特許第6091427号(P6091427)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6091427ピリドン誘導体およびそれを含有する医薬
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6091427
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】ピリドン誘導体およびそれを含有する医薬
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/06 20060101AFI20170227BHJP
   C07D 409/14 20060101ALI20170227BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20170227BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20170227BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20170227BHJP
   A61K 31/444 20060101ALI20170227BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20170227BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20170227BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20170227BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20170227BHJP
   A61P 37/00 20060101ALI20170227BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20170227BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20170227BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20170227BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20170227BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20170227BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20170227BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20170227BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20170227BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20170227BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20170227BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20170227BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20170227BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20170227BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20170227BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20170227BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20170227BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20170227BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20170227BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20170227BHJP
   C07D 413/14 20060101ALI20170227BHJP
   C07K 7/06 20060101ALN20170227BHJP
【FI】
   C07D401/06CSP
   C07D409/14
   C07D405/14
   C07D401/14
   A61K31/4439
   A61K31/444
   A61P43/00 105
   A61P19/02
   A61P29/00 101
   A61P17/06
   A61P37/00
   A61P13/12
   A61P17/00
   A61P37/06
   A61P21/00
   A61P1/04
   A61P25/00 101
   A61P21/04
   A61P9/10 101
   A61P3/10
   A61P31/04
   A61P11/06
   A61P17/02
   A61P11/00
   A61P37/08
   A61P19/10
   A61P7/06
   A61P35/00
   A61P27/06
   A61P1/02
   A61P43/00 111
   C07D413/14
   !C07K7/06ZNA
【請求項の数】15
【全頁数】95
(21)【出願番号】特願2013-548305(P2013-548305)
(86)(22)【出願日】2012年12月7日
(86)【国際出願番号】JP2012081735
(87)【国際公開番号】WO2013085016
(87)【国際公開日】20130613
【審査請求日】2015年9月29日
(31)【優先権主張番号】特願2011-270492(P2011-270492)
(32)【優先日】2011年12月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000124269
【氏名又は名称】科研製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】亀井 準乏
(72)【発明者】
【氏名】住川 栄健
(72)【発明者】
【氏名】上村 大護
(72)【発明者】
【氏名】藤堂 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】山田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】徳岡 正大
【審査官】 三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2003/022801(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/054278(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/036640(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/036638(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/084455(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/084415(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/019768(WO,A1)
【文献】 国際公開第2005/085232(WO,A1)
【文献】 国際公開第2004/024721(WO,A1)
【文献】 国際公開第2004/033632(WO,A1)
【文献】 国際公開第2004/108086(WO,A1)
【文献】 Wensheng YU, et al.,Discovery and SAR of hydantoin TACE inhibitors,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2010年,Vol.20,p.1877-1880
【文献】 Wensheng YU, et al.,Biaryl substituted hydantoin compounds as TACE inhibitors,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2010年,Vol.20,p.5286-5289
【文献】 Vinay M. GIRIJAVALLABHAN, et al.,Novel TNF-a converting enzyme (TACE) inhibitors as potential treatment for inflammatory diseases,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2010年,Vol.20,p.7283-7287
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 401/06
C07D 401/14
C07D 405/14
C07D 409/14
C07D 413/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

[式中、環Aは、フェニル、ナフチルチエニル、ベンゾフリル、ピリジル、ベンゾチエニルまたは下記一般式(a)で表される基:
【化2】

(式中、ZおよびZは、それぞれ独立して−CH−または−O−、nは、1〜3の整数を示す。)、
は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、C1〜C6ハロアルキル基、カルボキシル基、置換されてもいてもよいC1〜C6アルキル基、置換されてもいてもよいC1〜C6アルコキシ基、置換されてもいてもよいC1〜C6アルコキシカルボニル基、置換されてもいてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基、置換されていてもよいC2〜C6アルケニル基、置換されていてもよいC2〜C6アルケニルで置換されたC1〜C6アルキル基、置換されていてもよいシクロアルケニル基、置換されていてもよいシクロアルケニルアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルケニル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルケニルアルキル基、置換されていてもよいC2〜C6アルキニル基、置換されていてもよいC2〜C6アルキニルで置換されたC1〜C6アルキル基、または−J1−X1−R5〔式中、J1は単結合、アルキレン、アルケニレンもしくはアルキニレン、X1は単結合、酸素原子、硫黄原子、SO、SO2、−CO−、−NR6−、−NR6SO2−、−SO2NR6−、−NR6CO−、−CONR6−、−NR6COO−、−OCONR6−、−NR6CONR7−もしくは−NR6SO2NR7−(式中、R6およびR7はそれぞれ独立して水素原子もしくはC1〜C6アルキル基を示す。)、
5は水素原子、トリフルオロメチル基、置換されていてもよいC1〜C6アルキル基、置換されてもいてもよいC1〜C6アルコキシ基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキルアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル基、下記一般式(b)で表される基:
【化3】

(式中、nは、1〜3、nは、0〜3の整数を示す。)、
置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基、置換されていてもよいC2〜C6アルケニル基、置換されていてもよいC2〜C6アルケニルで置換されたC1〜C6アルキル基、置換されていてもよいC2〜C6アルキニル基もしくは置換されていてもよいC2〜C6アルキニルで置換されたC1〜C6アルキル基を示す。〕、
は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C1〜C6ハロアルキル基、カルボキシル基、置換されても良いC1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、C1〜C6アルコキシカルボニル基、置換されても良いシクロアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基、置換されていてもよいC2〜C6アルケニル基、置換されていてもよいC2〜C6アルケニルで置換されたC1〜C6アルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルケニル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルケニルアルキル基、置換されていてもよいC2〜C6アルキニル基または置換されていてもよいC2〜C6アルキニルで置換されたC1〜C6アルキル基、
は水素原子、ハロゲン原子またはC1〜C6アルキル基、
は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C1〜C6ハロアルキル基、C1〜C6アルコキシ基、ヒドロキシメチル基、C1〜C6アルキル基またはC2〜C6アルケニル基、を示す。]
で表されるピリドン誘導体またはその塩。
【請求項2】
前記一般式(I)中、環Aがフェニル、ナフチル、チエニル、ベンゾフリル、ピリジルまたはベンゾチエニルである請求項1記載のピリドン誘導体またはその塩。
【請求項3】
前記一般式(I)中、
がハロゲン原子、シアノ基、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基または−J1−X1−R5(式中、J1は単結合もしくはアルキレン、X1は単結合、酸素原子もしくは硫黄原子、R5は置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキルアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいヘテロアリール基もしくは置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基)である、請求項1または2に記載のピリドン誘導体またはその塩。
【請求項4】
前記一般式(I)中、Rが水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6アルコキシ基またはC1〜C6アルキル基である、請求項1〜3のいずれかに記載のピリドン誘導体またはその塩。
【請求項5】
前記一般式(I)中、Rが水素原子、フッ素原子またはメチル基である、請求項1〜4のいずれかに記載のピリドン誘導体またはその塩。
【請求項6】
前記一般式(I)中、
が、ハロゲン原子、シアノ基、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基または−J1−X1−R5(式中、J1は単結合もしくはアルキレン、X1は単結合、酸素原子もしくは硫黄原子、R5は置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキルアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいヘテロアリール基もしくは置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基)であり、
が、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6アルコキシ基またはC1〜C6アルキル基であり、
が、水素原子、フッ素原子またはメチル基である、請求項5に記載のピリドン誘導体またはその塩。
【請求項7】
前記一般式(I)中、
が、ハロゲン原子、シアノ基、メチル基、C1〜C6アルコキシ基または−J1−X1−R5(式中、J1は単結合もしくはアルキレン、X1は単結合、酸素原子もしくは硫黄原子、R5は置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキルアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいヘテロアリール基もしくは置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基)であり、
が、水素原子、ハロゲン原子、メトキシ基またはメチル基であり、
が、水素原子、フッ素原子またはメチル基である、請求項6に記載のピリドン誘導体またはその塩。
【請求項8】
前記一般式(I)中、Rがハロゲン原子、シアノ基、C1〜C6ハロアルキル基、C1〜C6アルコキシ基、ヒドロキシメチル基、C1〜C6アルキル基またはC2〜C6アルケニル基である請求項1〜7のいずれかに記載のピリドン誘導体またはその塩。
【請求項9】
前記一般式(I)中、Rがメチル基である請求項8に記載のピリドン誘導体またはその塩。
【請求項10】
一般式(I)で表される化合物が、
【化4-1】

【化4-2】

【化4-3】

からの1つである請求項1、2、7および9のいずれかに記載のピリドン誘導体またはその塩。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載のピリドン誘導体またはその塩を有効成分として含有する医薬。
【請求項12】
可溶型TNF−αの産生抑制剤である請求項11に記載の医薬。
【請求項13】
TNF−αが関与する疾患の予防または治療剤である請求項11に記載の医薬であって、前記TNF−αが関与する疾患が、関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、ループス腎炎、全身性強皮症、限局性強皮症、シェーグレン症候群、多発性筋炎、皮膚筋炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、ベーチェット病、多発性硬化症、動脈硬化症、重症筋無力症、強直性脊椎炎、糖尿病、動脈硬化症、敗血症、急性感染症、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、乾癬、ざ瘡、骨粗鬆症、火傷、器官又は組織移植に伴う拒絶の発症、発熱、貧血、ガン疾患、歯周病、緑内障およびブドウ膜炎からなる群より選択される1つ以上の疾患である、医薬
【請求項14】
TNF−αが関与する疾患が、皮膚疾患である請求項13に記載の医薬。
【請求項15】
皮膚疾患が、限局性強皮症、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、乾癬およびざ瘡からなる群より選択される1つ以上の疾患である請求項14に記載の医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なピリドン誘導体またはその塩およびそれらを有効成分として含有する医薬であって、腫瘍壊死因子−α(Tumor necrosis factor alpha:TNF−α)変換酵素(TACE)阻害を有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
TNF−αは、外的要因および内的要因により活性化されたマクロファージや単球などから分泌されるサイトカインの一種で、種々のサイトカインの分泌促進および感染症防御に広く関わっている。しかしながらTNF−αの持続的かつ過剰な産生および分泌は、炎症性サイトカインの過剰分泌、細胞アポトーシス、細胞内シグナル伝達の妨害などを引き起こし、一次的および二次的組織障害の結果、種々の病気の原因や増悪をもたらす要因となっている(非特許文献1参照)。したがって、TNF−αの過剰産生および分泌に起因すると考えられる病的状態の治療には、TNF−αの産生および分泌の抑制、またはTNF−αの作用の抑制が重要である。これらのTNF−αが関与する疾患例としては、関節リウマチを始め、全身性エリテマトーデス(SLE)、クローン病、ベーチェット病、多発性硬化症、動脈硬化症、重症筋無力症、糖尿病、敗血症、急性感染症、喘息、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、乾癬、ざ瘡、発熱、貧血などがあげられる。
【0003】
ADAM(a disintegrin and metalloproteinase)ファミリーに分類されるTACE(腫瘍壊死因子−α変換酵素;Tumor necrosis factor alpha Converting Enzyme)(別名ADAM17)は、触媒部位に亜鉛を有する膜結合型タンパク質分解酵素であり、膜結合型TNF−α(プロTNF−α)を切断し可溶型TNF−αを産生する作用を有する。したがって、TACEの酵素作用を阻害する化合物は、可溶型TNF−αの産生を抑制し、前述のTNF−αに起因する種々の疾患の治療薬に成り得ると考えられる。このようなことから、TACE阻害作用をもつ化合物の研究が活発に行われている(非特許文献2及び3参照)。
【0004】
一方、マトリックスメタロプロテイナーゼ(別名マトリキシン)(MMP)は、触媒部位に亜鉛を有するタンパク質分解酵素であり、細胞外マトリックスを分解する作用を有する。MMPは、これまでに約20種類のサブタイプが知られている。
ある種のMMPを阻害する化合物は、TNF−αの産生も阻害することが報告されている(非特許文献4参照)。また、TACEとMMPは、共に触媒部位に亜鉛を有する酵素であり、その3次元構造も類似していることもあって、これまでMMPおよびTACEを共に阻害する化合物が報告されている(非特許文献5参照)。しかしながら、多種類のMMPを同時に阻害する薬剤を連続投与したラットでは軟骨である成長板の肥層化が起こること(非特許文献6参照)や、MT1−MMP(MMP−14)ノックアウトマウスでは関節炎症状が観察されること(非特許文献7参照)などの報告から、MMP阻害により種々の副作用を生じる懸念がある。更に、MMPの多くは、生体構造の基本となる細胞外マトリックスの維持、恒常性に関与していることから、非選択的に多種のMMP酵素活性を阻害することは、生体にとって重大な悪影響を与える危険性がある。したがって、TACE阻害に基づくTNF−α産生抑制を目的とした化合物は、MMPに対する阻害作用を実質的に示さないことが好ましい。
【0005】
これまでにTACEを選択的に阻害する化合物については、特許文献1や非特許文献8及び9で報告されている。また、ヒダントイン構造を有するTACE阻害化合物については特許文献2〜10の報告がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第03/022801号パンフレット
【特許文献2】国際公開第10/054278号パンフレット
【特許文献3】国際公開第10/036640号パンフレット
【特許文献4】国際公開第07/084455号パンフレット
【特許文献5】国際公開第07/084415号パンフレット
【特許文献6】国際公開第06/019768号パンフレット
【特許文献7】国際公開第05/085232号パンフレット
【特許文献8】国際公開第04/024721号パンフレット
【特許文献9】国際公開第04/033632号パンフレット
【特許文献10】国際公開第04/108086号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Aggarwall B.B., Puri R.K., eds. 1995. Human Cytokines: Their Role in Disease and Therapy. Cambridge, Mass, USA: Blackwell Sci.
【非特許文献2】Nelson, F. C. et al., Exp. Opin. Invest. Drugs 1999, 8, 383-392
【非特許文献3】Murumkar, P. R. et al., Exp. Opin. Ther. Patents 2010, 20, 31-57
【非特許文献4】Mohler, K. M. et al., Nature 1994, 370, 218-220
【非特許文献5】DasGupta, S. et al., Bioorg. Med. Chem., 2009, 17, 444-459
【非特許文献6】Nakajima, M., The Bone 2001, 15, 161-166
【非特許文献7】Holmbeck, K. et al., Cell 1999, 99, 81-92
【非特許文献8】Yu, W. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 2010, 20, 1877-1880
【非特許文献9】Yu, W. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 2010, 20, 5286-5289
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような背景の下、TACE阻害に基づくTNF−αの産生抑制剤に対する継続的な需要が存在しており、TACE阻害作用を示す新たな化合物の創製が望まれている。ここで、TACE阻害に基づくTNF−αの産生抑制を目的とした新たな化合物においては、前記のとおりMMPに対する阻害作用をほとんど示さないこと、すなわち選択性を有することが安全性の面から必要であると考えられる一方、当該化合物の有用性の観点から、他の特性を併せて有することが望まれている。
本発明は、このようなTNF−αを介する疾患の治療および予防を鑑みてなされたものである。すなわち本発明の目的は、MMPに対する阻害作用が弱い、選択的なTACE阻害作用を示す新規化合物またはその塩を提供すること、およびこれらを有効成分とする医薬を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意研究を行ったところ、驚くべきことにこれまで知られていなかった骨格を有する化合物の中に、優れたTACE阻害作用を有し、かつMMPに対する阻害作用との選択性に優れた化合物が存在することを見出し、この知見に基づいてさらに研究を進めた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、少なくとも以下の各発明に関する:
(1)一般式(I):
【化1】

[式中、環Aは、アリール、ヘテロアリールまたは下記一般式(a)で表される基:
【化2】

(式中、ZおよびZは、それぞれ独立して−CH−または−O−、nは、1〜3の整数を示す。)、
【0010】
は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、C1〜C6ハロアルキル基、カルボキシル基、置換されてもいてもよいC1〜C6アルキル基、置換されてもいてもよいC1〜C6アルコキシ基、置換されてもいてもよいC1〜C6アルコキシカルボニル基、置換されてもいてもよいシクロアルキル基、置換されてもいてもよいシクロへキシルアルキルアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基、置換されていてもよいC2〜C6アルケニル基、置換されていてもよいアルケニルアルキル基、置換されていてもよいシクロアルケニル基、置換されていてもよいシクロアルケニルアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルケニル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルケニルアルキル基、置換されていてもよいC2〜C6アルキニル基もしくは置換されていてもよいアルキニルアルキル基、または
【0011】
−J1−X1−R5〔式中、J1は単結合、アルキレン、アルケニレンもしくはアルキニレン、X1は単結合、酸素原子、硫黄原子、SO、SO2、−CO−、−NR6−、−NR6SO2−、−SO2NR6−、−NR6CO−、−CONR6−、−NR6COO−、−OCONR6−、−NR6CONR7−もしくは−NR6SO2NR7−(式中、R6およびR7はそれぞれ独立して水素原子もしくはC1〜C6アルキル基を示す。)、
5は水素原子、トリフルオロメチル基、置換されていてもよいC1〜C6アルキル基、置換されてもいてもよいC1〜C6アルコキシ基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキルアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル基、下記一般式(b)で表される基:
【化3】

(式中、nは、1〜3、nは、0〜3の整数を示す。)、
置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基、置換されていてもよいC2〜C6アルケニル基、置換されていてもよいアルケニルアルキル基、置換されていてもよいC2〜C6アルキニル基もしくは置換されていてもよいアルキニルアルキル基を示す。〕、
【0012】
は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C1〜C6ハロアルキル基、カルボキシル基、置換されても良いC1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、C1〜C6アルコキシカルボニル基、置換されても良いシクロアルキル基、置換されても良いシクロへキシルアルキルアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基、置換されていてもよいC2〜C6アルケニル基、置換されていてもよいアルケニルアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルケニル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルケニルアルキル基、置換されていてもよいC2〜C6アルキニル基または置換されていてもよいアルキニルアルキル基、
【0013】
は水素原子、ハロゲン原子またはC1〜C6アルキル基、
は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C1〜C6ハロアルキル基、C1〜C6アルコキシ基、ヒドロキシメチル基、C1〜C6アルキル基またはC2〜C6アルケニル基、を示す。]
で表されるピリドン誘導体またはその塩。
【0014】
(2)前記一般式(I)中、環Aが、アリールまたはヘテロアリールである前記(1)に記載のピリドン誘導体またはその塩。
(3)前記一般式(I)中、
がハロゲン原子、シアノ基、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基または−J1−X1−R5(式中、J1は単結合、アルキレン、X1は単結合、酸素原子、硫黄原子、R5は置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキルアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいヘテロアリール基もしくは置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基)である、前記(1)または(2)に記載のピリドン誘導体またはその塩。
(4)前記一般式(I)中、Rが水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6アルコキシ基またはC1〜C6アルキル基である、前記(1)〜(3)のいずれかに記載のピリドン誘導体またはその塩。
(5)前記一般式(I)中、Rが水素原子、フッ素原子またはメチル基である、前記(1)〜(4)のいずれかに記載のピリドン誘導体またはその塩。
【0015】
(6)前記一般式(I)中、
が、ハロゲン原子、シアノ基、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基または−J1−X1−R5(式中、J1は単結合、アルキレン、X1は単結合、酸素原子、硫黄原子、R5は置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキルアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいヘテロアリール基もしくは置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基)であり、
が、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6アルコキシ基、またはC1〜C6アルキル基であり、
が、水素原子、フッ素原子またはメチル基である前記(5)に記載のピリドン誘導体またはその塩。
【0016】
(7)前記一般式(I)中、
が、ハロゲン原子、シアノ基、メチル基、C1〜C6アルコキシ基または−J1−X1−R5(式中、J1は単結合、アルキレン、X1は単結合、酸素原子、硫黄原子、R5は置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキルアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいヘテロアリール基もしくは置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基)であり、
が、水素原子、ハロゲン原子、メトキシ基またはメチル基であり、
が、水素原子、フッ素原子またはメチル基である、前記(6)に記載のピリドン誘導体またはその塩。
(8)前記一般式(I)中、Rがハロゲン原子、シアノ基、C1〜C6ハロアルキル基、C1〜C6アルコキシ基、ヒドロキシメチル基、C1〜C6アルキル基またはC2〜C6アルケニル基である前記(1)〜(7)のいずれかに記載のピリドン誘導体またはその塩。
(9)前記一般式(I)中、Rが、メチル基である前記(8)に記載のピリドン誘導体またはその塩。
【0017】
(10)前記一般式(I)で表される化合物が、
【化4-1】

