特許第6091522号(P6091522)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6091522
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】保持形状を有するエアフィルタ要素
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/52 20060101AFI20170227BHJP
   B01D 46/00 20060101ALI20170227BHJP
   F02M 35/024 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   B01D46/52 B
   B01D46/00 302
   F02M35/024 511D
   F02M35/024 511A
【請求項の数】19
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-551638(P2014-551638)
(86)(22)【出願日】2013年1月14日
(65)【公表番号】特表2015-509044(P2015-509044A)
(43)【公表日】2015年3月26日
(86)【国際出願番号】EP2013050578
(87)【国際公開番号】WO2013104791
(87)【国際公開日】20130718
【審査請求日】2016年1月14日
(31)【優先権主張番号】102012000467.2
(32)【優先日】2012年1月13日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505229863
【氏名又は名称】マン ウント フンメル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リーガー、マリオ
(72)【発明者】
【氏名】ブロッセイ、ヴェルナー
(72)【発明者】
【氏名】ネーフ、パスカル
(72)【発明者】
【氏名】ンバディンガ−モアンダ、ゲラーゼ
(72)【発明者】
【氏名】エピリ、スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ、フランチスカ
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、マルチン
(72)【発明者】
【氏名】シュヴィングハマー、アルフォンス−アロイス
(72)【発明者】
【氏名】クリーガー、ヨアヒム−パウル
(72)【発明者】
【氏名】コルメダー、ミヒャエル
【審査官】 中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−113569(JP,A)
【文献】 特開2008−248853(JP,A)
【文献】 特開2000−064917(JP,A)
【文献】 独国実用新案第202006020287(DE,U1)
【文献】 実開昭59−041662(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0258493(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0308214(US,A1)
【文献】 実開昭59−116563(JP,U)
【文献】 実開平01−083157(JP,U)
【文献】 特開2000−008976(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/095419(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/、46/00−52
F02M 35/024
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアフィルタハウジング(100)に挿入するためのエアフィルタ要素であって、
前記エアフィルタ要素(200)は、吸入面(275)と、排出面(285)と、濾過材(210)と、フィルタ要素保持具(240)と、を備え、
前記濾過材は、前記エアフィルタ要素の軸方向(A)において前記吸入面と前記排出面との間に延在し、
前記フィルタ要素保持具は、前記濾過材に接続され、
前記フィルタ要素保持具(240)は、前記濾過材の側面から径方向に離れる方向に突出する保持部(270)と、前記濾過材(210)の周りを延びるシール線(261)を有するシール部(260)と、を有し、
前記保持部(270)は、平面視において前記側面に対して部分的にのみに設けられ、前記側面から径方向に突出し、前記エアフィルタハウジング(100)によって支持される少なくとも一つの膨出部(243)を含み、
前記少なくとも一つの膨出部(243)を含む前記保持部(270)は、前記周状シール線(261)と前記濾過材(210)の前記側面との間に位置していることを特徴とするエアフィルタ要素。
【請求項2】
前記シール部(260)は弾性シール材(263)を含み、前記シール線(261)は前記シール材(263)の上にあることを特徴とする請求項1に記載のエアフィルタ要素。
【請求項3】
前記シール部(260)は、前記エアフィルタ要素(200)を軸方向(A)に沿ってエアフィルタハウジング(100)の中へ導入可能に構成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のエアフィルタ要素。
【請求項4】
前記保持部(270)は、前記シール線(261)と前記濾過材(210)との間に配置される少なくとも1つの保持面(271)を有し、
前記保持面(271)は、前記シール部(260)によって形成され、同一の方向を向くシール面(303,304)に関して、軸方向にオフセットされて配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエアフィルタ要素。
【請求項5】
前記保持部(270)は、前記シール線(261)と前記濾過材(210)との間において、互いに対向する側の各々に配置される保持面(271)を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエアフィルタ要素。
【請求項6】
前記シール線(261)は、部分的に、前記濾過材(210)から径方向に離れる方向に曲がって延在していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のエアフィルタ要素。
【請求項7】
前記保持部(270)は少なくとも1つの前記軸方向(A)の凹部(272)を有し、前記凹部はエアフィルタハウジング側の突起(172)を受けるように構成されたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のエアフィルタ要素。
【請求項8】
前記軸方向(A)の前記凹部(272)の断面積は、少なくとも部分的に減少することを特徴とする請求項7に記載のエアフィルタ要素。
【請求項9】
前記凹部(272)の少なくとも1つはスロット状の孔であることを特徴とする請求項7又は8に記載のエアフィルタ要素。
【請求項10】
前記周状シール線(261)と前記濾過材(210)との間に配置される前記凹部(272)は、閉じた凹部であることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一項に記載のエアフィルタ要素。
【請求項11】
前記保持部(270)は前記軸方向(A)の複数の凹部(272)を有し、前記複数の凹部(272)は、前記エアフィルタ要素(200)の中心軸(Z)に関して、エアフィルタハウジングの中における前記エアフィルタ要素の明確な設置位置を規定する角度分布を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のエアフィルタ要素。
【請求項12】
前記濾過材(210)は、前記吸入面(275)と前記排出面(285)との間において、第1濾過材側面(211)と第2濾過材側面(212)とが隣り合う少なくとも1つの角部(213)を有し、
前記フィルタ要素保持具(240)は、前記角部に径方向膨出部(243)を有し、
前記シール部(260)は、前記濾過材(210)の周りを延びるシール線(261)を有し、
