特許第6091329号(P6091329)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6091329-屈曲耐久性及び耐炎性に優れた膜材 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6091329
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】屈曲耐久性及び耐炎性に優れた膜材
(51)【国際特許分類】
   B32B 17/02 20060101AFI20170227BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   B32B17/02
   B32B27/30 101
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-107557(P2013-107557)
(22)【出願日】2013年5月22日
(65)【公開番号】特開2014-226841(P2014-226841A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2016年4月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000239862
【氏名又は名称】平岡織染株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田代 哲也
【審査官】 増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−89374(JP,A)
【文献】 特開2010−52370(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
A62C 2/00−2/24
A62C 3/00
A62B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスクロス製基布の両面に、難燃性樹脂被覆層が形成された可撓性膜材であって、前記ガラスクロス製基布の全体がフッ素系化合物で撥油処理されており、前記難燃性樹脂被覆層が、反応性ウレタン樹脂および熱線反射性粒子を含む軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物の塗工硬化物により形成され、かつ、前記ガラスクロス製基布の内部に前記熱線反射性粒子を含まない状態で形成され、前記難燃性樹脂被覆層に対して前記反応性ウレタン樹脂を3〜10質量%、前記熱線反射性粒子を1〜10質量%それぞれ含み、前記可撓性膜材の可視光透過率(JIS Z8722)が15〜55%であることを特徴とする、屈曲耐久性及び耐炎性に優れた膜材。
【請求項2】
前記反応性ウレタン樹脂が、1液硬化型ウレタン系樹脂、または、2液硬化型ウレタン系樹脂から選ばれる1種、または2種以上である、請求項1に記載の屈曲耐久性及び耐炎性に優れた膜材。
【請求項3】
前記熱線反射性粒子が、波長800nm〜2500nmの赤外領域に、少なくとも一つの反射ピークを有する薄片状の干渉雲母粒子である、請求項1または2に記載の屈曲耐久性及び耐炎性に優れた膜材。
【請求項4】
前記ガラスクロス製基布が、ガラスマルチフィラメント糸条を製織してなる織布であり、かつ、質量90〜400g/m、空隙率0〜5%を有する、請求項1から3いずれか1項に記載の屈曲耐久性及び耐炎性に優れた膜材。
【請求項5】
前記ガラスクロス製基布の質量及び前記難燃性樹脂被覆層との質量比が1:0.25〜1:3である、請求項1から4いずれか1項に記載の屈曲耐久性及び耐炎性に優れた膜材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は屈曲耐久性及び耐炎性に優れた膜材に関するものである。更に詳しく述べるならば、繰り返し屈曲に対する耐久性に優れ、火災発生時に膜材の向こう側の状況を認識できる透光性を有し、かつ、耐炎性にも優れた膜材に関するものであり、特に建築物の開口部に設置される防火設備として、防火性のシャッター或いはスクリーンを構成する素材に好適に用いることができる膜材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
防火地域および準防火地域における商店や民家など建築物において、延焼のおそれのある部分の開口部については、中からの火を食い止めて外へ出さず、外からのもらい火を防いで延焼を防止するために「防火戸(防火設備)」の使用が義務付けられている。このため、民家のサッシや商店のショウウィンドウなどの外側、或いは内側に、金属製のスラットによって構成されたシャッターを、追加設置して用いるケースが増えている。しかし、金属製のシャッターは重量が重いため設置部分の補強が必要であり、しかも大きなスペースを必要とするため、建築コストの負担が大きくなる問題がある。また、シャッターが閉鎖した状態では、シャッターの向こう側の状況を認識し難く、火災発生時の的確な状況判断が困難であり、判断の遅れにより避難が困難となったり、状況判断できないまま避難して思わぬ事故に遭遇したりする恐れがあった。この様な問題を解決する方法として、防火シャッターを耐炎性のシートで構成する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。金属シャッターよりも軽量で柔軟な耐炎性のシートを用いることで、建築コストの負担を軽減する事ができ、また、防火シャッターの向こう側で火災を生じていれば、シートを透過して炎の明かるさを視認でき、火災の有無を認識する事ができる。しかし、この例では、無機繊維からなる織布をそのまま用いているため、巻取りや巻き出し時の織布同士の摩擦により繊維が傷つきやすく、日常開け閉めを行うシャッターとしては耐久性が不充分であった。
【0003】
無機繊維を用いた織布に樹脂を被覆することで、摩擦に対する耐久性を向上させることはこれまでに数多く行われてきたが、可燃性の樹脂で被覆することは耐炎性の面で不利となる。そのため、被覆樹脂として、耐熱性の高いPTFE樹脂を用いた膜材が提案されている(例えば特許文献2)。しかし、PTFE樹脂は非常に硬いため、得られる膜材が剛直となって取り扱い性が劣り、コンパクトに巻き上げる事ができないため巻き込みケースを大型にしなければならなくなるなど、デザイン面及びコスト面の問題を生じることがある。PTFE樹脂よりも柔軟な樹脂を用いて、耐炎性を与えるために、樹脂に防炎剤や無機充填剤を多量に加えて被覆することも考えられるが、この場合、防炎剤や無機充填剤を多量に含むことで被覆層が硬くなって膜材の柔軟性が得られず、また、樹脂の強度が低下して開閉時の摩擦により外観に損傷を受け易くなり、更に、織布内部に含浸した樹脂に含まれる無機充填剤の硬度が高いと、巻取りや巻き出しの度に無機繊維を傷つけて、膜材の強度が低下するなどの問題がある。また、防炎剤や無機充填剤を多量に含むことは隠蔽性の増大にもつながり、シャッターが閉鎖した状態では、シャッターの向こう側の状況が認識し難くなる問題も有している。この他、樹脂に熱膨張性黒鉛を加えることも耐炎性付与には有効であるが(例えば特許文献3参照)、防炎剤や無機充填剤を多量に加えた場合と同様膜材の柔軟性が得られず、隠蔽性を増大させる問題を有している。
