特許第6091508号(P6091508)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6091508
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】モジュール式のクロスシャフトヨーク
(51)【国際特許分類】
   F16H 48/08 20060101AFI20170227BHJP
【FI】
   F16H48/08
【請求項の数】18
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-529826(P2014-529826)
(86)(22)【出願日】2012年9月6日
(65)【公表番号】特表2014-525556(P2014-525556A)
(43)【公表日】2014年9月29日
(86)【国際出願番号】US2012053823
(87)【国際公開番号】WO2013036551
(87)【国際公開日】20130314
【審査請求日】2015年8月4日
(31)【優先権主張番号】61/531,458
(32)【優先日】2011年9月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390033020
【氏名又は名称】イートン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー、ダニエル、フィリップ
【審査官】 前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開平6−50396(JP,A)
【文献】 特表2010−526262(JP,A)
【文献】 特開平11−2311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 48/00−48/42
F16B 7/00− 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デファレンシャル用の取り付けシステムであって、
クロスシャフトと、
第1スタブシャフトと、
第2スタブシャフトと、
ヨークと、を含み、
前記クロスシャフトは、
長軸と、
該長軸に直交して前記クロスシャフトを貫通する通路と、を含み、前記通路は、第1穴部と第2穴部を含み、
前記第1スタブシャフトは、前記第1穴部の中心軸と平行な長軸を含み、
前記第2スタブシャフトは、前記第2穴部の中心軸と平行な長軸を含み、かつ、
前記クロスシャフトは、前記第1穴部に隣接する第1凹部,及び,前記第2穴部に隣接する第2凹部を含み、前記第1凹部は第1平面を含み、前記第2凹部は第2平面を含み、前記第1スタブシャフトは、第1平面端部を含み、前記第1平面端部は、前記第1平面に当接し、前記第2スタブシャフトは、第2平面端部を含み、かつ、前記第2平面端部は、前記第2平面に当接し、
前記ヨークは、前記通路内に配置されて前記クロスシャフトを貫通し、また、前記第1スタブシャフト内に延びる第1部分,及び,前記第2スタブシャフト内に延びる第2部分を含み、前記第1部分が前記第1スタブシャフトの前記第1平面端部近傍に接続され、かつ、前記第2部分が前記第2スタブシャフトの前記第2平面端部近傍に接続されることを特徴とする取り付けシステム。
【請求項2】
前記ヨークは、前記第1スタブシャフトに圧入ばめされ、また、前記ヨークは、前記第2スタブシャフトに滑りばめされることを特徴とする請求項1に記載の取り付けシステム。
【請求項3】
前記ヨークは、第1ノッチを含み、また、前記第2スタブシャフトは、溝を含み、止め輪が、前記溝に前記第1ノッチを固定することを特徴とする請求項2に記載の取り付けシステム。
【請求項4】
前記ヨークは、第2ノッチを含み、また、前記第1スタブシャフトは、第2溝を含み、第2止め輪が、前記第2溝に前記第2ノッチを固定することを特徴とする請求項3に記載の取り付けシステム。
【請求項5】
前記ヨークはリップを含み、前記第1スタブシャフトは凹部を含み、かつ、前記リップは、前記凹部に圧入ばめされることを特徴とする請求項2に記載の取り付けシステム。