前記シール線は、前記径方向膨出部に沿って延びており、前記シール線に沿った半径(R2)は、前記角部の半径(R1)よりも好ましくは大きいことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載のエアフィルタ要素。
【請求項13】
前記径方向膨出部(243)は、前記フィルタ要素保持具(240)の外側縁部(241,242)のうち実質的に一方のみの外側に延在することを特徴とする請求項12に記載のエアフィルタ要素。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか一項に記載のエアフィルタ要素を収容するように構成され、
吸入口(130)と、排出口(140)と、フィルタ要素収容部(170)と、を備えるエアフィルタハウジングであって、
前記フィルタ要素収容部は、前記吸入口と前記排出口との間に位置し、
前記フィルタ要素収容部(170)は、保持面(171)と、前記エアフィルタハウジングの周りを延びるシール線(161)を有するシール部(160)と、を有し、
前記保持面は前記周状シール線(261)と挿入される前記フィルタ要素(200)との間に配置されることを特徴とするエアフィルタハウジング。
【請求項15】
前記フィルタ要素収容部(170)の前記保持面(171)と前記フィルタ要素収容部(170)のシール面とは、少なくとも実質的に同一の軸方向レベルに配置されることを特徴とする請求項14に記載のエアフィルタハウジング。
【請求項16】
前記フィルタ要素収容部(170)は、挿入されるフィルタ要素から径方向に離れる方向を向く膨出部(143)を有し、
前記シール線は前記膨出部の中を延び、前記シール線(161)に沿う半径は、前記膨出部の上に位置する前記エアフィルタハウジング(105)のハウジング内側縁部の半径よりも大きいことを特徴とする請求項14又は15に記載のエアフィルタハウジング。
【請求項17】
前記シール線(161)は、部分的に、挿入されるフィルタ要素(200)から径方向に離れる方向に曲がって延在していることを特徴とする請求項14乃至16のいずれか一項に記載のエアフィルタハウジング。
【請求項18】
前記フィルタ要素収容部(170)は、前記フィルタ要素(200)の前記軸方向(A)において少なくとも1つの突起(172)を有し、前記突起はフィルタ要素側の凹部(272)に係合するように構成されたことを特徴とする請求項14乃至17のいずれか一項に記載のエアフィルタハウジング。
【請求項19】
請求項1乃至13のいずれか一項に記載のエアフィルタ要素(200)と、
請求項14乃至18のいずれか一項に記載のエアフィルタハウジング(105)と、を備えるエアフィルタであって、
前記エアフィルタ要素(200)は、前記エアフィルタハウジングの前記フィルタ要素収容部(170)の中に交換可能に配置されたことを特徴とするエアフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ要素に関し、特に、例えば、自動車や、農業機械又は建設機械における空気濾過に用いられ、エアフィルタハウジングの中でのフィルタ要素の固定及び設置スペースの節約を可能とする保持形状を有するエアフィルタ要素に関する。
【背景技術】
【0002】
エアフィルタは、通常、エアフィルタハウジングと、交換可能なフィルタ要素からなる。フィルタ要素は、ある程度の運転時間を経てダストが詰まり、フィルタリング性能が低下した時に交換することができる。フィルタ要素の交換は、通常、オペレータによって行われる。最善のフィルタリング効果を得るためには、最適な流動形状が得られるように、さらに、処理前の空気側と清浄な空気との間で気密性が確実に維持されるように、フィルタ要素がエアフィルタハウジングの中に確実にかつ位置精度をもって配置される必要がある。フィルタ要素の交換は、あまり熟練度の高くない人員によって行われることもよくあるので、フィルタ要素及びフィルタハウジングにおいては、正確でない配置を十分に防止するようなデザインが必要とされる。この目的のために、フィルタ要素は、エアフィルタの確実な操作が可能となるように、エアフィルタハウジングの中へのフィルタ要素の挿入及びエアフィルタハウジング内でのフィルタ要素の位置決めを可能とする保持具を備える。このようなフィルタ要素は、例えば、国際公開第2010/099317号に記載されている。この文献に記載のフィルタ要素は、フィルタハウジングに挿入できるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の1つの目的は、エアフィルタハウジングの中で、フィルタ要素を、操作上確実に位置決めすることが可能なフィルタ要素、エアフィルタハウジング及びエアフィルタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は独立請求項の主題によって達成でき、主題の展開は従属請求項に開示される。
【0005】
本発明によれば、エアフィルタハウジングに挿入するためのエアフィルタ要素が提供され、前記エアフィルタ要素は、吸入面と、排出面と、濾過材と、フィルタ要素保持具と、を備える。前記濾過材は、前記エアフィルタ要素の軸方向において前記吸入面と前記排出面との間に延在し、前記フィルタ要素保持具は、前記濾過材に接続される。前記フィルタ要素保持具は、前記濾過材から径方向に離れる方向に突出する保持部と、前記濾過材の周りを延びるシール線を有するシール部と、を有する。径方向に突出する前記保持部は、前記周状シール線と前記濾過材との間に位置する。
【0006】
このような構成によれば、とりわけシール線の外側にさらなる要素を配置する必要がなくなるので、エアフィルタ要素をコンパクトなデザインとすることができる。
【0007】
本発明の例示的な一実施形態によれば、前記シール部は、例えばエアフィルタハウジングとの協働を通した、清浄側(濾過された空気)からの未処理側(濾過されていない空気)の軸方向及び/又は径方向のシールに適している。
【0008】
また、もう一つの実施形態によれば、前記保持部は、径方向に突出する膨出部を有する。好ましくは、前記保持部は、径方向に突出する複数の膨出部を有する。
【0009】
本発明の例示的な一実施形態によれば、前記吸入面と前記排出面との間の前記濾過材は、第1濾過材側面と第2濾過材側面とが隣り合う少なくとも1つの角部を有する。前記フィルタ要素保持具は、前記角部に径方向膨出部を有し、前記シール部は、前記濾過材の周りを延びるシール線を有する。前記シール線は、前記径方向膨出部に沿って延びており、前記シール線の通路に沿った半径R2は、前記角部の半径R1よりも大きい。言い換えると、前記シール線は、前記径方向膨出部よりも外側を延びる。
【0010】
この場合、シール線はハウジングの内側縁部の半径に比べて大きな半径を有することができる。これにより、シール材の簡易な利用又はシール材での上記のフィルタ要素の受けが可能となる。前記径方向膨出部は、前記フィルタハウジングの側面のうち、実質的に1つのみの外側に延在することができる。又は、前記径方向膨出部は、前記フィルタハウジングの2つの隣り合う側面を、特に同程度超えて延在することもできる。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、前記保持部は少なくとも1つの前記軸方向の凹部を有し、前記凹部はエアフィルタハウジング側の突起を受けるように構成される。ハウジング側の突起及びフィルタ要素側の凹部の代わりに、フィルタ要素側に突起の全て又は一部を設け、フィルタハウジング側に凹部の全て又は一部を設けてもよい。
【0012】
この場合、フィルタ要素を正確に位置決めすることが可能である。特に、前記凹部により、フィルタ要素のハウジングへの適切な挿入をコントロールすることが可能となる。もし、エアフィルタ要素の凹部がハウジングの突起と係合されるのであれば、設置位置は正しい。もしエアフィルタの凹部がハウジングの突起と係合されなければ、これはすぐにわかるので、未熟な人員であっても設置位置が正しくないことに気づく。前記凹部は、貫通孔又は止まり孔であってもよい。前記孔は、円形の断面、又は、卵型、楕円形、又は角のある断面を有してもよい。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、前記凹部の断面積は、前記軸方向において少なくとも部分的に減少する。具体的には、前記凹部は円錐状に先細(テーパ)となっている。この場合、エアフィルタ要素をハウジングの中心に置くことができる。さらに、円錐形状は、突起と凹部とが会合する際に高い目標精度を要しないので、設置が大幅に簡易になる。円錐状のテーパは、円錐、円錐台、角錐、又は角錐台の形状を有していてもよい。しかしながら、前記テーパは、真っすぐなテーパに限られず、湾曲したテーパであってもよく、例えば、頂部が切り取られた放物面や楕円面の形状を有していてもよい。
