(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6091539
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】スタックフィルターとそれを含むイメージセンサー
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20170227BHJP
H01L 27/14 20060101ALI20170227BHJP
G02B 5/22 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
G02B5/20 101
H01L27/14 D
G02B5/22
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-51668(P2015-51668)
(22)【出願日】2015年3月16日
(65)【公開番号】特開2016-75886(P2016-75886A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2015年3月16日
(31)【優先権主張番号】14/507,339
(32)【優先日】2014年10月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507296388
【氏名又は名称】采▲ぎょく▼科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】VisEra Technologies Company Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100105946
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 富彦
(72)【発明者】
【氏名】王 唯科
【審査官】
中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−137728(JP,A)
【文献】
特開平10−065135(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/159651(WO,A1)
【文献】
特開2006−010764(JP,A)
【文献】
特開2005−184690(JP,A)
【文献】
特開2005−006066(JP,A)
【文献】
特開2012−209913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
G02B 5/22
H01L 27/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線(IR)画素を含むイメージセンサーのスタックフィルターであって、
前記IR画素に設置され、第一バンドの波長を有する光線を通過させる第一フィルター層と、
前記第一フィルター層とスタックされ、第二バンドの波長を有する光線を通過させる第二フィルター層と、
を有し、
前記第二バンドの一部は、前記第一バンドより低く、前記第一バンドは、第三バンドで、部分的に、前記第二バンドと重複し、 前記第三バンドが、前記第一バンドと前記第二バンドより狭く、前記スタックフィルターが、前記第三バンドの前記波長を有する光線を通過させ、前記第一と第二フィルター層が結合されて、二層スタックの吸収型フィルタを形成することを特徴とするスタックフィルター。
【請求項2】
前記第一フィルター層を通過する前記光線は、第一波長で、透過率が50%であり、前記第二フィルター層を通過する前記光線は、第二波長で、透過率が50%であり、前記第一波長は、前記第二波長より低いことを特徴とする請求項1に記載のスタックフィルター。
【請求項3】
前記第一フィルター層は赤外線(IR)パスフィルター、前記第二フィルター層は部分的IRカットオフフィルターであり、前記IRパスフィルターは、前記IRバンドの波長を有するIR光を通過させ、前記イメージセンサーが半導体基板上に形成され、前記イメージセンサーは、特定バンドの波長を有するIR光を物体に照射する光源ユニットを有し、前記部分的IRカットオフフィルターは、第三波長から第四波長のカットオフ領域を有し、前記第三波長は、前記光源ユニットの前記IR光の前記特定バンドの前記波長プラス10nm 〜 50nmで、前記第四波長は、前記半導体基板の吸収帯の最長波長であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスタックフィルター。
【請求項4】
前記第一フィルター層の前記第一バンドの前記波長は、800nm 〜 1200nm、前記第二フィルター層の前記第二バンドの前記波長は、400nm 〜 900nm、および、前記スタックフィルターの前記第三バンドの前記波長は、800nm 〜900nmであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のスタックフィルター。
