなく、従来知られている各種光開始剤の中から、適宜選択して用いることができる。例えばベンゾフェノン、ミヒラーケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、フェナントレン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル類、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メチルフェニル)イミダゾール2量体、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチルオキサジアゾール化合物、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1,3−ブタジエニル)−S−トリアジン、2−トリクロロメチル−4−アミノ−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−ブトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン等のハロメチル−S−トリアジン系化合物、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノン、1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、ベンジル、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(o−アセチルオキシム)、4−ベンゾイル−メチルジフェニルサルファイド、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル) −2−モルフォリノプロパン−1−オンなどが挙げられる。これらの光開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、輝度、耐熱性の点から、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、及び2、4−ジエチルチオキサントンより選択される1種以上を含むことが好ましい。
【0076】
本発明の感光性樹脂組成物において用いられる光開始剤の含有量は、上記多官能モノマー100重量部に対して、通常0.01〜100重量部程度、好ましくは5〜60重量部である。この含有量が上記範囲より少ないと十分に重合反応を生じさせることができないため、着色層の硬度を十分なものとすることができない場合があり、一方上記範囲より多いと、感光性樹脂組成物の固形分中の色材等の含有量が相対的に少なくなり、十分な着色濃度が得られない場合がある。
【0077】
<溶剤>
本発明に用いられる溶剤としては、感光性樹脂組成物中の各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な有機溶剤であればよく、特に限定されるものではない。具体的には、メタノール、エタノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類;および、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル類;などが挙げられる。これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
上記の中でも、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテートおよびジエチレングリコールエチルメチルエーテルが好ましい。
【0078】
<任意添加成分>
本発明の感光性樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じて他の色材や各種添加剤を含むものであってもよい。
【0079】
(他の色材)
色調の制御を目的として必要に応じて他の色材を配合してもよい。他の色材としては、例えば、従来公知の有機顔料および染料を目的に応じて選択することができ、1種又は2種以上用いることができる。
他の色材の具体例としては、例えば、C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38;C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド289等が挙げられる。
【0080】
他の色材を用いる場合、その配合量は、本発明の効果が損なわれない範囲であれば特に限定されない。他の色材の配合量としては、例えば、前記一般式(I)で表される色材と他の色材の重量比が、99:1〜30:70であることが好ましく、99:1〜50:50であることが更に好ましく、90:10〜60:40であることが特に好ましい。この範囲内であれば、一般式(I)で表される色材の有する高透過率の特性を損なうことなく、色調の制御が可能となるからである。
【0081】
(添加剤)
本発明の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、密着促進剤等などが挙げられる。
