特許第6091485号(P6091485)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社きもとの特許一覧

特許6091485表面保護シート、電子機器及び電子機器部品の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6091485
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】表面保護シート、電子機器及び電子機器部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/40 20060101AFI20170227BHJP
【FI】
   B32B27/40
【請求項の数】9
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-502220(P2014-502220)
(86)(22)【出願日】2013年2月25日
(86)【国際出願番号】JP2013054825
(87)【国際公開番号】WO2013129339
(87)【国際公開日】20130906
【審査請求日】2015年11月24日
(31)【優先権主張番号】特願2012-44918(P2012-44918)
(32)【優先日】2012年3月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000125978
【氏名又は名称】株式会社きもと
(74)【代理人】
【識別番号】100111419
【弁理士】
【氏名又は名称】大倉 宏一郎
(72)【発明者】
【氏名】柴田 寛
(72)【発明者】
【氏名】西永 光
【審査官】 加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/013497(WO,A1)
【文献】 特開平06−287470(JP,A)
【文献】 特開2011−046084(JP,A)
【文献】 特開2010−095707(JP,A)
【文献】 特開2011−190357(JP,A)
【文献】 特開2010−128363(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/090116(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/034035(WO,A1)
【文献】 特開2008−255301(JP,A)
【文献】 特開2006−169440(JP,A)
【文献】 特開2011−224956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 27/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面に保護膜を有する表面保護シートにおいて、
前記保護膜は、硬化性組成物の硬化物で構成されており、
前記硬化性組成物は、コーティング材と硬化型樹脂(前記コーティング材の範疇に属するものを除く)を含み、
前記コーティング材は、下記化合物Aと、少なくとも下記化合物B、C及びDの反応物と、の反応物で構成してあることを特徴とする表面保護シート。
化合物A:側鎖に水酸基を有するアクリルポリマー(化合物Dの範疇に属するものを除く)
化合物B:ジイソシアネート、
化合物C:ポリエーテルポリオール、
化合物D:水酸基および光重合性基を併有する光重合性化合物。

【請求項2】
請求項1記載の表面保護シートにおいて、前記硬化性組成物は、コーティング材と硬化型樹脂の総量を100質量部としたときに、コーティング材を2質量部以上40質量部以下、硬化型樹脂を60質量部以上98質量部以下、の各範囲で含むことを特徴とする表面保護シート。
【請求項3】
請求項1又は2記載の表面保護シートにおいて、前記硬化型樹脂として、電離放射線硬化型樹脂を用いたことを特徴とする表面保護シート。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の表面保護シートをその基材側が対向するように電子機器本体に対して配置した電子機器。
【請求項5】
請求項4記載の電子機器において、前記電子機器本体が静電容量式タッチパネルであることを特徴とする電子機器。
【請求項6】
電子機器を構成する部品本体に対して、請求項1〜3の何れかに記載の表面保護シートをその保護膜側が対向するように接触させ、その後、該表面保護シートの基材を取り除き、前記部品本体の表面に保護膜を形成することを特徴とする電子機器部品の製造方法。
【請求項7】
電子機器を構成する部品本体の原料を、請求項1〜3の何れかに記載の表面保護シートと成型により一体化させ、前記部品本体の表面に保護膜を形成することを特徴とする電子機器部品の製造方法。
【請求項8】
請求項6又は7記載の方法において、前記電子機器が静電容量式タッチパネルであることを特徴とする電子機器部品の製造方法。
【請求項9】
電子機器を構成する部品本体の表面に、請求項1〜3の何れかに記載の表面保護シートを一体成型した電子機器部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面保護シート、該表面保護シートを備えた電子機器、及び電子機器を構成する部品(電子機器部品)の製造方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチパネル、ディスプレイパネル、レンズ、ガラスなどの各種光学部材には、指紋痕などの汚れが付着しやすく、また、汚れが付着すると視認性が低下する。このため、汚れの付着を抑制する性能(防汚性)を付与し、指紋汚れなどを目立ちにくくすることや、付着した汚れの拭き取り易さ(拭取り性)を向上させることが要求されている。さらに、近年、タッチパネルなどに用いられる光学部材については、その表面を滑り易くする性能(滑り性)を付与し、操作性を向上させることも要求されている。
【0003】
このような要求に応える方法としては、例えば、光学部材の表面にフィルムを積層し、防汚性、拭取り性、滑り性などを付与することが知られている(特許文献1,2)。
【0004】
特許文献1には、ウレタンアクリレート、光ラジカル重合開始剤、フッ素系添加剤および溶剤を含む塗布液を乾燥および硬化させて得られるハードコート層を基材表面に積層したハードコートフィルムが記載されている。
【0005】
特許文献2には、電離放射線硬化型樹脂組成物と、イソシアヌル酸のエチレンオキサイドおよびε−カプロラクトン付加物のトリアクリレートと、光重合開始剤と、プロピレングリコールモノメチルエーテルを含む塗布液を乾燥および硬化させて得られるハードコート層を基材表面に積層した積層体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−017991号公報
【特許文献2】WO2009/090803
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のハードコートフィルムは、滑り性に優れるものの、指紋などの汚れが目立ち(防汚性に劣る)、また、拭取り性にも劣るという不具合があった。
【0008】
特許文献2の積層体では、汚れが目立ちにくく(防汚性に優れる)、また、拭取り性にも優れるものの、滑り性が十分ではなかった。そのため、電子機器の光学部材などに用いた場合、操作性が十分ではなかった。
【0009】
本発明の一側面では、防汚性の向上が図られており、かつ優れた拭取り性と滑り性が確保された表面保護シートを提供する。他の側面では、こうした表面保護シートを備えた電子機器を提供する。さらに他の側面では、防汚性の向上が図られており、かつ優れた拭取り性と滑り性が確保された保護膜を有する、電子機器を構成する部品及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、硬化型樹脂と特定組成のコーティング材を含む特定組成の硬化性組成物の硬化物で保護膜を構成したときに、その保護膜の防汚性の向上が図られ、かつ優れた拭取り性と滑り性を確保可能であることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
本発明の表面保護シートは、基材の表面に保護膜を有し、前記保護膜は硬化性組成物の硬化物で構成されており、前記硬化性組成物はコーティング材と硬化型樹脂を含み、前記コーティング材は少なくとも化合物A、B、C及びDの反応物で構成してあることを特徴とする。
【0012】
本発明において、化合物Aは側鎖に水酸基を有するアクリルポリマー、化合物Bはジイソシアネート、化合物Cはポリエーテルポリオール、化合物Dは水酸基および光重合性基を併有する光重合性化合物を意味する。
【0013】
本発明の電子機器は、本発明の表面保護シートをその基材側が対向するように電子機器本体に対して配置して構成したことを特徴とする。
本発明の電子機器部品は、電子機器を構成する部品本体の表面に本発明の保護膜を有する特徴とする。
本発明の電子機器部品は、電子機器を構成する部品本体の表面に本発明の表面保護シートを一体成型したことを特徴とする。
【0014】
本発明の電子機器部品の製造方法は、電子機器を構成する部品本体に対して、本発明の表面保護シートをその保護膜側が対向するように接触させ、その後、該表面保護シートの基材を取り除き、前記部品本体の表面に保護膜を形成することを特徴とする。
本発明の電子機器部品の製造方法は、電子機器を構成する部品本体の原料を、本発明の表面保護シートと成型により一体化させ、前記部品本体の表面に保護膜を形成することを特徴とする。
【0015】
本発明は、以下の態様を含む。
(1)硬化性組成物中の含有量を、コーティング材と硬化型樹脂の総量を100質量部としたとき、コーティング材:2質量部以上40質量部以下、硬化型樹脂:60質量部以上98質量部以下とすることができる。