【化4-2】

【化4-3】

からの1つである前記(1)、(2)、(7)および(9)のいずれかに記載のピリドン誘導体またはその塩。
【0018】
(11)前記(1)〜(10)のいずれかに記載のピリドン誘導体またはその塩を有効成分として含有する医薬。
(12)可溶型TNF−αの産生抑制剤である前記(11)に記載の医薬。
(13)TNF−αが関与する疾患の予防または治療剤である前記(11)に記載の医薬。
(14)TNF−αが関与する疾患が、関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、ループス腎炎、全身性強皮症、限局性強皮症、シェーグレン症候群、多発性筋炎、皮膚筋炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、ベーチェット病、多発性硬化症、動脈硬化症、重症筋無力症、強直性脊椎炎、糖尿病、動脈硬化症、敗血症、急性感染症、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アトピー性皮膚炎、乾癬、ざ瘡、骨粗鬆症、火傷、器官又は組織移植に伴う拒絶の発症、発熱、貧血、ガン疾患、歯周病、緑内障、糖尿病性の合併症およびブドウ膜炎からなる群より選択される1つ以上の疾患である前記(13)に記載の医薬。
(15)TNF−αが関与する疾患が、皮膚疾患である前記(13)または(14)に記載の医薬。
(16)皮膚疾患が、限局性強皮症、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、乾癬およびざ瘡からなる群より選択される1つ以上の疾患である前記(15)に記載の医薬。
【発明の効果】
【0019】
本発明のピリドン誘導体またはその塩は優れた選択的TACE阻害作用を有し、TNF−αが関与する疾患の予防または治療剤として有用である。
前記いずれの先行技術文献にも、本願化合物のようなピリドン骨格を有する化合物は記載されていない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
つぎに、本発明について更に詳細に説明する。
まず前記一般式(I)における各置換基について説明するに、同各置換の定義において用いられる用語の意味は以下のとおりである。
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。
「C1〜C6アルキル基」とは、直鎖または分岐状の炭素原子数1〜6のアルキル基を意味し、具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、tert−ペンチル基、3−メチルブチル基(イソペンチル基)、ネオペンチル基、n−ヘキシル基などがあげられる。
「C1〜C6ハロアルキル基」とは、前記C1〜C6アルキル基に1個またはそれ以上の前記ハロゲン原子が置換可能な任意の位置で置換されたものを意味し、具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、トリクロロメチル基、3−クロロプロピル基、4−ブロモブチル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル基などがあげられる。
「C1〜C6アルコキシ基」とは、アルキル部分が、前記C1〜C6アルキル基と同義であるアルコキシ基を意味し、たとえば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、tert−アミルオキシ基、3−メチルブトキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基などの直鎖または分岐状のアルコキシ基があげられる。
「C1〜C6アルコキシカルボニル基」とは、アルキル部分が、前記C1〜C6アルキル基であるアルコキシカルボニル基を意味し、たとえば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、tert−アミルオキシカルボニル基、3−メチルブトキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基などの直鎖または分岐状のC1〜C6のアルコキシカルボニル基があげられる。
【0021】
「シクロアルキル基」とは、炭素原子数3〜7の単環の飽和炭素環を表し、たとえばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などがあげられる。
「炭素環」とは、3〜10員の単環式または二環式の炭素原子からなる環を表し、具体例としては、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、ベンゼン環などがあげられるが、これらに限定されない。
なお、本明細書において炭素環とは前記「炭素環」を意味するものである。
「シクロアルキルアルキル基」とは、前記C1〜C6アルキル基に前記シクロアルキル基が置換したもので、これらは置換可能なすべての位置で結合しうる。たとえば、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基(たとえば、2−シクロペンチルエチル基)、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルプロピル基(たとえば、3−シクロヘキシルプロピル基)などがあげられる。これらのシクロアルキル部分には、任意の置換基を有していてもよい。
「ヘテロシクロアルキル基」とは、飽和の単環の複素環を表わす。たとえば、ピロリジニル基(たとえば、1−ピロリジニル基、2−ピロリジニル基、3−ピロリジニル基)、ピペリジニル基(たとえば、1−ピペリジニル基、4−ピペリジニル基)、ホモピペリジニル基(たとえば、1−ホモピペリジニル基、4−ホモピペリジニル基)、テトラヒドロフラニル基(たとえば、2−テトラヒドロフラニル基、3−テトラヒドロフラニル基)、テトラヒドロピラニル基(たとえば、4−テトラヒドロピラニル基)、ピペラジニル基(たとえば、1−ピペラジニル基)、ホモピペラジニル基(1−ピペラジニル基)などがあげられる。
【0022】
「複素環」とは、炭素原子およびN、OまたはSより選択される1〜3個のヘテロ原子からなる、3〜10員の単環式または二環式の環を表し、NおよびSは酸化されていてもよく、Nは四級化されていてもよく、置換されていてもよく、炭素環またはほかの複素環と縮合していてもよく、置換可能なすべての位置で結合し得る。具体例としては、ジオキソロール環、オキサチオール環、ジヒドロオキサチイン環、ジヒドロジオキシン環、ジヒドロフラン環、ジヒドロチオフェン環、ジヒドロピロール環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環などがあげられるが、これらに限定されない。
なお、本明細書において複素環というときは前記「複素環」を意味するものである。
【0023】
「ヘテロシクロアルキルアルキル基」とは、前記C1〜C6アルキル基に前記ヘテロシクロアルキル基が置換したもので、これらは置換可能なすべての位置で結合しうる。たとえば、ピロリジニルメチル基(たとえば、1−ピロリジニルメチル基、2−ピロリジニルメチル基、3−ピロリジニルメチル基)、ピペリジニルメチル基(たとえば、1−ピペリジニルメチル基、4−ピペリジニルメチル基)、ピペリジニルエチル基(たとえば、1−ピペリジニル−2−エチル基、4−ピペリジニル−2−エチル基)、ホモピペリジニルメチル基(たとえば、1−ホモピペリジニルメチル基、4−ホモピペリジニルメチル基)、テトラヒドロフラニルメチル基(たとえば、2−テトラヒドロフラニルメチル基、3−テトラヒドロフラニルメチル基)、テトラヒドロピラニルメチル基(たとえば、4−テトラヒドロピラニルメチル基)、ピペラジニルメチル基(たとえば、1−ピペラジニルメチル基)、ホモピペラジニルメチル基(1−ホモピペラジニルメチル基)などがあげられる。
「アリール基」とは、芳香族炭素環を表わし、たとえば、フェニル基、ナフチル基などがあげられる。
【0024】
「アラルキル基」とは、前記C1〜C6アルキル基に前記アリール基が置換したもので、これらは置換可能なすべての位置で結合しうる。たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−フェニルエチル基、1−フェニルプロピル基、3−フェニルプロピル基、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、1−(α−ナフチル)エチル基、2−(α−ナフチル)エチル基などがあげられる。これらのアリール部分には任意の置換基を有していてもよい。
【0025】
「ヘテロアリール基」とは、5〜10員の単環式または二環式の芳香族複素環を表わす。たとえば、ピロリル基(たとえば、2−ピロリル基)、フリル基(たとえば、3−フリル基)、チエニル基(たとえば、2−チエニル基)、イミダゾリル基(たとえば、4−イミダゾリル基)、ピラゾリル基(たとえば、3−ピラゾリル基)、オキサゾリル基(たとえば、2−オキサゾリル基)、イソオキサゾリル基(たとえば、3−イソオキサゾリル基)、チアゾリル基(たとえば、2−チアゾリル基)、イソチアゾリル基(たとえば、3−イソチアゾリル基)、ピリジル基(たとえば、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基)、ピリダジニル基(たとえば、3−ピリダジニル基)、ピリミジル基(たとえば、4−ピリミジル基)、ピラジニル基(たとえば、2−ピラジニル基)、インドリル基(たとえば、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基)、ベンゾフリル基(たとえば、2−ベンゾフリル基、5−ベンゾフリル基)、ベンゾチエニル基(たとえば、2−ベンゾチエニル基、5−ベンゾチエニル基)、ベンゾイミダゾリル基(たとえば、2−ベンゾイミダゾリル基)、インダゾリル基(たとえば、4−インダゾリル基)、ベンゾオキサゾリル基(たとえば、4−ベンゾオキサゾリル基)、ベンゾチアゾリル基(たとえば、4−ベンゾチアゾリル基)、ベンゾイソオキサゾリル基(たとえば、4−ベンゾイソオキサゾリル基)、ベンゾイソチアゾリル基(たとえば、4−ベンゾイソチアゾリル基)、キノリル基(たとえば、2−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、8−キノリル基)、イソキノリル基(たとえば、1−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、8−イソキノリル基)、シンノリニル基(たとえば、4−シンノリニル基、5−シンノリニル基、8−シンノリニル基)、キナゾリニル基(たとえば、4−キナゾリニル基、5−キナゾリニル基、8−キナゾリニル基)、テトラゾリル基(たとえば、2H−テトラゾール−5−イル基)などがあげられる。これらのヘテロアリール基には任意の置換基を有していてもよい。
【0026】
「ヘテロアリールアルキル基」とは、前記C1〜C6アルキル基に前記ヘテロアリール基が置換したもので、これらは置換可能なすべての位置で結合しうる。たとえば、ピリジルメチル基(たとえば、2−ピリジルメチル基)、オキサゾリルエチル基(たとえば、2−オキサゾリル−2−エチル基)、チアゾリルメチル基(たとえば、4−チアゾリルメチル基)、インドリルメチル基(たとえば、2−インドリルメチル基、3−インドリルメチル基、4−インドリルメチル基)、ベンゾフリルメチル基(たとえば、3−ベンゾフリルメチル基、4−ベンゾフリルメチル基)、ベンゾチエニルメチル基(たとえば、3−ベンゾチエニルメチル基、4−ベンゾチエニルメチル基)、ベンゾチアゾリルメチル基(たとえば、2−ベンゾチアゾリルメチル基)、キノリルメチル基(たとえば、2−キノリルメチル基、4−キノリルメチル基、5−キノリルメチル基、8−キノリルメチル基)、イソキノリルメチル基(たとえば、1−イソキノリルメチル基、4−イソキノリルメチル基、5−イソキノリルメチル基、8−イソキノリルメチル基)、シンノリニルメチル基(たとえば、4−シンノリニルメチル基、5−シンノリニルメチル基、8−シンノリニルメチル基)、キナゾリニルメチル基(たとえば、4−キナゾリニルメチル基、5−キナゾリニルメチル基、8−キナゾリニルメチル基)などがあげられる。これらのヘテロアリール基には任意の置換基を有していてもよい。
【0027】
「C2〜C6アルケニル基」とは、1個またはそれ以上の二重結合をもつ直鎖または分岐状の炭素原子数2〜6のアルケニル基を意味し、具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、イソブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−メチル−1−プロペニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基などがあげられる。
「アルケニルアルキル基」とは、前記C1〜C6アルキル基に前記C2〜C6アルケニル基が置換したもので、これらは置換可能なすべての位置で結合しうる。たとえばアリル基、2−ペンテニル基、4−ペンテニル基、プレニル基、2−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、2−メチルアリル基、ブト−3−エン−1−イル基、2−メチルブト−3−エン−1−イル基などがあげられる。
「ヘテロシクロアルケニル基」とは、環内の任意の位置に二重結合を1つ有する単環の複素環を表わす。たとえば、ジヒドロフリル基(たとえば、2,5−ジヒドロフラン−3−イル基)、ジヒドロピラニル基(たとえば、5,6−ジヒドロ−2H−ピラン−4−イル基)、ジヒドロピロリル基(たとえば、3−ピロリン−3−イル基)、テトラヒドロピリジル基(たとえば、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル基)、ジヒドロチエニル基(たとえば、2,5−ジヒドロチオフェン−3−イル基)、ジヒドロチオピラニル基(たとえば、5,6−ジヒドロ−2H−チオピラン−4−イル基)、デヒドロホモピペリジニル基(たとえば、4,5−デヒドロホモピペリジン−4−イル基)などがあげられる。
「ヘテロシクロアルケニルアルキル基」とは、前記C1〜C6アルキル基に前記ヘテロシクロアルケニル基が置換したもので、これらは置換可能なすべての位置で結合しうる。たとえば、ジヒドロフリルメチル基(たとえば、2,5−ジヒドロフラン−3−イルメチル基)、ジヒドロピラニルメチル基(たとえば、5,6−ジヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル基)、ジヒドロピロリルメチル基(たとえば、3−ピロリン−3−イルメチル基)、テトラヒドロピリジルメチル基(たとえば、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イルメチル基)、テトラヒドロピリジルエチル基(たとえば、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル−2−エチル基)、ジヒドロチエニルメチル基(たとえば、2,5−ジヒドロチオフェン−3−イルメチル基)、ジヒドロチオピラニルメチル基(たとえば、5,6−ジヒドロ−2H−チオピラン−4−イルメチル基)、デヒドロホモピペリジニルメチル基(たとえば、4,5−デヒドロホモピペリジン−4−イルメチル基)などがあげられる。
【0028】
「C2〜C6アルキニル基」とは、1個またはそれ以上の三重結合をもつ直鎖または分岐状の炭素原子数2〜6のアルキニル基を意味し、具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、3−メチル−1−ブチニル基、1,3−ブタジイニル基、1−ペンチニル基、3−メチル−1−ペンチニル基、1−ヘキシニル基などがあげられる。
「アルキニルアルキル基」とは、前記C1〜C6アルキル基に前記C2〜C6アルキニル基が置換したもので、これらは置換可能なすべての位置で結合しうる。たとえば、2−プロピニル基、2−ブチニル基、2−ペンチニル基、4−メチル−2−ペンチニル基などがあげられる。
【0029】
「アルキレン」とは、直鎖または分岐状の炭素原子数1〜6のアルキレン基を意味し、具体例としては、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−などがあげられる。
「アルケニレン」とは、1個またはそれ以上の二重結合をもつ直鎖または分岐状の炭素原子数2〜6のアルケニレン基を意味し、具体例としては、−CH=CH−、−CH=CH−CH2−、−CH=CH−CH2−CH2−、−CH=C(CH3)−CH2−などがあげられる。
「アルキニレン」とは、1個またはそれ以上の三重結合をもつ直鎖または分岐状の炭素原子数2〜6のアルキニレン基を意味し、具体例としては、
【化5】