【請求項6】
さらに、第1止め輪及び第2止め輪を含み、前記ヨークが、第1ノッチ及び第2ノッチを含み、前記第1スタブシャフトが第1溝を含み、前記第2スタブシャフトが第2溝を含み、前記第1止め輪が、前記第1溝に前記第1ノッチを固定し、かつ、前記第2止め輪が、前記第2溝に前記第2ノッチを固定することを特徴とする請求項1に記載の取り付けシステム。
【請求項7】
前記クロスシャフト,前記第1スタブシャフト,及び前記第2スタブシャフトは、中空であることを特徴とする請求項1に記載の取り付けシステム。
【請求項8】
前記第1凹部は、少なくとも1つの平面側壁を含み、前記第1スタブシャフトの外側は、平面を有し、また、前記第1凹部の前記少なくとも1つの平面側壁に当接するように配置され、かつ、前記第2凹部は、少なくとも1つの平面側壁を含み、前記第2スタブシャフトの外側は、平面を有し、また、前記第2凹部の前記少なくとも1つの平面側壁に当接するように配置されることを特徴とする請求項に記載の取り付けシステム。
【請求項9】
ワンピースのハウジングを含むデファレンシャルであって、
前記ワンピースのハウジングは、
第1,2,3,4ピニオンギアと、
該第1及び第4ピニオンギアを貫通するクロスシャフトと、
前記第2ピニオンギアを貫通する第1スタブシャフトと、
前記第3ピニオンギアを貫通する第2スタブシャフトと、
前記クロスシャフトを貫通し、前記第1スタブシャフトの一部,及び前記第2スタブシャフトの一部を貫通するヨークと、をほぼ取囲み、かつ、
前記クロスシャフトは、第1凹部と第2凹部を含み、前記第1凹部は第1平面を含み、前記第2凹部は第2平面を含み、前記第1スタブシャフトは、第1平面端部を含み、前記第1平面端部は、前記第1平面に当接し、前記第2スタブシャフトは、第2平面端部を含み、かつ、前記第2平面端部は、前記第2平面に当接し、
前記ヨークは、第1部分が前記第1スタブシャフトの前記第1平面端部近傍に嵌め合わされ、かつ、第2部分が前記第2スタブシャフトの前記第2平面端部近傍に嵌め合わせられ、前記ハウジング内の前記クロスシャフト,前記第1スタブシャフト,及び前記第2スタブシャフトを保持することを特徴とするデファレンシャル。
【請求項10】
前記ヨークは、前記第1スタブシャフトに圧入ばめされ、また、前記ヨークは、前記第2スタブシャフトに滑りばめされることを特徴とする請求項に記載のデファレンシャル。
【請求項11】
前記ヨークは、第1ノッチを含み、また、前記第1スタブシャフトは、溝を含み、止め輪が、前記溝に前記第1ノッチを固定することを特徴とする請求項に記載のデファレンシャル。
【請求項12】
前記ヨークは、第2ノッチを含み、また、前記第2スタブシャフトは、第2溝を含み、かつ、第2止め輪が、前記第2溝に前記第2ノッチを固定することを特徴とする請求項11に記載のデファレンシャル。
【請求項13】
前記ヨークはリップを含み、前記第1スタブシャフトは凹部を含み、かつ、前記リップは、前記凹部に圧入ばめされることを特徴とする請求項に記載のデファレンシャル。
【請求項14】
前記クロスシャフト,前記第1スタブシャフト,及び前記第2スタブシャフトは、中空であることを特徴とする請求項に記載のデファレンシャル。
【請求項15】
前記第1凹部は、少なくとも1つの平面側壁を含み、前記第1スタブシャフトの外側は、平面を有し、また、前記第1凹部の前記少なくとも1つの平面側壁に当接するように配置され、かつ、前記第2凹部は、少なくとも1つの平面側壁を含み、前記第2スタブシャフトの外側は、平面を有し、また、前記第2凹部の前記少なくとも1つの平面側壁に当接するように配置されることを特徴とする請求項に記載のデファレンシャル。
【請求項16】
前記ハウジングは、第1通路,第2通路,第3通路,及び第4通路を含み、前記第1通路は、前記第2通路,及び,前記第1通路から前記第2通路へ延びる前記クロスシャフトと同軸上にあり、前記第3通路は、前記第4通路,前記第3通路から前記クロスシャフトへ延びる前記第1スタブシャフト,及び,前記第4通路から前記クロスシャフトへ延びる前記第2スタブシャフトと同軸上にあることを特徴とする請求項に記載のデファレンシャル。
