(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
成型容器のプリフォーム体をブロー成形して成型容器を形成するブロー成形装置と、当該ブロー成形装置により形成された成型容器に内容液を充填する充填装置を具備した無菌充填設備であって、
前記ブロー成形装置に搬入前のプリフォーム体と、前記ブロー成形装置から排出される成型容器を、滅菌する請求項1乃至3のいずれかに記載の電子線滅菌装置を設けた
ことを特徴とする無菌充填設備。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ブロー成形機の入口と出口に、それぞれ滅菌装置を設置する必要があり、設備全体が大型化するという問題があった。
本発明は上記問題点を解決して、設備全体を小型化できて、容器を良好に滅菌できる電子線滅菌装置および無菌充填設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の電子線滅菌装置は、 成型容器とこの成型容器のプリフォーム体を同時に滅菌可能な電子線滅菌装置であって、
一定間隔をあけて突出され無端状の滅菌経路に沿って移動される電子線照射ノズルと、
前記滅菌経路に沿って移動されて、成型容器およびプリフォーム体をそれぞれ保持可能な容器保持具と、
当該容器保持具と前記電子線照射ノズルの一方を他方側に移動して、前記電子線照射ノズルを、成型容器およびプリフォーム体に挿入離脱可能なノズル挿脱装置とを具備し、
前記滅菌経路の一部を、
前記容器保持具によりプリフォーム体を保持搬送する前段滅菌経路とするとともに、前記搬送経路の残部を、前記容器保持具により成型容器を保持搬送する後段滅菌経路とし、
前記前段滅菌経路に、前記ノズル挿脱装置により、前記電子線照射ノズルの先端部を口部からプリフォーム体内に挿入して内面滅菌するプリフォーム体滅菌部を設けるとともに、前記後段滅菌経路で、前記ノズル挿脱装置により、前記電子線照射ノズルの先端部を口部から成型容器内に挿入して内面滅菌する成型容器滅菌部を設けたものである。
【0007】
請求項2記載の電子線滅菌装置は、請求項1記載の構成において、
前段滅菌経路の入口に接続されたプリフォーム体入口経路に、プリフォーム体の外面に電子線を照射して滅菌する前段外面電子線照射装置を設け、
後段滅菌経路の入口に接続された成型容器入口経路に、成型容器の外面を滅菌する後段外面電子線照射装置を設けたものである。
【0008】
請求項3記載の電子線滅菌装置は、
プリフォーム体と成型容器は、それぞれ略同一形状のネック部が形成され、
容器保持具は、プリフォーム体と成型容器のネック部をそれぞれ把持可能な一対のクランプアームを具備したものである。
【0009】
請求項4記載の無菌充填設備は、
成型容器のプリフォーム体をブロー成形して成型容器を形成するブロー成形装置と、当該ブロー成形装置により形成された成型容器に充填液を充填する充填装置を具備した無菌充填設備であって、
前記ブロー成形装置に搬入前のプリフォーム体と、前記ブロー成形装置から排出される成型容器を、滅菌する請求項1乃至3のいずれかに記載の電子線滅菌装置を設けたものである。
【0010】
請求項5記載の無菌充填設備は、請求項4記載の構成において、
プリフォーム体滅菌手段からブロー成形装置に至る搬送経路に、プリフォーム体の予熱装置を介在させ、
成型容器滅菌手段から充填装置に至る搬送経路に、成型容器の洗浄装置を介在させたものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の電子線滅菌装置によれば、1つの無端状の滅菌経路を二分して前段滅菌経路と後段滅菌経路を設け、前段滅菌経路にプリフォーム体を滅菌するプリフォーム体滅菌部を設け、後段滅菌経路に成型容器を滅菌する成型容器滅菌部を設けたので、1台の電子線滅菌装置で、プリフォーム体と成型容器とを同時に滅菌することができるので、より確実な滅菌が可能となる。
