特許第6091361号(P6091361)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6091361
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】ソケット、及び、照明器具
(51)【国際特許分類】
   H01R 33/88 20060101AFI20170227BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20170227BHJP
【FI】
   H01R33/88 B
   F21S2/00 231
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-137157(P2013-137157)
(22)【出願日】2013年6月28日
(65)【公開番号】特開2015-11892(P2015-11892A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2016年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】特許業務法人きさ特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100085198
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 久夫
(74)【代理人】
【識別番号】100098604
【弁理士】
【氏名又は名称】安島 清
(74)【代理人】
【識別番号】100087620
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 範夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125494
【弁理士】
【氏名又は名称】山東 元希
(74)【代理人】
【識別番号】100141324
【弁理士】
【氏名又は名称】小河 卓
(74)【代理人】
【識別番号】100153936
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 健誠
(74)【代理人】
【識別番号】100160831
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 元
(72)【発明者】
【氏名】大森 章裕
(72)【発明者】
【氏名】羽住 真一
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−142198(JP,A)
【文献】 実開平02−113287(JP,U)
【文献】 特開昭62−243270(JP,A)
【文献】 特開2012−038707(JP,A)
【文献】 特開2012−74142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 33/88
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直管型ランプに電源を供給する一対の導電接触片のピン受け部と、前記直管型ランプの端部に配置された給電ピンを保持する円筒形状の回転子と、を備えたソケットであって、
前記ピン受け部は、前記回転子の外周面と対向して配置された平板面を有し、
前記回転子は、前記給電ピンを着脱可能とする給電ピン挿入部を有し、前記給電ピンが着脱可能な第1の位置と、前記給電ピンと前記ピン受け部が接触して通電する第2の位置との間で回動可能に構成され、
前記回転子の外周面には、前記第1の位置と前記第2の位置のときに前記一対のピン受け部の前記平板面と平行位置となる二対の平面部を形成したことを特徴とするソケット。
【請求項2】
前記給電ピン挿入部は、前記回転子の円筒を直径方向に二分する凹形状として形成され、前記二対の平面部の一方は、前記回転子の外周面における前記給電ピン挿入部の周縁部に設けられた第1平面部であり、前記二対の平面部の他方は、前記第1平面部の平面に対して直交する平面を持つ第2平面部であることを特徴とする請求項1に記載のソケット。
【請求項3】
前記第1の位置のときには、前記第2平面部と前記ピン受け部の前記平板面が平行位置となり、前記第2の位置のときには、前記第1平面部と前記ピン受け部の前記平板面が平行位置となることを特徴とする請求項2に記載のソケット。
【請求項4】
前記平面部の前記回転子における外周上の端部と前記回転子の円筒の中心軸からの距離は、前記回転子の円筒の外周半径の長さより長いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のソケット。
【請求項5】
前記給電ピンは、前記直管型ランプの軸に平行な軸部と、前記軸部の先端から前記直管型ランプの軸の外方に延設された抜け止め部を有し、
