特許第6091254号(P6091254)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6091254
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】パンチ金型
(51)【国際特許分類】
   B21D 28/34 20060101AFI20170227BHJP
【FI】
   B21D28/34 L
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-38408(P2013-38408)
(22)【出願日】2013年2月28日
(65)【公開番号】特開2014-161912(P2014-161912A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 茂
(72)【発明者】
【氏名】仲井 宏
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−233752(JP,A)
【文献】 特開2007−105761(JP,A)
【文献】 特開2010−023097(JP,A)
【文献】 特開2002−282962(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0081107(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 28/34
B21D 28/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端部にパンチ刃部を備えたパンチボディを上下動自在に嵌入した筒状のパンチガイドの内周面に、前記パンチボディに備えたキーを係合する上下方向のキー溝を備え、前記パンチガイドの上面にリテーナカラーを回動固定自在に備え、前記パンチボディの上部に備えたパンチドライバを、前記リテーナカラーに上下動自在に貫通して備えると共に、前記パンチドライバの上端側に位置調節可能に螺合したパンチヘッドと前記リテーナカラーとの間に、前記パンチドライバを上方向へ付勢する弾性部材を弾装したストリッパーユニットを備えたパンチ金型であって、前記パンチガイドの上面に、当該パンチガイドの内径よりも大径の円形凹部を備えると共に、この円形凹部の内周面に、放射方向の複数の凹部を周方向に適宜間隔に備え、前記リテーナカラーに径方向へ移動自在かつ外方向へ付勢して備えた押しボタンに、前記凹部に係合自在な係止部を備え、前記ストリッパーユニットを保持した手の指でもって前記押しボタンを押圧操作する構成であることを特徴とするパンチ金型。
【請求項2】
請求項1に記載のパンチ金型において、前記パンチガイドにおける内周面の上部側に、前記キー溝に連通した周溝を備え、前記リテーナカラーの下部に、前記パンチガイドに嵌入可能な筒状部を備え、この筒状部の外周面に、前記キー溝を通過自在かつ前記周溝に係合自在な係止突起部を備えていることを特徴とするパンチ金型。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のパンチ金型において、前記円形凹部は、前記パンチガイドの上面に一体的に固定したリング部材の内周面であることを特徴とするパンチ金型。
【請求項4】
下端部にパンチ刃部を備えたパンチボディを上下動自在に嵌入した筒状のパンチガイドの内周面に、前記パンチボディに備えたキーを係合する上下方向のキー溝を備え、前記パンチガイドの上面にリテーナカラーを回動固定自在に備え、前記パンチボディの上部に備えたパンチドライバを、前記リテーナカラーに上下動自在に貫通して備えると共に、前記パンチドライバの上端側に位置調節可能に螺合したパンチヘッドと前記リテーナカラーとの間に、前記パンチドライバを上方向へ付勢する弾性部材を弾装したストリッパーユニットを備えたパンチ金型であって、前記パンチガイドの上面に複数の凹部を周方向に適宜間隔に備え、前記凹部に係合離脱自在な係止部を備えた押しボタンを、前記リテーナカラーに備え、前記ストリッパーユニットを保持した手の指でもって前記押しボタンを押圧操作する構成であることを特徴とするパンチ金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンチプレスにおけるパンチホルダに装着して使用するパンチ金型に係り、さらに詳細には、例えばパンチ刃部の研磨加工を行った後におけるハイト調整を、安全にかつ容易に行うことができるパンチ金型に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、タレットパンチプレスなどのごときパンチプレスにおけるパンチホルダ(上部タレット)に装着して使用するパンチ金型においては、当該パンチ金型におけるパンチボディのパンチ刃部が摩耗すると、パンチ刃部の研磨が行われている。