(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一本の仮想線を取り巻く閉曲面をベースとする形状の内周面を有し、第1の配管に接続されて該第1の配管内を圧送されてきたピグを該内周面で滑べらせ該内周面に沿って回転させることにより該ピグを停止させるピグ収容室を備え、
前記ピグ収容室が、前記内周面を両側から挟む一対の壁を有し、該一対の壁のうちの少なくとも一方の壁が、該ピグ収容室内に膨出して前記ピグの該内周面に沿う回転を案内する膨出部を有することを特徴とするピグ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
配管内に残存している製品をピグで押し出すには、ピグを送り出すランチャー側から圧送流体を送り込み、その圧送流体でピグを圧送することで配管内を移動させる。配管内を移動してきたピグは、ピグを受け取るキャッチャー側に備えられたストッパに突き当てられて停止するが、その際、そのストッパにピグが勢いよく突き当てられることになる。この場合、ピグがストッパに勢いよく突き当たることによりピグに強い応力がかかり、ピグの劣化が進んだりピグに欠けや割れが生じるおそれがある。
【0007】
このピグとしては、従前はゴム製のものが多用されている。ゴム製のピグは配管内を圧送される間に配管内壁との擦れでピグが削られピグの削り屑が配管内の製品に混入するおそれがある。また、ゴム製のピグは着香、着色し易く、洗浄に時間がかかるおそれがある。このため、食品用のプラントでは例えばPTFE樹脂等からなる樹脂製のピグを採用することが検討されている。特にPTFE樹脂製のピグは、摩擦抵抗が小さく、薬品への耐性が高く、耐熱性も優れている。
【0008】
ただし、ゴム製のピグであっても樹脂製のピグであっても、ストッパに勢いよく突き当てられるとピグが傷み、ピグの寿命が短くなる点については共通である。
【0009】
上掲の特許文献2には、ピグがキャッチャー側に近づくにつれて圧送流体の圧力を減じることでピグをソフトランディングさせることが記載されている。このような圧力制御がうまくできればピグの劣化や欠け等を抑えることができる。ただし、このような圧力制御を行なうために余分な設備を必要とし、また圧力を減じてピグの移動速度を下げることにより、効率低下が生じることになる。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑み、圧送流体で配管内を圧送されてきたピグを、そのピグへの応力を減じて受け止める構造を備えたピグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成する本発明のピグ装置は、一本の仮想線を取り巻く閉曲面をベースとする形状の内周面を有し、第1の配管に接続されてその第1の配管内を圧送されてきたピグをその内周面で滑べらせその内周面に沿って回転させることによりピグを停止させるピグ収容室を備えたことを特徴とする。
【0012】
ここで、上記の「閉曲面をベースとする形状の内周面」は、完全な閉曲面そのものであってもよいが、必ずしも完全な閉曲面である必要はなく、ピグの、その内周面に沿う回転運動の妨げにならない範囲内で、管路と繋がる穴などが設けられた内周面であってもよいことを意味している。
【0013】
本発明のピグ装置は、上記の閉曲面をベースとした内周面を有するピグ収容室を備えているため、第1の配管内を圧送されてきたピグはそのピグ収容室の内周面で滑ってその内周面に沿って回転し、この回転によりピグの運動エネルギーが減じられて停止する。
したがって、このピグに強い応力がかかることが回避され、ピグの劣化や、欠けや割れなどが抑えられる。
【0014】
ここで
、本発明のピグ装置
は、ピグ収容室が、上記内周面を両側から挟む一対の壁を有し、それら一対の壁のうちの少なくとも一方の壁が、ピグ収容室内に膨出してピグの上記内周面に沿う回転を案内する膨出部を有す
る。
【0015】
本発明のピグ装置には、上記膨出部
が設けられているため、その膨出部が、ピグの、内周面に沿う回転運動のガイドとして作用し、ピグの回転運動の一層の円滑化が図られる。
【0016】
また、本発明のピグ装置において、上記内周面を両側から挟む一対の壁のうちの一方の壁を隔ててピグ収容室に隣接しピグ収容室の第1の配管接続側入口部分に形成された通路でピグ収容室と繋がった、第2の配管に接続される第2室と、その第2室側から上記通路に進退自在に進入して、ピグの、第1の配管側への移動を制止するピグ制止部材とをさらに備えることが好ましい。
【0017】
ピグ収容室の第1の配管接続側入口部分に上記通路を設けると、ピグを圧送してきた圧送流体はピグがピグ収容室に入り込むタイミングで上記の通路から第2室を経由して第2の配管に流れ、ピグ収容室に入り込んだピグは圧送流体の圧力から解放される。このため、ピグ収容室に入り込んだピグは、自らの運動のエネルギーのみを上記の回転で吸収すればよく、ピグにかかる応力が一層緩和される。したがって、ピグの劣化の可能性も一層低減される。
【0018】
また、上記のピグ制止部材を備えると、ピグがピグ収容室から第1の配管側に不用意に移動してしまうことが阻止され、ピグを、ピグ収容室から意識的に送り出すタイミングまでピグ収容室内に確実に留めておくことができる。
【0019】