【0014】
本発明の例示的な一実施形態によれば、前記凹部の少なくとも1つはスロット状の孔である。この場合、一方向に関して公差に影響を受けた固定を実現できる。これにより、衝撃・振動補償又は温度補償が可能となる。さらに、スロット状の孔によって、フィルタハウジングのねじれをある程度補償することもできる。従来型の孔とスロット状の孔を組み合わせることにより、スロット状の孔の公差があるにもかかわらず、従来型の孔における位置的に正確な固定が可能となる。従来型の孔と、これを横断して延びる第1スロット孔及び第2スロット孔との組み合わせを設けることもできる。複数の孔は、エアフィルタ要素の様々な場所にわたって分散して配置することができる。
【0015】
本発明の例示的な一実施形態によれば、前記保持部は、前記軸方向の複数の凹部を備え、前記複数の凹部は少なくとも90°の角度にわたって分散するように前記フィルタ要素保持具の周縁に沿って配置される。この場合、軸方向の設置のために設けられる本発明に係るフィルタ要素が、不注意で径方向の設置のためのフィルタ要素と交換されないことを確実にすることができる。これによりエアフィルタの操作信頼性を向上させることができる。
【0016】
本発明の例示的な一実施形態によれば、前記保持部は前記軸方向の複数の凹部を有し、前記複数の凹部は、前記エアフィルタ要素の中心軸に関して、エアフィルタハウジングの中における前記エアフィルタ要素の明確な設置位置を規定する角度分布を有する。この場合、適切に選択されたフィルタ要素が、エアフィルタハウジングの中で不正確な位置に位置決めされないことを確実にすることができる。又は、凹部の配置及び/又は形態は、コーディングに用いることができる。すなわち、殆どの部分について構造的に同一であるが誤ったフィルタ要素の設置は、これにより防ぐことができる。
【0017】
本明細書において角度分布とは、中心軸周りにおいて2つの凹部によって規定される角度のことであると理解される。別々の凹部のペアの間の角度に差がある場合、適切な角度分布が選択されていれば、フィルタハウジングの中におけるエアフィルタ要素の回転による不正確な位置決めは不可能である。この位置の決定は、フィルタハウジングの中において対応する突起と係合しない別々の凹部を非対称に配置することによっても達成できる。ハウジングに突起を設け、フィルタ要素に凹部を設ける代わりに、全て又は一部の突起をフィルタ要素に設けてもよく、全て又は一部の凹部をフィルタハウジングに設けられてもよい。
【0018】
本発明の例示的な一実施形態によれば、前記フィルタ要素保持具は、前記濾過材の周りを延びるシール線を有するシール部と、を有し、前記凹部は、少なくとも部分的に、前記周状シール線と前記濾過材との間に位置する。この場合、凹部をシールのバリアの中に配置することができる。この場合、止まり孔の形状の凹部は、未処理空気側と清浄空気側との間に開口部を形成せずに、これらの領域を互いに隔離するので、好都合である。また、シール線の外側にさらに凹部を設けることは必要ないため、フィルタ要素の外形寸法を小さいままに維持することができる。
【0019】
本発明の例示的な一実施形態によれば、前記周状シール線と前記濾過材との間に配置される前記凹部は、閉じた凹部である。この場合、未処理空気側を清浄空気側から隔離することができる。
【0020】
本発明の例示的な一実施形態によれば、前記シール部は弾性シール材を含み、前記シール線は前記シール材の上にある。この場合、確実にシールでき、空隙を封止するのに適する。フィルタ要素がシールを備えることで、フィルタ要素を交換する度に損傷しやすいシールの部品をも交換することができ、常に新品のシールを用いることができる。このようにしないと、ハウジング側のシールに欠陥が発生した場合、代替のシールが常に必要となってしまう。
【0021】
本発明の例示的な一実施形態によれば、前記保持部は、前記エアフィルタ要素とエアフィルタハウジングとの間で保持力を伝えるように構成された保持面を備え、前記保持面は、前記周状シール線と前記濾過材との間に配置される。この場合、シール要素の軸方向の位置決めを確実に行うことができる。また、シールの径方向外側にさらに面を設ける必要がないので、シールの範囲内での位置決めにより、フィルタ要素の構造的なサイズがさらに限定的なものとなる。
【0022】
好ましくは、前記保持面は、フィルタ要素側のシール部によって形成され、特に、同一の方向を向くシール面に関して、軸方向にオフセットされて配置される。例えば、軸方向前方に変位した保持面は、シール部を保持具に対して成形した際にシール材が保持面に付着するのを軸方向のオフセットによって防ぐことができる、という利点を有する。また、対応する保持面とシール面とがフィルタハウジング側で同一レベルに配置される場合、製造技術の点において有利である。フィルタ要素側の保持面が、同一方向を向くシール面に関して軸方向後方に変位していれば、しっかりとした圧締を確実にすることができる。
【0023】
フィルタハウジングの中で特に操作上信頼性をもってエアフィルタ要素を保持することに特徴を有する本発明の1つの展開において、前記保持部は、互いに対向する側の各々に、前記シール線と前記濾過材との間に配置される保持面を有する。この結果、保持面は互いに反対側を向いており、フィルタハウジング側の保持面に載る構造となる。フィルタ要素は、操作上の信頼性をもって、位置的に正確に、両軸方向において保持されることが可能である。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、前記シール線のプロファイル(形状)は、部分的に、前記濾過材から径方向に離れる方向に曲がっている。部分的な離れる方向の湾曲は、フィルタ要素に向かう側から見ると、凹状のシール線を構成する。このような湾入は、補強リブ、ブレースやフィッティング等の追加の構造要素の位置決めを可能とする。
【0025】
特に同型のプロファイルによって特徴づけられる本発明の例示的な一実施形態では、前記シール線は、複数のセクションに沿って前記濾過材から径方向に離れる方向に曲がるように延びており、前記セクションは、内部を前記シール線が前記濾過材に向かって径方向に曲がるように延びる、離れる方向に湾曲したセクションの各々と関連する。エアフィルタ要素の周縁方向において相互に関連するセクションが直につながっている場合、構造的にコンパクトなフィルタ要素が得られる。
【0026】
好ましくは、前記シール線は、1以上のセクションにおいて少なくともほぼ一定の曲率半径で前記濾過材から径方向に離れる方向に曲がるように延びており、及び/又は、前記シール線は、1以上のセクションにおいて少なくともほぼ一定の曲率半径で前記濾過材に向かって径方向に曲がるように延びている。その結果、湾曲したセクションは円の一部の形状を有する。これにより、例えば、シール部の製造時における、湾曲したセクションに沿ったディスペンサロボットの動作経路のプログラミングが簡易化される。
【0027】
また、前記シール線は、楕円形の一部、放物線形の一部又は双曲線系の一部の形状を有する湾曲セクションを少なくとも1つ有していてもよい。曲率半径の変化が、少なくとも真っすぐなセクションと湾曲したセクションとの間での推移の時に連続関数に従って具現化されている場合、上記と同様に有利である。好ましくは、これは、シール線全体の少なくとも殆どに沿った曲率半径の変化に適用される。
【0028】
スペースを節約できる構造である点に特徴を有する本発明の1つの展開において、前記シール線は、1つのセクションに沿って前記濾過材から径方向に離れる方向に曲がり、1つのセクションに沿って直線的に延び、次に、1つのセクションに沿って前記濾過材から径方向に離れる方向に曲がり、前記3つのセクションは、前記エアフィルタ要素の前記周方向において、特に直接、相互につながっている。この場合、例えば、直線的なセクションのうち、ハウジング側の締結手段が配置される領域に一種の湾入が形成される。
【0029】