上記界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類等を挙げることができる。また、その他にもフッ素系界面活性剤も用いることができる。
さらに、可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジル等が挙げられる。消泡剤、レベリング剤としては、例えばシリコン系、フッ素系、アクリル系の化合物等が挙げられる。
【0082】
<感光性樹脂組成物における各成分の配合割合>
一般式(I)で表される色材及び必要に応じて配合される他の色材の合計の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量に対して、5〜65重量%、より好ましくは8〜55重量%の割合で配合することが好ましい。上記下限値以上であれば、感光性樹脂組成物を所定の膜厚(通常は1.0〜5.0μm)に塗布した際の着色層が充分な色濃度を有する。また、上記上限値以下であれば、分散性及び分散安定性に優れると共に、充分な硬度や、基板との密着性を有する着色層を得ることができる。
尚、本発明において固形分は、上述した溶剤以外のもの全てであり、溶剤中に溶解している多官能モノマー等も含まれる。
また、分散剤の含有量としては、色材を均一に分散することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対して1〜50重量部用いることができる。更に、感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対して2〜30重量部の割合で配合するのが好ましく、特に2〜15重量部の割合で配合するのが好ましい。上記下限値以上であれば、色材の分散性及び分散安定性に優れ、保存安定性に優れている。また、上記上限値以下であれば、現像性が良好なものとなる。
多官能チオール化合物の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分100重量部に対して0.01〜10重量部とすることが好ましく、0.1〜5重量部とすることがより好ましい。多官能チオール化合物の含有量が上記下限値以上であれば、長期間保存後であっても感光性樹脂組成物の現像性や密着性の低下が抑制される。また上記上限値以下であれば、多官能チオール化合物と、他の成分との反応が生じにくく、感光性樹脂組成物の保存安定性に優れている。
感光性バインダー成分は、これらの合計量が、感光性樹脂組成物の固形分全量に対して24〜94重量%、好ましくは40〜87重量%の割合で配合するのが好ましい。上記下限値以上であれば、充分な硬度や、基板との密着性を有する着色層を得ることができる。また上記上限値以下であれば、現像性に優れ、熱収縮による微小なシワの発生も抑制される。
また、溶剤の含有量は、着色層を精度良く形成することができる範囲で適宜設定すればよい。該溶剤を含む上記感光性樹脂組成物の全量に対して、通常、65〜95重量%の範囲内であることが好ましく、なかでも75〜88重量%の範囲内であることが好ましい。上記溶剤の含有量が、上記範囲内であることにより、塗布性に優れたものとすることができる。
【0083】
<感光性樹脂組成物の製造方法>
感光性樹脂組成物の製造方法は、前述した一般式(I)で表される色材と、分散剤と、多官能チオール化合物と、感光性バインダー成分と、所望により用いられる各種添加成分とを、溶剤中に均一に溶解又は分散させ得る方法であればよく、特に制限されず、公知の混合手段を用いて混合することにより、調製することができる。
当該樹脂組成物の調製方法としては、例えば(1)溶剤中に、一般式(I)で表される色材及び分散剤を添加し、分散機を用いて分散させることによって、色材分散液を調製し、一方で、別の溶剤中にアルカリ可溶性樹脂と、多官能モノマーと、光重合開始剤とを添加した、感光性バインダー樹脂組成物を調製し、前記色材分散液と、前記感光性バインダー樹脂組成物と、多官能チオール化合物と、所望により用いられる各種添加成分を混合する方法、(2)溶剤中に、一般式(I)で表される色材と、分散剤と、多官能チオール化合物と、感光性バインダー成分と、所望により用いられる各種添加成分とを同時に投入し、混合する方法、及び(3)溶剤中に、分散剤と、多官能チオール化合物と、感光性バインダー成分と、所望により用いられる各種添加成分とを添加し、混合したのち、これに一般式(I)で表される色材を加えて混合する方法などを挙げることができる。
これらの方法の中で、上記(1)の方法が、色材の凝集を効果的に防ぎ、均一に分散させ得る点から好ましい。
【0084】
上記(1)の方法における色材分散液の調製において、色材の分散処理を行うための分散機としては、2本ロール、3本ロール等のロールミル、ボールミル、振動ボールミル等のボールミル、ペイントシェーカー、連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミル等のビーズミル等が挙げられる。ビーズミルの好ましい分散条件として、使用するビーズ径は0.03〜2mmが好ましく、より好ましくは0.05〜1mmである。具体的には、ビーズ径が比較的大きめな1〜2mmジルコニアビーズで予備分散を行い、更にビーズ径が比較的小さめな0.03〜0.1mmジルコニアビーズで本分散することが挙げられる。また、分散後、5.0〜0.2μm程度のメンブランフィルタで濾過することが好ましい。これにより、色材の分散性に優れた色材分散液が得られる。
