特許第6091491号(P6091491)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6091491コードレスアイロンと給電スタンドを備えるアイロン装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6091491
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】コードレスアイロンと給電スタンドを備えるアイロン装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 75/18 20060101AFI20170227BHJP
   D06F 75/40 20060101ALI20170227BHJP
   D06F 75/30 20060101ALI20170227BHJP
   D06F 75/26 20060101ALI20170227BHJP
   D06F 75/24 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   D06F75/18
   D06F75/40
   D06F75/30
   D06F75/26
   D06F75/24
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-509789(P2014-509789)
(86)(22)【出願日】2012年5月3日
(65)【公表番号】特表2014-512928(P2014-512928A)
(43)【公表日】2014年5月29日
(86)【国際出願番号】FR2012050982
(87)【国際公開番号】WO2012153038
(87)【国際公開日】20121115
【審査請求日】2015年3月18日
(31)【優先権主張番号】1153909
(32)【優先日】2011年5月6日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク ジェラス
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク コレット
(72)【発明者】
【氏名】セバスチアン ベルトー
【審査官】 青木 良憲
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公開第2327950(GB,A)
【文献】 特開昭56−083399(JP,A)
【文献】 特開2000−093699(JP,A)
【文献】 特開2010−162218(JP,A)
【文献】 特開平01−268599(JP,A)
【文献】 特開昭60−007899(JP,A)
【文献】 特開昭57−060688(JP,A)
【文献】 特開昭63−059999(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/086756(WO,A1)
【文献】 特表2004−521704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 75/18
D06F 75/24
D06F 75/26
D06F 75/30
D06F 75/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コードレスアイロン(1)と、アイロン掛け休止時に前記アイロン(1)を載置して、前記アイロン(1)との間でエネルギー交換を行えるようにする給電スタンド(100)とを備えるアイロン装置であって、前記アイロン(1)は水タンク(13)と蒸気発生用の蒸発室(32)を含む発熱体(3)とを備え、前記タンク(13)は給水回路によって前記蒸発室(32)と連通する、アイロン装置において、
前記給水回路は、前記給水回路による水の循環を妨げる閉位置と前記給水回路に水を通す開位置との間で可動する閉止手段(6)を備え、前記閉止手段(6)は、前記アイロン(1)に設けられた蒸気操作ボタン(60)を操作することによって開位置に至り、ユーザが前記蒸気操作ボタン(60)を放すと復帰手段(64)によって自動的に閉位置に戻り、
前記給水回路は、前記蒸発室(32)に送り込まれる水の流量を調節することができる滴下バルブ(5)を備えていること、および、前記閉止手段(6)は前記滴下バルブ(5)から独立して、前記滴下バルブ(5)の上流側に配置され、
