【文献】
Yue Kuo,"Plasma Swelling of Photoresist",Japanease Journal of Applied Physics,1993年 1月15日,vol.32, No.1A/B,pp.L126-L128
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の露光の後、前記初期クリティカルディメンションが第2のクリティカルディメンションに減少し、前記第2の露光の後、前記第2のクリティカルディメンションが第3のクリティカルディメンションに増加する、請求項1に記載の方法。
前記第1及び第2の露光の後、前記フォトレジストレリーフ形状が前記初期クリティカルディメンションとほぼ等しい第3のクリティカルディメンションを有する、請求項1に記載の方法。
前記第1及び第2の露光の後、前記フォトレジストレリーフ形状が前記初期クリティカルディメンションの所定の公差限界の範囲内の第3のクリティカルディメンションを有する、請求項1に記載の方法。
前記第1の露光の間に、前記フォトレジストレリーフ形状を有する前記基板に対して、ある角度範囲にわたってイオンを供給するように構成された前記抽出プレートの1以上のスキャンを実行するステップと、
前記第2の露光の間に、前記基板に対して、前記抽出プレートの1以上のスキャンを実行するステップと、
を含む、請求項8に記載の方法。
前記第2の露光の間に、第3の一連のパルスを供給するステップであって、前記第2及び第3の一連のパルスは異なるプラズマ出力レベルに対応するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
光リソグラフィは、電子デバイスの製造によく使用される。これは、基板にパターンを形成し、そのパターンに基づく回路を基板上に形成する処理である。
図1aから1eを参照すると、光リソグラフィ処理の簡略化された図が示されている。通常、基板112は、
図1aに示されるように、光硬化性の高分子フォトレジスト114が塗布される。その後、所望の開口パターンを備えるマスク142が、基板112と光源(図示なし)との間に配置される。光源からの光10が、マスク142の開口を通って基板112上に照射され、マスクの開口(又はパターンの像)を介して伝達された光が、基板114上に照射される。
図1bに示されるように、フォトレジストの一部分114aは、光10に露光されて硬化する一方、フォトレジストの他の部分114bは、硬化されない。その結果、マスクの開口の像がフォトレジストの硬化した部分114aにより形成される。
【0003】
図1cに図示されるように、フォトレジストの硬化していない部分114bが取り除かれると、マスクの開口パターンに対応する3次元(3D)のフォトレジストレリーフ形状114aが基板112上に残される。その後、基板がエッチングされると、マスクの開口パターンのネガ像に対応する溝116が形成される(
図1d)。残存するフォトレジスト
114aが取り除かれた後、
図1eに図示されるように、パターン形成された基板112が形成される。金属層が溝上に配置されると、所望のパターンを有する回路が基盤112上に形成される。
【0004】
光リソグラフィは、スループットの高い効率的な処理であるが、欠点がないわけではない。1つの欠点は、ラインウィドゥスラフネス(LWR)又はラインエッジラフネス(LER)を有することである。当該分野で知られるように、LWRは、フォトレジストの硬化されていない部分114bが基板から取り除かれた後に形成されるフォトレジストレリーフ形状の幅における極端なばらつきである。ばらつきがフォトレジストレリーフ形状の側面で生じる場合、このばらつきはLERとして知られる。LWR又はLERによるラフネス又はばらつきは、エッチング中に溝に転写され、最終的に回路に転写されうるため、不都合である。フォトレジストレリーフ又はフォトレジストトレンチの形状のサイズが小さくなるほど、ばらつきは大きくなる。32nmのデバイスでは、4nm以上のばらつきが観察される。パターン化されたレジスト形状の幾何学的な形状は、LWR及びLERのようなラインラフネスの影響も含めて、下位層のパターン形成の間にデバイスのレジスト層から下位の永久層に転写される。このため、LWR及びLERは、約100nm未満の寸法の許容品質でのデバイス形成を制約する。かかるばらつきは、回路を不均一にし、最終的にデバイスの劣化や故障に繋がりうる。さらに、デバイスの性能は、設計基準次第で短距離、中距離又は長距離のラフネスによって、より大きな影響を受ける。
【0005】