【0012】
請求項2記載の電子線滅菌装置によれば、プリフォーム体および成型容器を、それぞれ外面滅菌後に内面滅菌を順次行うことで、滅菌が済んでいない部分の汚染物による未滅菌部分の汚染を防止することができる。
【0013】
請求項3記載の電子線滅菌装置によれば、ネック部が同一形状のプリフォーム体および成型容器を使用することで、滅菌経路でプリフォーム体または成型容器を移動するクランプアームに、同一の形状のものを使用し、かつ同一の動作でそれぞれネック部を把持することができ、滅菌装置の小型化、単純化を図ることができる。
【0014】
請求項4記載の無菌充填設備によれば、ブロー成形装置により成型された成型容器に無菌充填するに際し、電子線滅菌したプリフォーム体を、ブロー成形して成型容器を形成し、成型容器をさらに電子線滅菌するので、成型容器を効果的に滅菌できて無菌充填が可能となる。また成型容器の電子線滅菌の時間や電子線強度を低減することができる。さらにプリフォーム体の滅菌と成型容器の滅菌を一体化した1台の電子線滅菌装置で滅菌するので、設備を小型化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施例1]
以下、本発明に係る無菌充填設備の実施例を
図1〜
図6に基づいて説明する。
この無菌充填設備は、コールドパリソン法により予め射出成型された
図6(a)に示すプリフォーム体(パリソン・予備成型体)を延伸温度まで予熱しブロー成形して
図6(b)に示す成型容器Bを形成し、これら成型容器Bに充填するもので、ブロー成形前のプリフォーム体Pと、ブロー成形後の成型容器Bを、1台の電子線滅菌装置により滅菌して無菌充填を行い、効果的な滅菌と設備の小型化を図ることを特徴としている。
【0017】
(プリフォーム体)
図6に示すように、プリフォーム体Pは、射出成型により、高精度に形成されたネック部Pnおよび口部Ppを有し、さらにU字形縦断面の本体部Pbを具備している。またブロー成形装置により、成型容器Bはネック部Bnおよび口部Bpが成型されることはなく、本体Bbのみが成型されることで、プリフォーム体Pおよび成型容器Bには、ネック部Pn,Bnおよび口部Pp,Bpが同一形状に形成されている。
【0018】
(無菌充填設備の概要)
図1に示すように、予め射出成型された成型容器Bのプリフォーム体Pは、プリフォーム体供給装置13から、プリフォーム体供給経路PSに沿って電子線滅菌装置11の入口に供給される。このプリフォーム体供給経路PSには、洗浄・整列装置14が介在されており、洗浄・整列装置14によりプリフォーム体Pが洗浄、整列されて、順次電子線滅菌装置11に供給される。
【0019】
電子線滅菌装置11は、無端状の滅菌経路の一例である円形の滅菌経路CDを具備しているが、平面視で長円形や楕円形、直線・曲線状の往復の形状の無端状経路を滅菌経路としてもよい。この滅菌経路CDは、プリフォーム体Pの内面を滅菌するプリフォーム体滅菌部11Aが設けられた前段滅菌経路Pdと、成型容器Bの内面を滅菌する成型容器滅菌部11Bが設けられた後段滅菌経路Bdに二分されている。前段滅菌経路Pdの入口に接続されたプリフォーム体入口経路Piと、この前段滅菌経路Pdとでプリフォーム体Pの滅菌を行う。そして、後段滅菌経路Bdの入口に接続された成型容器入口経路Biと、この後段滅菌経路Bdとで成型容器Bの滅菌を行う。
【0020】
滅菌後のプリフォーム体Pは、電子線滅菌装置11のプリフォーム体出口経路Poから排出され、出口ネックハンドリングホイール15iを介して予熱装置15の長円形の予熱経路PHに導入されて成型可能な温度まで予熱された後、搬送用の出口ネックハンドリングホイール15i、入口ネックハンドリングホイール16iを介してブロー成形装置16に供給される。ブロー成形装置16では、プリフォーム体Pが金型内に保持されて円形状の成型経路BMに沿って搬送され、ブロー成形されて成型容器Bが順次成型される。
【0021】
