特許第6091343号(P6091343)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社クボタの特許一覧

<>
  • 特許6091343-水田作業機 図000002
  • 特許6091343-水田作業機 図000003
  • 特許6091343-水田作業機 図000004
  • 特許6091343-水田作業機 図000005
  • 特許6091343-水田作業機 図000006
  • 特許6091343-水田作業機 図000007
  • 特許6091343-水田作業機 図000008
  • 特許6091343-水田作業機 図000009
  • 特許6091343-水田作業機 図000010
  • 特許6091343-水田作業機 図000011
  • 特許6091343-水田作業機 図000012
  • 特許6091343-水田作業機 図000013
  • 特許6091343-水田作業機 図000014
  • 特許6091343-水田作業機 図000015
  • 特許6091343-水田作業機 図000016
  • 特許6091343-水田作業機 図000017
  • 特許6091343-水田作業機 図000018
  • 特許6091343-水田作業機 図000019
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6091343
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】水田作業機
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/00 20060101AFI20170227BHJP
   A01C 7/06 20060101ALI20170227BHJP
   A01C 7/08 20060101ALI20170227BHJP
   A01C 7/20 20060101ALI20170227BHJP
   A01C 15/00 20060101ALI20170227BHJP
   A01M 9/00 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   A01C11/00 302
   A01C7/06 B
   A01C7/08 310F
   A01C7/20 B
   A01C15/00 J
   A01M9/00 D
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-119117(P2013-119117)
(22)【出願日】2013年6月5日
(65)【公開番号】特開2014-233286(P2014-233286A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2015年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180507
【弁理士】
【氏名又は名称】畑山 吉孝
(74)【代理人】
【識別番号】100137590
【弁理士】
【氏名又は名称】音野 太陽
(72)【発明者】
【氏名】柴原 藍
(72)【発明者】
【氏名】松村 哲也
(72)【発明者】
【氏名】中川 善清
(72)【発明者】
【氏名】清水 孝式
【審査官】 木村 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭49−107804(JP,A)
【文献】 特開2001−069830(JP,A)
【文献】 特開昭59−151806(JP,A)
【文献】 実開昭50−039332(JP,U)
【文献】 特開2002−209407(JP,A)
【文献】 米国特許第04388878(US,A)
【文献】 米国特許第05136954(US,A)
【文献】 特開2012−90527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 11/00
A01C 7/00−9/08
A01C 15/00
A01M 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗を植付爪によって圃場に植え付ける苗植作業、又は種籾を籾繰出部によって籾タンクから繰り出し、繰り出した種籾を圃場に供給する播種作業を行なう供給装置と、肥料又は薬剤を資材繰出部によって資材タンクから繰り出し、繰り出した肥料を圃場に供給する施肥作業又は繰り出した薬剤を圃場に供給する施薬作業を行なう資材供給装置とを走行機体に備え、
前記供給装置による苗植箇所又は播種箇所と、前記資材供給装置による施肥箇所又は施薬箇所とが、平面視において重なった状態で前記走行機体の前後方向に沿った方向に位置するように構成し、
前記資材繰出部が、平面視において、前記植付爪又は前記籾繰出部に対して走行機体前後方向に沿った方向に並ぶように、前記資材供給装置を配備してあり、
前記資材供給装置を、前記施肥箇所又は施薬箇所において作溝器によって圃場面に形成した溝に前記肥料又は前記薬剤を供給するように構成し、
前記作溝器にて形成した溝に泥土を埋め戻す埋め戻し部材と、
前記作溝器の後方側に位置して、前記埋め戻し部材によって埋め戻された泥土を均す整地部材とを備えている水田作業機。
【請求項2】
前記資材供給装置による施肥箇所又は施薬箇所が、前記供給装置による苗植箇所又は播種箇所の直下に位置する請求項1に記載の水田作業機。
【請求項3】
前記資材供給装置による施肥箇所又は施薬箇所が、前記供給装置による苗植箇所又は播種箇所に対して所定間隔を隔てて位置する請求項2に記載の水田作業機。
【請求項4】
前記資材供給装置を、前記供給装置よりも走行機体前方側に配備してある請求項1〜3のいずれか一項に記載の水田作業機。
【請求項5】
前記供給装置による播種箇所が走行機体前後方向に沿う方向に点在する請求項1〜4のいずれか一項に記載の水田作業機。
【請求項6】
前記供給装置による播種箇所と前記資材供給装置による施肥箇所とが、平面視において重なり、