したがって、上記のピグ制止部材を備えることにより、そのピグ制止部材を上記の通路から退避させた状態でキャッチャー側のピグ装置として使用するとともに、ピグがピグ収容室内に存在する状態においてピグ制止部材を上記の通路に進入させてピグがピグ収容室から不用意に移動するのを制止しておいて送液し、ピグ制止部材を上記の通路から退避させ第2の配管から圧送流体を送り込んでピグを圧送することでランチャー側のピグ装置としても兼用することができる。
【0020】
また、上記の第2室とピグ制止部材とを備えた場合に、ピグ収容室の、第1の配管接続側入口から離れた奥側と第2室側とを繋ぐバイパス流路をさらに備えることが好ましい。
【0021】
上記のバイパス流路を備えると、ピグ制止部材が上記の通路に進入することによってその通路の開口を狭めたり、又はその通路の開口を塞いだ状態となるが、そのような状態においても、第1の配管と第2の配管との間の十分な流路を確保することがでできる。
【0022】
また、このバイパス流路はピグ収容室の、第1の配管接続側から離れた奥側に繋がっているため、ピグ収容室内に収容されているピグは、第2の配管から送り込まれバイパス流路を通ってきた圧送流体にピグ収容室から押し出されることになり、ピグの圧送が一層円滑となる。
【0023】
また、上記のピグ制止部材を備えた構成において、そのピグ制止部材が、第2室に配置されて上記の通路を第2室側から開閉する弁体を備え、その弁体が、通路を閉じたときにその通路を通ってピグ収容室側に進入して、ピグの、第1の配管側への移動を制止するピグ制止部を有することも好ましい形態である。
【0024】
上記の通路は液の流路を形成するとともにピグ制止部材を進退させるものであって、その通路を塞ぐことは必ずしも必要ではないが、その通路を開閉する態様も考えられる。その場合、通路の開閉を担う弁体に上記のピグ制止部を備えることにより、通路の開閉とピグの制止/制止解除を同時に行なうことができる。
【0025】
さらに、本発明のピグ装置において、上記ピグが、第1の配管内を通過する径を有する円柱形状の中央部と、その中央部から第1の配管に沿う前後両側に、中央部から離れる向きに径が徐々に窄まった一対の端部とを有する形状のピグであることが好ましい。
【0026】
ゴム製のピグの場合、上掲の特許文献1,2に示されている通り、中央部分が括れその中央部分を挟んだ両端の部分が膨んだ形状のピグが多用されている。ゴム製のピグの場合、弾力性があるため、このような形状であっても配管のエルボーの部分(湾曲した部分)にも適応してそのエルボーの部分をスムーズに通過することができるが、例えば樹脂製のピグの場合、この形状を真似るとすると配管の内径と比べて両端部分の膨らみをかなり小径にする必要を生じ、配管の内壁面との間に大きな隙間が生じることになり、ピグとしての製品の回収能力を低減させることになる。
【0027】
一方、単純な球形のピグを採用すると、エルボーの部分の通過には適しているが、ピグの姿勢制御を行なうことができない。
【0028】
ピグには、通常、永久磁石が埋め込まれており、そのピグを通過させる配管の外周面側に磁気センサが配置され、ピグが通過したことを検出することが行なわれている。単純な球形のピグの場合は、ピグの姿勢制御を行なうことができないため、ピグの姿勢によっては磁気センサでピグの通過を検出できない事態が発生する。
【0029】
そこで、上記の通りの、第1の配管内を通過する径の中央部と、その中央部から第1の配管に沿う前後両側にそれぞれ径が窄まった一対の端部とを有する形状のピグを採用すると、そのピグが樹脂製であっても、配管のエルボーの部分の通過にも適し、かつピグの姿勢が制御されて磁気センサによりピグの通過を確実に検出することができる。また、この形状のピグは、中央部が円柱形状に形成されているため、その円柱形状の長さ分だけ配管の内壁面と対向し、したがって配管内の製品が有効に押し出される。上記の形状の樹脂製のピグを使うことで食品用のプラントに一層適したピグ装置が構成される。
【発明の効果】
【0030】
以上の本発明のピグ装置によれば、圧送流体で配管内を圧送されてきたピグが、そのピグに大きな応力をかけることなく受け止められる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0033】
図1は、本発明の第1実施形態としてのピグ装置の外観斜視図、
図2は、
図1に外観を示す第1実施形態のピグ装置を示した各種の図である。具体的には、この
図2は、そのピグ装置の正面図(
図2(A))、平面図(
図2(B))、底面図(
図2(C))、
図2(A)に示す矢印A−Aに沿う断面図(
図2(D))、および
図2(A)に示す矢印B−Bに沿う断面図(
図2(E))である。また、
図3は、本実施形態のピグ装置で使われているピグの斜視図である。
【0034】
図1,
図2に示すピグ装置10には、その内部にピグ100が収容されている。
【0035】
ここでは先ず、
図3を参照して、ピグ装置10に収容されるピグ100について説明する。
【0036】
この第1実施形態のピグ装置で使われるピグ100は、少なくとも外装面がPTFE樹脂からなるピグであって、このピグ100の内部には、ピグ100の走行検出用の永久磁石(図示せず)が埋め込まれている。
【0037】
このピグ100は、配管(後述する)内を矢印A−A′方向に移動する。
