特許第6091416号(P6091416)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6091416キレート剤およびペプチド抗微生物剤化合物の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6091416
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】キレート剤およびペプチド抗微生物剤化合物の使用
(51)【国際特許分類】
   A01N 65/20 20090101AFI20170227BHJP
   A01N 25/00 20060101ALI20170227BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20170227BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   A01N65/20
   A01N25/00 101
   A01P1/00
   A01P3/00
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-533204(P2013-533204)
(86)(22)【出願日】2011年10月12日
(65)【公表番号】特表2013-539776(P2013-539776A)
(43)【公表日】2013年10月28日
(86)【国際出願番号】EP2011067828
(87)【国際公開番号】WO2012049217
(87)【国際公開日】20120419
【審査請求日】2014年10月14日
(31)【優先権主張番号】1017282.3
(32)【優先日】2010年10月13日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】105332
(32)【優先日】2010年10月12日
(33)【優先権主張国】PT
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513086452
【氏名又は名称】コンスモ エム ヴェルデ ビオテクノロジア ダス プランタス ソシエダット アノニマ
【氏名又は名称原語表記】CONSUMO EM VERDE − BIOTECNOLOGIA DAS PLANTAS, S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100167623
【弁理士】
【氏名又は名称】塚中 哲雄
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドラ マヌエラ ローレンソ カレイラ
(72)【発明者】
【氏名】サラ アレクサンドラ ヴァラダス ダ シルヴァ モンテイロ
(72)【発明者】
【氏名】リカルド マニュエル デ セイシャス ボアヴィダ フェレイラ
【審査官】 山本 昌広
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−505637(JP,A)
【文献】 特表平7−501820(JP,A)
【文献】 特表2005−500393(JP,A)
【文献】 特表2013−540442(JP,A)
【文献】 特許第5934225(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 1/00−65/48
A01P 1/00−23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キレート剤および、植物上で植物病原性微生物の増殖を阻害する、および/またはそれを殺滅するための、植物病原性微生物に対して効果的である抗微生物剤の使用であって、該抗微生物剤は、SEQ ID NO:4に示されるBlad配列またはその活性変異体を含むポリペプチドを含み、該活性変異体は抗菌作用を持ち、SEQ ID NO:4または少なくとも100のアミノ酸長さであるSEQ ID NO:4の断片の何れかと少なくとも70%の同一性を持つ配列を含む、キレート剤および抗微生物剤の使用。
【請求項2】
植物病原性微生物に対して効果的である、抗微生物剤の活性を増加させるためのキレート剤の使用であって、該抗微生物剤は、SEQ ID NO:4に示されるBlad配列またはその活性変異体を含むポリペプチドを含み、該活性変異体は抗菌作用を持ち、SEQ ID NO:4または少なくとも100のアミノ酸長さであるSEQ ID NO:4の断片の何れかと少なくとも70%の同一性を持つ配列を含む抗微生物剤である、キレート剤の使用。
【請求項3】
前記キレート剤および前記抗微生物剤がそれを必要とする植物に塗布される、請求項1または請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記抗微生物剤および前記キレート剤が前記植物に:
a)同組成物の一部として;または
b)連続してもしくは同時に、別々に
