特許第6091350号(P6091350)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6091350-漏電検知機能を備えた電子装置 図000002
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  • 特許6091350-漏電検知機能を備えた電子装置 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6091350
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】漏電検知機能を備えた電子装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/04 20060101AFI20170227BHJP
   H01H 83/04 20060101ALN20170227BHJP
【FI】
   H01H13/04 C
   !H01H83/04
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-128088(P2013-128088)
(22)【出願日】2013年6月19日
(65)【公開番号】特開2015-5336(P2015-5336A)
(43)【公開日】2015年1月8日
【審査請求日】2015年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】十佐近 豊
(72)【発明者】
【氏名】荒川 良平
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−161647(JP,A)
【文献】 特開2004−355938(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0256661(US,A1)
【文献】 実開平02−016527(JP,U)
【文献】 特開2001−035296(JP,A)
【文献】 特開2003−162953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/04
H01H 83/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板上に漏電検知部を備え、漏電検知部に必要なスイッチを構成する2種の電極部材が基板に取り付けられ、いずれか一方の電極部材を押して他方の電極部材に向かって弾性変形させて両電極部材を接触させるようにした漏電検知機能を備えた電子装置において、上記2種類の電極部材を覆うと共に上記一方の電極部材を押すボタンを有するカバーを備え、カバーを回路基板に取り付けた状態で上記一方の電極部材を押さえて、一方の電極部材が半田付け前に傾かないようにする押さえ部カバーの内側に形成されていることを特徴とする漏電検知機能を備えた電子装置。
【請求項2】
上記他方の電極部材を2個並設し、一方の電極部材を1個で形成し、この一方の電極部材に他方の電極部材に各々対峙する弾性変形部を形成し、上記押さえ部は両弾性変形部に挟まれた位置を押さえることを特徴とする請求項1に記載の漏電検知機能を備えた電子装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板上に漏電検知機能を備えた電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば機器を制御する場合、制御用の電子装置は、外部の商用電源から供給される100ボルトの交流電力を必要な電圧に降圧する電源部と、この電源部から電力供給を受けて機器内の負荷の作動を制御する制御部と、機器内での漏電の有無を検知する漏電検知部とを備えている。
【0003】
そして、これら電源部、制御部、及び漏電検知部を1枚の回路基板上に設けて1個のユニット化した電子装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
そのうちの漏電検知部には、テストスイッチやリセットスイッチが必要であるため、これらスイッチを構成する対となる電極部材を隙間を存して回路基板に立設した状態で半田付けし、一方の電極部材を押して弾性変形させ、他方の電極部材に接触させることによりスイッチをオン状態にするように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−191009号公報(段落0043、図11
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の電子装置では、電極部材はケーシング内に収納されており、このケーシングと係合してケーシングの開口全体を覆う蓋部材に、一方の電極を押すためのボタンが保持されている。そのため、蓋部材と回路基板との位置決めがずれると、一方の電極部材をボタンで正確に押すことができないという不具合が生じる。また、電極部材の配置を設計変更すると、蓋部材も合わせて変更する必要が生じる。
【0007】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、一方の電極部材と一方の電極部材を押すボタンとの位置決めが容易で、かつ電極部材のレイアウトの自由度が大きい漏電検知機能を備えた電子装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明による漏電検知機能を備えた電子装置は、回路基板上に漏電検知部を備え、漏電検知部に必要なスイッチを構成する2種の電極部材が基板に取り付けられ、いずれか一方の電極部材を押して他方の電極部材に向かって弾性変形させて両電極部材を接触させるようにした漏電検知機能を備えた電子装置において、上記2種類の電極部材を覆うと共に上記一方の電極部材を押すボタンを有するカバーを備え、カバーを回路基板に取り付けた状態で上記一方の電極部材を押さえて、一方の電極部材が半田付け前に傾かないようにする押さえ部カバーの内側に形成されていることを特徴とする。