LWR及びLER(LWR、LER、又はLWR及びLERの両方のいずれかの組合せは、以下ではまとめて「ラインラフネス」という)の影響に対処するために、いくつかの手法が試みられてきた。ラインラフネスを低減する有望な技術の1つは、パターン化されたフォトレジストレリーフ形状に、広範な角度にわたってイオンが照射されるイオンビーム平滑化である。この技術は、クリティカルディメンションが約100nm未満の細いフォトレジストレリーフ形状におけるラインラフネスを修正することに成功している。パターン化されたフォトレジスト上に広範な角度にわたって照射されるイオンを使用する典型的なイオンビーム平滑化処理において、LWR/LERは最大で約50%まで減らすことができる。しかしながら、イオンビーム平滑化処理が実行された後はクリティカルディメンション(CD)が最大で約10nm減少し、これは、所望のデバイスの特徴によっては容認しがたいほど大きな減少となりうる。
【0006】
イオンビーム平滑化処理中に使用されるプラズマ源の出力を増大させると、CDの減少が抑制又は除去されることが確認されている。しかし、出力を増大させると、ラインラフネスの低減の効果も小さくなることが確認されている(例えば、イオンビーム平滑化処理を300Wで実行すると、LWRが25%減少しうるが、CDも20%減少しうる。500Wの出力では、CDの減少はゼロに近いが、LWRの減少はほんの15%程度であり、設計仕様を満たさないかもしれない。)。そのため、現在のイオンビーム平滑化処理は、改良されたラフネスとクリティカルディメンションの減少との間のトレードオフのもとに成立している。上述の点に鑑みると、例えばCDが100nm未満のデバイスといった、レジスト形状が極めて小さいことが求められる場合のフォトレジスト処理技術を改良する必要性が理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の望ましい実施形態が示される添付図面を参照して、本発明についてより詳細に説明する。しかしながら、本発明は多くの異なる形態において実施可能であり、本明細書で説明される実施形態に制限して解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が当業者にとって詳細かつ完全となり、本発明の範囲が十分に当業者に伝わるように提供されるものである。図面において、全体にわたる同様の参照符号は同様の要素を示している。
【0011】
上述の方法に関連する欠点を解決するために、基板にパターン形成するための、新規性及び進歩性を有する技術及びシステムが開示される。特に、本開示は、フォトレジストレリーフ形状の質を改善するイオン注入処理、例えば、フォトレジストレリーフ形状のラインラフネスを改善し、CDを制御するイオン注入処理に関連する技術に関するものである。本明細書において開示される処理は、細い形状(極めて細かいピッチ、例えば約250nm未満のピッチを有するアレイに組み込まれる形状を含む)を形成する処理とともに使用してもよい。かかる処理は、従来のDUVリソグラフィ、ダブルパターニングリソグラフィ、自己整合ダブルパターニングリソグラフィ及び他のリソグラフィ処理を含む。しかしながら、当業者であれば、本明細書において開示される技術が、如何なる特定のリソグラフィとともに用いられるものに限定されるものではなく、又はフォトレジストレリーフ形状の寸法の如何なる範囲に限定されるものではないことを認識できるだろう。
【0012】
本開示のいくつかの実施形態は、極めて小さな寸法を有するレジスト形状を処理するためにプラズマベースイオン注入処理を採用している。
図2aを参照すると、本発明の一実施形態における、フォトレジストレリーフ形状を処理する基板処理システム300が示される。
図2bは、フォトレジストを処理する粒子の角度分布の一例を図示する。これらの図は、必ずしも一定の縮尺で描画されたものではない。
【0013】
図2aに図示されるように、システム300は処理チャンバ302を有し、処理チャンバ302内では、基板ホルダ304が基板112を支持するように構成される。基板112は、金属、半導体又は絶縁材料ベースの基板であってもよい。いくつかの実施形態において、基板ホルダは、流体源(図示なし)のような冷却源に連結された冷却管336を使用した能動冷却を備えていてもよい。パターン化されたフォトレジスト(
図2aには図示なし)が基板上に配置され、これは、硬化しない部分が取り除かれた後、基板上に残ったフォトレジストの硬化した部分である。
【0014】
システム300は、処理チャンバ302内に含まれる、プラズマ306を発生させるためのプラズマ源を有してもよい。様々な実施形態において、プラズマ源は、その場又は遠隔の、DC又はRFプラズマ源、誘導結合プラズマ源、容量結合プラズマ源、ヘリコン源、マイクロ波源、又は任意の他の種類のプラズマ源であってもよい。
【0015】
