(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記トランプカードが前記カード吐出部から引かれるときに、前記トランプカード上のしるしを検出するセンサをさらに備え、前記センサは、前記制御装置と通信を行う、請求項1に記載のトランプカードシュー。
前記センサ及び前記制御装置が不正なトランプカードを検出したときに、前記制御装置は、前記カード取出リミッタを作動させることができる、請求項2に記載のトランプカードシュー。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書中に記載される本発明は、ゲーム中に使用されているカードを監視する、内蔵型の統合システムを示している。各装置は、プレーヤーに対する娯楽性に影響を与えることなく、テーブルでのカードディーラーの経験を高めつつ、ゲームに対するセキュリティを強化するインテリジェントテーブルゲームシステムを形成する。本明細書中に記載される発明は、カードのランク及びスート情報を示すために使用できる各トランプカード用の暗号化方法も有する。
【0005】
1)暗号化
本明細書中に記載される本発明は、トランプカードの表面上に、ミクロン(0.000001メートル)の大きさで測定されるミクロンドット又は「マイクロドット」を使用する。実験と調査により、肉眼で見えないようにするためには、マイクロドットのサイズは直径(又は正方形の場合は、側面の長さ)を20ミクロンから300ミクロンの間にすることが可能であることが分かっている。従って、マイクロドットを読み取ることが可能である限り、より小さいドットを使用してもよいと見なされるが、各マイクロドットは、直径20ミクロンから300ミクロンの間にすることができる。同様に、より大きなドットを使用してもよいが、目立ってしまうこととなる。
【0006】
以下の説明には、マイクロドットを用いてトランプカードの表面上にカードのランク及びスートを符号化する暗号化方法が含まれ、それにより、カードが引かれると、インテリジェントカードディーリング装置が暗号化されたランク及びスートデータを読みとって解読できるようにする。インテリジェントカードディーリング装置は、次に、カード情報をゲームディスプレイボード上に表示することができる。一実施形態において、一様格子内のドットの位置は、暗号化として使用され、そのような位置がトランプカードのランク及びスートを特定する。しかしながら、この符号化技術は、以下に説明されるように単なる例であり、考えられうる符号化方法が制限されるものではないことが理解されるであろう。例えば製造業者、ブランド名、カジノ名、ゲームが行われるテーブル、製造日及び製造場所などのランク及びスート以外の追加情報を、マイクロドットを用いてトランプカードに符号化できることも理解されるであろう。
【0007】
一実施形態において、乱数発生法を利用して、さまざまなカードに対するマイクロドットの位置の割り当てを決定してもよい。カード情報を特定するいかなるドット位置割り当てシステムも利用可能であるが、カジノオペレータに対して特別なレベルのセキュリティを提供するように、マイクロドット位置の乱数発生によって固有の符号を設計する可能性を与えることができる。追加レベルの冗長化は、カードの表面上の二箇所に、すなわち、カードに表示されるランク及びスートの位置とは反対側の角とカードの表の中央とに、ドットを印刷することによって適用され得る。代わりに、マイクロドットは、特定の位置や配列で設けられてもよい。
【0008】
一実施形態において、各ドットが印刷されるトランプカードの領域を画像化するためにカメラが設けられる。第一及び第二カードセンサ(以下に記載)を使用して、必要に応じてのみカードの表を照射するようにLED光源を閃光させることができるが、LED光源は、シューに電源が入るときに常に照射してもよい。
【0009】
画像システムは、ミラーを使用して、画像を取り込む潜望鏡の効果を提供することができる。しかしながら、ミラーなしの設計も実行可能である。そのようなミラーが使用される場合、(1)ミラーの角度、(2)光路、及び(3)マイクロドット画像の明らかな歪みは、各ドット間の位置や距離を算出する際に考慮されるべきである。
【0010】
一実施形態において、画像解像度が640×480ピクセルであるカメラを用いてマイクロドットの位置を正確に特定するには、9ピクセル(3×3)で十分である。そのようなカメラを用いて、約21×16mmの面積が走査される。一連の判定基準及び/又はフィルタリングアルゴリズムは、画像内のマイクロドットを分離するのに使用される。このフィルタリングアルゴリズムは、画像又は関心領域内の偽の対象物の除去にも役立つ。トランプカードにおいては、これらの偽の対象物の原因は、「地汚れ(scumming)」(印刷中のインクの飛び散り)、カードのほこり又は紙パルプから埋め込まれた繊維のいずれか、または全ての可能性がある。
【0011】
マイクロドットは、バイナリ・ラージ・オブジェクト(「BLOB」)検出解析を使用して、走査内に位置付け可能である。BLOB解析は、一般に、画像内の周囲よりも暗い点を検出しようとするものである。各ドットを分離又は識別するのに使用される要素には、(1)画像内のピクセル輝度のヒストグラム(背景の除去に使用される)と、(2)各オブジェクト内のピクセル数と、(3)オブジェクトのアスペクト比が約0.2から1.0の間にあり、すなわちほぼ径方向に均一であること(この場合、アスペクト比=y寸法内のピクセル数/x寸法内のピクセル数)と、(4)(カード登録と製作公差に基づく予想に関連する)関心領域内のバイナリ・オブジェクトの位置とが含まれる。さらに小さいマイクロドットが使用される場合は、各ドットは周囲の不備な点よりも小さくても良いことが分かっているが、一般に、最も大きい四つのオブジェクトが選択される。
【0012】
一度マイクロドットの位置が画像内で特定されると、各ドット間の距離は、x方向及びy方向の両方において測定される。次に、各距離は、各ドットの格子位置を解読するために使用される。代わりに、マイクロドットの特定の位置及び配列が記録され、その位置がトランプカードの識別に使用される。
【0013】
2)スマート周辺機器−テーブルにおける閉ループカードゲームシステム
ゲームテーブルにおけるスマート周辺機器には、電子シュー、ゲームコントローラユニット及びディスカードラック(discard rack)が含まれる。カードシューは、現在の電子シューと形状は似ており適合するが、その構成要素と機能性の点においてかなり異なる。シューのノーズには、カメラ、複数のミラー及びLED照明が装備されており、マイクロドットの符号を含むカードの一部分の画像を撮影する。シューはさらに、シューのノーズに少なくとも二つのセンサと機械式カードゲートとを有する。
【0014】
機械式カードゲートの作動は、(ゲートの開放に役立つ)電磁石及び(ゲートの閉鎖に役立つ)ばね仕掛けのシステム、或いは回転ミラーを使用することによって達成できる。開放ゲートは、カードゲートが下がっていて、カードをシューから引き抜くことができることを意味する。閉鎖ゲートは、カードゲートが上がっていて、カードが引き抜かれないようになっていることを意味する。ゲームの通常のプレーは、バカラの規定のルールと一致していて、かつ該ルールに基づいている。
【0015】
3)ユーザインタフェース
本発明は、機器とインタフェースするためのタッチスクリーン(ゲームコントローラユニットの一部として)を使用できる。
【0016】
本明細書に記載される一実施形態において、タッチスクリーンは、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)メニュー及びゲーム結果を表示する約5インチ×3インチの大型画面である。ファームウェア/ソフトウェアとの情報のやり取りは、タッチセンサー式スクリーン(抵抗膜方式タッチスクリーン又は静電容量方式タッチスクリーンでもよい)によって行われる。GUIディスプレイはカラーであってもよく、カジノ用にカスタマイズでき、またユーザ個人用に設定できる。
【0017】
4)バージョン管理