前記ピン受け部には、前記抜け止め部が挿通するスリットが開口することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のソケット。
【請求項6】
前記一対の導電接触片は同一形状であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のソケット。
【請求項7】
前記ソケットには、前記回転子が第1の位置にあるときに前記給電ピン挿入部に連通するピン挿入孔が設けられ、
前記第2平面部の表面には、前記回転子が第2の位置にあるときに前記ピン挿入孔から目視が可能なマーカーが設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載のソケット。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のソケットを備えたことを特徴とする照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直管形ランプを天井等に固定するソケット、及び、そのソケットを備えた照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
直管形ランプを固定する際に、ランプ端部の給電ピンを挿入して回転させる回転子を備えたソケットを使用することが知られている。このようなソケットは、回転子にランプの給電ピンを挿入して装着した位置から一般的には90°程度回転子を回転させた位置でクリック感を使用者に与え、ランプが固定されたことを使用者に認識させる構成となっている。また、ランプを脱着する際にもランプを固定した位置から90°程度回転子を逆回転させた位置で使用者にクリック感を与え、ランプが脱着可能になったことを使用者に認識させる構成となっている。
従来のソケットは、回転子に設けた凸部がソケット側の導電接触片の凹部に回転中に嵌ることでクリック感を出していた(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4024465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなソケットの導電接触片の凹部は、板状の金具から凹部を加工するため、寸法を出し難く、また金型費が高くなる。また、回転子の凸部が導電接触片と接触するため、樹脂で形成された回転子の凸部が削れ、ランプの装着感を得難くなる場合があった。
また、凹部は凸部の幅より長いため、回転子のピン挿入部と本体のピン挿入孔が同一直線状になり難く、ランプを回転子に挿入しづらいという問題があった。
【0005】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、直管形ランプの装着感がよく、確実に直管形ランプを取り付けることができ、且つ安価なソケット、及び、そのソケットを備えた照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るソケットは、直管形ランプに電源を供給する一対の導電接触片のピン受け部と、前記直管形ランプの端部に配置された給電ピンを保持する円筒形状の回転子と、を備えたソケットであって、前記ピン受け部は、前記回転子の外周面と対向して配置された平板面を有し、前記回転子は、前記給電ピンを着脱可能とする給電ピン挿入部を有し、前記給電ピンが着脱可能な第1の位置と、前記給電ピンと前記ピン受け部が接触して通電する第2の位置との間で回動可能に構成され、前記回転子の外周面には、前記第1の位置と前記第2の位置のときに前記一対のピン受け部の前記平板面と平行位置となる二対の平面部を形成したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るソケットによれば、直管形ランプの固定時や着脱時に回転子の動きが感覚的によくわかるため、確実にランプを通電状態に固定したり、着脱することができる。また、単純な構造のため安価なソケット、及び、そのソケットを備えた照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る照明器具10の斜視図である。
図2】実施の形態1で用いる直管LEDランプ20の一例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は第二口金斜視図である。
図3】実施の形態1に係る第二ソケット30であり、(a)は正面斜視図、(b)は背面斜視図である。
図4】実施の形態1に係る第二ソケット30の分解斜視図である。
図5】実施の形態1に係る回転子51の図であり、(a)は斜視図、(b)は後面図である。
図6】実施の形態1に係る導電接触片61の斜視図である。