【0004】
以上述べてきたように、火災発生時に膜材の向こう側の状況を認識できる透光性を有し、柔軟で、繰り返し屈曲に対する耐久性に優れ、耐炎性にも優れており、建築物の開口部に設置される防火設備として、防火性のシャッター或いはスクリーンを構成する素材に用いることのできる膜材は、これまで提案されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭57−204392号公報
【特許文献2】特開2002−12678号公報
【特許文献3】特開平10−95887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、火災発生時に膜材の向こう側の状況を認識できる透光性を有し、繰り返し屈曲に対する耐久性に優れ、かつ、耐火基準を満たし、建築物の開口部に設置される防火設備に用いることのできる耐炎性膜材を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決する為、鋭意検討を行った結果、難燃性樹脂被覆層を形成する樹脂の、基布への含浸を抑制しつつ基布と樹脂との接着性を確保することで、屈曲耐久性の高い膜材を得ることができ、難燃性樹脂被覆層が熱線反射性粒子を含むことで、耐炎性を向上させることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち本発明の屈曲耐久性及び耐炎性に優れた膜材は、ガラスクロス製基布の両面に、難燃性樹脂被覆層が形成された可撓性膜材であって、前記ガラスクロス製基布の全体がフッ素系化合物で撥油処理されており、前記難燃性樹脂被覆層が、反応性ウレタン樹脂および熱線反射性粒子を含む軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物の塗工硬化物により形成され、前記難燃性樹脂被覆層に対して前記反応性ウレタン樹脂を3〜10質量%、前記熱線反射性粒子を1〜10質量%それぞれ含み、前記可撓性膜材の可視光透過率(JIS Z8722)が15〜55%であることを特徴とする。
【0009】
本発明の屈曲耐久性及び耐炎性に優れた膜材において、前記反応性ウレタン樹脂が、1液硬化型ウレタン系樹脂、または、2液硬化型ウレタン系樹脂から選ばれる1種、または2種以上である事が好ましい。
【0010】
本発明の屈曲耐久性及び耐炎性に優れた膜材において、前記熱線反射性粒子が、波長800nm〜2500nmの赤外領域に、少なくとも一つの反射ピークを有する薄片状の干渉雲母粒子である事が好ましい。
【0011】
本発明の屈曲耐久性及び耐炎性に優れた膜材において、前記ガラスクロス製基布が、ガラスマルチフィラメント糸条を製織してなる織布であり、かつ、質量90〜400g/m、空隙率0〜5%を有する事が好ましい。
【0012】
本発明の屈曲耐久性及び耐炎性に優れた膜材において、前記ガラスクロス製基布の質量及び前記難燃性樹脂被覆層との質量比が1:0.25〜1:3であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、繰り返し屈曲に対する耐久性に優れ、火災発生時に膜材の向こう側の状況を認識できる透光性を有し、かつ、耐炎性にも優れた、膜材を提供することができる。本発明の膜材から構成したシャッターやスクリーンは、延焼の恐れのある建築物の開口部に、単独で設置したり、或いは耐火基準を満たさない窓に併設する防火設備として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の屈曲耐久性及び耐炎性に優れた部材の構成の一例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の膜材は、ガラスクロス製基布の両面に、難燃性樹脂被覆層が形成された可撓性膜材であり、難燃性樹脂被覆層に熱線反射性粒子を含むことで、防炎剤や無機充填剤を多量に含まなくても、火災発生時の膜材の温度上層を抑制して、火炎に曝されている面とは反対側の面での発炎や、反対側への火炎の噴出(透過)を防いだり、一定時間遅らせることができ、更に、燃焼時の発熱を抑制することもできる。また、ガラスクロス製基布の全体がフッ素系化合物で撥油処理されているため、難燃性樹脂被覆層用組成物に含まれる熱線反射性粒子、無機充填剤、などの粒子がガラスクロス内部に入り込むことを抑制して、繊維の傷つきによる強度の低下を防止する事ができ、難燃性樹脂被覆層に接着性の反応性ウレタン樹脂を含むことで、ガラスクロス製基布と難燃性樹脂被覆層の接着性が撥油処理によって低下するのを防ぐ事ができる。更に、本発明の防火設備用膜材は、火災発生時に膜材の向こう側の状況を認識できる透光性を有するため、的確な判断による避難を可能とする。
【0016】
本発明の難燃性樹脂被覆層は、反応性ウレタン樹脂と熱線反射性粒子とを必須成分として含む軟質塩化ビニル樹脂組成物の塗工硬化物により形成される。
【0017】
本発明において反応性ウレタン樹脂としては、1液硬化型ウレタン系樹脂、または、2液硬化型ウレタン系樹脂、から選択された1種を単独で、または2種以上を併用して用いる事が好ましく、反応性ウレタン樹脂は難燃性樹脂被覆層に対して3〜10質量%含まれる。反応性ウレタン樹脂をこの範囲で含むことで、ガラスクロス製基布の全体がフッ素系化合物で撥油処理されていても、基布と樹脂層との接着性が確保され、繰り返し屈曲を受けても難燃性樹脂被覆層の浮きや剥がれを生じ難くすることができる。難燃性樹脂被覆層に含まれる反応性ウレタン樹脂が3質量部未満では、基布と樹脂層との接着性が充分に得られないことがあり、屈曲時に難燃性樹脂被覆層の浮きや剥がれを生じ、ガラスクロス製基布が直接屈曲されて傷つき、膜材の耐久性が低下することがある。反応性ウレタン樹脂を10質量部を超えて加えてもそれ以上接着性は向上せず、また、難燃性樹脂被覆層が硬くなって、得られる膜材が剛直となるため取り扱い性が劣り、防火シャッターとして用いた際の巻き取りや巻出し時に、巻き込みケース内で膜材とケース内壁、あるいは膜材同士がこすれ合って、膜材表面や織布が傷ついて外観が損なわれたり、屈曲によってガラスクロス製基布が傷ついて膜材の耐久性が低下するなどの問題を生じることがある。
【0018】
本発明において反応性ウレタン樹脂に用いられる1液硬化型ウレタン系樹脂とは、ポリイソシアネートとポリオールを反応させ、ポリオールの水酸基を全てウレタン結合させてイソシアネート基を残したものであり、残ったイソシアネート基が空気中の水分と反応してイソシアネート基どうしが結合(ウレア結合)して硬化するものである。ウレタンプレポリマーに用いられるポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートの変性物、及び、珪素含有ポリイソシアネートなどが例示され、ポリオールとしては、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、ヒマシ油系ポリオール、及び、これらのポリオール中でエチレン性不飽和単量体を重合して得られる重合体ポリオールなどが例示される。
