(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6091514
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】プランジャロッドの保持アンカー
(51)【国際特許分類】
A61M 5/315 20060101AFI20170227BHJP
【FI】
A61M5/315 510
【請求項の数】21
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-541170(P2014-541170)
(86)(22)【出願日】2012年11月7日
(65)【公表番号】特表2015-505252(P2015-505252A)
(43)【公表日】2015年2月19日
(86)【国際出願番号】US2012063800
(87)【国際公開番号】WO2013070663
(87)【国際公開日】20130516
【審査請求日】2014年7月15日
(31)【優先権主張番号】61/558,581
(32)【優先日】2011年11月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/669,724
(32)【優先日】2012年11月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミラン イヴォセヴィック
【審査官】
田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2002−515268(JP,A)
【文献】
特開昭59−115053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸に沿って延在する、直交するように離間される複数の細長いリブによって形成される細長いボディと、
前記細長いボディの第1の端部に隣接する第1のレッジと、
前記細長いボディの第2の端部に隣接する第2のレッジであって、前記第2の端部は前記第1の端部の反対側にある、第2のレッジと、
前記第2のレッジから延在する取付部分と
を備え、
少なくとも1つの細長いリブは、前記第2のレッジに隣接する前記第2の端部に隣接するように配置される保持アンカーを有し、
前記保持アンカーは、前記第2のレッジから前記細長いボディの前記第2の端部に向かって延在する第1の傾斜部分と、前記直交するように離間される細長いリブのうちの1つに平行に前記細長いボディの前記第2の端部に向かって延在する第2の部分と、前記直交するように離間される細長いリブのうちの1つに対して垂直に延在する第3の部分とを有することを特徴とするプランジャロッド。
【請求項2】
前記細長いリブの各々は、前記第2のレッジに隣接する前記第2の端部に隣接するように配置される前記保持アンカーを有することを特徴とする請求項1に記載のプランジャロッド。
【請求項3】
前記保持アンカーは、シリンジバレルの端部のところに設けられる保持構造と相互作用することにより、前記シリンジバレルから前記細長いボディが外れるのを防止することを特徴とする請求項2に記載のプランジャロッド。
【請求項4】
前記第1の傾斜部分は、約3°から約60°の角度で前記第2のレッジから延在することを特徴とする請求項1に記載のプランジャロッド。
【請求項5】
前記保持アンカーの第3の部分は、シリンジバレルから前記プランジャロッドが外れるのを防止するためにシリンジバレルの保持構造と相互作用することを特徴とする請求項1に記載のプランジャロッド。
【請求項6】
前記保持アンカーは、長方形、円形または傾斜形状からなる群から選択される断面形状を有することを特徴とする請求項1に記載のプランジャロッド。
【請求項7】
前記プランジャロッドは、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、フッ素重合体、アイオノマー、ポリアクリレート、またはそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択される重合体材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のプランジャロッド。
【請求項8】
前記取付部分は、そこにストッパを固定するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のプランジャロッド。
【請求項9】
流体を排出する端部および開口端部を備える実質的に円筒形のシリンジバレルであって、前記開口端部は保持構造を備える、シリンジバレルと、
前記シリンジバレルの前記開口端部内で受けられるように構成されるストッパと、
前記ストッパの一部分に係合するように構成されるプランジャロッドであって、前記プランジャロッドは、
長手方向軸に沿って延在する、直交するように離間される複数の細長いリブによって形成される細長いボディ、
前記細長いボディの第1の端部に隣接する第1のレッジ、
前記細長いボディの第2の端部に隣接する第2のレッジであって、前記第2の端部は前記第1の端部の反対側にある、第2のレッジ、