などがあげられる。
【0030】
「置換されていてもよいC1〜C6アルキル基」、「置換されていてもよいC2〜C6アルケニル基」、「置換されていてもよいアルケニルアルキル基」、「置換されていてもよいC2〜C6アルキニル基」、「置換されていてもよいアルキニルアルキル基」、「置換されていてもよいシクロアルキル基」、「置換されていてもよいシクロアルキルアルキル基」、「置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基」、「置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル基」、「置換されていてもよいヘテロシクロアルケニル基」および「置換されていてもよいヘテロシクロアルケニルアルキル基」における置換基とは、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、置換されていてもよいC1〜C6アルコキシ基、シクロアルキル基、カルボキシル基、C1〜C6アルコキシカルボニル基、−NR{式中、RおよびRは、それぞれ独立して水素原子、C1〜C6アルキル基、ホルミル基、置換されていてもよいアシル基、−CONR1011〔式中、R10およびR11は、それぞれ独立して水素原子、C1〜C6アルキル基、R12で置換されていてもよいアリール基(R12は、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基またはハロゲン原子である)、R12で置換されていてもよいヘテロアリール基(R12は前記と同じ)、またはR10およびR11が結合している窒素原子と一緒になって含窒素複素環を形成している〕、シクロアルキル基、またはRおよびRが結合している窒素原子と一緒になって含窒素複素環を形成している}、または−OCOR13〔式中、R13は、C1〜C6アルキル基、R12で置換されていてもよいアリール基(R12は前記と同じ)、R12で置換されていてもよいヘテロアリール基(R12は前記と同じ)、または−NR1415(式中、R14およびR15は、それぞれ独立して水素原子、C1〜C6アルキル基、R12で置換されていてもよいアリール基(R12は前記と同じ)、R12で置換されていてもよいヘテロアリール基(R12は前記と同じ)、またはR14およびR15が結合している窒素原子と一緒になって含窒素複素環を形成している)〕などがあげられる。これらは、全ての可能な位置で一個以上置換しうる。
【0031】
「アシル基」とは、アルキル部分が、前記C1〜C6アルキル基と同義であるアルキルカルボニル基を意味し、たとえば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基などの直鎖または分岐状のアルキルカルボニル基があげられる。
「含窒素複素環」とは、少なくとも1個のNを含む、飽和または不飽和の複素環を表わす。具体例としては、アゼチジン環、ピロリジン環、ピペリジン環、チアゾリジン環、モルフォリン環、チオモルフォリン環、ジヒドロピロール環などがあげられるが、これらに限定されるものではない。置換基の例としては、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、水酸基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基などがあげられる。
【0032】
「置換されていてもよいアリール基」、「置換されていてもよいアラルキル基」、「置換されていてもよいヘテロアリール基」および「置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基」における芳香環上の置換基とは、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、置換されていてもよいC1〜C6アルキル基、置換されていてもよいC1〜C6アルコキシ基、シクロアルキル基、カルボキシル基、C1〜C6アルコキシカルボニル基、−NR2223(式中、R14およびR15は前記と同じ)、および−OCOR13(式中、R13は前記と同じ)などがあげられる。これらは、全ての可能な位置で一個以上置換しうる。
【0033】
「置換されていてもよいC1〜C6アルコキシ基」、「置換されていてもよいアシル基」および「置換されていてもよいC1〜C6アルコキシカルボニル基」における置換基とは、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基およびC1〜C6アルコキシ基などがあげられる。これらは、全ての可能な位置で一個以上置換しうる。
【0034】
前記一般式(I)中のR、RおよびRについて述べるに、環A上に同一の基が2個以上存在する場合、R、RおよびRのうちのいずれが当該同一の基であるとみなしてもよい。
本発明においては、前記一般式(I)中、R、RおよびRの少なくとも1つが水素原子でないピリドン誘導体またはその塩は好ましい。また、かかるピリドン誘導体またはその塩において、環Aがアリールまたはヘテロアリールであるものはより好ましく、環Aがフェニル基であるものはさらにより好ましい。
一般式(I)においてR、RおよびRの位置はとくに限定されない。例えば環Aがフェニル基である場合、R、RおよびRの少なくとも1つが水素原子以外の基であるものは好ましい。また、環Aがフェニル基である場合、R、RおよびRの少なくとも1つが水素原子以外の基であり、かつ当該水素原子以外の基がヒダントイン環(イミダゾリジン−2,4−ジオン環)との結合位置に対して環A上のメタ位のみ、パラ位のみ、またはメタ位およびパラ位に存在するものはそれぞれより好ましい。
一般式(I)におけるRおよびRとして好ましいC1〜C6ハロアルキル基は、C1〜C3ハロアルキル基であり、トリフルオロメチル基はとくに好ましい。
【0035】
上記(2)に記載の発明においては、前記一般式(I)中、環Aが、アリールまたはヘテロアリールであるピリドン誘導体またはその塩は薬理効果などの点から好ましく、なかでも、アリールであるものが特に好ましい。環Aにおけるアリールの好適な例としては、フェニル基があげられる。
【0036】
上記(3)〜(5)に記載の発明においては、前記一般式(I)中、R、RおよびRの1つまたは2つ以上がそれぞれ下記から選択されるピリドン誘導体またはその塩は薬理効果などの点からそれぞれ好ましい:
として、ハロゲン原子、シアノ基、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基または−J1−X1−R5(式中、J1は単結合もしくはアルキレン、X1は単結合、酸素原子もしくは硫黄原子、R5は置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキルアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいヘテロアリール基もしくは置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基);
として、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6アルコキシ基またはC1〜C6アルキル基;および
として、水素原子、フッ素原子またはメチル基である。
上記(3)〜(5)に記載の発明において、環Aがフェニル基であり、R、RおよびRのうちの水素原子以外の基がヒダントイン環との結合位置に対して環A上のメタ位のみ、パラ位のみ、またはメタ位およびパラ位に存在するものはそれぞれより好ましい。
【0037】
上記(6)に記載の発明についてより詳細に述べるに、同発明は、前記一般式(I)中、R、RおよびRがそれぞれ下記から選択されるピリドン誘導体またはその塩は薬理効果などの点からそれぞれより好ましい:
として、ハロゲン原子、シアノ基、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基または−J1−X1−R5(式中、J1は単結合もしくはアルキレン、X1は単結合、酸素原子もしくは硫黄原子、R5は置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキルアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいヘテロアリール基もしくは置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基);
として、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6アルコキシ基またはC1〜C6アルキル基;および
として、水素原子、フッ素原子またはメチル基。
上記(6)に記載の発明において、環Aがフェニル基であり、R、RおよびRのうちの水素原子以外の基がヒダントイン環との結合位置に対して環A上のメタ位のみ、パラ位のみ、またはメタ位およびパラ位に存在するものはそれぞれより好ましい。
【0038】
上記(7)に記載の発明についてより詳細に述べるに、前記一般式(I)中、R、RおよびRがそれぞれ下記から選択されるピリドン誘導体またはその塩は薬理効果などの点からそれぞれより好ましい:
として、ハロゲン原子、シアノ基、メチル基、C1〜C6アルコキシ基または−J1−X1−R5(式中、J1は単結合もしくはアルキレン、X1は単結合、酸素原子もしくは硫黄原子、R5は置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキルアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいヘテロアリール基もしくは置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基);
として、水素原子、ハロゲン原子、メトキシ基またはメチル基;および
として、水素原子、フッ素原子またはメチル基。
上記(7)に記載の発明において、環Aがフェニル基であり、R、RおよびRのうちの水素原子以外の基がヒダントイン環との結合位置に対して環A上のメタ位のみ、パラ位のみ、またはメタ位およびパラ位に存在するものはそれぞれより好ましい。
【0039】
上記(3)〜(5)に記載の発明のうち、(3)に記載の発明にかかるピリドン誘導体またはその塩について以下にさらにより詳細に述べる。
(3’) 上記(3)に記載の発明にかかるピリドン誘導体またはその塩のうち、前記一般式(I)中、R、RおよびRの1つまたは2つ以上がそれぞれ下記から選択されるピリドン誘導体またはその塩も薬理効果などの点からそれぞれより好ましい:
として、ハロゲン原子、シアノ基、メチル基または−J1−X1−R5(式中、J1は単結合もしくはアルキレン、X1は単結合、酸素原子もしくは硫黄原子、R5は置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキルアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいヘテロアリール基もしくは置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基);
として、水素原子、フッ素原子またはメチル基;および
として、水素原子、フッ素原子またはメチル基。上記(3’)に記載の発明において、環Aがフェニル基であり、R、RおよびRのうちの水素原子以外の基がヒダントイン環との結合位置に対して環A上のメタ位のみ、パラ位のみ、またはメタ位およびパラ位に存在するものはそれぞれより好ましい。
【0040】
さらに、上記(3’)に記載の発明にかかるピリドン誘導体またはその塩において、前記一般式(I)中、R、RおよびRがそれぞれ下記から選択されるものは薬理効果などの点からそれぞれさらにより好ましい:
として、ハロゲン原子、シアノ基、メチル基または−J1−X1−R5(式中、J1は単結合もしくはアルキレン、X1は単結合、酸素原子もしくは硫黄原子、R5は置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキルアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいヘテロアリール基もしくは置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基);
として、水素原子、フッ素原子またはメチル基;および
として、水素原子、フッ素原子またはメチル基。
この場合、環Aがフェニル基であり、R、RおよびRのうちの水素原子以外の基がヒダントイン環との結合位置に対して環A上のメタ位のみ、パラ位のみ、またはメタ位およびパラ位に存在するものはそれぞれより好ましい。
【0041】
(3”) 上記(3’)に記載の発明にかかるピリドン誘導体またはその塩のうち、前記一般式(I)中、R、RおよびRの1つまたは2つ以上がそれぞれ下記から選択されるピリドン誘導体またはその塩も薬理効果などの点からそれぞれさらにより好ましい:
が、フッ素原子、メチル基または−J1−X1−R5(式中、J1は単結合もしくはアルキレン、X1は単結合、酸素原子もしくは硫黄原子、R5は置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキルアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいヘテロアリール基もしくは置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基);
が、水素原子、フッ素原子またはメチル基;および
が、水素原子、フッ素原子またはメチル基。
上記(3”)に記載の発明において、環Aがフェニル基であり、R、RおよびRのうちの水素原子以外の基がヒダントイン環との結合位置に対して環A上のメタ位のみ、パラ位のみ、またはメタ位およびパラ位に存在するものはそれぞれより好ましい。
【0042】
さらに、上記(3”)に記載の発明にかかるピリドン誘導体またはその塩において、前記一般式(I)中、R、RおよびRがそれぞれ下記から選択されるものは薬理効果などの点からそれぞれ一層さらにより好ましい:
が、フッ素原子、メチル基または−J1−X1−R5(式中、J1は単結合もしくはアルキレン、X1は単結合、酸素原子もしくは硫黄原子、R5は置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキルアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいヘテロアリール基もしくは置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基);
が、水素原子、フッ素原子またはメチル基;および
が、水素原子、フッ素原子またはメチル基。
この場合、環Aがフェニル基であり、R、RおよびRのうちの水素原子以外の基がヒダントイン環との結合位置に対して環A上のメタ位のみ、パラ位のみ、またはメタ位およびパラ位に存在するものはそれぞれより好ましい。
【0043】
上記(8)に記載の発明においては、前記一般式(I)中、Rがハロゲン原子、シアノ基、C1〜C6ハロアルキル基、C1〜C6アルコキシ基、ヒドロキシメチル基、C1〜C6アルキル基もしくはC2〜C6アルケニル基である前記ピリドン誘導体またはその塩も薬理効果などの点から好ましく、RがC1〜C6アルキル基である前記ピリドン誘導体またはその塩はより好ましく、Rがメチル基である前記ピリドン誘導体またはその塩(上記(9)に記載の発明)はさらにより好ましい。
において、C1〜C6ハロアルキル基としてはトリフルオロメチル基が好ましく、C1〜C6アルコキシ基としてはメトキシ基が好ましい。
上記(8)に記載の発明にかかるピリドン誘導体またはその塩において、環Aがフェニル基であり、R、RおよびRのうちの水素原子以外の基がヒダントイン環との結合位置に対して環A上のメタ位のみ、パラ位のみ、またはメタ位およびパラ位に存在するものはそれぞれより好ましい。
【0044】
上記(1)〜(9)のいずれかに記載のピリドン誘導体またはその塩において、Rが−J1−X1−R5である場合、J1が単結合またはメチレン基であるものは好ましい。
上記(1)〜(9)のいずれかに記載のピリドン誘導体またはその塩において、Rが−J1−X1−R5である場合、X1が単結合または酸素原子であるものは好ましい。
上記各(1)〜(9)のいずれかに記載のピリドン誘導体またはその塩において、Rが−J1−X1−R5である場合、Rが置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキルアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基または置換されていてもよいヘテロアリール基であるものは好ましい。
【0045】
また、本発明においては、前記一般式(I)で表される化合物が以下のものから選択されるピリドン誘導体またはその塩も薬理効果などの点から好ましい。
【化6-1】

【化6-2】

【化6-3】
【0046】
一般式(I)で表される本発明の化合物は、少なくとも1つの不斉炭素が存在するが、そのラセミ体(すなわち個々の光学活性体の混合物)、ジアステレオ異性体または個々の光学活性体のいずれの形態であっても良い。また幾何異性体が存在する場合には(E)体、(Z)体またはその混合物のいずれの形態であっても良い。
また、一般式(I)で表される本発明のピリドン誘導体の塩としては、薬理学的に許容される塩であればとくに制限されず、たとえば、無機塩基との塩、有機塩基との塩などがあげられる。無機塩基との塩の例としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩などのアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩などがあげられる。有機塩基との塩の例としては、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、エタノールアミン塩、シクロヘキシルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、ジベンジルエタノールアミン塩、ベンジルアミン塩、2−メチルベンジルアミン塩、α−メチルベンジルアミン塩、ブルシン塩、キニーネ塩、キニジン塩、シンコニン塩、シンコニジン塩、アルギニン塩などがあげられる。
【0047】
つぎに、本発明のピリドン誘導体である一般式(I)で表わされる化合物の製造方法について述べるに、同化合物は、種々の方法で製造できるところ、例えば以下に示す製造方法により、効率よく製造することができる。
以下の製造方法において使用される「保護基」の具体例としては、水酸基またはカルボキシル基の保護基として、tert−ブチル基、ベンジル基、o−メチルベンジル基、p−ニトロベンジル基、p−メトキシベンジル基、o−クロロベンジル基、2,4−ジクロロベンジル基、p−ブロモベンジル基、アリル基、tert−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、o−メチルベンジルオキシカルボニル基、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基、o−クロロベンジルオキシカルボニル基、2,4−ジクロロベンジルオキシカルボニル基、p−ブロモベンジルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、メトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基などがあげられ、カルボニル基の保護基として、たとえばエタンジオール、プロパンジオール、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、エタンジチオール、プロパンジチオールなどから誘導される保護基があげられる。
【0048】
一般式(I)で表される化合物は、下記のスキーム1(工程1〜2)に示される方法により製造することができる。
【化7】

(式中、A、R、R、RおよびRは前記と同じ;Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基またはメタンスルホニルオキシ基)
【0049】
<工程1>
工程1においては、一般式(II)で表される化合物と一般式(III)で表される化合物を塩基の存在下反応し、一般式(IV)で表される化合物を製造する。一般式(III)で表される化合物の代わりに、一般式(III)で表される化合物の互変異性体である一般式(V)
【化8】

で表される化合物を用いても同様に製造することができる。好適な塩基としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウムまたは水素化ナトリウムなどがあげられる。反応を円滑に行うために添加物を共存させてもよく、添加物として、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、テトラブチルアンモニウムヨージド、臭化カリウム、臭化ナトリウムまたはテトラブチルアンモニウムブロミドなどを加えることができる。反応溶媒としては、反応を著しく阻害しない溶媒であればとくに限定されないが、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、2−メトキシエタノールまたはそれらの混合溶媒などが好ましい。また、反応溶媒として水を添加することもできる。添加量は特に限定されず、例えば、10%以下が好ましい。反応温度はとくに限定されず、たとえば室温〜60℃が好ましい。反応時間は、1時間〜2日間が好ましい。
【0050】
<工程2>
工程2においては、化合物(II)を塩存在下、シアン化物との反応を経て化合物(I)を製造する。好適な塩としては、炭酸アンモニウムまたは炭酸水素アンモニウムなどがあげられる。好適なシアン化物としては、シアン化カリウムまたはシアン化ナトリウムなどがあげられる。反応溶媒としては、反応を著しく阻害しない溶媒であればとくに限定されないが、水、アンモニア水、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミドまたはそれらの混合溶媒などが好ましい。反応温度はとくに限定されず、たとえば50℃〜120℃が好ましい。反応時間は、1時間〜10日間が好ましい。本工程において得られる一般式(I)で表される化合物は、反応終了後の処理方法次第で、その塩の形態として得ることもできる。
【0051】
前記化合物(IV)は、下記のスキーム2(工程3〜工程7)に示される方法によっても製造することができる。
【化9】
【0052】
(式中、A、R、R、RおよびRは前記と同じ;Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基またはメタンスルホニルオキシ基;Yは
【化10】

などのアミン誘導体基;Pは保護基;MはMgBr、MgCl、Li、ZnBrまたはZnCl)
【0053】
<工程3>
工程3においては、一般式(III)で表される化合物と一般式(VI)で表される化合物を塩基の存在下反応し、一般式(VII)で表される化合物を製造する。一般式(III)で表される化合物の代わりに、一般式(III)で表される化合物の互変異性体である一般式(V)
【化11】

で表される化合物を用いても同様に製造することができる。好適な塩基としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウムまたは水素化ナトリウムなどがあげられる。反応を円滑に行うために添加物を共存させてもよく、添加物として、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、テトラブチルアンモニウムヨージド、臭化カリウム、臭化ナトリウムまたはテトラブチルアンモニウムブロミドなどを加えることができる。反応溶媒としては、反応を著しく阻害しない溶媒であればとくに限定されないが、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、2−メトキシエタノールまたはそれらの混合溶媒などが好ましい。反応温度はとくに限定されず、たとえば室温〜60℃が好ましい。反応時間は、1時間〜2日間が好ましい。
【0054】
<工程4>
工程4においては、一般式(VII)で表される化合物(II)を無機塩基水溶液の存在下に加水分解して、化合物(VIII)を製造する。好適な無機塩基水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液または水酸化リチウム水溶液などがあげられる。反応溶媒としては、反応を著しく阻害しない溶媒であればとくに限定されないが、水、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンまたはそれらの混合溶媒などが好ましい。反応温度はとくに限定されず、例えば室温〜60℃が好ましい。反応時間は、1〜96時間が好ましい。本工程において得られる一般式(VIII)で表される化合物の形態は、カルボン酸、カルボン酸ナトリウム、カルボン酸カリウム、カルボン酸リチウム、無機塩(塩化ナトリウム、塩化カリウムまたは塩化リチウム)とカルボン酸との混合物などである。
【0055】
<工程5>
工程5においては、工程4で得られた化合物(VIII)を活性化されたカルボン酸誘導体とし、アミンまたはその塩と反応し、化合物(IX)で表される化合物を製造する。活性化されたカルボン酸誘導体としては、例えば、カルボン酸を塩化チオニル、オキシ塩化リン、五塩化リン、塩化オキサリル、臭化チオニル等で処理することにより得られる酸ハロゲン化物;1−エチル−3’−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩またはジシクロへキシルカルボジイミド等の縮合剤で縮合することにより得られる活性エステル;カルボン酸をクロロ炭酸エチル、ピバロイルクロリド、クロロ炭酸イソブチル等と反応させることにより得られる混合酸無水物等があげられる。また、上記反応においては、必要に応じて塩基を共存させることができる。塩基としては、例えば、トリエチルアミン、tert−ブチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン等の有機アミンがあげられ、好ましくはトリエチルアミン、ピリジンまたはN−メチルモルホリンである。反応溶媒としては、反応を著しく阻害しない溶媒であればとくに限定されないが、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジクロロメタンまたはクロロホルムなどが好ましい。反応温度はとくに限定されず、たとえば0℃〜60℃が好ましい。反応時間は、1〜96時間が好ましい。
【0056】
<工程6>
工程6においては、工程5で得られた化合物(IX)と一般式(X)で表される化合物を反応させて化合物(II)を製造する。化合物(X)としては、一般式(XI)で表される化合物をノルマルブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムなどの塩基を用い、ハロメタル交換により調製したリチウム試薬;マグネシウムやイソプロピルマグネシウムブロミドまたはイソプロピルマグネシウムクロリドなどにより調製したグリニャール試薬;活性化した亜鉛、臭化亜鉛または塩化亜鉛などにより調製した亜鉛試薬などがあげられる。反応溶媒としては、反応を著しく阻害しない溶媒であればとくに限定されないが、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサンまたはジメトキシエタンなどが好ましい。反応温度はとくに限定されず、たとえば−100℃〜室温が好ましい。反応時間は、1〜24時間が好ましい。
【0057】
<工程7>
工程7においては、工程6にして、一般式(VII)で表される化合物と一般式(X)で表される化合物を反応させて化合物(II)を製造する。
【0058】
また、前記化合物(II)は、以下に示すように、スキーム3(工程8〜10)に示される方法によって製造することができる。
【化12】