(2)コーティング材は、少なくとも化合物A、B、C及びDの反応物であればよい。従って、化合物A、B、C、D及びD1の反応物で構成することもできる。ここで化合物D1は水酸基を有さず、かつ光重合性基を有する光重合性化合物を意味する。
【0016】
(3)硬化型樹脂として、電離放射線硬化型樹脂を用いることができる。
(4)本発明の電子機器において、電子機器本体として静電容量式タッチパネルを用いてもよい。本発明の電子機器部品及びその製造方法において、電子機器として静電容量式タッチパネルを用いてもよい。電子機器部品としては、例えばタッチパネルの筐体などが挙げられる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、硬化型樹脂と特定組成のコーティング材を含む特定組成の硬化性組成物の硬化物で保護膜を構成するので、防汚性の向上が図られ、かつ優れた拭取り性と滑り性が確保された表面保護シート、電子機器及び電子機器部品を提供することができる。
本発明の電子機器部品の製造方法によると、防汚性の向上が図られ、かつ優れた拭取り性と滑り性が確保された保護膜を有する電子機器部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は本発明の表面保護シートの一例を示す断面図である。
図2A図2Aは本発明の部品の製造方法の一例を示す第1工程図である。
図2B図2B図2Aに続く第2工程図である。
図2C図2C図2Bに続く第3工程図である。
図2D図2D図2Cに続く第4工程図である。
図3A図3Aは本発明の部品の製造方法の一例を示す第1工程図である。
図3B図3B図3Aに続く第2工程図である。
図3C図3C図3Bに続く第3工程図である。
図3D図3D図3Cに続く第4工程図である。
図4図4は滑り性評価の一方法を示す概略図である。
【符号の説明】
【0019】
1…表面保護シート、2…基材、3…保護膜、4…電子機器本体、4a…電子機器、5…電子機器を構成する部品本体、6…電子機器を構成する部品。
【発明を実施するための形態】
【0020】
まず、本発明の表面保護シートの一例を説明する。図1に示すように、本例の表面保護シート1は、基材2上に保護膜3を積層して構成してある。
【0021】
基材2としては、特に制限されず、例えば、フィルム状、シート状、プレート状など、種々の公知の基材が挙げられる。また、基材2は、その表面が、例えば、平坦であってもよく、また、凸凹形状であってもよい。さらに、基材2は、三次元曲面を有する立体的な形状であってもよい。このような基材2として、具体的には、例えば、ガラス板などの硬質基材、例えば、樹脂基材などの可撓性基材などが挙げられ、好ましくは可撓性基材が挙げられる。
【0022】
樹脂基材における樹脂としては、特に制限されないが、基材2がフィルム状の基材である場合には、例えば、アクリル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、アセチルセルロース、シクロオレフィンなどが挙げられる。また、基材2がプレート状の基材である場合には、例えばアクリル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルなどが挙げられる。これら樹脂は、単独使用または2種類以上併用することができる。基材2として、好ましくは透明性の基材が挙げられ、具体的には、ガラス基材や、ポリエステルからなる樹脂基材が挙げられる。基材2の厚み(凹凸形状である場合には、その最大厚み)は、例えば4μm〜10mm、好ましくは25μm〜500μm、さらに好ましくは38μm〜250μmである。
【0023】
基材2の表面には、必要により、保護膜3との接着性を向上させる目的で、易接着処理が施してあってもよい。易接着処理としては、例えば、プラズマ処理、コロナ放電処理、遠紫外線照射処理、下引き易接着層の形成など、公知の方法が挙げられる。
【0024】
本例の保護膜3は、硬化性組成物の硬化物で構成される。本例の硬化性組成物は、コーティング材と、硬化型樹脂とを含有する。
【0025】
本例のコーティング材は、少なくとも化合物A、化合物B、化合物C及び化合物Dの反応物で構成される。本例では、化合物Aは側鎖に水酸基を有するアクリルポリマー、化合物Bはジイソシアネート、化合物Cはポリエーテルポリオール、化合物Dは水酸基および光重合性基を併有する光重合性化合物を意味する。
【0026】
化合物A(側鎖に水酸基を有するアクリルポリマー)は、単量体組成物の重合物で構成される。本例の単量体組成物は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分として含み、さらに、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な水酸基含有ビニルモノマーを含む。
【0027】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、メタクリル酸アルキルエステルおよび/またはアクリル酸アルキルエステルであって、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸へプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタジエニルなどが挙げられる。これら(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独使用または2種類以上併用することができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、好ましくは(メタ)アクリル酸メチルや(メタ)アクリル酸ブチルが挙げられ、より好ましくは(メタ)アクリル酸メチルが挙げられ、特に好ましくはメタクリル酸メチル(MMA)が挙げられる。
【0028】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの配合割合は、単量体組成物の総量に対して、例えば40質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上であって、通常100質量%未満である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(特に(メタ)アクリル酸メチル)の配合割合が上記範囲であれば、化合物Aのガラス転移温度を高く設定することができ、コーティング材を用いて得られるコーティング面において、優れた滑り性を確保することができる。
【0029】
水酸基含有ビニルモノマーは、水酸基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルであって、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸N−ヒドロキシメチルアミドなどが挙げられる。これら水酸基含有ビニルモノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。
水酸基含有ビニルモノマーとして、好ましくは(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルが挙げられ、より好ましくはアクリル酸2−ヒドロキシエチル(2−HEA)が挙げられる。
【0030】
水酸基含有ビニルモノマーの配合割合は、単量体組成物の総量に対して、例えば、50質量%以下、好ましくは40質量%以下であって、通常5質量%以上である。
【0031】
本例の単量体組成物は、さらに、(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび/または水酸基含有ビニルモノマーと共重合可能な共重合性ビニルモノマーを含有することができる。
共重合性ビニルモノマーとしては、例えば、エポキシ基含有ビニルモノマー、アミド基含有ビニルモノマー、シアノ基含有ビニルモノマー、イミド基含有ビニルモノマー、カルボキシル基含有ビニルモノマー、アルコキシポリアルキレングリコール基含有ビニルモノマーなどの官能基含有ビニルモノマー(水酸基含有ビニルモノマーを除く。)が挙げられる。すなわち所定の官能基群(例えばエポキシ基、アミド基、シアノ基、イミド基、カルボキシル基、アルコキシポリアルキレングリコール基など)から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有し、かつ水酸基を含有しない共重合性ビニルモノマーが挙げられる。
【0032】
エポキシ基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどが挙げられる。
アミド基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−ビニルカルボン酸アミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどが挙げられる。なかでも、好ましくは、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドが挙げられ、より好ましくはN,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)が挙げられる。
【0033】
シアノ基含有ビニルモノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