前記第2のレッジから延在する取付部分であって、前記取付部分は前記ストッパの一部分に係合するように構成される、取付部分
を備え、
少なくとも1つの細長いリブは、前記シリンジバレルの前記保持構造に係合するための、前記第2のレッジに隣接する前記第2の端部に隣接する保持アンカーを有する
プランジャロッドと
を備え、
前記少なくとも1つの保持アンカーは、前記第2のレッジから前記細長いボディの前記第2の端部に向かって延在する第1の傾斜部分と、前記直交するように離間される細長いリブのうちの1つに平行に前記細長いボディの前記第2の端部に向かって延在する第2の部分と、前記直交するように離間される細長いリブのうちの1つに対して垂直に延在する第3の部分とを有することを特徴とするシリンジ。
【請求項10】
前記保持構造は、前記シリンジバレルの内側表面から内側に延在するノッチまたはタブのうちの少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項9に記載のシリンジ。
【請求項11】
前記細長いリブの各々は、前記第2のレッジに隣接する前記第2の端部に隣接するように配置される保持アンカーを有することを特徴とする請求項9に記載のシリンジ。
【請求項12】
前記第1の傾斜部分は、約3°から約60°の角度で前記第2のレッジから延在することを特徴とする請求項9に記載のシリンジ。
【請求項13】
前記保持アンカーの第3の部分は、前記シリンジバレルから前記プランジャロッドが外れるのを防止するために前記シリンジバレルの前記保持構造と相互作用することを特徴とする請求項9に記載のシリンジ。
【請求項14】
前記少なくとも1つの保持アンカーは、長方形、円形または傾斜形状からなる群から選択される断面形状を有することを特徴とする請求項9に記載のシリンジ。
【請求項15】
前記プランジャロッドは、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、フッ素重合体、アイオノマー、ポリアクリレート、またはそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択される重合体材料から製造されることを特徴とする請求項9に記載のシリンジ。
【請求項16】
シリンジバレルと共に使用されるように適合されるプランジャロッドとストッパの組立体であって、前記組立体は、
ストッパと、
前記ストッパの一部分に係合されるように構成されるプランジャロッドであって、前記プランジャロッドは、
長手方向軸に沿って延在する、直交するように離間される複数の細長いリブによって形成される細長いボディ、
前記細長いボディの第1の端部に隣接する第1のレッジ、
前記細長いボディの第2の端部に隣接する第2のレッジであって、前記第2の端部が前記第1の端部の反対側にある、第2のレッジ、
前記第2のレッジから延在する取付部分であって、前記取付部分は前記ストッパの一部分に係合されるように構成される、取付部分
を備え、
少なくとも1つの細長いリブは、前記第2のレッジに隣接する前記第2の端部に隣接する保持アンカーを有する、
プランジャロッドと
を備え、
前記少なくとも1つの保持アンカーは、前記第2のレッジから前記細長いボディの前記第2の端部に向かって延在する第1の傾斜部分と、前記直交するように離間される細長いリブのうちの1つに平行に前記細長いボディの前記第2の端部に向かって延在する第2の部分と、前記直交するように離間される細長いリブのうちの1つに対して垂直に延在する第3の部分とを有することを特徴とするプランジャロッドとストッパの組立体。
【請求項17】
前記細長いリブの各々は、前記第2のレッジに隣接する前記第2の端部に隣接するように配置される保持アンカーを有することを特徴とする請求項16に記載の組立体。
【請求項18】
前記保持アンカーは、シリンジバレルの端部のところに設けられる保持構造と相互作用することにより前記シリンジバレルから前記細長いボディが外れるのを防止することを特徴とする請求項16に記載の組立体。
【請求項19】
前記第1の傾斜部分は、約3°から約60°の角度で前記第2のレッジから延在することを特徴とする請求項16に記載の組立体。
【請求項20】
前記保持アンカーの第3の部分は、前記シリンジバレルから前記プランジャロッドが外れるのを防止するために前記シリンジバレルの保持構造と相互作用することを特徴とする請求項16に記載の組立体。
【請求項21】
前記少なくとも1つの保持アンカーは、長方形、円形または傾斜形状からなる群から選択される断面形状を有することを特徴とする請求項16に記載の組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、シリンジと共に使用されるためのプランジャロッドに関し、より詳細には、シリンジを吸引するときにプランジャロッドがシリンジバレルから引き抜かれるのを防止するために周縁部周りに複数のアンカーを有するプランジャロッドに関する。
【背景技術】
【0002】