【0085】
[カラーフィルタ]
本発明に係るカラーフィルタは、透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、当該着色層の少なくとも1つが、前記本発明に係る感光性樹脂組成物を硬化させて形成されてなる着色層を有する。
【0086】
このような本発明に係るカラーフィルタについて、図を参照しながら説明する。
図1は、本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。
図1によれば、本発明のカラーフィルタ10は、透明基板1と、遮光部2と、着色層3とを有している。
【0087】
(着色層)
本発明のカラーフィルタに用いられる着色層は、少なくとも1つが、前記本発明に係る感光性樹脂組成物を硬化させて形成されてなる着色層である。
着色層は、通常、後述する透明基板上の遮光部の開口部に形成され、通常3色以上の着色パターンから構成される。
また、当該着色層の配列としては、特に限定されず、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の一般的な配列とすることができる。また、着色層の幅、面積等は任意に設定することができる。
当該着色層の厚みは、塗布方法、感光性樹脂組成物の固形分濃度や粘度等を調整することにより、適宜制御されるが、通常、1〜5μmの範囲であることが好ましい。
【0088】
当該着色層は、例えば、下記の方法により形成することができる。
まず、前述した本発明の感光性樹脂組成物を、スプレーコート法、ディップコート法、バーコート法、コールコート法、スピンコート法などの塗布手段を用いて後述する透明基板上に塗布して、ウェット塗膜を形成させる。
次いで、ホットプレートやオーブンなどを用いて、該ウェット塗膜を乾燥させたのち、これに、所定のパターンのマスクを介して露光し、アルカリ可溶性樹脂及び多官能モノマー等を光重合反応させて、感光性樹脂組成物の塗膜とする。露光に使用される光源としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプなどの紫外線、電子線等が挙げられる。露光量は、使用する光源や塗膜の厚みなどによって適宜される。
また、露光後に重合反応を促進させるために、加熱処理を行ってもよい。加熱条件は、使用する感光性樹脂組成物中の各成分の配合割合や、塗膜の厚み等によって適宜選択される。
【0089】
次に、現像液を用いて現像処理し、未露光部分を溶解、除去することにより、所望のパターンで塗膜が形成される。現像液としては、通常、水や水溶性溶剤にアルカリを溶解させた溶液が用いられる。このアルカリ溶液には、界面活性剤などを適量添加してもよい。また、現像方法は一般的な方法を採用することができる。
現像処理後は、通常、現像液の洗浄、感光性樹脂組成物の硬化塗膜の乾燥が行われ、着色層が形成される。なお、現像処理後に、塗膜を十分に硬化させるために加熱処理を行ってもよい。加熱条件としては特に限定はなく、塗膜の用途に応じて適宜選択される。
【0090】
(遮光部)
本発明のカラーフィルタにおける遮光部は、後述する透明基板上にパターン状に形成されるものであって、一般的なカラーフィルタに遮光部として用いられるものと同様とすることができる。
当該遮光部のパターン形状としては、特に限定されず、例えば、ストライプ状、マトリクス状等の形状が挙げられる。この遮光部としては、例えば、黒色顔料をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたものや、クロム、酸化クロム等の金属薄膜等が挙げられる。この金属薄膜は、CrO
x膜(xは任意の数)及びCr膜が2層積層されたものであってもよく、また、より反射率を低減させたCrO
x膜(xは任意の数)、CrN
y膜(yは任意の数)及びCr膜が3層積層されたものであってもよい。
当該遮光部が黒色着色剤をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたものである場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であればよく、特に限定されず、例えば、遮光部用着色樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィー法、印刷法、インクジェット法等を挙げることができる。
【0091】
上記の場合であって、遮光部の形成方法として印刷法やインクジェット法を用いる場合、バインダー樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、カルボキシメチルセルロース樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
【0092】
また、上記の場合であって、遮光部の形成方法としてフォトリソグラフィー法を用いる場合、バインダー樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂が用いられる。この場合、黒色着色剤及び感光性樹脂を含有する遮光部用着色樹脂組成物には、光重合開始剤を添加してもよく、さらには必要に応じて増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を添加してもよい。