イミド基含有ビニルモノマーとしては、例えば、N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系モノマー; 例えば、N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミドなどのイタコンイミド系モノマー; 例えば、N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマー; が挙げられる。
【0034】
カルボキシ基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸などの不飽和カルボン酸; 例えば、無水フマル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸無水物; 例えば、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸などの不飽和ジカルボン酸モノエステル; 例えば、2−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸、2−メタクリロイルオキシエチルピロメリット酸などの不飽和トリカルボン酸モノエステル; 例えば、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレートなどのカルボキシアルキルアクリレート; が挙げられる。
アルコキシポリアルキレングリコール基含有ビニルモノマーとしては、例えば、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0035】
また、共重合性ビニルモノマーとして、さらに、ラジカル重合可能な官能基を複数有する多官能モノマーが挙げられる。
多官能モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレートや、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの他、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
【0036】
また、共重合性ビニルモノマーとしては、上記した共重合性ビニルモノマー以外に、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類; 例えば、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレンなどのオレフィン系モノマー; 例えば、(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリールエステル; 例えば、スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル類; 例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどのアルコキシ基含有モノマー; 例えば、ビニルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー; 例えば、塩化ビニルなどのハロゲン原子含有モノマー; 例えば、N−ビニルピロリドン、N−(1−メチルビニル)ピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−ビニルモルホリン、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリロイルモルホリンなどのビニル基含有複素環化合物; 例えば、フッ素原子などのハロゲン原子を含有するアクリル酸エステル系モノマー; などが挙げられる。
【0037】
共重合性ビニルモノマーとして、好ましくは官能基含有ビニルモノマー、より好ましくはアミド基含有ビニルモノマーが挙げられる。これら共重合性ビニルモノマーは、単独使用または併用することができる。
共重合性ビニルモノマーが用いられる場合において、その配合割合は、単量体組成物の総量に対して、例えば10〜50質量%、好ましくは20〜40質量%である。
【0038】
上記した単量体組成物を重合させることにより、化合物Aを得ることができる。重合方法としては、例えば、乳化重合(懸濁重合を含む)、溶液重合、塊状重合などが挙げられ、好ましくは乳化重合、溶液重合が挙げられる。
【0039】
乳化重合では、例えば、上記した単量体組成物とともに、重合開始剤、乳化剤、必要に応じて連鎖移動剤などを、水中において配合して重合する。より具体的には、例えば、一括仕込み法(一括重合法)、分割仕込み法(多段重合法)などの公知の乳化重合法を採用することができる。なお、反応条件などは、適宜選択される。
重合開始剤としては、特に制限されず、乳化重合に通常使用される重合開始剤が用いられる。例えば、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、カプロイルパーオキシド、t−ヘキシルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシビバレートなどの有機過酸化物; 例えば、2,2−アゾビス−iso−ブチロニトリル、2,2−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビス−2−メチルブチロニトリル(ABN−E、日本ヒドラジン工業社製)などのアゾ化合物; が挙げられる。これら重合開始剤は、単独使用または2種以上併用することができる。これら重合開始剤のうち、好ましくはアゾ化合物が挙げられる。重合開始剤の配合割合は、適宜選択されるが、単量体組成物100質量部に対して、例えば0.01〜5質量部である。
【0040】
乳化剤としては、特に制限されず、乳化重合に通常使用される公知の乳化剤(例えば、アニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤など)が用いられる。乳化剤の配合割合は、単量体組成物100質量部に対して、例えば0.1〜5質量部である。
連鎖移動剤は、必要により配合され、化合物Aの分子量を調節するものであって、例えば、1−ドデカンチオールなどのメルカプタン類などが挙げられる。これら連鎖移動剤は、単独使用または併用することができ、その配合割合は、単量体組成物100質量部に対して、例えば0.1〜1質量部である。
乳化重合によって得られる化合物Aは、エマルション(水分散型)、つまり、化合物Aの水分散液として調製される。化合物Aの水分散液における固形分(不揮発分)濃度は、例えば5〜50質量%である。
【0041】
溶液重合では、上記した単量体組成物とともに、上記した重合開始剤、必要に応じて連鎖移動剤などを、有機溶媒中において配合して重合する。
有機溶媒としては、上記した単量体組成物を溶解できればよく、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系有機溶剤; 酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系有機溶剤; ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドンなどの極性溶剤; メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系有機溶剤; トルエン、キシレン、「ソルベッソ100」(エクソンモービルケミカル社製)などの芳香族炭化水素系有機溶剤; n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、「ロウス」(シェルケミカルズ社製)、「ミネラルスピリットEC」(シェルケミカルズ社製)などの脂肪族炭化水素系/脂環族炭化水素系有機溶剤; メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ系有機溶剤; テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系有機溶剤; n−ブチルカルビトール、iso−アミルカルビトールなどのカルビトール系有機溶剤;などが挙げられる。これら有機溶媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。なお、有機溶媒の配合割合は、目的および用途により、適宜設定される。
【0042】
溶液重合では、上記した単量体組成物を、重合開始剤の存在下、例えば、30〜150℃において、3〜12時間、有機溶媒中で重合させる。
溶液重合によって得られる化合物Aは、有機溶媒溶液(溶液型)、つまり、化合物Aの有機溶媒溶液として調製される。化合物Aの有機溶媒溶液における固形分濃度は、例えば、5〜50質量%、好ましくは、10〜40質量%である。
【0043】
化合物Aの重量平均分子量(Mw)は、例えば5000〜150000、好ましくは10000〜120000である。また、得られる化合物Aの数平均分子量(Mn)は、例えば1000〜50000、好ましくは5000〜50000である。
【0044】
なお、Mw及びMnの値は、例えば、示差屈折率検出器(RID)を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)によって、化合物Aの分子量分布を測定して、得られたクロマトグラム(チャート)から、標準ポリスチレンを検量線として、算出することができる(以下同様)。
【0045】
化合物Aのフォックスの式により求められるガラス転移温度(Tg)は、例えば23℃以上、好ましくは30℃以上、より好ましくは45℃以上、通常120℃以下である。化合物Aのガラス転移温度が上記下限以上であれば、コーティング材を用いて得られるコーティング面において、優れた滑り性を確保することができる。
【0046】
