特許第6091290号(P6091290)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6091290区間情報管理システム、方法およびプログラム
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  • 特許6091290-区間情報管理システム、方法およびプログラム 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6091290
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】区間情報管理システム、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20170227BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   G08G1/00 D
   G01C21/26 A
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-73546(P2013-73546)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-197359(P2014-197359A)
(43)【公開日】2014年10月16日
【審査請求日】2015年12月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100768
【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501271479
【氏名又は名称】株式会社トヨタマップマスター
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners 特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100167254
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 貴亨
(72)【発明者】
【氏名】宮島 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】平野 怜司
(72)【発明者】
【氏名】河合 博樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真吾
(72)【発明者】
【氏名】國松 健治
(72)【発明者】
【氏名】山下 由美子
(72)【発明者】
【氏名】小段 友紀
(72)【発明者】
【氏名】田中 邦明
(72)【発明者】
【氏名】清水 泰博
【審査官】 島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/049767(WO,A1)
【文献】 特開2004−354395(JP,A)
【文献】 特開2012−057957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00
G01C 21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が所定の動作を行った区間を示す区間情報を記録する区間情報記録手段と、
前記区間における前記車両の走行回数を当該区間に対応付けて記録する走行回数記録手段と、
前記区間において前記車両が前記動作を行った動作回数を当該区間に対応付けて記録する動作回数記録手段と、
前記走行回数が所定の回数条件を満足し、かつ、前記走行回数に対する前記動作回数の割合である動作割合が所定の割合条件を満足する前記区間についての前記区間情報を記録媒体から削除する削除手段と、
を備える区間情報管理システム。
【請求項2】
前記削除手段は、前記走行回数が所定の回数閾値よりも大きく、かつ、前記動作割合が所定の割合閾値よりも小さい前記区間についての前記区間情報を削除する、
請求項1に記載の区間情報管理システム。
【請求項3】
前記削除手段は、前記走行回数が前記回数閾値よりも大きく、かつ、前記動作割合が前記割合閾値よりも小さい前記区間のうち、最終走行時刻が最も古い区間についての前記区間情報を削除する、
請求項2に記載の区間情報管理システム。
【請求項4】
前記削除手段は、前記走行回数が前記回数閾値よりも大きい前記区間のすべてについての前記動作割合が前記割合閾値以上である場合、
前記走行回数が前記回数閾値よりも大きい前記区間のうち最も前記動作割合が小さい前記区間についての前記区間情報を削除する、
請求項2または請求項3のいずれかに記載の区間情報管理システム。
【請求項5】
前記削除手段は、前記走行回数が前記回数閾値よりも大きい前記区間が存在しない場合、前記動作割合が最も小さい前記区間についての前記区間情報を削除する、
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の区間情報管理システム。
【請求項6】
前記区間情報記録手段は、前記車両が減速した前記区間を示す前記区間情報を記録する、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の区間情報管理システム。
【請求項7】
車両が所定の動作を行った区間を示す区間情報を記録する区間情報記録工程と、
前記区間における前記車両の走行回数を当該区間に対応付けて記録する走行回数記録工程と、
前記区間において前記車両が前記動作を行った動作回数を当該区間に対応付けて記録する動作回数記録工程と、