投与される、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記キレート剤がポリアミノカルボキシレートである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
前記キレート剤がEDTAである、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
それを必要とする植物にキレート剤および抗微生物剤を投与するステップを含む、植物病原性微生物の増殖の阻害および/または殺滅方法であって、該抗微生物剤は、SEQ ID NO:4に示されるBlad配列またはその活性変異体を含むポリペプチドを含み、該活性変異体は抗菌作用を持ち、SEQ ID NO:4または少なくとも100のアミノ酸長さであるSEQ ID NO:4の断片の何れかと少なくとも70%の同一性を持つ配列を含む抗微生物剤である、植物病原性微生物の増殖の阻害および/または殺滅方法。
【請求項8】
前記抗微生物剤をキレート剤とともに用いるステップを含む、植物病原性微生物に対して効果的である、抗微生物剤の活性の増加方法であって、該抗微生物剤は、SEQ ID NO:4に示されるBlad配列またはその活性変異体を含むポリペプチドを含み、該活性変異体は抗菌作用を持ち、SEQ ID NO:4または少なくとも100のアミノ酸長さであるSEQ ID NO:4の断片の何れかと少なくとも70%の同一性を持つ配列を含む抗微生物剤である、抗微生物剤の活性の増加方法。
【請求項9】
前記微生物が植物病原性細菌である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
前記細菌が以下の属:シュードモナス、エルウィニアおよびストレプトマイセスの1つからの病原性種である、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記微生物が植物病原性細菌である、請求項7または8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植物病原体を標的とする抗微生物剤の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
[序論]
植物病原体の制御および作物の保護は、最近の世界人口の増加および関連する食糧不足とともに大きな懸念となっている深刻な世界的課題である。また、収穫および貯蔵に関する現代の農業慣行は、病原体増殖にとって良好な条件を提供する傾向がある。
【0003】
化学農薬の使用は有害生物制御の標準的な手法だった。しかしながら、多くの現在用いられている農薬はいくつかの重大な不利点を示す。例えば、多くは環境に不利な影響を有し、多くは低いまたは減少性の効力を有する。とくに問題なのは、病原体耐性の発現とともに、いくつかの化合物の活性の低い効力および/または狭いスペクトルである。
【0004】
本発明の目的は、これらの問題の解決を試みることであり、とくに例えば植物病原性微生物に対して効果的である抗微生物剤の活性を向上させる手段を提供することである。
【発明の概要】
【0005】
本発明者らは、驚くべきことに、キレート剤が植物病原性微生物に対して効果的である抗微生物剤の効果を相乗的に増強することができることを見出した。
【0006】
従って、本発明者らは:
(i)植物上で植物病原性微生物の増殖を阻害する、および/またはそれを殺滅するための、キレート剤および植物病原性微生物に対して効果的である抗微生物剤の使用;ならびに
(ii)植物病原性微生物に対して効果的である抗微生物剤の活性を増加させるための、キレート剤の使用
を提供する。
【0007】
好適な実施形態では、前記キレート剤および前記抗微生物剤はそれを必要とする植物に塗布され、好適にはこの場合前記抗微生物剤および前記キレート剤は前記植物に:
a)同組成物の一部として;または
b)連続してもしくは同時に、別々に
投与される。
【0008】
好適な実施形態では、抗微生物剤は植物病原性細菌または真菌に対して効果的である。好適な実施形態では、抗微生物剤はポリペプチドを含み、好適にはこの場合該ポリペプチドはBladまたはその活性変異体を含む。好適な実施形態では、キレート剤はポリアミノカルボキシレート、好適にはEDTAである。
【0009】
本発明者らは:
―それを必要とする植物にキレート剤および植物病原性微生物に対して効果的である抗微生物剤を投与するステップを含む、植物病原性微生物の増殖の阻害および/または殺滅方法;ならびに
―該抗微生物剤をキレート剤とともに用いるステップを含む、植物病原性微生物に対して効果的である微生物の活性の増加方法
も提供する。
【0010】
さらに、本発明者らは、キレート剤および植物病原性微生物に対して効果的である抗微生物剤を含む組成物を提供する。好適には、抗微生物剤は植物病原性細菌または真菌、好適には真菌に対して効果的である。好適な実施形態では、抗微生物剤はポリペプチドを含み、好適にはこの場合該ポリペプチドはBladまたはその活性変異体を含む。好適な実施形態では、キレート剤はポリアミノカルボキシレート、好適にはEDTAである。
【0011】