化合物Aを溶液として調製する場合、その粘度(25℃)は、例えば2〜200mPa・s、好ましくは5〜150mPa・sである。なお、粘度は、コーン・プレート粘度計(JIS K 5600−2−3:1999)、「塗料一般試験方法−第2部:塗料の性状・安定性−第3節:粘度(コーン・プレート粘度計法)」に準拠)を用いて測定することができる(以下同様。)。
【0047】
化合物Aの水酸基価(JIS K 1557−1:2007(ISO 14900:2001)、「プラスチック−ポリウレタン原料ポリオール試験方法−第1部:水酸基価の求め方」の4.2 B法に準拠)は、例えば5〜70mgKOH/g、好ましくは10〜50mgKOH/g、より好ましくは10〜45mgKOH/gである。化合物Aの水酸基価が上記範囲であれば、コーティング材を用いて得られるコーティング面において、優れた硬度を確保することができ、また、滑り性の向上を図ることができる。
【0048】
化合物B(ジイソシアネート)としては、例えば、芳香族ジイソシアネート(例えば、トリレンジイソシアネート(2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物)、フェニレンジイソシアネート(m−、p−フェニレンジイソシアネートもしくはその混合物)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシネート(4,4’−、2,4’−または2,2’−ジフェニルメタンジイソシネートもしくはその混合物)、4,4’−トルイジンジイソシアネートなど); 芳香脂肪族ジイソシアネート(例えば、キシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)など)、脂肪族ジイソシアネート(例えば、1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなど); 脂環族ジイソシアネート(例えば、シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロジイソシアネート)、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、ノルボルナンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンなど);が挙げられる。これら化合物Bは、単独使用または2種類以上併用することができる。
化合物Bとして、好ましくは、耐光性、耐黄変性などの観点から、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートが挙げられる。
【0049】
化合物C(ポリエーテルポリオール)は、例えば、低分子量ポリオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなど)または芳香族/脂肪族ポリアミン(例えば、エチレンジアミン、トリレンジアミンなど)を開始剤として、エチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加反応させることによって得られる。例えば、ポリエチレンポリオール、ポリプロピレンポリオール、ポリエチレンポリプロピレンポリオール(ランダムまたはブロック共重合体)などが挙げられる。また、ポリエーテルポリオールとしては、テトラヒドロフランの開環重合により得られるポリテトラメチレンエーテルグリコールなども挙げられる。
これら化合物Cは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0050】
化合物Cの水酸基価(JIS K 1557−1(2007)のB法に準拠)は、例えば3〜600mgKOH/g、好ましくは5〜300mgKOH/gである。
化合物Cの平均官能基数は、例えば1〜8、好ましくは2〜6である。なお、化合物Cの平均官能基数は、開始剤の種類および配合割合から求めることができる。
化合物CのMnは、例えば300〜30000、好ましくは700〜20000である。なお、化合物CのMnは、上記した水酸基価と平均官能基数とから求めることもできる。
【0051】
化合物D(水酸基および光重合性基を併有する光重合性化合物)において、光重合性基は、光重合可能な官能基であって、具体的には、例えば、(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、シンナモイル基、シンナミリデンアセチル基、ベンザルアセトフェノン基、スチリルピリジン基、α−フェニルマレイミド基、フェニルアジド基、スルフォニルアジド基、カルボニルアジド基、ジアゾ基、o−キノンジアジド基、フリルアクリロイル基、クマリン基、ピロン基、アントラセン基、ベンゾフェノン基、スチルベン基、ジチオカルバメート基、キサンテート基、1,2,3−チアジアゾール基、シクロプロペン基、アザジオキサビシクロ基などが挙げられる。光重合性基として、好ましくは、(メタ)アクリロイル基が挙げられる。
【0052】
化合物Dにおいて、水酸基および光重合性基の数は、特に制限されず、1つ(単数)であってもよく、2つ以上(複数)であってもよい。化合物Dが複数の光重合性基を有する場合において、各光重合性基は同一であってもよく、また、互いに異なっていてもよい。
【0053】
化合物Dとしては、例えば、上記した水酸基含有ビニルモノマーなどの、1分子中に1つの水酸基と1つの光重合性基とを有する光重合性化合物、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの、1分子中に1つの水酸基と2つ以上の光重合性基を有する光重合性化合物、例えば、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの、1分子中に2つ以上の水酸基と2つ以上の光重合性基とを有する光重合性化合物、2,2−ジヒドロキシエチルアクリレートなどの、1分子中に2つ以上の水酸基と1つの光重合性基とを有する光重合性化合物などが挙げられる。これら化合物Dは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0054】
また必要により、化合物Dとともに、化合物D1(水酸基を有さずかつ光重合性基を有する光重合性化合物)を併用することができる。
【0055】
化合物D1としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどのアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;
例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;
例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジシクロぺンタジエンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート;
例えば、ビスフェノールAEO付加ジアクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレートまたはそれらのアルキレンオキシド変性体、ジビニルベンゼン、ブタンジオール−1,4−ジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテルジプロピレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、フェニルグリシジルエーテルアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー(AH−600、共栄社化学社製)、フェニルグリシジルエーテルアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー(AT−600、共栄社化学社製)などの1分子中に2つの光重合性基を有する光重合性多官能化合物;
例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、またはそれらのアルキレンオキシド変性体、イソシアヌル酸アルキレンオキシド変性体のトリ(メタ)アクリレートなどの1分子中に3つの光重合性基を有する光重合性多官能化合物;
例えば、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートまたはそれらのアルキレンオキシド変性体などの1分子中に4つの光重合性基を有する光重合性多官能化合物;
例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー(UA−306H、共栄社化学社製)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート,またはそれらのアルキレンオキシド変性体などの1分子中に6つの光重合性基を有する光重合性多官能化合物;などが挙げられる。これら化合物D1は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0056】
なお、化合物Dと化合物D1を併用する場合、それらの配合割合は、化合物Dと化合物D1の総量100質量部に対して、化合物Dが、例えば10〜90質量部、好ましくは50〜70質量部であり、化合物D1が、例えば10〜90質量部、好ましくは30〜50質量%である。
【0057】
そして、コーティング材の製造において、上記した各原料成分(すなわち化合物A、BC及びD)の配合割合は、それらの総量100質量部に対して以下のとおりとする。
化合物A:例えば5〜90質量部、好ましくは10〜80質量部、
化合物B:例えば1〜40質量部、好ましくは5〜30質量部、
化合物C:例えば1〜60質量部、好ましくは5〜40質量部、
化合物D:例えば5〜70質量部、好ましくは10〜50質量部。
【0058】