(式中、A、R、R、RおよびRは前記と同じ;Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基またはメタンスルホニルオキシ基)
【0059】
<工程8>
工程8においては、一般式(XII)で表される化合物を、一般式(XIV)で表される中間体と反応し、化合物(II)を製造する。中間体(XIV)は、酸ハライドとルイス酸から得られる活性中間体;酸無水物とルイス酸から得られる活性中間体;カルボン酸と脱水剤から得られる活性中間体があげられる。酸ハライドとしては、クロロアセチルクロリド、クロロアセチルブロミド、ブロモアセチルブロミド、ブロモアセチルクロリドまたはヨードアセチルクロリドなどがあげられる。酸無水物としては、クロロ酢酸無水物、ブロモ酢酸無水物またはヨード酢酸無水物などがあげられる。カルボン酸としては、クロロ酢酸、ブロモ酢酸またはヨード酢酸などがあげられる。ルイス酸としては、塩化アルミニウム、塩化亜鉛などがあげられる。脱水剤としては、五酸化リンなどがあげられる。反応溶媒としては、反応を著しく阻害しない溶媒であればとくに限定されないが、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどが好ましく、反応溶媒を用いなくてもよい。反応温度はとくに限定されず、たとえば0℃〜100℃が好ましい。反応時間は、1〜24時間が好ましい。
【0060】
<工程9>
工程9においては、一般式(XII)で表される化合物を、一般式(XV)で表される中間体と反応し、化合物(XIII)を製造する。中間体(XV)は、酢酸ハライドとルイス酸から得られる活性中間体;酢酸無水物とルイス酸から得られる活性中間体;酢酸と脱水剤から得られる活性中間体があげられる。酢酸ハライドとしては、塩化アセチル、臭化アセチルまたはヨウ化アセチルなどがあげられる。ルイス酸としては、塩化アルミニウム、塩化亜鉛などがあげられる。脱水剤としては、五酸化リンなどがあげられる。反応溶媒としては、反応を著しく阻害しない溶媒であればとくに限定されないが、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどが好ましく、反応溶媒を用いなくてもよい。反応温度はとくに限定されず、たとえば0℃〜100℃が好ましい。反応時間は、1〜24時間が好ましい。
【0061】
<工程10>
工程10においては、一般式(XIII)で表される化合物を、ハロゲン化剤と反応し、化合物(II)を製造する。ハロゲン化剤としては、N−クロロコハク酸、N−ブロモコハク酸、N−ヨードコハク酸またはベンジルトリメチルアンモニウムトリブロミドなどがあげられる。反応に適当な酸を用いることで反応が促進される。反応溶媒としては、反応を著しく阻害しない溶媒であればとくに限定されないが、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどが好ましい。反応温度はとくに限定されず、たとえば0℃〜100℃が好ましい。反応時間は、1〜72時間が好ましい。
【0062】
前述した方法で製造される本発明化合物は遊離化合物、その塩、その水和物もしくはエタノール和物などの各種溶媒和物または結晶多形の物質として単離精製される。本発明化合物の薬理学的に許容される塩は常法の造塩反応により製造することができる。単離精製は抽出分別、結晶化、各種分画クロマトグラフィーなどの化学操作を適用して行われる。また、光学異性体は適当な原料化合物を選択することにより、またはラセミ体から常法の光学分割により立体化学的に純粋な異性体として得ることができる。
【0063】
本発明のピリドン誘導体またはその塩は、優れた選択的TACE阻害作用を示し、医薬の有効成分として用いることができる。したがって本発明は、本発明のピリドン誘導体またはその塩を有効成分として含む医薬にも関するところ、本発明の医薬は、有効成分たる上記ピリドン誘導体またはその塩のTACE阻害作用に基づき、可溶型TNF−αの産生抑制剤としてとくに有用であり、TNF−αに起因する種々の疾患の予防または治療剤としてもまたとくに有用である。当該種々の疾患としてたとえば、関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、ループス腎炎、全身性強皮症、限局性強皮症、シェーグレン症候群、多発性筋炎、皮膚筋炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、ベーチェット病、多発性硬化症、動脈硬化症、重症筋無力症、強直性脊椎炎、糖尿病、動脈硬化症、敗血症、急性感染症、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、乾癬、ざ瘡、骨粗鬆症、火傷、器官又は組織移植に伴う拒絶の発症、発熱、貧血、ガン疾患、歯周病、緑内障、糖尿病性の合併症、ブドウ膜炎などがあげられる。さらに、本発明のピリドン誘導体またはその塩は、後述する試験例3および4に示されるように経皮投与によっても優れた薬理効果や経皮吸収性を示すことから、本発明の医薬は、上記TNF−αが関与する疾患の中で皮膚に症状が現れる疾患すなわち皮膚疾患に対する予防または治療剤としてとりわけ有用である。当該皮膚疾患としてたとえば、限局性強皮症、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、乾癬、ざ瘡などがあげられる。
【0064】
本発明のピリドン誘導体またはその塩を含有する医薬は、全身的または局所的に、経口、経皮、経鼻、経気道、経肺、点眼、静脈内注射、皮下注射、直腸内投与などの方法で投与される。また当該医薬の剤形は、投与経路に応じて適宜選択することができ、たとえば、錠剤、トローチ剤、舌下錠、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、散剤、顆粒剤、液剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ローション剤、ゲル剤、ゼリー剤、懸濁剤、シロップ剤、点眼剤、点鼻剤、吸入剤、坐剤、注射剤などがあげられる。またこれらの製剤には、賦形剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、安定化剤、溶解補助剤などを配合し製造することができる。
【0065】
本発明のピリドン誘導体またはその塩を含有する医薬の投与量は、投与対象、投与ルート、症状などの条件によって適宜決定すればよい。たとえば、成人の患者に対して経口投与する場合、有効成分である本化合物を通常1回量として、約0.1〜100mg/kg、好ましくは1〜40mg/kgの範囲であればよく、1日1〜3回投与するのが好ましい。また、たとえば、成人の患者に対して外用剤として皮膚に塗布する場合、有効成分である本発明の化合物は通常1日量として、約1〜約100000μg/cm、好ましくは約10〜約10000μg/cmの範囲で塗布すればよく、1日1回もしくは数回に分けて塗布するのが好ましい。
【実施例】
【0066】
以下に実施例と試験例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
なお、以下に示す1H−NMRスペクトルは、重クロロホルム(CDCl)または重ジメチルスルホキシド(DMSO−d)を溶媒とし、テトラメチルシラン(TMS)を内部標準として、JNM−ECA400型スペクトルメーター(400MHz、日本電子(株)製)で測定した。化学シフトの測定結果は、δ値をppmで示し、結合定数のJ値をHzで示した。略号のsはsinglet、dはdoublet、tはtriplet、qはquartet、mはmultiplet、brはbroadを意味する。質量スペクトル(エレクトロスプレーイオン化法:ESI-MS)測定には、サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製Exactiveを使用した。
【0067】
実施例1
5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]−5−フェニルイミダゾリジン−2,4−ジオン(I−2)の製造
【化13】
【0068】
工程1
3−メチル−2−ピリドン(III-1)(5.0g、45.8mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(91mL)溶液に、60%水素化ナトリウム(1.8g、45.8mmol)を加え、室温で10分間撹拌した。反応液に臭化フェナシル(II-1)(9.1g、45.8mmol)を加え、室温で1.5時間撹拌した。反応液に水をゆっくり加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、化合物(IV-1)(500mg、2.2mmol)を黄色固体として得た。
【0069】
工程2
前記化合物(IV-1)(7.0g、30.8mmol)、シアン化カリウム(2.7g、41.5mmol)及び炭酸アンモニウム(11.8g、123mmol)のエタノール(30mL)および水(30mL)懸濁液を密閉し、90℃で89時間撹拌した。放冷後、反応溶液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去した後、クロロホルムを加え、ろ取し、クロロホルムで洗浄し、乾燥することで、化合物(I-1)(収量1.14g、収率26%)を黄色固体として得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3) δ: 2.12 (3H, s), 4.28 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.85 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.08 (1H, t, J=6.8 Hz), 7.14 (1H, dd, J=1.4, 6.8 Hz), 7.21 (1H, dd, J=1.4, 6.8 Hz), 7.37-7.44 (3H, m), 7.63-7.66 (2H, m), 8.35 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z : 298 [M+H]+.
【0070】
実施例2
5−(4−メトキシフェニル)−5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−2)の製造
【化14】
【0071】
工程1
前記化合物(III-1)(227mg、2.1mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(10mL)に、炭酸セシウム(745mg、2.3mmol)と4’−メトキシフェナシルブロミド(II-2)(500mg、2.2mmol)を加え、室温で3.5時間撹拌した。氷冷下にて水を加えて反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、化合物(IV-2)(収量440mg、収率82%)を薄黄色固体として得た。
【0072】
工程2
前記化合物(IV-2)(436mg、1.7mmol)、シアン化カリウム(132mg、2.0mmol)及び炭酸アンモニウム(651mg、6.8mmol)のエタノール懸濁液(1.5mL)に、水(1.5mL)を加え密閉し、100℃で45時間撹拌した。放冷後、反応溶液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去することで、化合物(I-2)(収量370mg、収率67%)を淡黄色固体として得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.00 (3H, s), 3.76 (3H, s), 4.44 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.55 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.11 (1H, t, J=6.9 Hz), 6.98 (2H, td, J=2.5, 9.2 Hz), 7.20-7.31 (2H, m), 7.53 (2H, td, J=2.5, 9.2 Hz), 8.42 (1H, s), 10.80 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 328 [M+H]+.
【0073】
実施例3
4−{4−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]−2,5−ジオキソイミダゾリジン−4−イル}ベンゾニトリル(I−3)の製造
【化15】
【0074】
工程1
前記化合物(III-1)(232mg、2.1mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)溶液に、炭酸セシウム(762mg、2.4mmol)及び4’−シアノフェナシルブロミド(II-3)(500mg、2.2mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。氷冷下にて水を加えて反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製することで、化合物(IV-3)(収量440mg、収率82%)を薄黄色固体として得た。
【0075】
工程2
前記化合物(I-2)と同様な製造方法により、前記化合物(IV-3)から化合物(I-3)(収量35mg、収率10%)を淡黄色固体として得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.98 (3H, s), 4.47 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.67 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.13 (1H, t, J=6.7 Hz), 7.25-7.31 (2H, m), 7.80-7.86 (2H, m), 7.90-7.97 (2H, m), 8.74 (1H, s), 11.01 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 323 [M+H]+.
【0076】
実施例4
5−(3−メトキシフェニル)−5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−4)の製造
【化16】