【0093】
一方、遮光部が金属薄膜である場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であればよく、特に限定されず、例えば、フォトリソグラフィー法、マスクを用いた蒸着法、印刷法等を挙げることができる。
【0094】
遮光部の膜厚としては、金属薄膜の場合は0.2〜0.4μm程度で設定され、黒色着色剤をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたものである場合は0.5〜2μm程度で設定される。
【0095】
(透明基板)
本発明のカラーフィルタにおける透明基板としては、可視光に対して透明な基材であればよく、特に限定されず、一般的なカラーフィルタに用いられる透明基板を使用することができる。具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材が挙げられる。
当該透明基板の厚みは、特に限定されるものではないが、本発明のカラーフィルタの用途に応じて、例えば100μm〜1mm程度のものを使用することができる。
なお、本発明のカラーフィルタは、上記透明基板、遮光部及び着色層以外にも、例えば、オーバーコート層や透明電極層、さらには配向膜や柱状スペーサ等が形成されたものであってもよい。
【0096】
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、前述した本発明に係るカラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする。
このような本発明の液晶表示装置について、図を参照しながら説明する。
図2は、本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。
図2に例示するように本発明の液晶表示装置40は、カラーフィルタ10と、TFTアレイ基板等を有する対向基板20と、上記カラーフィルタ10と上記対向基板20との間に形成された液晶層30とを有している。
なお、本発明の液晶表示装置は、この
図2に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた液晶表示装置として公知の構成とすることができる。
【0097】
本発明の液晶表示装置の駆動方式としては、特に限定はなく一般的に液晶表示装置に用いられている駆動方式を採用することができる。このような駆動方式としては、例えば、TN方式、IPS方式、OCB方式、及びMVA方式等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの方式であっても好適に用いることができる。
また、対向基板としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて適宜選択して用いることができる。
さらに、液晶層を構成する液晶としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて、誘電異方性の異なる各種液晶、及びこれらの混合物を用いることができる。
【0098】
液晶層の形成方法としては、一般に液晶セルの作製方法として用いられる方法を使用することができ、例えば、真空注入方式や液晶滴下方式等が挙げられる。
真空注入方式では、例えば、あらかじめカラーフィルタ及び対向基板を用いて液晶セルを作製し、液晶を加温することにより等方性液体とし、キャピラリー効果を利用して液晶セルに液晶を等方性液体の状態で注入し、接着剤で封鎖することにより液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
また液晶滴下方式では、例えば、カラーフィルタの周縁にシール剤を塗布し、このカラーフィルタを液晶が等方相になる温度まで加熱し、ディスペンサー等を用いて液晶を等方性液体の状態で滴下し、カラーフィルタ及び対向基板を減圧下で重ね合わせ、シール剤を介して接着させることにより、液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
【0099】
[有機発光表示装置]
本発明に係狩る有機発光表示装置は、前述した本発明に係るカラーフィルタと、有機発光体とを有することを特徴とする。
このような本発明の有機発光表示装置について、図を参照しながら説明する。
図3は、本発明の有機発光表示装置の一例を示す概略図である。
図3に例示するように本発明の有機発光表示装置100は、カラーフィルタ10と、有機発光体80とを有している。カラーフィルタ10と、有機発光体80との間に、有機保護層50や無機酸化膜60を有していても良い。
【0100】
有機発光体80の積層方法としては、例えば、カラーフィルタ上面へ透明陽極71、正孔注入層72、正孔輸送層73、発光層74、電子注入層75、および陰極76を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した有機発光体80を無機酸化膜60上に貼り合わせる方法などが挙げられる。有機発光体80における、透明陽極71、正孔注入層72、正孔輸送層73、発光層74、電子注入層75、および陰極76、その他の構成は、公知のものを適宜用いることができる。このようにして作製された有機発光表示装置100は、例えば、パッシブ駆動方式の有機ELディスプレイにもアクティブ駆動方式の有機ELディスプレイにも適用可能である。