前記資材供給装置による施肥箇所が走行機体前後方向に沿う方向に点在する請求項5に記載の水田作業機。
【請求項7】
前記供給装置による播種箇所と前記資材供給装置による施薬箇所とが、平面視において重なり、
前記資材供給装置による施薬箇所が走行機体前後方向に沿う方向に点在する請求項5に記載の水田作業機。
【請求項8】
前記資材供給装置による施肥箇所又は施薬箇所が、走行機体前後方向に沿う方向に連続する請求項1〜5のいずれか一項に記載の水田作業機。
【請求項9】
前記資材供給装置として、前記施肥作業を行なう施肥用の資材供給装置、及び前記施薬作業を行なう施薬用の資材供給装置を備え、
前記供給装置による苗植箇所又は播種箇所と、前記施薬用の資材供給装置による施薬箇所と、前記施肥用の資材供給装置による施肥箇所とが、平面視で重なる状態で走行機体前後方向に沿った方向に位置するように構成してある請求項1〜8のいずれか一項に記載の水田作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苗を植付爪によって圃場に植え付ける苗植作業、又は種籾を籾繰出部によって籾タンクから繰り出し、繰り出した種籾を圃場に供給する播種作業を行なう供給装置と、肥料又は薬剤を資材繰出部によって資材タンクから繰り出し、繰り出した肥料を圃場に供給する施肥作業又は繰り出した薬剤を圃場に供給する施薬作業を行なう資材供給装置とを走行機体に備えた水田作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されるように、粉粒体供給装置及び施肥装置を備えられた作業機があった。この作業機では、粉粒体供給装置は、粉粒体タンクに連結された繰出しケースの内部に設けた繰出し回転体によって粉粒体タンクから種籾を設定量ずつ間欠的に繰出し、繰出した種籾を筒状体が形成している落下経路を介して圃場に落下させる。施肥装置は、肥料タンクに連設された肥料繰出し機構によって肥料タンクから肥料を繰出し、繰出した肥料を、電動ブロワからの搬送風によって肥料供給ホースを介して作溝施肥器に供給する。作溝施肥器は、粉粒体供給装置が圃場に供給する種籾の横側近くで圃場に溝を形成し、形成した溝に肥料供給ホースからの肥料を供給する。
【0003】
従来、特許文献2に示されるように、粉状施肥装置及びペースト状施肥装置を装備された施肥装置付きの乗用型田植機があった。この乗用型田植機では、粉状施肥装置は、粉状肥料を貯留するホッパ、繰出しロールを内装した肥料繰出し機構、流下ホース、施肥溝形成用の作溝器によって構成され、植付け苗の横側部に施肥する。ペースト状施肥装置は、肥料タンクからの肥料が肥料ホース、肥料パイプ、支持パイプ内及び連通管を介して肥料ポンプに供給され、肥料ポンプからホースを介して施肥パイプに供給され、施肥パイプによって植付け苗の横側部近傍に施肥する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−85599号公報
【特許文献2】特開平7−236325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した水田作業機は、苗植作業又は播種作業と、植え付けた苗又は播種した種籾に肥料や薬剤を供給する施肥作業や施薬作業とを同時に行うことを可能にしたものである。
従来の技術の場合、肥料や薬剤が植付苗又は種籾の横側部の箇所に供給されることにより、植付苗の根や種籾の発根が肥料に向けて延び易いことにより、植付苗の根や種籾の発根が肥料に向かって曲がり易い。また、植付苗又は種籾と肥料や薬剤とが離れがちとなり、肥料や薬剤の効きが遅れ易い。
【0006】
本発明の目的は、苗植作業又は播種作業と施肥作業や施薬作業とを、根の偏りを回避し易いとか、肥料や薬剤を効かせ易い状態で同時に行うことが可能な水田作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本第1発明による水田作業機は、
苗を植付爪によって圃場に植え付ける苗植作業、又は種籾を籾繰出部によって籾タンクから繰り出し、繰り出した種籾を圃場に供給する播種作業を行なう供給装置と、肥料又は薬剤を資材繰出部によって資材タンクから繰り出し、繰り出した肥料を圃場に供給する施肥作業又は繰り出した薬剤を圃場に供給する施薬作業を行なう資材供給装置とを走行機体に備え、
前記供給装置による苗植箇所又は播種箇所と、前記資材供給装置による施肥箇所又は施薬箇所とが、平面視において重なった状態で前記走行機体の前後方向に沿った方向に位置するように構成し、
前記資材繰出部が、平面視において、前記植付爪又は前記籾繰出部に対して走行機体前後方向に沿った方向に並ぶように、前記資材供給装置を配備してあり、
前記資材供給装置を、前記施肥箇所又は施薬箇所において作溝器によって圃場面に形成した溝に前記肥料又は前記薬剤を供給するように構成し、
前記作溝器にて形成した溝に泥土を埋め戻す埋め戻し部材と、 前記作溝器の後方側に位置して、前記埋め戻し部材によって埋め戻された泥土を均す整地部材とを備えている。
【0008】
本第1発明の構成によると、供給装置によって苗植作業又は播種作業を行なわせ、これと同時に、資材供給装置によって施肥作業又は施薬作業を行なわせることができる。苗植箇所又は播種箇所と施肥箇所又は施薬箇所とが平面視において重なることにより、植付苗の根や種子の発根を肥料に向けてあまり曲がらずに伸びるようにでき、又は肥料や薬剤を植付苗や種子に極力近付けて吸収し易くできる。
【0009】
苗植箇所又は播種箇所と施肥箇所又は施薬箇所とが、平面視において重なるものでありながら、資材繰出部が植付爪又は籾繰出部に対して走行機体前後方向に沿った方向に並ぶことにより、資材繰出部から圃場に肥料又は薬剤を供給する供給経路を、走行機体前後方向視で屈曲しないとかあまり屈曲しない簡素な経路に形成できる。
【0010】
従って、本第1発明によると、苗植作業又は播種作業と施肥作業又は施薬作業とを同時に行って手間を省けるのみならず、根をあまり曲がらずに伸ばすことができ、かつ肥料や薬剤を速く効かせることができる。そして、資材供給装置を供給経路の簡素化によってコンパクトに装備できる。
【0011】