このように、パンチ刃部の研磨を行うと、パンチ金型におけるパンチヘッドから前記パンチ刃部までの長さ寸法が短くなるので、前記パンチヘッドとパンチボディとの螺合関係を調節してハイト調整を行っている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−233752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載の構成においては、下端部にパンチ刃部を備えたパンチボディを上下動自在に嵌入した筒状のパンチガイドの上部にリテーナカラーを回動固定自在に備え、このリテーナカラーを上下動自在に貫通したパンチボディの上端部に調節可能に螺合したパンチヘッドと前記リテーナカラーとの間に、強力なストリッパースプリングを弾装した構成である。
【0005】
そして、ハイト調整を行うときには、キーを介して回転方向に一体的な前記パンチガイド、パンチボディに対して前記リテーナカラー、パンチヘッドを相対的に回動する構成である。なお、前記パンチガイドと前記リテーナカラーは、常態においては一体的に固定してあり、ハイト調整を行うときに上記固定を解除する構成である。すなわち、前記パンチガイドの上部には、前記リテーナカラーに周方向に適宜間隔に形成した凹部に係合離脱自在なストッパーピンを備えた押しボタンが、径方向(放射方向)へ移動自在かつ外方向へ付勢して備えられている。
【0006】
したがって、ハイト調整を行うときには、付勢力に抗して前記押しボタンを押圧する。そして、パンチガイドに対するリテーナカラーの固定を解除して、パンチガイドに対してリテーナカラーを相対的に回動することになる。よって、前記パンチボディとパンチヘッドとの螺合関係が調節されて、ハイト調整が行われることになる。
【0007】
ところで、ハイト調整を行うときには、パンチガイドの下端側を上側にして、パンチガイドの下端部に対するパンチボディにおけるパンチ刃部の出入を目視し乍ら行うことが普通である。したがって、例えばパンチガイドの下端部側が上側になるように傾斜して左手でパンチガイドを把持し、かつ左手の指で前記押しボタンを押すことになる。そして、右手でもってパンチヘッド側を保持して、パンチヘッド側を回動することになる。
【0008】
上述のように、ハイト調整を行うとき、誤ってパンチヘッド側から右手を離すと、パンチボディがパンチガイドから抜け出して落下することがある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述のごとき問題に鑑みてなされたもので、下端部にパンチ刃部を備えたパンチボディを上下動自在に嵌入した筒状のパンチガイドの内周面に、前記パンチボディに備えたキーを係合する上下方向のキー溝を備え、前記パンチガイドの上面にリテーナカラーを回動固定自在に備え、前記パンチボディの上部に備えたパンチドライバを、前記リテーナカラーに上下動自在に貫通して備えると共に、前記パンチドライバの上端側に位置調節可能に螺合したパンチヘッドと前記リテーナカラーとの間に、前記パンチドライバを上方向へ付勢する弾性部材を弾装したストリッパーユニットを備えたパンチ金型であって、前記パンチガイドの上面に、当該パンチガイドの内径よりも大径の円形凹部を備えると共に、この円形凹部の内周面に、放射方向の複数の凹部を周方向に適宜間隔に備え、前記リテーナカラーに径方向へ移動自在かつ外方向へ付勢して備えた押しボタンに、前記凹部に係合自在な係止部を備え、前記ストリッパーユニットを保持した手の指でもって前記押しボタンを押圧操作する構成であることを特徴とするものである。
【0010】