本発明の例示的な一実施形態によれば、前記保持部は、前記濾過材の少なくとも一部の外側を前記濾過材に沿って前記軸方向に延在し、前記一部は、前記軸方向に延在して、エアフィルタハウジングからのスペーサとして具現化される。この場合、保持部は、フィルタ要素をエアフィルタハウジングの中で側方に支持するためのスペーサとして同時に利用することができる。これによって、フィルタハウジングの中において、特に、軸方向に延びるフィルタ要素を安定化することができる。軸方向伸長部は、保持部に一体的に接続されてもよく、又は複数の部品から構成されてもよい。軸方向に延びる部分は、硬質又は軟質であってもよく、又は弾性を有していてもよい。フィルタ要素のフィルタハウジングへの挿入を容易にするため、軸方向伸長部は、濾過材の方向において保持面と反対側に、先細となっている端部を有していてもよい。
【0030】
本発明の例示的な一実施形態によれば、前記シール部は、前記エアフィルタ要素を軸方向に沿ってエアフィルタハウジングの中へ配置可能に構成される。この場合、フィルタハウジングには、周縁が閉じられ、フィルタ要素を軸方向に挿入するための軸方向の開口を有するハウジング本体が設けられてもよい。ハウジング本体は、対応する蓋でシールされていてもよい。周縁のシールによって、軸方向のシールについて良好なシール効果が期待できる。
【0031】
本発明の例示的な一実施形態によれば、前記径方向膨出部は、前記フィルタ要素保持具の外側縁部のうち実質的に一方のみの外側に延在する。この場合、フィルタ要素の外形寸法を一方向において小さくすることができる。とりわけ、膨出部は、隣の外側縁部を超えて突出しない。膨出部が1つの縁部の外側に突出する結果、膨出部が突出しない縁部に関してフィルタ要素の構造的なサイズを低減することができる。複数の膨出部がフィルタ要素に存在する場合、これらの膨出部は、フィルタ要素収容部の2つの向き合う側のみにおいて突出し、他の向き合う側では突出していなくてもよい。とりわけ、4つの膨出部を設けることができ、そのうち2つずつを2つの向き合う側にそれぞれ設けてもよく、特に、フィルタ要素の軸方向縁部の近傍に、又は、フィルタ要素の軸方向縁部に直接設けてもよい。
【0032】
本発明の例示的な一実施形態によれば、前記径方向膨出部は、第1側面及び第2側面の外側に、同程度突出している。この場合、膨出部の突出長さを低減することができる。1つの側面のみの外側に膨出部が設けられ、既定の最小半径がR2である場合、突出長さは少なくとも半径R2であるのに対し、90°の角度を挟む2つの隣り合う側面の外側に同型の膨出部を設け、最小半径が同様にR2である場合には、最小半径R2を減少させることなく、突出長さを0.3×R2まで減少させることができる。
【0033】
本発明の例示的な一実施形態によれば、前記シール部は、前記濾過材の周りを延びる弾性シール材を有し、前記弾性シール材は、前記膨出部の外側を延びる。この場合、塗布されるシール材を、設けられたシール線に沿って、簡単に、かつ迅速に塗布することができる。
【0034】
本発明の例示的な一実施形態によれば、前記濾過材は、4つの濾過材側面を有し、好ましくは、前記濾過材側面と、前記吸入面及び前記排出面とが互いに直交する。このような直方体状の濾過材は、製造が容易である。
【0035】
本発明の例示的な一実施形態によれば、上述のフィルタ要素を収容するように構成されたエアフィルタハウジングが提供される。前記エアフィルタハウジングは、吸入口と、排出口と、フィルタ要素収容部とを備え、前記フィルタ要素収容部は、前記吸入口と前記排出口との間に位置する。前記フィルタ要素収容部は、挿入されるフィルタ要素及び周状シール部から径方向に離れる方向に配向される膨出部を有し、前記シール部は周状シール線を有する。前記シール線は前記径方向膨出部の中を延び、前記シール線のプロファイルに沿う半径は、前記膨出部の上に位置する前記エアフィルタハウジングのハウジング内側縁部の半径よりも大きい。
【0036】
本発明の例示的な一実施形態によれば、前記フィルタ要素収容部は保持面を有し、前記保持面は、前記周状シール線と、挿入される前記フィルタ要素との間に位置する。この場合、追加の保持面をシール部の外側にさらに設ける必要がなく、このため、フィルタ要素の寸法を小さく維持することができる。
【0037】
好ましくは、同一の方向を向く前記フィルタ要素収容部の前記保持面と前記フィルタ要素収容部のシール面とは、少なくとも実質的に同一の軸方向レベルに配置される。このような対称性のため、これらの2つの面の間の製造公差を考慮する必要がない。
【0038】
本発明の例示的な一実施形態によれば、上述のエアフィルタ要素を収容するように構成され、吸入口と、排出口と、フィルタ要素収容部と、を備えるエアフィルタハウジングが提供される。前記フィルタ要素収容部は、前記吸入口と前記排出口との間に位置し、前記フィルタ要素収容部は、保持面と、前記エアフィルタハウジングの周りを延びるシール線を有するシール部と、を有し、前記保持面は前記周状シール線と挿入される前記フィルタ要素との間に配置される。この場合、とりわけ追加の要素をシール線の外側に配置する必要がなくなるので、エアフィルタハウジングをコンパクトにすることができる。
【0039】
本発明の例示的な一実施形態によれば、上述のエアフィルタ要素を収容するように構成され、吸入口と、排出口と、フィルタ要素収容部と、を備えるエアフィルタハウジングが提供される。前記フィルタ要素収容部は、前記吸入口と前記排出口との間に位置し、前記フィルタ要素収容部は、挿入されるフィルタ要素及び周状シール部から径方向に離れる方向を向く膨出部を有し、前記シール部は周状シール線を有する。
【0040】
前記シール線は前記径方向膨出部の中を延び、前記シール線のプロファイルに沿う半径R2は、前記膨出部の上に位置する前記エアフィルタハウジングのハウジング内側縁部の半径R1よりも大きい。この場合、シール線がハウジング内側縁部に比べて大きな半径を有する、コンパクトなエアフィルタハウジングとすることができ、製造にとって好都合である。特に、このようなエアフィルタハウジングは、類似のシール部を有する上述のフィルタ要素を適切に収容するのに適している。
【0041】
本発明の例示的な一実施形態によれば、前記エアフィルタハウジングは、周状シール線を有し、前記シール線のプロファイルは、部分的に、挿入される前記フィルタ要素から径方向に離れる方向に曲がっている。この場合、シール形状をフィルタハウジング上に設けることができ、このため、フィッティング、強化、又は他の要素等のために、離れる方向に曲がるシール線のセクションの対応する膨出部の中においてスペースを提供することができる。
【0042】
本発明の例示的な一実施形態によれば、前記フィルタ要素収容部は、前記フィルタ要素の前記軸方向において少なくとも1つの突起を有し、前記突起はフィルタ要素側の凹部に係合するように構成される。
【0043】
この場合、上述のフィルタ要素に対応するフィルタハウジングが提供される。特に、突起及び凹部は、互いに協調できるようになっている。
【0044】
本発明の例示的な一実施形態によれば、前記フィルタ要素収容部は、挿入されるフィルタ要素から径方向に離れる方向を向く膨出部を有し、前記シール線は前記膨出部の中を延び、前記シール線のプロファイルに沿う半径は、前記膨出部の上に位置する前記エアフィルタハウジングのハウジング内側縁部の半径よりも大きい。
【0045】
この場合、ハウジング内側縁部の半径に比べて大きな半径を有するシールのプロファイルが提供される。これにより、シール材の簡易な利用又はシール材での上記のフィルタ要素の受けが可能となる。径方向膨出部は、実質的に、フィルタハウジングの側面のうち1つのみの外側に延在してもよい。又は、径方向膨出部は、フィルタハウジングの2つの隣り合う側面の外側に、特に同程度、延びていてもよい。
【0046】
本発明の例示的な一実施形態によれば、上述のエアフィルタ要素と、上述のエアフィルタハウジングと、を備えるエアフィルタが提供され、前記エアフィルタ要素は、前記エアフィルタハウジングの前記フィルタ要素収容部の中に交換可能に配置される。この場合、エアフィルタ要素が交換可能であるので、フィルタ要素の交換によってエアフィルタのフィルタリング性能を確実なものとすることができる。
【0047】
上述及び後述のエアフィルタ要素及びエアフィルタは、特に自動車、建設機械又は農業機械の空気濾過に用いることができる。特に、これらのエアフィルタ要素及びエアフィルタは、燃焼機関の吸気の濾過又は自動車の内部コンパートメントの給気の濾過に用いることができる。しかし、これらのエアフィルタ要素及びエアフィルタは、特に、液体や液体混合物を含む他の流体に用いるために、変更を加えることができる。とりわけ、これらのエアフィルタ要素及びエアフィルタは、構造的に実質的に同等なデザインを有する、自動車用の燃料又はオイルのフィルタ要素、又は、自動車用の燃料又はオイルのフィルタとして具現化されてもよい。