各原料成分の配合割合を上記範囲とすれば、コーティング材を用いて得られるコーティング面の防汚性の向上を図ることができるとともに、優れた汚れの拭き取り易さを確保することができる。
【0059】
一方、化合物Aの配合割合が上記下限未満であれば、コーティング材を用いて得られるコーティング面の滑り性に劣り、汚れの拭き取り易さを十分に確保できない場合がある。また、化合物Aの配合割合が上記上限を超過すると、コーティング材を用いて得られるコーティング面の防汚性を十分に確保することができず、例えば、指紋などが付着しやすくなる場合がある。
【0060】
化合物Bの配合割合が上記下限未満であれば、コーティング材を用いて得られるコーティング面の防汚性を十分に確保することができず、例えば、指紋などが付着しやすくなる場合がある。また、化合物Bの配合割合が上記上限を超過するときにも、コーティング材を用いて得られるコーティング面の防汚性を十分に確保することができず、例えば、指紋などが付着しやすくなる場合がある。
【0061】
化合物Cの配合割合が上記下限未満であれば、コーティング材を用いて得られるコーティング面の防汚性を十分に確保することができず、例えば、指紋などが付着しやすくなる場合がある。また、化合物Cの配合割合が上記上限を超過すると、コーティング材を用いて得られるコーティング面の滑り性に劣り、汚れの拭き取り易さを十分に確保できない場合がある。
【0062】
化合物Dの配合処方が上記下限未満であれば、コーティング材を用いて得られるコーティング面の滑り性に劣り、汚れの拭き取り易さを十分に確保できない場合がある。また、化合物Dの配合処方が上記上限を超過すると、コーティング材を用いて得られるコーティング面の滑り性に劣り、汚れの拭き取り易さを十分に確保できない場合がある。
【0063】
上記した各成分の反応では、例えば、ワンショット法やプレポリマー法などの公知の方法が採用され、好ましくはプレポリマー法が採用される。
プレポリマー法では、まず、化合物B、C及びDを反応させて分子末端にイソシアネート基および光重合性基を併有するプレポリマーを合成し、その後、得られたプレポリマーのイソシアネート基と、化合物Aが側鎖に有する水酸基とを反応させる。具体的には、まず、化合物Bと、化合物C及びDとを、化合物C及びD中の水酸基に対する化合物B中のイソシアネート基の当量比(NCO/水酸基)が、1を超過、例えば1.1〜10、好ましくは1.5〜4.5となるように処方(混合)し、反応容器中にて、例えば室温〜150℃で、例えば0.5〜24時間、ウレタン化反応させる。
【0064】
ウレタン化反応では、必要により、有機溶媒を配合することができる。有機溶媒としては、例えば、上記した有機溶媒が挙げられる。これら有機溶媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。なお、有機溶媒の配合割合は、目的および用途により、適宜設定される。
【0065】
上記ウレタン化反応においては、必要に応じて、ウレタン化触媒を添加することができる。ウレタン化触媒としては、例えば、ジメチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ビスマス系触媒などが挙げられる。これらウレタン化触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0066】
上記ウレタン化反応においては、必要に応じて、さらに、重合防止剤を配合することができる。重合防止剤としては、例えば、p−ベンゾキノン、p−メトキノン、ナフトキノン、フェナンスラキノン、トルキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノンなどのキノン類、例えば、ハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、モノ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノンなどのハイドロキノン類、例えば、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル・パラクレゾールハイドロキノンモノメチルエーテルなどのフェノール類などが挙げられる。これら重合防止剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。また、これらのうち、好ましくは、フェノール類、さらに好ましくは、p−メトキシフェノールが挙げられる。
【0067】
さらに、必要により、得られるプレポリマーから未反応の化合物Bを、例えば、蒸留や抽出などの公知の除去手段により除去してもよい。また、プレポリマーにおいて、イソシアネート基の平均官能基数は、例えば1〜3.0、好ましくは1〜2.5である。
得られるプレポリマーのMwは、例えば4000〜40000、好ましくは8000〜25000である。得られるプレポリマーのMnは、例えば、1000〜15000、好ましくは2000〜10000である。
【0068】
また、プレポリマーは、上記した有機溶媒の溶液として調製することもでき、その場合には、その固形分濃度は、例えば10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%である。
【0069】
プレポリマーを溶液として調製する場合、その粘度(25℃)は、例えば2〜20mPa・s、好ましくは5〜10mPa・sである。
【0070】
次いで、この方法では、得られたプレポリマーと化合物Aとを、例えば、上記した有機溶媒中において、化合物A中の水酸基に対するプレポリマー中のイソシアネート基の当量比(NCO/水酸基)が、例えば0.7〜1.3、好ましくは0.9〜1.1となるように処方(混合)し、反応容器中にて、例えば室温〜150℃で、例えば0.5〜24時間、ウレタン化反応させる。ウレタン化反応においては、上記と同様、必要に応じて、上記したウレタン化触媒、さらには、重合防止剤を添加することができる。
【0071】
このようなプレポリマー法により得られるコーティング材によれば、コーティング面の防汚性の向上を図ることができるとともに、優れた汚れの拭き取り易さを確保することができる。
【0072】
本例のコーティング材には、必要に応じて、公知の添加剤、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、消泡剤などを添加することができる。
【0073】
このような添加剤は、上記した各原料成分(すなわち化合物A、B、C及びD)の少なくともいずれか、および/または、上記したプレポリマーに予め添加することができ、また、プレポリマーと化合物Aとの反応時に、別途添加することができ、さらに、プレポリマーと化合物Aとの反応により得られるコーティング材に直接添加することもできる。なお、添加剤の配合割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0074】
本例のコーティング材のMwは、例えば5000〜100000、好ましくは10000〜80000である。コーティング材のMnは、例えば1000〜50000、好ましくは4000〜40000である。
本例のコーティング材は、上記した有機溶媒の溶液として調製することもでき、その場合には、その固形分濃度は、例えば10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%である。コーティング材を溶液として調製する場合、その粘度(25℃)は、例えば1〜100mPa・s、好ましくは5〜80mPa・sである。
【0075】
そして、このコーティング材によれば、コーティング面の防汚性の向上を図ることができるとともに、優れた拭取り性と滑り性とを確保することができる。
【0076】
硬化型樹脂としては、例えば、熱硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂などが挙げられる。
熱硬化型樹脂としては、例えば、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、ウレタン系樹脂などが挙げられる。これら熱硬化型樹脂は、単独使用または2種類以上併用することができる。電離放射線硬化型樹脂としては、電離放射線(紫外線または電子線)の照射によって架橋硬化する光重合性プレポリマーを用いることができる。光重合性プレポリマーとしては、好ましくは、1分子中に2個以上のアクリロイル基を有し、架橋硬化することにより3次元網目構造となるアクリル系プレポリマーが挙げられる。
【0077】
アクリル系プレポリマーとして、具体的には、例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、メラミンアクリレート、ポリフルオロアルキルアクリレート、シリコーンアクリレートなどが挙げられる。これらアクリル系プレポリマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。アクリル系プレポリマーとして、好ましくは、ウレタンアクリレートが挙げられる。
光重合性プレポリマーは、それ単独で、電離放射線硬化型樹脂として使用可能である。ただし、架橋硬化性および硬度を向上させる観点から、光重合性プレポリマー(アクリル系プレポリマー)とともに、光重合性モノマーを併用することができる。
【0078】