【請求項17】
デファレンシャルのハウジング内にピニオンシャフトをアセンブリするための方法であって、
前記ハウジングの第1開口部にクロスシャフトを挿入して、前記ハウジングを貫通して前記ハウジングの第2開口部まで前記クロスシャフトを延ばす、
前記クロスシャフトの第1平面に当接する第1スタブシャフトの第1平面端部近傍にヨークの第1部分を挿入する、
前記ハウジングの第3開口部内に第2スタブシャフトを挿入する、
前記クロスシャフトに当接するまで前記第2スタブシャフトを延ばす、
前記ハウジングの第4開口部内に前記第1スタブシャフトを挿入する、
前記クロスシャフトに当接するまで前記第1スタブシャフトを延ばす、
前記クロスシャフトの開口部に前記ヨークを通す、及び、
前記ヨークの第2部分前記クロスシャフトの第2平面に当接する前記第2スタブシャフトの第2平面端部近傍に嵌め合わせる、各ステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
さらに、前記第1スタブシャフトの凹部に、前記ヨークのリップを連結して圧入ばめとし,及び,止め輪を用いて、前記第2スタブシャフトの溝に、前記ヨークのノッチを連結する,各ステップを含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2011年9月6日に出願された米国特許仮出願第61/531,458号に対する優先権を主張し、その開示内容はその全体を参照として本明細書に組み込む。
【0002】
本開示は、概して、ワンピースのハウジング内に4つのピニオンを有する車両用デファレンシャルに関するものである。さらに具体的に言うと、本開示は、ヨークと、デファレンシャルをアセンブリするために用いるセルフロッキング機構と、を備えたクロスシャフト及びスタブシャフトに関するものである。
【背景技術】
【0003】
車両用デファレンシャルは、スリップ,オーバーステア,及びアンダーステアを防止し、また、トラクションコントロールを行う目的で車両のホイールが別々に回転することを可能にする歯車装置を含む。このデファレンシャルの一部は、1つ以上のシャフトに複数のピニオンギアを収容してもよい。従って、ピニオンギアは、協働しているサイドギアに対して位置を保持することができる。
【0004】
デファレンシャルの中には、4つのピニオンを含むものがある。このタイプのデファレンシャルの中には、4つのピニオンを包囲するハウジングがピニオンシャフトを取り付けるために中間で2つに分割されていることを必要としているものがある。この設計を有する1つの例としては、中央にノッチを備えたクロスシャフトが交差する。この場合、ハウジングは平面に沿って合体しなければならず、クロスシャフトノッチが合体しなければならず、さらに、ハウジングは、通常、クロスシャフトを受けるために、2分割された片方または両方が変更されるため、機械加工における要求は高い。さらに、この設計では、ハウジングがこの2分割した部材を一体に固定する手段を有しなければならないため、装置のサイズが大きくなり、重くなる。
【0005】
4つのピニオンを有するデファレンシャルの他の設計では、ワンピースのハウジング、及び、スタブシャフトとクロスシャフトの組み合わせを有する。スタブシャフトとクロスシャフトを位置合わせするための機械加工に加えて、ねじ部品を使用するため、これらの従来技術でのスタブシャフト設計における機械加工の要求はさらに高い。この設計では、さらに、リテーニングプレート(保持板)を含み、それにより、寸法公差を有する部品の数が増える。この設計では、ねじ切りされた領域に剛性用の追加材料を必要とし、また、ハウジングがリテーニングプレート及び/またはねじ切りされた部材を受けるための十分な手段を必要とするため、装置のサイズが大きくなり、重くなる。
【発明の概要】
【0006】