【請求項5】
前記第二フィルター層が、前記第一フィルター層下方に設置されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のスタックフィルター。
【請求項6】
赤色(R)画素、緑色(G)画素、青色(B)画素 、および、赤外線(IR)画素と、
それぞれ、前記R、G、および、B画素に設置されるR、G、および、Bフィルターと、
前記R、G、および、Bフィルターとスタックされ、特定波長を有する少なくともIR光を遮蔽するIRフィルターと、
前記IR画素に設置されるスタックフィルターと、
を有し、
前記スタックフィルターは、
第一バンドの波長を有する光線を通過させる第一フィルター層と、
前記第一フィルター層とスタックされ、第二バンドの波長を有する光線を通過させる第二フィルター層と、
を有し、
前記第二バンドの一部は、前記第一バンドより低く、前記第一バンドは、第三バンドで、部分的に、前記第二バンドと重複し、前記第三バンドは、前記第一バンドと前記第二バンドより狭く、前記スタックフィルターが、前記第三バンドの前記波長を有する光線を通過させることを特徴とするイメージセンサー。
【請求項7】
さらに、特定バンドの波長を有するIR光を物体に照射する光源ユニットを有し、前記スタックフィルターの前記第三バンドの前記波長は、前記光源ユニットの前記IR光の前記特定バンドの前記波長と一致することを特徴とする請求項6に記載のイメージセンサー。
【請求項8】
さらに、複数のフォトダイオードを含む半導体基板を有し、前記半導体基板は吸収帯を有し、前記第一フィルター層はIRパスフィルターであり、前記IRパスフィルターは、800nm 〜1200nm の波長を有するIR光を通過させ、前記第二フィルター層は、部分的IRカットオフフィルターであり、前記部分的IRカットオフフィルターは、第三波長から第四波長のカットオフ領域を有し、前記第三波長は、前記光源ユニットの前記IR光の前記特定バンドの前記波長のプラス10nm〜50nmであり、前記第四波長は、前記半導体基板の前記吸収帯の最長波長であることを特徴とする請求項7に記載のイメージセンサー。
【請求項9】
前記IRフィルターは、選択的なIRフィルターを有し、前記選択的なIRフィルターは、特定波長のIR光を遮蔽し、前記選択的なIRフィルターにより遮蔽する前記IR光の前記特定波長は、前記光源ユニットの前記IR光の前記特定バンドの前記波長と一致することを特徴とする請求項7または請求項8に記載のイメージセンサー。
【請求項10】
前記R、G、および、Bフィルターは、前記IRフィルター上方、または、下方に設置されることを特徴とする請求項6から9のいずれかに記載のイメージセンサー。
【請求項11】
前記第一フィルター層を通過する前記光線は、第一波長で、透過率が50% であり、前記第二フィルター層を通過する前記光線は、第二波長で、透過率が50% であり、前記第一波長は、前記第二波長より低いことを特徴とする請求項6から10のいずれかに記載のイメージセンサー。
【請求項12】
前記第一と第二フィルター層が結合されて、二層スタックの吸収型フィルターを形成することを特徴とする請求項6から11のいずれかに記載のイメージセンサー。
【請求項13】
前記第二フィルター層は、前記第一フィルター層上方、または、下方に設置されることを特徴とする請求項6から12のいずれかに記載のイメージセンサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタックフィルターに関するものであって、特に、飛行時間型(ToF)技術アプリケーションにおける赤外線(IR)画素と赤色(R)、緑色(G)、および、青色(B)画素を単一センサーに整合したイメージセンサーのスタックフィルターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、飛行時間型(ToF)技術は、広く、近代産業に用いられて、調整された光源と共に、安価な相補型MOS(CMOS)画素アレイを用いて、3次元(3D)撮像を提供する。3D TOFカメラは、すでに、多くの異なるアプリケーション、たとえば、製造された商品のプロファイル検査、コンピューター支援設計 (CAD)検証、地理測量、および、物体撮像に用いられている。
【0003】
3D ToFカメラの操作は、調整された光源を使用して、シーンを照射し、反射した光線を監視する。照明と反射間の位相シフトが測定され、距離に変換される。一般に、シーンを照射する調整された光源は、約850nmの近赤外線で操作する固体レーザー、または、発光ダイオード(LED)によるもので、不可視である。調整された光源の同一スペクトルに対応するように設計された画像センサーは、光線を受信して、フォトニックエネルギーを電流に転換して、シーンの距離(深さ)情報を得る。