図2aに示されるように、RFプラズマ源を採用するいくつかの実施形態において、RF電源330は、プラズマ306を生成するアンテナ332を駆動することが可能なRF信号を供給する。RF電源330は、アンテナ332に供給される生成信号の振幅を変化させることができ、それによってプラズマ306内のプラズマ電力を変化させることができる。後述するように、これは、基板112に向けられるイオン線量率を制御するために使用される。
【0016】
プラズマ306と基板112との間には、1以上のプラズマシース修正器312が配置される。本実施形態では、プラズマシース修正器312は、間隔「y」で互いに離間した一組の修正器部分312a及び312bを有してもよい。他の一実施形態においては、プラズマシース修正器312は、単一の修正器部分を有してもよい。さらに他の実施形態においては、プラズマシース修正器312は、所定の間隔で互いに離間した3以上の修正器部分を有してもよい。
【0017】
プラズマシース修正器312は、プラズマシースの電界を調節することができる。いくつかの実施形態において、プラズマシース修正器312は、正電荷又は負電荷を帯びる。プラズマシース修正器312は、電気的な絶縁材料(例えばガラス)若しくは導電材料(例えば金属)又はこれらの組合せで形成される。システム300が2以上の修正器部分を備える場合、それらの部分は同一の又は異なる材料で形成される。例えば、システム300がプラズマシース修正器312を有し、プラズマシース修正器312が2つの部分312a及び312bを有するとする。修正器部分312a及び312bは、同一の又は異なる材料で形成される。
【0018】
プラズマシース修正器312が2以上の部分を有する場合、それらの部分は同一の又は異なる平面に配置することができる。例えば、処理システム300に含まれるプラズマシース修正器312が、2つの修正器部分312a及び312bを有するとする。それらの部分312a及び312bは、同一平面に配置され、基板112と各修正器部分とが垂直方向の間隔「z」となるようにすることができる。他の一実施形態においては、プラズマシース修正器312が2つの修正器部分312a及び312bを備え、各部分312a及び312bは、それぞれ異なる垂直方向の間隔「z」により、基板112から離間してもよい。プラズマシース修正器を備える処理システムの更なる記載は、係属している米国特許出願番号12/418120、2009年4月3日に出願され米国特許番号7767977として発行された米国特許出願番号12/417929、及び米国特許出願番号12/644103に見出され、これらの出願はそれぞれ参照によりその全体が本明細書に包含される。
【0019】
動作中、その場又は遠隔で生成されたプラズマは、処理チャンバ302に含まれてもよい。プラズマ306は、所望の種の電子、陽子、原子イオン又は分子イオン、ニュートラル、ラジカルを含むフラグメントを含むことができる。
図2aに図示されるように、プラズマ306は、外縁付近にプラズマシース308も含むことができる。本実施形態において、プラズマシース308は、正電荷を帯びたイオンを有することができる。図に示されるように、プラズマシース308は、プラズマ306のシースの境界によって表現される。しかしながら、プラズマシース308は、プラズマ306の境界から、例えば処理チャンバ302の壁面等のプラズマ306の周囲の物体の表面及び基板112の表面までの有限距離に広がることが理解される。
【0020】
基板112は、DC又はRFバイアス電源(図示なし)によりバイアスされているため、プラズマシース308又はプラズマ306内のイオン310は、基板112に向けることができる。基板112に適用するバイアス信号は、DC又はRFであるにせよ、連続信号又はパルス信号とすることができる。
【0021】
プラズマシース修正器312は、イオン310の入射角の分布を制御するために、プラズマシース308の形状を修正することができる。例えば、プラズマシース修正器312は、プラズマシース308の電界を修正し、プラズマシース308の形状を修正する。本実施形態においては、プラズマシース修正器312は、プラズマシース308の少なくとも一部分を、プラズマ306に対して凹形状のプラズマシース308b(修正シース)、すなわち、バルクプラズマに対してドーム型(凸状の)プラズマに修正する。基板112がバイアスされるとき、基板112に引き込まれたイオン310は、修正器部分312a及び312bの間の幅「y」の隙間322を、広範な入射角度にわたって通過する。従来のプラズマに基づく処理システムにおいては、基板に最も近いプラズマシースは、基板と平行である。基板がバイアスされたとき、イオンは、プラズマシースと実質的に垂直な経路、したがって基板と垂直な経路を通過する。その結果、従来のプラズマ処理システムは、−3°〜+3°の入射角を有する。しかしながら、本実施形態においては、イオン310の入射角は、修正シース308bにより修正される。