前記化合物(IV-3)と同様な製造方法により、前記化合物(III-1)と化合物(II-4)から化合物(IV-4)(収量496mg、収率93%)を黄色油状物として得た。
前記化合物(I-2)と同様な製造方法により、前記化合物(IV-4)から化合物(I-4)(収量425mg、収率67%)を淡黄色固体として得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.00 (3H, s), 3.78 (3H, s), 4.47 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.59 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.11 (1H, t, J=6.9 Hz), 6.95 (1H, ddd, J=0.9, 2.3, 8.2 Hz), 7.18-7.26 (3H, m), 7.29 (1H, m), 7.35 (1H, t, J=8.0 Hz), 8.58 (1H, s), 10.85 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 328 [M+H]+.
【0077】
実施例5
5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]−5−(チオフェン−3−イル)イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−5)の製造
【化17】
【0078】
工程1
前記化合物(III-1)(253mg、2.3mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(10mL)に、60%水素化ナトリウム(102mg、2.6mmol)を加えた後、3−(ブロモアセチル)チオフェン(II-5)(500mg、2.4mmol)を加え、室温で16時間撹拌した。氷冷下にて水を加えて反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、化合物(IV-5)(収量371mg、収率69%)を得た。
【0079】
工程2
前記化合物(I-2)と同様な製造方法により、前記化合物(IV-5)から化合物(I-5)(収量270mg、収率56%)を淡黄色固体として得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.00 (3H, s), 4.48 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.53 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.10 (1H, t, J=6.9 Hz), 7.21 (1H, dd, J=1.4, 6.9 Hz), 7.25-7.32 (2H, m), 7.59-7.64 (2H, m), 8.58 (1H, s), 10.87 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 304 [M+H]+.
【0080】
実施例6
5−(ベンゾフラン−2−イル)−5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−6)の製造
【化18】
【0081】
工程1
前記化合物(III-1)(217mg、2.0mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(10mL)に、60%水素化ナトリウム(88mg、2.2mmol)を加えた後、2−(2−ブロモアセチル)ベンゾフラン(II-6)(500mg、2.1mmol)を加え、室温で16時間撹拌した。氷冷下にて水を加えて反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製し、化合物(IV-6)(収量115mg、収率22%)を得た。
【0082】
工程2
前記化合物(I-2)と同様な製造方法により、前記化合物(IV-6)から化合物(I-6)(収量58mg、収率40%)を無色固体として得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.99 (3H, s), 4.71 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.79 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.14 (1H, t, J=6.9 Hz), 7.14 (1H, d, J=0.9 Hz), 7.26-7.33 (3H, m), 7.36 (1H, dt, J=1.4, 7.3 Hz), 7.62 (1H, d, J=8.2 Hz), 7.68 (1H, d, J=7.8 Hz), 8.65 (1H, s), 11.10 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 338 [M+H]+.
【0083】
実施例7
5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]−5−(ピリジン−2−イル)イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−7)の製造
【化19】
【0084】
工程1
前記化合物(III-1)(370mg、3.4mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(10mL)に、60%水素化ナトリウム(339mg、8.5mmol)を加えた後、2−(ブロモアセチル)ピペリジン臭化水素塩(II-7)(1.0g、3.6mmol)を加え、室温で4.5時間撹拌した。氷冷下にて水を加えて反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製し、化合物(IV-7)(収量70mg、収率9.1%)を得た。
【0085】
工程2
前記化合物(IV-7)(70mg、0.31mmol)、シアン化カリウム(24mg、0.37mmol)及び炭酸アンモニウム(118mg、1.22mmol)のエタノール懸濁液(0.3mL)に、水(0.3mL)を加え密閉し、100℃で65時間撹拌した。放冷後、減圧下で溶媒を留去し、メタノールを加え析出した固体をろ過により除去した。減圧下ろ液の溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製し、化合物(I-7)(収量35mg、収率38%)を無色固体として得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.99 (3H, s), 4.73 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.83 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.11 (1H, t, J=6.9 Hz), 7.25-7.34 (2H, m), 7.43 (1H, ddd, J=0.9, 5.0, 7.8 Hz), 7.53 (1H, d, J=7.8 Hz), 7.90 (1H, dt, J=1.8, 7.8 Hz), 8.40 (1H, s), 8.65 (1H, m), 10.88 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 299 [M+H]+.
【0086】
実施例8
5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]−5−(ピリジン−3−イル)イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−8)の製造
【化20】
【0087】
工程1
前記化合物(IV-7)と同様な製造方法により、前記化合物(III-1)と3−(ブロモアセチル)ピリジン臭化水素酸塩化合物(II-8)から化合物(IV-8)(収量469mg、収率61%)を得た。
【0088】
工程2
前記化合物(IV-8)(469mg、2.1mmol)、シアン化カリウム(160mg、2.5mmol)及び炭酸アンモニウム(789mg、8.2mmol)のエタノール懸濁液(1mL)に、水(1mL)を加え密閉し、100℃で65時間撹拌した。放冷後、減圧下で溶媒を留去し、メタノールを加え析出した固体をろ過により除去した。減圧下ろ液の溶媒を留去し、少量のクロロホルムに溶解した後、ヘキサンを加え析出した固体をろ取した。固体をクロロホルムで洗浄することで、化合物(I-8)(収量295mg、収率48%)を無色固体として得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.98 (3H, s), 4.52 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.66 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.13 (1H, t, J=6.9 Hz), 7.29 (2H, dd, J=0.9, 6.4 Hz), 7.46 (1H, m), 8.00 (1H, m), 8.58 (1H, dd, J=1.6, 4.8 Hz), 8.81 (1H, s), 8.82 (1H, d, J=1.8 Hz), 11.07 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 299 [M+H]+.
【0089】
実施例9
5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]−5−(4−フェノキシフェニル)イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−9)の製造
【化21】
【0090】
工程1
4’−フェノキシアセトフェノン(XIII-1)(1.0g、4.7mmol)のテトラヒドロフラン溶液(5mL)に、フェニルトリメチルアンモニウムトリブロミド(1.8g、4.7mmol)を加え、室温で14時間撹拌した後、8時間加熱還流した。放冷後、反応溶液を水で希釈し酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製することで、化合物(II-9)(収量1.0g、収率69%)を得た。
【0091】
工程2
前記化合物(IV-3)と同様な製造方法により、前記化合物(III-1)と前記化合物(II-9)から化合物(IV-9)(収量218mg、収率42%)を得た。
工程3
前記化合物(IV-9)(218mg、0.68mmol)、シアン化カリウム(53mg、0.82mmol)及び炭酸アンモニウム(262mg、2.73mmol)のエタノール懸濁液(0.7mL)に、水(0.7mL)を加え密閉し、100℃で66時間撹拌した。放冷後、反応溶液を水で希釈し析出した固体をろ取した。水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製することで、化合物(I-9)(収量160mg、収率58%)を無色固体として得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.00 (3H, s), 4.46 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.61 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.12 (1H, t, J=6.6 Hz), 6.99-7.09 (4H, m), 7.17 (1H, m), 7.23-7.32 (2H, m), 7.37-7.44 (2H, m), 7.63 (2H, td, J=2.5, 9.2 Hz), 8.60 (1H, s), 10.87 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 390 [M+H]+.
【0092】
実施例10
5−(3,4−ジフルオロフェニル)−5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−10)の製造
【化22】
【0093】
工程1
前記化合物(III-1)(133mg、1.2mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(10mL)に、炭酸セシウム(436mg、1.3mmol)と3’,4’−ジフルオロフェナシルブロミド(II-10)(300mg、1.3mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。反応溶液を水で希釈し、析出した固体をろ取した。水で洗浄することで、化合物(IV-10)(収量206mg、収率64%)を黄色固体として得た。
【0094】
工程2
前記化合物(IV-10)(206mg、0.78mmol)、シアン化カリウム(61mg、0.94mmol)及び炭酸アンモニウム(301mg、3.13mmol)のエタノール懸濁液(0.8mL)に、水(0.8mL)を加え密閉し、100℃で67時間撹拌した。放冷後、反応液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。残渣にクロロホルムを加え、析出した固体をろ取することで、化合物(I-10)(収量119mg、収率46%)を無色固体として得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.98 (3H, s), 4.46 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.61 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.13 (1H, t, J=6.9 Hz), 7.22-7.33 (2H, m), 7.45-7.58 (2H, m), 7.69 (1H, ddd, J=2.3, 7.8, 12.4 Hz), 8.66 (1H, s), 10.99 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 334 [M+H]+.
【0095】
実施例11
5−(4−ブロモフェニル)−5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−11)の製造
【化23】
【0096】
工程1
前記化合物(III-1)(250mg、2.3mmol)のジメチルスルホキシド溶液(4.6mL)に、炭酸カリウム(791mg、5.7mmol)と4’−ブロモフェナシルブロミド(II-11)(636mg、2.3mmol)を加え、室温で撹拌した。TLCにより反応の完結を確認後、反応溶液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製することで、化合物(IV-11)(収量553mg、収率79%)を得た。
【0097】
工程2
前記化合物(IV-11)(300mg、0.98mmol)、シアン化カリウム(77mg、1.18mmol)及び炭酸アンモニウム(377mg、3.92mmol)のエタノール懸濁液(0.98mL)に、水(0.98mL)を加え密閉し、100℃で48時間撹拌した。放冷後、反応液に水を加え析出した固体をろ取し、クロロホルムで洗浄することで、化合物(I-11)(収量230mg、収率62%)を得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.99 (3H, s), 4.45 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.62 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.12 (1H, t, J=6.7 Hz), 7.27 (2H, dd, J=6.9, 13.7 Hz), 7.58 (2H, d, J=8.7 Hz), 7.65 (2H, d, J=8.7 Hz), 8.65 (1H, s), 10.92 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 376, 378 [M+H]+.
【0098】
実施例12
5−(4−フルオロ−3−メトキシフェニル)−5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−12)の製造
【化24】
【0099】
工程1
前記化合物(IV-10)と同様な製造方法により、前記化合物(III-1)と4’−フルオロ−3’−メトキシアセトフェノン化合物(II-12)から化合物(IV-12)(収量153mg、収率48%)を得た。
【0100】
工程2
前記化合物(IV-12)(153mg、0.56mmol)、シアン化カリウム(43mg、0.67mmol)及び炭酸アンモニウム(213mg、2.22mmol)のエタノール懸濁液(1.0mL)に、水(1.0mL)を加え密閉し、100℃で66時間撹拌した。放冷後、反応溶液に水を加え析出した固体をろ取し、水で洗浄することで、化合物(I-12)(収量129mg、収率67%)を無色固体として得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.99 (3H, s), 3.85 (3H, s), 4.45 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.57 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.12 (1H, t, J=6.9 Hz), 7.20-7.26 (2H, m), 7.29 (1H, m), 7.39 (1H, m), 7.48 (1H, dd, J=2.3, 12.8 Hz), 8.59 (1H, s), 10.90 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 346 [M+H]+.
【0101】
実施例13
5−[4−(メトキシメトキシ)フェニル]−5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−13)の製造
【化25】
【0102】
工程1
氷冷下、4’−ヒドロキシアセトフェノン(XIII-2)(2.0g、14.6mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(5.1mL、29.4mmol)のジクロロメタン溶液中に、メトキシメチルクロリド(1.3mL、17.6mmol)を滴下し室温で14時間撹拌した。減圧下で溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製することで、化合物(XIII-3)(収量2.7g、収率99%)を無色油状物として得た。
【0103】
工程2
氷冷下、前記化合物(XIII-3)(2.7g、15.0mmol)のテトラヒドロフラン溶液(30mL)に、フェニルトリメチルアンモニウムトリブロミド(5.6g、15.0mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製することで、化合物(II-13)(収量312mg、収率8.0%)を得た。
工程3
前記化合物(II-3)と同様な製造方法により、前記化合物(III-1)と前記化合物(II-13)から化合物(IV-13)(収量147mg、収率45%)を得た。
【0104】
工程4
前記化合物(I-12)と同様な製造方法により、前記化合物(IV-13)から化合物(I-13)(収量38mg、収率26%)を黄色固体として得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.00 (3H, s), 3.37 (3H, s), 4.45 (1H, d, J= 13.7 Hz), 4.58 (1H, d, J=13.7 Hz), 5.21 (2H, s), 6.11 (1H, t, J=6.9 Hz), 7.07 (2H, td, J=2.5, 8.7 Hz), 7.22-7.31 (2H, m), 7.54 (2H, td, J=2.5, 8.7 Hz), 8.52 (1H, s), 10.81 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 358 [M+H]+.
【0105】
実施例14
5−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−14)の製造
【化26】
【0106】
工程1
前記化合物(IV-5)と同様な製造方法により、前記化合物(III-1)と3’−フルオロ−4’−メトキシアセトフェノン化合物(II-14)から化合物(IV-14)(収量239mg、収率75%)を得た。
【0107】
工程2
前記化合物(IV-14)(237mg、0.86mmol)、シアン化カリウム(67mg、1.03mmol)及び炭酸アンモニウム(331mg、3.44mmol)のエタノール懸濁液(950μL)に、28%アンモニア水(950μL)を加え密閉し、100℃で64時間撹拌した。放冷後、反応溶液を水で希釈した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製することで、化合物(II-14)(収量98mg、収率33%)を黄色固体として得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.00 (3H, s), 3.86 (3H, s), 4.49 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.57 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.12 (1H, t, J=6.9 Hz), 7.18-7.31 (4H, m), 7.41 (1H, dd, J=1.8, 8.2 Hz), 8.63 (1H, s), 10.91 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 346 [M+H]+.
【0108】
実施例15
5−(4−フルオロフェニル)−5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−15)の製造
【化27】
【0109】
工程1
前記化合物(III-1)(2.1g、19.1mmol)のアセトン溶液(30mL)に、炭酸カリウム(3.1g、22.6mmol)と4’−フルオロフェナシルクロリド(II-15)(3.0g、17.4mmol)を加え、19時間加熱還流した。放冷後、反応溶液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製することで、化合物(IV-15)(収量2.6g、収率61%)を得た。
【0110】
工程2
前記化合物(IV-15)(200mg、0.82mmol)、シアン化カリウム(64mg、0.98mmol)及び炭酸アンモニウム(313mg、3.26mmol)のエタノール懸濁液(0.8mL)に、28%アンモニア水溶液(0.8mL)を加え密閉し、100℃で64時間撹拌した。放冷後、反応溶液を水で希釈し析出した固体をろ取し、水で洗浄することで、化合物(I-15)(収量178mg、収率69%)を無色固体として得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.99 (3H, s), 4.45 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.61 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.11 (1H, t, J=6.9 Hz), 7.23-7.31 (4H, m), 7.64-7.71 (2H, m), 8.62 (1H, s), 10.89 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 316 [M+H]+.
【0111】
実施例16
5−(3,4−ジメトキシフェニル)−5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−16)の製造
【化28】
【0112】
工程1
前記化合物(III-1)と同様な製造方法により、化合物(III-1)と2−ブロモ−1−(3,4−ジメトキシフェニル)エタノン(II-16)から化合物(IV-16)(収量231mg、収率73%)を無色固体として得た。
【0113】
工程2
前記化合物(IV-16)(230mg、0.80mmol)、シアン化カリウム(83mg、0.98mmol)及び炭酸アンモニウム(308mg、3.20mmol)のエタノール懸濁液(0.8mL)に、28%アンモニア水溶液(0.8mL)を加え密閉し、100℃で65時間撹拌した。放冷後、減圧下で溶媒を留去し、メタノールを加え析出した固体をろ過により除去した。減圧下ろ液の溶媒を留去し、少量のクロロホルムに溶解した。ヘキサンを加え析出した固体をろ取した後、クロロホルムで洗浄することで、化合物(I-16)(収量46mg、収率16%)を無色固体として得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.00 (3H, s), 3.75 (3H, s), 3.78 (3H, s), 4.48 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.54 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.11 (1H, t, J=6.6 Hz), 6.99 (1H, d, J=8.7 Hz), 7.15 (1H, dd, J=2.1, 8.7 Hz), 7.19-7.32 (3H, m), 8.55 (1H, s), 10.80 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 358 [M+H]+.
【0114】
実施例17
5−[4−(tert−ブチル)フェニル]−5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−17)の製造
【化29】
【0115】
工程1
前記化合物(III-1)(330mg、3.0mmol)のジメチルスルホキシド溶液(5.5mL)に炭酸カリウム(950mg、6.9mmol)と4’−tert−ブチルフェナシルクロリド(II-17)(300mg、2.7mmol)を加え、室温で撹拌した。TLCにより反応の完結を確認後、反応溶液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製することで、化合物(IV-17)(収量723mg、収率93%)を得た。
【0116】
工程2
前記化合物(IV-17)(300mg、1.1mmol)、シアン化カリウム(83mg、1.3mmol)及び炭酸アンモニウム(407mg、4.2mmol)のエタノール懸濁液(1.1mL)に、28%アンモニア水溶液(1.1mL)を加え密閉し、100℃で64時間撹拌した。放冷後、反応溶液を水で希釈し析出した固体をろ取し、クロロホルムで洗浄することで、化合物(I-17)(収量301mg、収率80%)を得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.28 (9H, s), 2.00 (3H, s), 4.45 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.61 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.12 (1H, t, J=6.9 Hz), 7.24-7.31 (2H, m), 7.45 (2H, d, J=8.2 Hz), 7.54 (2H, d, J=8.7 Hz), 8.52 (1H, s), 10.79 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 354 [M+H]+.
【0117】
実施例18
5−(2,4−ジメトキシフェニル)−5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−18)の製造
【化30】
【0118】
工程1
前記化合物(IV-11)と同様な製造方法により、前記化合物(III-1)と2’,4’−ジメトキシフェナシルブロミド(II-18)から化合物(IV-18)(収量594mg、収率90%)を得た。
【0119】
工程2
前記化合物(IV-18)(300mg、1.0mmol)、シアン化カリウム(82mg、1.3mmol)及び炭酸アンモニウム(401mg、4.2mmol)のエタノール懸濁液(1.0mL)に、28%アンモニア水溶液(1.0mL)を加え密閉し、100℃で64.25時間撹拌した。放冷後、減圧下で溶媒を留去し、残渣にメタノールを加え析出した固体をろ過により除去した。減圧下ろ液の溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製することで、化合物(I-18)(収量285mg、収率76%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.99 (3H, s), 3.76 (3H, s), 3.78 (3H, s), 4.36 (1H, d, J=13.3 Hz), 4.86 (1H, d, J=13.3 Hz), 6.11 (1H, t, J=6.9 Hz), 6.55 (1H, dd, J=2.3, 8.7 Hz), 6.64 (1H, d, J=2.3 Hz), 7.21 (1H, d, J=6.9 Hz), 7.28 (1H, d, J=6.4 Hz), 7.40 (1H, d, J=8.7 Hz), 7.66 (1H, s), 10.68 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 358 [M+H]+.
【0120】
実施例19
5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]−5−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−19)の製造
【化31】
【0121】
工程1
前記化合物(IV-3)と同様な製造方法により、前記化合物(III-1)と3’−(トリフルオロメチル)フェナシルブロミド(II-19)から化合物(IV-19)(収量355mg、収率64%)を得た。
【0122】
工程2
前記化合物(I-18)と同様な製造方法により、前記化合物(IV-19)から化合物(I-19)(収量207mg、収率56%)を得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.97 (3H, s), 4.50 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.67 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.13 (1H, t, J=6.9 Hz), 7.29 (2H, d, J=6.9 Hz), 7.69 (1H, t, J=8.0 Hz), 7.77 (1H, d, J=7.3 Hz), 7.92-8.02 (2H, m), 8.76 (1H, s), 11.00 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 366 [M+H]+.
【0123】
実施例20
5−(2,5−ジメトキシフェニル)−5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−20)の製造
【化32】
【0124】
工程1
前記化合物(IV-3)と同様な製造方法により、前記化合物(III-1)と2’,5’−ジメトキシフェナシルブロミド(II-20)から化合物(IV-20)(収量595mg、収率72%)を得た。
【0125】
工程2
前記化合物(I-18)と同様な製造方法により、前記化合物(IV-20)から化合物(I-20)(収量170mg、収率46%)を得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.99 (3H, s), 3.73 (3H, s), 3.73 (3H, s), 4.43 (1H, d, J=13.3 Hz), 4.84 (1H, d, J=13.3 Hz), 6.11 (1H, t, J=6.7 Hz), 6.97 (1H, dd, J=3.0, 9.0 Hz), 7.05 (1H, d, J=9.2 Hz), 7.09 (1H, d, J=3.2 Hz), 7.23 (1H, d, J=6.9 Hz), 7.29 (1H, d, J=6.9 Hz), 7.73 (1H, s), 10.74 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 358 [M+H]+.
【0126】
実施例21
5−(4−フルオロ−2−メトキシフェニル)−5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−21)の製造
【化33】
【0127】
工程1
前記化合物(IV-3)と同様な製造方法により、前記化合物(III-1)と4’−フルオロ−2’−メトキシフェナシルブロミド(II-21)から化合物(IV-21)(収量192mg、収率60%)を無色固体として得た。
【0128】
工程2
前記化合物(IV-21)(192mg、0.70mmol)、シアン化カリウム(55mg、0.84mmol)及び炭酸アンモニウム(288mg、2.80mmol)のエタノール懸濁液(0.7mL)に、28%アンモニア水溶液(0.7mL)を加え密閉し、100℃で63時間撹拌した。放冷後、反応溶液を水で希釈し析出した固体をろ取した。水及びクロロホルムで洗浄することで、化合物(I-21)(収量176mg、収率73%)を無色固体として得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.99 (3H, s), 3.79 (3H, s), 4.41 (1H, d, J=13.3 Hz), 4.85 (1H, d, J=13.3 Hz), 6.11 (1H, t, J=6.6 Hz), 6.83 (1H, dt, J=2.7, 8.5 Hz), 7.04 (1H, dd, J=2.7, 11.0 Hz), 7.22 (1H, dd, J=1.4, 6.9 Hz), 7.28 (1H, m), 7.54 (1H, dd, J=6.4, 8.7 Hz), 7.78 (1H, s), 10.76 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 346 [M+H]+.
【0129】
実施例22
5−(ベンゾフラン−5−イル)−5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−22)の製造
【化34】
【0130】
工程1
前記化合物(IV-3)と同様な製造方法により、前記化合物(III-1)と5−(2−ブロモアセチル)ベンゾフラン(II-22)から化合物(IV-22)(収量224mg、収率70%)を無色固体として得た。
【0131】
工程2
前記化合物(I-15)と同様な製造方法により、前記化合物(IV-22)から化合物(I-22)(収量219mg、収率77%)を無色固体として得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.00 (3H, s), 4.51 (1H, d, J=13.3 Hz), 4.68 (1H, d, J=13.3 Hz), 6.11 (1H, t, J=6.9 Hz), 7.03 (1H, dd, J=0.9, 2.3 Hz), 7.23-7.32 (2H, m), 7.60 (1H, dd, J=2.3, 8.7 Hz), 7.67 (1H, d, J=8.7 Hz), 7.94 (1H, d, J=1.8 Hz), 8.05 (1H, d, J=2.3 Hz), 8.62 (1H, s), 10.85 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 338 [M+H]+.
【0132】
実施例23
5−(ベンゾ[b]チオフェン−5−イル)−5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−23)の製造
【化35】
【0133】
工程1
前記化合物(IV-2)と同様な製造方法により、前記化合物(III-1)と1−(1−ベンゾチオフェン−5−イル)−2−ブロモ−1−エタノン(II-23)から化合物(IV-23)(収量241mg、収率76%)を無色固体として得た。
【0134】
工程2
前記化合物(I-15)と同様な製造方法により、前記化合物(IV-23)から化合物(I-23)(収量262mg、収率64%)を淡黄色固体として得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.00 (3H, s), 4.54 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.72 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.12 (1H, t, J=6.7 Hz), 7.29 (2H, dd, J=0.9, 6.9 Hz), 7.52 (1H, d, J=7.5 Hz), 7.64 (1H, dd, J=1.8, 8.7 Hz), 7.83 (1H, d, J=5.5 Hz), 8.08 (1H, d, J=8.2 Hz), 8.30 (1H, d, J=1.8 Hz), 8.69 (1H, s), 10.86 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 354 [M+H]+.
【0135】
実施例24
5−[2−メトキシ−5−(トルフルオロメトキシ)フェニル]−5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−24)の製造
【化36】
【0136】
工程1
前記化合物(II-13)と同様な製造方法により、2’−メトキシ−5’−(トリフルオロメトキシ)アセトフェノン(XIII-4)から化合物(II-24)(収量820mg、収率93%)を無色固体として得た。
【0137】
工程2
前記化合物(IV-3)と同様な製造方法により、前記化合物(III-1)と前記化合物(II-24)から化合物(IV-24)(収量102mg、収率33%)を得た。