【0038】
このピグ100は、円柱形状の中央部101と、その中央部101の配管に沿う前後方向(矢印A−A′方向)の両側に形成された一対の端部102a,102bとを有する。ピグ100の中央部101は、このピグ100を通過させることを予定している配管の内径よりも僅かに小径の部分であり、長さdに渡って一定の径に形成されている。
【0039】
また、一対の端部102a,102bは、中央部101から配管に沿う前後方向(矢印A−A′方向)の各向きにそれぞれ径が徐々に窄まった形状を有する。具体的には、本実施形態では、これらの端部102a,102bは楕球面の一部で形成されている。このピグ100は、以上の形状を有し、配管のエルボーの部分(曲がった部分)を通り抜けることができる。また、この形状により配管内での姿勢が制御され、内部に埋め込まれた永久磁石による磁力が配管外側の磁気センサで確実に検出され、これによりピグ100の通過が検出される。
【0040】
また、このピグ100は、中央部101がその長さdに渡って配管の内壁にほとんど接するように近接し、これにより、例えば球形のピグと比べ、配管内の製品の回収能力が高められている。
【0041】
次にこのピグ100を内蔵したピグ装置について説明する。
【0042】
図1,
図2に示すピグ装置10は、金属製の本体20と、同じく金属製のバイパス管30と、透明な樹脂製の蓋40と、エアバルブ50とを備えている。
【0043】
以下、このピグ装置10の説明にあたっては、
図1,
図2に加え、
図4を参照しながら説明する。
【0044】
図4は、ピグ装置が主配管60の両側に1つずつ設置され、その主配管内を製品が移送されている状態のピグシステムを示す模式図である。ただし、この
図4では製品の移送を担う主配管60は単純化され、かつ短縮化されて示されている。この主配管60は実際にはさらに長く、かつその途中部分に流路を湾曲させたエルボーが存在していてもよい。この主配管60は、本発明にいう第1の配管の一例に相当する。
【0045】
この
図4では、ピグ装置が2台設置されており、製品移送の上流側(
図4の左側)に設置されたピグ装置およびそのピグ装置の構成要素には、本実施形態のピグ装置やそのピグ装置の構成要素に付した符号にさらに添え字‘A’を付して示し、下流側(
図4の右側)に設置されたピグ装置およびそのピグ装置の構成要素には、添え字‘A’に代わり、添え字‘B’を付して示す。ただし、これら2台のピグ装置を区別する必要のない説明については、‘A’,‘B’のいずれの添え字も省いた符号のみを付して説明する。
【0046】
この
図4の一方のピグ装置10Aについては、縦断面図(A)と横断面図(B)とが示されている。もう一方のピグ装置10Bは、横断面図のみ示されている。
【0047】
このピグ装置10の本体20は、
図4に示すように、ピグ収容室21と、バルブ室22とを有する。ピグ収容室21およびバルブ室22は、それぞれ本発明にいうピグ収容室および第2室の各一例である。
【0048】
ピグ収容室21は、
図4(A)の縦断面にあらわれている通り、一本の仮想線を取り巻く開曲面をベースとする内周面である。本実施形態におけるピグ収容室21の内周面211は、具体的には、水平方向に延びる仮想線を中心線としたときの、その中心線から等距離にある面で形成された円筒面をベースとする内周面である。ただし、この内周面211には、管路との接続部分に穴が設けられている。このピグ収容室21の内周面211に設けられている穴としては、主配管60に接続される管路61に繋がる穴と、バイパス管30に繋がる穴が存在する。管路61に繋がる穴は、ピグ収容室21に収容されるピグ100とほぼ同じ高さ位置に設けられており、バイパス管30に繋がる穴はピグ収容室21から上方に向かう位置に形成されている。この内周面211がこのような閉曲面(本実施形態では円筒面)になっていることの作用については後述する。
【0049】
また、バルブ室22は、ピグ収容室21との間が横壁23で隔てられてピグ収容室21の横に設けられている。この横壁23の、主配管60に接続される側、すなわち管路61が設けられている側には、ピグ収容室21とバルブ室22とに通じる通路231が形成されている。
【0050】
また、ピグ収容室21の、横壁23に対向する側は、本体20としては開放されて大きな穴が形成されており、その穴が樹脂製の蓋40で塞がれていて、その蓋40が、横壁23と対になってピグ収容室21を画定するもう一方の横壁となっている。この蓋40は透明樹脂製であって、この蓋40を透してそのピグ収容室21にピグ100が収容されているか否かが視認される。この
図4および
図2(D)の断面図に示すように、この蓋40は、膨出部41を有する。この膨出部41は、ピグ収容室21の円周面211から離れた中央部分、具体的には
図1,
図2(A)に2点鎖線で示す円R1よりも内側の部分がピグ収容室21の内側に向かって円錐形状に膨出している。この膨出部41の作用についてもピグ収容室21の円筒形の内周面211の作用とともに後述する。
【0051】
バルブ室22には、エアバルブ50の弁体51が配置されている。この弁体51は、エアバルブ50の作動により、ピグ収容室21とバルブ室22との間の通路231をバルブ室22側から開放および閉鎖する。
図4では、2つのピグ装置10A,10Bのうちの、製品移送の上流側(