デファレンシャル用の取り付けシステムであって、この取り付けシステムは、クロスシャフトと、第1スタブシャフトと、第2スタブシャフトと、ヨークと、を含み、前記クロスシャフトは、長軸と、該長軸に直交して前記クロスシャフトを貫通する通路と、を含み、前記通路は、第1穴部と第2穴部を含み、前記第1スタブシャフトは、前記第1穴部の中心軸と平行な長軸を含み、前記第2スタブシャフトは、前記第2穴部の中心軸と平行な長軸を含み、かつ、前記ヨークは、前記通路内に配置され、また、前記第1スタブシャフト内に延びる第1部分,及び,前記第2スタブシャフト内に延びる第2部分を含む、ことを特徴とする。
【0007】
ワンピースのハウジングを含むデファレンシャルであって、このデファレンシャルは、前記ワンピースのハウジングが、第1,2,3,4ピニオンギアと、該第1及び第4ピニオンギアを貫通するクロスシャフトと、前記第2ピニオンギアを貫通する第1スタブシャフトと、前記第3ピニオンギアを貫通する第2スタブシャフトと、前記クロスシャフト,前記第1スタブシャフト,及び前記第2スタブシャフトの一部を貫通するヨークと、をほぼ取囲み、かつ、前記ヨークが、前記第1スタブシャフト及び前記第2スタブシャフトに嵌め合わせられ、前記ハウジング内の前記クロスシャフト,前記第1スタブシャフト,及び前記第2スタブシャフトを保持することを特徴とする。
【0008】
デファレンシャルのハウジング内にピニオンシャフトをアセンブリするための方法であって、この方法は、前記ハウジングの第1開口部にクロスシャフトを挿入して、前記ハウジングを貫通して前記ハウジングの第2開口部まで前記クロスシャフトを延ばす、第1スタブシャフトにヨークを挿入する、前記ハウジングの第3開口部内に第2スタブシャフトを挿入する、前記クロスシャフトに当接するまで前記第2スタブシャフトを延ばす、前記ハウジングの第4開口部内に前記第1スタブシャフトを挿入する、前記クロスシャフトに当接するまで前記第1スタブシャフトを延ばす、前記クロスシャフトの開口部に前記ヨークを通す、及び、前記ヨークを前記第2スタブシャフトに嵌め合わせる、各ステップを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明における追加の目的と効果が、後述の一部において説明され、その一部の記述から明白となり、または、本開示の実施によって知るだろう。この目的と効果は、さらに、添付の請求の範囲において特に挙げられる構成要素とその組み合わせにより、理解を得られるだろう。
【0010】
当然のことながら、前述の発明の概要と後述の詳細な説明の両方は、例となるものであり、また、説明のためのものでしかない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、デファレンシャルのピニオン用のハウジングの横断面図である。
図2図2は、ピニオン取り付けシステムの一部分の横断面図である。
図3図3は、ピニオン取り付けシステムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面に示されている本開示の態様を詳細に参照する。可能な限り、同一の参照番号が、同一または同類の構造を示すように図面全体にわたって用いられている。
【0013】
図1は、デファレンシャルにおけるワンピースのピニオンハウジング50の横断面を示している。すなわち、このハウジング50は、二つ割りにして示されているが、実際には、残りの半分とのはめ合いを必要とせずにハウジングを完成させる単一のスリーブである。さらに、図1は、第1,2,3及び4ピニオンギア61,62,63,64と協働するサイドギア80を示している。
【0014】
ハウジング50は、クロスシャフト10,第1スタブシャフト20及び第2スタブシャフト30の挿入を受け入れるための第1,2,3及び4ハウジング開口部51,52,53,54を有する。第1及び2ハウジング開口部51,52は、同軸上にあり、また、第3及び第4ハウジング開口部53,54は、同軸上にある。クロスシャフト10は、第1及び第4ピニオン61,64を貫通し、また、クロスシャフト10は、一部が第1及び2ハウジング開口部51,52内で保持されている。第1スタブシャフト20は、第2ピニオン62を貫通し、また、一部が第3ハウジング開口部53内で保持されている。第2スタブシャフト30は、第3ピニオン63を貫通し、また、一部が第4ハウジング開口部54内で保持されている。