【0019】
本発明において反応性ウレタン樹脂に用いられる2液硬化型ウレタン系樹脂とは、ポリオール成分とイソシアネート基含有化合物とを含み、これらを混合することで、ポリオールの水酸基とイソシアネート基とが反応して硬化するものである。2液硬化型ウレタン系樹脂に用いるポリオール成分としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、アクリルポリオールなどが例示され、イソシアネート基含有化合物としては、TDI(トリレンジイソシアネート)系、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)系、XDI(キシリレンジイソシアネート)系、IPDI(イソホロンジイソシアネート)系、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)系、など、従来公知のジイソシアネート化合物、これらのジイソシアネートをポリオールと反応させた上でイソシアネート基を残存させたポリイソシアネート、および、イソシアネート3量体(イソシアヌレート系)などが例示される。
【0020】
本発明において熱線反射性粒子は、難燃性樹脂被覆層に対して1〜10質量%含まれる。熱線反射性粒子をこの範囲で含むことで、防炎剤や無機充填剤を多量に含まなくても、火炎から放射される熱線(赤外線)を反射して、火災発生時の膜材の温度上層を抑制し、火炎に曝されている面とは反対側の面での発炎や、熱によるガラスクロス製基布の損傷を防ぎ、反対側への火炎の噴出(透過)を遅らせることができる。その結果、建築基準法第2条第9号の二のロ(防火戸その他の政令で定める防火設備)の認定に係る基準、すなわち、膜材の一方の面に対して、ISO834に準拠した標準加熱曲線に従って加熱を行った時に、20分後の時点で、(1)非加熱面への火炎の噴出がなく、(2)非加熱面で10秒を超えて継続する発炎を生じず、(3)火炎が通る亀裂等の損傷及び隙間を発生しない、を満たし、更に、ASTM−E1354コーンカロリーメーター試験法による燃焼試験にも適合する膜材を得る事ができる。難燃性樹脂被覆層に含まれる熱線反射性粒子が1質量部未満であると膜材の温度上層を抑制する効果が充分に得られない事があり、熱線反射性粒子が10質量部を超えると、難燃性樹脂被覆層が硬くなって膜材の取り扱い性が劣ったり、屈曲耐久性が損なわれたりすることがあり、また、15%以上の可視光透過率(JISZ8722)が得られなくなることがある。熱線反射性粒子としては、波長800nm〜2500nmの赤外領域に少なくとも一つの反射ピークを有する薄片状の干渉雲母粒子、および、重量平均粒子径が0.5〜1.6の金属酸化物粒子(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化インジウム(In)、スズドープ酸化インジウム、インジウムドープ酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズなど)から、1種あるいは2種以上選択して用いることができる。火災時の燃焼温度は1200℃に達するといわれ、その炎から発する熱は赤外線(熱線)として放射されるが、本発明の熱線反射性粒子は、熱線(780nmを超える赤外線)を反射しつつ、可視領域(380〜780nm)の光を選択的に透過するため膜材の可視光透過率をさほど低下させず、膜材の向こう側で火災を生じている場合に、膜材を透過して炎のあかるさを視認して火災の有無を認識する事ができ、かつ熱線を反射して延焼を防止する事ができる。本発明においては、これらの粒子の内特に、波長800nm〜2500nmの赤外領域に少なくとも一つの反射ピークを有する薄片状の干渉雲母粒子が、可視光透過率の低下が少ない点、雲母の硬度(モース硬度2〜3)がガラスの硬度(モース硬度5)より低いため、ガラスクロス製基布を傷つけ難い点、及び、薄片状であるため難燃性樹脂被覆層にピンホールを生じ難くする点、などから、特に好ましく用いられる。この様な干渉雲母粒子としては、酸化チタン、酸化錫、酸化ジルコニウムから選ばれた1種或いは2種以上混合された金属酸化物からなる単層の薄膜、或いは酸化チタン/酸化ケイ素/酸化チタンの3層からなる複層薄膜で被覆された薄片状の雲母粒子を例示することができ、その粒径(薄片の厚さ方向ではなく、面方向の幅及び長さ)は、5〜60μmであることが好ましい。
【0021】
本発明で用いられるポリ塩化ビニル樹脂としては、乳化重合によって得られた数平均分子量P=700〜3800、好ましくは1000〜2000のペースト塩化ビニル樹脂、および、塩化ビニル−エチレン共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体樹脂、塩化ビニル−アクリル酸共重合体樹脂、及び塩化ビニル−ウレタン共重合体樹脂などの塩化ビニル共重合体樹脂(共重合成分は2〜30質量%)を包含する。本発明において軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物は、上述の、ポリ塩化ビニル樹脂、反応性ウレタン樹脂、および、熱線反射性粒子、を含み、更に可塑剤を加えたペーストゾルとして、全体に撥油処理を施したガラスクロス製基布の両面上に、ディッピング、またはコーティングによって塗工され、160〜200℃で加熱硬化されて難燃性樹脂被覆層が形成される。難燃性樹脂被覆層の付着量は、ガラスクロス製基布の質量(撥油処理前)と難燃性樹脂被覆層との質量比で、1:0.25〜1:3である事が好ましい。ガラスクロス製基布に対する難燃性樹脂被覆層の質量比が1:0.25未満では、巻き出し巻取りの際の摩擦によりガラスクロス製基布が傷つき易く、得られる膜材の屈曲耐久性が劣る事があり、1:3を超えると火災の際に、炎に曝された側とは半対面で発炎を生じやすくなって、延焼を防止する能力が不足する事があり、また、ASTM−E1354コーンカロリーメーター試験法による燃焼試験において、総発熱量や発熱速度が基準を上回ってしまう事がある。
【0022】
軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物に用いる可塑剤には特に限定は無く、フタル酸エステル系可塑剤、シクロヘキサンジカルボン酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、スルホン酸エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、塩素化パラフィン系可塑剤など、塩化ビニル系樹脂用可塑剤として従来公知のものから適宜選択して用いることができる。軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物には、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、これらの他に、安定剤、防炎剤、充填剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、抗菌剤、防黴剤、着色剤(有機顔料、無機顔料、染料)、蛍光増白剤、蛍光顔料、蓄光顔料、湿潤剤、分散剤、希釈用の有機溶剤などを含んでも良い。