また、前記パンチ金型において、前記パンチガイドにおける内周面の上部側に、前記キー溝に連通した周溝を備え、前記リテーナカラーの下部に、前記パンチガイドに嵌入可能な筒状部を備え、この筒状部の外周面に、前記キー溝を通過自在かつ前記周溝に係合自在な係止突起部を備えていることを特徴とするものである。
【0011】
また、前記パンチ金型において、前記円形凹部は、前記パンチガイドの上面に一体的に固定したリング部材の内周面であることを特徴とするものである。
【0012】
また、下端部にパンチ刃部を備えたパンチボディを上下動自在に嵌入した筒状のパンチガイドの内周面に、前記パンチボディに備えたキーを係合する上下方向のキー溝を備え、前記パンチガイドの上面にリテーナカラーを回動固定自在に備え、前記パンチボディの上部に備えたパンチドライバを、前記リテーナカラーに上下動自在に貫通して備えると共に、前記パンチドライバの上端側に位置調節可能に螺合したパンチヘッドと前記リテーナカラーとの間に、前記パンチドライバを上方向へ付勢する弾性部材を弾装したストリッパーユニットを備えたパンチ金型であって、前記パンチガイドの上面に複数の凹部を周方向に適宜間隔に備え、前記凹部に係合離脱自在な係止部を備えた押しボタンを、前記リテーナカラーに備え、前記ストリッパーユニットを保持した手の指でもって前記押しボタンを押圧操作する構成であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、パンチガイドの上面に複数の凹部を備え、上記凹部に係合自在な係止部を備えた押しボタンを、リテーナカラーに備えた構成である。したがって、例えば右手でパンチヘッド側を把持し、かつ右手の指で前記押しボタンを押す。そして、パンチ刃部側を上側にして、目視し乍らパンチガイドを左手で相対的に回動操作することになる。よって、パンチガイドからパンチボディ等が相対的に抜け出るようなことがなく、前述したごとき問題を解消し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係るパンチ金型の断面説明図である。
図2】リング部材の説明図である。
図3】キーとキー溝と係止突出部との位置関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照するに、本発明の実施形態に係るパンチ金型1は、例えばタレットパンチプレスなどのごときパンチプレスにおけるパンチホルダ(タレットパンチプレスの場合は上部タレットが相当する)に装着して使用されるものである。このパンチ金型1は、一般的なパンチ金型と同様に、前記パンチホルダに備えたパンチ装着穴に上下動自在に嵌合支持される円筒形状のパンチガイド3を備えている。
【0016】
上記パンチガイド3には、下端部にパンチ刃部5Bを備えたパンチボディ5が上下動自在に嵌入してある。このパンチボディ5には、一般的なパンチ金型と同様に、キー7が備えられており、このキー7は、前記パンチガイド3の内周面に形成した上下方向のキー溝9に上下動自在に係合してある。したがって、パンチボディ5とパンチガイド3との相対的な回動は規制されている。
【0017】
前記パンチガイド3の上面には円環状形のリテーナカラー11が着脱可能に備えられている。そして、前記パンチボディ5の上部に一体的に又は一体に備えたパンチドライバ13が前記リテーナカラー11を上下動自在に貫通してあり、このパンチドライバ13の上部には、ストリッパーユニット15が備えられている。
【0018】
より詳細には、前記ストリッパーユニット15は、前記パンチドライバ13の上端部に形成した雄ねじ部17に上下調節可能に螺合したパンチヘッド19を備えている。このパンチヘッド19には下方向に長く形成したスリーブ21が備えられている。このスリーブ21の外周には、前記リテーナカラー11の上面に一体的に備えたスプリング座23が上下動自在に嵌合してあり、このスプリング座23と前記パンチヘッド19との間には、ストリッパースプリングとして弾性部材25が弾装してある。なお、前記スリーブ21は、前記スプリング座23に対して上下動のみ自在に嵌入してあって、スプリング座23とスリーブ21との相対的な回動は規制された構成である。そして、前記スリーブ21の下端部付近に備えたスナップリング等のごときストッパ27によって、相対的な上下方向への抜け出しを防止されている。
【0019】