【0015】
デファレンシャルのピニオン用の取り付けシステムは、ヨーク40,クロスシャフト10,第1スタブシャフト20,及び第2スタブシャフト30を含むことができる。図2及び3においてより詳細に示すように、ヨーク40は、第1スタブシャフト20に接続され、クロスシャフト10を貫通し、かつ、第2スタブシャフト30に接続されている。
【0016】
ヨーク40は、環状リップ41を含むことができる。このリップ41は、ヨーク40を第1スタブシャフト20に固定するために、第1スタブシャフト20内部の凹部21に圧入される。第1スタブシャフト20内部の環状溝22とヨーク40の環状ノッチ42において、さらなる取り付け手段を含むことができる。止め輪70またはバングリングがノッチ42内に設置される。ヨーク40,ノッチ42,及び止め輪70は、止め輪70が溝22にかみ合うまで第1スタブシャフト20に挿入される。第1スタブシャフト20にヨーク40を固定するために、この圧入は、単独か、または、止め輪の取り付けと共に用いられる。また、圧入なしの単独で止め輪の取り付けを行うことが望ましい。
【0017】
ヨーク40は、さらに、第2止め輪71を受けるための第2ノッチ43を含む。ヨーク40,第2ノッチ43,及び止め輪71は、止め輪71が第2溝32にかみ合うまで第2スタブシャフト30に挿入されることにより、第2スタブシャフト30にはめ込まれて取り付けられる。図2は、第2スタブシャフト30内部に第2凹部31を示しているが、第2凹部31は、任意のものであり、また、ヨーク40上のリップをかみ合わせなくてもよい。代わりに、第1スタブシャフト20を、第2スタブシャフト30と同一にして、アセンブリにおいて同一部品を用いることができるようにしてもよい。
【0018】
第1スタブシャフト20は、第2スタブシャフト30の長軸と平行なヨーク40の長軸と平行な長軸を有する。これらの3軸は、クロスシャフト10の長軸に直交する。クロスシャフト10は、ヨーク40の一部を通すための通路を形成する2つの開口部11,12を有する。クロスシャフト10は、さらに、外壁に2つの凹部13,14を有する。この凹部13,14は、開口部11,12に隣接してもよく、また、開口部11,12と同心円状に近接してもよい。凹部13,14の其々は、平面15,16を有する。第1スタブシャフト20の平面端部23は、平面15に当接してもよい。第1スタブシャフト20の外面の一部は、凹部13の内部に当接してもよい。同様に、第2スタブシャフト30の平面端部33は、平面16に当接してもよい。第2スタブシャフト30の外面の一部は、凹部14の内部に当接してもよい。凹部13,14は、スタブシャフトに対する補足的機能として回り止め機能を含んでもよい。
【0019】
図3は、回り止め機能を含んだ取り付けアセンブリの斜視図である。回り止め機能は、凹部13に平面状の少なくとも1つの内側壁を含み、また、凹部14に平面状の少なくとも1つの内側壁を含み得る。図3は、平面24,25を備えた第1スタブシャフト20の2つの部分に当接する凹部13の2つの平面側壁を示している。凹部14の2つの平面側壁は、平面34,35を備えた第2スタブシャフト30の2つの部分に当接する。第1及び第2スタブシャフト20,30は、曲面26,36の其々によって連なる平面24,25,34,35を備えた部分を含むことができる。クロスシャフト10が凹部13,14において補足的な平坦面を含む場合、この平坦面24,25,34,35は、クロスシャフト10に対する回転からスタブシャフト20,30をロック(固定)することができる。介在している曲面なしの三角形,四角形,六角形などのような、他の平坦面パターンが、面26,36に用いられてもよい。
【0020】