工程3
前記化合物(IV-24)(102mg、0.30mmol)、シアン化カリウム(23mg、0.36mmol)及び炭酸アンモニウム(115mg、1.20mmol)のエタノール懸濁液(0.3mL)に、28%アンモニア水溶液(0.3mL)を加え密閉し、100℃で64時間撹拌した。放冷後、反応溶液を水で希釈し析出した固体をろ取し、水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製することで、化合物(I-24)(収量45mg、収率37%)を無色固体として得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.98 (3H, s), 3.81 (3H, s), 4.46 (1H, d, J=13.3 Hz), 4.82 (1H, d, J=13.3 Hz), 6.12 (1H, t, J=6.9 Hz), 7.19-7.32 (3H, m), 7.45 (1H, m), 7.51 (1H, d, J=2.7 Hz), 7.90 (1H, s), 10.85 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 412 [M+H]+.
【0138】
実施例25
5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]−5−[4−(メチルスルホニル)フェニル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−25)の製造
【化37】
【0139】
工程1
前記化合物(IV-3)と同様な製造方法により、前記化合物(III-1)と4’−(メチルスルホニル)フェナシルブロミド(II-25)から化合物(IV-25)(収量175mg、収率21%)を得た。
【0140】
工程2
前記化合物(I-17)と同様な製造方法により、前記化合物(IV-25)から化合物(I-25)(収量86mg、収率63%)を得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.99 (3H, s), 3.24 (3H, s), 4.48 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.72 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.14 (1H, t, J=6.9 Hz), 7.26-7.34 (2H, m), 7.91 (2H, d, J=8.7 Hz), 8.00 (2H, d, J=8.2 Hz), 8.72 (1H, s), 10.99 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 376 [M+H]+.
【0141】
実施例26
5−(クロマン−6−イル)−5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−26)の製造
【化38】
【0142】
工程1
前記化合物(IV-15)と同様な製造方法により、前記化合物(III-1)と2−クロロ−1−クロマン−6−イル−エタノン(II-26)から化合物(IV-26)(収量256mg、収率99%)を得た。
【0143】
工程2
前記化合物(I-21)と同様な製造方法により、前記化合物(IV-26)から化合物(I-26)(収量81mg、収率25%)を無色固体として得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.88-1.95 (2H, m), 2.00 (3H, s), 2.70-2.82 (2H, m), 4.06-4.20 (2H, m), 4.42 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.54 (1H, d, J=13.3 Hz), 6.11 (1H, t, J=6.9 Hz), 6.77 (1H, d, J=8.7 Hz), 7.22-7.34 (4H, m), 8.43 (1H, s), 10.75 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 354 [M+H]+.
【0144】
実施例27
5−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−27)の製造
【化39】
【0145】
工程1
前記化合物(IV-13)と同様な製造方法により、前記化合物(III-1)と、5’−クロロ−2’−メトキシアセトフェノン(II-27)から化合物(IV-27)(収量228mg、通算収率72%)を得た。
【0146】
工程2
前記化合物(I-17)と同様な製造方法により、前記化合物(IV-27)から化合物(I-27)(収量61mg、収率23%)をベージュ色固体として得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.99 (3H, s), 3.78 (3H, s), 4.45 (1H, d, J=13.2 Hz), 4.82 (1H, d, J=13.2 Hz), 6.12 (1H, t, J=6.9 Hz), 7.15 (1H, d, J=8.7 Hz), 7.22 (1H, m), 7.29 (1H, m), 7.47 (1H, dd, J=2.3, 8.7 Hz), 7.54 (1H, d, J=2.3 Hz), 7.83 (1H, br s), 10.82 (1H, br s).
MS (ESI-FTMS) m/z 362, 364 [M+H]+.
【0147】
実施例28
5−(3−フルオロフェニル)−5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−28)の製造
【化40】
【0148】
工程1
前記化合物(IV-3)と同様な製造方法により、前記化合物(III-1)と3’−フルオロフェナシルブロミド(II-28)から化合物(IV-28)(収量195mg、収率46%)を得た。
【0149】
工程2
前記化合物(IV-28)(195mg、0.80mmol)、シアン化カリウム(78mg、1.19mmol)及び炭酸アンモニウム(306mg、3.18mmol)のエタノール懸濁液(0.9mL)に、28%アンモニア水溶液(0.9mL)を加え密閉し、100℃で64時間撹拌した。放冷後、反応溶液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。減圧下で溶媒を留去した後、酢酸エチル−ヘキサン(2:1)を加え、析出した固体をろ取することで、化合物(I-28)(収量140mg、収率56%)を得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.99 (3H, s), 4.47 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.62 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.12 (1H, d, J=6.9 Hz), 7.20-7.31 (3H, m), 7.44-7.53 (3H, m), 8.63 (1H, s), 10.93 (1H, br s).
MS (ESI-FTMS) m/z 316 [M+H]+.
【0150】
実施例29
5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]−5−(2,4,5−トリフルオロフェニル)イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−29)の製造
【化41】
【0151】
工程1
前記化合物(IV-15)と同様な製造方法により、前記化合物(III-1)と2’,4’,5’−トリフルオロフェナシルブロミド(II-29)から化合物(IV-29)(収量130mg、収率25%)を得た。
【0152】
工程2
前記化合物(IV-29)(140mg、0.50mmol)、シアン化カリウム(49mg、0.75mmol)及び炭酸アンモニウム(192mg、2.00mmol)のエタノール懸濁液(0.8mL)に、28%アンモニア水溶液(0.8mL)を加え密閉し、100℃で64時間撹拌した。放冷後、反応溶液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。減圧下で溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製することで、化合物(I-29)(収量56mg、収率32%)を得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3) δ: 2.11 (3H, s), 4.20 (1H, d, J=13.7 Hz), 5.09 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.12 (1H, d, J=6.9 Hz), 7.04 (1H, m), 7.15 (1H, m), 7.23 (1H, m), 7.30 (1H, s),7.60 (1H, m).
MS (ESI-FTMS) m/z 352 [M+H]+.
【0153】
実施例30
5−(4−フルオロ−3−メチルフェニル)−5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−30)の製造
【化42】
【0154】
工程1
前記化合物(III-1)(3g、27.49mmol)及び炭酸カリウム(9.50g、68.73mmol)のジメチルスルホキシド(27.5mL)懸濁液にtert−ブチル 2−ブロモアセタート(VI-1)(4.81mL、32.99mmol)を加え、室温で3.25時間攪拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、化合物(VII-1)(収量5.76g、収率94%)を得た。
【0155】
工程2
前記化合物(VII-1)(5.76g、25.8mmol)のクロロホルム(26mL)溶液にトリフルオロ酢酸(26mL)を加え室温で15時間攪拌した。減圧下溶媒を留去し、化合物(VIII-1)(収量4.52g、収率99%)を得た。
【0156】
工程3
前記化合物(VIII-1)(4.31g、25.8mmol)、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(3.02g、30.96mmol)、N−メチルモルホリン(8.51mL、77.40mmol)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・1水和物(4.77g、30.96mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(25.8mL)に溶解した後、水溶性カルボジイミド塩酸塩(5.94g、30.96mmol)を加え、室温で194.25時間撹拌した。反応液に水を加えクロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製することで化合物(IX-1)(収量4.63g、収率85%)を白色固体として得た。
【0157】
工程4
−78℃に冷却した前記化合物(IX-1)のテトラヒドロフラン溶液(10mL)に、4−フルオロ−3−メチルフェニルマグネシウムブロミド(X-1)の1.0mol/Lテトラヒドロフラン溶液(1.1mL、1.1mmol)を滴下し、−78℃で30分間攪拌した。反応液に2mol/L塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製し、化合物(IV-30)(収量90mg、収率34%)を無色油状物として得た。
【0158】
工程5
前記化合物(IV-17)と同様な製造方法により、前記化合物(IV-30)から化合物(I-30)(収量30mg、収率26%)を無色固体として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 2.11 (3H, s), 2.29 (3H, d, J=1.4 Hz), 4.22 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.82 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.10 (1H, t, J=6.9 Hz), 7.02 (1H, t, J=8.7 Hz), 7.14 (1H, m), 7.21 (1H, m), 7.42-7.50 (2H, m), 8.77 (1H, br s).
MS (ESI-FTMS) m/z 330 [M+H]+.
【0159】
実施例31
5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]−5−[4−(ピリジン−4−イル)フェニル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−31)の製造
【化43】
【0160】
工程1
前記化合物(IV-11)(400mg、1.32mmol)、(4−ピリジン)サイクリックトリオールボレートナトリウム塩(320mg、1.44mmol)およびトリフェニルホスフィン(34mg、0.13mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(6.5mL)溶液を脱気した後、アルゴン雰囲気下、酢酸パラジウム(15mg、0.065mmol)、ヨウ化銅(50mg、0.26mmol)を加え、90℃で15.5時間加熱した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(IV-31)(収量109mg、収率22%)を得た。
【0161】
工程2
オートクレーブ容器に前記化合物(IV-31)(90mg、0.30mmol)、シアン化カリウム(23mg、0.36mmol)、炭酸アンモニウム(114mg、1.18mmol)、エタノール(0.3mL)および飽和アンモニア水(0.3mL)を加え密閉し、100℃で63.75時間撹拌した。減圧下で溶媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(I-31)(収量42mg、収率38%)を得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.00 (3H, s), 4.51 (1H, d, J=13.3 Hz), 4.68 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.14 (1H, t, J=6.9 Hz), 7.27-7.32 (2H, m), 7.75 (2H, dd, J=1.8, 4.6 Hz), 7.78 (2H, d, J=8.7 Hz), 7.90 (2H, d, J=8.7 Hz), 8.66 (2H, d, J=6.0 Hz), 8.69 (1H, s), 10.91 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z: 375 [M+H]+.
【0162】
実施例32
5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]−5−[4−(ピリジン−3−イル)フェニル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−32)の製造
【化44】
【0163】
工程1
前記化合物(IV-11)(500mg、1.63mmol)、3−ピリジンボロン酸(221mg、1.80mmol)およびリン酸三カリウム(555mg、2.61mmol)の1,4−ジオキサン(3.3mL)懸濁液を脱気した後、アルゴン雰囲気下、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(94mg、0.082mmol)を加え、90℃で22.5時間加熱した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(IV-32)(収量232mg、収率47%)を得た。
【0164】
オートクレーブ容器に前記化合物(IV-32)(196mg、0.64mmol)、シアン化カリウム(50mg、0.77mmol)、炭酸アンモニウム(248mg、2.58mmol)、エタノール(0.64mL)および飽和アンモニア水(0.64mL)を加え密閉し、100℃で66時間撹拌した。反応液に水を加え、析出した固体をろ取することで、化合物(I-32)(収量184mg、収率76%)を得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.01 (3H, s), 4.52 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.68 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.14 (1H, t, J=6.9 Hz), 7.29 (2H, d, J=6.9 Hz), 7.51 (1H, dd, J=4.8, 8.0 Hz), 7.76 (2H, d, J=8.7 Hz), 7.83 (2H, d, J=8.7 Hz), 8.11 (1H, td, J=2.3, 8.2 Hz), 8.59 (1H, dd, J=1.4, 4.6 Hz), 8.66 (1H, s), 8.93 (1H, d, J=1.8 Hz), 10.89 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z: 375 [M+H]+.
【0165】
実施例33
5−[4−(3,3−ジメチルブト−1−イン−1−イル)フェニル]−5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−33)の製造
【化45】
【0166】
工程1
前記化合物(IV-11)(500mg、1.63mmol)、3,3−ジメチルブト−1−イン(222μL、1.80mmol)およびトリエチルアミン(250μL、1.80mmol)のテトラヒドロフラン(3.3mL)溶液を脱気した後、アルゴン雰囲気下、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(94mg、0.082mmol)およびヨウ化銅(31mg、0.16mmol)を加え22.25時間加熱還流した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、前記化合物(IV-33)(収量531mg、定量的)を得た。
【0167】
前記化合物(I-32)と同様な製造方法により、前記化合物(IV-33)から化合物(I-33)(収量270mg、収率73%)を得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.29 (9H, s), 1.99 (3H, s), 4.44 (1H, d, J=13.3 Hz), 4.62 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.11 (1H, t, J=6.9 Hz), 7.22-7.29 (2H, m), 7.41 (2H, d, J=8.7 Hz), 7.59 (2H, d, J=8.2 Hz), 8.58 (1H, s), 10.88 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z: 378 [M+H]+.
【0168】
実施例34
5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]−5−[4−(p−トリルオキシ)フェニル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−34)の製造
【化46】
【0169】
工程1
前記化合物(IV-15)(150mg、0.61mmol)、4−メチルフェノール(66mg、0.61mmol)、炭酸カリウム(127mg、0.92mmol)のN,N−ジメチルアセトアミド懸濁液を3時間加熱還流した。放冷後、反応溶液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製することで、化合物(IV-34)(収量122mg、収率60%)を得た。
【0170】
工程2
前記化合物(IV-34)(122mg、0.37mmol)、シアン化カリウム(29mg、0.44mmol)及び炭酸アンモニウム(141mg、1.46mmol)のエタノール懸濁液(0.35mL)に、28%アンモニア水溶液(0.35mL)を加え密閉し、100℃で63時間撹拌した。放冷後、減圧下で溶媒を留去し、メタノールを加え析出した固体を吸引ろ過により除去した。減圧下、ろ液の溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製することで、化合物(I-34)(収量56mg、収率38%)を無色固体として得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.99 (3H, s), 2.30 (3H, s), 4.45 (1H, d, J=13.3 Hz), 4.60 (1H, d, J=13.3 Hz), 6.12 (1H, t, J=6.9 Hz), 6.93 (2H, td, J=2.5, 8.2 Hz), 7.01 (2H, td, J=2.5, 8.7 Hz), 7.17-7.32 (4H, m), 7.60 (2H, td, J=2.5, 9.2 Hz), 8.57 (1H, d, J=1.4 Hz), 10.85 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 404 [M+H]+.
【0171】
実施例35
5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]−5−[4−(o−トリルオキシ)フェニル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−35)の製造
【化47】
【0172】
工程1
前記化合物(IV-34)と同様な製造方法により、前記化合物(IV-15)から化合物(IV-35)(収量188mg、収率92%)を緑色油状物として得た。
前記化合物(IV-35)(188mg、0.56mmol)、シアン化カリウム(44mg、0.68mmol)及び炭酸アンモニウム(217mg、2.27mmol)のエタノール懸濁液(0.6mL)に、28%アンモニア水溶液(0.6mL)を加え密閉し、100℃で63時間撹拌した。放冷後、反応溶液を水で希釈、析出した固体をろ取した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製することで、化合物(I-35)(収量101mg、収率45%)を無色固体として得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.99 (3H, s), 2.16 (3H, s), 4.45 (1H, d, J=13.3 Hz), 4.60 (1H, d, J=13.3 Hz), 6.11 (1H, t, J=6.4 Hz), 6.89-6.95 (3H, m), 7.14 (1H, dt, J=1.4, 7.2 Hz), 7.20-7.36 (4H, m), 7.59 (2H, td, J=2.5, 8.7 Hz), 8.55 (1H, s), 10.84 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 404 [M+H]+.
【0173】
実施例36
5−[4−(シクロへキセ−2−エン−1−イルオキシ)フェニル]−5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−36)の製造
【化48】
【0174】
工程1
前記化合物(III-1)(681mg、6.2mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(20mL)に、炭酸セシウム(2.2g、6.9mmol)及び1−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]−2−ブロモエタノン(II-30)(2.0g、6.6mmol)を加え、室温で2.5時間撹拌した。氷冷下で水を加え析出した固体をろ取し、水で洗浄することで化合物(IV-36)(収量1.9g、収率89%)を得た。
【0175】
工程2
前記化合物(IV-36)(1.3g、3.9mmol)のクロロホルム溶液(10mL)にトリフルオロ酢酸(10mL)を加え、14時間加熱還流した。放冷後、減圧下で溶媒を留去し、酢酸エチルを加え析出した固体をろ取し、ヘキサンで洗浄することで、化合物(IV-37)(収量813mg、収率86%)を得た。
工程3
前記化合物(IV-37)(100mg、0.41mmol)と炭酸カリウム(85mg、0.62mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド懸濁液(5.0mL)に3−ブロモシクロヘキセン(50μL、0.43mmol)を加え、室温で23時間撹拌した。反応溶液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製することで、化合物(IV-38)(収量115mg、収率86%)を黄色アモルファスとして得た。
【0176】
工程4
前記化合物(I-34)と同様な製造方法により、前記化合物(IV-38)から化合物(I-36)(収量77mg、収率52%)を無色固体として得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.47-1.81 (3H, m), 1.85-2.16 (6H, m), 4.44 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.53 (1H, d, J=13.3 Hz), 4.89 (1H, m), 5.79 (1H, m), 5.92 (1H, m), 6.11 (1H, t, J=6.9 Hz), 6.96-7.03 (2H, m), 7.17-7.32 (2H, m), 7.48-7.56 (2H, m), 8.51 (1H, d, J=1.4 Hz), 10.79 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 394 [M+H]+.
【0177】
実施例37
5−[4−(シクロヘキシルオキシ)フェニル]−5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−37)の製造
【化49】
【0178】
工程1
前記化合物(I-36)(50mg、0.13mmol)のメタノール溶液(2.0mL)に、10%パラジウム炭素(20mg)を加え、水素雰囲気下4時間攪拌した。反応液をセライト濾過し、メタノールで洗浄した。減圧下で溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製することで、化合物(I-37)(36mg、収率72%)を無色固体として得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.20-1.46 (5H, m), 1.48-1.58 (1H, m), 1.66-1.76 (2H, m), 1.87-1.95 (2H, m), 1.99 (3H, s), 4.32-4.40 (1H, m), 4.43 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.56 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.11 (1H, t, J=6.9 Hz), 6.97 (2H, d, J=8.7 Hz), 7.20-7.33 (2H, m), 7.50 (2H, d, J=8.7 Hz), 8.50 (1H, s), 10.78 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 396 [M+H]+.
【0179】
実施例38
5−[4−(シクロへキセ−2−エン−1−イルオキシ)−1−メチルフェニル]−5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−38)の製造
【化50】
【0180】
工程1
1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタノン(XIII-4)(1.2g、8.0mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(10mL)に、60%水素化ナトリウム(384mg、9.6mmol)を加え、室温で30分撹拌した。3−ブロモシクロヘキセン(1.5g,9.6mmol)を加え、室温で終夜撹拌した。氷水を加え反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製することで、化合物(XIII-5)(収量1.71g、収率88%)を得た。
【0181】
工程2
前記化合物(XIII-5)(1.0g、4.1mmol)のテトラヒドロフラン溶液(40mL)に、フェニルトリメチルアンモニウムトリブロミド(1.7g、4.0mmol)を加え室温で2時間撹拌後、4時間加熱還流した。放冷後、析出した固体をろ過し、減圧下でろ液の溶媒を留去することで粗化合物(II-31)(収量1.2g)を得た。
工程3
前記化合物(III-1)(407mg、3.7mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(7.5mL)に、炭酸セシウム(1.5g、4.1mmol)及び粗前記化合物(II-31)(1.2g)を加え、室温で終夜撹拌した。反応溶液を水で希釈後、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製することで、化合物(IV-39)(収量449mg、2段階、通算収率33%)を得た。
【0182】
工程4
前記化合物(IV-39)(449mg、1.3mmol)、シアン化カリウム(130mg、2.0mmol)及び炭酸アンモニウム(511mg、5.3mmol)のエタノール懸濁液(1.5mL)に、28%アンモニア水溶液(1.5mL)を加え密閉し、100℃で撹拌した。放冷後、反応液に水を加え酢酸エチルで抽出後、有機層を水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去することで、化合物(I-38)(収量410mg、収率76%)を得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.58-1.97 (4H, m), 2.08-2.18 (2H, m), 2.13 (3H, s), 2.23 (3H, s), 4.20 (1H, d, J=13.7Hz), 4.78 (1H, m), 4.85 (1H, d, J=13.7Hz), 5.85 (1H, m), 5.96 (1H, m), 6.09 (1H, t, J=6.9Hz), 6.88 (1H, d, J=8.7Hz), 6.93 (1H, s), 7.14 (1H, d, J=6.9Hz), 7.20 (1H, d, J=6.9Hz), 7.34-7.41 (2H, m).
MS (ESI-FTMS) m/z 408 [M+H]+.
【0183】
実施例39
5−[4−(シクロペンチルオキシ)−3−メチルフェニル]−5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−39)の製造
【化51】
【0184】
工程1
前記化合物(XIII-6)(800mg、5.3mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(8.0mL)に、60%水素化ナトリウム(235mg、5.9mmol)を加え室温で撹拌した。ヨウ化シクロペンチル(1.2g、5.9mmol)を加え60℃で3時間撹拌後、80℃で4時間撹拌した。氷水を加え反応を停止後、酢酸エチルで抽出し、有機層を水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製することで、化合物(XIII-7)(収量635mg、収率52%)を得た。
【0185】
実施例38記載の前記化合物(I-38)と同様な製造方法(実施例38の工程2〜4)により、前記化合物(XIII-7)から3段階で化合物(I-39)(収量490mg、3段階、通算収率45%)を得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.57-1.94 (8H, m), 2.13 (3H, s), 2.19 (3H, s), 4.20 (1H, d, J=13.7Hz), 4.77 (1H, m), 4.85 (1H, d, J=13.7Hz), 6.08 (1H, t,J=6.9Hz), 6.81 (1H, d J=9.2Hz), 6.90 (1H, br s), 7.14 (1H, d, J=6.9Hz), 7.20 (1H, d, J=6.9Hz), 7.34-7.36 (1H, m), 7.37 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 396 [M+H]+
【0186】
実施例40
5−(4−ベンジルフェニル)−5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−40)の製造
【化52】
【0187】
工程1
前記化合物(III-1)(180mg、1.6mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(5.0mL)に、炭酸セシウム(590mg、1.8mmol)及び1−(4−ベンジルフェニル)−2−ブロモエタノン(II-33)(500mg、1.7mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。反応溶液に水を加えることで析出する固体をろ取し、水で洗浄することで、化合物(IV-41)(収量475mg、収率91%)を得た。
【0188】
工程2
前記化合物(IV-41)(475mg、1.5mmol)、シアン化カリウム(117mg、1.8mmol)及び炭酸アンモニウム(575mg、6.0mmol)のエタノール懸濁液(1.5mL)に、28%アンモニア水溶液(1.5mL)を加え密閉し、100℃で64時間撹拌した。放冷後、反応液に水を加え酢酸エチルで抽出後、有機層を水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製することで、化合物(I-40)(収量466mg、収率80%)を無色固体として得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.99 (3H, s), 3.95 (2H, s), 4.43 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.59 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.10 (1H, t, J=6.6 Hz), 7.15-7.31 (9H, m), 7.53 (2H, d, J=8.7 Hz), 8.52 (1H, s), 10.81 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 388 [M+H]+.
【0189】
実施例41
5−[4−(4−フルオロベンジル)フェニル]−5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−41)の製造
【化53】
【0190】
工程1
氷冷下、1−ベンジル−4−フルオロベンゼン(XII-1)(1.0g、5.4mmol)のジクロロメタン溶液(5.4mL)に、クロロアセチルクロリド(427μL、5.4mmol)及び塩化アルミニウム(716mg、5.4mmol)を加え15分間撹拌した。反応溶液に水を加えクロロホルムで抽出後、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去することで粗化合物(II-34)を得た。
【0191】
工程2
粗前記化合物(II-34)をN,N−ジメチルホルムアミド(3.0mL)に溶解させ、炭酸カリウム(1.9g、13.4mmol)を加えた後、前記化合物(III-1)(586mg、5.4mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(2.4mL)を滴下し、室温で2時間撹拌した。反応溶液を水で希釈した後、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製することで、化合物(IV-43)(収量1.5g、2段階、収率84%)を得た。
工程3
前記化合物(IV-43)(1.4g、4.2mmol)、シアン化カリウム(326mg、5.0mmol)及び炭酸アンモニウム(1.6g、16.7mmol)のエタノール懸濁液(4.2mL)に、水(4.2mL)を加え密閉し、100℃で16時間撹拌した。放冷後、反応液に水を加え析出した固体をろ取し、クロロホルムで洗浄することにより、化合物(I-41)(収量1.6g、収率95%)を得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.99 (3H, s), 3.94 (2H, s), 4.44 (1H, d, J=13.3 Hz), 4.60 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.10 (1H, t, J=6.7 Hz), 7.10 (2H, t, J=9.0 Hz), 7.20-7.32 (6H, m), 7.54 (2H, d, J=8.2 Hz), 8.51 (1H, s), 10.81 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 406 [M+H]+.
【0192】
実施例42
5−[4−(2H−テトラゾール−5−イル)フェニル]−5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−42)の製造
【化54】
【0193】
工程1