ブロー成形装置16から搬送用の出口ネックハンドリングホイール16oを介して排出された成型容器Bは、電子線滅菌装置11の成型容器入口経路Biに導入されて外面滅菌が行われ、さらに後段滅菌経路Bdで成型容器Bの内面滅菌が行われる。そして滅菌後の成型容器Bが容器出口経路Boから、入口ネックハンドリングホイール17iを介してエアリンサー(洗浄装置)17に送り込まれる。
【0022】
エアリンサー17は、滅菌後の成型容器B内に残留する微細な残留物や成型容器滅菌部11Bを通過中に浸入したオゾンを排出し洗浄する。
次いで、エアリンサー17から出口ネックハンドリングホイール17oを介して排出された成型容器Bは、搬送用の中間ネックハンドリングホイール17m、入口ネックハンドリングホイール12iを介して充填装置12に送り込まれる。そして、成型容器Bが円形の充填経路BFに沿って搬送されると共に、成型容器B内に充填液が順次充填される。充填装置12から送り出された成型容器は、出口ネックハンドリングホイール12oを介してキャッパー18に送られて、キャッピング搬送装置18Fにより円形のキャッピング経路BSを搬送中に、成型容器Bの口部Bpにキャップが装着され密閉される。19は、キャップ洗浄装置19Cから送られたキャップをキャッパー18に供給するキャップ供給ホイールである。キャッパー18の出口は、入口ネックハンドリングホイール20iを介してリジェクト装置20が接続され、円形のリジェクト経路BRを搬送中に、正常に滅菌充填された成型容器Bと、滅菌や充填などが不十分な不良容器とに分離され、正常な成型容器Bを容器排出経路BEに送り出し、不良な成型容器Bをリジェクト排出経路ROに送り出す。
【0023】
(容器搬送装置)
図2,
図3に示すように、電子線滅菌装置11、充填装置12、エアリンサー17およびキャッパー18は、それぞれ円形の搬送経路BS,BRに沿ってプリフォーム体Pまたは成型容器Bを搬送するロータリ式滅菌用搬送装置11F、ロータリ式充填用搬送装置12F、ロータリ式洗浄用搬送装置16Fおよびロータリ式キャッピング用搬送装置17Fをそれぞれ具備している。これらロータリ式の各搬送装置11F,12F,16F,17Fは、
図5に示すように、旋回テーブルの外周部に、プリフォーム体Pと成型容器Bのネック部をそれぞれ把持可能な一対のクランプアーム22を有する容器保持具21が
一定間隔をあけて設けられたもので、これら容器把持装置21には、それぞれ用途に応じて、昇降など付加的な動作を行う付属機構が設けられている。21aは開閉カムで、開閉軸21bにより開閉駆動される。
【0024】
また前記各ネックハンドリングホイール12i,12o,15i,15o,16i,16o,17i,17oは、旋回板上の外周部に、
図5に示す容器保持具21が
一定間隔をあけて設けられたもので、搬送のみに供する簡易的なものである。
【0025】
またブロー成形装置16には、成型用のエアノズルや金型を具備した成型用搬送装置16Fが設けられ、円弧状の搬送経路に沿ってプリフォーム体Pを搬送中に成型容器Bを成型する。
【0026】
予熱装置15は予熱用搬送装置15Fを具備し、この予熱用搬送装置15Fは、一対のホイールにチェーン(索体)を巻回したチェーンコンベヤで、チェーンに設けられた保持具により、プリフォーム体Pのネック部Pnおよび口部Ppを保持し、長円形で無端状の予熱経路PHに沿ってプリフォーム体Pを順次搬送し、予熱ヒータ(図示せず)によりプリフォーム体Pの本体部を延伸温度まで予熱する。
【0027】
予熱装置15の出口ネックハンドリングホイール15oから中間ネックハンドリングホイール15mおよび入口ネックハンドリングホイール16iを介してブロー成形装置16に送り出される。
【0028】
[電子線滅菌装置]
(前段滅菌経路)
図2,