本第2発明では、前記資材供給装置による施肥箇所又は施薬箇所が、前記供給装置による苗植箇所又は播種箇所の直下に位置する。
【0012】
本第2発明によると、植付苗の根や種籾の発根を肥料に向けて下向きに広い範囲に伸び易くでき、又は薬剤が上方に位置する種籾の周辺に対して全体的に及び易くでき、肥料や薬剤を効果的に効かせ易い。
【0013】
本第3発明では、前記資材供給装置による施肥箇所又は施薬箇所が、前記供給装置による苗植箇所又は播種箇所に対して所定間隔を隔てて位置する。
【0014】
本第3発明によると、植付苗又は種籾と肥料又は薬剤との間に所定間隔を設け、根の伸びを促進させることができる。また、植付苗や種籾と肥料や薬剤とが接触すると機能障害を起こすことがある苗、種籾、肥料や薬剤であっても、植付苗又は種籾と施肥箇所又は施薬箇所との所定間隔によって機能障害の発生を回避できる。
【0015】
本第4発明では、前記資材供給装置を、前記供給装置よりも走行機体前方側に配備してある。
【0016】
資材供給装置が供給装置よりも走行機体後方側に位置する場合、施肥や施薬を播種や苗植えに先行して行わせるには、資材繰出部からの肥料や薬剤を圃場に供給する供給経路を供給装置の前後にわたって配備する必要があり、供給経路の長さが長くなる。これに対し、本第4発明によると、資材供給装置が供給装置よりも走行機体前方側に位置することにより、資材供給装置の供給経路を全長にわたって供給装置よりも前側に配備すればよくて、供給経路の長さを短く済ませることができ、資材供給装置を供給経路が短いコンパクトなものにできる。
【0017】
本第5発明では、前記供給装置による播種箇所が走行機体前後方向に沿う方向に点在する。
【0018】
本第5発明によると、種籾の点在によって種籾の周囲を広く開けて、種籾に対して周囲の広い範囲から肥料や薬剤を効果的に効かせることができる。
【0019】
本第6発明では、前記供給装置による播種箇所と前記資材供給装置による施肥箇所とが、平面視において重なり、前記資材供給装置による施肥箇所が走行機体前後方向に沿う方向に点在する。
【0020】
本第6発明によると、肥料を点在する状態で供給すればよくて肥料の消費量を少なくすませながら、播種箇所と施肥箇所とが平面視において重なることにより、肥料を効かせ易い。
【0021】
本第7発明では、前記供給装置による播種箇所と前記資材供給装置による施薬箇所とが、平面視において重なり、前記資材供給装置による施薬箇所が走行機体前後方向に沿う方向に点在する。
【0022】
本第7発明によると、薬剤を点在する状態で供給すればよくて薬剤の消費量を少なくすませながら、播種箇所と施薬箇所とが平面視において重なることにより、薬剤を効かせ易い。
【0023】
本第8発明では、前記資材供給装置による施肥箇所又は施薬箇所が、走行機体前後方向に沿う方向に連続する。
【0024】
本第8発明によると、苗植箇所や播種箇所に対する供給漏れが無い施肥や施薬を行わせ易く、植付苗や種籾に対して肥料や薬剤を漏れなく供給できる。
【0025】
本第9発明では、前記資材供給装置として、前記施肥作業を行なう施肥用の資材供給装置、及び前記施薬作業を行なう施薬用の資材供給装置を備え、前記供給装置による苗植箇所又は播種箇所と、前記施薬用の資材供給装置による施薬箇所と、前記施肥用の資材供給装置による施肥箇所とが、平面視で重なる状態で走行機体前後方向に沿った方向に位置するように構成してある。
【0026】
本第9発明によると、植付苗又は種子に対して肥料及び薬剤のいずれもが平面視で重なり、肥料及び薬剤のいずれもを速く効かせ易い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】水田作業機の全体を示す側面図である。
図2】水田作業部の全体を示す側面図である。
図3】水田作業部の施肥作業部を示す後面図である。
図4】水田作業部の施薬作業部を示す後面図である。
図5】水田作業部の播種作業部を示す後面図である。
図6】水田作業部の施肥部、施薬部及び播種部を示す平面図である。
図7】作溝器、籾繰出部、薬剤繰出部及び肥料繰出部の配置を示す平面図である。
図8】施肥用の駆動機構を示す側面図である。
図9】施薬用の駆動機構を示す側面図である。
図10】整地体を示す側面図である。
図11】(a)は、第1の実施構造を備えた水田作業部による播種作業、施薬作業及び施肥作業を縦断面視の状態で説明する説明図、(b)は、第1の実施構造を備えた水田作業部による播種作業、施薬作業及び施肥作業を平面視の状態で説明する説明図である。
図12】第2の実施構造を備えた水田作業部の全体を示す側面図である。
図13】(a)は、第2の実施構造を備えた水田作業部による播種作業、施薬作業及び施肥作業を縦断面視の状態で説明する説明図、(b)は、第2の実施構造を備えた水田作業部による播種作業、施薬作業及び施肥作業を平面視の状態で説明する説明図である。
図14】(a)は、第3の実施構造を備えた水田作業部による苗植作業、施肥作業及び施薬作業を縦断面視の状態で説明する説明図、(b)は、第3の実施構造を備えた水田作業部による苗植作業、施薬作業及び施肥作業を平面視の状態で説明する説明図である。
図15】(a)は、第4の実施構造を備えた水田作業部による播種作業、施肥作業及び施薬作業を縦断面視の状態で説明する説明図、(b)は、第4の実施構造を備えた水田作業部による播種作業、施肥作業及び施薬作業を平面視の状態で説明する説明図である。
図16】(a)は、第5の実施構造を備えた水田作業部による播種作業、施肥作業及び施薬作業を縦断面視の状態で説明する説明図、(b)は、第5の実施構造を備えた水田作業部による播種作業、施肥作業及び施薬作業を平面視の状態で説明する説明図である。
図17】(a)は、別の実施構造を備えた水田作業部による播種作業、施肥作業及び施薬作業を縦断面視の状態で説明する説明図、(b)は、別の実施構造を備えた水田作業部による播種作業、施肥作業及び施薬作業を平面視の状態で説明する説明図である。
図18】別の実施構造を備えた水田作業部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明における水田作業機の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施例〕