【0023】
本発明のガラスクロス製基布は、ガラス繊維糸条からなる織布あるいは編布である。織布を用いる場合は、長さ方向に平行に配された経糸に対して直交する緯糸を挿入して製織した、平織、綾織、繻子織、紗織、絽織などの織布の他、平行に並べた経糸と緯糸とを直交するように重ね、これらを絡み糸で押えて構成した絡み織などの織布から適宜選択して用いる事ができる。また、編布を用いる場合はタテ方向に整経された糸をループで絡み合わせるタテ編み編布の内、緯糸挿入トリコット編布が好ましく用いられる。これら編織布は、空隙率が0〜5%、より好ましくは0〜3%で、糸条間に実質上間隙が形成されていない非粗目状の編織布であることが好ましい。空隙率が5%を超えると、難燃性樹脂被覆層を形成しても、膜材の表裏に貫通した孔が残る事がある。火災時には、この孔から火炎が噴出(透過)することがあり、仮に孔が残らず、空隙部分が難燃性樹脂で覆われたとしても、ガラス繊維糸条を含まない部分は火災時に燃え抜け易く、燃え抜けた孔から火炎が噴出(透過)することがある。また、本発明のガラスクロス製基布の質量は90〜400g/mであることが好ましく、100〜350g/mであることがより好ましい。ガラスクロス製基布の質量が90g/m未満であると、得られる膜材の強度が不足し、繰り返し行われる巻取りや巻き出しに対する耐久性が不充分となる事がある。ガラスクロス製基布の質量が400g/mを超えると、得られる膜材が剛直となって取り扱い性が悪くなったり、巻き取り及び送り出し時に膜材同士がこすれ合って、膜材表面や織布が傷ついて、外観が損なわれたり、膜材強度が低下するなどの問題を生じることがある。
【0024】
本発明のガラスクロス製基布に用いるガラス繊維糸条を形成するガラス質には特に限定は無く、E(無アルカリ)ガラス、C(含アルカリ)ガラス、Sガラス、Dガラスなど、従来よりガラス繊維に用いられている公知のガラス組成から適宜選択して用いる事ができる。ガラス繊維糸条の形態としては、100〜2000dtex(デシテックス)のガラスマルチフィラメント糸条が好ましく用いられ、200〜1500dtexがより好ましい。ガラスマルチフィラメント糸条を構成するフィラメント単糸個々の直径は、1μm〜15μmであることが好ましく、5μm〜10μmが柔軟な膜材を得るために特に好ましい。
【0025】
本発明において、ガラスクロス製基布は、その全体をフッ素系化合物で撥油処理する必要がある。フッ素系化合物を用いることで、ガラスクロスを構成するガラス繊維糸条の各単糸表面の表面エネルギーが低くなって撥油性を発現し、樹脂被覆加工時にガラス繊維糸条内部への軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物ペーストゾルの浸透が抑制される。これにより、難燃性樹脂被覆層に含まれる熱線反射性粒子、無機充填剤、など、粒子状の添加剤がガラス繊維糸条内部に侵入して繊維を直接傷つけたり、内部に異物があることで屈曲の際に部分的に強い応力がかかって繊維糸条が損傷を受ける事を防いで、屈曲耐久性を向上させることができる。更に、熱線反射性粒子が基布内部に入り込まないことで、火災時に基布に到達する熱線を効果的に反射する事ができ、耐炎性の面でも有利となる。パラフィン系やシリコーン系のいわゆる撥水処理剤で処理したり、あるいは撥油処理を行わなかった場合には、加工液のガラスクロスへの浸透抑制が不充分となり、膜材の屈曲耐久性が損なわれる事がある。また、撥油処理しないガラスクロス製基布では、難燃性樹脂被覆層を形成するためのペーストゾルが粘度調整用の希釈溶剤を含む場合に、加工液に触れた瞬間に希釈溶剤だけが先にガラスクロス製基布に浸透して、基布周辺の液粘度が不均一になり、その結果均一な被覆層が形成されず、膜材の外観が損なわれる事がある。ガラスクロス製基布へのフッ素系化合物の付着量は、用いる処理剤の種類によって適宜調整する必要はあるが、ガラスクロス製基布の質量に対して0.3〜1.0質量%であることが好ましい。撥油処理に用いるフッ素系化合物としては、通常撥油処理剤として用いられているフッ素系化合物であれば限定無く用いる事ができるが、特に人体への毒性に懸念を持たれるPFOA(パーフルオロオクタン酸)、PFOS(パーフロロオクタンスルフォン酸)、長鎖PFCAs(PFOAよりも炭素数の多いパーフロロカルボン酸)などの含有量が100ppb以下である化合物が好ましく、高速液体クロマトグラフ−質量分析計で測定したときの検出限界値である5ppb以下である化合物がより好ましい。この様な化合物としては、(a)炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基、または−CO−、−CO−および−CFO−からなる群から選択された少なくとも一種の繰り返し単位を有するフルオロエーテル基を有し、炭素−炭素2重結合を有する重合性単量体(例えば、パーフルオロアルキルアクリレート、パーフルオロアルキルメタアクリレート、パーフルオロポリエーテルアクリレートなど)、(b)炭素数1〜6のパーフルオロアルケニル基を有する重合性単量体、(c)重合性基を有する含フッ素シルセスキオキサン単量体、の、いずれかからなる単独重合体、これらの内2種以上の単量体を含む共重合体、あるいは、これらの単量体と共重合可能でフッ素原子を有さない重合性単量体(例えばアルキルアクリレート、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、α−オレフィン類、塩素含有不飽和モノマー、などの炭素−炭素2重結合を有する重合性単量体)との共重合体、などが例示される。
【0026】
本発明において、ガラスクロス製基布の全体に撥油処理を施す方法には特に限定は無く、例えば、上述のフッ素系化合物を、水や有機溶剤に溶解、或いは分散した処理液を用いて、パッド・ドライ法、パッド・スチーム法、パッド・ドライ・スチーム法、グラビアコーテイング法、スプレー法などによりガラスクロス製基布の全体に処理液を付与し、60〜200℃で加熱乾燥する方法などが例示される。また、処理液には、本発明の目的を阻害しない限り、上述のフッ素系化合物の他に、パラフィン系化合物、脂肪族アマイド系化合物、アルキルエチレン尿素化合物、シリコーン系化合物等の、フッ素原子を有さない撥水性化合物を併用して用いても良く、その他に、架橋剤(イソシアネート系、メラミン系、カルボジイミド系、オキサゾリン系など)、シランカップリング剤、結合材(樹脂成分)、エポキシ系硬化剤、硬化触媒、界面活性剤、浸透剤、消泡剤、帯電防止剤、造膜助剤等、従来公知の添加剤を含んでも良い。
【0027】
本発明の屈曲耐久性及び耐炎性に優れた膜材は、15〜55%の可視光透過率(JIS
Z8722)を有するものであり、20〜50%であることがより好ましい。可視光透過率が15%未満であると、火災発生時に膜材の向こう側の状況を的確に認識する事ができないことがあり、特に日中の火災においては、周辺が明るい為膜材越しでは火災の発生に気づかず、避難の遅れにつながる事がある。一方、本発明においては、可視光透過率が55%を超える膜材を得るのは困難である。