本発明者らはまた、植物上で植物病原性微生物の増殖を阻害する、および/またはそれを殺滅するための本発明の組成物の使用、ならびにそれを必要とする植物に本発明の組成物を投与するステップを含む、植物病原性微生物の増殖の阻害および/または殺滅方法を提供する。
【0012】
本発明者らは、驚くべきことに、ルピナス(Lupinus、ハウチワマメ)からのBladポリペプチドが植物に病原性である多数の多様な細菌有機体に対して強力な抗微生物活性を示すことも見出した。
【0013】
従って、本発明者らは、植物上での植物病原性細菌を殺滅する、またはその増殖を阻害するための、Bladまたはその活性変異体を含む抗微生物ポリペプチドを含む組成物の使用を提供する。好適には、前記組成物はキレート剤をさらに含む。好適な実施形態では、前記細菌は、以下の属:シュードモナス(Pseudomonas)、エルウィニア(Erwinia)およびストレプトマイセス(Streptomyces)の1つからの病原性種である。好適な実施形態では、組成物はそれを必要とする植物に塗布される。
【0014】
本発明者らは、植物上での植物病原性細菌の殺滅、またはその増殖の阻害方法であって、該植物に効果的な量のBladまたはその活性変異体を含む抗微生物ポリペプチドを含む組成物を投与するステップを含む方法も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ルピナス・アルバス(Lupinus albus、シロバナハウチワマメ)β−コングルチン前駆体をエンコードする配列(SEQ ID NO:1)を示す。
図2】Bladに対応するβ−コングルチン前駆体をエンコードする配列の内部断片(SEQ ID NO:3)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明者らは、キレート剤および植物病原性微生物に対して効果的である抗微生物剤の組み合わせを用いる場合、該組み合わせは植物病原性微生物の増殖の阻害および/または殺滅にとくに効果的であることを見出した。1つの態様では、従って、本発明者らは、キレート剤および植物病原性微生物に対して効果的である抗微生物剤を含む、または本質的にこれらからなる組成物を提供する。キレート剤および植物病原性微生物に対して効果的である抗微生物剤を含む組成物はまた、当業者により組成物に添加された別の化合物を含む製剤であってもよい。
【0017】
抗微生物剤
抗微生物剤は、植物に病原性である微生物の増殖を低減する、またはそれを殺滅するいずれかの作用剤である。前記微生物は好適には細菌(グラム陽性またはグラム陰性)または真菌、好適には真菌である(酵母菌または糸状菌であってもよい)。好適には、抗微生物剤は抗真菌タンパク質のようなポリペプチドを含む(または本質的にこれからなる)。抗真菌タンパク質の適切な例としては、キチナーゼ、チキン結合タンパク質、キトサナーゼ、β−1,3−グルカナーゼ、およびβ−N−アセチル−D−グルコサミニダーゼが挙げられる。抗微生物剤の標的となり得る微生物の特定の例を以下に示す。
【0018】
Bladポリペプチド
好適な実施形態では、抗微生物剤がポリペプチドを含む(本質的にこれからなる)場合、該ポリペプチドはBladまたはその活性変異体を含む(または本質的にこれからなる)。
【0019】
Blad(「banda de Lupinus albus doce」―スイートL.アルバスからのバンド)は、β−コングルチン、ルピナス属の種中に存在する主要な貯蔵タンパク質の、安定した中間分解生成物に与えられた名称である。173個のアミノ酸残基からなり、ルピナスからのβ−コングルチンの前駆体をエンコードする遺伝子(GenBankにおいてアクセッション番号AAS97865で公表される、1791個のヌクレオチド)の内部断片(GenBankにおいてアクセッション番号ABB13526で登録される、519個のヌクレオチド)によりエンコードされる20kDのポリペプチドとして特徴づけられる。Blad末端配列をエンコードするプライマーを用いてゲノムルピナスDNAからの配列を増幅する場合、〜620bpの生成物が得られ、Bladをエンコードする遺伝子断片中のイントロンの存在を示す。自然発生Bladは、発芽の開始後4〜12日の間、ルピナス種の子葉のみに(β−コングルチンの集中的かつ限定的なタンパク質分解の後)蓄積する、210kDのグリコオリゴマーの主成分である。前記オリゴマーはグリコシル化しているが、自然発生Bladはグルコシル化していない。Blad含有グリコオリゴマーは、いくつかのポリペプチドを含み、主なものは14、17、20、32、36、48および50kDの分子量を示す。20kDのポリペプチド、Bladは、オリゴマー中でもっとも豊富なポリペプチドであり、レクチン活性を有する唯一のものであると考えられる。自然発生Bladは8日齢の植物体中の総子葉タンパク質の約80%を占める。
【0020】
L.アルバスβ−コングルチン前駆体をエンコードする配列(SEQ ID NO:1)を図1に示す。β−コングルチン親サブユニットをコードする配列は残基70〜1668に位置する。エンコードされた、533個のアミノ酸残基のβ−コングルチン親サブユニット(SEQ ID NO:2)は:

である。
【0021】