〔全体構成〕
図1は、本発明に係る水田作業機の全体を示す側面図である。図1に示すように、本発明に係る水田作業機は、車体フレーム10の前部が左右一対の駆動及び操向操作自在な前車輪11,11で支持され、後部が左右一対の駆動自在な後車輪12,12で支持された走行機体1と、車体フレーム10の後部にリンク機構16を介して連結される状態で走行機体1に備えた水田作業部Aと、を備えている。
【0029】
走行機体1は、車体フレーム10の前部に原動部13を備え、原動部13に配備されたエンジン14からの駆動力によって前車輪11及び後車輪12を駆動して自走するように、自走式に構成してある。走行機体1は、車体フレーム10の後部に設けられた運転座席15が装備された搭乗型の運転部を備え、運転部に搭乗して操縦するように乗用型に構成してある。
【0030】
水田作業部Aは、リンク機構16が油圧シリンダ17によって車体フレーム10に対して上下に揺動操作されることにより、整地用の接地フロート5が圃場泥土に接地した下降作業状態と、接地フロート5が圃場泥土から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降操作される。
水田作業機は、水田作業部Aを下降作業状態に下降させて走行機体1を走行させることにより、水田作業部Aによって4条播種の播種作業と、各播種条の種籾cに対する施肥作業及び施薬作業と、播種条間に対する溝切作業とを行なうものであり、水田作業部Aは、次の如く構成してある。
【0031】
〔水田作業部〕
水田作業部Aについて説明する。図2は、水田作業部Aの全体を示す側面図である。図3は、水田作業部Aの施肥作業部を示す後面図である。図4は、水田作業部Aの施薬作業部を示す後面図である。図5は、水田作業部Aの播種作業部を示す後面図である。
【0032】
図2に示すように、水田作業部Aは、リンク機構16を構成する機体上下向きの後部リンク16aの下部に前端側が連結された作業フレーム6を備えている。作業フレーム6は、後部リンク16aに対して機体前後向きのローリング支点軸16bを介して連結されている。従って、水田作業部Aは、ローリング支点軸16bの前後方向のローリング軸芯Zまわりで走行機体1に対してローリング可能になっている。
【0033】
図2,3,4に示すように、作業フレーム6は、後部リンク16aに前端側上部がローリング支点軸16bで連結された作業フレーム横方向に長い駆動ケース60と、この駆動ケース60の両横端部から各別に作業フレーム後方向きに延出した左右一対の伝動ケース61とを備えて構成してある。駆動ケース60は、駆動ケース60の左右方向での中央部に配置され、エンジン14からの動力が伝達軸18(図1参照)によって入力されるフィードケース60Aと、フィードケース60Aの下端側の両横側部から横外向きに延出された左右一対の出力軸ケース60B,60Bとを備えている。
【0034】
水田作業部Aは、作業フレーム6の下方に設けた一つの走行機体横方向幅が広い接地フロート5を備えている。接地フロート5は、後端部に配備した揺動支点Xの周りに前端側が上下揺動するように支持されている。水田作業部Aは、作業フレーム6の後端部に支持され、3つの播種条間のうちの中央の播種条間において圃場面GLに排水溝を形成するセンタ溝切体51と、接地フロート5の左右側の後端部に支持され、3つの播種条間のうちの左側と右側の播種条間において圃場面GLに排水溝を形成する左右一対のサイド溝切体52とを備えている。
【0035】
水田作業部Aは、作業フレーム6の前部の上方に位置する資材タンクとしての肥料タンク20を有した状態で走行機体横方向に並ぶ4つの施肥用の資材供給装置2と、肥料タンク20の後方に位置する資材繰出部としての薬剤繰出部31を有した状態で走行機体方向に並ぶ4つの施薬用の資材供給装置3と、薬剤繰出部31の後方に位置する籾タンク40を有した状態で走行機体横方向に並ぶ4つの播種用の供給装置4とを備えている。
【0036】
〔施肥用の資材供給装置〕
施肥用の資材供給装置2について説明する。
図2,3に示すように、4つの施肥用の資材供給装置2は、4つの播種用の供給装置4よりも走行機体前方に配備してある。詳述すると、4つの施肥用の資材供給装置2は、4つの播種用の供給装置4それぞれの走行機体前方側に一つの施肥用の資材供給装置2が位置するよう配備してある。一つの播種用の供給装置4とこの供給装置4の走行機体前方に位置する一つの施薬用の資材供給装置2とが一つの供給装置対をなし、4つの施肥用の資材供給装置2と4つの播種用の供給装置4とが4つの供給装置対をなしている。図7に示すように、4つの施肥用の資材供給装置2と4つの播種用の供給装置4との位置関係を、4つの供給装置対それぞれにおいて、施肥用の資材供給装置2に備えてある資材繰出部としての肥料繰出部21が、平面視において、播種用の供給装置4に備えてある籾繰出部41に対して走行機体前後方向に沿った方向に並ぶ位置関係に設定してある。
【0037】
4つの施肥用の資材供給装置2のそれぞれは、資材タンクとしての肥料タンク20と、肥料タンク20の底部に設けられたロート部20aに繰出ケース21aが接続された資材繰出部としての肥料繰出部21と、繰出ケース21aの下部から後方下方向きに延出された肥料供給筒23と、肥料供給筒23の延出端部に蛇腹筒24を介して連通された作溝器25と、を備えて構成してある。
【0038】
走行機体左側の2つの資材供給装置2の肥料タンク20は、内部が連通し合う状態で一体形成されており、一体のタンクになっている。走行機体右側の2つの資材供給装置2の肥料タンク20も、走行機体左側の2つの資材供給装置2の肥料タンク20と同様に、内部が連通し合う状態で一体形成されており、一体のタンクになっている。肥料タンク20及び繰出ケース21aは、作業フレーム6に左右一対の支柱フレーム63,63を介して固定された前部支持フレーム64に支持してある。
【0039】
各肥料繰出部21は、繰出ケース21aの内部に駆動回転自在に設けられた繰出回転体21bを備え、この繰出回転体21bの作用により、肥料タンク20から粒状の肥料aを繰出し、繰出した肥料aを肥料供給筒23に落下させて供給する。
【0040】