【0004】
一般に、フィルターは、イメージセンサー前側に設置されて、距離(深さ)情報のよりよい信号対雑音比(SNR)を得る。しかし、従来のフィルターは、通常、多層膜干渉技術により製造される。大きい傾斜の入射光が従来のフィルターに当たるとき、しばしば、青色シフトが従来のフィルターで発生し、従来のフィルターのスペクトルを低波長バンドにする。これにより、従来のフィルターを含むイメージセンサーは、0°または小主光線入射角度(CRA)を有するテレセントリックレンズを設置して、大きい傾斜の入射光により生じる青色シフトを克服する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、単一イメージセンサーに整合される赤色(R)、緑色(G)、および、青色(B)画素、および、赤外線(IR)画素を有するイメージセンサーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、さらに、イメージセンサーの各IR画素のスタックフィルターを提供する。スタックフィルターは、狭帯域の波長を有するIR光を通過させる。よって、IR画素に位置するイメージセンサーのフォトダイオードは、狭帯域の波長を有するIR光を受信して、物体の距離(深さ)情報のよりよい信号対雑音比(SNR)を得る。
【0007】
いくつかの実施態様によると、赤外線(IR)画素を含むイメージセンサーのスタックフィルターが提供される。スタックフィルターは、IR画素に設置される第一フィルター層を含む。第一フィルター層は、第一バンドの波長を有する光線を通過させる。スタックフィルターは、さらに、第一フィルター層とスタックされる第二スタックを含む。第二フィルター層は、第二バンドの波長を有する光線を通過させる。第二バンドの一部は、第一バンドより低い。第一バンドは、部分的に、第三バンドの波長で、第二バンドと重複する。第三バンドは、第一バンドと第二バンドより狭い。スタックフィルターは、第三バンドの波長を有する光線を通過させる。
【0008】
いくつかの実施態様によると、イメージセンサーが提供される。イメージセンサーは、赤色(R)画素、緑色(G)画素、青色(B)画素、および、赤外線(IR)画素を含む。イメージセンサーは、さらに、それぞれ、R、G、および、B画素に位置するR、G、および、Bフィルターを含む。イメージセンサーは、さらに、R、G、および、BフィルターとスタックされるIRフィルターを含む。IRフィルターは、特定波長を有する少なくともIR光を遮蔽する。このほか、イメージセンサーは、IR画素に設置されるスタックフィルターを有する。スタックフィルターは、IR画素に設置される第一フィルター層、および、第一フィルター層とスタックされる第二フィルター層を有する。第一フィルター層は、第一バンドの波長を有する光線を通過させる。第二フィルター層は、第二バンドの波長を有する光線を通過させる。第二バンドの一部は、第一バンドより低い。第一バンドは、第三バンドの波長で、部分的に、第二バンドと重複する。第三バンドは、第一バンドと第二バンドより狭い。スタックフィルターは、第三バンドの波長を有する光線を通過させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のスタックフィルターは、大きい傾斜の入射光がイメージセンサーに照射するとき、青色シフトを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態によるイメージセンサーの一部の断面図である。
【
図2】本発明の実施形態によるイメージセンサーのR、G、および、BとIR画素の配置の平面図である。
【
図3】本発明の実施形態によるスタックフィルターの第一フィルター層と第二フィルター層の光学特性を説明する透過率対波長のグラフである。
【
図4】本発明の実施形態によるそれぞれ、イメージセンサーのRフィルター、Gフィルター、Bフィルター、選択的なIRフィルター、および、IRカットオフフィルターの光学特性を説明する透過率対波長のグラフである。
【
図5】本発明の実施形態による物体を撮像するイメージセンサーの配置を説明する図である。
【
図6】本発明の実施形態によるスタックフィルターの第一フィルター層と二種の第二フィルター層の光学特性を説明する透過率と波長のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上記及び他の目的及び本発明の特徴は、添付図面とともに以下の記載を参照することにより明らかとなる。
【0012】
本発明の目的と利点は添付請求項に具体的に記載されている要素及び組合せによって実現、達成されるであろう。なお、上述の一般的な説明と、以下に述べる詳細な説明は具体例であって、例示だけを目的としており、特許請求されている本発明の範囲の限定を意図するものではない。
【0013】