本発明において、ファームウェア又はソフトウェアに対する必要な更新やアップグレードは、例えば、携帯型電子記憶装置を使用することによって行われる。機器の製造業者は、必要なアップグレードと一緒にそのような記憶装置をカジノに発送する。カジノ又は機器管理者は、ゲームコントローラにその記憶装置を差し込み、セキュリティ用のユーザ認証時に、必要なアップグレードが自動的に機器に読み込まれる。これにより、休止時間なく、又は最小限の休止時間で、製造業者と顧客の両方の人件費を削減しつつ、機器の保守の効率化を図ることができる。
【0018】
5)多言語
グラフィカルユーザインタフェース(GUI)は、ユーザがなじみのある言語で装置と対話できるように構成又はプログラムされる。システムがいかなる所望の言語も表示できるようにプログラミング可能である。
【0019】
6)耐故障性
カジノテーブルのゲーム中でのトランプカードの分配は、ほとんど手操作であり、それゆえ間違いが起こりやすい。本発明は、こうした考えられうる間違いを最小限に或いは幾つかを解消するために、機械式カードゲートを有する。ゲームコントローラは、ゲームの進行とシューから引かれる各カードの値の識別に基づいてカードゲートの機能性を制御する。主に、カードゲートは、ゲーム結果が決定したにもかかわらず、シューからカードが不注意に引き抜かれないようにする。いわゆるカードの引き過ぎは、ゲームテーブルではよくある間違いであり、テーブルでのゲームの進行を不必要に混乱させ得る。ゲームコントローラは、テーブルで行われるゲームがコミッションバカラの場合、ディーラーにコミッションを回収することも再認識させる。
【0020】
7)パワー・オーバー・イーサネット(Power-Over-Ethernet)
ゲームコントローラは、一体型のイーサネットポート及び調整電源用の入力を有する。ほとんどの電子装置において見られるように、電力は、イーサネット接続を通じて、或いは調整電源によってゲームコントローラ及び電子シューに供給できる。スイッチにより、ユーザは、常時電源を介して又はイーサネット電力供給プロバイダによって装置への電力供給を便利に切り替えることができる。イーサネット接続は、シューをネットワークに接続することもでき、その場合、シューはローカルエリアネットワークを介して又はインターネット上で制御され得る。
【0021】
8)カード取出リミッタ
シューは、カード取出リミッタを含むことができ、該カード取出リミッタは、シューのカード吐出部からトランプカードが取り出されないようにする、又は、代わりに、トランプカードをシューのカード吐出部から取り出すべきではないことが触知できるしるしをディーラーに提供するために使用することができる。カード取出リミッタは、コントローラによって制御でき、また、カードゲームのルールに従って、或いは、ディーラーによる動作に応じて操作できる。
【0022】
カード取出リミッタは、閉鎖(上がった)位置と開放(下がった)位置との間で作動できるカードゲートであってもよい。閉鎖(上がった)位置では、カードゲートはトランプカードがシューから取り出されないように位置付けられる。開放(下がった)位置では、カードゲートは、トランプカードをシューから取り出せるように位置付けられる。
【0023】
カード取出リミッタは、カードをシューから取り出すために通常必要とされる力よりもより多くの力を要求する機構を代わりに有することもできる。当該装置は、カードがシューから引き抜かれる際にカードの経路内において高い摩擦係数を有する材料を選択的に配置することによって、シューからカードを取り出すことと関連する摩擦を増大させ得る。カードをシューから取り出しにくくするそのような手段には、ローラ又は単純なパッドが含まれていてもよく、カードは必ずそこを通って引き抜かれる。
【0024】
9)仮想カットカード
仮想カットカードは、標準カットカードと組み合わせて、或いはその代わりに使用されてもよい。仮想カットカードは、テーブルで新しいカードが差し迫って必要であることをピットボスに通知してもよい。あるいは、実際のカットカードの代わりに仮想カットカードを使用することによって、プレーヤーをデッキとの対話から離れさせ、テーブルの休止時間を削減する。
【0025】
本明細書の各図面は必ずしも拡大縮小することはなく、また、本明細書に開示される各実施形態は、図形記号、仮想線、図式的表示、及び部分図によって説明される場合があることを理解されたい。ある特定の実施例では、本発明の理解にとって必要ではない、或いは他の詳細を理解しにくくする詳細は省略されている場合がある。当然のことながら、本発明は、本明細書に例証される特定の実施形態に制限される必要はないことを理解されたい。さまざまな図面を通じて使用される類似の参照番号は、類似又は同様の部品又は構成を示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に示すように、本願明細書に記載される発明は、ゲームのプレー中に使用されているカードを監視する内蔵型の統合システムを示す。
【0028】
各装置がインテリジェントテーブルゲームシステム1を形成し、プレーヤーに対する娯楽性に影響を与えることなく、テーブルでのカードディーラーの経験を高めつつ、ゲームに対するセキュリティを強化する。インテリジェントテーブルゲームシステム1は、カードクレードル12とカード吐出部14とを有するシュー10を含む。カバーをカードクレードル12上に取り外し可能に設置することができ、それによりカードに接触することを制限する。アラームは、カバーに接続可能であり、カバーが取り外された時に通知を行う。さらに、カバーは、カードに権限なく接触することを防止するロック機構を有することができる。シュー10は、ケーブル40によってゲームコントローラユニット50に接続及び電気通信する。ゲームコントローラユニット50は、ディスプレイ52を有していてもよい。ケーブルは、標準イーサネットケーブル、USBケーブル、又はシュー10とゲームコントローラユニット50との間の通信を可能にするのに十分な他のケーブル配線でもよい。ケーブル40は、ゲームコントローラユニット50がシュー10とデータ通信できるようにし、その結果該ケーブル40によってシュー10とゲームコントローラユニット50との間で電子情報を通すことができるようになる。ゲームコントローラユニット50は、シュー10内に組み込むこともできる。
【0029】
シュー10は、
図2Aに例示されているトランプカード100を収容する。本明細書に記載される発明は、カードのランク及びスート情報を表すために使用可能なトランプカード100用の暗号化方法も有する。一組のトランプカード100はそれぞれ、少なくとも一つ以上の関心領域110をトランプカード100の表に有することがある。
図2Aのトランプカード100は、4つの関心領域110を有している。本明細書に記載される発明は、トランプカード100の表に、ほぼミクロンサイズのドット又はミクロン(0.000001メートル)の大きさで測定される「マイクロドット」120を使用する。実験と調査により、肉眼で見えないようにするためには、マイクロドット120の大きさは、直径20ミクロンから300ミクロンの間が可能であることを確認している。従って、各マイクロドット120は、直径300ミクロン未満であり、直径20ミクロンから300ミクロンの間である。しかしながら、マイクロドット120が小さくなるほど、関心領域110内に位置付けることがより困難になり、また、単なる汚れと区別するのがより難しくなり得ることが分かっている。同様に、使用されるマイクロドット120が大きくなるほど、目立ってしまうこととなる。
【0030】
トランプカード及びマイクロドット
図2Bは、マイクロドット120が可視化されている例示的な関心領域110を示す。なお、
図2Bは縮尺に応じて拡大縮小するのではなく、関心領域110を拡張するように視野を非常に拡大すると、マイクロドット120も拡大され、ドットがヒトの肉眼で見えるようにさせている。マイクロドット120は、ヒトの肉眼では見えないように、すなわち、正常視力の人が画像を拡大できる何かの助けを借りないと見えないように印刷することができる。一実施形態において、各ドットは、肉眼で見えなくさせる効果があるように黄色で印刷されている。黄色は、ヒトの目では感知しにくいことが多い色である。黄色はドット用として好ましい色であるが、本発明はこの色に限定されるわけではない。さらに、一実施形態において、マイクロドット120は、肉眼で見えるくらい大きくてもよく、また、実質的に解読できないままにするために符号化方式に依存してもよい。マイクロドット120は、長方形、正方形、円形、楕円形、三角形、及びアルゴリズムによって定義・読み取り可能な他のいかなる形状などの、あらゆる形状、又は各形状の組み合わせであってもよい。