図4の左側)のピグ装置10Aの通路231Aは閉鎖された状態にあり、下流側(
図4の右側)のピグ装置10Bの通路231Bは開放された状態にある。また
図2(E)には、その通路231を閉鎖した状態の弁体51が示されている。この弁体51は、通路231を開放した状態においてその通路231に向かって膨出したピグ制止部511を有する。このピグ制止部511は、この弁体51で通路231が閉鎖されたときにその通路231を通ってピグ収容室21側に進入して、そのピグ収容室21内のピグ100が主配管60側に移動するのを制止する役割を担っている。
【0052】
また、このバルブ室22は、主配管60に製品等を送り込み、また主配管60内を移送されてきた製品等をさらに下流側に送り出すための配管(図示せず)が接続される管路71に繋がっている。
【0053】
さらに、バイパス管30は、ピグ収容室21とバルブ室22とを繋ぐバイパス流路を形成している管路である。このバイパス管30により、ピグ収容室21の、主配管60が接続される管路61と繋がる入口から離れた奥側と、バルブ室22とを繋ぐバイパス流路が形成されている。本実施形態のピグ装置10ではさらに、このバイパス流路は、ピグ収容室21の上記の奥側と、バルブ室22の、管路71と繋がる入口から離れた奥側とを、本体20の上方を経由して繋いでいる。
【0054】
さらにエアバルブ50は、空気圧による制御を受けて弁体51を通路231から離して通路231を開放し、また、その弁体51で通路231を塞ぐ役割を担っている。このエアバルブ50は、本発明にいうピグ制止部材の一例である。
【0055】
以上で、ピグ装置10の構成の説明を終了し、次に、第1実施形態のピグ装置10を備えた第1のピグシステムの動作を説明する。ここでは、ピグ装置10の構成の説明に併用した
図4を含む、
図4〜
図8を参照しながら第1のピグシステムの動作の一例を説明する。
【0056】
これら
図4〜
図8は、第1のピグシステムの動作を順を追って示した模式図である。
【0057】
ここで、
図4には、製品を送液している状態が示されている。
【0058】
また、
図5には、ピグ100を圧送している途中の状態が示されている。
【0059】
また、
図6には、ピグ100の圧送が終了した時点の状態が示されている。
【0060】
また、
図7には、ピグ100が下流側のピグ装置10Bのピグ収容室21Bに閉じ込められている状態が示されている。
【0061】
また、
図8には、ピグ100が送り戻されている途中の状態が示されている。
【0062】
さらに
図9には、ピグ100が送り戻された直後の状態が示されている。
【0063】
図4は、ピグ装置10Aについては横壁23Aの通路231Aが閉鎖された状態にあり、ピグ装置10Bについては横壁23Bの通路231Bが開放された状態にある。この
図4に示す矢印に沿って、左側に示されたピグ装置10Aの管路71Aから送り込まれた製品80が、そのピグ装置10Aの、バイパス管30Aによって形成されたバイパス流路を通り、管路61A,主配管60を通って右側に示されたピグ装置10Bの管路61B,通路231Bおよびバイパス管30Bによるバイパス流路,管路71Bを通ってさらに下流側に送り出されている。
【0064】
このとき、ピグ100は、ピグ装置10Aのピグ収容室21A内にあって、
図4(A)に示すように製品80に浸った状態にあり、その製品80によりピグ収容室21Aから主配管60側に送り出される向きの流圧を受けるが、弁体51Aの、ピグ収容室21A側に膨出したピグ制止部511Aにより、ピグ100がピグ収容室21Aから配管60側に送り出されることが制止されているため、ピグは、この段階では主配管60側には送り出されずにピグ収容室21A内に留まっている。
【0065】
製品80の送液が終了する直前のタイミングで、
図5に示すように、左側に示されたピグ装置10Aエアバルブ50Aの弁体51Aが通路231Aから離れ、通路231Aが開放される。この時点では、右側に示されたピグ装置10Bの通路231Bは開放状態が維持される。エアバルブ50A,50Bをこのように制御しておいて、今度は左側のピグ装置10Aの管路71Aから無菌水81を送り込む。この無菌水81は、ピグ100圧送するための圧送流体の一種であり、主配管60等の荒洗浄を兼ねている液体である。管路71Aからピグ装置10Aに送り込まれた無菌水81は、
図5に矢印で示されている通り、通路231Aとバイパス管30Aによるバイパス流路の双方を通って流れ、このときピグ収容室21Aに収容されているピグ100がピグ収容室21Aから主流管60に押し出され、無菌水81により押されて主配管60内を進む。右側のピグ装置10Bの通路231Bは開放されているため、主配管60内に残存していた製品は、ピグ100に押されてその通路231Bおよびバイパス流路を通って管路71Bに抜け、その管路71Bから送り出された後、その後を追う無菌水81が混入する直前まで回収される。
【0066】
ピグ100は無菌水81により圧送されて進み、
図6に示すように、図示の右側のピグ装置10Bのピグ収容室21B内に送り込まれる。
【0067】
ここで、この
図6およびこの
図6に続く
図7、
図8には、右側のピグ装置10Bについて横断面(C)のほか、縦断面(D)も示されている。その一方、これら
図6〜