前記アイロン(1)は、前記発熱体(3)に熱的に接触するアイロン掛け面(2)を備えており、前記発熱体(3)は、前記掛け面(2)の設定温度の調節ボタン(40)と連係したサーモスタット(4)によって調節される電気抵抗体(31)を備え、並びに、
前記滴下バルブ(5)は様々な蒸気流量に対応する様々な位置の間で可動すること、および、前記アイロン(1)は、前記滴下バルブ(5)の位置を前記サーモスタットの前記調節ボタンの位置に対応させるように前記滴下バルブ(5)と前記サーモスタット(4)の前記調節ボタン(40)とをつなぐ連結手段(41)を備えることを特徴とするアイロン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コードレスアイロンと、アイロン掛け休止時にコードレスアイロンを載置して、アイロンとの間でエネルギー交換を行えるようにする給電スタンドとを備えるアイロン装置に関し、より詳細には、水タンクを含むアイロンと、蒸気発生用の蒸発室を含む発熱体と、アイロン掛けする衣類に蒸気を供給するための回路とを備えるアイロン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、コードレスアイロンと、コードレスアイロンを置くことができるベースを含む給電スタンドであって、コンセントにつないだ給電スタンドとコードレスアイロンとの間でエネルギー交換を行うことによって掛け面を加熱できるようにする給電スタンドとを備えるアイロン装置が開示されている。特許文献1では、アイロンは蒸気アイロン掛けを行うことができることになっているものの、ユーザが比較的大量の蒸気流量でアイロン掛けを行おうとする場合には、アイロンをコードでコンセントにつないだ接続モードでアイロンを使用する必要がある。
【0003】
これでは、アイロンはコードレスアイロンとしての利点を持たなくなり、このような解決法は、十分な蒸気流量でアイロン掛けをしようとするユーザを満足させるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】英国特許出願第2179961号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明の目的の1つは、十分な蒸気流量の確保とアイロン掛け作業時における十分な無給電連続使用性能などによって、アイロン掛けの高い品質をもたらす蒸気の発生のための蒸発室を具備したコードレスアイロンを備えるアイロン装置を提案することにある。
【0006】
そのため、本発明は、コードレスアイロンと、アイロン掛け休止時にアイロンを載置して、アイロンとの間でエネルギー交換を行えるようにする給電スタンドとを備えるアイロン装置であって、アイロンは、水タンクと蒸気発生用の蒸発室を含む発熱体とを備え、タンクは給水回路によって蒸発室と連通する、アイロン装置において、給水回路は、給水回路による水の循環を妨げる閉位置と給水回路に水を通す開位置との間で可動する閉止手段を備えること、および、閉止手段は、アイロンに設けられた蒸気操作ボタンを操作することによって開位置に至り、ユーザが蒸気操作ボタンを放すと復帰手段によって自動的に閉位置に戻ることを特徴とするアイロン装置を目的とする。
【0007】
このような特徴は、アイロン掛け作業時におけるアイロンの無給電連続使用性能を高める効果、すなわち、高品質のアイロン掛けを得るのに十分な動作温度をアイロンが保持する能力を高める効果を持つ。これは、蒸気操作ボタンの存在によって、給電スタンドへのアイロンの載置時や、アイロンを台上に平らに置いたままで衣類を手早く扱うときの無駄な蒸気発生を防ぐことができるためで、蒸気操作ボタンが存在することにより、蒸気を連続的に発生させるコードレスアイロンと比べて平均約15%の省エネになることがわかっている。
【0008】
本発明のもう1つの特徴によれば、閉止手段は、戻しばねによって蒸発室への給水を遮断する休止位置に戻される閉止弁によって構成されており、前記閉止弁は前記蒸気操作ボタンを操作することで開位置に移動し、それによってタンクからの水は蒸発室の方に流れることができる。
【0009】
本発明のもう1つの特徴によれば、アイロンは把持ハンドルを備えており、蒸気操作ボタンはその把持ハンドルの下に配置されたレバーからなる。
【0010】
本発明のさらにもう1つの特徴によれば、レバーはアイロンのハンドルに回動自在に取り付けられ、かつ、アイロン内に摺動自在に取り付けた操作ロッドに連結された端部を備えており、レバーが操作されたときに操作ロッドが弁をその開位置に移動させるようになっている。