【0031】
上述したように、本発明は、マイクロドット120によってトランプカード100の表にトランプカード100のランク及びスートを符号化する暗号化方法論を利用し、それにより、トランプカード100がシュー10から引かれると、インテリジェントカードディーリングシュー10が暗号化されたランク及びスートデータを読み取って解読できるようにする。インテリジェントカードディーリングシュー10は、次に、トランプカード100の情報をディスプレイ52上に表示することができる。好適な実施形態において、一様格子内の各マイクロドット120の位置は、暗号化として使用され、トランプカード100のランク及びスートを特定する。しかしながら、この符号化技術は単なる例であり、マイクロドット120を使用する際に、考えられうる符号化方法は制限されないことが理解されるであろう。製造業者、ブランド名、カジノ名、ゲームが行われるテーブル、製造日及び製造場所、及びその他のそのような情報等のランク及びスート以外の追加情報をマイクロドット120によってトランプカード100に符号化できることも理解されるであろう。
【0032】
一実施形態において、暗号化方法は、マイクロドットの位置を特定する8×7の格子を使用する。しかしながら、他の格子寸法も同じように効果的である。考えられ得る格子位置が56個ある8×7の格子は、一組のトランプカードを構成する52枚のトランプカードを意味する各ドットを分配するための最も小型の設計であることが判明している。トランプカードは、それぞれ8×7の格子上の少なくとも一つの固有の位置に割り当てられる。8×7の格子上のさまざまな位置に各ドットを割り当てることは、乱数発生法を使用して決定されてもよい。カード情報を特定するいかなるドット位置割り当てシステムも利用できるが、マイクロドット用の格子位置の乱数発生は、カジノオペレータに対して特別なレベルのセキュリティを提供するように、固有の符号を設計する可能性を考慮する。
【0033】
暗号化の詳細を説明するために、20ピクセルの大きさのマイクロドットが使用される。しかしながら、技術はこの大きさ又は各ドット間の間隔に限定されるものではない。ドットの割り当ての一例を
図3の例示的なルックアップテーブル300に示す。列310は考えられうるランクを列挙し、行320は考えられうるスートを列挙している。テーブルの各セルは、固有のx−y座標330を有する。例えば、
図3では、ハートの5が座標(5、3)に割り当てられる。
【0034】
図4は、x−y座標(5、3)に配置されたマイクロドットがある、実際の8×7の格子を示している。図に示すように、8×7の格子は、完全なデカルト座標x−y軸を形成するために四回反復されている。第一象限(412)、第二象限(414)、第三象限(416)及び第四象限(418)は、それぞれ個々の8×7の格子を表す。マイクロドット120は、その絶対値で各象限内に印刷することができる。従って、x軸とy軸の負の部分は、ハートの5の座標(5、3)が、デカルト平面で(5、3)、(-5、3)、(5、-3)及び(-5、-3)の位置に決まるようにそれらの絶対値として扱われ、それぞれの絶対値は、座標(5、3)に等しい。
【0035】
各象限にマイクロドット120を印刷することによって、座標系が形成される。任意に検出されたマイクロドット120と隣接する象限内のマイクロドット120との間の距離は、x−y座標の一つを決定するのに利用できる。例えば、
図4において、第一象限(412)内のマイクロドット120は、第二象限(414)内のマイクロドット120から十個間隔が離れている。隣接する象限内の各マイクロドット120が互いに等距離にあることが知られているので、各マイクロドット120は、それぞれY軸430から五個間隔が離れていることが判断でき、それによりx座標は5になる。同様に、第二象限(414)内のマイクロドット120は、第三象限(416)内のマイクロドット120から六個間隔が離れている。それゆえ、各マイクロドット120は、X軸420から三個間隔が離れており、従って、y座標は3であることが判断できる。
【0036】
このように、二つのすぐ隣接する象限内のマイクロドットの他に、単一の象限内のマイクロドット120だけがx−y座標を決定するための必要とされる。上記の例では、第四象限(418)が使用されていない。しかしながら、第四象限内のマイクロドット120を加えることは、冗長性が高くなる。代わりに、単一のマイクロドット120だけを必要とするように、実際のx−y軸などの異なる座標系を使用してもよい。しかしながら、座標系を形成するためには三つ又は四つのマイクロドット120が最も目立たない方法であることが分かっている。
【0037】
しかしながら、
図5などのように、画像化すると、マイクロドット120は傾いて見えることがある。それゆえ、マイクロドット120の考えられうる傾きを考慮してx−y座標を正確に決定するために、以下の式が使用される。
【0038】
【数1】
上記の例示的な式において、各マイクロドット120の大きさは20ピクセルにあらかじめ設定され、一方でX
12、Y
12及びY
23は、
図5の例示的な画像から計算され、193ピクセル、52ピクセル、及び116ピクセルにそれぞれなった。このように、三つの式は、各格子位置間の「測定単位」のサイズを決定するために使用された更なる基準枠として、マイクロドット120の大きさを考慮している。この場合、20ピクセルの大きさのマイクロドットは、Y軸から「測定単位」が5である水平の格子位置になった。より大きい又はより小さいマイクロドット120のサイズによって結果が変わることもありうるので考慮しなければならない。
【0039】
上記においては、デカルト座標系が説明されている。しかしながら、極座標系、円柱座標系、球座標系を含む他の座標系を使用できることも想定されるが、それらに限定されるものではない。
【0040】
別の実施形態において、各マイクロドット120は、座標系以外によって情報を符号化してもよく、また、例えば二進数などを定義するある特定の配列のドットやある特定量のドットを定義することによって解読されてもよい。そのような各ドット120は、コード内における特定の位置や、コードの周囲長、又はコードの向きを定義するために使用されてもよい。例えば、一つ以上のマイクロドット120の配列が使用されてもよい。6×4配列を有する一実施形態において、配列内の24個のそれぞれの位置におけるマイクロドットの有無は、関連する情報を符号化してもよい。そのような配列は任意の所望の大きさであってもよく、また、複数の配列が使用されてもよい。上述の通り、測定は、各ドット120の位置や大きさを判定するために、特定のドット120から他のドット120に対して行われてもよい。
【0041】
ランクやスートだけではなく、カジノ、製造業者、製造日、色、トランプカードの版、トランプカードのシリアル番号、顧客SKU、旧式化期日、又は別の製造の真正コードを含むより多くの情報を符号化してもよいが、それらの情報に限定されるものではない。さらに、付加的な符号化情報は、エラーチェック計算及び前方誤り訂正計算を支援してもよい。上述の通り、マイクロドット120は、カードの空いた空間に位置してもよく、又はデザイン性の中で位置づけられても良く、また、トランプカードの表又は裏に現れてもよい。
【0042】
一実施形態において、 赤外線のタガント物質をトランプカード内に使用してもよい。タガント物質は、特定の形式の検査を受けるときに、ある特定の化学的又は電磁的な署名を放出するように、分子による暗号化の一種として機能することができる。したがって、さまざまな種類の情報は、各カードが検出可能な署名を発するように、赤外線のタガント物質によってカード上に符号化できる。そのような赤外線のタガント物質は、ランク及びスート情報を符号化するしるしとして、マイクロドットと組み合わせて或いはマイクロドットの代わりに使用されてもよく、或は、シュー内にある間にカードを認証するためだけに使用されてもよい。
【0043】
シュー及びゲームコントローラユニット
図6及び
図7は、シュー10のカード吐出部14を示す。一般に、
図6で可視的である内部構造を隠すように、カバーがカード吐出部14の上面に固定される。