図8では左側のピグ装置10Aについては横断面のみ示され、
図4,
図5に示されている縦断面は示されていない。
【0068】
ピグ100を圧送してきた無菌水81は、ピグ装置10Bの通路231Bが開放されているため、ピグ100をピグ収容室21Bに送り込むタイミングで、製品80の後を追って通路231Bを通って管路71Bに抜ける。したがってピグ収容室21Bに送り込まれたピグ100は、ピグ収容室21Bに送り込まれたときには、無菌水81の押圧力からほぼ開放された状態となる。
【0069】
このピグ100は、ピグ収容室21Bに送り込まれるとそのピグ収容室21Bの円筒形の内周面211Bを滑りながら、その内周面211Bに沿って、
図6(D)の縦断面図に破線の矢印で示す軌跡を描いて回転する。この回転によりピグ100の運動エネルギーが吸収されて停止する。このときピグ100は、重力に従って、ピグ収容室21Bの内周面211Bのうちの下面に接した状態で停止する。この下面に接した状態のピグ100は、管路71Bに対向した位置である。
【0070】
この第1実施形態のピグ100は、ピグ収容室21に収容されたときに、そのピグ100の、
図3を参照して説明した端部102a,102bがピグ収容室21の内壁面211の円筒形状にほぼ沿う形状となっている。本実施形態のピグ装置100では、ピグ100のこの形状により、ピグ収容室21に送り込まれたときの回転運動の円滑化と、回転が終わった後のピグ収容室21内での姿勢安定化がさらに向上している。
【0071】
さらに、前述の通り、第1実施形態のピグ装置10を構成している蓋40は、ピグ収容室21の内側に膨らんだ膨出部41を有する。ピグ100がピグ収容室21に送り込まれて回転する際はこの膨出部41がその回転運動のガイドとして作用し、この第1実施形態では、この点でもピグ100の回転運動の一層の円滑化が図られている。
【0072】
ピグ100が右側のピグ装置10Bに送り込まれると、エアバルブ50Bが作動し、
図7に示すように、通路231Bが弁体51Bで閉鎖される。このとき、その弁体51Bのピグ制止部511Bがピグ収容室21B側に進入して、ピグ収容室21B内のピグ100の、主配管60側への移動を阻止する状態となる。
【0073】
次いで、今度は左側のピグ装置10Aの管路71Aから例えば洗浄液(図示せず)が送り込まれて主配管60が洗浄される。このとき、2つのピグ装置10A,10Bの内部も洗浄される。さらに、ピグ装置10Bのピグ収容室21Bに送り込まれたピグ100は、ピグ収容室21B内で完全に静止している訳ではなく流れ込んできた洗浄水で揺れてピグ100も洗浄される。十分な洗浄が済んだ後、ピグ装置10A側から再び無菌水が流し込まれ、主配管60、2つのピグ装置10A,10B、およびピグ100が十分に濯がれる。
【0074】
その後、今度は、
図8に示すように、右側のピグ装置10Bの通路231Bが開放される。この時点では左側のピグ装置10Aの通路231Aも開放された状態にとどまる。こうしておいて、今度は右側のピグ装置10Bの管路71Bから圧縮されたクリーンエア82が送り込まれる。このクリーンエア82もピグ100を圧送するための圧送流体の一種である。管路71Bからピグ装置10B内に送り込まれたクリーンエア82は、バルブ室22Bから通路231Bのみでなく、バイパス流路にも入り込んでピグ収容室21Bの、主配管60から見たときの奥側に吹き出し、ピグ100を主配管60側に押し出す。すると、ピグ100は、クリーンエア82に押されて、
図8に示すように、主配管60に残存している無菌水81を左側のピグ装置10A側に押し出しながら主配管60内を進み、
図9に示すように、左側のピグ装置10Aのピグ収容室21Aに送り込まれる。このときの動作は、このピグ100が右側のピグ装置10Bのピグ収容室21Bに送り込まれたときと同様である。すなわち、ピグ100がピグ収容室21Aに送り込まれるタイミングでクリーンエア82は通路231Aを通って流れ出し、ピグ100は、その瞬間にクリーンエア82による押圧からほぼ解放され、それまで移動してきたことによる運動エネルギーは、
図8(A)の縦断面図上の破線の矢印で示すようにピグ収容室21Aの内周面211Aに沿って回転することで吸収されて、そのピグ収容室21A内で停止する。ピグ100に押し出された無菌水82は、管路71Aを通ってピグ装置10Aの外部に排出される。
【0075】
ピグ100がピグ装置10Aのピグ収容室21Aに収容されると、エアバルブ50Aが作動し通路231Aが弁体51Aで閉鎖されて、
図4に示す、製品80の送液を開始する状態に戻る。製品80の次回の送液も
図4に示す状態で開始される。
【0076】
ここで、上述した第1のピグシステムの動作は、左側のピグ装置10A側から右側のピグ装置10B側へと送液するときの動作の一例であるが、この第1のピグシステムには、上流側と下流側との双方に同一構造のピグ装置10A,10Bが配置されていることから分かるように、製品80等を双方向に送液するシステムにも適用することができる。
【0077】
また、上述の第1のピグシステムを構成する2つのピグ装置10A,10Bは、エアバルブ50A,51Bを有し、さらに通路231A,231Bを開閉する弁体51A,51Bがピグ制止部511A,511Bを有するため、弁体51A,51Bで通路231A,231Bを閉鎖することにより、ピグ収容室21A,21B内に収容されたピグ100が不用意に主配管60に移動することを阻止し、ピグ100をピグ収容室21A,21Bに確実に閉じ込めておくことができるシステムとなっている。