図7】実施の形態1に係る回転子51と導電接触片61の接続状態を示した図であり、(a)はランプ挿入位置(0°)、(b)はランプ回転直後の位置(20°)、(c)はランプを45°回転させた位置(45°)、(d)はランプ通電位置(90°)の状態を示した図である。
図8】実施の形態2に係る回転子51の斜視図である。
図9】実施の形態2に係るソケット30の回転子51を通電位置にしたときの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る照明器具10の斜視図である。図2は、直管LEDランプ20の一例を示す図である。
図1及び図2を用いて、本実施の形態に係る照明器具10及び直管LEDランプ20の全体構成について説明する。
【0011】
図1に示すように、照明器具10は、器具本体11と、反射板12とを備える。照明器具10は、器具本体11の長手方向の一端側に第一ソケット70を備え、他端側に第二ソケット30を備えることで、直管LEDランプ20を装着することができる。照明器具10は、器具本体11に取り付けられた直管LEDランプ20を点灯させる点灯装置(図示せず)を備える。反射板12は、直管LEDランプ20から発せられる光を配光する機能を有する。
【0012】
図2(a)に示すように、直管LEDランプ20は外郭23の端部の一方に第一口金21を、他方に第二口金22を備える。
【0013】
第二口金22は一対の略L字型形状の給電ピン26を備える。給電ピン26は、図2(b)に示すように、第二口金22の凸部25から直管LEDランプ20の軸方向に延びた軸部27と、軸部27の先端から直管LEDランプの軸の外方に延びる抜け止め部28を備える。
【0014】
図3は、実施の形態1に係る第二ソケット30であり、図3(a)は正面斜視図、図3(b)は背面斜視図である。図4は、実施の形態1に係る第二ソケット30の分解斜視図である。図5は、実施の形態1に係る回転子51の図であり、図5(a)は斜視図、図5(b)は後面図である。図6は、実施の形態1に係る導電接触片61の斜視図である。図3図6を用いて、第二ソケット30の構造を説明する。
【0015】
第二ソケット30は、直管LEDランプ20の第二口金22を装着できるソケットである。また、第二ソケット30は、本体31とカバー41で形成された略箱体である。
【0016】
本体31は、熱可塑性樹脂の絶縁材、例えば、ポリカーボネイドやポリブチレンテレフタレートなどで形成され、第二口金22と当接する面(以下、前面と定義する)に、開口部32を有し、開口部32の周縁で前面から後面へと延びるピン挿入孔33を備える。
【0017】
回転子51は、熱可塑性樹脂の絶縁材、例えば、ポリカーボネイドやポリブチレンテレフタレートなどで形成される。回転子51は、開口部32より大きい略円板状の当接部52と、この当接部52から立設する円筒部53とを有している。円筒部53には、当接部52から円筒部53の長さ方向の途中まで、回転子51を円筒部53の直径を通る直線で二分するように切り欠く、直方体凹形状のピン挿入部54が形成される。
【0018】
直方体凹形状のピン挿入部54は、回転子51の円筒を直径方向に貫通する。円筒部53の外周のピン挿入部54が貫通する周縁部54aには、一対の第1平面部55a、55a’が形成される。また、ピン挿入部54の長手方向と直交する円筒部53の外周には、第1平面部55a、55a’と直交する平面を持つ一対の第2平面部55b、55b’が形成される。
【0019】
回転子51の対向する第1平面部55aと第1平面部55a’の離隔距離、及び、第2平面部55bと第2平面部55b’の離隔距離は、後述する一対の導電接触片61のピン受け部64の離隔寸法L以下に設定してある。
また、円筒部53の中心軸から、第1平面部55a、55a’、及び、第2平面部55b、55b’の円筒部53の外周における端部56a、56a’、56b、56b’までの距離は、円筒部53の外周の半径寸法Rより長い距離に設定されている。
そして、回転子51は、本体31の内部に納められ、開口部32の中心軸と同軸上に回転自在に配設される。
【0020】
導電接触片61は、導通性のある材料、例えば、りん青銅などで形成される。導電接触片61は略コの字形状をしており、一端側がピン接触面62、他端側が端子部66で形成されている。ピン接触面62は、開口するスリット63を備え、スリット63の両端部にある接続部65を介してピン受け部64と電気的に接続されている。ピン接触面62は平板状の形状であることから、寸法精度も出やすく、金型費も安い。
【0021】
また、給電ピン26と係合するピン受け部64は平板面状となっているため、方向性がなく、左右が同じ導電接触片61を使用することも出来る。導電接触片61のスリット63は、直管LEDランプ20を回転させたときに、給電ピン26の抜け止め部28が通過する設定となっている。そして、給電ピン26の軸部27がピン受け部64に接触することで直管LEDランプ20に通電する。また、端子部66は図示しない点灯装置からの出力電線が接続され、電力が給電される。