図3に示すように、電子線滅菌装置11は、電子線を遮蔽可能な複数の遮蔽室31〜36を具備し、滅菌経路CPを具備した主遮蔽室31と、プリフォーム体入口経路Piに沿って第1遮蔽室32、第2遮蔽室33および第3遮蔽室34が出入口を接続して設置されている。そして、第1〜第3遮蔽室32〜34に、スターホイールタイプの第1中間搬送装置32Fと、第2中間搬送装置33F、第3中間搬送装置34Fが直列に接続されて設置されている。またプリフォーム体出口経路Poに、電子線、X線の漏洩を防止する第4遮蔽室35および第5遮蔽室36が出入口を接続して設置されている。さらに第4,第5遮蔽室35,36に第4中間搬送装置35Fおよび第5中間搬送装置36Fが直列に接続されて設置されている。
【0029】
第2遮蔽室33の出口近傍に、プリフォーム体Pの半側面に電子線を照射して滅菌する第1外面照射装置42が設置されている。また前記第2遮蔽室34の入口近傍に、プリフォーム体Pの残りの半側面に電子線を照射して滅菌する第2外面照射装置43が設置されている。このように、第1外面照射装置42と第2外面照射装置43とが出入口を挟んで互いに接近し配置されているのは、プリフォーム体Pの半面を滅菌後に、残りの半面から雑菌が滅菌済みの面に移って汚染されるのを防止するためである。
【0030】
(後段滅菌経路)
ブロー成形装置16の成型経路BMと、後段滅菌経路Bdとを接続する成型容器入口経路Biに、第6遮蔽室37および第7遮蔽室38が出入口を接続して設置されている。そして第6,第7遮蔽室37,38に、第6中間搬送装置37F,第7中間搬送装置38Fが直列に接続されて設置されている。また成型容器出口経路Poに、電子線、X線の漏洩を防止する第8遮蔽室39および第9遮蔽室40が出入口を接続して設置されている。さらに第8,第9遮蔽室39,40に、第8中間搬送装置39Fおよび第9中間搬送装置40Fが直列に接続されて設置されている。
【0031】
第6遮蔽室37に、成型容器Bの一方の半面に電子線を照射して滅菌する第3外面照射装置44が設置されている。また第7遮蔽室38の入口近傍に、成型容器Bの他方の半面に電子線を照射して滅菌する第4外面照射装置45が設置されている。このように、第3外面照射装置44と第4外面照射装置45とが出入口を挟んで互いに接近し配置されているのは、成型容器Bの半面を滅菌後、残りの半面から雑菌が、滅菌済みの面に移って汚染されるのを防止するためである。
【0032】
(主遮蔽室)
主遮蔽室31でプリフォーム体Pおよび成型容器Bを滅菌経路CPに沿って搬送する滅菌用搬送装置11Fは、
図3に示すように、旋回用の主軸51に旋回テーブル52が回転自在に支持され、図示しない旋回駆動装置により、所定速度で旋回移動される。旋回テーブル52の外周部には、
一定間隔をあけて、クランプアーム22を有する容器保持具21が容器昇降装置(ノズル挿入装置)23を介して設置されている。この容器昇降装置23は、
図4に示すように、上端部にクランプアーム22を有し、ガイド部材23aにより昇降自在に支持された昇降軸筒23bと、昇降軸筒23bと平行に配置されたねじ軸23cと、昇降軸筒32bの下部に連結されるとともにねじ軸23cに螺合する雌ねじ部材23dと、ねじ軸23cを減速機を介して回転駆動するサーボモータ23eとを具備している。そして、
図3に示すように、前段滅菌経路Pdで、クランプアーム22により保持したプリフォーム体Pをそれぞれ任意高さh1まで上昇させ、また後段滅菌経路Bdで、クランプアーム22により保持した成型容器Bを任意高さh2まで上昇させる。
【0033】
主遮蔽室31の上部には、主軸51を中心に旋回テーブル52と同期して旋回される外殻遮蔽体53が設置され、各容器保持装置51にそれぞれ対応して、底壁53a上に内面照射装置54が設置されている。これら内面照射装置54に、内面滅菌用の電子線照射ノズル55が底壁53aを貫通して主遮蔽室31内に垂下されている。56は、中心軸57を介してクランプアーム22を開閉するカム式のアーム開閉装置である。
【0034】
(滅菌動作)