【0011】
本発明のもう1つの特徴によれば、給水回路は、蒸発室に送り込まれる水の流量を調節することができる滴下バルブを備えており、閉止手段はその滴下バルブから独立して、滴下バルブの上流側に配置される。
【0012】
本発明のもう1つの特徴によれば、アイロンは、発熱体に熱的に接触するアイロン掛け面を備えており、発熱体は、掛け面の設定温度の調節ボタンと連係したサーモスタットによって調節される電気抵抗体を備える。
【0013】
本発明のもう1つの特徴によれば、滴下バルブは様々な蒸気流量に対応する様々な位置の間で可動し、アイロンは、滴下バルブの位置をサーモスタットの調節ボタンの位置に対応させるように滴下バルブとサーモスタットの調節ボタンとをつなぐ連結手段を備える。
【0014】
本発明のもう1つの特徴によれば、発熱体は550g超、好ましくは約600gの重量を有する。
【0015】
本発明のもう1つの特徴によれば、発熱体は鋳造アルミニウム製である。
【0016】
本発明のもう1つの特徴によれば、アイロンの給水回路は、発熱体に取り付けられた熱変形性要素によって開放操作されるしずく防止弁を備える。
【0017】
本発明のさらにもう1つの特徴によれば、しずく防止弁は、給水回路にあって閉止手段の上流側に配置される。
【0018】
本発明のさらにもう1つの特徴によれば、給電スタンドは、支持体の上に載置するための下面と、アイロン掛け休止時にアイロンの掛け面を載置するベースと、ベースの一端にあって電気コネクタを含むストッパとを備えており、ベースは、ストッパが占める部分以外のベースの全周に広がって給電スタンドの下面方向に下がっていくアクセス勾配によって縁取られている。
【0019】
本発明のもう1つの特徴によれば、アイロンは、その後端を下にしてバランスよく、ほぼ垂直に立てることができないように適合された形状の後端を備える。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の目的、態様および利点は、限定的でない例として添付の図面を参照しながら示す本発明の具体的な実施形態に関する以下の説明によってよりよく理解されよう。
図1】本発明の具体的な一実施形態によるアイロン装置の側面図である。
図2】アイロンを給電スタンドから離した状態の図1のアイロン装置の斜視図である。
図3】サーモスタット、滴下バルブ、およびレバーと連係した閉止弁がケーシングを透過して見えるようにした図1のアイロンの斜視図である。
図4A】サーモスタットの調節ボタンが低温度位置にあるときの滴下バルブとサーモスタットの調節ボタンとをつなぐ連結装置の斜視図である。
図4B】サーモスタットの調節ボタンが高温度位置にあるときの滴下バルブとサーモスタットの調節ボタンとをつなぐ連結装置の斜視図である。
図5図1のアイロンの部分切欠き斜視図である。
図6】レバーを放した状態の図1のアイロンの長手方向断面図である。
図7】レバーを引いた状態の図1のアイロンの長手方向断面図である。
図8】しずく防止弁が閉位置にあるときの図5のVIII−VIII線によるアイロンの横断方向断面図である。
図9】しずく防止弁が開位置にあるときの図5のVIII−VIII線によるアイロンの横断方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面には本発明の理解に必要な要素のみを示してある。図面を理解しやすくするため、同じ要素には各図面で同じ符号が与えられている。
【0022】
図1および2は、把持ハンドル11を具備するケーシング10がその上に被さっているアイロン掛け面2を備えるコードレスアイロン1を含むアイロン装置を示したものであり、アイロン1は、アイロン台のような作業台の上に載置するための下面を備える給電スタンド100であって、家庭用電源への電気接続を可能にする電源コード101(図2にのみ図示)を含む給電スタンド100と連係する。
【0023】
給電スタンド100は、アイロン掛け休止時にアイロンの掛け面2を載置する細長い形状のベース102と、アイロン1をベース102に載置したときにアイロン1の丸みを帯びた後端に設けられた相補形の電気プラグ(図では見えない)と結合する電気コネクタ104を含むストッパ103とを備える。
【0024】
有利には、給電スタンド100は、支持台への固定を可能にする固定用クランプ105を備え、ベース102は、ストッパ103が占める部分以外のベースの全周にわたるアクセス勾配によって縁取られており、ベース102は、ベース前方に配置された瘤状部106と、ストッパ103近傍に配置された2つのローラ107とが設けられた凸状上面を備え、瘤状部106と2つのローラ107は、給電のためにアイロン1をベース102上に持ってきたときに掛け面2が載置される3つの支点をなす。