図1を参照すると、いくつかの実施形態による裏面照射型(BSI)イメージセンサー100の一部の断面図を示す図である。イメージセンサー100は、複数の画素、赤色(R)画素100R、緑色(G)画素100G、青色(B)画素100Bと赤外線(IR)画素100IRを順に配列して、画素アレイを形成する。
図2は、いくつかの実施形態によるイメージセンサー100のR、G、および、BとIR画素、110R、100G、および、100IRの配置の平面図である。
図2に示されるように、R、G、および、BとIR画素、110R、100G、および、100IRのBayerパターンにおいて、一つのG画素の位置は、IR画素で代替される。
【0014】
図1に示されるように、イメージセンサー100は、複数のフォトダイオード103を含む半導体基板101を有する。各フォトダイオード103は、赤色(R)画素100R、緑色(G)画素100G、青色(B)画素100Bと赤外線(IR)画素100IRの一つの画素に設置される。イメージセンサー100は、さらに、半導体基板101の表面に形成される配線層107を有する。BSIイメージセンサー100において、配線層107が、フォトダイオード103下に設置される。配線層107は、いくつかの金属層と金属層間に設置されるいくつかの誘電層からなる。金属層と誘電層は、従来の半導体集積回路処理技術により形成される。図を簡潔にするため、
図1で、金属層と誘電層は示されない。配線層107は複数の回路領域を有し、且つ、各回路領域は、一つのフォトダイオード103に対応する。ある実施形態において、イメージセンサー100は、単一イメージセンサー中に一緒に整合されるR、G、B、および、IR画素を有するCMOSイメージセンサー(CIS)である。
【0015】
いくつかの実施形態によると、イメージセンサー100は、IR画素100IRに設置されるスタックフィルター120を有する。スタックフィルター120は、第二フィルター層122とスタックされる第一フィルター層121を有する。
図3は、本発明の実施形態によるスタックフィルター120の第一フィルター層121と第二フィルター層122の光学特性を説明する透過率対波長のグラフである。第一フィルター層121は、第一バンド121Bの波長を有する光線を通過させる。第二フィルター層122は、第二バンド122Bの波長を有する光線を通過させる。第一フィルター層121を通過する光線は、第一波長 λ
1で、透過率が50%である。第二フィルター層122を通過する光線は、第二波長λ
2で、透過率が50%である。第一波長λ
1 は、第二波長λ
2より低い。
図3で示される400nm〜1200nmの波長範囲は、第一フィルター層121と第二フィルター層122の第一バンド121B、第二バンド122B、第一波長λ
1と第二波長λ
2を説明する一例であり、第一バンド121B、第二バンド122B、第一波長λ
1 と第二波長λ
2の数値を限定するものではない。
【0016】
さらに、
図3に示されるように、第二バンド122Bの一部の波長は、第一バンド121Bより低い。第一バンド121Bは、第三バンド120Bの波長で、部分的に、第二バンド122Bと重複する。第三バンド120Bは、第一バンド121Bと第二バンド122Bより狭い。これにより、第一フィルター層121と第二フィルター層122からなるスタックフィルター120は、第三バンド120Bの波長を有する光線を通過させる。第三バンド120Bは、ナローIRバンドである。つまり、スタックフィルター120は、狭帯域IRパスフィルターである。よって、光線が、スタックフィルター120を通過した後、狭帯域の波長を有するIR光、たとえば、850nmのIR光は、イメージセンサー100(
図1に示される)のIR画素100IR中のフォトダイオード103により受信される。これにより、3D撮像用に、物体の距離(深さ)情報のよりよい信号対雑音比(SNR)が得られる。
【0017】
実施形態によると、広い第一バンド121Bを有する第一フィルター層121と広い第二バンド122Bを有する第二フィルター層122は、第一と第二バンド121Bと122Bのスペクトル分布を有する染料や顔料からなる。つまり、スタックフィルター120は、第一と第二フィルター層121と122の組み合わせから形成される二層スタックの吸収型フィルターである。さらに、染料や顔料からなる二層スタックの吸収型フィルターは、光線の入射角度の影響をほぼ受けない。これにより、二層スタックの吸収型フィルターのスタックフィルター120は、大きい傾斜の入射光が、イメージセンサー100を照射するとき、多層膜干渉フィルターの適用において発生する青色シフトを回避することができる。つまり、本実施形態のイメージセンサーは、0°または小さいCRAを有するテレセントリックレンズを必要としない。0°のCRAを有するテレセントリックレンズは、通常、ToF 3D撮像時、多層膜干渉技術により製造されるフィルターを有するイメージセンサーに用いられる。