上記構成において、プリフォーム体Pは、プリフォーム体供給装置13からプリフォーム体供給経路PSに沿って搬送され、洗浄・整列装置14によりプリフォーム体Pが整列されて電子線滅菌装置11に順次供給される。電子線滅菌装置11では、第1〜第3中間搬送装置32F〜34Fにより、プリフォーム体入口経路Piに沿って第1〜第3遮蔽室32〜34から主遮蔽室31に送り込まれる。この途中、第2遮蔽室33で第1外面照射装置42からプリフォーム体Pに向かって電子線が照射され、第3遮蔽室34で第2外面照射装置43からプリフォーム体Pに向かって電子線が照射され、これによりプリフォーム体Pの外面全体が滅菌されて、滅菌用搬送装置11Fに受け渡される。
【0035】
プリフォーム体滅菌部11Aの前段滅菌経路Pdでは、容器保持具21によりクランプアーム22を介して保持されたプリフォーム体Pが、容器昇降装置23により所定距離h1だけ持ち上げられて、電子線照射ノズル45が口部Ppから本体部PB内に挿入され、内面滅菌が行われる。
【0036】
このように、外面、内面滅菌されたプリフォーム体Pが予熱装置15に送り込まれて成型可能な温度まで加熱され、さらにブロー成形装置16に送られる。ブロー成形装置16では、プリフォーム体Pから成型容器Bが成型され、電子線滅菌装置11に送り出される。
【0037】
電子線滅菌装置11では、第6,第7中間搬送装置37F,38Fにより、成型容器入口経路Biに沿って第6,第7遮蔽室37,38から主遮蔽室31に送り込まれる。この第6遮蔽室37で、第3外面照射装置44から成型容器Bに向かって電子線が照射され、さらに第7遮蔽室38で第4外面照射装置45から成型容器Bに向かって電子線が照射され、これにより成型容器Bの外面全体が滅菌されて、滅菌用搬送装置11Fに受け渡される。
【0038】
成型容器滅菌部11Bの後段滅菌経路Bdでは、容器保持具21によりクランプアーム22を介して保持された成型容器Bが、容器昇降装置23により所定距離h2(h2>h1)だけ持ち上げられて、電子線照射ノズル45が口部Bpから容器本体B内に挿入され、ノズル下端の照射口から照射された電子線により内面滅菌が行われる。
【0039】
外面、内面滅菌が施された成型容器Bは、後段滅菌経路Bdから第8〜第10中間搬送装置39F〜40Fにより、第8,第9遮蔽室39,40を通過し、入口ネックハンドリングホイールを介してエアリンサー17に送られる。エアリンサー17では、反転機構付の洗浄用搬送装置17Fにより、洗浄経路BCを搬送中に、成型容器Bを反転姿勢として清浄エア(充填液の種類に対応して不活性ガス(窒素ガス)や洗浄水なども使用される)を吹き込み、オゾンを清浄エアに置換すると同時に、成型容器B内の残留物(殆どない)などを排出洗浄する。なお、エアリンサー17に替えて、成型容器B内のオゾンを、清浄エアや不活性ガス(窒素ガス)と置換する内部ガス置換装置であってもよい、このエアリンサー17には、電子線滅菌装置11で生じたオゾンが成型容器Bに同伴されて侵入するため、オゾンを排出するガス清浄装置が設けられている。
【0040】
次いで、エアリンサー17から出口ネックハンドリングホイール17i、中間ネックハンドリングホイールおよび入口ネックハンドリングホイール12iを介して充填装置12送り込まれた成型容器Bは、充填経路BFの搬送中に充填液が充填される。そして出口ネックハンドリングホイール12oを介してキャッパー18に送られ、キャップ洗浄装置19Cから送られた洗浄済みキャップが成型容器Bの口部に装着されて成型容器Bが密閉される。
【0041】
(実施例1の効果)
上記電子線滅菌装置によれば、無端状の滅菌経路CDを二分して前段滅菌経路Pdと後段滅菌経路Bdを設け、前段滅菌経路Pdにプリフォーム体Pを滅菌するプリフォーム体滅菌部11Aを設け、後段滅菌経路Bdに成型容器Bを滅菌する成型容器滅菌部11Bを設けたので、1台の電子線滅菌装置11で、プリフォーム体Pと成型容器Bとを同時に滅菌することができるので、より確実な滅菌が可能となる。そして、表面積の小さいプリフォーム体Pの滅菌は、少ない電子線量ですみ、プリフォーム体滅菌部11Aをコンパクト化することができる。また予め前段滅菌経路Pdで滅菌したプリフォーム体Pをブロー成形した成型容器Bは、汚染されていることが殆どないため、成型容器滅菌部11Bにおける電子線量を大幅に削減できる。したがって、前段殺菌経路Pdおよび後段殺菌経路Pdを短縮することができるとともに、電子線を発生させる内面照射装置を小型化でき、電子線滅菌装置を小型化することができる。