【0025】
図3および5に示すとおり、アイロンの掛け面2は、金属製カバー30を被せた鋳造アルミニウム合金を含む発熱体3に密着されており、発熱体3は、少なくとも1400W、好ましくは約2000Wの出力で、管状発熱要素からなる電気抵抗体31を含む。
【0026】
アイロンの発熱体3は、大きなエネルギー貯蔵能力を提供できるように、約1500gのアイロンの総重量に対して、550g超、好ましくは約600gのアルミニウムの塊を含むことが有利である。
【0027】
図3から見て取ることができるように、アイロンのケーシング10上でアクセスできる回転式調節ボタン40と連係したサーモスタット4が発熱体3の上に配設されており、この調節ボタン40は把持ハンドル11の下に配置されて、ユーザが掛け面2の設定温度を選ぶことができるようになっている。
【0028】
サーモスタットの調節ボタン40は、有利には、発熱体3内に組み込まれた蒸気発生のための蒸発室32内にカバーのノズルを貫いて開口する滴下バルブ5と連結アーム41によって連結され(図5および6でよくわかるとおり)、滴下バルブ5は、従来と同様、ケーシング10と一体化された案内スリーブ12内を軸方向に移動することができるロッド50であって、カバー30のノズルに取り付けられたノズルジョイント52内のロッド50の押込み度合に応じて一定流量の水が校正された滴下バルブ5を通過できるようにする溝51付きの下端を具備するロッド50を備える。
【0029】
図4Aおよび4Bに示すとおり、連結アーム41は、ケーシング10と一体をなす基枠42に対して回動自在に取り付けられたL字形本体を有しており、連結アーム41は、滴下バルブのロッド50の両側に延びる2本の枝部によってロッド50に連結される第1の端部を有し、それぞれの枝部に設けられた横長の穴41Aに、ロッド50に取り付けられた連結軸53の端部が係合することにより、基枠42に対する連結アーム41の回動がノズルジョイント52に対して軸方向のロッド50の移動をもたらす。
【0030】
連結アーム41は、歯車列によって調節ボタン40と連動して回転する部片45に設けられたらせん軌道44に乗る操作つめ43を具備する第2の端部をさらに備えており、らせん軌道44の形状は、調節ボタン40の回転、したがって部片45の回転が、連結アーム41の回動および滴下バルブ5のロッド50の軸方向移動をもたらすように適合されている。
【0031】
図4Aは、一例として、掛け面2の設定温度が約105°Cであるときのサーモスタットの調節ボタン40を示したもので、そのとき、滴下バルブのロッドは、図6にも示すとおり低位置にあって、滴下バルブを通過する約5g/分の水流量を得ることを可能にする。一方、図4Bは、掛け面2の設定温度が約250°Cであるときのサーモスタットの調節ボタン40を示したもので、そのとき、滴下バルブのロッド50は、図7にも示すとおり高位置にあって、アイロンを持ち上げた状態で約35g/分の最大水流量を得ることを可能にする。
【0032】
当然のことながら、サーモスタットの調節ボタン40は前述の両極端の位置の中間位置を占めることもでき、その場合、滴下バルブ5のロッド50の位置は、掛け面2の設定温度が約140°Cのときは約15g/分の水流量を、掛け面2の設定温度が約200°Cのときは約25g/分の水流量を提供するように自動的に適合される。
【0033】
図5から7に示すとおり、蒸発室32で発生した蒸気は、掛け面2に設けられた蒸気出口穴20に開口する蒸気配給回路によって周知の方法で放出され、アイロンのケーシング10は、両端のうちの一方の端部に滴下バルブ5を具備する給水回路を通して蒸発室32と連通する水タンク13であって、アイロンの前面に配置された回転式ハッチ14で閉ざされる注入口を具備する水タンク13を備える。
【0034】
より具体的には、本発明によれば、蒸発室32の給水回路は、戻しばね61によって自動的に休止位置に戻されるレバー60によって操作される閉止弁6を備えており、レバー60は、有利には、人差指で容易に操作できるようにアイロンのハンドル11の下に位置する。
【0035】