Bladに対応するβ−コングルチン前駆体をエンコードする配列の内部断片(SEQ ID NO:3)を図2に示す。Bladポリペプチド(SEQ ID NO:4)は:

である。
【0022】
従って、抗微生物剤がBladまたはその活性変異体を含む(または本質的にこれからなる)ポリペプチドを含む(または本質的にこれからなる)場合、該作用剤はSEQ ID NO:4を含む(または本質的にこれからなる)ポリペプチド配列またはその活性変異体を含む(または本質的にこれからなる)。
【0023】
Bladの活性変異体は、抗微生物剤として作用する能力を保持する(すなわち、抗微生物活性を有する―こうした活性のレベルおよびどのように測定するかの説明は以下参照)Bladの変異体である。「Bladの活性変異体」は、その範囲内に、SEQ ID NO:4の断片を含む。好適な実施形態では、SEQ ID NO:4の断片は、SEQ ID NO:4の長さの少なくとも10%、好適には少なくとも20%、好適には少なくとも30%、好適には少なくとも40%、好適には少なくとも50%、好適には少なくとも60%、好適には少なくとも70%、好適には少なくとも80%、好適には少なくとも90%、もっとも好適にはSEQ ID NO:4の長さの少なくとも95%であるものが選択される。Bladまたはその変異体は一般的には、少なくとも10個のアミノ酸残基、例えば少なくとも20、25、30、40、50、60、80、100、120、140、160または173個のアミノ酸残基の長さを有する。
【0024】
「Bladの活性変異体」は、その範囲内に、例えば全配列について、または少なくとも20個、好適には少なくとも30個、好適には少なくとも40個、好適には少なくとも50個、好適には少なくとも60個、好適には少なくとも80個、好適には少なくとも100個、好適には少なくとも120個、好適には少なくとも140個、もっとも好適には少なくとも160個以上の隣接するアミノ酸残基の領域について、SEQ ID NO:4との相同性、例えば少なくとも40%の同一性、好適には少なくとも60%、好適には少なくとも70%、好適には少なくとも80%、好適には少なくとも85%、好適には少なくとも90%、好適には少なくとも95%、好適には少なくとも97%、もっとも好適には少なくとも99%同一性を有するポリペプチド配列も含む。タンパク質相同性の測定方法は当技術分野において周知であり、当業者であれば、本文脈では相同性はアミノ酸同一性(「ハード相同性」と称されることもある)に基づいて計算されることを理解するだろう。
【0025】
相同活性Blad変異体は一般的には、置換、挿入または削除、例えば1、2、3、4、5〜8個以上の置換、挿入または削除によりSEQ ID NO:4のポリペプチド配列とは異なる。置換は好適には「保守的」である、すなわちアミノ酸を同様のアミノ酸で置換することができ、それによって同様のアミノ酸は以下の群:芳香族残基(F/H/W/Y)、非極性脂肪族残基(G/A/P/I/L/V)、極性非荷電脂肪族(C/S/T/M/N/Q)および極性荷電脂肪族(D/E/K/R)の1つを共有する。好適な亜群は:G/A/P;I/L/V;C/S/T/M;N/Q;D/E;およびK/Rを含む。
【0026】
(上述のような)Bladまたはその活性変異体を含むポリペプチドは、N末端および/またはC末端にいずれかの数のアミノ酸残基を付加したBladまたはその活性変異体からなり得るが、ただしポリペプチドは抗微生物活性を保持する(同様に、こうした活性のレベルおよびこれをどのように測定するかの説明は以下参照)。好適には、300個以下のアミノ酸残基、より好適には200個以下のアミノ酸残基、好適には150個以下のアミノ酸残基、好適には100個以下のアミノ酸残基、好適には80個、60個または40個以下のアミノ酸残基、もっとも好適には20個以下のアミノ酸残基をBladまたはその活性変異体の一端または両端に付加する。
【0027】
(上述のような)Bladまたはその活性変異体を含む(または本質的にこれからなる)ポリペプチドは、本発明において精製(例えば植物、動物または微生物供給源から取り出した)もしくは分離形態で用いることができる、および/または組換えであってもよい。組換え形態の製造はBladの活性変異体の製造を可能にする。
【0028】
自然発生Bladの精製方法は当技術分野においてすでに説明されている(例えばRamos et al.(1997)Planta 203(1):26−34およびMonteiro et al.(2010)PLoS ONE 5(1):e8542)。自然発生Bladの適切な供給源は、好適には発芽の開始後約4〜約14日の間に採取された、より好適には発芽の開始後約6〜約12日の間(例えば発芽の開始から8日後)に採取された、ルピナス・アルバスのようなルピナス属の植物、好適には該植物の子葉である。当技術分野では、Bladを含む粗抽出物をもたらす総タンパク質抽出方法、およびこうした抽出物の、例えばBladを含むBlad含有グリコオリゴマーを含む部分精製抽出物をもたらすタンパク質精製方法が開示されている。
【0029】