光重合性モノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ブトキシエチルアクリレートなどの単官能アクリルモノマー; 例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレートなどの2官能アクリルモノマー; 例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチルプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等の多官能(3官能以上)アクリルモノマー;などが挙げられる。これら光重合性モノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。光重合性モノマーの配合割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて適宜設定される。
【0079】
本例では、電離放射線硬化型樹脂として、例えば、電離放射線硬化型有機無機ハイブリッド樹脂を用いてもよい。電離放射線硬化型有機無機ハイブリッド樹脂とは、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)で代表される従来からの複合体と異なり、有機物と無機物の混ざり方が緊密であり、また分散状態が分子レベルかそれに近いもので、電離放射線の照射により、無機成分と有機成分とが反応して、被膜を形成することができるものである。
ハイブリッド樹脂中の無機成分としては、例えば、シリカ、チタニアなどの金属酸化物が挙げられ、好ましくはシリカが挙げられる。シリカとしては、表面に光重合反応性を有する感光性基が導入された反応性シリカが挙げられる。反応性シリカは、平均粒子径が、好ましくは1nm以上であって、好ましくは100nm以下、より好ましくは10nm以下のものを用いる。平均粒子径が所定範囲の反応性シリカを使用することによって、被膜にした時の透明性を維持しやすくなる。ハイブリッド樹脂中での無機成分の含有率は、好ましくは65重量%以下、より好ましくは40重量%以下とする。無機成分の含有率を65重量%以下とすることにより、被膜にした時の透明性を維持しやすくなる。
【0080】
ハイブリッド樹脂中の有機成分としては、前記無機成分(好ましくは反応性シリカ)と重合可能な重合性不飽和基を有する化合物(例えば、分子中に2個以上の重合性不飽和基を有する多価不飽和有機化合物、または分子中に1個の重合性不飽和基を有する単価不飽和有機化合物等)が挙げられる。
【0081】
これら硬化型樹脂は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0082】
硬化型樹脂として、好ましくは電離放射線硬化型樹脂が挙げられる。硬化型樹脂として電離放射線硬化型樹脂を用いれば、得られる硬化物(保護膜3)に優れた耐擦傷性を付与することができる。
【0083】
電離放射線硬化型樹脂は、市販品として得ることができ、具体的には、例えば、ユニディック17−813(ウレタンアクリレート、固形分濃度80質量%、DIC社製)、紫光UV 7600BA(ウレタンアクリレート、固形分濃度80質量%、日本合成化学工業社製)などが挙げられる。
【0084】
硬化型樹脂は、上記した有機溶媒の溶液として調製することもでき、その場合には、その固形分濃度は、例えば10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%である。
【0085】
本例の硬化性組成物は、上記したコーティング材と、硬化型樹脂とを混合および撹拌することにより得ることができる。
硬化性組成物において、コーティング材および硬化型樹脂の配合割合は、それらの総量100質量部に対して、コーティング材(固形分)の配合割合が、好ましくは2質量部以上、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上であり、好ましくは40質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。
また、硬化型樹脂(固形分)の配合割合が、好ましくは60質量部以上、より好ましくは70質量部以上であり、好ましくは98質量部以下、より好ましくは95質量部以下、さらに好ましくは90質量部以下である。
【0086】
本例では、硬化性組成物中にコーティング材が少量でも含まれていれば、防指紋性と滑り性の向上が期待できる。従って本発明ではコーティング材の配合割合は特に限定していない。しかしながら好ましい態様として、コーティング材の配合割合が上記下限(2質量部)以上であれば、防指紋性および滑り性をより良好にすることができる。また、コーティング材の配合割合が上記上限(40質量部)以下であれば、耐湿性や耐擦傷性が低下することを防止することができる。
【0087】
本例では、硬化性組成物中に硬化型樹脂が多量に含まれる場合でも、防指紋性と滑り性の両立は可能である。従って本発明では硬化型樹脂の配合割合も特に限定していない。しかしながら好ましい態様として、硬化型樹脂の配合割合が上記上限(98質量部)以下であれば、防指紋性および滑り性が低下することを防止しやすくできる。また、硬化型樹脂の配合割合が上記下限(60質量部)以上であれば、耐湿性や耐擦傷性を良好にすることができる。
【0088】
なお、硬化型樹脂として電離放射線硬化型樹脂を用い、該電離放射線硬化型樹脂を紫外線照射によって硬化させる場合、上記した光重合性プレポリマーおよび光重合性モノマーの他、必要によりさらに、光重合開始剤や光重合促進剤などの添加剤を、硬化性組成物中に配合することもできる。
【0089】
光重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、チオキサンソン類などが挙げられる。これら光重合開始剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。光重合開始剤が配合される場合において、その配合割合は、コーティング材および硬化型樹脂の総量(固形分)100質量部に対して、例えば3〜7質量部である。
【0090】
光重合促進剤は、硬化時の空気による重合障害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルなどが挙げられる。これら光重合促進剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。光重合促進剤が配合される場合において、その配合割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0091】
なお、硬化性組成物中には、上記した性能を阻害しない範囲で、例えば、レベリング剤、消泡剤などの界面活性剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤、さらには、防眩性やブロッキング防止性を付与するための顔料など、公知の添加剤を配合することもできる。なお、添加剤の配合割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0092】
また、硬化性組成物は、上記した有機溶媒の溶液として調製することもでき、その場合には、その固形分濃度は、例えば10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%である。
【0093】
上述した硬化性組成物の硬化物で構成される保護膜3の形成方法(すなわち本例の表面保護シート1の製造方法)の一例は、次のとおりである。
基材2表面に上記した硬化性組成物を塗布し、必要により乾燥させた後、例えば、電離放射線の照射や加熱により硬化させる。これにより、基材2の表面に保護膜3が形成され、表面保護シート1を得ることができる。
【0094】
塗布方法としては、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、スクリーン印刷法などによる塗布や、バーコーター、アプリケーターなどを用いたキャスティングなどが挙げられる。
【0095】
本例では、上記方法以外の方法、例えば転写法によって表面保護シート1を得ることもできる。転写法では、図示しないが、例えば、まず、公知の離型紙の表面に上記した硬化性組成物を塗布し、必要により乾燥させた後、例えば、電離放射線の照射や加熱により硬化させ、保護膜3を形成する。その後、得られた保護膜3を基材2に圧着した後、離型紙を剥離(転写)することにより、表面保護シート1を得る。
【0096】
保護膜3の表面の水に対する接触角は、40〜100度であることが好ましい。40度以上に制御されることにより、水との接触面積が小さくなる。その結果、指紋における水性成分が離れやすくなり、指紋の拭き取り性が向上する。また、100度以下に制御されることにより、水との接触面積が小さくなり過ぎず、付着した指紋を目立ち難くすることができる。特に、40〜80度に制御することがより好ましい。保護膜3の水に対する接触角を所定範囲に制御することで、指紋視認困難度の向上の他に、指紋の拭き取り性も高めることができる。
【0097】
保護膜3の表面のヘキサデカンに対する接触角は、50度以下であることが好ましい。ヘキサデカンに対する接触角を50度以下に制御することにより、指紋における油性成分が濡れ拡がる。このため、付着した指紋が目立ち難くなり(指紋視認困難度の向上)、さらに拭き取り後の指紋成分も目立ち難くすることができる。特に、30度以下に制御することが好ましい。
なお、水に対する接触角及びヘキサデカンに対する接触角の値は、いずれも、JIS−R3257(1999)に準拠した方法で測定した値である。
【0098】
保護膜3のJIS−K6768に基づくぬれ張力としては、27〜45mN/mであることが好ましく、より好ましくは31〜37mN/mである。
【0099】
保護膜3の厚みは、耐擦傷性の観点から、例えば1μm以上であり、またクラック防止の観点から、例えば10μm以下である。
保護膜3は、傷つき防止の観点から、JIS−K5400:1990の鉛筆硬度が、例えばH以上、好ましくは2H以上、さらに好ましくは3H以上である。
保護膜3は、基材2の両面に形成してもよい。あるいは基材2の一方の面に本例の保護膜3を設け、他方の面に一般的な保護膜(ハードコート膜)を設けてもよい。