閉止弁6は、蒸発室32の給水回路にあって、滴下バルブ5の上流側に配置され、戻しばね64によって図6に示す閉位置に戻されるシール63を備えた下端を持つ操作ロッド62を備えており、その閉位置では、シール63のリップが給水回路の流路口15Aを縁取る座部15に押し付けられて、蒸発室32の給水回路を通る水の循環が妨げられる。
【0036】
閉止弁6の操作ロッド62は、軸65を介してレバー60の端部に接続された上端を有しており、レバー60は、把持ハンドル11に設けられた軸16の周りに回動自在に取り付けられた本体を有しており、レバー60の操作によって操作ロッド62がその戻しばね64に抗して下方に移動して閉止弁6が図7に示す開位置に移動すると、その開位置で、シール63は流路口を縁取る座部15から引き離され、それによって流路口15Aを通るタンク13からの水の流れが可能となる一方、レバー60を放すと、レバー60は自動的に休止位置に戻り、閉止弁6が閉じるようになっている。
【0037】
好ましくは、給水回路は、タンク13底部の給水回路が始まる部位に配置されたしずく防止弁7(図8に図示)をさらに備えており、しずく防止弁7は戻しばね70によって図8に示す閉位置に戻されるようになっており、その閉位置では、しずく防止弁7の上端が流路口13Aを閉ざし、タンク13から、給水回路のうち、タンク13から閉止弁6までの間の給水回路の第1の部分13Bに向かう水の流れを妨げる。
【0038】
図9に示すように、しずく防止弁7は、しずく防止弁7の下に配設された小円柱71によって開位置に移動することができ、発熱体3とタンク13とを隔てる熱遮蔽壁17を貫いて摺動自在に取り付けられた小円柱71は、発熱体3に取り付けられたバイメタル72からなる熱変形性要素によってそれ自体が移動するようになっており、バイメタル72は、蒸発室32内が蒸気発生に十分な温度、すなわち100°C超になったときに変形して、しずく防止弁7の開放を果たすことができるように設計されている。
【0039】
好ましくは、給水回路の第1の部分13Bは、追加分の蒸気の発生を可能にする第1の手動ポンプ8が汲出しを行うための分岐13Cを有しており、その圧送を容易にするために給水回路の第1の部分13Bは通気孔によって外気とつながるようにするが、その通気孔は有利には、ケーシング10内の操作ロッド62の移動動作を案内する各種機構レベルに存在する様々な遊びによって構成される。
【0040】
第1のポンプ8は、把持ハンドル11の前方上部に配設された第1のボタン80であって、電気抵抗体31の直近で発熱体3内に組み込まれた副蒸発室33に開口する(図5および6に部分的に見える)管路81に水を送り込むことができる第1のボタン80によって操作することができ、第2の蒸発室33は、掛け面の前部に配設された限られた数の蒸気出口穴20と周知の方法で連通する。
【0041】
アイロンは、タンク13に直接開口する導入管91(図9に図示)を具備する第2の手動ポンプ9をさらに備えており、その第2のポンプ9は、第1のボタン80の隣に配設された第2のボタン90によって操作することができ、アイロン1の前面に配設された噴霧ノズル92(図5および6に図示)と管路(図示せず)で接続されている。
【0042】
こうして実現されるアイロン装置の動作について以下に説明する。
【0043】
アイロン掛けを行おうとするときは、ユーザは、タンク13に水を満たし、給電スタンド100の電源コード101を家庭用コンセントにつなぎ、アイロン1は給電スタンド100に接続した状態に置く。すると、発熱体3の抵抗体31が給電スタンド100の電気コネクタによって給電され、大出力の電気抵抗体31によって発熱体3は急速に温度が上昇する。掛け面2の温度が調節ボタン40で選ばれた設定温度に達すると、サーモスタット4が開き、アイロンのパイロットランプが点灯することによって、掛け面2が設定温度に達し、アイロン1を使うための準備が整ったことをユーザに知らせる。
【0044】
蒸気を使ってアイロン掛けをしたいときは、ユーザはレバー60を押すだけでよく、それにより閉止弁6を図7に示す開位置に移動させ、給水回路の第1の部分13Bにあるタンク13からの水が、閉止弁6と滴下バルブ5の間の給水回路の第2の部分13Dに流れるようにすると、第2の部分13Dの水は、滴下バルブ5の位置によって定義される流量、すなわち、掛け面2の設定温度にふさわしいものとなるようにサーモスタット4の調節ボタン40の位置によって自動的に決定される流量で蒸発室32に流れ込む。
【0045】