前記走行回数が所定の回数条件を満足し、かつ、前記走行回数に対する前記動作回数の割合である動作割合が所定の割合条件を満足する前記区間についての前記区間情報を記録媒体から削除する削除工程と、
を含む区間情報管理方法。
【請求項8】
車両が所定の動作を行った区間を示す区間情報を記録する区間情報記録機能と、
前記区間における前記車両の走行回数を当該区間に対応付けて記録する走行回数記録機能と、
前記区間において前記車両が前記動作を行った動作回数を当該区間に対応付けて記録する動作回数記録機能と、
前記走行回数が所定の回数条件を満足し、かつ、前記走行回数に対する前記動作回数の割合である動作割合が所定の割合条件を満足する前記区間についての前記区間情報を記録媒体から削除する削除機能と、
をコンピュータに実行させる区間情報管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、区間ごとの区間情報を記録する区間情報管理システム、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転支援を行う対象の地点を学習する技術が知られている(特許文献1、参照。
)。
特許文献1において、減速操作が行われた回数が所定の回数以上の地点を、当該運転支援を行う対象の地点として学習している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−227833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一度でも減速操作を行った地点のすべてについて、少なくとも減速操作が行われた回数を記録しておかなければならず、膨大な数の地点を管理しなければならないという問題があった。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、区間情報によって管理する区間の数が増大することを防止する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の目的を達成するため、本発明において、区間情報記録手段は、車両が所定の動作を行った区間を示す区間情報を記録する。走行回数記録手段は、区間における車両の走行回数を当該区間に対応付けて記録する。動作回数記録手段は、区間において車両が動作を行った動作回数を当該区間に対応付けて記録する。そして、削除手段は、走行回数に対する動作回数の割合である動作割合が所定の割合条件を満足する区間についての区間情報を削除する。前記の構成において、削除手段は、動作割合が割合条件を満足する区間についての区間情報を削除するため、区間情報によって管理する区間の数が増大することを防止できる。
【0006】
区間情報記録手段は、車両が所定の動作を行った区間を示す区間情報を記録すればよく、所定の動作とは運転支援を行う対象の動作であってもよい。これにより、区間情報を取得した運転支援装置等において、運転支援を行う区間を特定できる。所定の動作とは、車両自体の動作であってもよいし、運転者の運転操作であってもよい。運転支援とは、車両を直接制御することであってもよいし、運転者に警告や案内等を提供することであってもよい。区間とは、車両が走行可能な道路の一部を意味し、道路上において長さを有する区間であってもよいし、道路上において長さを有さない区間(すなわち地点)であってもよい。
また、区間情報は、少なくとも区間が特定可能な情報であればよく、所定の動作を行った区間が存在するリンクを示す情報を含んでもよい。また、区間情報は、リンク上において所定の動作を行った開始地点や終了地点を示す情報を含んでもよいし、リンク上において所定の動作を行った距離を示す情報を含んでもよい。さらに、区間情報は、リンク上において運転支援を行う開始地点や終了地点を示す情報を含んでもよいし、リンク上において運転支援を行う距離を示す情報を含んでもよい。
【0007】
走行回数記録手段は、区間における車両の走行回数を当該区間に対応付けて記録すればよく、過去に所定の動作を行った区間を車両が再度走行した場合に、当該区間についての走行回数に1を加算すればよい。動作回数記録手段は、区間において車両が動作を行った動作回数を当該区間に対応付けて記録すればよく、過去に所定の動作を行った区間にて車両が再度所定の動作を行った場合に、当該区間についての動作回数に1を加算すればよい。
【0008】
削除手段は、動作割合が割合条件を満足する区間についての区間情報を削除すればよく、割合条件は運転支援を実施する動作割合に対応してもよい。これにより、運転支援を実施する対象でない動作割合が対応付けられた区間についての区間情報を削除できる。例えば、動作割合が小さい区間では所定の動作のための運転支援が無駄に実施される可能性が高いため、動作割合が閾値よりも小さい区間についての区間情報を削除してもよい。区間情報を削除するとは、記録媒体において区間情報を消去することであってもよい。また、区間情報を削除するとは、記録媒体において区間情報を消去しないにしても、当該区間情報を参照しないように無効化することであってもよい。
【0009】
さらに、削除手段は、走行回数が所定の回数条件を満足し、かつ、動作割合が割合条件を満足する区間についての区間情報を削除してもよい。これにより、走行回数と動作割合との組み合わせに基づいて、削除の可否を判定できる。例えば、走行回数が小さい区間では区間情報が利用される可能性が低いため、走行回数が閾値よりも小さい区間についての区間情報を削除してもよい。
【0010】