図2aに図示されるように、修正シースは、基板に対してマルチアングルである。そのため、修正シース308bに対して垂直に通過するイオン310は、多様な角度で通過することができる。修正シース308bの異なる部分から基板112に向かって通過するイオン310は、イオン310が基板112上で多様な入射角となるように、広範な異なる角度からプラズマ306を出ていく。
図2bで図示されるように、イオン310の入射角は、鉛直方向の約0°を中心にして約+60°〜約−60°の範囲である。いくつかの実施形態において、イオン310の入射角は、プラズマシース修正器312により生成された電界によりさらに修正され、イオン310の入射角の範囲は、後述するように、他のシステムのパラメータを制御することにより調整される。
【0022】
プラズマシース修正器312の構成及び性質(これらに限定されない)を含めた要素の数に応じ、イオンの入射角はさらに修正される。それら要素の例には、修正器部分312aと312bとの間の水平間隔
(y)、修正器312と基板112との間の垂直間隔
(z)、基板112と各修正器部分312a及び312b(図示なし)との間の垂直間隔の
差、及びプラズマシース修正器312の電気的性質が含まれる。他のプラズマ処理パラメータも、イオンの入射角及び/又は入射角分布を調整するように調整される。更なる記載は、同時に係属している米国特許出願番号12/418120、12/417929及び12/644103に見出され、これらの出願はそれぞれ参照によりその全体が本明細書に包含される。
【0023】
プラズマシース308を修正することにより、異なる角度に向けられた表面を有する3次元構造は、共形的又は等方的に処理される。
図3を参照すると、本開示の一実施形態に従って3D構造を処理する技術が示されている。本実施形態においては、この技術は、3Dフォトレジストレリーフ形状114aに含まれるLER及びLWRを減らすために使用される。前述のように、LER及びLWRは、フォトレジストの硬化されていない部分が除去された後、光リソグラフィの間に3Dフォトレジストレリーフ形状114aに生じうる。本実施形態において、フォトレジストレリーフ形状114aに含まれるLER及びLWRは、フォトレジストレリーフ形状をイオン310に露光することによって減少しうる。
【0024】
図3に図示されるように、側面114a−1及び上面114a−2を有する3Dフォトレジストレリーフ形状114aは、基板112上に配置される。基板112及びフォトレジストレリーフ形状114aは、プラズマシース修正器312を含むプラズマ処理システム内に配置され、プラズマは、基板112の近傍に配置される。その後、プラズマ内のイオン310が、プラズマシース修正器部分312a及び312bの間の隙間を通って、フォトレジストレリーフ形状114aの表面に向けられる。図に示されるように、イオン310は様々な入射角度で入射する。
【0025】
様々な実施形態において、イオン310は、フォトレジストレリーフ形状114aの側面114a−1及び上面114a−2に注入される。様々なイオン種が注入されうるが、いくつかの実施形態においては、ヘリウム(He)イオン又はアルゴン(Ar)イオンが注入される。フォトレジストのイオン露光時間は広範囲にわたるが、いくつかの実施形態において、露光時間全体は、約数十秒から数分まで多様である。
【0026】
本発明に従って構成されたプラズマ処理システム(PSMシステム)のLWR/LER及びCDに関する効果を検証する実験を行った。以後、「PSMシステム」又は「PSMプラズマシステム」という用語はプラズマ処理システムを示し、このプラズマ処理システムは、プラズマの一部に隣接して配置される基板に向かうイオンの広範囲にわたる角度分布を提供するプラズマシース修正器を採用する。イオンの入射角とともに使用される「広い」「広範」又は「広範な角度範囲」という用語は、約5度以上の範囲に広がる一組の角を示す。プラズマシース修正器は、
図2bに図示されるように、広範な角度範囲に分布されるイオン線量を含めた露光を提供するために使用される。プラズマシース修正器は、1以上の開口を有するプレートを有してもよく、それにより修正プラズマシースの形成が誘発され(要素308b参照)、イオンが広範な角度範囲にわたって基板上に衝突するようにプラズマからイオンを抽出することができる。いくつかの実施形態において、プラズマシース修正器の開口は、約0.1mmから10mmの幅を有してもよい。基板の広い範囲を露光するために、基板は、イオンに露光される基板の領域の大きさがスキャン長によって制御されるように、プラズマシース修正器の開口に対してスキャン可能であってもよい。
【0027】
再び