Bladそのものを分離するには、SDS−PAGEおよび/または、好適にはC−18カラム上での逆相(RP)−HPLCを用いることができる。
【0030】
Bladを含むグリコオリゴマーを含む部分精製抽出物を得る代替方法は、Bladのキチン結合活性を用いることである。グリコオリゴマーは、キチン親和性クロマトグラフィー精製の一部として、キチンカラムと非常に強く結合し、0.05NのHClで溶離される。この精製方法の一例の詳細は以下のとおりである:
【0031】
8日齢のルピナス属植物から子葉を採取し、10mMのCaClおよびMgClを含有するMilli−Q plus水(pHは8.0に調節)中に均質化する。そのホモジェネートをチーズクロスに通してろ過し、4℃で、1時間30,000gで遠心分離する。ペレットをその後、10%(w/v)のNaCl、10mMのEDTAおよび10mMのEGTAを含有するpH7.5の100mMのトリス−HCl緩衝剤中に懸濁させ、4℃で1時間撹拌し、4℃で、1時間30,000gで遠心分離する。浮遊物に含まれる総グロブリン画分を硫酸アンモニウム(561g/l)で沈殿させ、冷却しながら1時間撹拌しつづけ、4℃で、30分間30,000gで遠心分離する。得られたペレットを、pH7.5の50mMのトリス−HCl緩衝剤に溶解し、同じ緩衝剤で平衡化したPD−10カラム中で脱塩し、同じ緩衝剤で予め平衡化したキチン親和性クロマトグラフィーカラムに通す。カラムをpH7.5の50mMのトリス−HCl緩衝剤で洗浄し、結合タンパク質を0.05NのHClで溶離する。溶離した画分をすぐに2Mのトリスで中和し、ピーク画分を溜め、凍結乾燥させ、SDS−PAGEにより分析する。
【0032】
キチンカラムの製造について、粗キチンをSigmaから入手し、以下のとおり処理する:キチン試料をMilli−Q plus水のみで、その後0.05NのHClで洗浄する。次に1%(w/v)の炭酸ナトリウムで、次にエタノールで、洗浄剤の吸収度が0.05未満になるまで洗浄する。キチンを次にピペット先端に充填し、pH7.5の50mMのトリス−HCl緩衝剤で平衡化する。
【0033】
組換えタンパク質の製造方法は当技術分野において周知である。ここで適用されるこうした方法は、Bladまたはその活性変異体を含むポリペプチドをエンコードするポリヌクレオチドを適切な発現ベクターに挿入するステップ、該ポリヌクレオチドの1つ以上のプロモーター(例えばT7lacのような誘導性プロモーター)との、および対象の他のポリヌクレオチドまたは遺伝子との並置を可能にするステップ、発現ベクターを適切な細胞または有機体(例えばエシェリキア・コリ)中に導入するステップ、形質転換細胞または有機体においてポリペプチドを発現するステップ、ならびに発現した組換えポリペプチドをその細胞または有機体から取り出すステップを含む。こうした精製を補助するため、発現ベクターは、ポリヌクレオチドが、例えば精製を補助することができる末端タグ:例えば、親和性精製のためのヒスチジン残基のタグをさらにエンコードするように構成することができる。組換えポリペプチドを精製した後、精製タグは、例えばタンパク質分解開裂により、ポリペプチドから取り出すことができる。
【0034】
ポリペプチドを含む(または本質的にこれからなる)抗微生物剤を含む本発明の組成物では、該ポリペプチドは好適には部分精製形態、より好適には精製形態である。前記ポリペプチドは、これに自然と関連する1つ以上の他のポリペプチドを有さない環境中に存在する、および/または存在する総タンパク質の少なくとも約10%に相当する場合、部分精製である。前記ポリペプチドは、これに自然と関連する他のポリペプチドをすべて、またはほとんどの有さない環境中に存在する場合、精製である。例えば、精製Bladとは、Bladが組成物中の総タンパク質の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%に相当することを意味する。
【0035】
抗微生物剤を含む本発明の組成物では、ルピナスタンパク質分は本質的にBladまたはその活性変異体を含む(または本質的にこれからなる)ポリペプチドを含むBlad含有グリコオリゴマーからなり得る。
【0036】
植物病原性微生物
抗微生物剤が効果的である植物病原性微生物は、植物上またはその中で疾病を引き起こし得るいずれかの微生物である。とくに好適な細菌標的としては、病原性シュードモナス種、例えばシュードモナス・アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)、シュードモナス・トラシイ(Pseudomonas tolaasii)およびシュードモナス・アガリシ(Pseudomonas agarici)(好適にはP.シリンガエ);病原性エルウィニア種、例えばエルウィニア・ペルシシナ(Erwinia persicina)、ペクトバクテリウム・カロトボラム(Pectobacterium carotovorum)、エルウィニア・アミロボラ(Erwinia amylovora)、エルウィニア・クリサンテミ(Erwinia chrysanthemi)、エルウィニア・プシディ(Erwinia psidii)およびエルウィニア・トラケイフィラ(Erwinia tracheiphila);ならびに病原性ストレプトマイセス種、例えばストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)が挙げられる。