具体的に、削除手段は、走行回数が所定の回数閾値よりも大きく、かつ、動作割合が所定の割合閾値よりも小さい区間についての区間情報を削除してもよい。ここで、動作割合とは、区間にて車両が所定の動作を行う確率を示し、当該確率の信頼度は標本数としての走行回数が大きいほど高くなる。従って、走行回数が所定の回数閾値よりも大きい区間についての動作割合は、区間にて車両が所定の動作を行う真の確率を高い信頼度で示すと考えることができる。従って、走行回数が回数閾値よりも大きく、かつ、動作割合が割合閾値よりも小さい区間についての区間情報を削除することにより、車両が所定の動作を行う確率が真に低いと高い信頼度で判断できる区間についての区間情報を削除できる。
【0011】
さらに、削除手段は、走行回数が回数閾値よりも大きく、かつ、動作割合が割合閾値よりも小さい区間のうち、最終走行時刻が最も古い区間についての区間情報を削除してもよい。これにより、車両が所定の動作を行う真の確率が低いと高い信頼度で判断できる区間が複数存在する場合、当該複数存在する区間のうち最終走行時刻が最も古い区間についての区間情報を削除できる。すなわち、車両が所定の動作を行う真の確率が低く、かつ、車両が今後走行する可能性が低い区間についての区間情報を削除できる。
【0012】
また、削除手段は、走行回数が回数閾値よりも大きい区間のすべてについての動作割合が割合閾値以上である場合、走行回数が回数閾値よりも大きい区間のうち最も動作割合が小さい区間についての区間情報を削除してもよい。これにより、車両が所定の動作を行う確率を高い信頼度で判断できる区間のうち、車両が所定の動作を行う確率が最も低いと判断できる区間についての区間情報を削除できる。走行回数が回数閾値以下の区間についての区間情報を削除対象としないため、例えば走行回数が小さくなりがちな新設道路等についての区間情報が削除されることを防止できる。
【0013】
削除手段は、走行回数が回数閾値よりも大きい区間が存在しない場合、動作割合が最も小さい区間についての区間情報を削除してもよい。走行回数が最も小さい区間についての区間情報を削除対象としないため、例えば走行回数が小さくなりがちな新設道路等についての区間情報が削除されることを防止できる。
【0014】
区間情報記録手段は、車両が減速した区間を示す区間情報を記録してもよい。これにより、運転支援としての減速支援を行うための区間情報を記録できる。むろん、区間情報は、減速以外の動作を行った区間を示してもよく、加速した区間や操舵が行われた区間や駐車を行った区間等を示してもよい。
【0015】
さらに、本発明のように、区間情報を削除する手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合や、複数の装置によって実現される場合、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合が想定可能であり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような手段を備えた区間情報管理装置や方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】ナビゲーション装置を示すブロック図である。
図2】区間情報記録処理を示すフローチャートである。
図3】区間情報削除処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)ナビゲーション装置の構成:
(2)区間情報記録処理:
(3)他の実施形態:
【0018】
(1)ナビゲーション装置の構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかる区間情報管理システムとしてのナビゲーション装置10の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置10は、車両に備えられている。ナビゲーション装置10は、制御部20と記録媒体30とを備えている。制御部20は、CPUとRAMとROM等を備え、記録媒体30やROMに記憶されたプログラムを実行する。記録媒体30は、地図情報30aと区間情報データベース(DB)30bとを記録する。
【0019】
地図情報30aは、道路上に設定されたノードの位置等を示すノードデータと、ノード同士を接続する道路に対応するリンクについての情報を示すリンクデータと、ノード同士を接続する道路の形状等を示す形状補間点データとを含んでいる。本実施形態において、リンクは、車両の走行方向ごとに設けられていることとする。すなわち、ある道路と、当該道路と車両の走行方向が反対の対向道路とが併設されている場合、当該道路と対向道路とのそれぞれについてリンクが設定されていることとする。
【0020】
区間情報DB30bは、車両が減速を行った減速区間についての情報を示す区間情報を記録したデータベースである。区間情報は、減速区間ごとに、減速リンクLと終点Pと最終車速Vと減速回数Gと走行回数Sと更新時刻Tとを対応付けて記録した情報である。図1の区間情報DB30bにおいて、区間数Zの減速区間(1〜Z)のそれぞれについて区間情報が記録されている。減速リンクLとは、車両が減速を行った道路に対応するリンクを意味する。終点Pは、減速の終了地点である。減速の終了地点とは、車速が0となった地点、または、車両が減速を開始した後において加速を行った地点である。
【0021】
最終車速Vとは、減速の終了地点における車速である。減速回数Gは、減速区間にて車両が減速を行った回数である。走行回数Sとは、減速区間における車両の走行回数である。更新時刻Tとは、最後に区間情報を更新した時刻を意味し、車両が減速区間を最後に走行した最終走行時刻を意味する。本実施形態において、車両が減速区間を走行するのとほぼ同時に、少なくとも当該減速区間についての走行回数Sが更新されるため、更新時刻Tを減速区間における最終走行時刻と見なす。
