(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6091257
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】発電用の風車
(51)【国際特許分類】
F03D 3/06 20060101AFI20170227BHJP
H01L 31/042 20140101ALI20170227BHJP
【FI】
F03D3/06 D
H01L31/04 500
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-42687(P2013-42687)
(22)【出願日】2013年3月5日
(65)【公開番号】特開2014-169671(P2014-169671A)
(43)【公開日】2014年9月18日
【審査請求日】2015年10月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】399131769
【氏名又は名称】浜下 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100083127
【弁理士】
【氏名又は名称】恒田 勇
(72)【発明者】
【氏名】浜下 寛
(72)【発明者】
【氏名】室田 仁
(72)【発明者】
【氏名】市川 渡
【審査官】
柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−171978(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0047270(US,A1)
【文献】
特開2008−121663(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第102094761(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 1/00−80/80
H01L 31/04−31/078
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台に、パイプからなる座枠を設置することによりその上に縦軸の風車を囲む逆U字型の外フレームパイプを立設し、さらに、基台には該座枠で囲まれる逆円錐台形の反射鏡を設置し、座枠は、無端の環状であって円形環状両端に反射鏡の側面傾斜方向へ傾斜する逆V字形の傾斜部が屈曲して形成され、両傾斜部の上端に外フレームパイプが両側部下端で連結してあり、前記風車は、その縦軸の上下両端部に板羽根の支持体が設けられ、該両支持体が縦軸に嵌着されるボスとその外側のリムとの間に多数のワイヤーが交差して介在されるワイヤースポークホィールであり、各板羽根は、受光面が表裏に有するように二枚合わせに太陽光パネルが嵌められる枠組みであって、その一端の縦枠には追加的に風を受けるポケットを設けてあり、この風車が前記一の外フレームパイプのみの囲で設けられていることを特徴とする発電用の風車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、風力ばかりでなく太陽光を利用して発電することのできるよう太陽光パネルを備えた発電用の風車に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、将来的な見地から、風力、太陽光、地熱、水力等の再生エネルギーの開発が急がれている。そのうち、風力については、風車が利用されるが、大部分が横軸型の所謂プロペラ型の風車であって、縦軸の回りに羽根を配列した縦軸型はほとんど見られない。これは、開発投資が横軸型に一挙に集中し開発されたことの結果であって、縦軸型が決して劣っている訳ではなく、風向が定まらない日本の風土においては、むしろ有利であるとされる。そういう意味で未開拓の分野ともいえる。
【0003】
一方、太陽光については、太陽光パネルが用いられ、その技術の進歩が著しいが、太陽光を面で捉える関係で、広い設置面積を必要とするため、自家発電等の小規模な発電には、屋根が有効に利用されているが、屋上や狭い庭等にはパネル面積が取られるため使用に適しなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
風力、太陽光の利用は、いずれも気候や天候による影響が大きく、風力では無風状態において、太陽光では夜間や冬期においては電力が得られない難点がある。そこで、両方が相補って発電の安定性を得るために、本出願人等は、縦軸型の風車において、太陽光パネルの羽根の風車を開発してきた。しかし、太陽光パネルの装備について重量が多くなり、特にその支持構造に丈夫な重い部材が使用されることから、回転が鈍くなり、発電機で所望の電力が得られなくなるという問題があった。
【0005】
この発明は、上記のような実情に鑑みて、設置面積が取られなく風向に常時対応する縦軸型の風車において、風車の羽根が太陽光パネルであるにもかかわらず支持手段が軽量であって、微風を捉えて軽快に高速回転するために、発電機による電力が得られやすく、太陽光発電とも相まって発電効率が良好となる発電用の風車を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、この発明は、
基台に、パイプからなる座枠を設置することによりその上に縦軸の風車を囲む逆U字型の外フレームパイプを立設し、さらに、基台には該座枠で囲まれる逆円錐台形の反射鏡を設置し、座枠は、無端の環状であって円形環状両端に反射鏡の側面傾斜方向へ傾斜する逆V字形の傾斜部が屈曲して形成され、両傾斜部の上端に外フレームパイプが両側部下端で連結してあり、前記風車は、その縦軸の上下両端部に板羽根の支持体が設けられ、該両支持体が縦軸に嵌着されるボスとその外側のリムとの間に多数のワイヤーが交差して介在されるワイヤースポークホィールであり、各板羽根は、受光面が表裏に有するように二枚合わせに太陽光パネルが嵌められる枠組みであって、その一端の縦枠には追加的に風を受けるポケットを設けてあり、
この風車が前記一の外フレームパイプのみの囲で設けられていることを特徴とする発電用の風車を提供する。
【0007】