【実施例】
【0028】
以下、本発明について実施例、および比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】
実施例及び比較例で得た膜材を、以下の評価を行った。
1、耐炎性能
実施例・比較例で作成した膜材について、建築基準法第2条第9号の二のロ(防火戸
その他の政令で定める防火設備)の認定に係る性能評価法に準じて、耐炎性能を評価し
た。ただし、試験に供した膜材の大きさは幅200cm×高さ100mとし、幅190
cm×高さ90cmの開口部を有する標準仕様の周壁(木造軸組工法に厚さ12.5m
mの石膏ボードの2枚重ね張り)の、開口部内側(加熱側)に、試料固定用の鉄枠
(枠部幅5cm)を介して隙間がない様固定し、ISO834に準拠した標準加熱曲線
に従って加熱を行い、20分(加熱温度781℃)及び30分(加熱温度842℃)の
時点で、下記の項目についてそれぞれ以下の様に評価・判定した。
(1)非加熱面への火炎の噴出
A1:非加熱側への火炎の噴出がない
A2:非加熱側への火炎の噴出があったが10秒以内であった
B:非加熱側へ10秒を超えて継続する火炎の噴出があった
*判定:A1およびA2を適合とし、Bを不適合とした
(2)非加熱面での発炎の有無
A1:非加熱側に発炎を生じない
A2:非加熱側に発炎を生じたが、10秒以内であった
B:非加熱側に10秒を超えて継続する発炎を生じた
*判定:A1およびA2を適合とし、Bを不適合とした
(3)火炎が通る亀裂等の損傷及び隙間の有無
A:火炎が通る亀裂等の損傷及び隙間を発生しない
B:火炎が通る亀裂等の損傷及び隙間を発生した
*判定:Aを適合とし、Bを不適合とした
2、燃焼試験(ASTM−E1354:コーンカロリーメーター試験法)
実施例及び比較例で得た膜材に対して、輻射電気ヒーターによる50kW/mの輻射
熱を20分間照射する発熱性試験を行い、20分間の総発熱量と発熱速度を測定すると
ともに、試験後の膜材外観を観察し、以下の様に判定した。(いずれもAを適合とし、
Bを不適合とした)
(1)総発熱量
A:8MJ/m以下
B:8MJ/mを越えた
(2)発熱速度
A:10秒以上継続して200kW/mを超えない
B:10秒以上継続して200kW/mを超えた
(3)外観観察
A:直径0.5mmを超えるピンホール陥没痕の発生がない
B:直径0.5mmを超えるピンホール陥没痕が発生した
3、屈曲耐久性
JISP8115 紙及び板紙のMIT型試験機による耐折り強さ試験方法に準じて、
試験片に9.8Nの荷重を掛けた状態で往復折り曲げを繰返し、膜材が破断した時の
折り曲げ回数(1往復で1回とする)を記録した。なお、膜材の縦(経)方向及び
横(緯)方向とも各5点の試験片について試験を行い、縦横それぞれの平均回数をとり、
その値について以下の様に評価した。
A1:縦横とも30000回以上であり、屈曲耐久性に優れた膜材である
A2:縦横何れか一方、或いは両方が30000回未満であるが、縦横とも20000
回以上であり、屈曲耐久性を有する膜材である。
B:縦横何れか一方、或いは両方が20000回未満であり、屈曲耐久性の劣る膜材で
ある
*判定:A1およびA2を適合とし、Bを不適合とした
4、可視光透過率
実施例及び比較例で得た膜材の可視光透過率を、分光側色計CM−3600d(コニカ
ミノルタ(株)製)を使用しJISZ 8722に従って測定した。
【0030】
[実施例1]
<基布>
1350dtexのガラス(Eガラス)マルチフィラメント(フィラメント単糸直径6
μm)糸条を、経糸及び緯糸に用いた平織布(織密度:経糸29本/インチ×緯糸32本/インチ)を、ガラスクロス製基布1(質量340g/m、空隙率0%)として用いた。
<撥油処理>
上記ガラスクロス製基布1を下記配合1のフッ素系化合物含有撥油処理組成物に浸漬し、引き上げると同時にマングルロールで圧搾し、基布に撥油処理剤組成物を完全に含浸させた。次いで、オーブン内で140℃×1分加熱して、フッ素系化合物で全体を撥油処理されたガラス繊維製基布を得た。(付着量:固形分で1.7g/m・・・ガラスクロス製基布の質量に対して0.5質量%)
(配合1)フッ素系化合物撥油処理組成物
フッ素系撥油処理剤 5質量部
(旭硝子(株)社製:商品名「アサヒガードE−300D」)
水 95質量部
<難燃性樹脂被覆層の形成>
撥油処理されたガラスクロス製基布を、下記配合2の軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物からなるペーストゾルに浸漬し、引き上げると同時にマングルロールで圧搾し、次いでオーブン内で190℃×1分加熱して、撥油処理したガラスクロス製基布上に、両面合わせて100g/mの難燃性樹脂被覆層を有する実施例1の膜材を得た。なお、配合2において、反応性ウレタン樹脂としてポリエステルポリオールとイソシアヌレート化HDIからなる2液硬化型ウレタン樹脂を用い、熱線反射性粒子として波長900nmに反射ピークを有する薄片状の干渉雲母粒子を用いた。得られた膜材において、難燃性樹脂被覆層に対して反応性ウレタン樹脂が4.7質量%、熱線反射性粒子が3.1質量%含まれており、ガラスクロス製基布の質量(撥油処理前)と難燃性樹脂被覆層との質量比は1:0.29であった。この膜材を各種試験に供した結果を表1に示す。
(配合2)軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物
乳化重合ポリ塩化ビニル樹脂(数平均分子量1700) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 50質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 15質量部
三酸化アンチモン(難燃剤粒子) 10質量部
波長900nmに反射ピークを有する薄片状の干渉雲母粒子 6質量部
(メルク(株)製:商品名「ソーラーフレア870」)
ポリエステル系ポリオール(固形分100%) 6質量部
(日本ポリウレタン工業(株)製:商品名「ニッポラン1004」)
イソシアヌレート化HDI(固形分100%) 3質量部
(日本ポリウレタン工業(株)製:商品名「コロネートHX」)
安定剤:Ba−Zn系 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
希釈溶剤:トルエン 20質量部
【0031】
[実施例2]
配合2の代わりに下記配合3の軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物から難燃性樹脂被覆層を形成した以外は、実施例1と同様にして実施例2の膜材を得た。配合3において、熱線反射性粒子として、干渉雲母粒子に代えて、重量平均粒子径1.0μmの酸化チタン粒子(ルチル型)を用いた。得られた膜材の難燃性樹脂被覆層の質量は、両面合わせて105g/m(ガラスクロス製基布の質量(撥油処理前)と難燃性樹脂被覆層との質量比は1:0.31)であった。難燃性樹脂被覆層に対して反応性ウレタン樹脂が4.6質量%、熱線反射性粒子が5.1質量%含まれていた。この膜材を各種試験に供した結果を表1に示す。