前記リテーナカラー11の下面には、前記パンチガイド3に上側から嵌合(嵌入)可能な円筒状の下方突出部29が備えられており、この下方突出部29における外周面の一部には、前記パンチガイド3の内周面に形成した環状の係止溝(周溝)31に係合自在な係止突出部33が備えられている。前記係止突出部33の周方向への長さ寸法は、前記パンチガイド3における前記キー溝9の幅寸法より小さく形成してある。
【0020】
上記構成より、前記係止溝31に前記係止突出部33が係合した状態においては、パンチガイド3に対するリテーナカラー11の上方向への抜け出しは阻止(規制)された状態にある。そして、前記パンチガイド3に対してリテーナカラー11を相対的に回動して、前記係止突出部33を前記キー溝9の位置に位置決めすると、リテーナカラー11は、パンチガイド3から上方向に抜け出すことができるものである。既に理解されるように、リテーナカラー11は、前記パンチガイド3に対して回動固定可能に備えられているものである。
【0021】
すなわち、前記リテーナカラー11と前記パンチガイド3の上面には、当該パンチガイド3に対してリテーナカラー11の回動を許容自在、また回動を固定自在なロック機構35が備えられている。より詳細には、前記パンチガイド3の上面にはリング部材37が、ピン又は取付ねじなどの固定具(図示省略)を介して一体的に備えられている。図2に示すように、前記リング部材37の内径37Rは前記パンチガイド3の内径3Rより大きな径であって、このリング部材37の内周面には、周方向に適宜間隔でもって放射外方向に凹んだ複数の凹部39が備えられている。すなわち、前記リング部材37を備えたことにより、前記パンチガイド3の上面に、当該パンチガイド3の内径3Rよりも大径の円形凹部(内径37Rの凹部)を備えた構成である。
【0022】
そして、前記リテーナカラー11の一部には、径方向のガイド溝41が形成してあり、このガイド溝41内には押しボタン43が径方向に摺動自在に係合してある。この押しボタン43の下部には、前記リング部材37に形成した前記凹部39に係合自在な係止部45が下方向へ突出して備えられている。前記リテーナカラー11又は前記スプリング座23と前記押しボタン43との間には、例えばコイルスプリング等のごとき弾性部材(図示省略)が弾装してあって、前記押しボタン43は常に放射外方向へ付勢されている。
【0023】
したがって、前記押しボタン43における係止部45は、放射外方向への付勢によって、前記リング部材37の凹部39に係合した状態にある。よって、常態においては、前記パンチガイド3に対するリテーナカラー11の回動は規制された状態にある。なお、付勢力に抗して前記押しボタン43を放射内方向(径内方向)へ押圧すると、前記リング部材37の凹部39から前記係止部45が内方向へ離脱し、パンチガイド3に対してリテーナカラー11を回動可能になるものである。
【0024】
上述のように、前記凹部39から前記係止部45を内方向に離脱すると、前記係止部45は、前記リング部材37の内周面と前記パンチガイド3の内周面との間に位置するものである。換言すれば、前記係止部45は、前記パンチヘッド19のスリーブ21が上下動する領域の外側に位置するものである。したがって、仮に、前記押しボタン43が付勢力によって元の位置に戻らないことが生じた場合であっても、前記係止部45とスリーブ21とが干渉するようなことはなく、パンチガイド3に対するパンチボディ5の上下動は常に良好に保持されるものである。
【0025】
ところで、前記パンチガイド3に対してパンチボディ5を着脱するには、付勢力に抗して前記押しボタン43を内方向へ押圧し、リング部材37の凹部39から押しボタン43の係止部45を離脱した状態に保持する。そして、パンチガイド3に対してリテーナカラー11を相対的に回動し、リテーナカラー11に備えた係止突出部33を、図3(B)に示すように、パンチガイド33のキー溝9の位置に位置決めする。
【0026】
上述のように、前記係止突出部33を前記キー溝9の位置に位置決めすると、パンチボディ5に備えたキー7と前記係止突出部33が同一位相位置に位置することになる。したがって、前記係止突出部33及びキー7を、前記キー溝9を上下方向に通過してパンチガイド3の上方向へ移動することができる。すなわち、パンチガイド3からパンチボディ5及びリテーナカラー11を上方向に取り外すことができるものである。