【0048】
上述のそれぞれの特徴は相互に組み合わせてもよく、そうすることによって、有利な相乗効果が得られる場合があることは容易に理解される。
【0049】
本発明の上述の態様及び他の態様について、例示的な実施形態を参照して以下により詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
以下の図面を参照して例示的な実施形態について以下に説明する。
【0051】
図1】本発明の例示的な一実施形態に係るエアフィルタ要素を示す図である。
図2】本発明の例示的な一実施形態に係る凹部の詳細を示す図である。
図3】本発明の例示的な一実施形態に係る凹部の詳細を示す図である。
図4】本発明の例示的な一実施形態に係る凹部の詳細を示す図である。
図5】本発明の例示的な一実施形態に係る保持形状の詳細を示す図である。
図6】本発明の例示的な一実施形態に係る保持形状のシール部を示す図である。
図7】本発明の例示的な一実施形態に係るフィルタ要素の平面図である。
図8】本発明の例示的な一実施形態に係る、フィルタ要素が挿入されるフィルタハウジングを示す図である。
図9】本発明の例示的な一実施形態に係るエアフィルタハウジングに挿入されるフィルタ要素を示す図である。
図10】本発明の例示的な一実施形態に係るフィルタ要素のエンドプレートを示す図である。
図11】本発明の例示的な一実施形態に係るフィルタ要素の部分図である。
図12】本発明の例示的な一実施形態に係るフィルタ要素の部分図である。
図13】本発明の例示的な一実施形態に係るフィルタ要素の部分図である。
図14】本発明の例示的な一実施形態に係るエアフィルタハウジングに挿入されるフィルタ要素の部分断面図である。
図15】本発明の例示的な一実施形態に係るエアフィルタハウジングに挿入されるフィルタ要素の部分断面図である。
図16】本発明の例示的な一実施形態に係るフィルタ要素の平面図である。
図17】本発明の例示的な一実施形態に係るエアフィルタハウジングに挿入されるフィルタ要素を示す図である。
図18】本発明の例示的な一実施形態に係るエアフィルタハウジングに挿入されるフィルタ要素の部分断面図である。
図19】本発明の例示的な一実施形態に係るエアフィルタハウジングの下側ハウジング部分を示す図である。
図20】本発明の例示的な一実施形態に係るフィルタ要素を示す図である。
図21】本発明の例示的な一実施形態に係るフィルタ要素の平面図である。
図22】本発明の例示的な一実施形態に係るフィルタ要素の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は、本発明の例示的な一実施形態に係るエアフィルタ要素200を示す図である。エアフィルタ要素200は、吸入面275と、排出面285と、を有する。図1において、吸入面275は、上向き側又は下向き側(図では見えていない)のどちらにあってもよい。特に、フィルタ要素200は、何れの向きに流体が通過してもよく、吸入面275と排出面285とは置き換えられてもよい。フィルタ要素200は、流れの方向によって決まる縦軸Aを有し、吸入面275と排出面285との間に延在する。フィルタ要素200は、縦軸が流れの方向に向かって傾くように配置されるようにオフセットされていてもよい。縦軸は、例えば、吸入面及び排出面が互いに平行でない場合、及び/又はフィルタ要素200を通過する流れが直線に沿っておらず曲がっている場合には、曲がっていてもよい。また、エアフィルタ要素200は中心軸Zを有する。中心軸Zは、対称の中心点又は何らかの対称軸を示す。中心軸Zは、必ずしも縦に延びる軸Aと一致していなくてもよく、また、縦軸Aに平行でなくてもよい。エアフィルタ要素200は、吸入面275と排出面285の間にある濾過材210を有する。この濾過材は、例えば、紙又はプラスチック又はフリース又は他のフィルタ材により構成されていてもよい。濾過材は、様々な方法で製造されてもよい。例えば、濾過材は、紙を折り曲げたフィルタベローであってもよく、波形状及び平板状の層を接着して積層した波形(フルート状)の濾過材であってもよい。また、フィルタ要素200は、フィルタ要素200をフィルタハウジング105の中に固定するためのフィルタ要素保持具240を有する。フィルタ要素保持具240は、例えば、濾過材の外側側面の部分に取り付けてもよい。あるいは、フィルタ要素保持具は、濾過材210の周りを延在するシェル、カラー又は帯であってもよい。周状のフィルタ要素保持具240は、フィルタ要素保持具240上に周状のシール材が設けられる場合、特に好都合である。フィルタハウジングの中にフィルタ要素200を保持するため、フィルタ要素保持具240は保持部270を有し、保持部270は、フィルタ要素200に作用する保持力を吸収することが可能な保持面271を有する。これらの保持力は、保持面271を介してフィルタハウジングに伝えられてもよい。保持部270は、1以上の凹部272をさらに有する。凹部272は、例えば、ハウジング内にフィルタ要素を適切な位置精度で固定するために、対応するハウジング側突起を適切に受けることが可能になっている。凹部272は、例えば、保持面271上に配置してもよい。凹部は、円筒形状または円錐形状を有してもよい。凹部は、円形、楕円形、卵形又は角のある形状を有していてもよい。シール部は、膨出部として具現化されてもよく、この場合、対応するハウジング内の突起又はハウジング内の凹部にあってもよい。膨出部は、実質的に側面の1つのみの外側に延在してもよい。特に、図1に示されるように膨出部がフィルタ要素200の隅部に配置される場合、膨出部は、フィルタ要素200の長辺側面の外側に突出しないようにするように具現化されてもよい。膨出部は、必ずしも隅に配置されなくてもよく、フィルタ要素200の側面の中央部に配置されてもよい。複数の膨出部243が設けられる場合、それらは、例えば、フィルタ要素200の狭い前側211のみの外側に突出し、広い側212の外側には突出しないようになっていてもよい。もちろん、膨出部は、長辺側212の外側に突出し、短辺側211の外側に突出しないようになっていてもよい。これにより、フィルタ要素200の幅方向又は長さ方向の構造的サイズを低減することができる。保持具は、図1に示すように、濾過材210に沿って軸方向に延びるスペーサ273を有してもよい。スペーサ273は、フィルタハウジング105の中でフィルタ要素200に対応するスペースをフィルタハウジングの壁面から確保することができ、例えば、フィルタ要素200は、容易に取り外し可能となり、フィルタハウジングに対するしっかりとした接触及び支持面を有することとなる。また、これにより、衝撃又は振動等の機械的負荷をより容易に吸収することができる。凹部272は、それぞれが異なるデザインを有してもよく、これについて以下に図2図4を参照して説明する。
【0053】
図2は、例示的な実施形態に係る保持部であり、保持部において、フィルタ要素保持具240にはスロット状の凹部272が設けられてもよい。図2において、このスロット状の凹部は、濾過材210のある外側縁に対して斜めに配置される。もしくは、フィルタ要素保持具240の凹部272は、図3に示すような円形状であってもよい。若しくは、スロットは、図4に示すように、濾過材210のある外側縁に対して平行に配置されていてもよい。図2図3及び図4に示す実施形態に係る凹部の代わりに、凹部は他の形状を有していてもよく、特に、角度を有する外面形状、自由な形状、又は図2及び図4とは異なる方向を向いて配置されたスロット形状を有していてもよい。凹部272は、保持部270を完全に通り抜ける凹部であってもよい。もしくは、凹部272は、例えば、止まり孔の形で具現化される、閉じた凹部であってもよい。図1に示すように、この凹部は、保持部270の上側から設けられていてもよい。もしくは、凹部は、保持部210の下側から設けられていてもよい(止まり孔の場合、図1の視点ではこのような凹部は見えない)。センタリング効果を得るため、凹部は円錐状であってもよい。複数の凹部が設けられる場合、第1膨出部243に設けられる第1凹部272は円形状であってもよい。第2膨出部に設けられる第2凹部は、例えば公差又は熱膨張の補償のために、スロットの方向におけるわずかな動きを可能としつつ、第1凹部を介してフィルタ要素200を固定できるようにするため、スロット状であってもよい。図1図4に示されるように、保持部は、実質的に連続して湾曲する外形を有する膨出部を構成してもよい。このようにして、以下に説明するように、比較的簡素なシールが達成できる。