【0022】
車両は、GPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43とユーザI/F部44と車両ECU45とを備える。GPS受信部41は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の位置を算出するための信号を制御部20に出力する。車速センサ42は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を制御部20に出力する。ジャイロセンサ43は、車両に作用する角加速度に対応した信号を制御部20に出力する。
【0023】
制御部20は、車速センサ42およびジャイロセンサ43から出力された信号に基づく自立航法情報と地図情報30aとに基づいて車両の現在地が存在し得る比較対象道路を複数設定し、GPS受信部41にて取得されたGPS信号の誤差円に基づいて比較対象道路を絞り込む。そして、制御部20は、絞り込まれた比較対象道路のうち、自立航法軌跡と形状が最も一致する道路を車両が走行している道路である走行道路として特定するマップマッチング処理を行い、当該マップマッチング処理によって特定された走行道路上で車両の現在地を特定する。
【0024】
ユーザI/F部44は、制御部20から出力された映像信号や音声信号に基づいて運転支援としての減速案内を出力する出力装置(ディスプレイ,スピーカ等)と、ユーザから各種操作を受け付ける入力装置(操作ボタン、タッチセンサ等)とを含む。車両ECU45は、車両を制御するコンピュータである。本実施形態の車両ECU45は、少なくともACC(アクセサリーポジション)−ON/OFFを示す情報と、アクセルペダルのON/OFFを示す情報と、ブレーキペダルのON/OFFを示す情報とを制御部20に出力する。
【0025】
制御部20はナビゲーションプログラム21を実行する。ナビゲーションプログラム21は、区間情報記録部21aと走行回数記録部21bと動作回数記録部21cと削除部21dと運転支援部21eとを含む。
【0026】
区間情報記録部21aは、車両が所定の動作を行った区間を示す区間情報を記録する機能を制御部20に実行させるモジュールである。具体的に、区間情報記録部21aの機能により制御部20は、車両が減速した減速区間を示す区間情報を区間情報DB30bに記録する。制御部20は、車両が減速を開始し、その後、当該減速が終了するごとに、区間情報を区間情報DB30bに記録する。制御部20は、アクセルペダルがOFFかつブレーキペダルがONとなった状態における減速量が所定値以上となった場合に、車両が減速を開始したと判定する。所定値(例えば5km/時)は、記録媒体30に記録されている。また、制御部20は、車両が減速している状態において、車速が0となった場合、または、車両が加速した場合に、減速が終了したと判定する。車両が加速した場合とは、車両が減速している状態において、アクセルペダルが再度ONとなった場合である。さらに、制御部20は、減速が終了したタイミングにおける現在地と車速とをそれぞれ直前の終点P'と直前の最終車速V'として取得し、当該直前の終点P'が存在するリンク(走行道路に対応するリンク)を減速リンクLとして取得する。
【0027】
区間情報記録部21aの機能により制御部20は、既存の減速区間において車両が減速した場合、当該既存の減速区間についての区間情報を区間情報DB30bにて更新記録する。既存の減速区間とは、すでに区間情報DB30bに記録されている区間情報が示す減速区間を意味する。制御部20は、減速リンクLが一致する区間情報であって、直前の終点P'から所定距離(例えば10m)以内の終点Pを示す区間情報が区間情報DB30bに記録されている場合には、既存の減速区間にて車両が減速したと判定する。
【0028】
既存の減速区間についての区間情報を区間情報DB30bにて更新記録するにあたり、制御部20は、直前の終点P'と直前の最終車速V'に基づいて、既存の減速区間についての区間情報の終点Pと最終車速Vとを更新する。
【0029】
具体的に、制御部20は、更新後の終点Pと最終車速Vとを以下の(1),(2)式によって算出する。
P=(G*P+P')/(G+1) …(1)
V=(G*V+V')/(G+1) …(2)
Gは既存の減速区間についての区間情報が示す減速回数Gである。上記の(1),(2)式が示すように、更新後の終点Pと最終車速Vは、過去の走行回数Gに今回の走行回数(1回)を加えた(G+1)回の減速における終点Pの平均位置および最終車速Vの平均値を意味する。
【0030】
一方、区間情報記録部21aの機能により制御部20は、既存の減速区間ではなく、未記録の減速区間において車両が減速した場合には、減速リンクLと直前の終点P'と直前の最終車速V'とを、そのまま減速リンクLと終点Pと最終車速Vとして示す新たな区間情報を区間情報DB30bに記録する。未記録の減速区間において車両が減速した場合とは、減速リンクLが一致する区間情報であって、直前の終点P'から所定距離以内の終点Pを示す区間情報が区間情報DB30bに記録されていないことである。
【0031】
走行回数記録部21bは、区間における車両の走行回数を当該区間に対応付けて記録する機能を制御部20に実行させるモジュールである。走行回数記録部21bの機能により制御部20は、既存の減速区間を車両が通過した場合に、当該区間情報の走行回数Sに1を加算して更新記録する。なお、既存の減速区間を車両が通過した場合には、車両が減速を行うなうことなく減速区間を通過した場合と、車両が減速を行いながら減速区間を通過した場合とが含まれる。いずれの場合であっても、区間情報DB30bの区間情報のうち少なくとも走行回数Sが更新記録される。走行回数記録部21bの機能により制御部20は、走行回数Sを更新記録した時刻を更新時刻Tとして更新記録する。なお、走行回数記録部21bの機能により制御部20は、未記録の減速区間についての区間情報が新たに記録された場合、新たな区間情報の走行回数Sとして1を記録する。
