特許第6091517号(P6091517)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6091517特に、一体型ブレード付きディスク用のタービンエンジンブレード
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6091517
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】特に、一体型ブレード付きディスク用のタービンエンジンブレード
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/38 20060101AFI20170227BHJP
【FI】
   F04D29/38 A
   F04D29/38 D
【請求項の数】10
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-543953(P2014-543953)
(86)(22)【出願日】2012年11月22日
(65)【公表番号】特表2014-533809(P2014-533809A)
(43)【公表日】2014年12月15日
(86)【国際出願番号】FR2012052695
(87)【国際公開番号】WO2013079851
(87)【国際公開日】20130606
【審査請求日】2015年10月21日
(31)【優先権主張番号】1160893
(32)【優先日】2011年11月29日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペロ,バンサン・ポール・ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】セリエ,ダミアン
(72)【発明者】
【氏名】デュフレーヌ,アリシア・リーズ・ジュリア
(72)【発明者】
【氏名】ペレトロー,フィリップ・ピエール・マルセル・マリー
(72)【発明者】
【氏名】リオ,ジャン−フランソワ・アントワーヌ・クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ビレンヌ,ロラン・クリストフ・フランシス
【審査官】 田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−140874(JP,A)
【文献】 特表2014−513230(JP,A)
【文献】 特開2005−054798(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0054946(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01505302(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前縁(24)と後縁(26)との間で軸方向に伸び、根元部(28)と先端部(30)との間で半径方向に伸びるエアフォイル(22)を備えるタービンエンジンブレード(20)であって、エアフォイルの前縁は、根元部から、エアフォイルの根元部から先端部まで測定した全半径方向高さの20%から40%の高さにあるエアフォイルの第1の半径方向高さ(h)まで連続的に増加すると共に、エアフォイルの第1の半径方向高さから先端部に向けて連続的に減少する、正であるスイープ角を有し、エアフォイルの前縁のスイープ角が、エアフォイルの全半径方向高さの60%から80%の高さにあるエアフォイルの第2の半径方向高さ(h)から負になり、正のスイープ角は、前記前縁が後方に湾曲することを示し、かつ、負のスイープ角は、前記前縁が前方に湾曲することを示すことを特徴とする、ブレード。
【請求項2】
エアフォイルの前縁のスイープ角が、エアフォイルの先端部で−45°未満であることを特徴とする、請求項1に記載のブレード。
【請求項3】
エアフォイルの前縁が、根元部から先端部まで徐々に増加する上反角を有し、正の上反角は、ブレードの前縁の点における接線がブレードの回転方向と逆の方向を向いていることを示し、かつ、負の上反角は、ブレードの前縁の点における接線がブレードの回転方向に向いていることを示すことを特徴とする、請求項1または2に記載のブレード。
【請求項4】
エアフォイルの前縁の上反角が、根元部の−25°から−5°の最小値(Vmin)と先端部の+5°から+25°の最大値(Vmax)との間の角度であることを特徴とする、請求項3に記載のブレード。
【請求項5】
エアフォイルの前縁の上反角が、根元部の−15°から先端部の+15°の範囲にあることを特徴とする、請求項4に記載のブレード。
【請求項6】
エアフォイルの前縁の上反角が、根元部とエアフォイルの第1の半径方向高さとの間は負であり、エアフォイルの全半径方向高さの40%から60%の高さにあるエアフォイルの第3の半径方向高さ(h)と先端部との間は正であることを特徴とする、請求項3から5のいずれか一項に記載のブレード。
【請求項7】
エアフォイルの第3の半径方向高さが、エアフォイルの全半径方向高さの50%の高さにあることを特徴とする、請求項6に記載のブレード。
【請求項8】
エアフォイルの第1の半径方向高さが、エアフォイルの全半径方向高さの30%の高さにあることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のブレード。
【請求項9】
タービンエンジン用一体型ブレード付きディスクであって、請求項1から8のいずれか一項に記載のブレードを複数有することを特徴とするディスク。
【請求項10】