図3を参照すると、一連の個々の実験において、約40nmの公称CDを有する一組の別々のフォトレジストラインは、一連の異なるプラズマ出力レベルのそれぞれにおける典型的な抽出プレートを使用して、4kVのArプラズマに露光された。フォトレジストラインが、出力300Wのプラズマに露光されたとき、約26%のLWRの減少が観察され、また、約20%のフォトレジストラインのCDの減少も観察された。フォトレジストラインが、代わって500Wのプラズマ出力レベルのプラズマに露光されたとき、CDの現象はほとんど観察されず、観察されたとしてもほんのわずかであった。しかしながら、LWRの減少は約11%であった。従って、より高いプラズマ出力を使用することは、好ましくないCDの減少を避けるためには効果的でありうるが、フォトレジストレリーフ形状を滑らかにするためにはそれほどの効果はないであろう。
【0028】
LWRの減少とCDの維持との間のこのトレードオフを克服するために、本開示の実施形態は、フォトレジストレリーフ形状が、第1のイオン線量率で1以上のイオン露光を受け、第1のイオン線量率よりも高い第2のイオン線量率で1以上の露光を受けるという新規な技術を採用する。いくつかの実施形態において、露光は、プラズマシース修正器312が、方向320にパターン化されたフォトレジストレリーフ形状114aを有する基板に対してスキャンされる、1以上のスキャンであってもよい。プラズマシース修正器312は、イオン310が抽出される開口322を有するプレートとすることができるので、プラズマシース修正器のいくつかの実施形態は、本明細書において、以下「抽出プレート」という。抽出プレートは、上述のようにプラズマシースの形状を修正する1以上の開口を有してもよい。多様な実施形態において、基板112は、抽出プレートの開口に対し方向320に沿ってスキャン可能である。従って、開口322の幅にかかわらず、多くのフォトレジストレリーフ形状114aを有する基板全体又は基板の所望の部分をスキャン中にイオン310に露光することができる。多様な実施形態において、プラズマ306は、連続プラズマ又はパルス化されたプラズマとすることができ、基板ホルダ304とプラズマ306との間のバイアスは、連続又はパルス信号とすることができる。
【0029】
いくつかの実施形態において、抽出プレートの一連のスキャンは、アルゴンプラズマ及び約750eVのイオンエネルギーを用いてパターン化されたフォトレジストレリーフ形状にわたって実施される。スキャンは、マルチセットポイントRFプラズマ(MSPRF)処理の一部として実行することができ、この処理において、プラズマのパワーセットポイントは変化しうる。そのため、第1の露光は、パターン化されたフォトレジストレリーフ形状にわたる抽出プレートのFR出力が第1のレベルに設定された1以上のスキャンであり、第2の露光は、RF出力が第1のレベルよりも高い第2のレベルに設定された抽出プレートの1以上のスキャンとすることができる。いくつかの実施形態において、1以上のスキャンを含む第1の露光は、比較的低いプラズマ出力で行われる。比較的低いプラズマ出力により、パターン化されたフォトレジストレリーフ形状に向かうイオンのイオン線量率が比較的低くなる。この比較的低いイオン線量率において、露光後、初期値からそれぞれの第2の値までのLWR/LER及びCDの両ラインにおいて、減少が観察される。続いて、比較的高いイオン線量率を生成する比較的高いプラズマ出力において、1以上のスキャンが行われる。第2の組のスキャンの後、第2の値から第3の値へのCDの増加が観察される。1組の例において、この多数のイオン線量率の処理を実行した後、LWR/LERの減少は、最大50%であり、一方、CDのばらつきは、第2の露光のイオン線量率に応じて、−2nmから+5nmの範囲であった。
【0030】
図4a−4d及び4e−4gは、フォトレジストレリーフ形状の典型的な処理の詳細を示す、パターン化されたフォトレジストレリーフ形状の側面断面図及び平面図である。この処理は、低いイオン線量率及び高いイオン線量率の露光を組み合わせている。
図4a及び4eにおいて、初期の幅(CD)W1を有する1組のフォトレジストレリーフ形状402が、第1のイオン線量率で第1の角度範囲にわたってイオン404の露光を受ける。イオン404は、側壁406に衝突して、側壁の例えばLWR/LERといった粗さを減少させる。多様な実施形態において、イオン404は、例えばシステム300のようなシステムにより供給され、イオン線量率は、プラズマ出力、処理チャンバ内の圧力、処理チャンバ内のガス流を含むパラメータを調整することにより制御される。イオン線量率は、イオンエネルギーにも依存する。多様な実施形態に従って、イオン404に対する露光後、イオンに露光されたフォトレジストレリーフ形状408は、側壁410において図示されるように、より小さいCD(W2)と、より少ないラインラフネスとを示す。続く露出において、