なお、本発明の有機発光表示装置は、この
図3に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた有機発光表示装置として公知の構成とすることができる。
【実施例】
【0101】
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
【0102】
(合成例1:青色色材Aの合成)
(1)K
4(SiMoW
11O
40)の調製
13mol/lのHNO
3水溶液9.8mlに1mol/lのNa
2MoO
4水溶液16.4mlを加えた攪拌した。この溶液にInorganic Synthesis vol27 p85に記載の方法で調製したK
8(α型SiW
11O
39)・13H
2O 16.4gを少量ずつ添加した。室温で4時間攪拌後、飽和KCl水溶液で洗浄した。得られた固体を室温で乾燥し、12.2gのK
4(SiMoW
11O
40)を得た。
【0103】
(2)青色色材Aの合成
C.I.ベーシックブルー7(BB7)(東京化成株式会社製)6.46gを精製水390mlに投入し、40℃で攪拌して溶解した。これとは別に、上記(1)で調製したK
4(SiMoW
11O
40) 12.2gを精製水50mlに溶解した。BB7溶液に、K
4(SiMoW
11O
40)溶液を投入し、そのまま40℃で1時間攪拌した。次いで、内温を80℃に上げ、更に1時間攪拌しレーキ化を行った。冷却後濾過し、300mlの精製水で3回洗浄した。得られた固体を90℃で乾燥させることにより、黒青色固体で平均一次粒径が50nmの青色色材Aを13.4g得た。
【0104】
(合成例2:青色色材Bの合成)
(1)K
6(P
2MoW
17O
62)の調製
NaWO
4・2H
2O(和光純薬工業株式会社製)44.0g、Na
2MoO
4・2H
2O(関東化学株式会社製)1.90gを精製水230gに溶解した。この溶液に85%リン酸64.9gを滴下ロート用いて攪拌しながら添加した。得られた溶液を8時間加熱還流した。反応液を室温に冷却し、臭素水を1滴加え、攪拌しながら塩化カリウム45gを添加した。更に1時間攪拌し後、沈殿物を濾別した。得られた固体を90℃で乾燥させることにより、29.4gのK
6(P
2MoW
17O
62)を得た。
【0105】
(2)青色色材Bの合成
BB7 5.30gを精製水350mlに投入し、40℃で攪拌して溶解した。これとは別に、上記(1)で調製したK
6(P
2MoW
17O
62)10.0gを精製水40mlに溶解した。BB7溶液に、K
6(P
2MoW
17O
62)溶液を投入し、そのまま40℃で1時間攪拌した。次いで、内温を80℃に上げ、更に1時間攪拌しレーキ化を行った。冷却後濾過し、300mlの精製水で3回洗浄した。得られた固体を90℃で乾燥させることにより、黒青色固体で平均一次粒径が40nmの、トリアリールメタンレーキ化青色色材Bを10.4g得た。
【0106】
(製造例1:色材分散液Aの調製)
分散剤としてLPN21116(ビックケミー社製 不揮発分40%)を6.5重量部、合成例1の青色色材A13重量部、メタクリル酸/メタクリル酸メチル/メタクリル酸ベンジル共重合体のPGMEA溶液(モル比:10/30/50,重量平均分子量:9000,酸価:70mgKOH/g,固形分40重量%)17.9重量部、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 62.6重量部、粒径2.0mmジルコニアビーズ100重量部をマヨネーズビンに入れ、予備解砕としてペイントシェーカー(浅田鉄工社製)で1時間振とうし、次いで粒径0.1mmのジルコニアビーズ200部に変更し本解砕としてペイントシェーカーで6時間分散を行い、色材分散液Aを得た。
【0107】
(製造例2:色材分散液Bの調製)
製造例1において、青色色材Aを青色色材Bに変えた以外は、製造例1と同様にして色材分散液Bを得た。
【0108】
(参考製造例1:顔料分散液の調製)
製造例1において、LPN21116を8.1重量部、メタクリル酸/メタクリル酸メチル/メタクリル酸ベンジル共重合体のPGMEA溶液(モル比:10/30/50,重量平均分子量:9000,酸価:70mgKOH/g,固形分40重量%)16.3重量部、PGMEAを62.6重量部とし、青色色材Aの代わりに、市販のピグメントブルー15:6顔料(PB15:6)13重量部とした以外は、製造例1と同様にして、顔料分散液を調製した。
【0109】
(製造例3:アルカリ可溶性樹脂Aの調製)
メタクリル酸/メタクリル酸メチル/メタクリル酸ベンジル共重合体(重量比:18/30/40)を既知の合成法により作製し、その後、酸素存在下、メタクリル酸グリシジル12重量%をメタクリル酸と反応させ、アルカリ可溶性樹脂AのPGMEA溶液(固形分40重量%)を得た。ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算値として求めたアルカリ可溶性樹脂Aの重量平均分子量は9,000、前述の方法で求めた酸価は75mgKOH/gであった。