図7に示すように、シュー10は、ビュー28の視域内の画像を検出するイメージセンサ24を含む。一実施形態において、640×480ピクセルのCMOSカメラがイメージセンサ24として設けられる。光26は、LED、ストロボ光又は他のあらゆる種類の光でもよく、追加の照明として設けられる。黄色のマイクロドット120が使用される場合、黄色のマイクロドット120に対する残りの画像とのコントラストを高めるために、青色の光源26又は青色フィルター付きの白色光源26を使用することができる。他の色のマイクロドットが使用される場合、異なる光源色を使用して更なるコントラストを提供してもよい。代わりに、ある色のマイクロドット用には特に光色を用いなくてもよい。
【0044】
一実施形態において、シューの電源が入ると、光源26は常に照射する。しかしながら、
図6に示されるような他の実施例では、光源26に必要なときだけ照射させるように、少なくとも第一カードセンサ18、さらに第二カードセンサ20も、トランプカード100の存在を検出した時にストロボトリガーとして作用してもよい。別の実施形態において、第三のカード近接センサが使用されてもよい。そのような構成において、第三のカードセンサは、イメージセンサ24及び光源26を準備させるための事前センサであり、一方で第一センサ18及び第二センサ20は、それぞれイメージセンサ24及び光源26を作動させて画像を取り込ませる。
【0045】
シュー10は、カード取出リミッタを有することができ、カード取出リミッタは、シュー10のカード吐出部14からトランプカード100が取り出されないように、或いは、トランプカード100がシュー10のカード吐出部14から取り出されるべきではないことをディーラーに触知させるために使用できる。カード取り出し表示器は、コントローラによって制御でき、また、カードゲームのルールに従って、或いは、ディーラーによる動作に応じて操作できる。
【0046】
図6を参照すると、カード取出リミッタは、閉じ(持ち上がった)位置と開放(下がった)位置との間で作動可能なカードゲート22になることができる。一実施形態において、その作動は、電磁石によって制御可能である。カードゲート22は、電磁石が係合してカードゲート22が作動するまで閉じ位置にあるようにばね留めすることができる。
【0047】
別の実施形態において、カードゲート22は、回転ミラーによって作動する。回転ミラーは、双方向ミラーになることができ、その際ゲートは、時計回りの回転によって上げられ、反時計回りの回転によって下げられる。
【0048】
一実施形態において、画像システムは少なくとも一つのミラー30を利用して、画像を取り込むにあたり潜望鏡のような効果を提供することができる。
図7に示すように、イメージセンサ24のビュー28の領域は、シュー10の物理的寸法に基づいて、画像ウィンドウ16を通った画像を取り込むことができるように調整されなくてもよい。それゆえミラー30は、トランプカード100の表面上の関心領域110を適切に画像化できるように、画像ウィンドウ16を通ってビュー28の領域を上向きに直すために使用できる。しかしながら、ミラー30のない設計も実行可能である。そのようなミラー30が使用される場合、(1)ミラーの角度、(2)光路、(3)マイクロドット画像の明らかな歪みは、各ドット間の位置や距離を算出する際に考慮されるべきである。
【0049】
画像解像度が640×480ピクセルである撮像装置24によって、約21×16mmの面積が走査される。通常、各マイクロドット120の位置を正確に特定するには9ピクセル(3×3)で十分である。一連の判定基準及び/又はフィルタリングアルゴリズムは、画像内のマイクロドットを分離するために使用される。このフィルタリングアルゴリズムは、画像又は関心領域内の偽の対象物の除去にも役立つ。トランプカードにおけるこれらの偽の対象物の原因は、「地汚れ(scumming)」(印刷中のインクの飛び散り)、カードのほこり又は紙パルプから埋め込まれた繊維のいずれか、または全ての可能性がある。
【0050】
マイクロドット120は、バイナリ・ラージ・オブジェクト「BLOB」検出解析を使用して走査内で位置を特定され得る。BLOB解析は、一般に、画像内の周囲よりも暗い点を検出しようとするものである。各ドットを分離又は識別するのに使用される要素には、(1)(背景の除去に使用される)画像内のピクセル輝度のヒストグラムと、(2)各オブジェクト内のピクセル数と、(3)オブジェクトのアスペクト比が約0.8から1.0の間にあり、すなわちほぼ径方向に均一であること(アスペクト比=y寸法内のピクセル数/x寸法内のピクセル数)と、(4)(カード登録と製作公差に基づく予想に関連する)関心領域内のバイナリ・オブジェクトの位置とが含まれる。一般には、最も大きい四つのオブジェクトが選択されるが、さらに小さいマイクロドット120が使用される場合は、ドットは、周囲の不備点よりも小さくてもよいことが分かっている。さらに、或いは代替的に、マイクロドット120に使用される色とコントラストをなす有色光源26が、上述のようにマイクロドットの位置の特定に役立つように使用されてもよい。
【0051】
上述の通り、シュー10は、ゲームコントローラユニット50に接続される。
図8A及び
図8Bは、例示的なゲームコントローラユニット50の正面及び背面を示している。
図8Aでは、ゲームコントローラユニット50の前面上にディスプレイ画面52が見えている。内部では、データを格納する電子メモリ(不図示)と同様に、シュー(不図示)から受信したデータを処理するために処理装置が設けられている。
【0052】
本明細書に記載されるゲームコントローラユニット50の一実施形態において、ディスプレイ画面52は、GUIメニューとゲーム結果を表示する広い面積を提供する5インチ×3インチのタッチスクリーン52(抵抗膜方式タッチスクリーン又は静電容量方式タッチスクリーンでもよい)である。GUIディスプレイ52は、カラーであってもよく、カジノ用にカスタマイズでき、また、ユーザ個人用に設定できる。画面52は、ディーラーが見やすくなるように、水平面に対してわずかに二十度だけ傾けることができ、また、それによりカジノの天井に備え付けられた複数の(監視用)カメラにも十分な視界を提供する。グラフィカルユーザインタフェース(GUI)は、ユーザがなじみのある言語で装置と対話できるように構成又はプログラムされてもよい。システムがいかなる所望の言語でも表示できるようにプログラミングすることが可能である。
【0053】
図8Bに示すように、ゲームコントローラユニット50は、USBポート58、電源用DC−INポート62、卓上照明ポート60、及びイーサネットポート56を含む、さまざまな入力/出力ポートも有する。電源スイッチ54も示されている。電源は、イーサネットポート56を経由し、DC−INポート62を通ってゲームコントローラユニット50に供給されても、或いは他のいかなる適切な手段によって供給されてもよい。尚、USBポートは、ゲームコントローラユニット50をシュー10に、又は更なるゲームディスプレイに、或いは必要に応じて他の電気機器に接続するために使用できる。さらに、ゲームコントローラユニット50のファームウェア又はソフトウェアに対する必要な更新やアップグレードは、例えば、USBスティックの使用により実現できる。機器の製造業者は、必要なアップグレードとともにジャンプドライブ(USBスティック)をカジノに発送する。カジノ又は機器管理者は、ゲームコントローラの背面にあるUSBポート58にUSBスティックを差し込む。セキュリティのためのユーザ認証時に、必要なアップグレードは自動的に機器に読み込まれる。これにより、休止時間なく、又は最小限の休止時間で、製造業者と顧客の両方の人件費を削減しつつ、機器の保守の効率化を図ることができる。メモリースティックなどの他の携帯型記憶媒体を代わりに使用することもできる。
【0054】
カジノテーブルのゲームにおけるトランプカードの分配は、ほとんど手操作であり、それゆえ間違いが起こりやすい。本発明は、こうした考えられうる間違いを最小限にし、或いは幾つかを解消するために、上記の機械式カードゲート22を有している。ゲームコントローラユニット50は、ゲームの進行とシュー10から引かれる各カードの値の特定に基づいてカードゲート22の機能性を制御する。主に、カードゲート22は、ゲーム結果が決定した後でも、シュー10からカードが不注意に引き抜かれないようにする。いわゆるカードの引き過ぎは、ゲームテーブルではよくある間違いであり、テーブルでのゲームの進行を不必要に混乱させうる。ゲームコントローラユニット50は、さらに、テーブルで行われるゲームがコミッションバカラの場合、ディーラーにコミッションを回収させることも再認識させる。上記の特徴はいずれも、