前記化合物(I-3)(221mg、0.69mmol)、塩化アンモニウム(110mg、2.06mmol)およびアジ化ナトリウム(124mg、2.06mmol)にN,N−ジメチルホルムアミド(3.4mL)を加え80℃で1時間、110℃で12.5時間加熱攪拌した。反応液を放冷後、2mol/L塩酸を加え析出した固体をろ取した。固体を溶解後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(I-42)(収量101mg、収率40%)を得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.00 (3H, s), 4.51 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.72 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.13 (1H, t, J=6.9 Hz), 7.30 (2H, d, J=6.4 Hz), 7.86 (2H, d, J=8.7 Hz), 8.10 (2H, d, J=8.7 Hz), 8.68 (1H, d, J=1.4 Hz), 10.56 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z: 366 [M+H]+.
【0194】
実施例43
5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]−5−(4−ビニルフェニル)イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−43)の製造
【化55】
【0195】
工程1
前記化合物(IV-11)(400mg、1.3mmol)、4,4,5,5−テトラメチル−2−ビニル−1,3,2−ジオキサボロナート(242mg、1.6mmol)及びリン酸三カリウム(695mg、3.3mmol)の1,4−ジオキサン(6.5mL)懸濁液を脱気した後、アルゴン雰囲気下、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(76mg、0.066mmol)を加え90℃で加熱攪拌した。TLCで反応終了を確認後、反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製し、化合物(IV-44)(収量253mg、収率76%)を得た。
【0196】
工程2
前記化合物(I-17)と同様な製造方法により、前記化合物(IV-44)から化合物(I-43)(収量182mg、収率59%)を得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.00 (3H, s), 4.47 (1H, d, J=13.3 Hz), 4.62 (1H, d, J=13.7 Hz), 5.31 (1H, d, J=11.4 Hz), 5.89 (1H, d, J=17.9 Hz), 6.11 (1H, t, J=6.9 Hz), 6.75 (1H, dd, J=10.8, 17.7 Hz), 7.27 (2H, dd, J=6.7, 11.7 Hz), 7.53 (2H, d, J=8.7 Hz), 7.60 (2H, d, J=8.7 Hz), 8.58 (1H, s), 10.85 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 324 [M+H]+.
【0197】
実施例44
5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]−5−(3,4,5−トリフルオロフェニル)イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−44)の製造
【化56】
【0198】
工程1
前記化合物(IV-3)と同様な製造方法により、前記化合物(III-1)と3’,4’,5’−トリフルオロアセトフェノン(II-35)から化合物(IV-45)(収量189mg、2工程、通算収率19%)を得た。
【0199】
工程2
前記化合物(I-11)と同様な製造方法により、前記化合物(IV-45)から化合物(I-44)(収量158mg、収率70%)を淡黄色固体として得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.98 (3H, s), 4.47 (1H, m), 4.61 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.14 (1H, t, J=6.9 Hz), 7.22-7.33 (2H, m), 7.48-7.65 (2H, m), 8.64 (1H, br s), 11.07 (1H, br s).
MS (ESI-FTMS) m/z 352 [M+H]+.
【0200】
実施例45
5−[(3−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]−5−(4−プロピルフェニル)イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−45)の製造
【化57】
【0201】
工程1
前記化合物(II-21)と同様な製造方法により、4’−プロピルアセトフェノン(XIII-8)から化合物(II-36)(収量743mg、収率>99%)を無色油状物として得た。
【0202】
工程2
前記化合物(IV-4)と同様な製造方法により、前記化合物(III-1)と化合物(II-36)から化合物(IV-46)(収量294mg、収率69%)を得た。
工程3
前記化合物(IV-24)と同様な製造方法により、前記化合物(IV-46)から化合物(I-45)(収量21mg、収率5.8%)を無色固体として得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 0.88 (3H, t, J=7.3 Hz), 1.58 (2H, sext, J=7.3 Hz), 2.00 (3H, s), 2.56 (2H, t, J=7.6 Hz), 4.45 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.60 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.11 (1H, t, J=6.6 Hz), 7.18-7.31 (4H, m), 7.52 (2H, d, J=8.7 Hz), 8.52 (1H, s), 10.80 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z 340 [M+H]+.
【0203】
実施例46
5−[(2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]−5−フェニルイミダゾリジン−2,4−ジオン(I−46)の製造
【化58】
【0204】
工程1
ピリジン−2−オール(V-1)(300mg、3.15mmol)および炭酸セシウム(1.13g、3.47mmol)にN,N−ジメチルホルムアミド(6.3mL)を加えた後、前記化合物(V-1)(691mg,3.47mmol)を加え室温で1時間攪拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(IV-47)(収量 602mg,収率 90%)を得た。
【0205】
工程2
オートクレーブ容器に前記化合物(IV-47)(300mg,1.41mmol)、シアン化カリウム(110mg,1.69mmol)、炭酸アンモニウム(542mg,5.64mmol)およびエタノール(1.4mL)、水(1.4mL)を加え密閉し、100℃で21.5時間撹拌した。反応液に水を加え、析出した固体をろ取することで、化合物(I-46)(収量226mg、収率57%)を得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 4.25 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.65 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.19 (1H, dt, J=1.4, 6.9 Hz), 6.39 (1H, dt, J=1.4, 8.7 Hz), 7.35-7.48 (5H, m), 7.60-7.66 (2H, m), 8.58 (1H, s), 10.85 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z: 284 [M+H]+.
【0206】
実施例47
5−(4−メトキシフェニル)−5−[(2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−47)の製造
【化59】
【0207】
工程1
前記化合物(IV-47)と同様な製造方法により、前記化合物(V-1)および前記化合物(II-2)から化合物(IV-48)(収量384mg、収率90%)を得た。
【0208】
工程2
オートクレーブ容器に前記化合物(IV-48)(300mg、1.23mmol)、シアン化カリウム(96mg、1.48mmol)、炭酸アンモニウム(474mg、4.93mmol)およびエタノール(1.2mL)、飽和アンモニア水(1.2mL)を加え密閉し、100℃で63.75時間撹拌した。反応液に水を加え、析出した固体をろ取しクロロホルムで洗浄することで、化合物(I-47)(収量112mg、収率29%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 3.76 (3H, s), 4.42 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.58 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.19 (1H, dt, J=1.4, 6.9 Hz), 6.39 (1H, d, J=9.2 Hz), 6.99 (2H, d, J=9.2 Hz), 7.35-7.43 (2H, m), 7.53 (2H, d, J=9.2 Hz), 8.53 (1H, s), 10.81 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z: 314 [M+H]+.
【0209】
実施例48
5−[(3−フルオロ−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]−5−(4−フルオロフェニル)イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−48)の製造
【化60】
【0210】
工程1
3−フルオロピリジン−2−オール(V-2)(300mg、3.15mmol)および炭酸カリウム(1.13g、3.47mmol)にアセトン(6.3mL)を加えた後、2−クロロ−1−(4−フルオロフェニル)エタノン(II-37)(691mg、3.47mmol)を加え1時間加熱還流した。反応液をろ過後、減圧下で溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(IV-49)(収量395mg、収率90%)を得た。
【0211】
工程2
前記化合物(I-46)と同様な製造方法により、前記化合物(IV-49)から化合物(I-48)(収量166mg、収率43%)を得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 4.48 (1H, d, J=13.3 Hz), 4.72 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.19 (1H, dt, J=4.6, 7.3 Hz), 7.19-7.24 (1H, m), 7.26-7.34 (2H, m), 7.40 (1H, ddd, J=1.6, 7.6, 9.4 Hz), 7.63-7.70 (2H, m), 8.77 (1H, s), 10.96 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z: 320 [M+H]+.
【0212】
実施例49
5−([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−5−[(3−フルオロ−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−49)の製造
【化61】
【0213】
工程1
前記化合物(V-2)(226mg、2.00mmol)および炭酸カリウム(628mg、4.54mmol)にジメチルスルホキシド(3.6mL)を加えた後、1−([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−2−ブロモエタノン(II-38)(500g、1.87mmol)を加え室温で1.25時間攪拌した。反応液に水を加え、析出した固体をろ取し、化合物(IV-50)(収量665mg、定量的)を得た。
【0214】
工程2
オートクレーブ容器に前記化合物(IV-50)(300mg、0.98mmol)、シアン化カリウム(76mg、1.17mmol)、炭酸アンモニウム(375mg、3.90mmol)およびエタノール(0.98mL)、水(0.98mL)を加え密閉し、100℃で43時間撹拌した。反応液に水を加え、析出した固体をろ取しクロロホルムで洗浄することで、化合物(II-49)(収量176mg、収率48%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 4.54 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.79 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.21 (1H, dt, J=4.6, 6.9 Hz), 7.26 (1H, d, J=7.3 Hz), 7.36-7.58 (4H, m), 7.67-7.84 (6H, m), 8.80 (1H, s), 10.96 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z: 378 [M+H]+.
【0215】
実施例50
5−[(3−クロロ−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]−5−フェニルイミダゾリジン−2,4−ジオン(I−50)の製造
【化62】
【0216】
工程1
前記化合物(IV-47)と同様な製造方法により、3−クロロピリジン−2−オール(V-3)および前記化合物(II-1)から化合物(IV-51)(収量529mg、収率92%)を得た。
【0217】
工程2
オートクレーブ容器に前記化合物(IV-51)(300mg、1.21mmol)、シアン化カリウム(95mg、1.45mmol)、炭酸アンモニウム(465mg、4.84mmol)およびエタノール(1.2mL)、水(1.2mL)を加え密閉し、100℃で62.25時間撹拌した。減圧下で溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで、化合物(I-50)(収量323mg、収率84%)を得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 4.49 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.76 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.24 (1H, t, J=7.1 Hz), 7.36-7.49 (4H, m), 7.59-7.66 (2H, m), 7.75 (1H, dd, J=1.8, 7.3 Hz), 8.68 (1H, s), 10.91 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z: 318, 320 [M+H]+.
【0218】
実施例51
5−(ベンゾフラン−2−イル)5−[(3−クロロ−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−51)の製造
【化63】
【0219】
工程1
前記化合物(IV-50)と同様な製造方法により、前記化合物(V-3)および1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−ブロモエタノン(II-39)から化合物(IV-52)(収量277mg、収率50%)を得た。
オートクレーブ容器に前記化合物(IV-52)(250mg、0.87mmol)、シアン化カリウム(68mg、1.04mmol)、炭酸アンモニウム(334mg、3.48mmol)およびエタノール(0.87mL)、飽和アンモニア水(0.87mL)を加え密閉し、100℃で64.75時間撹拌した。減圧下で溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで、化合物(I-51)(収量163mg、収率52%)を得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 4.81 (2H, s), 6.26 (1H, t, J=7.1 Hz), 7.14 (1H, s), 7.29 (1H, dt, J=0.9, 7.3 Hz), 7.37 (1H, dt, J=1.3, 7.3 Hz), 7.46 (1H, dd, J=2.1, 7.6 Hz), 7.60-7.72 (2H, m), 7.76 (1H, dd, J=1.8, 7.3 Hz), 8.77 (1H, s), 11.16 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z: 358, 360 [M+H]+.
【0220】
実施例52
5−[(3−ブロモ−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]−5−(4−メトキシフェニル)イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−52)の製造
【化64】
【0221】
工程1
3−ブロモピリジン−2−オール(V-4)(2.0g、11.49mmol)および炭酸セシウム(4.49g、13.79mmol)にN,N−ジメチルホルムアミド(23mL)を加えた後、前記化合物(II-2)(2.90g、12.64mmol)を加え室温で1.75時間攪拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(IV-53)(収量2.09g、収率56%)を得た。
【0222】
前記化合物(IV-47)と同様な製造方法により、前記化合物(IV-53)から化合物(I-52)(収量144mg、収率39%)を得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 3.76 (3H, s), 4.46 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.69 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.17 (1H, t, J=6.9 Hz), 6.99 (2H, d, J=9.2 Hz), 7.41 (1H, dd, J=1.6, 6.6 Hz), 7.53 (2H, d, J=8.7 Hz), 7.91 (1H, dd, J=1.8, 7.3 Hz), 8.68 (1H, s), 10.86 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z: 392, 394 [M+H]+.
【0223】
実施例53
5−[(3−エチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)メチル]−5−(4−メトキシフェニル)イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−53)の製造
【化65】
【0224】
工程1
前記化合物(IV-53)(500mg、1.55mmol)、エチルボロン酸(126mg、1.71mmol)およびリン酸三カリウム(822mg、3.88mmol)の1,4−ジオキサン(7.8mL)懸濁液を脱気した。アルゴン雰囲気下テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(90mg、0.078mmol)を加え90℃で17時間加熱攪拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(IV-54)(収量286mg、収率68%)を得た。
【0225】
工程2
前記化合物(I-47)と同様の製造方法により、前記化合物(IV-54)から化合物(I-53)(収量113mg、収率31%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.07 (3H, t, J=7.3 Hz), 2.40 (2H, q, J=7.3 Hz), 3.77 (3H, s), 4.46 (1H, d, J=13.7 Hz), 4.56 (1H, d, J=13.7 Hz), 6.14 (1H, t, J=6.9 Hz), 6.95-7.02 (2H, m), 7.20-7.28 (2H, m), 7.50-7.58 (2H, m), 8.49 (1H, s), 10.80 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z: 342 [M+H]+.
【0226】
実施例54
5−(3−ヒドロキシフェニル)−5−[(3−メチル−2−オキシピリジン−1(2H)−イル)メチル]イミダゾリジン−2,4−ジオン(I−54)の製造
【化66】
【0227】
工程1
1−(2−(3−(ベンジルオキシ)フェニル)−2−オキソエチル)−3−メチルピリジン−2(1H)−オン(IV-55)(361mg、1.08mmol)のクロロホルム(1mL)溶液にトリフルオロ酢酸(1mL)を加え室温で14.5時間攪拌後、23.5時間加熱還流した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去した後、クロロホルムを加え析出した固体をろ取することで、化合物(IV-56)(収量116mg、収率44%)で得た。
【0228】
工程2
前記化合物(IV-56)(100mg、0.41mmol)、シアン化カリウム(32mg、0.49mmol)、炭酸アンモニウム(158mg、1.64mmol)およびエタノール(0.41mL)、飽和アンモニア水(0.41mL)を加え密閉し、100℃で65時間撹拌した。減圧下で溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで、化合物(IV-54)(収量93mg、収率72%)を得た。物性値を以下に示す。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.00 (3H, s), 4.42 (1H, d, J=13.3 Hz), 4.59 (1H, d, J=13.3 Hz), 6.11 (1H, t, J=6.9 Hz), 6.76 (1H, dd, J=1.2, 8.0 Hz), 7.00-7.07 (2H, m), 7.18-7.32 (3H, m), 8.49 (1H, s), 9.60 (1H, s), 10.79 (1H, s).
MS (ESI-FTMS) m/z: 378 [M+H]+.
【0229】
化合物I−7と同様な製造方法で、化合物I−55を合成した。化合物の構造と物性値を表1に示す。
化合物I−10と同様な製造方法で、化合物I−145、I−146、I−147、I−148、I−151、I−153、I−154、I−155、I−156、I−157を合成した。各化合物の構造と物性値を表12および表13に示す。
化合物I−11と同様な製造方法で、化合物I−56、I−57を合成した。各化合物の構造と物性値を表1に示す。
化合物I−15と同様な製造方法で、化合物I−59、I−77を合成した。各化合物の構造と物性値を表1および表3に示す。
化合物I−16と同様な製造方法で、化合物I−60を合成した。化合物の構造と物性値を表1に示す。
化合物I−18と同様な製造方法で、化合物I−61を合成した。化合物の構造と物性値を表1に示す。
化合物I−19と同様な製造方法で、化合物I−69、I−70を合成した。各化合物の構造と物性値を表2に示す。
化合物I−20と同様な製造方法で、化合物I−105を合成した。化合物の構造と物性値を表7に示す。
【0230】
化合物I−21と同様な製造方法で、化合物I−65、I−67を合成した。各化合物の構造と物性値を表2に示す。
化合物I−22と同様な製造方法で、化合物I−76、I−120を合成した。各化合物の構造と物性値を表3および表8に示す。
化合物I−24と同様な製造方法で、化合物I−66、I−119を合成した。各化合物の構造と物性値を表2および表8に示す。
化合物I−25と同様な製造方法で、化合物I−78、I−79、I−89、I−125、I−126、I−127、I−128を合成した。各化合物の構造と物性値を表3、表5および表9に示す。
化合物I−31と同様な製造方法で、化合物I−92、I−93、I−94、I−95を合成した。各化合物の構造と物性値を表5に示す。
化合物I−32と同様な製造方法で、化合物I−62、I−72、I−73、I−74、I−75、I−90、I−91、I−96、I−109を合成した。各化合物の構造と物性値を表1、表2、表3、表5および表7に示す。
化合物I−33と同様な製造方法で、化合物I−58、I−63、I−71、I−106、I−110を合成した。各化合物の構造と物性値を表1、表2および表7に示す。
【0231】
化合物I−34と同様な製造方法で、化合物I−64、I−68、I−80、I−81、I−86、I−97、I−100、I−113を合成した。各化合物の構造と物性値を表2、表3、表4、表6および表8に示す。
化合物I−35と同様な製造方法で、化合物I−82、I−83、I−84、I−85、I−87、I−98、I−99、I−101、I−102、I−103、I−104、I−111、I−112、I−114、I−122、I−123を合成した。各化合物の構造と物性値を表4、表6、表7、表8および表9に示す。
化合物I−36と同様な製造方法で、化合物I−88を合成した。化合物の構造と物性値を表4に示す。
化合物I−37と同様な製造方法で、化合物I−107、I−115、I−116、I−117、I−118、I−131を合成した。各化合物の構造と物性値を表7、表8および表10に示す。
化合物I−39と同様な製造方法で、化合物I−124、I−129を合成した。各化合物の構造と物性値を表9および表10に示す。
化合物I−40と同様な製造方法で、化合物I−149、I−150、I−152を合成した。各化合物の構造と物性値を表13に示す。
化合物I−41と同様な製造方法で、化合物I−130を合成した。化合物の構造と物性値を表10に示す。
【0232】
化合物I−43と同様な製造方法で、化合物I−108を合成した。化合物の構造と物性値を表7に示す。
化合物I−45と同様な製造方法で、化合物I−121を合成した。化合物の構造と物性値を表9に示す。
化合物I−46と同様な製造方法で、化合物I−132、I−133、I−134、I−137、I−138、I−139、I−140を合成した。各化合物の構造と物性値を表11および表12に示す。
化合物I−47と同様な製造方法で、化合物I−141、I−142を合成した。各化合物の構造と物性値を表12に示す。
化合物I−49と同様な製造方法で、化合物I−135を合成した。化合物の構造と物性値を表11に示す。
化合物I−50と同様な製造方法で、化合物I−136、I−143を合成した。各化合物の構造と物性値を表11および表12に示す。
化合物I−53と同様な製造方法で、化合物I−144を合成した。化合物の構造と物性値を表12に示す。
【0233】
【表1】
【0234】
【表2】
【0235】
【表3】
【0236】
【表4】
【0237】
【表5】
【0238】
【表6】
【0239】
【表7】
【0240】
【表8】
【0241】
【表9】
【0242】
【表10】
【0243】
【表11】
【0244】
【表12】
【0245】
【表13】
【0246】
試験例1
TACE阻害実験(インビトロ)
TACEの塩基配列はモス(Moss)らにより報告されている(Moss, M. L. et al., Nature 1997, 385, 733-736)。したがって、THP−1細胞などから定法にしたがってTACEのcDNAを取得し、これを発現ベクターに組み込み、次いでこのベクターを哺乳動物細胞あるいは昆虫細胞に形質転換し、TACEを発現取得した。
TACE阻害実験は、前記のようにして得られたTACEを酵素として用い、また基質としては、膜結合型TNFのTACE切断配列を含んだ蛍光合成基質 Nma(N−メチルアントラニル酸)-Leu-Ala-Gln-Ala-Val-Arg-Ser-Ser-Lys(Dnp(ジニトロフェニル))-D-Arg-NH2 を用いて、被験物質存在下または非存在下におけるTACEの活性を測定することにより行った。以下にTACE阻害実験の方法を示した。
すなわち、アッセイバッファーA(200mM塩化ナトリウム、5mM塩化カルシウム、10μM硫酸亜鉛、2mg/mL牛血清アルブミンを含む、50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5))にて調製した酵素液90μL、及びアッセイバッファーB(200mM塩化ナトリウム、5mM塩化カルシウム、10μM硫酸亜鉛、0.05%PLURONIC F−68を含む、50mM トリス−塩酸緩衝液(pH7.5))にて20μMに調製した蛍光合成基質90μLを混合し、37℃で1.5時間反応させた。この後、蛍光強度計(Labsystems, Fluoroskan Ascent)にて、励起波長355nm、測定波長460nmの条件で測定し、酵素活性を求めた。
被験物質の存在下及び非存在下の酵素活性より阻害率を求め、50%抑制濃度(IC50)を算出した。
表14(1)および(2)ならびに表15(1)および(2)はTACE阻害評価の結果を示している。IC50値が100nM未満のIC50値を有する化合物は、文字「A」で示され、100nM以上1000nM未満のIC50値を有する化合物は、文字「B」で示される。
【0247】
【表14】
【0248】
【表15】
【0249】
試験例2
MMP阻害実験
MMP阻害実験は、例えばビケット(Bickett)ら(D. Mark Bickett et al., Anal. Biochem., 1993, 212, 58-64)及びナガセ(Nagase)ら(H. Nagase et al., J. Biol. Chem., 1994, 269, 20952-20957)の方法に準じて、蛍光合成基質を用いて行うことができる。以下に各MMPの阻害実験の方法を示した。
【0250】
MMP−1阻害実験
ヒトMMP−1(Calbiochem#444208)180μL(100ng)は、10mMのp−アミノフェニル水銀アセテート(APMA)20μLと混和し、37℃で1時間反応させることによって活性化した。この酵素液20μLをアッセイバッファーAにて90μLに希釈し、これをアッセイバッファーBにて調製した20μMの蛍光基質(Dnp-Pro-Cha(β-シクロヘキシルアラニル)-Gly-Cys(Me)-His-Ala-Lys(Nma)-NH2)90μLに添加して、37℃で5時間反応させた。この後、蛍光強度計(Labsystems, Fluoroskan Ascent)にて、励起波長355nm、測定波長460nmの条件で測定し、酵素活性を求めた。
被験物質の存在下及び非存在下の酵素活性より阻害率を求め、50%抑制濃度(IC50)を算出した。
【0251】
MMP−2阻害実験
ヒトMMP−2(Calbiochem#444213)90μL(5ng)は、10mMのAPMA10μLと混和し、37℃で1時間反応させることによって活性化した。この酵素液10μLをアッセイバッファーAにて90μLに希釈し、これをアッセイバッファーBにて調製した20μMの蛍光基質
(MOCAc((7-methoxycoumarin-4-yl)acetyl)-Pro-Leu-Gly-Leu-A2pr(Dnp)-Ala-Arg-NH2、ペプチド研究所#3163-v)90μLに添加して、37℃で5時間反応させた。この後、蛍光強度計(Labsystems、Fluoroskan Ascent)にて、励起波長320nm、測定波長405nmの条件で測定し、酵素活性を求めた。
被験物質の存在下及び非存在下の酵素活性より阻害率を求め、50%抑制濃度(IC50)を算出した。
【0252】
MMP−3阻害実験
アッセイバッファーAにて調製したヒトMMP−3(Calbiochem#444217)90μL(1.5ng)を、アッセイバッファーBにて調製した20μMの蛍光基質NFF−3(MOCAc((7-methoxycoumarin-4-yl)acetyl)-Arg-Pro-Lys-Pro-Val-Glu-Nva-Trp-Arg-Lys(Dnp)-NH2、ペプチド研究所#3168-v)90μLに添加して、37℃で4時間反応させた。この後、蛍光強度計(Labsystems, Fluoroskan Ascent)にて、励起波長320nm、測定波長405nmの条件で測定し、酵素活性を求めた。
被験物質の存在下及び非存在下の酵素活性より阻害率を求め、50%抑制濃度(IC50)を算出した。
【0253】
MMP−8阻害実験
ヒトMMP−8(Calbiochem#444229) 90μL(29ng)は、10mMのAPMA10μLと混和し、37℃で1時間反応させることによって活性化した。この酵素液10μLをアッセイバッファーAにて90μLに希釈し、これをアッセイバッファーBにて調製した20μMの蛍光基質(MOCAc-Pro-Leu-Gly-Leu-A2pr(Dnp)-Ala-Arg-NH2、ペプチド研究所#3163-v)90μLに添加して、37℃で5時間反応させた。この後、蛍光強度計(Labsystems, Fluoroskan Ascent)にて、励起波長320nm、測定波長405nmの条件で測定し、酵素活性を求めた。
被験物質の存在下及び非存在下の酵素活性より阻害率を求め、50%抑制濃度(IC50)を算出した。
【0254】
MMP−9阻害実験
ヒトMMP−9(Calbiochem#444231)90μL(11ng)は、10mMのAPMA10μLと混和し、37℃で2時間反応させることによって活性化した。この酵素液10μLをアッセイバッファーAにて90μLに希釈し、これをアッセイバッファーBにて調製した20μMの蛍光基質(Dnp-Pro-Cha-Gly-Cys(Me)-His-Ala-Lys(Nma)-NH2)90μLに添加して、37℃で4時間反応させた。この後、蛍光強度計(Labsystems, Fluoroskan Ascent)にて、励起波長355nm、測定波長460nmの条件で測定し、酵素活性を求めた。
被験物質の存在下及び非存在下の酵素活性より阻害率を求め、50%抑制濃度(IC50)を算出した。
【0255】
MMP−13阻害実験
ヒトMMP−13(Chemicon#CC068)90μL(18ng)またはヒトMMP13(Calbiochem#444287) 90μL(130ng)は、10mMのAPMA10μLと混和し、37℃で1時間反応させることによって活性化した。この酵素液10μLをアッセイバッファーAにて90μLに希釈し、これをアッセイバッファーBにて調製した20μMの蛍光基質(Dnp-Pro-Cha-Gly-Cys(Me)-His-Ala-Lys(Nma)-NH2)90μLに添加して、37℃で4時間反応させた。この後、蛍光強度計(Labsystems, Fluoroskan Ascent)にて、励起波長355nm、測定波長460nmの条件で測定し、酵素活性を求めた。
被験物質の存在下及び非存在下の酵素活性より阻害率を求め、50%抑制濃度(IC50)を算出した。
【0256】
MMP−14阻害実験
アッセイバッファーAにて調製したヒトMMP−14(Calbiochem#475935)90μL(1.9ng)を、アッセイバッファーBにて調製した20μMの蛍光基質(Dnp-Pro-Cha-Gly-Cys(Me)-His-Ala-Lys(Nma)-NH2)90μLに添加して、37℃で5時間反応させた。この後、蛍光強度計(Labsystems, Fluoroskan Ascent)にて、励起波長355nm、測定波長460nmの条件で測定し、酵素活性を求めた。
被験物質の存在下及び非存在下の酵素活性より阻害率を求め、50%抑制濃度(IC50)を算出した。
【0257】
MMP−17阻害実験
アッセイバッファーAにて調製したヒトMMP−17(Calbiochem#475940)90μL(5.8ng)を、アッセイバッファーBにて調製した20μMの蛍光基質(MOCAc-Pro-Leu-Gly-Leu-A2pr(Dnp)-Ala-Arg-NH2、ペプチド研究所#3163-v)90μLに添加して、室温で5時間反応させた。この後、蛍光強度計(Labsystems, Fluoroskan Ascent)にて、励起波長320nm、測定波長405nmの条件で測定し、酵素活性を求めた。
被験物質の存在下及び非存在下の酵素活性より阻害率を求め、50%抑制濃度(IC50)を算出した。
本試験により得られた、本発明のピリドン誘導体のMMPsに対する50%阻害濃度を表16に示す。
【0258】
【表16】
【0259】
試験例3
マウスTPA(12−O−テトラデカノイルホルボール−13−アセタート)単回塗布により誘発される耳介浮腫の抑制実験(TNF−αが関与する皮膚炎症モデルでのインビボ薬効試験)
BALB/cマウスの左耳の内外両側に、TPAの54μmol/Lアセトン溶液をそれぞれ10μLずつ塗布(1.08nmol TPA/耳介)して、耳介浮腫を誘発した。非誘発群には、TPAの54μmol/Lアセトン溶液の代わりにアセトンを同様に塗布した。被験物質は、10vol% DMSO含有アセトン(経皮投与媒体)で被験物質の1w/v%溶液を調製し、TPA塗布前1時間にマウス左耳の内外両側にそれぞれ10μLずつ塗布した。対照群には、被験物質の溶液の代わりに経皮投与媒体を同様に塗布した。エタネルセプト群には、TPA塗布前日及び塗布前1.5時間に5mg/mLのエタネルセプト溶液を0.2mL静脈内投与(1mg/匹)した。ヒトIgG(hIgG)群(エタネルセプトの対照群)には5mg/mLのhIgG溶液を0.2mL静脈内投与(1mg/匹)した。TPA塗布前日及び塗布後6時間に、エーテル麻酔下で耳介厚さを測定し、耳介厚さの増加量を指標に被験物質の耳介浮腫抑制作用を評価した。
【0260】
被験物質の耳介浮腫抑制率(%)は、被験物質を投与した群の耳介厚さの増加量の平均値(A)、非誘発群の耳介厚さの増加量の平均値(B)及び対照群の耳介厚さの増加量の平均値(C)を用い、次式により算出した。