図6,7に示すように、4つの作溝器25は、4つの播種用の供給装置4それぞれに備えてある落下案内体42の横前方箇所に一つずつ位置する配置で接地フロート5に支持してある。4つの施肥用の資材供給装置2それぞれの作溝器25は、その資材供給装置2と供給装置対をなす播種用の供給装置4の落下案内体42の横前方で圃場に溝を形成し、形成した溝に肥料供給筒23からの肥料を落下させて供給するように構成してある。
【0041】
従って、4つの施肥用の資材供給装置2それぞれは、肥料タンク20に貯留された粒状の肥料aを肥料繰出部21によって繰り出し、繰り出した肥料を、その資材供給装置2と供給装置対をなす播種用の供給装置4の落下案内体42の横側方で圃場面GLの溝に供給する。
【0042】
4つの施肥用の資材供給装置2のうちの左横外側及び右横外側の資材供給装置2では、接地フロート5から後方向きに延出してある埋め戻し部材としての覆土体26によって掻き寄せられる泥土と、作溝器25の後方に配備してある外側配置の整地部材としての整地体55によって押し出される泥土とによって肥料供給後の溝を埋戻し、埋戻し箇所の上面を、外側配置の整地体55による掻き均しによって整地するように構成してある。
【0043】
4つの施肥用の資材供給装置2のうちの内側の2つの資材供給装置2では、埋め戻し部材としてのセンタ溝切体51によって横向きに押し出される泥土によって肥料供給後の溝を埋め戻すように構成してある。
【0044】
図3,8に示すように、左側の2つの施肥用の資材供給装置2の繰出回転体21bを左の一本の繰出駆動軸27に支持し、右側の2つの施肥用の資材供給装置2の繰出回転体21bを右の一本の繰出駆動軸27に支持してある。左右の繰出駆動軸27それぞれに駆動機構22を連動させることにより、各肥料繰出部21の駆動を可能にしてある。
【0045】
左右の駆動機構22は、出力軸ケース60Bに回転自在に備えられた出力軸62に一体回転自在に設けたクランク体22aと、繰出駆動軸27に一方向クラッチ22dを介して装着した操作アーム22bと、操作アーム22bとクランク体22aとに連結された連動ロッド22cとを備えて構成してある。従って、左右の駆動機構22は、フィードケース60Aに入力した駆動力によって駆動される出力軸62の駆動力を、クランク体22aと連動ロッド22cとによって往復動力に変換して操作アーム22bに伝達し、操作アーム22bの往復揺動のうちの一方の揺動だけを一方向クラッチ22dを介して繰出駆動軸27に伝達することにより、繰出回転体21bを繰出回転方向に駆動する。
【0046】
図8に示すように、操作アーム22bに、複数の繰出量調節孔22eを設けてある。繰出量調節孔22eは、連動ロッド22cを付け替えることにより、連動ロッド22cによって往復揺動操作される操作アーム22bの揺動角を変更し、連動ロッド22cの往復揺動による繰出回転体21bの回転角度を増減調節して繰出量を変更する。
【0047】
〔施薬用の資材供給装置〕
施薬用の資材供給装置3について説明する。
4つの施薬用の資材供給装置3は、4つの播種用の供給装置4よりも走行機体前方側に配備してある。詳述すると、4つの施薬用の資材供給装置3は、4つの播種用の供給装置4それぞれの走行機体前方側に一つの施薬用の資材供給装置3が位置するように配備してある。一つの播種用の供給装置4とこの供給装置4の走行機体前方に位置する一つの施薬用の資材供給装置3とが一つの供給装置対をなし、4つの施薬用の資材供給装置3と4つの播種用の供給装置4とが4つの供給装置対をなしている。図7に示すように、4つの施薬用の資材供給装置3と4つの播種用の供給装置4との位置関係を、4つの供給装置対それぞれにおいて、施薬用の資材供給装置3に備えてある資材繰出部としての薬剤繰出部31が、平面視において、播種用の供給装置4に備えてある籾繰出部41に対して走行機体前後方向に沿った方向に並ぶ位置関係に設定してある。
【0048】
図2,4,6に示すように、4つの施薬用の資材供給装置3のそれぞれは、肥料タンク20の内部に設けられた資材タンクとしての薬剤タンク30と、肥料タンク20から走行機体後方側に突出した薬剤タンク30の取出筒30aに中継筒31aを介して繰出ケース31bが接続された資材繰出部としての薬剤繰出部31と、繰出ケース31bの下部から下方向きに延出された供給経路33とを備えて構成してある。
【0049】
走行機体左側の2つの資材供給装置2の薬剤タンク30は、内部が連通し合う状態で一体形成されており、一体のタンクになっている。走行機体右側の2つの資材供給装置2の薬剤タンク30も、走行機体左側の2つの薬剤タンク30と同様に、内部が連通し合う状態で一体形成されており、一体のタンクになっている。
【0050】
4つの薬剤繰出部31は、後部支持フレーム66から前方向きに延出された支持フレーム67に支持してある。各薬剤繰出部31は、繰出ケース31bの内部に回転駆動自在に設けられた繰出回転体31cを備え、この繰出回転体31cの作用により、薬剤タンク30から薬剤bを繰り出し、繰り出した薬剤bを供給経路33に落下させて供給する。
【0051】
供給経路33は、繰出ケース31bの下部に上端部が接続された上側の落下案内筒33aと、上側の落下案内筒33aの下端部に上端部が接続された下側の落下案内筒33bと、下側の落下案内筒33bの下端部に蛇腹筒36を介して連通された作溝器37とを備えて構成してある。
【0052】
図6に示すように、4つの施薬用の資材供給装置3の作溝器37は、平面視において、4つの播種用の供給装置4それぞれの落下案内体42の直前方箇所又はこれに近い箇所に一つずつ位置させて接地フロート5に支持してある。4つの施薬用の資材供給装置3それぞれの作溝器37は、その資材供給装置3と供給装置対をなす播種用の供給装置4の落下案内体42の前側において、圃場面GLに溝を形成し、形成した溝に落下案内筒33bからの薬剤bを落下させて供給するように構成してある。
【0053】
4つの施薬用の資材供給装置3のうちの左横外側及び右横外側の資材供給装置3では、外側配置の整地体55によって押し出される泥土と、サイド溝切体52によって横側に押し出される泥土とによって薬剤供給後の溝を埋め戻すように構成してある。この埋戻し箇所の上部は、種籾cが供給されても種籾cが転がり難いように、外側配置の整地体55による掻き均しによって整地されるように構成してある。