【0037】
とくに好適な真菌標的としては、病原性アルテルナリア種、例えばアルテルナリア・アルテルナタ(Alternaria alternata)、アルテルナリア・アルボレセンス(Alternaria arborescens)、アルテルナリア・アルブスチ(Alternaria arbusti)、アルテルナリア・ブラシカエ(Alternaria brassicae)、アルテルナリア・ブラシシコラ(Alternaria brassicicola)、アルテルナリア・カロチインクルタエ(Alternaria carotiincultae)、アルテルナリア・コンジャンクタ(Alternaria conjuncta)、アルテルナリア・ダウシ(Alternaria dauci)、アルテルナリア・ユーフォルビイコラ(Alternaria euphorbiicola)、アルテルナリア・ガイセン(Alternaria gaisen)、アルテルナリア・インフェクトリア(Alternaria infectoria)、アルテルナリア・ジャポニカ(Alternaria japonica)、アルテルナリア・ペトロセリニ(Alternaria petroselini)、アルテルナリア・セリニ(Alternaria selini)、アルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani)およびアルテルナリア・スミルニ(Alternaria smyrnii);病原性フザリウム種、例えばフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)およびフザリウム・グラミネアラム(Fusarium graminearum)(好適にはF.オキシスポラム);病原性ボトリチス種、例えばボトリチス・シネレア(Btrytis cinerea);ならびに病原性コレトトリカム種、例えばコレトトリカム・アキュタタム(Colletotrichum acutatum)、コレトトリカム・ココデス(Colletotrichum coccodes)、コレトトリカム・カプシシ(Colletotrichum capsici)、コレトトリカム・クラシペス(Colletotrichum crassipes)、コレトトリカム・グロエスポリオイデス(Colletotrichum gloesporioides)、コレトトリカム・グラミニコラ(Colletotrichum graminicola)、コレトトリカム・カハワエ(Colletotrichum kahawae)、コレトトリカム・リンデムチアヌム(Colletotrichum lindemuthianum)、コレトトリカム・ムサエ(Colletotrichum musae)、コレトトリカム・ニグラム(Colletotrichum nigrum)、コレトトリカム・オルビクラレ(Colletotrichum orbiculare)、コレトトリカム・ピシ(Colletotrichum pisi)およびコレトトリカム・サブリネオラム(Colletotrichum sublineolum)が挙げられる。
【0038】
キレート剤
キレート剤(別名、金属イオン封鎖剤)は、金属イオンと結合し、非共有複合体を形成し、イオンの活性を低減するいずれかの化合物である。適切なキレート剤としては、EDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸)およびEGTA(エチレングリコールビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−テトラ酢酸)のようなポリアミノカルボキシレートが挙げられる。好適には、EDTAはキレート剤として、好適には少なくとも10μg/ml、少なくとも50μg/ml、または少なくとも100μg/ml、および500μg/mlまで、1mg/mlまで、5mg/mlまで、10mg/mlまで、または20mg/mlまでの濃度で用いられる。好適には、EDTAは0.1mg/ml〜20mg/ml、より好適には1mg/ml〜20mg/mlの濃度で用いられる。
【0039】
成果
抗微生物剤は、キレート剤と組み合わせて、植物病原性微生物の増殖を阻害する(静微生物活性を有することを意味する)、および/または該微生物を殺滅する(殺微生物活性を有することを意味する)のに用いることができる。当業者であれば、日常的な方法によって、選択されるキレート剤の特定の濃度で、微生物のとくに所望の増殖阻害または殺滅を達成するのに適した用量および/または濃度を識別することができる。好適には、抗微生物剤およびキレート剤の組み合わせはヒトまたは動物に非毒性である。
【0040】
好適には、抗微生物剤およびキレート剤の組み合わせ(例えば本発明の組成物)を静微生物剤として用いる場合、この組み合わせは、組み合わせが存在しない同等の条件と比べて、増殖率を10%、より好適には50%、より好適には75%、より好適には90%、より好適には95%、より好適には98%、より好適には99%、さらにより好適には99.9%低減する。もっとも好適には、この組み合わせは微生物のいかなる増殖も防止する。