【0054】
特に、縁部半径が小さいフィルタ要素では、清浄空気側を処理前空気側から隔離するために、エアフィルタハウジング内部でフィルタ要素を信頼性高くシールすることは特に難しい。したがって、より大きな半径を有するシール部は、特定の条件下において有利である。このことは、製造プロセスにとっても特に重要である。それは、少しの半径の変化(すなわちより小さな湾曲)によって、シール材のディスペンスのプロセスが容易となるためである。通常、製造プロセスにおいては、より大きな半径を移動する方が、端部において鋭い角度で移動するよりも容易である。これについて、図5及び図6を参照してさらに詳細に説明する。
【0055】
図5は、保持部270の詳細を示す図であり、保持部270は、膨出部243の形で示される。この膨出部は、濾過材210から、濾過材210の1つの側面のみの外側に延在する。しかし、保持部270は側面212の外側には突出しない。例えば、その外形は、側端212に沿って直線的に延び、続いて半径R2を反時計回りの方向に約135°進み、続いて半径R2を時計回りの方向に約45°進み、続いて側面211を再度直線的に進むようになっていてもよい。このとき、膨出部は側面212の外側に突出しない。
【0056】
しかし、膨出部は、側面212に沿った直線的な外形から始まり、まず半径R2を反時計回りの方向に225°進み、そして半径R2を時計回りの方向に45°進み、そして側面211を再度直線的に進むようになっていてもよい。後者の形状(図21)の場合、膨出部は、側面211と側面212の双方の外側に、特に同程度突出する。前者の場合も後者の場合も、半径はR1以上である。膨出部243があるので、隅部においてシール線261を通り抜ける曲線の半径は、シール線261が濾過材210のすぐの近くの隅部を延びる場合よりも大きい。
【0057】
図5に示す構成においては、シール材を塗布するために、ディスペンサロボットがフィルタ要素200そのものの外形に沿って移動することができる。これに対し、側面212の端に達する場合には、側面211に沿ってシール材を塗布するために、小さな半径R1を移動しなければならない。このような著しい方向転換は、ディスペンスの不正確さや、シール材のディスペンスの過剰又は不足につながる。しかし、膨出部243は、ディスペンサロボットがより大きな半径R2(半径R2は、鋭く曲がる半径R1よりも傾きが小さい)を移動することを可能にする。図5において、ディスペンスロボットは、側端212の外側において保持部270の外形をたどることができ、保持部270の端の側面211に達するために、より大きな半径R2の湾曲にそって移動するのみでよい。図5は、濾過材210の一部分のみに取り付けられる保持部270及びフィルタ要素保持具240を示す。保持部が上述の形状を有する場合、必要に応じて、該部分の外側で、特に、側面212においてその端部まで、続いて膨出部、最後に側面211において、直接濾過材210に対してシール材を射出してもよい。しかし、フィルタ要素保持具240は、シール材を配置することができる周状のカラーを有してもよい。この場合、フィルタ要素保持具240は、濾過材210にしっかりと接着されることができる。
【0058】
図6は、シール材263がフィルタ要素保持部240に塗布された本発明の例示的な一実施形態を示す図である。フィルタ要素保持部は、濾過材210の外側に突出して、シール材263を載せることができるカラーを構成していてもよい。一方、図6には、シール材を載せることができる円周状のフィルタ要素保持部240も示される。図6において一点鎖線及び破線は、各ケースにおけるシール線261を示す。フィルタ要素保持部240の支持面は、弾性シール材263が塗布されるシール面を構成する。図6において、シール材の半径R2は、濾過材210の半径R1よりも大幅に大きい。よって、ディスペンサロボットは、シール線261に沿って、濾過材210の鋭い角部213を移動する場合に比べて大幅に速い速度で移動することができる。図6に示す実施形態では、膨出部243は実質的には濾過材210の側面211のみの外側に延びており、側面212の外側には延びていない。膨出部243は、図6において破線241aで示される角部213の方向に続くフィルタ要素保持具240の外側縁部241と、図6において破線242aで示される第2の外側縁部242の延長とによって形成される扇形の中に延在する。このようにして、フィルタ要素保持具の外側縁部242と、フィルタ要素保持具の反対側(不図示)との間の全幅を小さく維持することができ、これにより全体の設置サイズを低減することができる。したがって、膨出部243は、迅速な製造プロセスを可能とするためにシール材のR2を大きく維持可能とする機能を有する。さらに、膨出部243は、凹部272のために適した場所を提供する機能を有する。いずれにしてもこの面271が存在するので、大きな半径を有するシールの隣に保持面又は凹部を提供するためにさらなる面を設ける必要がない。したがって、耳型の膨出部243は、保持面271及び凹部272のための面を提供することと、シール部260のために適した面であるということの双方を組み合わせた機能を有する。凹部272は、止まり孔として具現化されてもよい。このような凹部がシール線261と濾過材210との間に位置する場合、該凹部が清浄空気側と処理前空気側との間の空気流路を構成しないという効果を有する。
【0059】
図7は、本発明に係るフィルタ要素200の平面図である。図7に示すフィルタ要素200は、4つの隅部の各々に膨出部243を有する。図6に示す形状と同様に、これらの膨出部243は、比較的大きな半径R2を有するシール部260を受ける機能及び保持面271を提供する機能の双方を有する。結果として、必要に応じて、凹部272を保持面271に設けることができ、又は凹部を保持部270に設けることができる。膨出部243は、フィルタ要素保持具240の外側縁部242及びその延長242aの外側に突出しないので、フィルタ要素200の全幅を小さく維持することができる。特に、膨出部243は、一方の外側縁部241及びその直線状の延長241aと、他方の外側縁部242の延長242aとの間に形成される角度においてのみ延在する。
【0060】
次に、図7を参照してシール線261の通路について詳細に説明する。図7に示すエアフィルタ要素200の左側の中央から出発し、シール線261は、まず、濾過材の側面212の直線状のセクションを、フィルタ要素200の周方向において時計回りに進む。濾過材の側面212及び211の間の角部とほぼ同じ高さにおいて、その直線状のセクションは、濾過材210に向かって径方向に湾曲するセクションに直接移行する(図7では、該セクションは、時計回りに右へ湾曲する)。このセクションでは、シール線261は、少なくともほぼ一定の曲率半径を有し、その曲率半径は、例えば、約20〜40mmの範囲内、好ましくは、25〜35mmの範囲内である。すなわち、このセクションは、円周の切片状の形状を有する。シール線210は、該円周切片状セクションを約135°進む。次に、濾過材210から径方向に離れる方向に湾曲するセクション(図7において、反時計回りに左に湾曲するセクション)に直ちに続く。該セクションの曲率半径はほぼ一定であり、前のセクションの曲率半径とほぼ同じ大きさであるか、好ましくは前のセクションの曲率半径よりも少し小さい。この濾過材から離れる方向の湾曲セクションは、約45°にわたって延びる。次に、フィルタ要素の側面211に沿った直線状のセクションが続き、もうひとつの濾過材から離れる方向の湾曲セクションは、第1の濾過材から離れる方向の湾曲セクションと実質的に同じ曲率半径(例えば、20〜40mm)と、実質的に同じ角度寸法(例えば、約135°)を有する。最後に、濾過材210に向かって湾曲し、第1の濾過材に向かう方向の湾曲セクションと実質的に同じ曲率半径及び角度寸法を有するセクションに続く。濾過材側面211と他方の濾過材側面212との間の角部の位置において、濾過材に向かう方向の湾曲セクションは、濾過材側面212に沿った長い直線状のセクションへ移行する。そして、再度、濾過材に向かう方向の湾曲セクション及び濾過材から離れる方向の湾曲セクション等に続く。
【0061】