【0032】
動作回数記録部21cは、区間において車両が所定の動作を行った動作回数を当該区間に対応付けて記録する機能を制御部20に実行させるモジュールである。すなわち、動作回数記録部21cの機能により制御部20は、既存の減速区間についての区間情報が更新記録された場合、既存の減速区間についての区間情報の減速回数Gに1を加算して更新記録する。一方、動作回数記録部21cの機能により制御部20は、未記録の減速区間についての区間情報が新たに記録された場合、新たな区間情報の減速回数Gとして1を記録する。
【0033】
削除部21dは、走行回数Sに対する減速回数Gの割合である動作割合D(=G/S)が所定の割合条件を満足する区間についての区間情報を削除する機能を制御部20に実行させるモジュールである。具体的に、削除部21dの機能により制御部20は、走行回数Sが所定の回数条件を満足し、かつ、動作割合Dが割合条件を満足する減速区間についての区間情報を区間情報DB30bから削除する。さらに具体的に、削除部21dの機能により制御部20は、走行回数Sが所定の回数閾値STHよりも大きく、かつ、動作割合Dが所定の割合閾値DTHよりも小さい減速区間についての区間情報を区間情報DB30bから削除する。すなわち、走行回数Sが回数閾値STHよりも大きいことは走行回数Sが所定の回数条件を満足することを意味し、動作割合Dが割合閾値DTHよりも小さいことは動作割合Dが割合条件を満足することを意味する。
【0034】
運転支援部21eは、区間情報DB30bに記録された区間情報に基づいて運転支援を実行する機能を制御部20に実行させるモジュールである。運転支援部21eの機能により制御部20は、区間情報DB30bの区間情報が示す減速区間を車両が走行する場合に、減速を促す音声案内をユーザI/F部44から出力させる。従って、区間情報DB30bは、減速を促す音声案内を実施する減速区間を示すデータベースであるということができる。
【0035】
以上説明した本実施形態の構成において、削除部21dの機能により制御部20は、動作割合Dが割合条件を満足する減速区間についての区間情報を削除するため、区間情報によって管理する減速区間の数が増大することを防止できる。削除部21dの機能により制御部20は、走行回数Sが回数条件を満足し、かつ、動作割合Dが割合条件を満足する減速区間についての区間情報を区間情報DB30bから削除ことにより、走行回数Sと動作割合Dとの組み合わせに基づいて、削除の可否を判定できる。
【0036】
さらに具体的に、削除部21dの機能により制御部20は、走行回数Sが回数閾値STHよりも大きく、かつ、動作割合Dが割合閾値DTHよりも小さい減速区間についての区間情報を区間情報DB30bから削除する。ここで、動作割合Dは、減速区間にて車両が減速する確率を示し、当該確率の信頼度は標本数としての走行回数Sが大きいほど高くなる。従って、走行回数Sが回数閾値STHよりも大きい減速区間についての動作割合Dは、減速区間にて車両が減速する確率を高い信頼度で示すと考えることができる。従って、走行回数Sが回数閾値STHよりも大きく、かつ、動作割合Dが割合閾値DTHよりも小さい減速区間についての区間情報を削除することにより、車両が減速する確率が低いと高い信頼度で判断できる減速区間についての区間情報を削除できる。これにより、減速を行う可能性が高い区間においてのみ減速を促すことができる。
【0037】
本実施形態において、回数閾値STHは380回であり、予め記録媒体30に記録されている。
【表1】
表1は、標本誤差と標本数との関係を示す表である。表1の関係は公知の計算式に基づいて得ることができる。表1に示すように、標本数としての走行回数Sが380よりも大きくなると、母集団の数に拘わらず、動作割合Dの標本誤差を5%以下に抑えることができる。動作割合Dの標本誤差E(S)とは、標本数としての走行回数Sのもとで得られた動作割合Dと、減速区間にて車両が減速する真の確率との間で乖離し得る誤差(絶対値)を意味する。本実施形態において、割合閾値DTHは、75%であり、予め記録媒体30に記録されている。以上説明した回数閾値STHと割合閾値DTHとを適用することにより、最大の誤差(正)を考慮しても、減速区間にて車両が減速する真の確率が下限値T(80%)よりも小さくなる減速区間についての区間情報を削除対象とすることができる。下限値Tは、減速区間にて車両が減速する確率のうち、区間情報を削除しないこととする範囲の下限値であり、減速を促す案内を実施することとする範囲の下限値である。
【0038】
なお、回数閾値STHは380回に限られない。例えば、標本誤差E(S)が2%以下となるように回数閾値STHを2400回と設定してもよい。この場合、割合閾値DTHを78%とすることにより、減速区間にて車両が減速する真の確率が80%よりも小さい減速区間についての区間情報を削除対象とすることができる。
【0039】
(2)区間情報記録処理:
次に、区間情報記録処理の一例について詳細に説明する。図2は、区間情報記録処理のフローチャートである。制御部20は、車両がACC−ONの状態において区間情報記録処理を繰り返して実行する。まず、区間情報記録部21aの機能により制御部20は、車両ECU45および車速センサ42から取得した情報に基づいて、車両が減速しているか否かを判定する(ステップS100〜S110)。具体的に、区間情報記録部21aの機能により制御部20は、アクセルペダルがOFFであるか否かを判定する(ステップS100)。アクセルペダルがOFFであると判定した場合(ステップS100:Y)、区間情報記録部21aの機能により制御部20は、ブレーキペダルがONであるか否かを判定する(ステップS105)。さらに、ブレーキペダルがONであると判定した場合(ステップS105:Y)、区間情報記録部21aの機能により制御部20は、ブレーキペダルON後の減速量が所定値(5km/時)以上であるか否かを判定する(ステップS110)。
【0040】
なお、制御部20は、ステップS105においてブレーキペダルがOFFであると判定された状態から、ブレーキペダルがONであると判定された状態に転じたタイミングにおける車速をブレーキペダルON時の車速としてRAM等に記録しておく。そして、制御部20は、現在の車速からブレーキペダルON時の車速を減算した値を、ブレーキペダルON後の減速量として特定する。
【0041】
ステップS110においてブレーキペダルON後の減速量が所定値以上であると判定すること(ステップS100〜S110:すべてY)は、車両が減速を開始したことを意味する。なお、車両が減速を開始したか否かの判定基準は以上の例に限られず、例えばブレーキペダルがONとなったことをもって車両が減速を開始したと判定してもよいし、減速度が閾値以上となった場合に車両が減速を開始したと判定してもよい。
【0042】
以上の処理によって車両が減速を開始したと判定しなかった場合(ステップS100〜S110:いずれかN)、区間情報記録部21aの機能により制御部20は、既存の減速区間を車両が通過したか否かを判定する(ステップS115)。すなわち、制御部20は、区間情報DB30bにすでに記録されている減速リンクLと同一のリンクに対応する道路が走行中の走行道路であり、当該減速リンクL上に存在する終点Pを最新の現在地が通過した場合に、既存の減速区間を車両が通過したと判定する。
【0043】
既存の減速区間を車両が通過したと判定しなかった場合(ステップS115:N)、制御部20は、ACC−OFFであるか否かを判定する(ステップS125)。ACC−OFFであると判定しなかった場合(ステップS125:N)、制御部20は、ステップS100に戻る。以上の処理によって、車両が減速するか、既存の減速区間を通過しない限り、区間情報DB30bは更新されないこととなる。
【0044】
一方、既存の減速区間を車両が通過したと判定した場合(ステップS115:Y)、走行回数記録部21bの機能により制御部20は、当該通過した既存の減速区間についての区間情報の走行回数Sに1を加算して更新記録する(ステップS120)。また、走行回数記録部21bの機能により制御部20は、通過した既存の減速区間についての区間情報の更新時刻Tを現在の時刻によって更新記録する。
【0045】
ステップS100〜S110の処理において車両が減速を開始したと判定した場合(ステップS100〜S110:すべてY)、区間情報記録部21aの機能により制御部20は、減速が終了したか否かを判定する(ステップS130〜S135)。具体的に、制御部20は、車速が0になったか否かを判定する(ステップS130)。車速が0であると判定しなかった場合、区間情報記録部21aの機能により制御部20は、アクセルペダルがONとなったか否かを判定する(ステップS135)。車両が減速を開始した状態において、車速が0になった場合、または、アクセルペダルがONとなった場合、減速が終了したことを意味する。
車速が0であると判定せず、かつ、アクセルペダルがONとなったと判定しなかった場合(ステップS130,S135:いずれもN)、すなわち減速が継続している場合、制御部20は、ステップS130に戻る。これにより、減速が終了するまでステップS130,S135を繰り返すことができる。
【0046】
一方、車速が0であると判定した場合、または、アクセルペダルがONとなったと判定した場合(ステップS130,S135:いずれかY)、すなわち減速が終了した場合、制御部20は、減速区間における直前の最終車速V'と直前の終点P'と減速リンクLとを取得する(ステップS140)。すなわち、制御部20は、車速が0であると判定したタイミング、または、アクセルペダルがONとなったと判定したタイミングにおける現在地と車速とをそれぞれ直前の終点P'と直前の最終車速V'として取得する。また、制御部20は、直前の終点P'が存在するリンク(走行道路に対応するリンク)を減速リンクLとして取得する。
【0047】
次に、区間情報記録部21aの機能により制御部20は、既存の減速区間において車両が減速したか否かを判定する(ステップS145)。すなわち、制御部20は、減速リンクLが一致する区間情報であって、直前の終点P'から所定距離(10m)以内の終点Pを示す区間情報が区間情報DB30bに記録されている場合には、既存の減速区間にて車両が減速したと判定する。
【0048】
既存の減速区間において車両が減速したと判定した場合(ステップS145:Y)、区間情報記録部21aの機能により制御部20は、既存の減速区間についての区間情報を更新記録する(ステップS150)。具体的に、制御部20は、更新後の終点Pと最終車速Vとを上記の(1),(2)式によって算出する。すなわち、制御部20は、直前の終点P'と直前の最終車速V'と終点Pと最終車速Vとを平均した位置と車速とを更新後の終点Pと最終車速Vとして算出する。さらに、走行回数記録部21bの機能により制御部20は、既存の減速区間についての区間情報の走行回数Sに1を加算して更新記録する。そして、走行回数記録部21bの機能により制御部20は、既存の減速区間について更新時刻Tを現在の時刻によって更新する。また、動作回数記録部21cの機能により制御部20は、既存の減速区間についての区間情報の減速回数Gに1を加算して更新記録する。