【0018】
図1を再度参照すると、ある実施形態において、イメージセンサー100は、さらに、半導体基板101の別表面に形成され、フォトダイオード103上に位置するパッシベーション膜105を有する。いくつかの別の実施形態において、イメージセンサー装置ユニット100は、さらに、遮光分割層、高誘電率膜、および、半導体基板101上に形成される別のパッシベーション膜を含む。このほか、イメージセンサー100は、それぞれ、R、G、および、B画素、100R、100G、および、100Bに設置されるRフィルター111R、Gフィルター111G、および、Bフィルター111Bを有する。イメージセンサー100は、さらに、R、G、および、B画素、100R、100G、および、100Bに設置されるIRフィルター109を有する。IRフィルター109は、R、G、および、Bフィルター111R、111G、および、111Bとスタックされる。IRフィルター109は、少なくとも特定波長を有するIR光を遮蔽する。
【0019】
ある実施形態において、IRフィルター109は、特定波長を有するIR光だけを遮蔽する選択的なIRフィルターとすることができる。いくつかの別の実施形態において、IRフィルター109は、全体のIRバンドの波長を有するIR光を遮蔽するIRカットオフフィルターとすることができる。
図4は、本発明の実施形態によるイメージセンサーのRフィルター111R、Gフィルター111G、Bフィルター111B、選択的なIRフィルター109SIR、および、IRカットオフフィルター109IR−cutの光学特性をそれぞれ説明する透過率対波長のグラフである。R、G、および、Bフィルター111R、111G、および、111Bのスペクトルは、700nm〜1100nmのIRバンドの波長で、透過率を有する。よって、700nm〜1100nmのIRバンドの波長を有するIR光は、R、G、および、Bフィルター111R、111G、および、111Bを通過する。R、G、および、Bフィルター111R、111G、および、111Bを通過したIR光が、R、G、および、B画素中のフォトダイオード103により受信される場合、物体のカラー画像化情報の信号対雑音比(SNR)が減少する。
【0020】
図4に示されるように、R、G、および、B画素に設置される選択的なIRフィルター109SIRのスペクトルは、IRバンドの特定波長、たとえば、850nmで、透過率が約0%である。選択的なIRフィルター109SIRの特定波長は、イメージセンサー中に設置されて、IR光を物体に照射する光源ユニットのIR光の特定バンドの波長と一致する。よって、選択的なIRフィルター109SIRは、R、G、および、Bフィルター111R、111G、および、111Bを通過した光源ユニットのIR光を遮蔽して、物体のカラー画像化情報のSNRを増加することができる。
【0021】
このほか、
図4に示されるように、IRカットオフフィルター109IR−cutのスペクトルは、IRバンドの波長、たとえば、700nm〜1100nmで、透過率が約0%である。よって、R、G、および、B画素に設置されるIRカットオフフィルター109IR−cutもまたR、G、および、Bフィルター111R、111G、および、111Bを通過した光源ユニットのIR光を遮蔽して、物体のカラー画像化情報のSNRを増加することができる。
【0022】
これにより、
図1の実施形態において、IRフィルター109と結合されるR、G、および、Bフィルター111R、111G、および、111Bは、可視帯の波長を有するR、G、およびB光線を通過させると共に、イメージセンサー100中に設置される光源ユニットのIR光の波長と一致する特定波長を有するIR光を少なくとも遮蔽する。これにより、イメージセンサー100のR、G、および、B画素に位置するフォトダイオード103によりIR光が受信されないか、または、受信されるIR光が少ない。R、G、および、B信号は、R、G、および、B画素に位置するフォトダイオード103から生成され、IR信号ノイズがない。よって、イメージセンサーのR、G、および、B画素の信号対雑音比(SNR)が向上する。イメージセンサー100中に設置され、IR光を物体に照射する光源ユニットは、
図5で説明する。
【0023】
再び、
図1を参照すると、イメージセンサー100は、さらに、R、G、および、Bフィルター111R、111G、および、111B、および、スタックフィルター120上に設置されるマイクロレンズ構造113を有する。マイクロレンズ構造113を含む
図1に示されるイメージセンサー100の素子は、イメージセンサー装置ユニット130と称される。
図5は、本発明の実施形態による物体150を撮像するイメージセンサー100の設置を説明する図である。
図5に示されるように、イメージセンサー100は、さらに、特定バンドの波長を有するIR光140IRを物体150に照射する光源ユニット140を含む。ある実施形態において、光源ユニット140は、約850nmの近赤外範囲で操作するLEDである。ある実施形態において、