【0054】
4つの施薬用の資材供給装置3のうちの内側の2つの資材供給装置3では、接地フロート5から後方向きに延出してある覆土体26が掻き寄せる泥土によって薬剤供給後の溝を埋戻すように構成してある。この埋戻し箇所の上部は、種籾cが供給されても種籾cが転がり難いように、作溝器37の後方に位置する内側配置の整地体55による掻き均しによって整地されるように構成してある。
【0055】
従って、4つの施薬用の資材供給装置3のそれぞれは、薬剤タンク30に貯留された薬剤bを薬剤繰出部31によって繰り出し、繰り出した薬剤bを、その資材供給装置3と供給装置対をなす播種用の供給装置4の落下案内体42の直前方箇所又はこれに近い箇所において、圃場面GLの溝に供給し、薬剤供給後の溝を埋め戻す。
【0056】
図4,9に示すように、左側の2つの施薬用の資材供給装置3の繰出回転体31cを左の一本の繰出駆動軸34に支持し、右側の2つの施薬用の資材供給装置3の繰出回転体31cを右の一本の繰出駆動軸34に支持してある。左右の繰出駆動軸34それぞれに駆動機構32を連動させることにより、各薬剤繰出部31の駆動を可能にしてある。
【0057】
左右の駆動機構32は、クランク体22aに連動ロッド22cを介して連動された中継リンク32aと、中継リンク32aに連動ロッド32bを介して連動された中継揺動リンク32dと、繰出駆動軸34に一対の一方向クラッチ32g,32gを介して装着した一対の操作アーム32f,32fと、一方の操作アーム32fと中継揺動リンク32dとに連結された連動ロッド32eと、他方の操作アーム32fと中継揺動リンク32dとに連結された連動ロッド32eとを備えて構成してある。中継揺動リンク32dは、支持フレーム67に支点軸32cを介して揺動自在に支持されている。
【0058】
従って、左右の駆動機構32は、フィードケース60Aに入力された駆動力によって駆動される出力軸62の駆動力を、クランク体22a、中継リンク32a及び連動ロッド32bによって往復動力に変換して中継揺動リンク32dに伝達し、中継揺動リンク32dの往復揺動のうちの一方の揺動を、一方の連動ロッド32e及び操作アーム32f、一方の一方向クラッチ32gを介して繰出駆動軸34に伝達し、中継揺動リンク32dの往復揺動のうちの他方の揺動を、他方の連動ロッド32e及び操作アーム32f、他方の一方向クラッチ32gを介して繰出駆動軸34に伝達し、中継揺動リンク32dの往復揺動のいずれの揺動によっても繰出回転体31cを繰出回転方向に駆動する。
【0059】
一対の操作アーム32f、32fに、複数の繰出量調節孔32hを設け、中継揺動リンク32dに長孔形状の繰出量調節孔32jを設けてある。操作アーム32fの繰出量調節孔32hは、連動ロッド32eを付け替えることにより、連動ロッド32eによって揺動操作される操作アーム32fの揺動角を変更し、連動ロッド32bの一往復による繰出回転体31cの回転角度を増減調節して繰出量を変更する。中継揺動リンク32dの繰出量調節孔32jは、中継揺動リンク32dにおける連動ロッド32bの連結位置を変更させ、連動ロッド32bによって往復揺動操作される中継揺動リンク32dの揺動角を変更し、連動ロッド32bの一往復による繰出回転体31cの回転角度を増減調節して繰出量を変更する。
【0060】
〔播種用の供給装置〕
播種用の供給装置4について説明する。
図2,5に示すように、4つの播種用の供給装置4のそれぞれは、籾タンク40と、籾タンク40の底部に設けられたロート部40aに上端部に繰出ケース41aが接続された籾繰出部41と、繰出ケース41aの下端部に上端部が連結された落下案内体42とを備えて構成してある。
【0061】
走行機体左側の2つの供給装置4の籾タンク40は、内部が連通し合う状態で一体形成されており、一体のタンクになっている。走行機体右側の2つの供給装置4の籾タンク40も、走行機体左側の2つの供給装置4の籾タンク40と同様に、内部が連通し合う状態で一体形成されており、一体のタンクになっている。籾タンク40及び繰出ケース41aは、作業フレーム6に支柱フレーム65を介して固定された後部支持フレーム66に支持してある。
【0062】
各籾繰出部41は、繰出ケース41aの内部に回転駆動自在に設けられた繰出回転体41bを備え、この繰出回転体41bの作用により、籾タンク40の種籾cを所定の繰出間隔で所定量ずつ繰り出し、繰り出した種籾cを落下案内体42の内部に落下させるように構成してある。
【0063】
従って、4つの播種用の供給装置4のそれぞれは、籾タンク40に貯留された種籾cを籾繰出部41によって所定の繰出間隔で設定量ずつ繰り出し、繰り出した種籾cを、その供給装置4と供給装置対をなす施薬用の資材供給装置3によって薬剤供給後に埋められた溝の上に落下案内体42から落下させて供給する。
【0064】
図5に示すように、左側の2つの籾繰出部41それぞれに設けた繰出駆動軸43と、左側の伝動ケース61の後端部に設けた出力軸44とをギヤ連動機構45によって連動させ、右側の2つの籾繰出部41それぞれに設けた繰出駆動軸43と、右側の伝動ケース61の後端部に設けた出力軸44とをギヤ連動機構45によって連動させることにより、4つの籾繰出部41の駆動を可能にしてある。すなわち、フィードケース60Aから出力軸ケース60B及び伝動ケース61を介して伝動されて駆動される出力軸44の駆動力を、ギヤ連動機構45によって繰出駆動軸43に伝達して繰出駆動軸43を駆動することにより、各籾繰出部41の繰出回転体41bを繰出回転方向に回転駆動する。
【0065】
従って、水田作業部Aは、4つの播種用の供給装置4と4つの施肥用の資材供給装置2と4つの施薬用の資材供給装置3とにより、図6図11(a),(b)に示す如き播種作業と施肥作業と施薬作業とを行う。
【0066】
すなわち、4つの播種用の供給装置4により、4条の播種条に播種箇所Mが所定の播種間隔を隔てて走行機体前後方向に沿った方向に点在し、各播種箇所Mに所定量の種籾cを供給する播種作業を行なう。
【0067】