【0078】
次に、製品80の送液方向が一方向に限られ、かつピグ100がピグ収容室21から主配管側に移動することを許容した第2実施形態のピグ装置およびそのピグ装置を採用した第2ピグシステムについて説明する。
【0079】
図10は、本発明の第2実施形態としてのピグ装置の外観図である。
【0080】
図10(A)は正面図、
図10(B)、(C)は、
図10(A)の正面図との配置関係でを示す、それぞれ斜めの上方、斜め下方から見た図である。
【0082】
前述の第1実施形態のピグ装置10の構成要素と同一の構成要素には、その第1実施形態のピグ装置10の図面において付した符号と同一の符号に添え字Xを付して示し相違点について説明する。
【0083】
この第2実施形態のピグ装置10Xにも、前述の第1実施形態のピグ装置10と同様、
図3に示す形状のPTFE樹脂からなるピグ100が使用される。
【0084】
この第2実施形態のピグ装置10Xは、概括的に述べると、前述の第1実施形態のピグ装置10のピグ収容室21のみからなり、キャッチャ側に使用されるピグ装置である。
【0085】
上流側から送液されてきた製品は、管路61Xを通ってこのピグ装置10X内に流れ込み、もう一方の管路71Xを通ってこのピグ装置10Xから流れ出る。
【0086】
一方、上流側から圧送されてきたピグは、管路61Xを通ってこのピグ装置10Xに入り込み膨出部41Xにガイドされながらピグ収容室21Xの内周面211Xに沿って回転して停止する。
【0087】
次にこの第2実施形態のピグ装置10Xを採用した第2ピグシステムについて説明する。
【0088】
図13〜
図17は、上流側から下流側向かって主配管内を製品が移送される、第2のピグシステムを示す模式図である。この第2のピグシステムでは、上流側に第1実施形態のピグ装置10A、下流側に第2実施形態のピグ装置10Xが配置されている。
図4〜
図9に示す、前述の第1のピグシステムと同様、この第2のピグシステムにおいても製品の移送を担う主配管60は単純化され、かつ短縮化されて示されている。この主配管60は実際にはさらに長く、かつその途中部分に流路を湾曲させたエルボーが存在していてもよい。
【0089】
図13,
図14,
図17においては、上流側のピグ装置10Aについて縦断面図(A)と横断面図(B)とが示され、下流側のピグ装置10Xについては横断面図のみが示されている。また
図15および
図16には、上流側のピグ装置10Aについては横断面図のみ、下流側のピグ装置10Xについて横断面図(C)と縦断面図(D)が示されている。
【0090】
これらの
図13〜
図17は、第2のピグシステムの動作を順を追って示した模式図である。ここでは、これらの
図13〜
図17を参照しながら第2のピグシステムの動作の一例を説明する。
【0091】
ここで、
図13には、製品80を送液している状態が示されている。
【0092】
また、
図14には、ピグ100を圧送している途中の状態が示されている。
【0093】
また、
図15には、ピグ100の圧送が終了した時点の状態が示されている。
【0094】
また、
図16には、ピグ100が送り戻されている途中の状態が示されている。
【0095】
さらに
図17には、ピグ100が送り戻された直後の状態が示されている。
【0096】
図13では、上流側のピグ装置10Aの横壁23Aの通路231Aが閉鎖された状態にある。左側に示されたピグ装置10Aの管路71Aから製品80が送り込まれ、その製品80は、この
図13に示す矢印に沿って、ピグ装置10Aの、バイパス管30Aによって形成されたバイパス流路を通り、管路61A,主配管60を通って右側に示されたピグ装置10Xの管路61X,ピグ収容室21X,管路71Xを通ってさらに下流側に送り出されている。
【0097】
このとき、ピグ100は、ピグ装置10Aのピグ収容室21A内にあって、
図13(A)に示すように製品80に浸った状態にあり、その製品80によりピグ収容室21Aから主配管60側に送り出される向きの流圧を受けるが、弁体51Aのピグ制止部511Aによりピグ100がピグ収容室21Aから配管60側に送り出されることが制止されているため、ピグは、主配管60側に送り出されることなくピグ収容室21A内に留まっている。
【0098】
製品80の送液が終了する直前のタイミングで、
図14に示すように、左側に示されたピグ装置10Aエアバルブ50Aの弁体51Aが通路231Aから離れ、通路231Aが開放される。このようにして通路231Aを開放しておいて、今度は左側のピグ装置10Aの管路71Aから無菌水81を送り込む。この無菌水81は、ピグ100圧送するための圧送流体の一種であり、主配管60等の荒洗浄を兼ねている液体である。管路71Aからピグ装置10Aに送り込まれた無菌水81は、
図14に矢印で示されている通り、通路231Aとバイパス管30Aによるバイパス流路の双方を通って流れる。このときピグ収容室21Aに収容されていたピグ100がピグ収容室21Aから主流管60に押し出され、無菌水81により押されて主配管60内を進む。主配管60内に残存していた製品は、ピグ100に押されて下流側のピグ装置10Xを通って管路71Xに抜け、その管路71Xから送り出された後、その後を追う無菌水81が混入する直前まで回収される。