【0100】
本例による表面保護シート1は、その表面の防汚性の向上を図ることができるとともに、優れた拭取り性と滑り性とを確保することができる。
【0101】
本例の表面保護シート1は、例えば、電子機器本体4や、時計や計器のカバーガラス、窓ガラス、ショーケースなどにおける表示装置などの表面に配置し、その表面を保護するために好適に用いられる。好ましくは電子機器本体4の表面保護用途に使用する。
【0102】
すなわち本例の電子機器4aは、図1に示すように、本例の表面保護シート1を電子機器本体4に対して基材2側が対向するように配置して構成される。
電子機器本体4としては、例えば、液晶表示装置,CRT表示装置,プラズマ表示装置,EL表示装置などの表示装置、これら表示装置を備えた携帯情報端末やパーソナルコンピュータ、タッチパネルなどが挙げられる。
【0103】
電子機器本体4として、好ましくは、防指紋性と滑り性との両立が強く求められているタッチパネル(抵抗膜式タッチパネル、静電容量式タッチパネルなど)が挙げられ、とりわけ好ましくは静電容量式タッチパネルが挙げられる。
【0104】
抵抗膜式タッチパネルは、透明基板の一方の面に透明導電層を有する上部電極と、透明基板の一方の面に透明導電層を有する下部電極とを、上部電極および下部電極の透明導電層同士が対向するようにスペーサーを介して配置した基本構成からなる。
【0105】
このような抵抗膜式タッチパネルにおいては、上部電極の透明基板として上記した表面保護シート1を用いるか、上部電極の透明基板上に、上記した表面保護シート1を配置することができる。
【0106】
静電容量式タッチパネルは、表面型(Surface Capacitive)と投影型(Projected Capacitive)に分けることができる。
【0107】
表面型は、基板の一方の面に透明導電膜、保護層を備え、さらに4隅に配置された電極を具備した基本構成からなる。このような表面型の静電容量式タッチパネルを構成する基板および透明導電膜として、公知の透明導電膜基材を用いることができる。このような表面型の静電容量式タッチパネルにおいては、保護層として上記した表面保護シート1を用いるか、保護層上に、上記した表面保護シートを1配置する。
【0108】
投影型は、透明基板上に、所定の第1方向に沿って形成された導電素子群であるX軸トレース、当該X軸トレースと交差する第2方向に沿って形成された導電素子群であるY軸トレース、これらX軸トレースとY軸トレースとの少なくとも交差部に配置された絶縁層、および、外部取り出し線への接続配線とを具備した基本構成からなる。このような投影型の静電容量式タッチパネルにおいては、透明基板として上記した表面保護シート1を用いるか、透明基板上に、上記した表面保護シート1を配置する。
【0109】
このような、電子機器本体4と該本体4の表面に配置される表面保護シート1からなる電子機器4aによれば、表面保護シート1表面の防汚性の向上を図ることができるとともに、優れた拭取り性と滑り性とを確保することができる。
【0110】
上記した表面保護シート1は、例えば、電子機器を構成する部品6(例えばタッチパネルの筐体など)の製造に用いることができる。
【0111】
本発明の部品の製造方法の一例を説明する。まず、図2Aに示すように、電子機器を構成する部品6の本体である部品本体5と、上記した表面保護シート1とを用意する。部品本体5としては、例えばタッチパネルの筐体などが挙げられる。次いで、図2Bに示すように、部品本体5の表面に、表面保護シート1の保護膜3を貼着し、必要により、加熱および加圧する。この場合、保護膜3上には、図示しない接着層を有することが好ましい。次いで、図2Cに示すように、表面保護シート1の基材2を、保護膜3から剥離する。これにより、図2Dに示すように、部品本体5の表面に保護膜3を転写することができ、部品本体5および保護膜3を備える部品6を得ることができる。
【0112】
部品6の製造方法は、上記に限定されず、例えば、部品本体5を、表面保護シート1と一体的に得ることもできる。その一例を説明する。
まず、図3Aに示すように、部品本体5を成形するための成形型8を用意する。次いで、図3Bに示すように、部品本体5の原料(例えば樹脂ペレットなど)7を成形型8内に充填するとともに、その成形型8内に表面保護シート1を配置する。次いで、図3Cに示すように、例えば、原料7を成形型8内において加熱溶融させた後、冷却するなど、公知の方法によって、部品本体5の原料を、表面保護シート1とともに一体成型する。これにより部品6を得る。その後、図3Dに示すように、成形型8から部品6を脱型する。これにより、部品本体5の表面に表面保護シート1が一体化された部品6が製造される。
【0113】
上記した方法により製造される部品6を用いれば、防汚性の向上が図られ、優れた拭取り性と滑り性と備える電子機器を得ることができる。
なお、上記した説明では、基材2の一方の表面のみに保護膜3を形成したが、これに限定されず、基材2の表裏両面に保護膜3を形成することもできる。
【実施例】
【0114】
次に、本発明を、合成例、調製例、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されない。本実施例において「部」、「%」は、特に示さない限り質量基準である。
なお、合成例などにおいて用いられる物性の測定方法を以下に示す。
【0115】
<ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw及びMnの測定>
サンプル約0.2mgを採取し、これをテトラヒドロフラン10mLに溶解させ、RIDを装備したGPCによって測定し、サンプルの分子量分布を得た。その後、得られたクロマトグラム(チャート)から、標準ポリスチレンを検量線として、サンプルのMwを算出した。測定装置および測定条件を以下に示す。
・データ処理装置:品番HLC−8220GPC(東ソー社製)
・RID:品番HLC−8220GPCに内蔵されたRI検出器
・カラム:品番TSKgel GMHXL(東ソー社製)3本
・移動相:テトラヒドロフラン
・カラム流量:0.5mL/min
・注入量:20μL
・測定温度:40℃
・標準ポリスチレン分子量:1250、3250、9200、28500、68000、165000、475000、950000、1900000
【0116】
<粘度>
サンプルの25℃における粘度を、コーン・プレート粘度計を用いて、JIS K 5600−2−3:1999に準拠して測定した。
【0117】
<水酸基価>
サンプルの水酸基価を、JIS K 1557−1(2007)のB法(フタル化法)に準拠して測定した。
【0118】
[化合物aの合成]
《合成例A−1》
反応容器中に、溶媒としてメチルエチルケトン(以下、MEK)233部を仕込み、85℃まで昇温した。一方、メタクリル酸メチル90部およびアクリル酸2−ヒドロキシエチル10部からなる単量体組成物に、重合触媒としてアゾビス−2−メチルブチロニトリル(ABN−E、日本ヒドラジン工業社製)4部を撹拌混合することによりモノマー混合液を調製した。次いで、上記の溶媒にモノマー混合液を85℃で2時間かけて滴下し、滴下終了後4時間熟成させることにより、化合物aの溶液(固形分30%)を得た。なお、化合物aは本発明の化合物Aの一例である。
得られた化合物aのMwは18000、Mnは9500、Tgは88℃、粘度(25℃)は7mPa・s、水酸基価は17mgKOH/gであった。なお、Mw、Mn、粘度および水酸基価は、上記の方法により求めた。また、ガラス転移温度は、フォックスの式により算出した。
【0119】
[プレポリマーの合成]
《合成例B−1》
反応容器中に、溶媒としてMEK233部を仕込み、80℃まで昇温した。次いで、反応容器中に、化合物bを15部、化合物cを30部、化合物dと化合物d1の混合物を55部を仕込み(NCO/OH当量比2.9)、さらに、触媒として、ジメチル錫ジラウレート0.1部と、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.05部とを加えて、80℃で3時間混合した。
なお、化合物bとしてヘキサメチレンジイソシアネートを用い、化合物cとして市販品のエパンU−105(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(Mn:6400)、第一工業製薬社製)を用い、化合物dと化合物d1の混合物として市販品のアロニックスM−403(光重合性化合物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリレート混合物(ペンタエリスリトールペンタアクリレート含有率50〜60% 東亞合成社製)を用いた。なお、化合物b、c、d及びd1は、それぞれ、本発明の化合物B、C、D及びD1の一例である。
【0120】
これにより、分子末端にイソシアネート基および光重合性基を併有するプレポリマー(化合物b、c、d及びd1の反応物)の溶液(固形分30%)を得た。
得られたプレポリマーのMwは12000、Mnは4000、粘度(25℃)は7mPa・sであった。なお、Mw、Mnおよび粘度は、上記の方法により求めた。
【0121】
[コーティング材の調製]
《合成例C−1》
反応容器中に、合成例A−1で得られた化合物aの溶液を20部、合成例B−1で得られたプレポリマーの溶液を80部、仕込み、さらに触媒として、ジメチル錫ジラウレート0.1部と、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.05部とを加えて、80℃で3時間混合し、これにより、コーティング材溶液(固形分30%)を得た。得られたコーティング材のMwは19000、Mnは6000、粘度(25℃)は7mPa・sであった。なお、Mw、Mnおよび粘度は、上記の方法により求めた。