【0110】
(製造例4:感光性バインダー樹脂組成物Aの調製)
製造例3で得られたアルカリ可溶性樹脂A溶液(固形分40重量%)36.1重量部に対して、多官能モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)(アロニックスM403(東亜合成製))19.4重量部、開始剤としてイルガキュア907(BASF製)3.6重量部、カヤキュアーDETX−S(日本化薬製)1.2重量部を加え、PGMEA39.8重量部を加えて、感光性バインダー樹脂組成物Aを得た。
【0111】
(製造例5:感光性バインダー樹脂組成物Bの調製)
製造例3で得られたアルカリ可溶性樹脂A溶液(固形分40重量%)44.1重量部に対して、多官能モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)アロニックスM403(東亜合成製)15.8重量部、開始剤としてイルガキュア907(BASF製)3.6重量部、カヤキュアーDETX−S(日本化薬製)1.2重量部を加え、PGMEA35.3重量部を加えて、感光性バインダー樹脂組成物Bを得た。
【0112】
(実施例1:感光性樹脂組成物の調製)
製造例1で得られた色材分散液A 30.9重量部、製造例4で得られた感光性バインダー樹脂組成物A28.9重量部、ペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトブチレート)(PTMP;昭和電工社製、「カレンズMT(商標)PE1」))0.4重量部、シランカップリング剤KBM−503(信越シリコーン製)0.4重量部、界面活性剤メガファックR08MH(DIC製)0.04重量部、PGMEA39.2重量部を混合し、実施例1の感光性樹脂組成物を得た。
【0113】
(実施例2:感光性樹脂組成物の調製)
実施例1において、ペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトブチレート)の代わりに、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)(TPMB;昭和電工社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例2の感光性樹脂組成物を得た。
【0114】
(実施例3:感光性樹脂組成物の調製)
実施例1において、ペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトブチレート)の代わりに、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)(TEMB;昭和電工社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例3の感光性樹脂組成物を得た。
【0115】
(
参考例4:感光性樹脂組成物の調製)
実施例1において、ペンタエリスリトールテトラ(3−メルカプトブチレート)の代わりに、ペンタエリスリトールテトラキス−(3−メルカプトプロピオネート)(PEMP;淀化学社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして
参考例4の感光性樹脂組成物を得た。
【0116】
(実施例5:感光性樹脂組成物の調製)
実施例1において、感光性バインダー樹脂組成物Aの代わりに、製造例5で得られた感光性バインダー樹脂組成物Bを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例5の感光性樹脂組成物を得た。
【0117】
(実施例6:感光性樹脂組成物の調製)
製造例2で得られた色材分散液B 30.9重量部、製造例4で得られた感光性バインダー樹脂組成物A 28.9重量部、ペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトブチレート)(PTMP;昭和電工社製、「カレンズMT(商標)PE1」)0.4重量部、シランカップリング剤KBM−503(信越シリコーン製)0.4重量部、界面活性剤メガファックR08MH(DIC製)0.04重量部、PGMEA39.2重量部を混合し、実施例6の感光性樹脂組成物を得た。
【0118】
(実施例7:感光性樹脂組成物の調製)
実施例6において、ペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトブチレート)の代わりに、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)(TPMB;昭和電工社製)を用いた以外は、実施例6と同様にして実施例7の感光性樹脂組成物を得た。
【0119】
(実施例8:感光性樹脂組成物の調製)
実施例6において、ペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトブチレート)の代わりに、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)(TEMB;昭和電工社製)を用いた以外は、実施例6と同様にして実施例8の感光性樹脂組成物を得た。