発電用の風車を上記のように構成したから、板羽根が受ける風力は、ワイヤースポークホィールの軽量且つ強度のある支持体を介して縦軸に伝達され、これで発電機が安定して駆動される。この軽量さに加え、板羽根は、羽根ばかりでなくポケットにより風を受けることから加速性が良好である。
風車を囲む支持が座枠とその上の逆U字型の外フレームパイプとからなり縦長型にコンパクトであり、この風車が一の外フレームパイプのみに囲まれ、障害がないため風通しが良く抵抗なく風力を十分に受け、光の通しも良く遮蔽なく太陽パネルや反射鏡に光が十分に達する。また、座枠の中にこの反射鏡が納まるので、コンパクトに適するだけでなく、反射鏡の内面で受ける光の反射光が遮られることなく太陽光パネルに裏側からも到達する。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、この発明は、設置面積が取られない縦軸型の風車において、
風通し・光通しよくなるよう囲みの外フレームパイプを簡素になすとともに横にスリム化したコンパクトにおいて発電効率を合理的に高めることに成功したもので、風車の羽根が太陽光パネルであるにもかかわらず、それを支持する支持体がワイヤースポークホィールの丈夫で軽量な構造であり、しかも、板羽根に風力を受けやすく追加的にポケットを具備する関係で、微風を捉えて軽快に高速回転するために、発電効率が良好であり、発電機と太陽光パネルとの総和により安定した電力が
確実に得られるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明に係る発電用の風車を示す斜視図である。
【
図6】他の実施例を示す
図5に対応する断面図である。
【
図7】この発明に利用するワイヤースポークホィールにおいてスポークの交差状態を示す斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明では、縦軸17の周囲に配置する板羽根9,9・・の支持体18がワイヤースポークホィールであって、これには自転車や人力車等の車輪で代替可能である。いずれにしても、ワイヤースポーク23,23・・の配列であると、光の透過率が100%近くであり、裏面にも太陽光パネル27を有する場合(請求項2)、太陽光の利用効率が高くなる。
【0011】
また、ワイヤースポークホィールであると、ボス22との連結位置によりスポーク23,23どうしを高さ違いでの上下交差または円周方向の横交差により、支持体の強度が高度に高められ、これも自転車や人力車等の車輪の利用で得られる。さらに、車輪であると、タイヤが嵌るようリム24の断面が溝形のリブ構造であり、全体的に軽量となり板羽根9の支持を頑強になし得る。
【実施例1】
【0012】
図1ないし
図5は、一実施例を示したもので、その発電用の風車は、設置基台1に逆U字形パイプの外フレームパイプ5を起立して搭載し、外フレームパイプ5に風車3と、太陽光反射装置としての反射鏡4とが上下に納まり支持される。また、基台1の上には風車3と反射鏡4と発電機7を載せる梁型の受け台10が設置される。
【0013】
外フレームパイプ5は、金属パイプ製の座枠11付きであって、基台1の上に跨る座枠11の上に逆U形に起立される。その坐枠11は、無端の環状であるとともに、左右両端に逆V字形の起き上がり傾斜部15,15を形成したもので、その頂点で逆U字形の下端が受けられる。
【0014】
反射鏡6は、金属板で逆円錐台の筒形に形成され内面が反射面である。そして、上に設置される風車3の間や支持体18のスポークの間から漏れた光が内面に当たると、反射光が板羽根9の裏面に向かって照射されるように設計される。
【0015】
風車3は、縦軸17に上下支持体18,18を軸着して取り付けたもので、それを介して中心から等位に5枚の板羽根9,9・・が配列される。基台1の上の受け台10には縦軸17の下端を支持する下部軸受21が、外フレームパイプ5の上端中央に上部軸受20が設けられる。そして、縦軸17の下端部(反射鏡6の上端高さ位置)と上端部とに支持体18,18が位置して取り付けられる。
【0016】
支持体18,18は、ワイヤースポークリムの車輪を利用したもので、ボス22とリム24との間に多数のワイヤースポーク23,23・・が配列されているが(
図7)、ボス22が筒形の上下両端に鍔部22a、22aを有する構造であって、上下鍔部22a、22aにスポーク23,23が連結することで上下に交差し(上下交差)、あるいは周方向に対して交差する(横交差)形態となっている。この交差状から、板羽根27を支持する強度が極めて大きい。
【0017】
板羽根9は、上下に長い矩形の枠組み25の中において、2枚の太陽光パネル27,27が背中合わせの間にガラス板30を挟んだサンドイッチ形態であり、枠組み25の一側端に風受けポケット29が設けられる。
【0018】
枠組み25は、それぞれアルミ押出成形された左右縦枠31,32と上下枠33,33との組合せからなり、一側の縦フレーム31には前記風受けポケット29が一体に押出成形して設けられる。
【0019】
また、枠組み25の内側には2枚の太陽光パネル27,27を挟むように面押え28,28が嵌め込まれ、その面押え28は、格子状ないし網状に形成される。なお、35は、各枠31,32,33に一体成形されて突出する内鍔であり、これに太陽光パネル27や面押え28が止められる。
【0020】
板羽根27は、風受けポケット29側の縦フレーム31が取付位置であって、支持体18,18のリム24に接続具を介して上下両端で固着される。角度等の取付け形態は様々となりうるが、その固着部分における円(リム24)の接線P方向に板羽根9が延びている。
【0021】
風受けポケット29は、板羽根9の外面に沿ったP方向に開口する半円のチャンネル形であって、板羽根9で受けた風がさらにポケット29で追加的に受けられ、そのため、強力且つ快速的な回転が保障される。
【実施例2】
【0022】
図6は、太陽光パネル27について他の実施例を示したもので、風受けポケット29が単独に押出成形され、縦フレーム31にネジ36で止められている。
【符号の説明】
【0023】
1 基台
3 風車
4 反射光照射装置としての反射鏡
5 外フレームパイプ
7 発電機
9 板羽根
17 縦軸
18 支持体
22 ボス
23 スポーク
24 リム
25 枠組み
27 太陽光パネル
29 風受けポケット