全体として、エアフィルタ要素200の四隅の領域の各々において膨出部243を形成するために、濾過材210に向かって湾曲するセクション及び濾過材210から離れる方向に湾曲するセクションは、エアフィルタ要素200の四隅の領域に設けられる。図7に示す例では、全ての濾過材から離れる方向の湾曲セクションは、同一の曲率半径及び同一の角度寸法を有する。さらに、全ての濾過材210に向かって湾曲するセクションは、同一の曲率半径及び同一の角度寸法を有する。
【0062】
図7に示されるように、凹部272を保持面271に設けてもよい。図7において凹部はスロット状の孔として表現される。図2図4の場合同様に、スロット状の孔は、別の方向を向いて配置されてもよい。また、凹部はどのような形状を有してもよい。特に、凹部は貫通孔として形成されてもよい。ただし、凹部272は、止まり孔又は閉じた孔として形成されてもよい。凹部によってハウジング側の突起を受けることが可能となり、例えば、エアフィルタハウジングの中でエアフィルタ要素200を適切に位置決めすることができる。特に、設置の向きが明確でないエアフィルタ要素においては、対応するハウジング側の突起又はエアフィルタ要素の凹部によって、エアフィルタ要素がエアフィルタハウジングに適切な向きで挿入されることを確実とすることができる。シール面262及びシール線261は、フィルタ要素200の長辺側212に沿って延び、膨出部243の回りを通った後、再びフィルタ要素200の短辺側211に沿って案内される。その結果、対応する膨出部243の間においてフィルタ要素200の設置サイズを小さくすることができる。よって、フィルタ要素200及びその膨出部243の外側に突出するスペースを設けることなく、例えば、補強用の要素やフィッティング等のハウジング側デバイス113をこの領域に配置することができる。この目的のために、膨出部の半径は、例えば、90°の円周状セグメントを通り抜け、同じ湾曲に沿って45°の円周状セグメントを通り抜け、反対側において再び円周状セグメントである湾曲を通り抜け、そして、再び外側縁部211に平行して延びる側にたどり着く。半径R2は、実質的に同一に維持され、湾曲は、右側の湾曲から左側の湾曲に外縁を周って通過するとき、又はその逆のときに徐々に変化するのみである。
【0063】
図8は、本発明の一実施形態に係るエアフィルタ要素の挿入のためのエアフィルタハウジングを示す図である。図8に示すエアフィルタ100のエアフィルタハウジング105は、ハウジング本体110とハウジングカバー115を有する。図8に示す実施形態において、空気入口130及び空気出口140の位置が示される。図8に示されるこの開口は、空気入口としても空気出口としても用いることができる。同様に、空気入口としても空気出口としても用いることができる開口(図8において完全には見えていない)がハウジング本体110に設けられる。この実施形態では、ハウジングカバー115には強化リブが配列されている。ハウジング本体110はカラー114を有する。このカラー114は、エアフィルタ要素200の外形に対応する形状を有する。このように、フィルタ要素保持具240を、例えばカラー114の内部に4つの膨出部243(図7参照)を持つ形で、取り付けることができる。シール材263は、フィルタ要素保持具の上側又は下側に塗布してもよい。このように、ハウジング側シール部160の対応する合わせシール面162がハウジング本体110又はハウジングカバー115に配置される。シール線161は円周状のシール線として具現化される。膨出部143が存在する結果、シール線161は、特に短辺側において、ハウジングの正の湾曲部(すなわち、外側から見た場合の凸状部分)をたどるだけではなく、直線状の部分に加えて凹状部分も有する。凸状のシール線161のフルーティングに、スペースを取らない形で適切なフィッティング113を設けてもよい。ハウジングには、フィルタ要素200の対応する凹部272の中に突き出る突起172を設けてもよい。ハウジングの中には、対応するフィルタ要素200のシール部270を受けることができるフィルタ要素収容部170が設けられる。このフィルタ要素収容部170に突起172が設けられてもよい。凹部272がスロット状の孔である実施形態では、位置決めにおいていくらかの許容誤差が得られる。また、ハウジングの突起172及び凹部272の適切な実施形態では、フィルタ要素200がハウジング内の所定の位置にのみ挿入されることを確実にすることができる。図8に示されるように、フィルタ要素200の膨出部243同士の間及びハウジングの膨出部143同士の間にある開放された領域に、対応するハウジング側デバイス113(例えばフィッティング等)が設けられていてもよい。このように、ハウジング側デバイス113が、ハウジングの対応する縁部の外側に突出するとしても、ハウジング全体の寸法は大きくならない。また、保持面271がハウジングの対応する支持面171の上に載るようにして、フィルタ要素200が適切な軸方向位置に位置するようにしてもよい。また、支持面が適切な構造を有する場合、シール材263が所定の最大サイズよりも大きくならないようにシール材263が押し付けられて、ハウジングカバーのフィッティングに押し潰されないようにすることができる。
【0064】
図9は、エアフィルタを構成するエアフィルタハウジング105及びエアフィルタハウジング105に挿入されるフィルタ要素200の配置を示す。図9において、凹部272の代わりに、ハウジングの凹部172aに係合することができる突起272aが設けられてもよいことが示される。例えば、対応する突起とフィルタ要素側との組み合わせ又は適切に対応する突起とエアフィルタハウジング側の凹部との組み合わせにより、エアフィルタハウジングに適合するフィルタ要素200のみが挿入可能となるように確実にできる。突起及び凹部は、特に、適切に適合しないエアフィルタ要素200がエアフィルタハウジングから突出して、エアフィルタハウジングのカバー115がそれ以上閉まらないような形で具現化されてもよい。側面211及び212には、図9に見られるフィルタ要素上のリブ状構造物等の強化材が設けられてもよい。特に、フィルタ要素保持具240の膨出部243は、フィルタ要素200のうち、適切な強化構造で強化された側に配置されてもよい。このようにして、特にフィルタ要素200において既に強化された側211を介して、フィルタ要素200及び濾過材210に適切な保持力を加えることができる。シールは、フィルタ要素保持具240のカラー及びフィルタ要素保持具240の外側縁部のいずれに塗布してもよい。特に、フィルタ要素保持具の縁部をシール材、特に弾性シール材で被覆して、シール材が縁部を囲んで衝撃から保護されるようにしてもよい。シール材は、濾過材210の長辺側212に沿って濾過材に直接塗布してもよい。シール材を受けるための保持形状をさらに設ける必要はない。シール材は様々な断面形状を有してもよい。とりわけ、シール材の断面形状は、長方形状、半円形状、台形状、半楕円形状又は半卵形状であってもよい。ただし、シール材の断面形状は上記した断面形状に限られない。
【0065】
図10は、エアフィルタ100のエアフィルタ要素200の他の例における、エンドプレート300の形をとった強化構造を示す。このエアフィルタ100のうち殆どの部分は、図7図9で説明したものと同様である。同一又は類似の構成要素には同一の符号が付されている。
【0066】
図10に示すエンドプレート300は、例えば接着又は溶接によってフィルタ要素200の両方の濾過材側面211に取り付けられている。他の2つの濾過材側面212には強化構造は設けられていない。ジグザグ状に折り曲げられた濾過材210の場合、エンドプレート300は、ひだ状のポケットを横方向にシールするためにも用いられる。エンドプレート300は、好ましくは(硬質の)プラスチック製であり、特に、射出成型品であってもよい。
【0067】
フィルタ要素保持具240の一部として、保持部270が2つの膨出部243とともにエンドプレート300に設けられる。図10に示すエンドプレート300には、シール部260がまだ不足している。エンドプレート300に対して締結バー301を囲むようにシール材263が成型により形成されて、シール部260が形成される。締結バー301は、複数の保持バー302を介してエンドプレート300の外側面に接続される。特に、シール材263はエンドプレート300の上に成型又は発泡により形成される。好ましくは、シール材263の材料としてPURを用いることができる。特に、エンドプレート300は硬質プラスチックを含み、シール材263は軟質プラスチックを含んでもよい。ただし、エンドプレート300の全体を、例えばPURを材料として、シール材263とともに一体的に、又はシール材263とは別に、成型又は発泡により成形してもよい。