請求項9に記載の少なくとも1つの一体型ブレード付きディスクを含むことを特徴とする、タービンエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービンエンジン用の一体型ブレード付きディスクの全般的分野に関し、特に、本発明は、該ディスク内に含まれるブレードのプロファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
タービンエンジンの一体型ブレード付きディスク(「ブリスク」としても周知である)は、ブレードおよびブレードを支承するディスクが一体部品を形成するように単一の均一な金属ブロックで直接機械加工されたロータのことである。該ディスクは、通常、タービンエンジンの種々の圧縮段、特に、2スプールバイパス型の航空機ターボジェットの高圧圧縮機を形成するのに使用される。
【0003】
ブリスクブレードの設計は、空気力学的性能および特定の環境での機械的強度の両方に関する要件を満たす必要がある。該ブレードの半径方向のエアフォイルの高さが比較的小さい場合、二次流として周知の高振幅の空気力学的現象が発生する。これらの二次流は、ブレードの空気力学的性能を低下させる一因となる。さらに、空気力学的流れ挙動は、「軸傾斜角(plunging)」タイプの流路、すなわち、ターボジェットの回転軸に向かって傾斜している流路があることにより制御するのが難しい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Leroy H.Smith、Hsuan Yeh著、「Sweep and dihedral effects in axial−flow turbomachinery」、Journal of Basic Engineering出版、1963年9月、401頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
二次流を十分に制御することができるエアフォイルプロファイルを有するブリスクブレードを形成して、ブレードが「軸傾斜角」流路内に位置することに配慮することができるのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前縁と後縁との間で軸方向に伸び、根元部と先端部との間で半径方向に伸びるエアフォイルを備えるタービンエンジンブレードであって、本発明によれば、エアフォイルの前縁は、正のスイープ角であって、根元部から、エアフォイルの根元部から先端部まで測定した全半径方向高さの20%から40%の高さにあるエアフォイルの第1の半径方向高さまで連続的に増加し、エアフォイルの第1の半径方向高さから先端部まで連続的に減少するスイープ角を有する、タービンエンジンブレードを提供する。
【0007】
このようなエアフォイルプロファイルにより、特に、中間の高さのゾーンに比べて根元部近くのエアフォイルのゾーンに有利に流体流れを分配することができる。さらに、流量は、流路の上部から吸い込まれる。その結果、流路の高さ全体にわたって流体流れを最適に分配することができ、このことによりブレードの空気力学的効率を高めて、二次流の制御に寄与することができる。
【0008】
エアフォイルの前縁のスイープ角は、エアフォイルの全半径方向高さの60%から80%の高さにあるエアフォイルの第2の半径方向高さから負になるのが好ましい。
【0009】
さらに、エアフォイルの前縁のスイープ角は、エアフォイルの先端部で−45°未満であるのが好ましい。
【0010】
有利な条件によれば、エアフォイルの前縁は、根元部から先端部に徐々に増加する上反角を有する。このエアフォイルの前縁の上反角は、根元部の−25°から−5°の最小値と先端部の+5°から+25°の最大値との間の角度を取りうる。
【0011】
さらに、エアフォイルの前縁のこの上反角は、有利には、根元部とエアフォイルの第1の半径方向高さとの間では負になり、エアフォイルの全半径方向高さの40%から60%の高さにあるエアフォイルの第3の半径方向高さと先端部との間では正になる。このような上反角が存在することで、許容可能な静的応力のゾーンに関係するエアフォイルの下部に対してインシデンスを保護することができる(前縁は「閉鎖状態」であると考えられる)。
【0012】
エアフォイルの第3の半径方向高さは、有利には、エアフォイルの全半径方向高さの50%の高さにある。したがって、翼列によって流体に加えられる力(逆も同様)は、許容可能なエアフォイルの静的応力および均一な空気力学効率の分配を保証するように、最適に配向される。
【0013】
エアフォイルの第1の半径方向高さは、エアフォイルの全半径方向高さの30%の高さにあるのが好ましい。
【0014】
本発明はさらに、上述の複数のブレードを有するタービンエンジン用一体型ブレード付きディスクを提供する。さらに、本発明は、少なくとも1つの該一体型ブレード付きディスクを有するタービンエンジンを提供する。
【0015】
本発明の他の特徴および利点は、非限定的な特徴を有する一実施形態を示した添付図面を参照しながら後述する説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明のブレードを有する一体型ブレード付きディスクの部分斜視図である。
図2】本発明のブレードのエアフォイルの前縁のスイープ角を示した曲線である。
図3】本発明のブレードのエアフォイルの前縁の上反角を示した曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、任意のタービンエンジンブレードに適用できる。
【0018】