【0027】
既に理解されるように、パンチボディ5に備えたキー7とリテーナカラー11に備えた係止突起33とを同一位相位置に合わせることにより、パンチガイド3に備えたキー溝9を通過して着脱することができるものである。したがって、パンチガイド3に対するパンチボディ5、リテーナカラー11の着脱を容易に行い得るものである。
【0028】
そして、前記パンチガイド3にパンチボディ5を嵌入してハイト調整(調節)を行うとき、パンチボディ5のパンチ刃部5Bを上側に保持し、パンチボディ5に対するパンチ刃部5Bの出入を目視し乍ら行うことができる。この際、例えば右手でもってストリッパーユニット15側を保持し、右手の指でもって押しボタン43を押圧する。そして、左手でもってパンチガイド3を保持して、相対的に回動することになる。
【0029】
この際、リテーナカラー11に押しボタン43が備えられているので、ストリッパーユニット15側を保持した手の指でもって押しボタン43を容易に押圧操作し得るものである。したがって、パンチ刃部5Bを上側にして目視し乍らのハイト調整を容易に行い得るものである。上述のようにパンチ刃部5Bを目視するとき、前記押しボタン43を押す側の手が下側になり、上側に位置するパンチガイド3を回動することになるので、パンチガイド3からパンチボディ5が不用意に下方向に抜け出るようなことがないものである。
【0030】
そして、パンチボディ5に対して、パンチガイド3を相対的に回動したときには、図2(A)に示すように、前記キー溝9と前記係止突起33は異なる位相位置にある。したがって、前記ストリッパーユニット15側を把持した手を不用意に外したような場合であっても、リテーナカラー11に備えた係止突出部33がパンチガイド3の周溝31に係合した状態にあり、パンチボディ5がパンチガイド3から抜け出るようなことがないものである。
【0031】
上述のごとき説明より理解されるように、前記ロック機構35の一部を構成する前記押しボタン43は、リテーナカラー11に備えられている。したがって、パンチ金型1における下端部側を上側にして、パンチガイド3に対するパンチボディ5におけるパンチ刃部5Bの出入を目視しながらのハイト調整を容易に、かつ安全に行い得るものである。
【0032】
また、前記構成においては、リテーナカラー11に備えた係止突出部33は、パンチボディ5に備えたキー7と共通にパンチガイド3に備えたキー溝9を上下方向に通過する構成である。したがって、係止突出部33用の通過溝をパンチガイド3に格別に形成する必要がなく、パンチガイド3の構成の簡素化及び加工の容易化を図ることができるものである。
【0033】
また、パンチガイド3に対してパンチボディ5、リテーナカラー11の着脱を行うときは、パンチボディ5に備えたキー7とリテーナカラー11に備えた係止突出部33との位置を同一位相位置に保持する。そして、前記キー7と係止突出部33を、パンチガイド3に備えたキー溝9に対して同時に係脱するものである。したがって、パンチガイド3に対するパンチボディ5、リテーナカラー11の着脱を容易に行い得るものである。
【0034】
なお、本発明は、前述したごとき実施形態に限ることなく、適宜の変更を行うことにより、その他の形態で実施可能である。すなわち、前記説明においては、パンチガイド3の上面に備えたリング部材37に凹部39を形成した場合について説明した。しかし、パンチガイド3の上面に円形凹部を直接形成し、この円形凹部の内周面に前記凹部39を形成することも可能である。
【0035】
また、前記ロック機構35における押しボタン43を、径方向に移動自在に備えた場合について例示した。しかし、前記押しボタンを上下方向又は周方向に移動可能な構成とすることができるものである。すなわち、押しボタンを上下方向又は周方向に移動することにより、前記凹部39に対して係止部45を係合離脱することも可能なものである。
【符号の説明】
【0036】
1 パンチ金型
3 パンチガイド
5 パンチボディ
5B パンチ刃部
7 キー
9 キー溝
11 リテーナカラー
13 パンチドライバ
19 パンチヘッド
29 下方突出部
31 周溝(係止溝)
33 係止突出部
35 ロック機構
37 リング部材
39 凹部
41 ガイド溝
43 押しボタン
45 係止部
図1
図2
図3