図11に関連して以下に詳細に述べる。
【0055】
一実施形態において、カードゲート22は、初めに閉じ位置に配置される。これが初期位置である。カードゲート22が開放位置に動こうとする場合、ゲームコントローラユニット50は、トリガーを電磁石に送る。電磁石は、次にカードゲート22を開放位置に引き下ろし、トランプカード100がシュー10から引き抜かれるようにする。カードゲート22は、シュー10のノーズ14のいずれかの側に配置される小型の金属片であり、面板で覆われるように位置付けられる。カードゲート22の動作中のあらゆる音を防止するために減衰装置を使用でき、それによりカードゲートの動作がゲームテーブルのプレーヤーを妨害しないように、又は不要な利益を与えないようにする。
【0056】
別の実施形態において、カードゲート22は、初めに閉じ位置に配置される。これが初期位置である。カードゲート22が開放位置に動こうとする場合、ゲームコントローラユニット50は、トリガーを回転ミラーに送る。回転ミラーは、反時計回りに回転して、カードゲート22を開放位置に下げて、トランプカード100がシュー10から引き抜かれるようにする。カードゲートを上げるためには、ゲームコントローラユニットは、トリガー信号を回転ミラーには送らず、回転ミラーは時計回りに回転し、ゲートを上げる。
【0057】
上記において、コントローラ50は、ケーブル40によってシュー10に接続していると説明されている。しかしながら、コントローラ50は、シュー10自体に一体化されてもよく、或いはシュー50自体に取り外し可能に取り付けできることも考えられる。また、コントローラ50をシューに無線で接続できることも考えられる。
【0058】
稼働中のシステム
図9は、例示的なカードバーン(card burn)手順900のフローチャートであり、カードゲート22の一使用法を示している。ステップ902において、シューの電源が入り、ステップ904で、カードゲートはカードが引かれないように上がっている。ステップ906において、ピットボス又はディーラーのいずれかのユーザは、ユーザ名とパスワード、親指の指紋、又は他の一意識別子のいずれかによって、シューを利用する権限を認証する。ステップ908において、認証チェックが行われ、チェックが失敗すると、ステップ910でアラームが起動する。認証が成功したと仮定すると、ゲームコントローラユニットはステップ914に進み、ゲームの前にカードが「捨てられ(バーンされ)」又は処分される。一般に、カードを捨てる手順には、自動で捨てる(ステップ916)、手動で捨てる(ステップ932)又は捨てない(ステップ942)の三つの選択肢がある。自動で捨てる場合(ステップ916)、ステップ918でカードゲートは作動し、カードが引かれるように下がり、ステップ920で一枚目のカードが引かれる。シューは、ステップ922でカード上にあるマイクロドットによってカード(「N」)のランクを読み取り、次にゲームコントローラユニットは、ステップ924でN枚のカードが引かれて「捨てられる(バーンされる)」間、カードゲートを開放したままにしておく。一度N枚のカードが引かれると、ゲームコントローラユニットは、それ以上のカードが引かれないようにステップ926でカードゲートを閉める。ステップ928において、システムはその後プレーできる状態になり、ステップ930で、ボタンを押してゲームを開始する。
【0059】
代わりに、手動で捨てることによって(ステップ932)、ゲームコントローラユニットは、ステップ934でカードゲートを作動してゲートを下げ、その時点で、カジノの手順に基づき、ステップ936において所定の枚数のカードが引かれて「捨てられる」。所定の枚数のカードが捨てられたことを一度ゲームコントローラユニットが判断すると、カードゲートはステップ938で閉じ、それ以上のカードが引かれないようにする。ステップ940において、システムはプレーできる状態になり、ボタンを押してゲームを開始する。カードを捨てない場合(ステップ942)、システムはステップ944ですぐにプレーできる状態になり、ステップ946でボタンを押してゲームを開始する。
【0060】
当然のことながら、カードゲート22は、カード100を適切に引くことを確実にする重要な役割を担っている。しかしながら、各マイクロドット120の適切な検出及び引かれたカードのランク及びスートの適切な特定というさらに重要な課題がある。上述の通り、マイクロドットパターンは、複数の関心領域110に印刷されてもよく、また、各関心領域110は冗長化用に画像化されてもよい。そのような冗長化を実現するために(
図6に関連して説明したように)、シュー10は、第一カードセンサ18及び第二カードセンサ20の両方を備えていてもよく、各カードセンサは、それぞれ個別にトランプカード100の画像化を行うことができ、必要に応じて光源26を点灯させることができる。
図10は、関心領域110の冗長画像化の例示的な手順1000のフローチャートを示している。
【0061】
ステップ1002において、カードが引かれる。ステップ1004において、第一カードセンサは、シューからカードが引かれた時にカードを感知し、ステップ1006で撮像装置に一連の画像を撮影させる。ステップ1008において、第二カードセンサは、カードが更にシューから引かれる時にカードを感知し、ステップ1010で撮像装置に別の一連の画像を撮影させる。ステップ1012において、各画像はゲームコントローラユニットに転送される。
【0062】
ステップ1014では、ゲームコントローラユニットは、第一の一連の画像から第一の画像を選択し、ステップ1016で各マイクロドットの配列を特定するために適切なフィルターを適用する。ステップ1018において、マイクロドットの配列が検出されたかどうかの判定が下される。ステップ1020で各マイクロドットが検出されない場合、ゲームコントローラユニットは、当該画像を処分し、ステップ1022で第一の一連の画像から次の画像を選択し、フィルターを適用するために次の画像とともにステップ1016に戻る。この手順は、ステップ1024で各マイクロドットが検出されるまで繰り返される。一度各マイクロドットが検出されると、画像解析及び復号アルゴリズムがステップ1026で適用され、カードのランク及びスートがステップ1028で特定される。
【0063】
次に、ステップ1030において、ゲームコントローラユニットは、第二の一連の画像から第一の画像を選択し、ステップ1032で各マイクロドットの位置を特定するために適切なフィルターを適用する。ステップ1034において、各マイクロドットが検出されたかどうかの判定が下される。ステップ1036で各マイクロドットが検出されなかった場合、ゲームコントローラユニットは、当該画像を処分し、ステップ1038で第二の一連の画像から次の画像を選択し、フィルターを適用するために次の画像とともにステップ1032に戻る。この手順は、ステップ1040で各マイクロドットが検出されるまで繰り返される。一度各マイクロドットが検出されると、ステップ1042で画像解析及び復号アルゴリズムが適用され、ステップ1044でカードのランク及びスートが特定される。
【0064】
ステップ1046では、第一の一連の画像から特定されたカードのランク及びスート情報が、第二の一連の画像から特定された情報と一致するかどうかに関して判定が下される。ステップ1048で、該二組の一連の画像からの情報が一致しない場合、ステップ1050でカード読み取りエラーが返送される。しかしながら、ステップ1052で当該情報が一致する場合、ゲームコントローラユニットは、ステップ1054でカードの値が正確に解読されたと判断する。
【0065】
図12A及び12Bは、本発明の代替的な実施形態を示すフローチャートを含んでおり、そこでは、各関心領域110の画像処理は冗長化される必要はなく、カードの逆戻りが監視される。
図12Aのプロセスは、
図10Aに関連して上述したプロセスと同様に開始する。ステップ1202において、カードがシューから引き抜かれることから始まる。ステップ1204において、第一カードセンサがカードの存在を検出し、ステップ1206でイメージセンサに第一の一連の画像を撮影させる。ステップ1208において、第二カードセンサはカードの存在を検出する。