取り付けシステムの重量バランスを維持するために、クロスシャフト10は、直径変化または平坦面19を有する。平坦面24,25,34,35,19は、取り付けシステムの全体の重量を減らし、また、部品を形成するために必要とされる材料の量を減らす。
【0021】
クロスシャフト10,第1スタブシャフト20,及び第2スタブシャフト30の円筒部分17,18,27,37の其々は、第1,2,3,4ハウジング開口部51,52,53,54に、はめ込まれる。この円筒部分と開口部は、一旦正しく設置されると、ぴったりとフィットするように寸法公差が設定されているか、または、テーパ状になっていてもよい。
【0022】
凹部21,31の縁部は、止め輪70,71が凹部21,31を通過して溝22,32に滑り込めるように、面取りされている。止め輪70,71が再圧縮されてアセンブリから抜け出ないように、溝22,32及びノッチ42,43は、面取りされていない。クロスシャフト10は、止め輪71が圧縮されてクロスシャフト10を通過するように、開口部11,12の端部に追加の面取りを含んでもよい。
【0023】
取り付けアセンブリをアセンブリする1つの方法は、ヨーク40を第1スタブシャフト20に圧入すること、止め輪71をヨーク40に取り付けること、ヨーク40に取り付けられた止め輪71をクロスシャフト10の開口部11,12に通すこと、及び、止め輪71及びヨーク40に第2スタブシャフト30をはめ込むことを含むことができる。
【0024】
ピニオンハウジングをアセンブリするための方法は、ハウジング50内部の第1,2,3,4ピニオン61,62,63,64を設置することを含むことができる。クロスシャフト10は、ピニオン61,64内の中央ボアを通過することができ、また、ハウジング50内の開口部51,52へ延びることができる。ヨーク40は、リップ41を用いて、第1スタブシャフト20の凹部21に圧入することができる。この方法における代替または追加のステップとして、ノッチ42に止め輪70を設置すること、及び、止め輪70が溝22にはまるまで止め輪70と溝42を第1スタブシャフト20内に滑り込ませることが、含まれてもよい。第2止め輪71は、ヨーク40のノッチ43内に設置される。
【0025】
その後、ヨーク40と第1スタブシャフト20は、ハウジング50の開口部53に挿入され、第1スタブシャフト20は、ハウジング50の開口部53からクロスシャフト10へ延びる。第1スタブシャフト20の平面端部23は、凹部13の平坦面15に当接し、また、ヨーク40が、クロスシャフト10内の開口部11,12にわたって延び、止め輪71及びノッチ43が、クロスシャフト10の外側に存在することができる。
【0026】
第2スタブシャフト30は、第1スタブシャフト20が挿入される前または後に、ハウジング50の開口部54に挿入される。第2スタブシャフト30は、ハウジング50の開口部54からクロスシャフト10にかけて延び、平面端部33が平坦面16に当接するように、挿入される。止め輪71及びノッチ43は、溝32と、滑り込ませることによるはめ込みを形成する。
【0027】
ヨーク40,クロスシャフト10,第1スタブシャフト20,及び第2スタブシャフト30は、中空のものであり、これは、アセンブリされる取り付けシステムの重量を大いに減らす。さらに、取り付けシステムのはめ込みは、ねじ部品の必要性を解消し、機械加工公差を緩める。圧入とスナップ嵌めは、アセンブリを簡素化し、さらに、機械加工公差を緩める。これらのピニオンシャフトは、リテーニングプレート,ボルト,またはハウジングに取り付けられる他の手段を使用せずに、適切な位置で互いに保持し合うことができ、これは、アセンブリの重量を減らし、また、製造の複雑性を下げる。さらに、この開示された取り付けシステムは、ワンピースのピニオンハウジング内において容易なアセンブリを提供する。
【0028】
本明細書様を考慮することやここに開示された実施例を実施することから、他の実施例を実施することは、当業者には明らかである。明細書及び実施例は、単なる例示にすぎず、本発明の技術的範囲及び思想は、以下の請求の範囲によって示されるものとする。
図1
図2
図3