4つの施薬用の資材供給装置3により、各資材供給装置3による施薬箇所Kが、平面視において、その資材供給装置3と供給装置対をなす供給装置4による播種箇所Mと重なる状態で走行機体1の前後方向に沿った方向に連続して位置し、この施薬箇所Kに所定量の薬剤bを供給する施薬作業を行なう。詳述すると、4つの施薬用の資材供給装置3それぞれは、その資材供給装置3と供給装置対をなす供給装置4による播種箇所Mの直下の泥土内であって、その播種箇所Mに対して所定間隔Dを隔てて位置する泥土内に施薬箇所Kが走行機体前後方向に沿った方向に連続して位置し、この施薬箇所Kに所定量の薬剤bを供給する施薬作業を行なう。
【0068】
4つの施肥用の資材供給装置2より、各資材供給装置2による施肥箇所Hが、その資材供給装置2と供給装置対をなす播種用の供給装置4による播種箇所Mの横側方における泥土内であって、資材供給装置3による施薬箇所Kと同じ又はほぼ同じ深さの泥土内に走行機体前後方向に連続して位置し、この施肥箇所Hに所定量の肥料aを供給する施肥作業を行なう。
【0069】
上記した第1実施例では、肥料繰出部21、薬剤繰出部31、籾繰出部41のうちの薬剤繰出部31と籾繰出部41とが平面視で同一の線上に位置する例を示したが、肥料繰出部21と薬剤繰出部31と籾繰出部41とが平面視で同一の線上に位置するよう構成して実施してもよい。
【0070】
〔整地体〕
図6,10に示すように、整地体55は、ゴムプレートによって構成してある。整地体55は、平面視において走行機体前後方向に対して傾斜した姿勢で配備してあり、掻き出すべき泥土を前方に流動し難くし、後方に流動し易くしている。整地体55は、落下案内体42の前部に支持された取付部材56の下端部に連結ねじ57による締め付けによって支持してある。取付部材56は、作業フレーム6に支持して実施してもよい。整地体55を、下端側の接地部にスリットを設けたレーキ形状に形成して実施してもよい。整地体55を、ステンレス鋼板など金属部材によって構成してもよい。
【0071】
整地体55の連結ねじ57を装着するためのねじ孔58を、機体上下方向に長い形状に形成してある。整地体55をねじ孔58の長孔形状による作用によって取付部材56に対してスライド調節することにより、整地体55の取付高さを調節できるようにしてある。整地体55のねじ孔58を長孔形状にするに替え、取付部材56のねじ孔を長孔形に形成することにより、整地体55の取付高調節を可能にしてもよい。
【0072】
〔第2実施例〕
図12は、第2の実施構造を備えた水田作業部Aの全体を示す側面図である。図12に示すように、第2の実施構造を備えた水田作業部Aでは、4つの施肥用の資材供給装置2それぞれの作溝器25を、その資材供給装置2と供給装置対をなす播種用の供給装置4の落下案内体42の直前方箇所又はこれにほぼ等しい箇所に配備し、施薬用の資材供給装置3の供給経路33を、施肥用の資材供給装置2の肥料供給筒23の途中に連通させてある。
【0073】
従って、施肥用の資材供給装置2は、資材繰出部としての肥料繰出部21からの肥料aと、施薬用の資材供給装置3の資材繰出部としての薬剤繰出部31からの薬剤bとを合流させ、合流させた肥料aと薬剤bとを、播種用の供給装置4の落下案内体42の前方において作溝器25によって圃場面GLに形成した溝に供給し、肥料a及び薬剤bを供給した後の溝を、接地フロート5から延出してある覆土体26によって埋め戻すように構成してある。
【0074】
従って、第2の実施構造を備えた水田作業部Aは、図13(a),(b)に示す如き播種作業、施肥作業及び施薬作業を行なう。
すなわち、播種用の供給装置4により、所定の播種条に播種箇所Mが所定の播種間隔を隔てて走行機体前後方向に沿った方向に点在し、各播種箇所Mに所定量の種籾cを供給する播種作業を行なう。
施肥用の資材供給装置2と施薬用の資材供給装置3とにより、施肥箇所H及び施薬箇所Kが、平面視において、供給装置4による播種箇所Mと重なる状態で走行機体1の前後方向に沿う方向に連続して位置し、この施肥箇所H及び施薬箇所Kに所定量の肥料a及び薬剤bを供給する施肥作業と施薬作業とを行なう。この施肥作業及び施薬作業は、供給装置4による播種箇所Mの直下の泥土内であって、その播種箇所Mに対して所定間隔Dを隔てて位置する泥土内に施肥箇所H及び施薬箇所Kが走行機体前後方向に沿った方向に連続して位置し、この施肥箇所H及び施薬箇所Kに所定量の肥料a及び薬剤bを供給する施肥作業及び施薬作業になる。この場合、肥料繰出部21と薬剤繰出部31と籾繰出部41とが平面視で走行機体前後方向に同一線上に位置するように構成すると、好適である。
【0075】
〔第3実施例〕
図14(a)は、第3の実施構造を備えた水田作業部Aによる苗植作業、施肥作業及び施薬作業を縦断面視の状態で説明する説明図である。図14(b)は、第3の実施構造を備えた水田作業部Aによる苗植作業、施肥作業及び施薬作業を平面視の状態で説明する説明図である。
【0076】
第3の実施構造を備えた水田作業部Aは、植付爪70を有した供給装置71と、第1実施例の施肥用の資材供給装置2と同じ構成を備えた施肥用の資材供給装置2と、第1実施例の施薬用の資材供給装置3と同じ構成を備えた施薬用の資材供給装置3とを備えている。
【0077】
供給装置71は、植付爪70の先端が走行機体上下方向に回動軌跡を描きながら往復移動するように駆動され、植付爪70が図示しない苗載台(図示せず)から苗を取出して取出し苗を圃場に下降搬送して植付け、この後、上昇移動して苗載台に戻る苗植運動を行うように構成してある。
【0078】
施薬用の資材供給装置3は、資材繰出部としての薬剤繰出部31が、平面視において植付爪70よりも走行機体前方に植付爪70に対して走行機体前後方向に沿った方向に並ぶように配備してある。施薬用の資材供給装置3の作溝器37が、平面視において、植付爪70の直前方箇所又はこれにほぼ等しい箇所に位置している。
【0079】
従って、第3の実施構造を備えた水田作業部Aは、図14(a),(b)に示す如き苗植作業、施肥作業及び施薬作業を行なう。
すなわち、供給装置71により、所定の植付条に苗植箇所Nが所定の植付間隔を隔てて走行機体前後方向に沿った方向に点在し、各苗植箇所Nに所定の大きさの稲苗dを植え付ける苗植作業を行なう。