【0099】
ピグ100は無菌水81により圧送されて進み、
図15に示すように、図示の右側のピグ装置10Xのピグ収容室21X内に送り込まれる。
【0100】
ピグ100を圧送してきた無菌水81は、ピグ100をピグ収容室21Bに送り込み、製品80の後を追って管路71Xに抜ける。
【0101】
このピグ100は、ピグ収容室21Xに送り込まれるとそのピグ収容室21Bの円筒形の内周面211Xを滑りながら、その内周面211Xに沿って、
図15(D)の縦断面図に破線の矢印で示す軌跡を描いて回転する。この回転によりピグ100の運動エネルギーが吸収されて停止する。このときピグ100は、重力に従って、ピグ収容室21Xの内周面211Xのうちの下面に接した状態で停止する。この下面に接した状態のピグ100は、管路61Xに対向した位置である。
【0102】
ピグ100は、ピグ収容室21Xに収容されたときに、そのピグ100の、
図3を参照して説明した端部102a,102bがピグ収容室21の内壁面211の円筒形状にほぼ沿う形状となっている。本実施形態のピグ装置100では、ピグ100のこの形状により、ピグ収容室21Xに送り込まれたときの回転運動の円滑化と、回転が終わった後のピグ収容室21X内での姿勢安定化がさらに向上している。
【0103】
さらに、前述の第1実施形態のピグ装置10Xと同様、第2実施形態のピグ装置10Xを構成している蓋40Xは、ピグ収容室21Xの内側に膨らんだ膨出部41Xを有する。ピグ100がピグ収容室21Xに送り込まれて回転する際はこの膨出部41Xがその回転運動のガイドとして作用し、この第2実施形態においても、この点でもピグ100の回転運動の一層の円滑化が図られている。
【0104】
ピグ100が右側のピグ装置10Xに送り込まれると、今度は左側のピグ装置10Aの管路71Aから例えば洗浄液(図示せず)が送り込まれて主配管60が洗浄される。このとき、2つのピグ装置10A,10Xの内部も洗浄される。さらに、ピグ装置10Xのピグ収容室21Xに送り込まれたピグ100は、ピグ収容室21B内で完全に静止している訳ではなく流れ込んできた洗浄水で揺れてピグ100も洗浄される。十分な洗浄が済んだ後、ピグ装置10A側から再び無菌水が流し込まれ、主配管60、2つのピグ装置10A,10X、およびピグ100が十分に濯がれる。
【0105】
ただし、この下流側のピグ装置10Xには、ピグ100をピグ収容室21X内に強制的に閉じ込めておく構造は備えられておらず、ピグ収容室21Xにまで圧送され回転して一旦停止した後、上流側への戻り液等に流されてピグ収容室21Xから主配管60に移動するおそれがある。このように、この第2のピグシステムはピグ100がピグ収容室21Xから主配管60に移動することを許容するシステムとなっている。
【0106】
洗浄水で洗浄され、無菌水が流し込まれて十分に流れた後、今度は右側のピグ装置10Xの管路71Xから圧縮されたクリーンエア82が送り込まれる。このクリーンエア82もピグ100を圧送するための圧送流体の一種である。
【0107】
管路71Xからピグ装置10X内に送り込まれたクリーンエア82は、ピグ100を主配管60側に押し出す。すると、ピグ100は、クリーンエア82に押されて、
図16に示すように、主配管60に残存している無菌水81を左側のピグ装置10A側に押し出しながら主配管60内を進み、
図17に示すように、左側のピグ装置10Aのピグ収容室21Aに送り込まれる。そのタイミングでクリーンエア82は通路231Aを通って流れ出し、ピグ100は、ピグ収容室21Aに送り込まれると、
図17(A)の縦断面図上の破線の矢印で示すようにピグ収容室21Aの内周面211Aに沿って回転して、そのピグ収容室21A内で停止する。ピグ100に押し出された無菌水82は、管路71Aを通ってピグ装置10Aの外部に排出される。
【0108】
ピグ100がピグ装置10Aのピグ収容室21Aに収容されると、エアバルブ50Aが作動し通路231Aが弁体51Aで閉鎖されて、
図13に示す、製品80の送液を開始する状態に戻る。製品80の次回の送液も
図13に示す状態で開始される。
【0109】
この第2のピグシステムから分かる通り、第2実施形態のピグ装置10Xはキャッチャー側に使用されるピグ装置であり、かつピグ100がピグ収容室21Xに留まったままとならずに、上流側に送られるよりも前に主配管60側に勝手に移動してしまうことを許容しているピグ装置である。このような条件を許すシステムの場合、下流側のピグ装置として上述の第1実施形態のピグ装置に代えて第2実施形態のピグ装置を使うことでコストダウンを図ることができる。
【0110】
次に、本発明の第3実施形態のピグ装置について説明する。
【0111】
図18は、本発明の第3実施形態としてのピグ装置の外観斜視図である。
【0112】
また、
図19,
図20は、ピグ収容室内にピグが存在しないことを除き
図18に示すピグ装置と同じピグ装置であって、それぞれ別々の角度から見たときの外観斜視図である。
【0113】
さらに、
図21は、
図18に外観を示す第3実施形態のピグ装置を示した各種の図である。具体的には、この
図21は、そのピグ装置の正面図(A)、平面図(B)、