図4c及び4fに示されるように、イオン412は、第2の角度範囲(第1の角度範囲と類似しているか又は異なるものとすることができる)にわたって、イオン404に対する露光で使用された第1のイオン線量率よりも高い第2のイオン線量率で、フォトレジストレリーフ形状に向けられる。高いイオン線量率の第2の露光の後、その結果物であるフォトレジストレリーフ形状414は、フォトレジストレリーフ形状408のCDよりも大きなCD(W3)を示す。多様な実施形態において、イオン412への露光中のイオン線量率及び全イオン線量は、CDを所望の値に戻すように調整される。例えば、イオン線量率は、CDを元のCDであるW1に戻すように調整され、又は、CDを元のCDであるW1の予め定められた公差の範囲内に戻すように調整される。
【0031】
イオン412への露光の後、結果物としてのフォトレジストレリーフ形状414の側壁416は、イオン404及びイオン412への露光前の側壁406よりも平滑である。
【0032】
前述のように、いくつかの実施形態において、より低い又はより高いイオン線量率の組合せは、初期CD及び最終CD、すなわち、それぞれW1及びW3の間の対応関係を提供するように設計される。従って、
図4に示される複数のイオン露光処理の効果は、事実上CDを変更することなくフォトレジストの側壁を滑らかにすることにある。
【0033】
他の実施形態において、イオン412の線量率及び線量は、初期CDよりも大きい最終CDのW3を得るように設計される。例えば、リソグラフィ処理の後、対象となるフォトレジストレリーフ形状において計測されるCD(W1に対応する)は、その処理の公称CD又は目標CDよりも小さくてもよい。従って、ラインラフネスを改善するためにイオン404に露光した後、公称値に対するフォトレジストレリーフ形状のCDを回復させることが望ましい。そのため、イオン412への露光は、W1よりも大きくて目標CDを反映したW3に対応するCDを得るように設計される。
【0034】
さらに他の実施形態において、イオン404及び412への露光の順序を入れ替えて、高イオン線量率の露光を低イオン線量率の露光よりも先に実施してもよい。この方法では、初期フォトレジストレリーフ形状のCDであるW1は、第2のより低いイオン線量率の露光が行われる前に、値W4(図示なし)まで増加される。より低いイオン線量率の露光の後、ラインラフネスが減少され、CDがW4から、W1に近い又はW1と同一のW3まで減少される。しかしながら、フォトレジストレリーフ形状が密集している場合には、W1より大きいW4の隣接するフォトレジストレリーフ形状が、互いに群がり合ってその後の低イオン線量率露光の間に側壁の部分がイオン束を受けることを妨害するため、低イオン線量率の露光を最初に実施するのが好都合である。
【0035】
多様な実施形態において、前述のように、イオン線量率は、パターン化されたフォトレジストレリーフ形状に多様な角度でイオンを照射するシステムのプラズマ出力を変化することにより制御される。再び
図2aを参照すると、RFプラズマの場合、プラズマ出力は、RF発生器330からアンテナ332に送信される信号の振幅を変えることにより変化させることができる。プラズマ出力レベルをより高くすると、プラズマのイオン密度はより高くなり、プラズマ306からより高いイオン線量率でイオンを抽出することができる。
【0036】
図5aは、プラズマ出力曲線502の例を示しており、プラズマ出力が、曲線の第1の期間504にわたるレベルP1とプラズマ出力曲線502の第2の期間506にわたるレベルP2との間で変化している。多様な実施形態では、レベルP1は、最初に基板に適用される、より低いイオン線量率に対応させ、レベルP2は、より低いイオン線量率の後に適用される、より高いイオン線量率に対応させることができる。
図3も参照すると、第1出力レベルP1は、イオンをフォトレジストレリーフ形状114aに向ける抽出プレート(例えば、プラズマシース修正器312)について、基板112の方向320に、3つの連続した経路(スキャン1−スキャン3)の期間に適用される。第2出力レベルP2は、その後の一連のスキャン(スキャン4及び5)の間に適用される。スキャンの全数及び全期間が、プラズマ出力レベルP1及びP2と同様に、所望の平滑化及びフォトレジストレリーフ形状114aの最終CDを生成するように調節されることが理解されるであろう。上述のように、プラズマ出力は、基板をイオンに露光している間連続して又はパルスで適用されてもよい。
【0037】