【0066】
この時点で、二つのプロセスが同時に進行する。第一に、シューは、カードの逆戻りがないかどうかを監視される。この監視プロセスは、カードがシューから引かれる間、継続的に行うことができる。実際には、ステップ1210で第一カードセンサがもはやカードを検出しなくなった場合、ステップ1212において、カードの取出しは継続していないこと(すなわち、カードは、第一カードセンサを完全に通過した地点までシューから引き抜かれたこと)を示す信号がゲームコントローラユニットに送信される。しかしながら、第一センサがその後ステップ1214で再びカードの存在を検出し、それと同時に第二センサがカードの存在を未だに示す場合(すなわち、カードが永遠にシューから完全に引き抜かれず、シューに戻っている場合)、ステップ1216でアラームが作動してカードの逆戻りを知らせる。そのような状況は、ディーラーがカードをシューから引き始めて、その後カードをシューに不適切に戻そうとしたときに起こり得る。これは、詐欺(すなわち、ディーラーが、プレー用のカードを実際に引く前に、テーブルでプレーしている共犯者にカードの値を見せようとしていること)を示唆しうるので、ゲームをステップ1218で中断させる。
【0067】
カードの逆戻りエラーは、第一及び第二カードセンサがカードの存在を示さなくなった(カードはシューから完全に取り出されたことを示唆している)後、第一カードセンサがカードの存在を検出する前に第二カードセンサがカードの存在を検出し始める場合にも起こり得る。そのような一連の事柄は、引き出されたカードがシュー内に戻されていることを示唆し、カードの逆戻りの問題を同様に引き起こすと思われる。反対に、一度第一及び第二カードセンサが、カードが存在することを示さなくなると、第一カードセンサは、その後問題なくカードの存在を検出できる。これは、新しいカードがシューから引き出されていることを単に示唆している。従って、第二カードセンサは、全てのカードの排出と、カード取出し処理の完了を知らせることができる。
【0068】
上述したカードの逆戻り監視プロセスと同時に、ステップ1220において、イメージセンサは、第二カードセンサがステップ1208でカードの存在を検出したことから、第二の一連の画像を撮影する。各画像は、ステップ1222でゲームコントローラユニットに転送される。ステップ1224において、第一の一連の画像からの第一画像が選択され、画像を分析するために、ステップ1226でフィルターが適用される。ステップ1228において、各マイクロドットが画像内に検出されたかどうかを決定するチェックが行われる。ステップ1230で各マイクロドットが検出されると、ステップ1232(
図12B参照)で画像解析技術及び復号アルゴリズムが画像に適用される。それにより、カードのランク及びスート情報は、第二の一連の画像を参照する必要なく、ステップ1234及びステップ1236において第一の一連の画像から特定することができる。
【0069】
各マイクロドットがステップ1238(
図12A参照)で検出されない場合、ステップ1240で、第一の一連の画像からまだ分析されていない残りの画像があるかどうかを判断するチェックが行われる。ステップ1242で、第一の一連の画像から少なくとも一つの追加画像がある場合、ゲームコントローラユニットはステップ1244で次の画像に移り、プロセスはステップ1226に戻って次の画像の分析のためにフィルターを適用する。
【0070】
しかしながら、ステップ1246で第一の一連の画像からの残りの画像がない場合、処理はステップ1248で第二の一連の画像内の第一の画像に移る(
図12Bを参照)。ステップ1250において、フィルターが画像に適用され、ステップ1252で、各マイクロドットが検出されたかどうかを判定するチェックが行われる。各マイクロドットがステップ1254で検出されると、ステップ1256で画像解析技術及び復号アルゴリズムが画像に適用される。それにより、カードのランク及びスート情報は、第一の一連の画像から読み取れる正常なマイクロドットがないにもかかわらず、ステップ1258及びステップ1260で第二の一連の画像から特定できる。
【0071】
各マイクロドットがステップ1262で検出されない場合、第二の一連の画像からまだ分析していない残りの画像があるかどうかを判断するチェックがステップ1264で行われる。ステップ1266で第二の一連の画像から少なくとも一つの追加画像がある場合、ゲームコントローラユニットは、ステップ1268で次の画像に移り、プロセスはステップ1250に戻って次の画像の分析のためにフィルターを適用する。
【0072】
しかしながら、ステップ1270で第二の一連の画像から残りの画像がない場合、カード読み取りエラーがステップ1272で発生する。実際には、
図12A及び12Bに示す実施形態において、第二の一連の画像は、一組のマイクロドットの位置を第一の一連の画像のいずれにおいても特定できない場合に分析されるだけである。それゆえ、ステップ1270において、第二の一連の画像内に分析する画像がこれ以上ない場合、分析する画像がこれ以上全くないこととなる。従って、カード読み取りエラーによりステップ1274でアラームが作動し、ゲームはステップ1276で中断する。しかしながら、一連の画像は何度撮影されてもよく、その場合、
図12A及び12Bに示す方法がそうした追加の一連の画像の分析を進行し得ることに留意する。
【0073】
図11は、インテリジェントテーブルゲームシステム1の全体の機能を示す例示的なバカラゲーム1100のフローチャートを含んでいる。ステップ1102において、ボタンを押してゲームを開始し、その時点でゲームコントローラユニットはカードゲートを起動して、ステップ1104でプレー用にゲートを開放する。ステップ1106、ステップ1108、ステップ1110、及びステップ1112では、ディーラーは、プレーヤーに一枚目のカードを配り、バンカーに一枚目のカードを配り、プレーヤーに二枚目のカードを配り、そしてバンカーに二枚目のカードをそれぞれ配る。各カードが配られると、シューは、各カードの少なくとも一つの関心領域を画像化し、ゲームコントローラユニットは、そのようなカードのそれぞれのランク及びスートを特定する。配られたカードの既知のランクに基づき、ゲームコントローラユニットは、バカラの通常のルールに従って、ステップ1114でゲームの勝敗を決定できるかどうかを判断する。ステップ1116で、ゲームの結果が決定できる場合、ゲームコントローラユニットは、ステップ1118で、これ以上カードが引かれないようにカードゲートを閉鎖させる。これによって、ディーラーが誤って別の見方をしている場合でも、ディーラーにゲームが終了したことを知らせる機能を果たすことができる。つまりは、ディーラーが別のカードに手を伸ばしているときに、シューによってそのカードが引かれないようにする。ステップ1120で、一度ディーラーが結果を表示するためにボタンを押すと、ゲームコントローラユニットは、ステップ1122でコミッションが回収されるかどうかを決定する。もしそうであれば、ステップ1124において、コミッションが回収され、ディーラーはステップ1126でボタンを押して結果を再び表示させる。これによってゲームもリセットされ、次の勝負用にシューを準備し、ゲームコントローラユニットは、それによりステップ1128でカードゲートを開放する。コミッションがステップ1130で回収されない場合、ゲームコントローラユニットは、ステップ1132で同様にカードゲートを開放して次の勝負に備える。
【0074】
ステップ1114において、もしゲームの勝敗がまだ決定できないならば(ステップ1134)、三枚目のカードがプレーヤーに配られ、該カードのランクがゲームコントローラユニットによって特定される。配られたカードの既知のランクに基づき、ゲームコントローラユニットは、バカラの通常のルールに従って、ステップ1138でゲームの勝敗を決定できたかどうかを再び判断する。もしゲームの結果がステップ1140で決定されるならば、ゲームコントローラユニットは、これ以上カードが配られないようにステップ1142でカードゲートを閉鎖させる。これにより、ディーラーが誤って別の見方をしている場合でも、ディーラーにゲームが終了したことを知らせる機能を再び果たすことができる。ステップ1144で一度ディーラーが結果を表示するためにボタンを押すと、ゲームコントローラユニットは、ステップ1146でコミッションが回収されるかどうかを判断する。もしそうであれば、コミッションが回収され、ディーラーはステップ1152でボタンを押して結果を再び表示させる。これによりゲームもリセットされ、次の勝負用にシューを準備し、それによりゲームコントローラユニットは、ステップ1154でカードゲートを開放する。