図21(A)に示す矢印M−Mに沿う断面図(
図21(C))、
図21(A)に示す矢印N−Nに沿う断面図(
図21(D)、および
図21(A)に示す矢印F−Fに沿う断面図(
図21(E))である。
【0114】
第3実施形態のピグ装置10Yは、
図1〜
図9を参照しながら説明した第1実施形態のピグ装置10と同様、キャッチャー側とランチャー側との双方に兼用可能なピグ装置である。ここでも、
図1〜
図9を参照しながら説明した第1実施形態のピグ装置10の構成要素と同一の構成要素には、
図1〜
図9において付した符号と同一の符号に添え字Yを付して示し、第1実施形態のピグ装置10との相違点についてのみ説明する。
【0115】
この第3実施形態のピグ装置10Yは、第1実施形態のピグ装置10と比べたとき、下記の2点について相違している。
【0116】
図1〜
図9に示す第1実施形態のピグ装置10の場合、弁体51により通路231が開閉自在に塞がれる構造となっている。またその弁体51がピグ制止部511を有し、このピグ制止部511は、弁体51で通路231が閉鎖されたときにその通路を通ってピグ収容室21側に進入して、そのピグ収容室21内のピグ100が管路61を通って主配管60側に移動するのを制止する役割を担っている。
【0117】
これに対し、
図18〜
図21に示すエアバルブ50Yは、第1実施形態のピグ装置10の弁体51に似た弁体52を有する。この弁体52は、進退自在に通路231Yを通ってピグ収容室21Y側に進入し、進入時にはピグ収容室21Yに収容されているピグ100が管路61Y側に移動するのを制止する役割を担っている。ただし、この弁体52は、通路231Yを閉鎖するものではなく、弁体52が通路231Yを通ってピグ収容室21Y側に進入した状態においても、その弁体52の周りに流路が形成されている。この点が第1の相違点である。この第3実施形態のピグ装置10Yの場合、弁体52を含むエアバルブ50Yが本発明にいうピグ制止部材の一例に相当する。
【0118】
また、第1実施形態のピグ装置10の場合、バイパス管30を備えており、このバイパス管30により、ピグ収容室21の、主配管60が接続される管路61と繋がる入口から離れた奥側と、バルブ室21とを繋ぐバイパス流路が形成されている。
【0119】
これに対し、この第3実施形態のピグ装置10Yの場合、ピグ収容室21Yの、管路61Yと繋がる入口から離れた奥側に、配管71Y側に繋がるバイパス流路31が形成されている。このバイパス流路31は、ピグ収容室21Yの奥側の部分が、円弧状に、ピグ収容室21Y側からバルブ室21Y又は管路71Yに向かって徐々に深く削られた形状の斜面311が形成され、その削りが徐々に深くなった結果、管路71Y又はバルブ室22Y側にバイパス流路31が開いた状態となっている。
【0120】
ここで、横壁23Yに単純な穴を開けてその穴をバイパス流路とした場合、その単純に開いたバイパス流路がピグ100で塞がれてしまうおそれがある。これに対し、この第3実施形態のピグ装置10Yでは、そのバイパス流路31に繋がる斜面311が形成されているため、そのバイパス流路31がピグ100で塞がれてしまう事態を避けることができる。また、この第3実施形態のピグ装置10Yの場合、上述の第1実施形態のピグ装置10のようなバイパス管30は不要であり、その分、構造が簡略化されている。
【0121】
第1実施形態のピグ装置10の場合、
図4〜
図8を参照してピグ装置10の動作の一例を説明している。この第3実施形態のピグ装置10Yも、その動作の一例は第1実施形態のピグ装置10の動作例と同じであり、ここでは、第3実施形態のピグ装置10Yについての動作例の説明は省略する。
【0122】
尚、上述の第1〜第3実施形態は、いずれもPTFE樹脂からなり、かつ、
図3を参照して説明した形状のピグ100を使うピグ装置であり、食品製造プラントなど衛生面について特に慎重さを要するプラント向けとなっている。ただし、本発明は、この材質、この形状のピグを使うピグ装置である必要はなく、走行途中のピグの現在位置を特に知る必要のないシステムであれば、例えば球形のピグを使うピグ装置であってもよい。さらに本発明は、食品製造プラント向けにのみ適用できるピグ装置ではなく、もっと広く様々な送液システムに適用することが可能であり、その場合、従前から使われているゴム製のピグを用いるピグ装置であってもよい。
【0123】
また、ここで示した第1〜第3の実施形態は、いずれも、円筒形をベースとする内周面を有するピグ収容室を備えたピグ装置であるが、ピグ収容室の内周面は必ずしも円筒形状である必要はなく例えば楕円形状などの閉曲面をベースとするものであってもよい。
【0124】
また、ピグ収容室を塞いで一方の横壁を成す蓋は透明樹脂製である旨、説明したが、ピグ収容室の内部を視認する必要がない場合は、この蓋は必ずしも透明である必要はない。
【0125】
さらに、第1実施形態のピグ装置ではエアバルブを備え、このエアバルブで通路を開閉する構成としているが、通路を開閉する開閉部材であればよく、エアバルブに限られるものではなく、例えば電気信号に応じて通路を開閉する電磁弁やソレノイド等であってもよく、あるいは手動弁であってもよい。
【0126】
第3実施形態のピグ装置の場合も同様であり、エアバルブに代えて電磁弁やソレノイド等、あるいは手動弁を採用してもよい。