【0080】
施薬用の資材供給装置3により、施薬箇所Kが、平面視において、供給装置71による苗植箇所Nと重なる状態で走行機体1の前後方向に沿った方向に連続して位置し、この施薬箇所Kに所定量の薬剤bを供給する施薬作業を行なう。詳述すると、施薬用の資材供給装置3は、供給装置71による苗植箇所Nの直下の泥土内であって、その苗植箇所Nに対して所定間隔Dを隔てて位置する泥土内に施薬箇所Kが走行機体前後方向に沿った方向に連続して位置し、この施薬箇所Kに所定量の薬剤bを供給する施薬作業を行なう。
【0081】
施肥用の資材供給装置2により、供給装置71による苗植箇所Nの横側方における泥土内であって、資材供給装置3による施薬箇所Kと同じ又はほぼ同じ深さの泥土内に施肥箇所Hが走行機体前後方向に連続して位置し、この施肥箇所Hに所定量の肥料aを供給する施肥作業を行なう。
【0082】
〔第4実施例〕
図15(a)は、第4の実施構造を備えた水田作業部Aの播種作業、施肥作業及び施薬作業を縦断面視の状態で説明する説明図である。図15(b)は、第4の実施構造を備えた水田作業部Aの播種作業、施肥作業及び施薬作業を平面視の状態で説明する説明図である。
【0083】
第4の実施構造を備えた水田作業部Aは、施肥用の資材供給装置2を、作溝器25による肥料aの供給が間欠的に行われるように構成し、施薬用の資材供給装置3を、作溝器37による薬剤bの供給が間欠的に行われるように構成し、施肥用の資材供給装置2の作溝器25を播種用の供給装置4の落下案内体42の横側方に配備し、施薬用の資材供給装置3の作溝器35を播種用の供給装置4の落下案内体42の直前方箇所又はこれにほぼ等しい箇所に配備してある。
【0084】
従って、第4の実施構造を備えた水田作業部Aは、施肥箇所Hが播種箇所Mの横側方において走行機体前後方向に沿う方向に点在し、各施肥箇所Hに所定量の肥料aを供給する施肥作業を行なう。第4の別実施構造を備えた水田作業部Aは、施薬箇所Kが平面視において播種箇所Mと重なる状態で走行機体前後方向に沿う方向に点在し、各施薬箇所Kに所定量の薬剤bを供給する施薬作業を行なう。詳述すると、施薬作業は、施薬箇所Kが播種箇所Mの直下に所定間隔を隔てて位置する施薬作業になる。
【0085】
〔第5実施例〕
図16(a)は、第5の実施構造を備えた水田作業部Aの播種作業、施肥作業及び施薬作業を縦断面視の状態で説明する説明図である。図16(b)は、第5の実施構造を備えた水田作業部Aの播種作業、施肥作業及び施薬作業を平面視の状態で説明する説明図である。
【0086】
第5の実施構造を備えた水田作業部Aは、施肥用の資材供給装置2を、作溝器25による肥料aの供給が間欠的に行われるように構成し、施薬用の資材供給装置3を、作溝器37による薬剤bの供給が間欠的に行われるように構成し、かつ作溝器25による肥料aの供給箇所と、作溝器37による薬剤bの供給箇所とが同一又はほぼ同一になるように構成してある。施肥用の資材供給装置2及び施薬用の資材供給装置3の作溝器25,37を播種用の供給装置4の落下案内体42の直前方箇所又はこれにほぼ等しい箇所に配備してある。
【0087】
従って、第5の実施構造を備えた水田作業部Aは、施肥箇所H及び施薬箇所Kが平面視において播種箇所Mと重なる状態で走行機体前後方向に沿う方向に点在し、各施肥箇所Hに所定量の肥料aを供給する施肥作業、各施薬箇所Kに所定量の薬剤bを供給する施薬作業を行なう。詳述すると、施肥作業は、施肥箇所Hが播種箇所Mの直下に所定間隔を隔てて位置する施肥作業になり、施薬作業は、施薬箇所Kが播種箇所Mの直下に所定間隔を隔てて位置する施薬作業になる。この場合、肥料繰出部21と薬剤繰出部31と籾繰出部41とが平面視で走行機体前後方向に同一線上に位置するように構成すると、好適である。また、施肥箇所Hと施薬箇所Kとを同一又はほぼ同一にするには、肥料aと薬剤bとを合流させて供給するよう構成してもよい。
【0088】
〔別実施例〕
(1)上記した第1実施例では、種籾cの直下の種籾cと所定間隔を隔てた箇所に薬剤bを供給するよう構成した例を示したが、図17(a),(b)に示すように、種籾cと接触する箇所に薬剤bを供給するよう構成して実施してもよい。
【0089】
(2)上記した第3実施例では、施薬箇所Kが連続する施薬作業を行なうよう構成した例を示したが、施薬箇所Kが平面視で苗植箇所Nと重なる状態で点在する施薬作業を行なうように構成して実施してもよい。
【0090】
(3)上記した第3実施例では、施肥箇所Hが苗植箇所Nの横側方に位置する施肥作業を行なうよう構成した例を示したが、施肥箇所Hが平面視において苗植箇所Nと重なる施肥作業を行なうよう構成して実施してもよい。
【0091】
(4)上記した実施例では、覆土体26を接地フロート5に支持した例を示したが、図18に示すように、作溝器25に支持して実施してもよい。
【0092】
(5)上記した実施例では、施薬用の資材タンクとしての薬剤タンク30を、施肥用の資材タンクとしての肥料タンク20の内部に設けた例を示したが、籾タンク40の内部に設けて実施してもよい。また、肥料タンク20及び籾タンク40のいずれにも内装しない外部タンクに構成して実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、4条播種の播種作業や4条植えの苗植作業を可能した水田作業機の他、5条播種や5条植え以上の播種作業や苗植作業を可能にした水田作業機にも利用可能である。また、4条播種や4条植えよりも少ない条数の播種作業や苗植作業を可能にした水田作業機にも利用可能である。
【符号の説明】
【0094】
1 走行機体
2 資材供給装置(施肥用)
3 資材供給装置(施薬用)
4 供給装置(播種用)
20 資材タンク(肥料タンク)
21 資材繰出部(肥料繰出し部)
26,51 埋め戻し部材
30 資材タンク(薬剤タンク)
31 資材繰出部(薬剤繰出部)
40 籾タンク
41 籾繰出部
55 整地部材
70 植付爪
71 供給装置(苗植用)
D 所定間隔
H 施肥箇所
K 施薬箇所
M 播種箇所
N 苗植箇所
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18