【0022】
図7は、直管LEDランプ20と回転子51と導電接触片61の接続状態を示した図であり、図7(a)は、ランプ挿入位置(0°)、図7(b)は、ランプ回転直後の位置(20°)、図7(c)は、ランプを45°回転させた位置、図7(d)は、ランプ通電位置(90°)をそれぞれ示した図である。図7(a)〜(d)を用いて直管LEDランプ20が接続されるまでの状態を説明する。
【0023】
図7(a)のランプ挿入位置で回転子51のピン挿入部54に直管LEDランプ20の給電ピン26が挿入されたとき、ピン挿入部54の長手方向と直交する円筒部53の外周に形成された第2平面部55b、55b’と、平板面状のピン受け部64は平行に配設されている。回転子51の第2平面部55b、55b’と導電接触片61のピン受け部64の隙間が少なければ少ないほど、回転子51のガタツキが無くなり、第二ソケット30のピン挿入孔33と回転子51のピン挿入部54が連なることで、直管LEDランプ20の給電ピン26を挿入しやすくなる。
【0024】
次に、図7(b)のように直管LEDランプ20を回転させた直後、回転子51の第2平面部55bの一方の端部56bがピン受け部64を弾性変形させながら回転するため、回転トルクが強くなる。このピン受け部64の弾性変形量が最大量に達する前に、直管LEDランプ20を回転させる力を無くすと、ピン受け部64には、弾性変形した変形分を元の直線状態に戻す力が働き、第2平面部55bの端部56bが押し戻されて回転子51が逆回転し図7(a)の状態に戻る。つまり、回転子51が中途半端な回転位置にあるときに直管LEDランプ20を保持することが無くなり、安全性に優れたソケットを得ることができる。
【0025】
その後、図7(c)のように第2平面部55bの端部56bがピン受け部64と接触する位置を超えるところまで直管LEDランプ20が回転すると、ピン受け部64を弾性変形させる力が無くなり、回転トルクは弱くなる。また、この状態で給電ピン26の抜け止め部28は導電接触片61のスリット63に挿入されているが、給電ピン26の軸部27は、ピン受け部64と接触していないため、直管LEDランプ20に通電されることはない。
【0026】
次に、図7(d)のように直管LEDランプ20を通電位置まで回転させるが、ピン挿入部54周囲の第1平面部55aの回転子51における外周上の端部56aがピン受け部64を弾性変形させながら回転するため、回転トルクが強くなる。そして、直管LEDランプ20が通電位置に回転したところで、第1平面部55a、55a’がピン受け部64と平行になり弾性変形させる力が無くなるため、適度な装着感を得ることができる。また、第1平面部55aの端部56aがピン受け部64を最大変形させる位置を超えて回転すると、ピン受け部64に弾性変形した変形分を元の直線状態に戻す力が働き、直管LEDランプ20の回転動作を補助する。
【0027】
実施の形態2.
図8は、実施の形態2に係る回転子51の斜視図である。図9は、実施の形態2に係る第二ソケット30の上面図である。図8図9を用いて実施の形態2を説明する。
【0028】
回転子51は、ピン挿入部54の長手方向と直交する円筒部53の外周に形成された第2平面部55b、55b’において、第2平面部55b、55b’の表面に凹部57を形成し、凹部57内に第2平面部55b、55b’の表面側に突設した矢印状の突設部58を備えている。突設部58は、第2平面部55b、55b’の表面から突出しない高さにすることで、直管LEDランプ20の回転動作や装着感に影響を与えないように構成されている。
【0029】
直管LEDランプ20が通電位置まで回転したとき、第2平面部55b、55b’は第二ソケット30のピン挿入孔33と同一直線上にあり、ピン挿入孔33から突設部58を視認することができる。つまり、直管LEDランプ20が通電位置にあることの確認ができ、直管LEDランプ20の通電を確実に行うことができる。
【0030】
以上により、ランプの装着感がよく、確実にランプを取り付けることができ、且つ安価にできるソケット、及び、そのソケットを備えた照明器具を提供することができる。
【符号の説明】
【0031】
10 照明器具、11 器具本体、12 反射板、20 直管LEDランプ、21 第一口金、22 第二口金、23 外郭、25 凸部、26 給電ピン、27 軸部、28 抜け止め部、30 第二ソケット、31 本体、32 開口部、33 ピン挿入孔、41 カバー、51 回転子、52 当接部、53 円筒部、54 ピン挿入部、54a 周縁部、55a、55a’ 第1平面部、55b、55b’ 第2平面部、56a、56a’、56b、56b’ 端部、57 凹部、58 突設部、61 導電接触片、62 ピン接触面、63 スリット、64 ピン受け部、65 接続部、66 端子部、70 第一ソケット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9