【0042】
また、プリフォーム体Pおよび成型容器Bを、それぞれ外面滅菌後に内面滅菌を順次行うことで、滅菌が済んでいない内面に付着した汚染物が、口部から出で滅菌済みの外面に付着するようなことが殆どなく、未滅菌部分から滅菌済み部分への汚染を効果的に防止することができる。
【0043】
さらに、ネック部Pn,Bnが同一形状のプリフォーム体Pおよび成型容器Bを使用することで、滅菌経路CDでプリフォーム体Pまたは成型容器Bを保持するクランプアーム22に、同一の形状のものを使用し、かつ同一の動作でそれぞれネック部Pn,Bnを把持することができ、滅菌装置の小型化、単純化を図ることができる。
【0044】
さらにまた、予備滅菌されているプリフォーム体Pをブロー成形して成型容器Bは、外面滅菌、内面滅菌における電子線照射時間や電子線強度を低減することができ、効果的な滅菌が可能となる。またプリフォーム体Pの滅菌と成型容器Bの滅菌とを、1台の電子線滅菌装置11で実施できるので、設備を小型化することができる。
【0045】
そして表面積の小さいプリフォーム体Pの滅菌は、少ない電子線量ですみ、第1,第2外面照射装置42,43とプリフォーム体滅菌部11Aで使用する内面照射装置54の電子線量を大幅に削減できて小型化を図ることができる。そして、予め外面と内面とを滅菌したプリフォーム体Pをブロー成形した成型容器Bは、汚染されていることが殆どないため、第3,第4外面照射装置44,45と、成型容器滅菌部11Bで使用する内面照射装置54の電子線量を大幅に削減できる。したがって、前段殺菌経路Pdおよび後段殺菌経路Pdを短縮することができるとともに、電子線を発生させる内面照射装置を小型化でき、電子線滅菌装置を小型化して、設備全体の小型化に寄与することができる。
【0046】
(電子線滅菌装置の変形例)
この実施例1では、電子線照射ノズル55を固定し、プリフォーム体Pおよび成型容器Bを昇降して電子線照射ノズル55を挿入する容器昇降装置(ノズル挿入装置)23を設けたが、
図7(a)に示す変形例1は、電子線照射ノズル55を昇降するノズル挿入装置を設け、プリフォーム体Pまたは成型容器Bを保持する容器保持具21を固定したものである。なお、実施例1と略同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0047】
すなわち、
図7(a)に示すように、主軸51を中心に旋回される旋回テーブル52の底部に、昇降装置23を介して内面照射装置54を設置し、内面照射装置54に立設された電子線照射ノズル55を、旋回テーブル52の貫通穴から上方に出退自在に設けたもので、旋回テーブル52の上面に、容器保持具21を固定して設置している。
【0048】
上記構成によれば、重量のある内面照射装置54やその電源装置を、旋回テーブル52の底部に設置することができるので、旋回テーブル52を安定して旋回させることができ、高速滅菌・充填を安定して行うことができる。
【0049】
また
図7(b)に示す第2変形例は、第1実施例の電子線照射ノズル55と、プリフォーム体Pまたは成型容器Bを保持する容器保持具21との上下位置を反転したものである。すなわち、旋回テーブル52の外周部に、内面照射装置54を設置して電子線照射ノズル55を
一定間隔をあけて立設し、これら電子線照射ノズル55の上方に対向して、プリフォーム体Pまたは成型容器Bを倒立姿勢で保持する容器保持具21を、容器昇降装置(ノズル挿入装置)23を介して設けたものであっても、実施例1および変形例1と同様の作用効果を奏することができる。