【0049】
既存の減速区間についての区間情報を更新記録すると、制御部20は、ACC−OFFであるか否かを判定する(ステップS125)。ACC−OFFであると判定しなかった場合(ステップS125:N)、制御部20は、ステップS100に戻る。以上の処理によって、既存の減速区間において車両が減速した場合に、当該減速区間ついての区間情報を更新記録する処理を繰り返して実行できる。
【0050】
一方、既存の減速区間において車両が減速したと判定しなかった場合(ステップS145:N)、区間情報記録部21aの機能により制御部20は、車両が減速した未記録の減速区間についての区間情報を新たに記録する(ステップS155)。具体的に、制御部20は、減速リンクLと直前の終点P'と直前の最終車速V'とを、そのまま減速リンクLと終点Pと最終車速Vとして示す新たな区間情報を区間情報DB30bに記録する。さらに、動作回数記録部21cの機能により制御部20は、新たな区間情報の減速回数Gとして1を記録する。また、走行回数記録部21bの機能により制御部20は、新たな区間情報の走行回数Sとして1を記録する。そして、走行回数記録部21bの機能により制御部20は、新たな区間情報の更新時刻Tとして現在の時刻を記録する。区間情報を新たに記録した場合、区間情報DB30bに記録されている減速区間の区間数Zが1だけ増加するため、区間情報記録部21aの機能により制御部20は、区間数Zに1を加算する。
【0051】
以上のようにして未記録の減速区間についての区間情報を新たに記録すると、削除部21dの機能により制御部20は、減速区間の区間数Zが上限区間数ZMAXよりも大きいか否かを判定する(ステップS160)。上限区間数ZMAX(例えば5000個)は、記録媒体30の記憶容量等に基づいて予め設定されており、記録媒体30に記録されている。なお、区間数Zは、区間情報を新たに記録するごとに1ずつ増加するため、区間数Zが上限区間数ZMAXと等しい状態において区間情報を新たに記録した場合に、区間数Zが上限区間数ZMAXよりも大きくなる。
【0052】
区間数Zが上限区間数ZMAXよりも大きいと判定しなかった場合(ステップS160:N)、制御部20は、ACC−OFFであるか否かを判定する(ステップS125)。ACC−OFFであると判定しなかった場合(ステップS125:N)、制御部20は、ステップS100に戻る。以上の処理によって、未記録の減速区間において車両が初めて減速した場合に、当該減速区間ついての区間情報を新たに記録する処理を繰り返して実行できる。
【0053】
区間数Zが上限区間数ZMAXよりも大きいと判定した場合(ステップS160:Y)、削除部21dの機能により制御部20は、区間情報削除処理を実行する(ステップS165)。図3は、区間情報削除処理のフローチャートである。まず、削除部21dの機能により制御部20は、区間情報DB30bに記録された区間情報が示す各減速区間について走行回数Sに対する減速回数Gの割合である動作割合D(=G/S)を算出する(ステップS200)。なお、動作割合Dは、予め区間情報DB30bに記録されてもよい。
【0054】
次に、削除部21dの機能により制御部20は、走行回数Sが所定の回数閾値STH(380回)よりも大きい減速区間が存在するか否かを判定する(ステップS210)。すなわち、制御部20は、動作割合Dと、減速区間にて車両が減速する真の確率との間の誤差が5%以下となる減速区間が存在するか否かを判定する。走行回数Sが回数閾値STHよりも大きい減速区間が存在すると判定した場合(ステップS210:Y)、削除部21dの機能により制御部20は、動作割合Dが割合閾値DTH(75%)よりも小さい減速区間が存在するか否かを判定する(ステップS220)。
【0055】
さらに、動作割合Dが所定の割合閾値DTHよりも小さい減速区間が存在すると判定した場合(ステップS220:Y)、削除部21dの機能により制御部20は、走行回数Sが回数閾値STHよりも大きく、かつ、動作割合Dが割合閾値DTHよりも小さい減速区間のうち、最終走行時刻が最も古い減速区間についての区間情報を削除する(ステップS230)。上述のように、車両が減速区間を走行すると同時に、少なくとも走行回数Sが更新され、現在の時刻によって更新時刻Tが更新されるため、更新時刻Tは最終走行時刻を意味する。これにより、車両が減速を行う確率が低いと高い信頼度で判断できる減速区間が複数存在する場合、当該複数存在する減速区間のうち最終走行時刻が最も古い減速区間についての区間情報を削除できる。すなわち、車両が減速する確率が低く、かつ、車両が今後走行する可能性が最も低い減速区間についての区間情報を削除できる。なお、走行回数Sが回数閾値STHよりも大きく、かつ、動作割合Dが割合閾値DTHよりも小さい減速区間が1個のみ存在する場合、制御部20は、当該1個の減速区間についての区間情報を削除すればよい。なお、区間情報を削除するとは、区間情報を構成する減速リンクLと終点Pと最終車速Vと減速回数Gと走行回数Sと更新時刻Tとを区間情報DB30bから消去し、区間数Zを1だけ減じることを意味する。
【0056】