【0122】
《合成例C−2》
反応容器中に、合成例A−1で得られた化合物aの溶液を40部、合成例B−1で得られたプレポリマーの溶液を60部、仕込み、さらに触媒として、ジメチル錫ジラウレート0.1部と、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.05部とを加えて、80℃で3時間混合し、これにより、コーティング材の溶液(固形分30%)を得た。得られたコーティング材のMwは19000、Mnは8000、粘度(25℃)は7mPa・sであった。なお、Mw、Mnおよび粘度は、上記の方法により求めた。
【0123】
《実施例1》
[硬化性組成物の調製]
以下に示す成分を混合および撹拌することにより、硬化性組成物を調製した。
・合成例C−1で得られたコーティング材溶液(固形分30%)6.67部
(コーティング材固形分:2部)
・電離放射線硬化型樹脂(固形分80%) 122.5部
(ユニディック17−813:ウレタンアクリレート、DIC社製)
(ウレタンアクリレート固形分:98部)
・光重合開始剤 3部
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)
(イルガキュア184、チバ・ジャパン社製)
・希釈溶剤(酢酸ブチル) 200部
【0124】
[表面保護シートの製造]
厚み125μmの透明ポリエステルフィルム(コスモシャインA4350:東洋紡績社)の一方の面に、硬化性組成物を、乾燥後の厚みが5μmとなるようにバーコーティング法で塗布し、90℃で90秒間乾燥させた後、紫外線照射して硬化性組成物を硬化させ、保護膜を形成した。これにより、表面保護シートを得た。
【0125】
《実施例2》
コーティング材溶液の添加量を16.67部(固形分5部)、電離放射線硬化型樹脂の添加量を118.75部(固形分95部)に変更した以外は、実施例1と同様にして、表面保護シートを得た。
【0126】
《実施例3》
コーティング材溶液の添加量を33.33部(固形分10部)、電離放射線硬化型樹脂の添加量を112.5部(固形分90部)に変更した以外は、実施例1と同様にして、表面保護シートを得た。
【0127】
《実施例4》
コーティング材溶液の添加量を50部(固形分15部)、電離放射線硬化型樹脂の添加量を106.25部(固形分85部)に変更した以外は、実施例1と同様にして、表面保護シートを得た。
【0128】
《実施例5》
コーティング材溶液の添加量を66.67部(固形分20部)、電離放射線硬化型樹脂の添加量を100部(固形分80部)に変更した以外は、実施例1と同様にして、表面保護シートを得た。
【0129】
《実施例6》
コーティング材溶液の添加量を100部(固形分30部)、電離放射線硬化型樹脂の添加量を87.5部(固形分70部)に変更した以外は、実施例1と同様にして、表面保護シートを得た。
【0130】
《実施例7》
コーティング材溶液の添加量を133.33部(固形分40部)、電離放射線硬化型樹脂の添加量を75部(固形分60部)に変更した以外は、実施例1と同様にして、表面保護シートを得た。
【0131】
《実施例8》
合成例C−1で得られたコーティング材溶液に代えて、合成例C−2で得られたコーティング材溶液(固形分30%)を用い、その添加量を50部(固形分15部)に変更し、電離放射線硬化型樹脂の添加量を106.25部(固形分85部)に変更した以外は、実施例1と同様にして、表面保護シートを得た。
【0132】
《実施例9》
電離放射線硬化型樹脂(ユニディック17−813)に代えて、電離放射線硬化型樹脂(商品名、紫光UV 7600BA:ウレタンアクリレート、日本合成化学工業社製、固形分80%)を用い、その添加量を106.25部(固形分85部)に変更し、コーティング材溶液の添加量を50部(固形分15部)に変更した以外は、実施例1と同様にして、表面保護シートを得た。
【0133】
《実施例10》
コーティング材溶液の添加量を5部(固形分1.5部)、電離放射線硬化型樹脂の添加量を123.13部(固形分98.5部)に変更した以外は、実施例1と同様にして、表面保護シートを得た。
【0134】
《実施例11》
コーティング材溶液の添加量を150部(固形分45部)、電離放射線硬化型樹脂の添加量を68.75部(固形分55部)に変更した以外は、実施例1と同様にして、表面保護シートを得た。
【0135】
《比較例1》
コーティング材を添加せず、電離放射線硬化型樹脂の添加量を125部(固形分100部)に変更した以外は、実施例1と同様にして、表面保護シートを得た。
【0136】
《比較例2》
以下に示す成分を混合および撹拌することにより、硬化性組成物(非フッ素系表面保護膜塗布液)を調製し、得られた硬化性組成物(非フッ素系表面保護膜塗布液)を用いた以外は、実施例1と同様にして表面保護シートを得た。
【0137】
<非フッ素系表面保護膜塗布液>
・電離放射線硬化型樹脂(固形分100%) 100部
(ビームセット575:荒川化学工業社)
・光重合性モノマー 3部
(イソシアヌル酸のエチレンオキサイド3モル、および、ε−カプロラクトン2モル付加物のトリアクリレート)
(NKエステルA9300:新中村化学工業社、固形分100%)
・光重合開始剤(イルガキュア184) 0.4部
・希釈溶剤(酢酸ブチル) 200部
【0138】
《比較例3》
以下に示す成分を混合および撹拌することにより、硬化性組成物(フッ素系表面保護膜塗布液)を調製し、得られた硬化性組成物(フッ素系表面保護膜塗布液)を用いた以外は、実施例1と同様にして表面保護シートを得た。
【0139】
<フッ素系表面保護膜塗布液>
・電離放射線硬化型樹脂(ユニディック17−813) 122.5部
(ウレタンアクリレート:98部)
・光重合開始剤(イルガキュア184) 3部
・フッ素系添加剤(メガファックRS−75、DIC社製) 2.5部
・希釈溶剤(酢酸ブチル) 200部
【0140】
[評価]
各例で得られた表面保護シートについて、下記項目の評価を行った。結果を表1に示す。
【0141】
(1−1)防指紋性/視認性
保護膜の表面に指の腹を押し当て、指紋を付着させた後、黒地の紙の上に、指紋付着後の表面保護シートを載せ、三波長蛍光灯下にて、保護膜側の真上から指紋を観察した。その結果、指紋成分が殆ど見えなかったものを「○」、はっきり見えたものを「×」として評価した。
【0142】
(1−2)防指紋性/拭取性
保護膜の表面に指の腹を押し当て、指紋を付着させた後、指紋付着後の保護膜にティッシュ(クリネックス:クレシア社製)を約2cmあたり500g荷重で接触させて往復させ、10往復させ、指紋を拭き取った。次いで、黒地の紙の上に指紋拭き取り後の表面保護シートを載せ、三波長蛍光灯下にて、保護膜を観察し、指紋拭き取り後の状態を観察した。その結果、指紋が完全に見えなくなったものを「○」、僅かに拭き跡が残っていたものを「△」、はっきりと拭き跡が残っていたものを「×」として評価した。
【0143】
(2)滑り性
図4に示すように、ガラス板21上に、保護膜3が上側を向くように表面保護シート1を載せ、表面保護シート1上に7cm×12cmの合成皮革22を、表面保護シート1の保護膜側の面と合成皮革22の皮革風合い側の面とが対向するように載せた。次いで、合成皮革22の一端部に厚み約2mmの6.5cm四方のガラス板23を載せ、当該ガラス板23上に1kgの重り24を載せた。その後、合成皮革22の他端部に目玉クリップ25を取り付け、目玉クリップ25の孔にばね秤26のフックを引っ掛けた。次いで、ばね秤26を引っ張り、保護膜3上で合成皮革22が動き出した時の荷重を測定した。その結果、荷重が400g未満であったものを「◎」、400g以上500g未満であったものを「○」、500g以上600g未満であったものを「△」、600g以上であったものを「×」とした。
【0144】
(3)耐擦傷性
JIS−K5600−5−4(1999)に準拠した方法で、保護膜表面の鉛筆引っかき値を測定した。そして、得られた測定値が2H以上であったものを「○」、Hであったものを「△」として評価した。
【0145】
【表1】
【0146】
表1に示すように、実施例1〜11の表面保護シートは、比較例1〜3の表面保護シートに比べ、防指紋性と滑り性のバランスに優れていることが確認できた。特に、実施例3〜6、8および9の表面保護シートは、コーティング材と硬化型樹脂が最適範囲で混合されていることから、防指紋性と滑り性のバランスが極めて優れており、かつ塗膜の耐擦傷性をも満足できるものであった。
【0147】
比較例1の表面保護膜はコーティング材を含まないものである。このため、指紋拭き取り性および滑り性を満足できないものであった。
比較例2は従来の防指紋性フィルムである。視認性や拭き取り性を満足できるものの、滑り性を満足できるものではなかった。
比較例3はフッ素系の添加剤を用いた、いわゆる防汚性フィルムである。フッ素を含むため滑り性には優れる反面、指紋成分が弾かれるため付着した指紋が目立ちやすく、拭き取ろうとしても指紋が引き伸ばされるだけで目立ってしまい、拭き取り性に劣るものであった。
【0148】
なお、実施例1〜11の表面保護シートの保護膜表面に対して、JIS−R3257(1999)に準拠した方法で、水に対する接触角及びヘキサデカンに対する接触角の両値を測定した。その結果、すべてのシートで、水に対する接触角が40〜80度の範囲内であり、ヘキサデカンに対する接触角が30度以下であることが確認できた。
また、実施例1〜11の表面保護シートの保護膜表面に対して、JIS−K6768に基づく方法でぬれ張力を測定した。その結果、すべてのシートで、ぬれ張力が31〜37mN/mであることが確認できた。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図4