(配合3) 軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物
乳化重合ポリ塩化ビニル樹脂(数平均分子量1700) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 50質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 15質量部
三酸化アンチモン(難燃剤粒子) 10質量部
重量平均粒子径1.0μmの酸化チタン粒子(ルチル型) 10質量部
ポリエステル系ポリオール(固形分100%) 6質量部
(日本ポリウレタン工業(株)製:商品名「ニッポラン1004」)
イソシアヌレート化HDI(固形分100%) 3質量部
(日本ポリウレタン工業(株)製:商品名「コロネートHX」)
安定剤:Ba−Zn系 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
希釈溶剤:トルエン 20質量部
【0032】
[実施例3]
配合2の代わりに下記配合4の軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物から難燃性樹脂被覆層を形成した以外は、実施例1と同様にして実施例3の膜材を得た。配合4において、熱線反射性粒子として、配合2で用いた干渉雲母粒子と配合3で用いた酸化チタン粒子(ルチル型)を併用して用いた。得られた膜材の難燃性樹脂被覆層の質量は、両面合わせて105g/m(ガラスクロス製基布の質量(撥油処理前)と難燃性樹脂被覆層との質量比は1:0.31)であった。難燃性樹脂被覆層に対して反応性ウレタン樹脂が4.5質量%、熱線反射性粒子が4.0質量%含まれていた。この膜材を各種試験に供した結果を表1に示す。
(配合4) 軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物
乳化重合ポリ塩化ビニル樹脂(数平均分子量1700) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 50質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 15質量部
三酸化アンチモン(難燃剤粒子) 10質量部
波長900nmに反射ピークを有する薄片状の干渉雲母粒子 3質量部
(メルク(株)製:商品名「ソーラーフレア870」)
重量平均粒子径1.0μmの酸化チタン粒子(ルチル型) 5質量部
ポリエステル系ポリオール(固形分100%) 6質量部
(日本ポリウレタン工業(株)製:商品名「ニッポラン1004」)
イソシアヌレート化HDI(固形分100%) 3質量部
(日本ポリウレタン工業(株)製:商品名「コロネートHX」)
安定剤:Ba−Zn系 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
希釈溶剤:トルエン 20質量部
【0033】
[実施例4]
配合2の代わりに下記配合5の軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物から難燃性樹脂被覆層を形成した以外は、実施例1と同様にして実施例4の膜材を得た。配合5において、2液硬化型ウレタン系樹脂の代わりに、イソシアネート末端を有するウレタンプレポリマーからなる1液硬化型ウレタン系樹脂を用いた。得られた膜材の難燃性樹脂被覆層の質量は両面合わせて100g/m(ガラスクロス製基布の質量(撥油処理前)と難燃性樹脂被覆層との質量比1:0.29)、難燃性樹脂被覆層に対して反応性ウレタン樹脂が5.2質量%、熱線反射性粒子が3.1質量%含まれていた。この膜材を各種試験に供した結果を表1に示す。
(配合5) 軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物
乳化重合ポリ塩化ビニル樹脂(数平均分子量1700) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 50質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 15質量部
三酸化アンチモン(難燃剤粒子) 10質量部
波長900nmに反射ピークを有する薄片状の干渉雲母粒子 6質量部
(メルク(株)製:商品名「ソーラーフレア870」)
1液硬化型ウレタンプレポリマー(固形分100%) 10質量部
(日本ポリウレタン工業(株)製:商品名「コロネート2011」)
安定剤:Ba−Zn系 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
希釈溶剤:トルエン 20質量部
【0034】
[実施例5]
ガラスクロス製基布1の代わりに、375dtexのガラス(Eガラス)マルチフィラメント(フィラメント単糸直径9μm)糸条を経糸及び緯糸に用いた平織布(織密度:経糸32本/インチ×緯糸32本/インチ、質量100g/m、空隙率2.5%)からなるガラスクロス製基布2を用い、配合2の希釈溶剤を5質量部とした以外は、実施例1と同様にして、実施例5の膜材を得た。ガラスクロス製基布2に対する撥油処理剤の付着量は固形分で1.7g/m(ガラスクロス製基布の質量に対して0.5質量%)であり、得られた膜材の難燃性樹脂被覆層の質量は、両面合わせて110g/m(ガラスクロス製基布の質量(撥油処理前)と難燃性樹脂被覆層との質量比1:1.1)、難燃性樹脂被覆層に対して反応性ウレタン樹脂が4.7質量%、熱線反射性粒子が3.1質量%含まれていた。この膜材を各種試験に供した結果を表1に示す。
【0035】
[実施例6]
配合2の代わりに配合3を用い、配合3の希釈溶剤を5質量部とした以外は、実施例5と同様にして、実施例6の膜材を得た。ガラスクロス製基布2に対する撥油処理剤の付着量は固形分で1.7g/m(ガラスクロス製基布の質量に対して0.5質量%)であり、得られた膜材の難燃性樹脂被覆層の質量は、両面合わせて117g/m(ガラスクロス製基布の質量(撥油処理前)と難燃性樹脂被覆層との質量比1:1.2)、難燃性樹脂被覆層に対して反応性ウレタン樹脂が4.7質量%、熱線反射性粒子が3.1質量%含まれていた。この膜材を各種試験に供した結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