本発明は、特に、図1に示されているディスクのように、ターボジェット内の高圧圧縮機の下流側段のディスク10のようなタービンエンジン用一体型ブレード付きディスクのブレードに関するが、これに限定されない。該ディスクのブレード20は、小さい半径方向高さ、例えば、およそ25ミリメートル(mm)の高さのエアフォイルを有し、「軸傾斜角」流路、すなわち、ターボジェットの回転軸に向かって傾斜する流路内に位置決めされる。
【0019】
周知の形では、各ブレード20は、前縁24と後縁26との間で軸方向に(すなわち、ターボジェットの長手方向軸X−Xに沿って)伸び、根元部28と先端部30との間で半径方向(すなわち、長手方向軸X−Xに垂直な半径方向軸Z−Zに沿って)エアフォイル22を備える。
【0020】
本発明によれば、ブレードのエアフォイルの前縁24は、正のスイープ角であって、根元部28から、エアフォイルの根元部から先端部まで測定した全半径方向高さの20%から40%の高さにあるエアフォイルに沿った第1の半径方向高さhまで連続的に増加し、エアフォイルの前記第1の半径方向高さhから先端部30まで連続的に減少するスイープ角を有する。
【0021】
定義によれば、エアフォイルの最小半径方向高さは0%であり、エアフォイルの前縁と、圧縮段を通過する空気流の流路の内側を画定するブレード付きディスクとの交点に対応する。同様に、エアフォイルの最大半径方向高さは100%であり、前縁のラインが半径方向の最も高い点にある時の点に対応する。
【0022】
さらに、スイープ角は、前縁の接線と相対速度ベクトルに垂直な線との間のブレードの前縁の点で形成される鋭角である。スイープ角が正である時、前縁は後方に湾曲し(後方スイープ)、負のスイープ角は、前縁が前方に湾曲している(前方スイープ)ことを示している。
【0023】
スイープ角のより正確な定義は、特に、Leroy H.Smith、Hsuan Yeh著、「Sweep and dihedral effects in axial−flow turbomachinery」(Journal of Basic Engineering、1963年9月、401頁にて公開)に示されている。
【0024】
本発明のブレードのエアフォイルの前縁のスイープ角は、図2の曲線100で示されている。この曲線100に示されるように、スイープ角は、根元部(エアフォイル高さ0%に相当する)から、エアフォイルの根元部から先端部まで測定した全半径方向高さの20%から40%、好ましくは30%の高さにあるエアフォイルの第1の半径方向高さhまで正であり(後方に湾曲)、かつ連続的に増加する。さらに、スイープ角は、このエアフォイルの第1の半径方向高さhから先端部(エアフォイル高さ100%に相当する)まで、連続的に減少する。
【0025】
用語「連続的」は、本明細書では、スイープ角の増加(または、場合によっては減少)が前縁の上述の部分を規定する2つの半径方向高さ間で中断されないという意味で使用される。特に、前縁のこれらの2つの部分は、スイープ角の増加(または、場合によっては、減少)を含まない。
【0026】
好ましくは、エアフォイルの前縁のスイープ角は、エアフォイルの全半径方向高さの60%から80%の高さ(図2に示されている例では、h=60%)にあるエアフォイル
の第2の半径方向高さhから負になる。
【0027】
さらに好ましくは、エアフォイルの前縁のスイープ角は、エアフォイルの先端部で−45°未満(図2に示されている例では、エアフォイルの先端部に相当する100%のエアフォイル半径方向高さで約−49°)である。
【0028】
このようなエアフォイルの前縁のスイープ角と上述の特定の特徴との関係により、主に、流体の流れを流路の高さ全体にわたって分配することができ、さらに、ブレード先端部の半径方向間隙の開口部(この開口部は、エンジンの老朽化に伴って大きくなる傾向がある)における空気力学的安定性が得られる。
【0029】
さらに、ブレードは、エアフォイルの前縁の上反角の関係によって規定されるさらなる有利な特徴を有する。
【0030】
前縁の上反角は、前縁の接線とブレードの回転軸を含む面との間でブレードの前縁の点で形成される角度である。負の上反角は、ブレードの前縁の点における接線がブレードの回転方向に向いていることを意味する。反対に、正の上反角は、ブレードの前縁の点における接線がブレードの回転方向と逆の方向を向いていることを意味する。上反角のより正確な定義は、同様に、Leroy H.Smith、Hsuan Yeh著の上述の文献に示されている。
【0031】
本発明のブレードのエアフォイルの前縁の上反角は、図3の曲線200で示されている。この曲線200に示されるように、上反角は、根元部から先端部に向かって徐々に増加する。図3の例では、根元部(エアフォイル半径方向高さ0%に相当する)で−15°から、先端部(エアフォイル半径方向高さ100%に相当する)で+13°となる。
【0032】
「連続的に」増加する場合とは異なり、「徐々に」増加する上反角は、場合によっては、エアフォイルの根元部と先端部との間の前縁の特定の部分でいくらか減少する可能性がある。
【0033】
エアフォイルの前縁の上反角は、根元部の−25°から−5°の最小値Vminと、先端部の+5°から+25°の最大値Vmaxとの間の角度であるのが好ましい。エアフォイルの前縁の上反角は、根元部の−15°から先端部の+15°の範囲にあるのが好ましい。
【0034】
さらに、エアフォイルの前縁の上反角は、有利には、根元部と、エアフォイルの全半径方向高さの20%から40%、好ましくは30%の高さにあるエアフォイルの第1の半径方向高さhとの間は負の角度である。同様に、エアフォイルの全半径方向高さの40%から60%、好ましくは50%の高さにあるエアフォイルの第3の半径方向高さhと、エアフォイルの先端部との間は正の角度であるのが好ましい。
図1
図2
図3