【0075】
ステップ1138において、もしゲームの勝敗がまだ決定できないならば(ステップ1156)、ステップ1158で三枚目のカードがバンカーに配られ、ゲームコントローラユニットによって該カードのランクが特定される。配られたカードの既知のランクに基づき、ゲームコントローラユニットは、バカラの通常のルールに従って、ゲームの結果を再び判定する。次にゲームコントローラユニットは、これ以上カードが配られないように、カードゲートを閉鎖させる。これにより、ディーラーが誤って別の見方をしている場合でも、ディーラーにゲームが終了したことを気づかせる機能を再び果たすことができる。ステップ1160で一度ディーラーが結果を表示するためにボタンを押すと、ゲームコントローラユニットは、ステップ1162でコミッションが回収されるかどうかを判断する。もしそうであれば、コミッションが回収され、ディーラーはステップ1168でボタンを押して結果を再び表示させる。これによりゲームもリセットされ、次の勝負用にシューを準備し、それによりゲームコントローラユニットは、ステップ1170でカードゲートを開放する。ステップ1164においてコミッションが回収されない場合、ゲームコントローラユニットは、同様にステップ1166でカードゲートを開放して次の勝負に備える。
【0076】
上述の実施形態において、カードゲートは、ゲームのルールによって自動的に制御される。上述のように、ゲームの結果が決定するとき、ゲームコントローラユニットは、各ステップでこれ以上カードが引かれないように、カードゲートを閉鎖する。これにより、ディーラーが誤って別の見方をしている場合でも、ディーラーにゲームが終了したことを知らせる機能を果たすことができる。つまりは、ディーラーが別のカードに手を伸ばしているときに、シューによってそのカードが引かれないようにする。代わりに、カードゲートは、ディーラーの動作によって制御することもできる。ゲームの結果が決定した場合、ゲームコントローラユニットは、ゲームが終了したことに気付く。結果が決定した後でもしディーラーがカードを引こうとすると、ゲームコントローラは、カードゲートを上げる信号を送信し、これ以上カードが取り出されないようにする。一度ディーラーがステップ1144でボタンを押して結果を表示させると、ゲームコントローラユニットはゲームをリセットし、上がっていたカードゲートを下げる。
【0077】
図13A及び
図13Bで示すようなカード取出リミッタの別の実施形態においては、カード移動面1320を有するカード吐出部1314を備えるシュー1300は、カード100をシュー1300からより取り出し難くしつつも取り出しを阻止するものではないカード引き困難化機構を含んでいてもよい。そのような付加的な抵抗力は、カード100をカード吐出部1314から取り出す際の摩擦を増大させることによって形成され得る。一般に、カードを取り出すために必要となる通常の引張力は、約120グラムから180グラムの間である。好適な実施形態において、カード引きに関連する摩擦を増大させることによって、約400グラムから600グラムの間の引張力が必要となる。
【0078】
例えば、
図13A及び
図13Bに示すように、摩擦パッド1330は、カード吐出部1314上に位置付けられる。摩擦パッド1330は、ゴム又は同様の物資などの比較的高い摩擦係数を有する物質で構成され得る。
図13Bに示すように、摩擦パッド1330は、カード吐出部1314のカード移動面1320からわずかに上方に延在し、カードがシュー1300から引かれるときにカード100が通る経路内にある。しかしながら、摩擦パッド1330は、カード吐出部1314のカード移動面1320から上方に延在しない(又は一部分だけ延在する)位置に格納可能である。そのような位置では、摩擦パッド1330は、カード100がシュー1300のカード吐出部1314から取り出されることを妨害しない(又は最小限に妨害する)。
【0079】
図13Bに示すように、摩擦パッド1330は、カード100がシュー1300から引かれるときに、カード移動面1320の下に容易に押し下げられる(引込まれる)ように、その上方の位置に偏らせることができる。このような構成によれば、摩擦パッド1330は、カード100の取り出しを物質的に妨害しない。しかしながら、一実施形態においては、回転式ソレノイド1340がカード吐出部1314内に配置され、摩擦パッド1330と回転可能に係合し、摩擦パッド1330が格納されないようにする。具体的には、回転式ソレノイド1340は、摩擦パッド1330と関連付けられたスロット1335と係合及び脱係合しながら回転するロックアーム1345を有していてもよい。ロックアーム1345がスロット1335と係合して回転する場合、摩擦パッド1330は、カード移動面1320上に延在している位置にロックされ、カード100がシュー1300か引き抜かれるときの摩擦を高める。しかしながら、ロックアーム1345がスロット1335から脱係合して回転するとき、 摩擦パッド1330は、カード移動面1320の下に容易に移動可能であり、実質的に妨げることなくカード100をシュー1300から取り出すことができる。
【0080】
摩擦パッド1330を所定の位置にロックするために他の構造を使用してもよいことが分かる。代わりに、摩擦パッド1300をシュー1300のカード移動面1320の下の引き込み位置に向かって偏らせてもよい。このような実施形態において、必要がある場合のみ、摩擦パッド1330をカード移動面1320の上に選択的に持ち上げるために、機構(回転式ソレノイド1340を含むがそれに限定されるわけではない)を使用してもよい。
【0081】
図14Aから
図14Eは、カード100をシューから引く際の摩擦の増大に使用できる機構の代替的な実施形態を示している。
図14Aでは、上述した摩擦パッド1330の代わりに、摩擦ローラ1405をカード移動面1320に恒久的に配置している。ローラ1405は、上述のように、比較的高い摩擦係数を有する物質から構成することができる。通常の動作では、ローラがその長手軸に沿って回転できるようになっているため、カード100の引き抜きは、ローラ1405によって妨害されない。しかしながら、上述のように、ローラ1405は、回転しないように固定されてもよく、その時点でカード100をローラ1405上で引くと、増大した摩擦を受けるであろう。
【0082】
図14Bに示す別の実施形態において、ローラ1405は、ベルト1415によって電気クラッチ1410に接続されてもよい。クラッチ1410は、伝動装置或いは他の機構によってローラ1405に接続され得ることが理解されるであろう。
図14Aと同様に、カード引きが適切な場合は、ローラ1405は自由に回転できる。しかしながら、以下にさらに説明されるように、クラッチ1410は、カード引きが適切ではないときに係合し、ローラ1405を自由に回転させないようにする。その結果は、
図14Aに関連して上述した結果と同様である。
図14Cも同様にローラ1405とベルト1415を含む。しかしながら、ベルト1415の他端において、クラッチ1410の代わりに電動機1420が存在している。電動機1420は、カード引きが適切な場合にディーラーを補助するようにローラ1405を回転させてもよいが、カード引きが適切でない場合は、ローラ1405を回転させないように固定してもよい(又はローラ1405を逆方向に回転させてもよい)。これらの実施形態のどちらにおいても、ローラ1405が停止している(又は反対方向に回転している)間は、増大した摩擦によってカードが引きにくくなるであろう。
【0083】
図14Dは、カード100が引かれるときに、二重ローラ(dual rollers)1425がカード100の上に配置される別の実施形態を示している。二重ローラ1425は、上述のように、一つ以上の電動機1420に接続されてもよく、それによってカード引きが適切でないときに二重ローラ1425が回転しないようにできる。このような二重ローラ1425の無動作(又はローラの反転)が、カードの引き抜きに関連した摩擦を増大させる。電動機1420は、二重ローラ1425を回転させても、或いはカード引きが適切なときにディーラーを補助するように二重ローラ1425を自発的に回転させるようにしてもよい。