【0041】
好適には、抗微生物剤およびキレート剤の組み合わせ(例えば本発明の組成物)を殺微生物剤として用いる場合、この組み合わせは、組み合わせが存在しない同等の条件と比べて、微生物の集団の10%、より好適には該集団の50%、より好適には該集団の75%、より好適には該集団の90%、より好適には該集団の95%、より好適には該集団の98%、より好適には該集団の99%、さらにより好適には該集団の99.9%を殺滅する。もっとも好適には、この組み合わせは微生物の集団のすべてを殺滅する。
【0042】
微生物による植物の感染症を予防または抑制するのに用いる場合、前記組み合わせは好適には効果的な量、すなわち、好適には組み合わせが存在しない同等の条件と比べて、検出可能なレベルの感染症予防または抑制が達成される(例えば検出可能なレベルの植物組織損傷の予防または抑制が達成される)レベルの微生物の増殖阻害および/または殺滅をもたらす量で用いられる。
【0043】
キレート剤(例えば上述の濃度のいずれかのEDTA)と組み合わせて、選択される抗微生物剤がBladまたはその活性変異体を含むポリペプチドを含む場合、前記ポリペプチドを用いるのに適した濃度としては、少なくとも5μg/ml、少なくとも10μg/ml、少なくとも20μg/ml、少なくとも50μg/ml、少なくとも100μg/mlまたは500μg/ml、および1mg/mlまで、2.5mg/ml、5mg/mlまで、または10mg/mlまでが挙げられる。好適には、前記ポリペプチドの濃度は50μg/ml〜10mg/ml、より好適には500μg/ml〜5mg/ml、さらにより好適には1mg/ml〜5mg/ml(例えば約2.5mg/ml)である。
例えば、50mM(すなわち約15.8mg/ml)のEDTAで、例えばそれぞれB.シネレアまたはF.オキシスポラムの増殖を阻害するには、1mg/mlまたは2.5mg/mlのBladの濃度を用いることができる。これは、Blad単独ではこれらの病原体の増殖を阻害するには(それぞれ)約5mg/mlまたは10mg/mlで用いられる必要があることを考えると、驚くべき発見である。本発明者らの発見はa)キレート剤の使用による、より低い濃度での(植物病原体に対して効果的である)抗微生物剤の効果的な使用またはb)キレート剤の使用による、標準的な濃度での(植物病原体に対して効果的である)抗微生物剤の効力の増加を可能にする。これは、微生物による植物(またはその一部)の感染症を予防または治療するための、こうした抗微生物剤のより経済的/効果的な使用を可能にする。
【0044】
使用および方法
本発明者らは、植物上で植物病原性微生物の増殖を阻害する、および/またはそれを殺滅するための、本発明の組成物の使用も提供する。この目的のため、彼らは、それを必要とする植物に本発明の組成物(例えば効果的な量の該組成物)を投与するステップを含む、植物病原性微生物の増殖の阻害および/または殺滅方法も提供する。
【0045】
本発明者らは、植物上で植物病原性微生物の増殖を阻害する、および/またはこれを殺滅するための、キレート剤および植物病原性微生物に対して効果的である抗微生物剤の使用も提供する。彼らは、植物病原性微生物に対して効果的である微生物の活性を増加させるための、キレート剤の使用も提供する。この目的のため、彼らは:
a)キレート剤および植物病原性微生物に対して効果的である抗微生物剤(例えば効果的な量の該作用剤の組み合わせ)を投与するステップを含む、植物病原性微生物の増殖の阻害および/または殺滅方法;ならびに
b)抗微生物剤をキレート剤とともに用いるステップを含む、植物病原性微生物に対して効果的である抗微生物剤の活性の増加方法
も提供する。
これらの実施形態では、前記抗微生物剤および前記キレート剤は前記植物に同組成物の一部としてまたは別々に投与することができる。これらの2つの作用剤を別々に投与する場合、投与は連続(どちらかの作用剤を先に投与する)または同時であってもよい。植物への投与は、例えば作用剤(または該作用剤を含む組成物)を植物(またはその一部)上に塗布(例えば噴霧)することにより、または植物もしくはその一部(例えば種子)を適切な溶液中に浸漬させることにより、達成することができる。
【0046】
植物病原性微生物に対して効果的である抗微生物剤の活性を増加させるのにキレート剤を用いる場合、該キレート剤(およびその濃度)は、好適には該抗微生物剤および該キレート剤の組み合わせが、好適にはキレート剤が存在しない同等の条件と比べて、植物病原性微生物の増殖阻害および/または殺滅のレベルの増加をもたらす(例えば植物感染症予防または抑制のレベルの増加が達成される、例えば植物組織損傷の予防または抑制のレベルの増加が達成される)ように選択される。
【0047】
本発明の使用/方法実施形態において、抗微生物剤およびキレート剤は上で詳述したとおりである。
【0048】