図5bは、一連の高イオン線量率のスキャンが一連の低イオン線量率のスキャンと交互に行われる他の一実施形態を示す。このことは、本実施形態において、連続するスキャン(スキャン1−スキャン6)の間にP1とP2とのプラズマ出力レベルを交互に行うことにより達成される。各スキャンは、抽出プレートに関する基板の単一のスキャンに対応させることができる。曲線512は、プラズマ出力がP1に維持される期間514と、プラズマ出力がP2に維持される期間516とを交互に行うプラズマ出力曲線を示す。図示されるように、1つのスキャン期間に、単一の出力レベルが適用される。スキャン1の後、CDが徐々に減少するのと同時に、フォトレジストレリーフ形状の側壁のラフネスが徐々に改善される。スキャン2の後、スキャン1によって生成されたCDの漸次的な減少が、部分的に又は全体的に回復される(又は、スキャン1の前の初期値を上回って増加される)。スキャン1と2との間の露光処理が、それに続くスキャンにおいても繰り返され、比較的高いイオン線量率によりCDが徐々に回復される一連のステップとを交互に繰り返すことにより、フォトレジストレリーフ形状のラインラフネスを一連のステップ(奇数番号のスキャンに対応)において減少する。
【0038】
図5bも、プラズマ出力曲線512に従って、レジストラインの処理の間の様々な時点におけるフォトレジスト測定の例を示す。露光前の初期ラインラフネス及びCD測定は、それぞれLWR1及びCD1によって示されている。出力レベルP1及びP2の各1回のスキャンを含む第1の露光サイクルの後、LWRは、値LWR2まで減少できる。CDはその前の露光と同様であり、すなわちCD1である。第2のサイクルの後、LWRは、値LWR3まで減少でき、CDは、ここでもCD1に維持できる。第3のサイクルの後、LWRは、値LWR4まで減少し、CDは、ここでもCD1に維持される。従って、フォトレジストレリーフ形状を処理するためのプラズマシース修正器と合わせてプラズマ出力曲線512を適用することによる効果は、CDに影響を与えることなくラフネスをLWR1からLWR4に減少させることにある。例えばラインラフネスの減少のようなフォトレジストの側壁の平滑化も、スキャン2、スキャン4及びスキャン6のスキャンの間に起こっていることに留意すべきである。
【0039】
連続プラズマのプラズマ出力の変化の他、イオン線量率は、出力をパルス状のプラズマに適用することにより制御される。高プラズマ出力セットポイントは、各プラズマパルスに設定され、例えば1秒を構成する10パルスごと等のプラズマパルスの一期間において、より低いイオン線量率である第1イオン線量率を生成する。このような場合、イオン線量率は平均イオン線量率により特徴付けられ、その詳細は後述する。
【0040】
パルス化されたプラズマの使用により、後述するように、最終的なフォトレジストレリーフ形状のラインラフネス及びCDの他の制御が可能になる。例えば、プラズマパルスにより、ベースライン処理のプラズマパルスの生成を調整することにより、必要に応じたイオン線量率を柔軟に修正することができる。一例において、パルス化されたプラズマの全パルスに適用される300WのRFプラズマ出力セットポイントを使用するベースライン処理の生成により、目標のラインラフネスを減少させることができる。パルス化されたプラズマの全パルスに適用される500WのRFプラズマ出力セットポイントを採用する方法によれば、CDを約10nm増加できることが観察される。従って、第1の組の基板に対して、300Wのプラズマ出力及び500Wのプラズマ出力の組合せ処理方法により、フォトレジストレリーフ形状の所望のラインラフネス及びCDを生成できる。
【0041】
しかしながら、他の組の基板に対して、300W及び500WのRFプラズマ出力の露光を実行した後のフォトレジストレリーフ形状の最終的なCDは5nm大きく決定されうる。従って、フォトレジストの膨張を減少させるために、より高いイオン線量率(500W)の処理に変更することが望ましい。この場合、第2の露光において、高プラズマ出力セットポイント(500W)が、1つおきのパルスに適用され、より低いプラズマ出力セットポイント(例えば300W)が、1つおきのパルスに適用される。これにより、ベースラインの300Wのプラズマ出力生成と不変の500Wのプラズマ出力生成との中間のイオン線量率が生成される。この中間イオン線量率は、第2の組の基板に対してCDの所望の増加を生じる結果となる。
【0042】
図6a−6cは、平均イオン線量率が比較的低い値と高い値との間で変化するパルス化されたプラズマ処理の代替実施形態を示す。
図6aにおいて、曲線602は、一連の低出力パルス608が第1の期間604の間に適用され、それに続いて一連の高出力パルス610が第2の期間606の間に適用されるプラズマ出力曲線を示す。プラズマがかかっているときの出力レベルは、低出力パルス608においてP3であり、高出力パルス610においてP4である。
【0043】
いくつかの実施形態において、パルス608及び610は、100マイクロ秒から最大数ミリ秒の桁数のパルス持続時間に対して適用される。多様な実施形態において、例えば