【0084】
図14Eは、カード引きに関連する摩擦を増大させるためのさらに別の実施形態を示し、カードが引かれるときに複数の摩擦アーム1430がカード100の上に延在している。摩擦アーム1430は、カード引きに関連する摩擦を増大させるために、カード100と接触し得る摩擦パッド1435を有していてもよい。摩擦アーム1430の動作は、摩擦アーム1430がそこを通って延在する各スロット1440によって案内され得る。操作中、カード引きが適切であるとき、摩擦アーム1430は、トランプカード100と接触しない位置に移動する。カード引きが適切でないときは、カードが引かれる際に摩擦パッド1435がカード100と接触するように摩擦アーム1430を移動させる。当業者が理解しうるように、摩擦アーム1430は、モータ及び関連する伝動装置によって作動してもよい。
【0085】
カード引きの困難性を高めることは、ディーラーに対してあるゲーム内の状況が出現したことの合図に、或いは、次のカードを引く前にディーラーに何らかの行動をとるように注意を促す役割に利用できる。例えば、勝ち手などのゲーム内状況が検知されてもよく、次のカード引きをより困難にさせる機構が作動する。これによって、現在のゲームを終了させるべきであり、次のカードを引くことが不適切であるという事実をディーラーに警告することになる。カード引きの困難化は、可聴式及び/又は他の触感信号と組み合わせてもよい。機構は、シュー内に組み込まれた制御装置によって制御されてもよく、或いは、遠隔制御されてもよい。さらに、機構は、賭け金の回収、賭け金の配置の確認等をディーラーに気付かせるように従事してもよい。
【0086】
代わりに、カード引きの困難化は、ゲーム状況/結果ロジック以外のロジックに縛られてもよい。例えば、シュー内のカードは、認証されていないカードであることを検知されてもよい。シューは、起こり得る問題又は不正行為の企てをディーラーに目立たないように警告するように、そのようなカードを引くことを通常よりもさらに困難にさせることができる。別の実施例では、シューに残っているカードの数が減少するにつれて、ある時点でシューにカードを再装填することが必要となる。カード引き困難化機構は、シューに残っているカードの数を監視する装置と通信を行ってもよく、また、一度残りのカードの数が所定の最小閾値に到達すると、カード引きをより困難にさせてもよい。従って、ディーラーは、突然カード引きが困難になったことによって、追加カードを合図する及び/又はシューに補充するように促されるであろう。
【0087】
シュー内の最後のカードが迫ってきていることを検知するために、標準カットカードに加えて或いは標準カットカードの代わりに、仮想カットカードを採用してもよい。もし仮想カットカードが物理的に存在しているのならば、例えば、仮想カットカードがシューの前面に到達したことを示す所定の条件に基づいて、仮想カットカードを「検知」してもよい。例えば、当該所定の条件は、シューから配られたカードの数に基づいてもよく、又は、シュー内に残っているカードの量に基づいても、或いはシュー内での最後のカードの位置に基づいてもよい。従って、実際のカットカードが存在するわけではなく、「仮想カットカード」という用語は、デッキ内のある特定の場所を単に示しているだけである。
【0088】
例えば、実際のカットカードに関連して仮想カットカードを使用する場合、仮想カットカードは、実際のカットカードよりもかなり早い段階に「位置付けられ」てもよい。仮想カットカードが検出されると、カード引きの困難性を高める機構及び/又はカード引きを妨害するカードゲートが作動する。これによって、更なるカードが差し迫って必要である(自動的に起こるであろう)ことをピットボスに通知すべきであるという事実をディーラーに警告する。このようにして、ピットボスには、新しいカードをテーブルに復旧・納入する付加的な時間が与えられる。理想的には、実際のカットカードに遭遇するとほぼ同時に、ピットボスが新しいカードを持って到着することであり、それにより大幅な休止時間なくシューを補充することができる。
【0089】
代替的に、仮想カットカードは、実際のカットカードの代わりに使用されてもよく、また、カード引きをより困難又は不可能にさせることによって、シューを即座に補充する必要があることをディーラーに警告してもよい。実際のカットカードを取り除くことによって、ディーラーは、テーブルにいるプレーヤーのうちの一人にカットカードをデッキ内に置かせるという標準的な手順を踏む必要はない。これにより時間を節約し、プレーヤーがカードに干渉する機会をなくすことでセキュリティを強化する。さらに、仮想カットカードは、可視的なものではなく、また、プレーヤーには見えない状態でデッキ内に無作為に「配置」させることが可能である。それゆえ、状況次第では、プレーヤーがカードをカウントするのはさらに困難になるであろう。
【0090】
図15は、仮想カットカードに関連するバカラゲーム中に採用し得る例示的な方法1500を示すフローチャートである。該方法は、開始すると、ステップ1505で仮想カットカードが検出されたかどうかについて確認が行われる。もし検出されない場合、確認は、仮想カットカードが検出されるまで繰り返される。一度仮想カットカードが検出されると、仮想カットカードがひと勝負の最中に検出されたかどうかについてステップ1510で確認が行われる。もしその勝負が未だに継続中である場合、ステップ1515で、その勝負を進行する前に終了させることができる。一度前回の勝負が終了すると、ステップ1520で、前回の勝負がプレーヤーの勝利又はバンカーの勝利であったかどうかについて確認が行われる。プレーヤー又はバンカーが前回の勝負で勝った場合、ステップ1525で、カード引きをより困難化する機構及び/又はカードゲートを作動させる。これによってシュー内の一組のカードの終了が近づいてきていることをディーラーに知らせ、ステップ1530でシューは補充され、該方法は終了する。しかしながら、ステップ1520で、前回のゲームは引き分けに終わった場合、最終ゲームの勝敗にかかわらず、ステップ1535でもうひと勝負だけ行われる。一度最終ゲームがステップ1535で行われると、カード引きをより困難化する機構及び/又はカードゲートをステップ1540で作動させる。これによってシュー内の一組のカードの終了が近づいてきていることをディーラーに知らせ、ステップ1545でシューは補充されて該方法は終了する。
【0091】
上記の実施形態において、シュー内の一組のカードの終了が近づいてきている時点を判断するために仮想カットカードが使用される。しかしながら、カードシュー10は、カードカウンターを含んでいる可能性があるとも考えられる。カードカウンターは、配られたカードの数を数え、シュー10内の一組のカードの終了が近づいてきていることをディーラーに知らせる。そのような通知があり次第、シューは補充される。
【0092】
インテリジェントテーブルゲームシステムは、前述の記載から理解されるであろうと考えられ、また、本発明の趣旨又は範囲を逸脱せずに、さまざまな変更が各構成要素の形状、構造、及び配置に対して行われること、及び、上述の各実施形態は事実上単に例示的なものであって、本発明の限界を定義する又は上述した事項を超えて範囲を狭めることを意図するものではないことが明らかとなるであろう。
【0093】
しかしながら、本明細書及び添付図面を検討した後、本発明の構造の多くの変更、修正、変形、及び他の使用及び適用が当業者に明らかとなるであろう。本発明の趣旨又は範囲から逸脱しないそのような全ての変更、修正、変形、及び他の使用及び適用は、以下の請求項によってのみ制限される本発明によって包含されると見なされる。本開示の範囲は本明細書に示される実施形態に限定されるものではないが、各請求項と一致する全ての範囲に認められ、単一の構成要素の言及は、具体的にそのように述べられていない限り「一つ及びたった一つ」を意味するものではなく、むしろ「一つ以上」を意味する。当業者に既知又は後に知られることになる、本開示を通じて記載されたさまざまな実施形態の各構成要素と構造上及び機能上の同等物は全て、参照により本明細書に明確に援用され、以下の各請求項によって包含されることを意図している。