現在のシリンジデザインは、通常は、ツーピースシリンジまたはスリーピースシリンジに分類され得る。通常のスリーピースシリンジは、一方の端部のところに形成されるアクセス開口部と、反対側の端部のところに形成されるより小さい排出開口部とを有する管状のバレルを有する。細長いプランジャロッドの先端部がバレルのアクセス開口部内で受けられ、バレル内で摺動可能となる。プランジャロッドの先端部には、バレルの内部表面を適切に密閉する可撓性の密閉部材またはストッパが取り付けられる。通常、ニードル、ねじ部材または非ねじ部材がバレル上の排出開口部に取り付けられる。ニードルは、表面に貫通するために使用され得る一方、ねじ部材は、カテーテルなどの別の医療デバイスにシリンジを取り付けるために使用され得る。可撓性のストッパは、通常、ゴム、または、架橋エラストマもしくは熱可塑性エラストマなどの、エラストマ材料から製造される。
【0003】
対して、ツーピースシリンジは、プランジャロッドヘッドとしても知られる剛性の密閉ディスクの形態の「ストッパ」を有する。これは、通常、プランジャロッドの他の部分と同じ剛性プラスチックで作られる。ツーピースシリンジの密閉力は、剛性のプランジャロッドヘッドの周りで変形する薄い弾性バレルから得られる。
【0004】
使用時、最初にシリンジの排出端部が流体に接触するように配置される。例えば、シリンジ上のニードルが液剤中に挿入され得る。吸引として知られるプロセスで、バレル内でプランジャが後ろに引かれると、バレルの端部内に負圧が発生し、流体がバレル内に引き入れられる。次いで、シリンジが第2の位置まで移動させられ得、バレル内でプランジャが前進させられることにより、バレルの排出端部から流体が押し出されるかまたは絞り出される。
【0005】
図1を参照すると、従来のプランジャロッド1が、直交するように離間される細長いリブ5によって形成される細長いボディ3を有する。一方の端部のところにあるレッジ(ledge)7がユーザの親指のためのレスト(rest)を形成する。細長いボディ3の反対側の端部には、取付部分9がレッジ11から一体的に延在する。取付部分9はストッパ(図示せず)をそこに連結させるのを可能にする。細長いボディ3はまた、レッジ11の底部表面に隣接して位置する保持リング13を有する。保持リング13は、シリンジバレルの端部のところに設けられる保持構造との相互作用によりシリンジバレルからプランジャロッド1が外れるのを防止するために、設けられる。
【0006】
従来のプランジャロッドに設けられる現在の保持リングには種々の欠陥がある。例えば、保持リングを有するプランジャロッドを成形するには多量の材料が必要となる。また、このようなプランジャロッドは幾何形状が複雑であることから、これらのアイテムを成形するには、成形されたプランジャロッドを金型から取り出すために多数のノックアウトピンが必要となり、成形サイクルの時間が延びる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0253291号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2012/0253292号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、シリンジバレルからプランジャロッドが外れるのを防止するための、少量の材料から形成される単純な幾何形状を有する特徴を有するプランジャロッド設計が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、シリンジバレルからプランジャロッドが外れるのを防止するための特徴を有するプランジャロッドを提供することである。より具体的には、従来の保持リングに取って代わる複数の保持アンカーを有するプランジャロッドが必要とされる。このような保持アンカーを使用することにより全体の使用材料が3%〜5%低減され、それにより「環境に優しい」シリンジが得られる。また、従来の保持リングの代わりにこのような保持アンカーを使用することにより、幾何形状の複雑さが軽減されることおよびプランジャロッドを金型から取り出すのに必要となるノックアウトピンの数が減少することにより、プランジャロッドの成形性が向上し、金型の費用対効果およびロバスト性が向上する。
【0010】
したがって、長手方向軸に沿って延在する、直交するように離間される複数の細長いリブによって形成される細長いボディと、細長いボディの第1の端部に隣接する第1のレッジと、細長いボディの第2の端部に隣接する第2のレッジと、第2のレッジから延在する取付部分とを有するプランジャロッドが提供される。細長いボディの第2の端部は細長いボディの第1の端部の反対側にある。少なくとも1つの細長いリブが、第2のレッジに隣接する第2の端部に隣接するように配置される保持アンカーを有する。
【0011】
本発明の第1の態様によると、細長いリブの各々が、第2のレッジに隣接する第2の端部に隣接するように配置される保持アンカーを有することができる。保持アンカーは、シリンジバレルの端部のところに設けられる保持構造と相互作用することによりシリンジバレルから細長いボディが外れるのを防止するように構成され得る。
【0012】