【0009】
電極部材を押すボタンを電極部材を覆うカバーに取り付けたので、電極部材とボタンとの位置決めがずれるおそれが無い。なお、電極部材を回路基板に取り付けただけでは電極部材は固定されておらず、傾くおそれがある。先に半田付けして固定した後でカバーを回路基板に取り付ければよいが、それでは回路基板に対する部品の組み付け工程で、電極部材を組み付けたあと、一旦組み付け作業を中断して半田付けを行い、再度組み付け工程に戻ってカバーを取り付けることになる。これに対して回路基板に電極部材を組み付けると共にカバーも組み付けると、カバーのボタンが電極部材を押して傾かせ、そのまま半田付けすれば電極部材が傾いたまま固定されてしまうおそれが生じる。
【0010】
ところが、上記構成では、電極部材が固定される前にカバーが取り付けられても、カバーの押さえ部が電極部材を押さえて電極部材が傾かないようにし、その状態で半田付けにより電極部材を固定することができる。
【0011】
なお、上記他方の電極部材を2個並設し、一方の電極部材を1個で形成し、この一方の電極部材に他方の電極部材に各々対峙する弾性変形部を形成し、上記押さえ部は両弾性変形部に挟まれた位置を押さえるようにすれば2個の接点を3個の電極部材で構成することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上の説明から明らかなように、本発明は、回路基板を収納するケーシングの蓋部材ではなく、回路基板に取り付けられ、電極部材を覆うカバーにボタンを設け、そのボタンと電極部材とでスイッチを構成するようにしたので、ボタンと電極部材との位置決めが容易で有り、かつスイッチのレイアウトの自由度を増すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
図2】スイッチ部材の分解斜視図
図3】III-III断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照して、1は本発明による漏電検知機能を備えた電子装置の一例である。この電子装置1は回路基板11をケーシング12内に収納してポッティングしたものである。なお、この回路基板11上には外部から供給される商用の交流電力を所定の電圧に降圧し、あるいは整流して図示しない各負荷に供給する電源部と、電源部から直流の作動電力の供給を受けて各負荷の作動を制御する制御部と、漏電検知部2とが設けられている。以降の説明の理解を容易にするため、本図では漏電検知部2のみを示し、他の電源部及び制御部は省略した。
【0015】
この電子装置1は製造時には水平な状態で保持されているが、図示しない機器内に組み込まれる際には図示のように、垂直に立てた状態で取り付けられる。
【0016】
漏電検知部2内にはテスト用及びリセット用のスイッチを備えたスイッチ部材3が設けられている。
【0017】
図2を参照して、このスイッチ部材3は、全体を覆うカバー4と、カバー4内に取り付けられる1個の可動電極5と、2個の固定電極6とで構成されている。カバー4にはテスト用のスイッチの構成部品である押しボタン41と、リセット用のスイッチの構成部品である押しボタン41とが上下方向に可動状態で保持されている。そして、カバーの上面にはこれら2個の押しボタン41を片方から覆う山型の庇部42が設けられている。そして、カバー4の内側には後述する押さえ部43が、カバー4と一体に成形されている。なお、このカバー4は一対の爪部44によって回路基板11に固定されるように構成されている。
【0018】
可動電極5は一対の弾性変形可能な可動片(弾性変形部)51を有しており、上記押しボタン41を押し下げると、押しボタン41によって可動片51が下方に撓むように構成されている。この可動電極5には1対の把持部52が設けられており、ローダーでこの把持部52を把持して回路基板11に実装する。両把持部52の間には下方に曲げられた1対の固定爪53が形成されており、両固定爪53が回路基板11に形成した取り付け穴13に挿入されることによって可動電極5が回路基板11に実装される。
【0019】
他方、固定電極6は同じくローダーによって把持され、下部に形成された固定爪61を回路基板11に形成された取り付け穴に挿入されることにより実装される。
【0020】
ただし、ローダーにより実装されたままの状態では、可動電極5及び固定電極6は取り付け穴に挿入されただけであるので、回路基板11に強固に固定されているわけではない。このように実装された状態で可動電極5及び固定電極6を回路基板11に対して半田付けすることにより、可動電極5及び固定電極6を回路基板11に強固に固定することになるが、その半田付け工程前にカバー4を回路基板11に取り付けることにより、半田付け後の工程を省略するようにした。
【0021】
ただし、カバー4を回路基板11に取り付けると上記押しボタン41が可動片51を押し下げ、強固に固定されていない可動電極5を傾けてしまうおそれが生じる。そこで、カバー4を回路基板11に取り付けると、上記押さえ部43で可動電極5を押さえて可動電極5が傾かないようにした。
【0022】
図3を参照して、本図において、カバー4を回路基板11に取り付けると、押しボタン41が可動片51を上方から押さえるので、可動電極5は左側に傾こうとする。ところが、カバー4の内側に形成した押さえ部43が、右側に位置する把持部52を上方から押さえ、この右側の把持部52を回路基板11に押接させるので、可動電極5は傾くこと無く保持される。その状態で固定爪53を回路基板11の下面に半田付けすると、可動電極5は傾かない状態で回路基板11に対して固定されることになる。
【0023】
なお、可動電極5を一対の固定電極6の双方に対して共用したので、2個の接点を3個の電極で構成することができる。
【0024】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0025】
1 電子装置
11 回路基板
2 漏電検知部
3 スイッチ部材
4 ケース
43 押さえ部
5 可動電極
51 可動片
52 把持部
53 固定爪
6 固定電極
図1
図2
図3