図4に示されるように、選択的なIRフィルター109SIRにより遮蔽されるIR光の特定波長は、光源ユニット140からのIR光140IRの特定バンドの波長と一致する。つまり、選択的なIRフィルター109SIRにより遮蔽されるIR光の特定波長は約850nmである。
【0024】
図5に示されるように、IR光140IR’は、物体150により、イメージセンサー装置ユニット130に反射される。実施形態によると、イメージセンサー装置ユニット130のスタックフィルター120は、狭帯域の波長を有する光線を通過させる。スタックフィルター120の狭帯域の波長は、IR光140IRと140IR’の特定バンドの波長と一致する。これにより、イメージセンサー装置ユニット130のマイクロレンズ構造113上に、ダブルバンドパスフィルターを設置する必要がない。ダブルバンドパスフィルターは、通常、可視光と光源ユニットのIR光の波長と一致する特定波長を有するIR光を通過させるのに用いられる。
【0025】
図1と
図5を参照すると、物体150により反射されるIR光140IR’は、スタックフィルター120を通過すると共に、IR画素100IR中のフォトダイオード103により受信されて、よりよいSNRを有するIR信号を生成して、物体150の距離(深さ)情報を得る。
図5には示されていないが、自然光、または、別の光源からの可視光も、物体150により反射されて、その後、イメージセンサー装置ユニット130に照射する。反射する可視光は、R、G、および、Bフィルター111R、111G、および、111B、IRフィルター109を通過し、R、G、および、B画素中のフォトダイオード103により受信されて、物体150のカラー画像化情報を得る。さらに、R、G、および、B画素に位置するIRフィルター109は、光源ユニット140のIR光140IRと140IR’の波長と一致する特定波長を有するIR光を少なくとも遮蔽することができる。よって、R、G、および、Bフィルター111R、111G、および、111BとスタックされるIRフィルター109は、R、G、および、B画素中のフォトダイオード103が、可視光を受信して、高SNRのR、G、および、B信号を生成し、物体のカラー画像化情報を獲得するのを補助することができる。R、G、および、B信号が、R、G、および、B画素中のフォトダイオード103から生成されて、IR信号ノイズがない。
【0026】
図6は、本発明の実施形態によるスタックフィルター120の第一フィルター層121と二種の第二フィルター層122’と122”の光学特性を説明する透過率対波長のグラフである。第一フィルター層121は、IRパスフィルター121と称される。第二フィルター層122’と122”は、部分的IRカットオフフィルター122’と122”と称される。ある実施形態において、IRパスフィルター121は、IRバンドの波長を有するIR光を通過させる。いくつかの別の実施形態において、
図6に示されるように、IRパスフィルター121は、IRバンド、たとえば、約800nm〜約1200nmの波長を有するIR光を通過させる。つまり、いくつかの実施形態において、第一フィルター層(または、IRパスフィルター)121の第一バンド121B(
図3で示される)の波長は、約800nm〜約1200nmである。
【0027】
部分的IRカットオフフィルター122’と122”は、第三波長から第四波長のカットオフ領域を有する。第三波長は、光源ユニットのIR光の特定波長 (約850nm)プラス約10〜50nmである。第四波長は、半導体基板101の吸収帯の最長波長である。ある実施形態において、半導体基板101はSiウェハで、Siウェハの吸収帯の最長波長は、約1100nmである。ある実施形態において、半導体基板101は別の適切な半導体材料で形成され、これらの吸収帯の最長波長は1100nm以上、たとえば、1200nmである。よって、ある実施形態において、第二フィルター層(または、部分的IRカットオフフィルター)122’と122”は、約900nm(850nmプラス50nm)〜約1100nmのカットオフ領域を有する。
図6に示されるように、ある実施形態において、部分的IRカットオフフィルター122’と122”は、約900nm〜約1200nmのカットオフ領域を有する。つまり、第二フィルター層 (または、部分的IRカットオフフィルター)122’、または、122”の第二バンド122B (
図3で示される) の波長は、約400nm〜約900nmである。これにより、ある実施形態において、スタック層120の第三バンドの波長は、約800nm から 約900nmである。
【0028】
さらに、
図6に示されるように、部分的IRカットオフフィルター122’ と122”は、波長400nm〜900nmで異なるスペクトルを有することができるが、波長900nm〜1200nmで、同一のスペクトルを有する。このほか、部分的IRカットオフフィルター122’と122”のスペクトルは、1200nm以上の波長で、0%より大きい透過率を有することができる。