本発明の別の態様によると、保持アンカーが、第2のレッジから細長いボディの第2の端部に向かって延在する第1の傾斜部分(angled portion)と、直交するように離間される細長いリブのうちの1つに平行に細長いボディの第2の端部に向かって延在する第2の部分と、直交するように離間される細長いリブのうちの1つに対して垂直に延在する第3の部分とを有することができる。第1の傾斜部分は、約3°から約60°の角度で第2のレッジから延在することができる。保持アンカーの第3の部分は、シリンジバレルからプランジャロッドが外れるのを防止するためにシリンジバレルの保持構造と相互作用することができる。代替として、少なくとも1つの保持アンカーは、長方形、円形または傾斜形状からなる群から選択される断面形状を有することもできる。
【0013】
プランジャロッドは、ポリオレフィン(ポリエチレンおよびポリプロピレンなど)、ポリアミド、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、フッ素重合体、アイオノマー、ポリアクリレート、またはそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択される重合体材料から製造され得る。
【0014】
取付部分は、ストッパをそこに固定するように構成され得る。ストッパおよびプランジャロッドは、同じ材料または異なる材料から、一体となるようにまたは別個に製造され得る。
【0015】
さらに、流体を排出する端部および開端部を備える実質的に円筒形のシリンジバレルを有するシリンジが提供される。開端部が保持構造を有する。シリンジはまた、シリンジバレルの開端部内で受けられるように構成されるストッパと、ストッパの一部分に係合されるように構成されるプランジャロッドとを有する。プランジャロッドが、長手方向軸に沿って延在する、直交するように離間される複数の細長いリブによって形成される細長いボディと、細長いボディの第1の端部に隣接する第1のレッジと、細長いボディの第2の端部に隣接する第2のレッジと、第2のレッジから延在する取付部分とを有する。細長いボディの第2の端部は細長いボディの第1の端部の反対側にある。取付部分はストッパの一部分に係合されるように構成される。少なくとも1つの細長いリブが、シリンジバレルの保持構造に係合するための、第2のレッジに隣接する第2の端部に隣接する保持アンカーを有する。
【0016】
さらに、シリンジバレルと共に使用されるように適合されるプランジャロッドとストッパの組立体が提供される。この組立体は、ストッパと、ストッパの一部分に係合されるように構成されるプランジャロッドとを有する。プランジャロッドが、長手方向軸に沿って延在する、直交するように離間される複数の細長いリブによって形成される細長いボディと、細長いボディの第1の端部に隣接する第1のレッジと、細長いボディの第2の端部に隣接する第2のレッジと、第2のレッジから延在する取付部分とを有する。細長いボディの第2の端部は細長いボディの第1の端部の反対側にある。取付部分はストッパの一部分に係合されるように構成される。少なくとも1つの細長いリブが、第2のレッジに隣接する第2の端部に隣接する保持アンカーを有する。
【0017】
本発明のこれらのおよび別の特徴および特性、加えて、構造の関連する要素の動作方法および機能、ならびに、部品の組み合わせ、さらには、製造の経済性が、添付図面を参照とした以下の説明および添付の特許請求の範囲を考察することでより明確となり、これらはすべて本明細書の一部をなし、多様な図を通して同様の参照符号は対応する部品を示す。しかし、図面が単に例示および説明を目的としており、本発明を限定することを意図しないことを明確に理解されたい。本明細書および特許請求の範囲で使用される「a」、「an」および「the」の単数形は特に明記しない限り複数形も含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】従来のプランジャロッドを示す斜視図である。
【
図2】本発明による保持アンカーを有するプランジャロッドを示す斜視図である。
【
図3】
図2の保持アンカーを有するプランジャロッドを示す拡大部分斜視図である。
【
図4】
図2の保持アンカーを有するプランジャロッドを示す側面図である。
【
図5】ストッパに取り付けられ、シリンジバレル内に配置された
図2のプランジャロッドを示す側断面図である。
【
図6】プランジャロッドがいっぱいまで後ろに引かれた状態の、ストッパに取り付けられ、シリンジバレル内に配置された
図2のプランジャロッドを示す側断面図である。
【
図7】
図6のプランジャロッドを示す拡大部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では説明のために、用語「上側」、「下側」、「右側」、「左側」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、「側方」、「長手方向」、およびそれらの派生語は、本発明を図面の図中で方向付けるときに本発明に関連するものとする。しかし、特に明記しない限り、本発明が多様な代替的変形形態を想定し得ることを理解されたい。また、添付図面に示されて以下の明細書で説明される特定のデバイスが単に本発明の例示の実施形態であることを理解されたい。したがって、本明細書で開示される実施形態に関連する特定の寸法および他の物理的特性は限定的であるとみなされない。