図5に示されるように、期間604及び/又は606は、数ミリ秒から最大数秒まで拡張することができ、1以上のスキャンの期間に相当する。従って、単一期間604又は606の間、多くのパルスが適用され、例えば、数十、数百又は数千のパルスが適用される。そのため、単一期間604又は606の間のイオン線量率は、その期間の継続時間中の平均イオン線量率により特徴付けられる。特に、イオン線量率は、曲線640により示され、曲線640において、イオン線量率は、プラズマの「オン」及び「オフ」の期間を構成する時間の経過とともに、平均化されている。例えば、イオン線量率は、パルスのオン及びオフの期間の合計と等しいパルス期間にわたって平均化される。従って、曲線640は、1以上のパルス期間にわたる時間平均イオン線量率(束)を示している。
【0044】
図6b及び6cに示されるように、同一の平均イオン線量曲線640が異なるパルスの組合せから生じる。
図6bにおいて、プラズマ出力曲線612の第1の期間604は、
図6aの期間604により表現される低イオン線量率露光に対応し、出力が、一連の低出力パルス608におけるレベルP3で適用される。第2の期間616は、1つおきのパルス620における、P4よりも高いプラズマ出力P5を供給することにより生じる高イオン線量率の露光に対応する。パルス620には、出力レベルP3に対応する低出力パルス618が分散されている。出力レベルP3とP5との交互のパルスの組合せにより、
図6aの平均イオン線量率と同じ平均イオン線量率640bが得られる。
図6cにおいて、プラズマ出力曲線622の第1の期間604は、
図6aと同様であり、出力が、一連の低出力パルス608におけるレベルP3で適用される。第2の期間626は、3つおきのパルス630における、P4及びP5よりも高い出力P6を供給することにより生じ、他の3つの低出力パルス628は出力レベルP3で供給される。出力レベルP6における3つおきのパルスと、P3の他の3つのパルスとを供給するという組合せにより、
図6a及び6bの平均線量率と同一の平均線量率640bが得られる。
【0045】
いくつかの実施形態において、比較的低いイオン線量率の処理は、より高い後部の基板の冷却器と組み合わせられ、比較的高いイオン線量率の処理は、比較的低い後部の冷却器と組み合わせられる。いくつかの実施形態において、基板後部冷却器及びそれによる基板の温度は、冷却管336内の液体の種類又は液体の流率を制御することにより変化させうる。しかしながら、後部冷却器の制御は、他の機器、例えば既知のペルチェ冷却器(図示なし)によって提供される。提供される後部冷却部をより少なくし、それによって、より高い線量率の露光の間により高い基板温度を生成することにより、より高い温度においてより大きなCDの膨張が生じるため、CDの膨張は拡大される。
【0046】
前述のように、いくつかの実施形態において、より低いイオン線量率の露光におけるイオンの第1の角度範囲は、より高いイオン線量率
のイオンの第2の角度範囲と異なりうる。
【0047】
本明細書に記載された方法は、例えば、命令を実行することができる機械により読み取ることが可能なコンピュータ可読記憶媒体に、命令のプログラムを具体化することにより自動化できることが明らかである。汎用コンピュータは、そのような機械の一例である。この技術分野において周知の適切な記憶媒体の限定されない典型的なリストは、例えば、読取可能又は書込可能CD、フラッシュメモリチップ(例えばサムドライブ)、多様な磁気記憶媒体等のような装置を含む。
【0048】
要約すると、本発明は、例えばフォトレジストレリーフ形状等のパターン化された形状のラインラフネスを減少させる一方、その結果生じる形状のCDを独立して制御するという、新規性及び進歩性を有する方法及びシステムを提供する。
【0049】
本発明は、本明細書に記載された具体的な実施形態により範囲が制限されるものではない。実際、本明細書の記載に加えて、他の多様な実施形態及び本開示に対する変更が、前述の記載及び添付図面から、本技術分野の通常の知識を有する者に対して明確であろう。例えば、上述の詳細な実施形態においては、フォトレジスト処理について記載されていたが、他の実施形態は、例えば、電子ビームレジスト、X線レジスト又はナノインプリントリソグラフィレジスト等のレジストの処理を含む。
【0050】
従って、このような他の実施形態及び変更は、本開示の範囲に含まれることが意図される。さらに、本開示は、本明細書において、特定の実施形態で、特定の環境下で、特定の目的のために記載されているが、本技術分野における通常の知識を有する者は、その実用性がこれらに限定されず、本開示が如何なる環境下で如何なる目的においても有益に実施できることを理解できるであろう。従って、本開示の主題は、本明細書に記載された本開示の全ての範囲及び精神を考慮して解釈されるべきである。