【0029】
図7は、本発明の別の実施形態によるイメージセンサー100の一部の断面図である。
図7と
図1の差異は、
図7のR、G、および、Bフィルター111R、111G、および、111Bが、IRフィルター109下に設置されることである。
図7の実施形態において、R、G、および、Bフィルター111R、111G、および、111B上に設置されるIRフィルター109は、
図1のR、G、および、Bフィルター111R、111G、および、111B下に設置されたIRフィルター109と同じフィルター機能を有する。
【0030】
図8は、本発明の別の実施形態によるイメージセンサー100の一部の断面図である。
図8と
図7の差異は、第一フィルター層121が、スタックフィルター120中で、第二フィルター層122上に設置されることである。
図8の実施形態において、第二フィルター層122上に設置される第一フィルター層121は、
図1と
図7の第二フィルター層122下にスタックされる第一フィルター層121と同じフィルター機能を有する。
【0031】
図9は、本発明の別の実施形態によるイメージセンサー100の一部の断面図である。
図9と
図1の差異は、第一フィルター層121が、スタックフィルター120中で、第二フィルター層122上に設置されることである。
図9の実施形態において、第二フィルター層122上に設置される第一フィルター層121は、
図1と
図7の第二フィルター層122の下にスタックされる第一フィルター層121と同じフィルター機能を有する。
【0032】
図1と
図7から
図9の実施形態において、イメージセンサー100は、裏面照射型 (BSI)イメージセンサーである。いくつかの別の実施形態において、本発明のイメージセンサーは、表面照射型 (FSI)イメージセンサーである。FSIイメージセンサーにおいて、
図1と
図7から
図9の配線層107が移動して、フォトダイオード103上に設置される。FSIイメージセンサーの別の素子、たとえば、パッシベーション膜105、IRフィルター109、R、G、および、Bフィルター111R、111G、および、111B、スタックフィルター120、および、マイクロレンズ構造113は、
図1と
図7から
図9のBSIイメージセンサー100と同じである。
【0033】
実施形態によると、第一と第二フィルター層からなるスタックフィルターが、イメージセンサーのIR画素に設置される。スタックフィルターは、狭帯域の波長を有するIR光を通過させる。よって、狭帯域の波長を有するIR光は、IR画素中のフォトダイオードにより受信されて、よりよいSNRを有するIR信号を生成する。さらに、本発明の実施形態は、可視帯のスペクトルとナローIRバンドを有するダブルバンドパスフィルターを、イメージセンサーのマイクロレンズ構造上に設置する必要がない。一方、本発明の実施形態において、イメージセンサーは、0°または小主光線入射角度(CRA)を有するテレセントリックレンズを、マイクロレンズ構造に設置する必要がない。
【0034】
さらに、本実施形態のスタックフィルターは、染料や顔料から形成される第一と第二フィルター層からなる二層スタックの吸収型フィルターである。よって、本実施形態のスタックフィルターは製造が容易であり、且つ、光線の入射角度の影響を受けない。これにより、本実施形態のスタックフィルターは、大きい傾斜の入射光がイメージセンサーに照射するとき、青色シフトを回避することができる。
【0035】
本発明では好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明に限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の精神と領域を脱しない範囲内で各種の変動や潤色を加えることができ、従って本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0036】
100〜イメージセンサー
100R〜赤色画素
100G〜緑色画素
100B〜青色画素
100IR〜赤外線画素
101〜半導体基板
103〜フォトダイオード
105〜パッシベーション膜
107〜配線層
109〜IRフィルター
109SIR〜選択的なIRフィルター
109IR-cut〜IRカットオフフィルター
111R〜Rフィルター
111G〜Gフィルター
111B〜Bフィルター
113〜マイクロレンズ構造
120〜スタックフィルター
120B〜第三バンド
121〜第一フィルター層
121B〜第一バンド
122、122’、122”〜第二フィルター層
122B〜第二バンド
130〜イメージセンサー装置ユニット
λ
1〜第一波長
λ
2〜第二波長
140〜光源ユニット
140IR〜IR光
104IR’〜反射されるIR光
150〜物体