【0020】
図2〜4を参照すると、概して参照符号100で示されるプランジャロッドは、細長いボディ102を有し、この細長いボディ102は、長手方向軸Xに沿って延在する、直交するように離間される細長いリブ104によって形成される。第1のレッジ106が、ユーザの親指のためのレストを形成するために細長いボディ102の第1の端部108のところに設けられる。接触のための表面(tactile surface)110が、第1のレッジ106のユーザのグリップを向上させるために第1のレッジ106の頂部表面上に設けられ得る。取付部分112が、第2のレッジ116から延在する細長いボディ102の第2の反対側の端部114のところに配置される。
【0021】
取付部分112がストッパ118(
図5および6を参照)の開いた底部端部を受けるように構成される。取付部分112は、ストッパ118としっかりと連結するのに適した形であれば、いかなる形を有していてもよい。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、各々、2012年、3月28日に出願された同時係属の(例えば、特許文献1参照)および(例えば、特許文献2参照)で開示される形状などである。さらに、ストッパ118は、同時係属の(例えば、特許文献1参照)および(例えば、特許文献2参照)で開示される構成などの任意適切な構成を有することができる。代替として、ストッパ118はプランジャロッド100と一体に成形されてもよい。
【0022】
プランジャロッド100はまた、直交するように離間される複数のリブ104の各々の上にある第2のレッジ116の底部表面に隣接するように配置される少なくとも1つの保持アンカー120を有する。望ましくは、リブ104の各々が1つの保持アンカー120を有する。
図3を具体的に参照する本発明の一態様によると、保持アンカー120の各々が、第2のレッジ116から細長いボディ102の第2の端部114に向かって延在する第1の傾斜部分122と、直交するように離間される細長いリブ104のうちの1つに平行に細長いボディ102の第2の端部114に向かって延在する第2の部分124と、直交するように離間される細長いリブ104のうちの1つに対して垂直に延在する第3の部分126とを有することができる。第1の傾斜部分122は、約3°から約60°の角度で第2のレッジ116から延在することができる。代替として、保持アンカー120は、限定しないが、長方形、円形または傾斜形状などの任意の他の適切な断面形状を有することができる。保持アンカー120は単一の成形部片としてプランジャロッド100と一体に成形される。
【0023】
図5〜7を参照し、さらに継続して
図2〜4を参照すると、プランジャロッド100は、概して参照符号200で示されるシリンジの一部として使用されるように設計される。シリンジは、実質的に円筒形のシリンジバレル202内に配置されるストッパ118およびプランジャロッド100を有する。シリンジバレル202が、別の医療デバイス(カテーテルなど)を取り付けるための出口開口部206および/または機構を有する遠位端または前端204と、ストッパ118とプランジャロッド100の組立体を受けるための開口した近位端または後端208とを有する。保持構造210が、その開口した後端208のところでシリンジバレル202の内径の周りに設けられる。保持構造210は、シリンジバレル202の内径の表面から延在するノッチまたはタブとして構成され得る。しかし、これは本発明を限定するのものとして解釈されるべきではなく、保持構造210はプランジャロッド100の保持アンカー120に係合される任意適切な形状を有することができる。
【0024】
動作中、ユーザが、プランジャロッド100をシリンジバレル202の開口した後端208から引き抜くとき、保持アンカー120の第3の部分126が、シリンジバレル202からプランジャロッド100が外れるのを防止するためにシリンジバレル202の保持構造210と相互作用する。さらに、保持アンカー120とシリンジバレル202の保持構造210との間のこの相互作用により、シリンジ200が、誤ってその定格量を超えて充填される場合に、プランジャロッド100がシリンジバレル202から容易に外れることが防止される。
【0025】
プランジャロッド100は、限定しないが、ポリオレフィン(例えば、PE、PP、および、それらの共重合体)、ポリアミド(例えば、ナイロン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、フッ素重合体、アイオノマー、ポリアクリレート、または、任意の他の類似材料などの、重合体材料から製造され得る。ストッパ118およびプランジャロッド100は、同じ材料または異なる材料から、一体となるようにまたは別個に製造され得る。
【0026】
本発明の特定の実施形態を詳細に説明してきたが、本開示の全教示に照らして、それらの詳細に対する多様な修正形態および代替形態が開発され得ることが当業者には諒解されよう。したがって、開示される特定の構成は単に例示であることを意味し、添付の特許請求の範囲の全範囲およびその任意のおよびすべての均等物が与えられる本発明の範囲を限定することを意味しない。