被験物質の耳介浮腫抑制率(%)=(C−A)/(C−B)×100
A:被験物質を投与した群の耳介厚さの増加量の平均値
B:非誘発群の耳介厚さの増加量の平均値
C:対照群の耳介厚さの増加量の平均値

エタネルセプトの耳介浮腫抑制率(%)は、非誘発群の耳介厚さの増加量の平均値(B)、エタネルセプト群の耳介厚さの増加量の平均値(D)及びhIgG群の耳介厚さの増加量の平均値(E)を用い、次式により算出した。

エタネルセプトの耳介浮腫抑制率(%)=(E−D)/(E−B)×100
D:エタネルセプト群の耳介厚さの増加量の平均値
E:hIgG群の耳介厚さの増加量の平均値

また、各被験物質の耳介浮腫抑制率(%)を、陽性対照とした同一試験中でのエタネルセプトの耳介浮腫抑制率(%)と比較して、次式によりそれぞれエタネルセプト比を算出した。
エタネルセプト比=被験物質の耳介浮腫抑制率(%)/エタネルセプトの
耳介浮腫抑制率(%)

本試験により得られた、本発明のピリドン誘導体の耳介浮腫抑制率(%)及びそれらのエタネルセプト比を表17に示す。
【0261】
【表17】
【0262】
本発明の化合物は経皮投与によってすでに上市されているTNF−αを介する疾患用の薬剤であるエタネルセプトの静脈内投与よりも優れた効果を示した。
【0263】
試験例4
ヘアレスマウス 経皮投与PK試験
静脈内投与方法
ジエチルエーテル麻酔下のヘアレスマウス(摂食)に尾静脈より被験物質(0.1〜0.5mg/5mL/kg)を単回静脈内投与した。
経皮投与方法
ジエチルエーテル麻酔下のヘアレスマウス(摂食)の背部皮膚に油性ペンを用いて投与部位4cm(2cm×2cm)をマーキングした。投与部位に被験物質50μL/animal(1w/v%マクロゴール400溶液)を塗布した。約2cm×2cmのガーゼ(BEMCOT(登録商標))を約4cm×4cmのポリエチレンシートに両面テープを用い固定し、ガーゼ面を被験物質塗布面の上に被せる。その上に粘着性伸縮包帯(エラストポア、約10cm)を貼付し、被験物質塗布面を固定、保護した。その後ケージへ戻し個別飼育を行う。投与後24時間に、閉塞塗布が正常に行われていることを確認した。
採血方法
無麻酔下のマウスの尾静脈をカミソリで切り、マイクロピペットを用いて尾静脈から採血した。静脈内投与の採血時点は投与後5分、15分、30分、1時間、3時間および6時間とし、各2匹のマウスから採血を行った。経皮投与の採血時点は投与後30分、1時間、3時間、6時間および24時間とし、各2匹のマウスから採血を行った。各時点での採血量はそれぞれ約30〜50μLとした。血液はヘパリンナトリウム(1000単位/mL)2μLを添加したチューブに移し、遠心分離(4℃、19,200×g、10min)して血漿を得た。血漿は設定温度−30℃のフリーザー内で凍結保存した。
血漿中の被験物質濃度の測定方法
前記方法によって得た凍結保存した血漿は、室温で解凍し、メタノールを用いて除タンパクしたのち、被験物質の血漿中濃度を測定した。血漿中濃度の測定には、CTC Analytics製HTC PALハイスループットLC注入システム、サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製AccelaおよびTSQ Quantum Ultraを用いた。
経皮吸収率の算出方法
前記方法によって得た血漿中の被験物質濃度より、AUC(血漿中濃度曲線下面積)を算出し、以下の式を用いて経皮吸収率を算出した。
経皮吸収率(%)=((Div×AUCpc)/(Dpc×AUCiv))×100
Div:静脈内投与時の被験物質の投与量
Dpc:経皮投与時の被験物質の投与量
AUCiv:静脈内投与後の被験物質の血漿中濃度曲線下面積
AUCpc:経皮投与後の被験物質の血漿中濃度曲線下面積
【0264】
上記試験により、本発明の化合物は経皮投与における経皮吸収性を有することが確認された。よって、本発明の化合物は良好な皮膚透過性も有していることが推認された。
【産業上の利用可能性】
【0265】
本発明の式(I)で表されるピリドン誘導体またはその塩は、優れた選択的TACE阻害作用を示し、TNF−αが関連する疾患の治療および予防用医薬の有効成分として有用である。