衣類の位置を変えるためや、アイロン1をその給電スタンド100に置くときなどに、ユーザがレバー60を放すと、レバー60と閉止弁6は、レバー60および操作ロッド62のそれぞれの戻しばね61、64の複合的な作用によって自動的に閉位置に戻り、水は流路口15Aを通して流れることができなくなり、給水回路の第2の部分13Dに対するタンク13からの給水が行われなくなる。そのため、給水回路による蒸発室32への給水がなくなって、蒸発室32による蒸気発生が中断される。
【0046】
レバー60を放すのとほぼ同時に蒸気の中断が得られるようにするため、好ましくは滴下バルブのロッド50と案内スリーブ12との間にシール54を配設して、蒸発室32の給水回路の第2の部分13Dに気密性を持たせることで、閉止弁6が閉じたときに給水回路の第2の部分13Dに蓄えられた水の流れが直ちに中断されるようにする。
【0047】
難作業を行う場合などに、ユーザが瞬間的に追加分の蒸気を望むときは、ボタン80を押して第1のポンプ8を操作しさえすれば、あらかじめ決められた量の水−数ミリリットル程度−が副蒸発室33に送り込まれて追加的な蒸気放出を得ることができ、蒸気は掛け面2の前方に位置する限られた数の蒸気出口穴20を通して放射される。ユーザは、衣類を湿らせるための水ミストも利用することができ、ボタン90を押して第2のポンプ9を手動操作することによって、ノズル92を通していつでもミストを得ることができる。
【0048】
ユーザが、給電スタンド100にアイロン1を置くことのないまま、多めの蒸気流量で1分超の比較的長いアイロン掛けを行うと、発熱体3の温度は次第に下がり、遂には蒸発室32の温度が蒸気発生を果たせないものとなる。
【0049】
その場合、蒸発を果たせなくなるその限界温度に達する一歩手前で、図8に示すように、バイメタル72が変形してしずく防止弁7を閉鎖し、それによって給水回路の第1の部分13Bと第2の部分13Dにある少量の水だけが蒸発室32に流れ込むことができるようにして、掛け面の出口穴20から水滴が流れ出るのを防ぐ。さらに、しずく防止弁7の閉鎖により、仮にユーザがボタン80を何度も操作したとしても、せいぜいわずかな量の給水回路の第1の部分13B内の水を圧送できるだけのことになるため、過剰蒸気発生のために副蒸発室33にまとまった量の水が送り込まれることも防ぐ。
【0050】
当然のことながら、アイロンは、前述の機械的解決法を補うものとして、発熱体3の温度がアイロン掛け作業を効率よく行うには不十分となったときに、アイロン1をその給電スタンド100に置く必要があることをユーザに警告するために作動する点滅ランプなど、視覚的または聴覚的なインジケータを備えることもできよう。
【0051】
こうして実現されるアイロン装置は、無給電連続使用性能を高めることができるレバーの存在と、アイロン掛け休止時に給電スタンドのベース上にアイロンを置いたときに大量のエネルギーを貯蔵することを可能にするアイロン内のアルミニウムの大きな塊の存在により、スタンドでの給電と給電の間の連続使用性能の高さを維持しながら、30g/分を超える大きな蒸気流量をもたらすことができるコードレス蒸気アイロンを得るという利点を持つ。さらに、アイロンの後端が丸みを帯びているために、そこを下にしてアイロンを垂直に立てることができないことは、アイロン掛け休止時にアイロンを給電スタンドに置くことをユーザに促すという利点を持つ。
【0052】
最後に、こうして実現されるアイロン装置は、アイロンの重さにもかかわらず、ベースに対するアイロンの着脱をアイロンを持ち上げることなく、単にハンドルに引張り応力を加えることにより、アイロン台からアイロンをベースのいずれか1つのアクセス傾斜の方向に滑らせるだけで行うことができて、アイロン掛け時の疲労を制限する使用時の人間工学の高さを発揮するという利点を有しており、様々な方向のアクセス傾斜の存在は、給電スタンドへのアイロンのアプローチにおける動作に大きな自由度をもたらすとともに、アイロン掛け台上での給電スタンドの向きに関しても大きな選択の幅を与える。
【0053】
ここに説明し、図示した実施形態はあくまでも例として挙げたものに過ぎず、本発明がそれだけに限られるものでないことは言うまでもない。本発明によって保護される領域から外れることなしにそれに変更を加えることは、とりわけ、様々な要素の構成という観点からであれ、技術的な等価物による代替を通してであれ、可能である。
【0054】
そのため、本発明の一変形形態では、発熱体の鋳造物は、マグネシウム製であることも、アルミニウム、銅およびマグネシウムを含む合金で作ることもできよう。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9