実施例1〜6の膜材は、本発明の要件を全て満たした膜材であり、耐炎性能、燃焼試験の全ての項目に適合し、防火設備に用いることのできる耐炎性に優れた膜材であった。また、実施例1〜6の膜材は、全て往復折り曲げ20000回以上の屈曲耐久性を有するため、巻き取りや巻き出しを繰返されるシャッターやスクリーンに適して用いることとができ、更に、可視光透過率が15以上であるため、この膜材を用いたシャッターやスクリーンが閉じた状態であっても、膜材の向こう側で発生した火災を認識することができる、防災上非常に有益なものであった。実施例1と実施例2および3の比較では、実施例1の耐屈曲性が実施例2および3比べて優れていたが、これは、実施例2および3で熱線反射性粒子として用いた酸化チタン粒子の硬度が高く(モース硬度7.0〜7.5)、繰返し屈曲の際にガラスマルチフィラメント糸条の表面が傷ついたためであると考えられる。しかし、ガラスクロス製基布の全体がフッ素系化合物で撥油処理されていることで、ガラスマルチフィラメント糸条内部には熱線反射性粒子が侵入することは無く、実用上充分な屈曲耐久性を有していた。実施例1と4とは、難燃性樹脂被覆層に含まれる反応性ウレタン樹脂が異なり、実施例1がポリオール成分とイソシアネート基含有化合物とを含む2液硬化型ウレタン系樹脂であり、実施例4がイソシアネート末端を有するウレタンプレポリマーからなる1液硬化型ウレタン系樹脂であったが、評価結果には差がなく、いずれも本発明に適して用いられる事が確認された。実施例5は、使用したガラスクロス製基布が実施例1よりも軽く、同じ配合の難燃性樹脂被覆層の質量は同程度であり、ガラスクロス製基布に対する難燃性樹脂被覆層の質量比が多かったため、加熱30分での耐炎性能の評価にわずかに差が出たものの、評価基準には適合していた。実施例6もまた、同じ配合の実施例2との比較で、ガラスクロス製基布に対する難燃性樹脂被覆層の質量比が多かったため、加熱30分での耐炎性能の評価にわずかに差が出たものの、評価基準には適合していた。
【0038】
[比較例1]
撥油処理を省略した以外は、実施例1と同様にして比較例1の膜材を得た。得られた膜材の難燃性樹脂被覆層の質量は、両面合わせて160g/m(ガラスクロス製基布の質量と難燃性樹脂被覆層との質量比1:0.47)、難燃性樹脂被覆層に対して反応性ウレタン樹脂が4.7質量%、熱線反射性粒子が3.1質量%含まれていた。この膜材を各種試験に供した結果を表2に示す。
【0039】
比較例1の膜材は、難燃性樹脂被覆層の付着が不均一で外観が悪く、屈曲耐久性が不適合であり、巻き取りや巻き出しを繰り返されるシャッターやスクリーンに適さない膜材であった。また、耐炎性能、燃焼性能において不適合評価があり、防火設備に用いることのできない膜材であった。外観については、ガラスクロス製基布に撥油処理を行わなかった為に、ガラスクロス製基布が加工液に触れた瞬間、希釈溶剤が先に浸透して基布周辺の液粘度が不均一になったことが原因であると考えられる。屈曲耐久性については、難燃性樹脂被覆層形成時に、熱線反射性粒子や難燃剤粒子がガラスマルチフィラメント糸条内部に入り込み、繰返し屈曲を行った際に部分的に大きな応力がかかったこと、および、不均一な難燃性樹脂被覆層において、部分的に厚さが異なり、厚さの異なる部分に大きな応力がかかったこと、などが原因であると考えられる。
【0040】
[比較例2]
撥油処理を省略した以外は、実施例2と同様にして比較例2の膜材を得た。得られた膜材の難燃性樹脂被覆層の質量は、両面合わせて165g/m(ガラスクロス製基布の質量と難燃性樹脂被覆層との質量比1:0.49)、難燃性樹脂被覆層に対して反応性ウレタン樹脂が4.5質量%、熱線反射性粒子が5.1質量%含まれていた。この膜材を各種試験に供した結果を表2に示す。
【0041】
比較例2の膜材も、比較例1と同様ガラスクロス製基布に撥油処理を行わなかった為に、難燃性樹脂被覆層の付着が不均一で外観が悪く、屈曲耐久性が不適合であり、巻き取りや巻き出しを繰り返されるシャッターやスクリーンに適さない膜材であった。また、耐炎性能、燃焼性能において不適合評価があり、防火設備に用いることのできない膜材であった。なお、比較例2は耐炎性能評価(30分)において亀裂が発生しており、比較例1よりも劣る結果であった。これは、熱線反射性粒子として用いられた酸化チタン粒子が、ガラスよりも高い硬度を有しており、それがガラスマルチフィラメント糸条内部に入り込んで繊維を傷つけたためであると考えられる。
【0042】
[比較例3]
配合1のフッ素系化合物撥油処理組成物の代わりに下記配合6のパラフィン系撥水処理組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして比較例3の膜材を得た。ガラスクロス製基布に対するパラフィン系撥水処理の付着量は固形分で1.6g/mガラスクロス製基布の質量に対して0.5質量%)、得られた膜材の難燃性樹脂被覆層の質量は、両面合わせて120g/m(ガラスクロス製基布の質量(撥水処理前)と難燃性樹脂被覆層との質量比1:0.35)、難燃性樹脂被覆層に対して反応性ウレタン樹脂が4.7質量%、熱線反射性粒子が3.1質量%含まれていた。この膜材を各種試験に供した結果を表2に示す。
(配合6)撥水処理組成物
パラフィン系撥水処理剤 8質量部
(大原パラジウム(株)社製:商品名「パラジウムNT」)
水 92質量部
【0043】
比較例3の膜材は、ガラスクロス製基布に対してパラフィン系の撥水処理を行ったことで、何も処理を行わなかった比較例1に比べて、外観については改善が見られたものの、屈曲耐久性については不適合であり、巻き取りや巻き出しを繰り返されるシャッターやスクリーンに適さない膜材であった。パラフィン系の撥水処理ではガラスクロス製基布へのペーストゾルの浸透抑制が不充分であり、難燃性樹脂被覆層形成時に、熱線反射性粒子や難燃剤粒子がガラスマルチフィラメント内部に入り込み、屈曲耐久性が損なわれたと考えられる。また、耐炎性能、燃焼性能において不適合評価はなかったものの、熱線反射性粒子がガラスマルチフィラメント内部に入り込んでしまったため基布に到達する熱線を反射する効果が減じ、実施例1に比べて耐炎性能について、やや劣っていた。
【0044】
[比較例4]
配合2の代わりに下記配合7の軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物から難燃性樹脂被覆層を形成した以外は、実施例1と同様にして比較例4の膜材を得た。得られた膜材の難燃性樹脂被覆層の質量は両面合わせて100g/m(ガラスクロス製基布の質量(撥油処理前)と難燃性樹脂被覆層との質量比1:0.29)、難燃性樹脂被覆層に対して熱線反射性粒子は3.3質量%含まれていたが、反応性ウレタン樹脂を含んでいなかった。この膜材を各種試験に供した結果を表2に示す。
(配合7) 軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物
乳化重合ポリ塩化ビニル樹脂(数平均分子量1700) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 50質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 15質量部
三酸化アンチモン(難燃剤粒子) 10質量部
波長900nmに反射ピークを有する薄片状の干渉雲母粒子 6質量部
(メルク(株)製:商品名「ソーラーフレア870」)
安定剤:Ba−Zn系 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
希釈溶剤:トルエン 20質量部
【0045】
比較例4の膜材は、実施例1の難燃性樹脂被覆層から2液硬化型ウレタン系樹脂を省略した膜材であり、実施例1に比べて屈曲耐久性が大きく劣っており、シャッターやスクリーンなど巻き出しや巻き取りを繰り返す用途に適さない膜材であった。これは、ガラスクロス製基布と難燃性樹脂被覆層の接着性が低いため、屈曲試験中に難燃性樹脂被覆層が脱落し、ガラスマルチフィラメント糸条が直接繰返し折り曲げに曝されて傷つき、切れ易くなったためであると考えられる。