植物病原性微生物に対して効果的である抗微生物剤およびキレート剤の組み合わせを必要とする植物は、感染症に罹患するリスクがある、または感染症を有するいずれかの植物とすることができ、この場合該感染症は植物病原性微生物により引き起こされる。好適には、植物は作物植物(例えば収穫され、食料、家畜飼料、燃料、繊維、またはその他の商業的に価値のある生成物をもたらすために栽培されるいずれかの植物)である。好適には、前記作物植物は、食料作物植物、例えば糖をもたらす植物(例えばテンサイ、サトウキビ)、果物(堅果を含む)、野菜または種子である。種子をもたらす特定の植物としては、穀類(例えばトウモロコシ、小麦、大麦、モロコシ、キビ、米、カラス麦およびライ麦)およびマメ科植物(例えばマメ、エンドウマメおよびレンズマメ)が挙げられる。
【0049】
本発明者らは、植物上で植物病原性細菌を殺滅する、および/またはその増殖を阻害するための、Bladまたはその活性変異体を含む(または本質的にこれからなる)抗微生物ポリペプチドを含む(または本質的にこれからなる)組成物の使用も提供する。この目的のため、本発明者らは、植物上での植物病原性細菌の殺滅、またはその増殖の阻害方法であって、該植物に効果的な量のBladまたはその活性変異体を含む(または本質的にこれからなる)抗微生物ポリペプチドを含む(または本質的にこれからなる)組成物を投与するステップを含む方法をさらに提供する。任意でBladまたはその活性変異体を含む(または本質的にこれからなる)抗微生物ポリペプチドは分離形態で用いてもよい。
【0050】
好適な実施形態では、前記組成物はそれを必要とする植物に塗布される。前記組成物を必要とする植物は、感染症に罹患するリスクがある、または感染症を有するいずれかの植物とすることができ、この場合該感染症は植物病原性細菌により引き起こされる。好適な植物は上述したとおりである。「細菌の殺滅/増殖の阻害」、および「効果的な量」の意味は、抗微生物剤およびキレート剤の組み合わせに関して上述したとおりである。
【実施例】
【0051】
以下の実施例では、BLADは、Ramos et al.(1997)Planta 203(1):26−34:文献のMaterials and Methodsセクションの“Plant material and growth conditions”および“Purification of proteins”部分参照、に従って精製した20kDのBladポリペプチドを含む自然発生Blad含有グリコオリゴマーを示す。
【0052】
定義:
MIC―最小阻害濃度:微生物の目に見える増殖を阻害するもっとも低い抗微生物剤の濃度
MFC/MBC―最小殺真菌/殺細菌濃度(または最小致死濃度):標準の条件下、24時間後に初期接種の99.9%を殺滅するのに必要なもっとも低い抗微生物剤の濃度。
【実施例1】
【0053】
BLADの殺細菌活性およびそれについてのEDTAの相乗効果
A. BLADは、P.アエルギノサに対して、100μg/mlで静細菌性であり、250μg/mlで殺細菌性であることが見出された。P.アエルギノサに対して、BLADは50μg/mlで、またはEDTAは1mg/mlで増殖を阻害する(すなわち両方とも静細菌性である)が、2つの組み合わせは殺細菌性である。
【0054】
B. エルウィニア・ピルシシナ(Erwinia Pirsicina)に対して、BLADは32μg/mlのMICを有し、EDTAは15mMのMICを有する。しかしながら、阻害量より低い(0.75mM)EDTAの存在下で、BLADのMICは16μg/mlまで低下する。
【0055】
C. ストレプトマイセス・グリセウスに対して、BLADは1024μg/mlのMICを有し、EDTAは16mMのMICを有する。しかしながら、阻害量より低い(8mM)EDTAの存在下で、BLADのMICは256μg/mlまで低下する。
【実施例2】
【0056】
BLADの殺真菌活性についてのEDTAの相乗効果
[1.2%w/v寒天のポテトデキストロース寒天(PDA)(25℃で3日培養)上でのボトリチス・シネレアに対する、EDTA有りおよび無しでの、BLADの阻害ハロデータ]
【表1】
【0057】
B.シネレアの増殖は200μgおよび100μgのBLADで阻害された。この阻害は50mM(約15.8mg/ml)のEDTAの添加で増強された。
【0058】
増殖阻害は、BLAD単体を20μgもしくは50μgで用いる場合、またはEDTA単体を50mMで用いる場合、見られなかった。しかしながら、いずれの濃度のBLADも50mMのEDTAと組み合わせた場合、阻害が見られた。
【0059】
[1.2%w/v寒天のポテトデキストロース寒天(PDA)(25℃で3日培養)上でのフザリウム・オキシスポラムに対する、EDTA有りおよび無しでの、BLADの阻害ハロデータ]
【表2】
【0060】
F.オキシスポラムの増殖は200μgのBLADで阻害された。この阻害は50mMのEDTAの添加で増強された。
【0061】
増殖阻害は、BLAD単体を20μg、50μgもしくは100μgで用いる場合、またはEDTA単体を50mMで用いる場合、見られなかった。しかしながら、50μgまたは100μgのBLADを50mMのEDTAと組み合わせた場合、阻害が見られた。
図1
図2