【0120】
(比較例1:感光性樹脂組成物の調製)
製造例1で得られた色材分散液A 30.9重量部、感光性バインダー樹脂組成物A 29.8重量部、シランカップリング剤KBM−503(信越シリコーン製)0.4重量部、界面活性剤メガファックR08MH(DIC製)0.04重量部、PGMEA38.6重量部を混合し、多官能チオール化合物を含有しない比較例1の感光性樹脂組成物を得た。
【0121】
(比較例2:感光性樹脂組成物の調製)
比較例1において、感光性バインダー樹脂組成物Aの代わりに、感光性バインダー樹脂組成物Bを用いた以外は、比較例1と同様にして比較例2の感光性樹脂組成物を得た。
【0122】
(比較例3:感光性樹脂組成物の調製)
製造例2で得られた色材分散液B 30.9重量部、感光性バインダー樹脂組成物A 29.8重量部、シランカップリング剤KBM−503(信越シリコーン製)0.4重量部、界面活性剤メガファックR08MH(DIC製)0.04重量部、PGMEA38.6重量部を混合し、多官能チオール化合物を含有しない比較例3の感光性樹脂組成物を得た。
【0123】
(参考例1:感光性樹脂組成物の調製)
参考製造例1で得られた顔料分散液30.9重量部、製造例3で得られた感光性バインダー樹脂組成物B 29.8重量部、シランカップリング剤KBM−503(信越シリコーン製)0.4重量部、界面活性剤メガファックR08MH(DIC製)0.04重量部、PGMEA38.6重量部を混合し、参考例1の感光性樹脂組成物を得た。
【0124】
<アルカリ現像性評価>
実施例1
〜3、5〜8、比較例1〜3および参考例1
、4の感光性樹脂組成物を、それぞれ厚み0.7mmのガラス基板(NHテクノグラス(株)製、「NA35」)上に、スピンコーターを用いて塗布した。その後、80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行った。この着色層にフォトマスクを介して超高圧水銀灯を用いて40mJ/cm
2の紫外線を照射した。その後、上記着色層が形成されたガラス板を、アルカリ現像液として0.05重量%水酸化カリウム水溶液を用いてシャワー現像し、上記着色層が完全に溶解し、上記着色層を形成した箇所のガラス面が現れるまでの時間を現像時間として測定した。結果を表1に示す。
【0125】
<現像密着性評価>
実施例1
〜3、5〜8、比較例1〜3および参考例1
、4の感光性樹脂組成物を、それぞれ厚み0.7mmのガラス基板(NHテクノグラス(株)製、「NA35」)上に、スピンコーターを用いて塗布した。その後、80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行った。この着色層に、幅が1μmから100μmまでの細線が形成されるフォトマスクパターンを介して超高圧水銀灯を用いて40mJ/cm
2の紫外線を照射した。その後、上記着色層が形成されたガラス板を、アルカリ現像液として0.05重量%水酸化カリウム水溶液を用いてシャワー現像し、着色層の露光した部分を光学顕微鏡で観察し、残存している最小パターンを確認した。残存している最小パターンの幅が小さい程、現像密着性が良好であり、幅が10μm以下のパターンが残存することが好ましい。結果を表1に示す。
【0126】
<保存安定性評価>
実施例1
〜3、5〜8、比較例1〜3および参考例1
、4の感光性樹脂組成物を、それぞれ25℃下で保存した。7日間、及び30日間保存後、保存された各感光性樹脂組成物についてそれぞれ、上記アルカリ現像性評価と、上記現像密着性評価を行った。
また、感光性樹脂組成物の粘度安定性試験を以下のように行った。
感光性樹脂組成物の、調整直後と、25℃下で30日保存後の粘度をそれぞれ測定した。調整直後の粘度に対して、30日保存後の粘度が、1.1倍以下を○、1.1倍を超え1.2倍以下を△、1.2倍を超えた場合は×と評価した。○及び△が実用範囲である。なお、粘度測定はB型粘度計(東機産業製)で60rpm/25℃の条件で行った。結果を表1に示す。
【0127】
【表1】
【0128】
[結果のまとめ]
一般式(I)で表される色材を含有するが、多官能チオール化合物を含有しない比較例1〜3の感光性樹脂組成物は、調製直後であれば、実施例と同等の現像性と、現像密着性を有していたが、保存期間が長くなるにつれて、細線パターンが剥がれやすくなり、現像密着性が低下していることが明らかとなった。参考例1の通り、このような問題は、従来広く用いられていた顔料では見られない問題であった。
一般式(I)で表される色材と、分散剤と、多官能チオール化合物とを組み合わせて用いた実施例1
〜3、5〜8
、及び参考例4の感光性樹脂組成物は、7日間保存後、及び30日間保存後であっても、現像性や、現像密着性が低下しないことが明らかとなった。
多官能2級チオール化合物を用いた実施例1〜3と、多官能1級チオール化合物を用いた
参考例4との比較から、多官能2級チオール化合物を用いることにより、現像性や、現像密着性がより低下しにくいことが明らかとなった。また、多官能1級チオール化合物を用いた
参考例4よりも、多官能2級チオール化合物を用いた実施例1〜3の方が感光性樹脂組成物の粘度安定性にも優れていることが分かった。