【0046】
[比較例5]
配合2の代わりに下記配合8の軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物から難燃性樹脂被覆層を形成した以外は、実施例1と同様にして比較例4の膜材を得た。得られた膜材の難燃性樹脂被覆層の質量は両面合わせて100g/m(ガラスクロス製基布の質量(撥油処理前)と難燃性樹脂被覆層との質量比1:0.29)、難燃性樹脂被覆層に対して反応性ウレタン樹脂が12.8質量%、熱線反射性粒子が2.9質量%含まれていた。この膜材を各種試験に供した結果を表2に示す。
(配合8) 軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物
乳化重合ポリ塩化ビニル樹脂(数平均分子量1700) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 50質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 15質量部
三酸化アンチモン(難燃剤粒子) 10質量部
波長900nmに反射ピークを有する薄片状の干渉雲母粒子 6質量部
(メルク(株)製:商品名「ソーラーフレア870」)
ポリエステル系ポリオール(固形分100%) 15質量部
(日本ポリウレタン工業(株)製:商品名「ニッポラン1004」)
イソシアヌレート化HDI(固形分100%) 12質量部
(日本ポリウレタン工業(株)製:商品名「コロネートHX」)
安定剤:Ba−Zn系 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
希釈溶剤:トルエン 20質量部
【0047】
比較例4の膜材は、難燃性樹脂被覆層に含まれる反応性ウレタン樹脂の量が、難燃性樹脂被覆層に対して12.8質量%であり、10質量%を超えていた。そのため、難燃性樹脂被覆層が硬くなって屈曲耐久性が不適合となり、シャッターやスクリーンなど巻き出しや巻き取りを繰り返す用途に適さない膜材であった。
【0048】
[比較例6]
配合2の代わりに下記配合9の軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物から難燃性樹脂被覆層を形成した以外は、実施例1と同様にして比較例5の膜材を得た。得られた膜材の難燃性樹脂被覆層の質量は両面合わせて100g/m(ガラスクロス製基布の質量(撥油処理前)と難燃性樹脂被覆層との質量比1:0.29)、難燃性樹脂被覆層に対して反応性ウレタン樹脂が4.8質量%含まれていたが、熱線反射性粒子を含んでいなかった。この膜材を各種試験に供した結果を表2に示す。
(配合9) 軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物
乳化重合ポリ塩化ビニル樹脂(数平均分子量1700) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 50質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 15質量部
三酸化アンチモン(難燃剤粒子) 10質量部
ポリエステル系ポリオール(固形分100%) 6質量部
(日本ポリウレタン工業(株)製:商品名「ニッポラン1004」)
イソシアヌレート化HDI(固形分100%) 3質量部
(日本ポリウレタン工業(株)製:商品名「コロネートHX」)
安定剤:Ba−Zn系 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
希釈溶剤:トルエン 20質量部
【0049】
比較例6の膜材は、難燃性樹脂被覆層に熱線反射性粒子を含まないため、耐炎性能の評価において不適合となり、また、燃焼試験において、発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えて不適合となった。
【0050】
[比較例7]
配合2の代わりに下記配合10の軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物から難燃性樹脂被覆層を形成した以外は、実施例1と同様にして比較例6の膜材を得た。得られた膜材の難燃性樹脂被覆層の質量は両面合わせて120g/m(ガラスクロス製基布の質量(撥油処理前)と難燃性樹脂被覆層との質量比1:0.35)、難燃性樹脂被覆層に対して反応性ウレタン樹脂が3.1質量%含まれていた。この膜材を各種試験に供した結果を表2に示す。
(配合10) 軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物
乳化重合ポリ塩化ビニル樹脂(数平均分子量1700) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 50質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 15質量部
三酸化アンチモン(難燃剤粒子) 10質量部
水酸化マグネシウム(難燃剤) 50質量部
熱膨張性黒鉛 50質量部
(東ソー(株)社製:商品名「フレームカットGREP−EG」)
ポリエステル系ポリオール(固形分100%) 6質量部
(日本ポリウレタン工業(株)製:商品名「ニッポラン1004」)
イソシアヌレート化HDI(固形分100%) 3質量部
(日本ポリウレタン工業(株)製:商品名「コロネートHX」)
安定剤:Ba−Zn系 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
希釈溶剤:トルエン 20質量部
【0051】
比較例7の膜材は、比較例6と同様難燃性樹脂被覆層に熱線反射性粒子を含まないが、 代わりに水酸化マグネシウムと熱膨張性黒鉛を含むため、耐炎性能及び燃焼試験の評価において適合となった。しかし、水酸化マグネシウムと熱膨張性黒鉛が多量に添加されていため屈曲耐久性に劣り、かつ可視光透過率が0%で、膜材を隔てると火災の発生を認識する事ができないため、防火シャッターや防火スクリーンには適さない膜材であった。
【0052】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の屈曲耐久性及び耐炎性に優れた膜材は、耐炎性に優れ、繰り返し屈曲に対する耐久性にも優れ、かつ、火災発生時に膜材の向こう側の状況を認識できる透光性を有している。そのため、建築基準法に規定される延焼の恐れのある建築物の開口部に、単独で設置したり、或いは耐火基準を満たさない窓に併設する防火設備として、耐火シャッターや耐火スクリーンを構成する膜材に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0054】
1:膜材
2:ガラスクロス製基布(フッ素系化合物で撥油処理)
2−1:経糸条
2−2:緯糸条
3:難燃性樹脂被覆層(熱線反射性粒子含有)
図1