一方、動作割合Dが割合閾値DTHよりも小さい減速区間が存在すると判定しなかった場合(ステップS220:N)、削除部21dの機能により制御部20は、走行回数Sが回数閾値STHよりも大きい減速区間のうち最も動作割合Dが小さい減速区間についての区間情報を削除する(ステップS240)。すなわち、制御部20は、走行回数Sが回数閾値STHよりも大きい減速区間のすべてについての動作割合Dが割合閾値DTH以上である場合、これらの減速区間のうち最も動作割合Dが小さい減速区間についての区間情報を削除する。これにより、車両が減速する確率を高い信頼度で判断できる減速区間のうち、車両が減速する確率が最も低いと判断できる減速区間についての区間情報を削除できる。走行回数Sが回数閾値STH以下の区間についての区間情報を削除対象としないため、例えば走行回数Sが小さくなりがちな新設道路等についての区間情報が削除されることを防止できる。
【0057】
また、走行回数Sが所定の回数閾値STHよりも大きい減速区間が存在すると判定しなかった場合(ステップS210:N)、削除部21dの機能により制御部20は、動作割合Dが最も小さい減速区間についての区間情報を削除する(ステップS250)。すなわち、走行回数Sが所定の回数閾値STHよりも大きい減速区間が存在しない場合、制御部20は、すべての減速区間のうち、動作割合Dが最も小さい減速区間についての区間情報を削除する。走行回数が最も小さい減速区間についての区間情報を削除対象としないため、例えば走行回数が小さくなりがちな新設道路等についての区間情報が削除されることを防止できる。以上の処理(ステップS230〜S250)のいずれかにおいて、1個の減速区間についての区間情報を削除するため、区間数Zが上限区間数ZMAXよりも大きくならないようにすることができる。
【0058】
本実施形態において、運転支援部21eの機能により制御部20は、区間数Zが上限区間数ZMAXよりも大きくならないように管理された区間情報DB30bに基づいて運転支援としての減速支援を行う。すなわち、制御部20は、車両が区間情報DB30bに記録された減速区間の終点Pに接近している場合に、理想的な減速度によって、現在の車速から終点Pにて最終車速Vまで減速するのに要する走行距離を算出する。理想的な減速度とは、乗り心地や燃費が良好となる減速度であってもよく、公知の手法によって特定できる。そして、制御部20は、減速区間の終点Pから走行距離だけ手前の位置を現在地が通過した場合に、減速の開始を促す音声案内をユーザI/F部44から出力させる。上述のように、区間情報DB30bにおいて動作割合Dに基づいて区間情報を削除しておくことにより、減速の開始を促す頻度が多くなり過ぎることを防止できる。また、動作割合Dが大きい減速区間についての区間情報を残すことができるため、実際に減速を行う可能性が低い地点にて減速の開始を促すことを防止できる。
【0059】
(3)他の実施形態:
区間情報は、減速以外の動作を行った区間を示してもよく、加速した区間や操舵が行われた区間や駐車を行った地点等を示してもよい。これらの区間情報を利用することにより、加速支援やシフトチェンジの支援や駐車支援等を行うことができる。さらに、区間情報は、必ずしも運転支援に利用されなくてもよく、所定の動作を行った区間を記録した運転履歴を作成するために区間情報が記録されてもよい。所定の動作とは、車両自体の動作であってもよいし、運転者の運転操作であってもよい。また、運転支援とは、運転者に案内を行う支援に限らず、車両ECU等に対して制御信号を出力することにより、車両を直接制御することであってもよい。区間とは、車両が走行可能な道路の一部を意味し、道路上において長さを有する区間であってもよいし、道路上において長さを有さない区間(すなわち地点)であってもよい。さらに、区間情報は、所定の動作を行った区間の開始地点や終了地点や長さ等を示す情報を含んでもよい。また、区間情報は、運転支援を行う区間の開始地点や終了地点や長さ等を示す情報を含んでもよい。
【0060】
削除部21dの機能により制御部20は、動作割合Dが割合条件を満足する区間についての区間情報を削除すればよく、動作割合Dが閾値よりも大きい区間についての区間情報を削除してもよい。また、削除部21dの機能により制御部20は、必ずしも走行回数Sと動作割合Dとの組み合わせに基づいて区間情報を削除しなくてもよく、動作割合Dのみに基づいて区間情報を削除してもよい。また、前記実施形態において、区間情報を区間情報DB30bに新たに記録した場合に区間情報削除処理(図3)を実行したが、例えば上限区間数ZMAXが可変であり、当該上限区間数ZMAXが減少した場合に区間情報削除処理を実行してもよい。さらに、車両が目的地に到達した場合に区間情報削除処理を実行してもよい。これらの場合、区間情報を削除する減速区間の数は2以上であってもよい。
【0061】
表1に示すように、標本誤差E(S)は走行回数Sに依存する。従って、制御部20は、走行回数Sに応じて減速区間ごとに異なる割合閾値DTHを設定してもよい。ここで、動作割合Dに標本誤差E(S)を加算した値(D+E(S))は、車両が減速する真の確率が取り得る最大値であり、当該値(D+E(S))が上述の下限値Tよりも小さくなる減速区間についての区間情報を削除すればよい。すなわち、D+E(S)<Tを満足する減速区間についての区間情報を削除すればよく、制御部20は、動作割合Dが割合閾値DTH=T−E(S)よりも小さい減速区間について区間情報を削除してもよい。
【符号の説明】
【0062】
10…ナビゲーション装置、20…制御部、21…ナビゲーションプログラム、21a…区間情報記録部、21a…ナビゲーションプログラム、21b…走行回数記録部、21c…動作回数記録部、21d…削除部、21e…運転支援部、30…記録媒体、30a…地図情報、30b…区間情報DB、41…GPS受信部、42…車速センサ、43…ジャイロセンサ、44…ユーザI/F部、45…車両ECU、G…減速回数、S…走行回数。
図1
図2
図3