【0068】
図11〜13は、図10のエンドプレート300とともにエアフィルタ要素200のセクションを示す。図11〜13において、シール材263はすでに成型されている。シール材263は、エアフィルタ要素200の縦軸Zに直交して延在する周状のシール面303を有するシール部260を形成する(図11)。図11に示される上向きの保持面271は、膨出部243の各々に設けられる。保持面271は、シール面303に関して軸方向において上側にオフセットされている。シール材263を発泡により成形する時、この軸方向のオフセットにより、不注意でシール材263が少し過剰にディスペンスされたときにシール材263が保持面271に付くのを防ぐことができる。
【0069】
シール部260の反対側には、第2の周状のシール面304又はシールビードが設けられる(図12)。図12に示される下向きの保持面271は、膨出部243の各々に設けられる。これらの保持面271は、シール面304に関して軸方向において僅かに下側にオフセットされている。図13は、これらの保持面271うちの1つを直視した図である。保持面には、ハウジング側の突起を受けるための凹部272に加え、プラスチック材を節約するための凹部が設けられている。
【0070】
図14は、エンドプレート300の中央の領域における、フィルタハウジング100に挿入されるフィルタ要素100の部分断面図である。ハウジング本体110の周状レッジの上に設けられるハウジング側シール面306は、フィルタ要素側のシール面304に接して軸方向反対向きに押圧される。これは軸方向のシール形状である。図14は、シール材263が押圧されておらず変形していない状態を示す。シール材263は、実際にはハウジング側の構成要素とはオーバラップしないが、該構成要素にしっかりと押しつけられて変形する。また、図15は、どのようにしてシール材263が締結バー301を囲むかを示す図である。
【0071】
ハウジングカバー115及びハウジング本体110の各々には、フィルタ要素200が組み立てられた状態において、フィルタ要素側の保持面271(膨出部243の上側及び下側に存在する)に載るハウジング側の保持面171(図14には示されない)が設けられる。これにより、フィルタハウジング100の中で、少なくとも両軸方向において、膨出部243を介してフィルタ要素が強固に支持される。好ましくは、同一の方向(上側)を向くハウジング側のシール面306及びハウジング本体110のハウジング側保持面171は、同一の軸方向位置に延在する。これらの面の相対的な軸方向位置の製造上の許容誤差を避けることができる。
【0072】
図15は、シール形状がいくらか変形されたエアフィルタ100及びエアフィルタ要素200の例に係る図14に対応する断面図である。又は、エアフィルタ100は、上述した例のいずれかと同じであってもよい。締結バー301を囲むシール材263は形状が変更されている。該シール材263は、周状の溝307を有する。組み立てられた状態では、ハウジング側のシールバー308がこの溝307に係合する。溝307及びシールバー308は、外側溝壁309の外側面がハウジング内側壁面に対して径方向外側に押圧されるような形状を有する。これにより、径方向のシールが形成される。さらに、シール材263は軸方向において溝307の反対側でハウジング面に載っていてもよく、この場合、シールが安定化し、又は軸方向のシールがさらに形成される。
【0073】
図16は、一実施形態に係るエアフィルタ要素100の平面図である。フィルタ要素200の殆ど部分は、既に説明したフィルタ要素200と同様である。このフィルタ要素200は、濾過材側面211に接続される2つのエンドプレート300を有する。シール線261は、例えば、濾過材側面212からエンドプレート300の短辺側の外側端面に移行する箇所のそれぞれにおいて、オフセット310を通過する。濾過材210のエンドプレート300への接続を確実に機能的に信頼性のあるものとするために、エンドプレート300は、濾過材210から側方にいくらか突出している必要がある。オフセット310を設けたことで、エンドプレート300が側方に突出しているにもかかわらず、濾過材のための容積を減らすことなくフィルタ要素200の構造を小さなものとすることができる。
【0074】
図17図20に基づいて、エアフィルタ100の一例について説明する。図17は、運転の準備ができた状態のエアフィルタを示す図である。フィルタハウジング105は、取り外し可能なハウジングカバー115と、ハウジング本体110とを備える。ハウジングカバーには、側方に排出口130と及び吸入口140が設けられている。よって、ハウジング本体110は吸入口140と排出口130を有する(図19)。
【0075】
図18は、図17において破線311で示される面に沿った部分断面図である。シール材263がフィルタ要素200の周縁部312に対して成型されている。シール材263の周状のシール面303及び304は、周状のハウジング側シール面305及び306に対してシールするように載っている。縁部312は膨出部243を形成する。膨出部243の保持面のうち、図18において下向きの保持面271は、対応するハウジング本体110の保持面171に載っている。図18において上向きの保持面271は、対応するハウジング側保持面171から僅かに離れている。ただし、それらは隣接するように構成されていてもよい。凹みを有する突起313があるので、ハウジング側の突起172aが係合する凹部272が膨出部243の下側に形成される。材料を節約するため、突起172aが凹みを有していてもよい。
【0076】
図20は、周縁部312とともにフィルタ要素200を示す図であり、フィルタ要素200には、周状シール部260、膨出部243及び凹みを有する突起313が設けられている。例えば、このフィルタ要素200は周囲フレーム314を有するフィルタ要素200の変形例でもある。周縁部312は、フレーム314の一部である。ただし、周縁部312は、濾過材210を側方にシールして安定化するようにも機能する。好ましくは、周囲フレームはプラスチック製であり、濾過材210に対して射出成型プロセスによって射出されて形成されてもよい。この場合フィルタ要素200はプラスチック被覆フィルタ要素200である。シール部260のシール線261の形状は、図7に示されるフィルタ要素200のシール線261に従う。
【0077】
図21及び図22は、シール線261のプロファイルに変更を加えたフィルタ要素200の2つの例を示す図である。図21及び図22に示すフィルタ要素200は、プラスチック被覆フィルタ要素である。ただし、対応するシールのプロファイルは、2つの対向するエンドプレート300を有するフィルタ要素200又は異なる構成を有するフィルタ要素200に形成されてもよい。
【0078】
既に説明したフィルタ要素200とは異なり、図21に示す例では、膨出部243は、濾過材側面211及び212の一方のみならず、濾過材側面211及び212の両方に向いており、特に同じ形状を有する。膨出部243の領域において、シール線261は、まず、濾過材210から径方向に離れる方向に曲がるセクションを延び、次に径方向に濾過材210に向かう方向に曲がるセクションを延び、最後に、再び径方向に離れるように曲がるセクションに沿うように延びる。
【0079】
図22は、少なくとも膨出部243の形状に起因して、鏡面対称の構造を有しないフィルタ要素200の例を示す図である。このような構成とすることで、フィルタ要素200を、フィルタハウジング105の中で単一の所定位置のみに設置することができる。通常、フィルタ要素200の明確な設置位置は、膨出部243の形状(例えば、曲率半径、径方向のカラー等)及び/又は数及び/又は位置を通じて決定することができる。
【0080】
通常、膨出部243又は保持部260の全体又はフィルタ要素保持具240の全体をポリマーフォーム、特にPURフォームで製作することは利点となり得る。
【0081】
本発明は、エアフィルタに加え、液体フィルタにも適用することができる。
【0082】
本明細書において、「備える」という語は、他の要素又は他の方法ステップが含まれる場合を排除しない。同様に、「1つの」という語は、複数の要素又はステップである場合を排除しない。
【0083】
本明細書において、符号は、理解を助けるためだけに使用されており、請求項によって規定される本発明の保護範囲を限定するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22