(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6091563
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】具入りプロセスチーズのシートを製造するための方法および機器、ならびに具入りプロセスチーズのシート
(51)【国際特許分類】
A23C 19/093 20060101AFI20170227BHJP
A23C 19/08 20060101ALI20170227BHJP
A01J 25/12 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
A23C19/093
A23C19/08
A01J25/12
【請求項の数】45
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-159545(P2015-159545)
(22)【出願日】2015年8月12日
(62)【分割の表示】特願2011-553122(P2011-553122)の分割
【原出願日】2010年3月5日
(65)【公開番号】特開2016-19534(P2016-19534A)
(43)【公開日】2016年2月4日
【審査請求日】2015年8月13日
(31)【優先権主張番号】09154502.0
(32)【優先日】2009年3月6日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501175214
【氏名又は名称】クラフト・フーヅ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】KRAFT FOODS R & D, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウヴェ マーダー
(72)【発明者】
【氏名】クラウス ケンプター
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル コップ
(72)【発明者】
【氏名】エーリッヒ ローデンバッハ
(72)【発明者】
【氏名】オリバー スカー
(72)【発明者】
【氏名】エティエンヌ パーネイ
【審査官】
野村 英雄
(56)【参考文献】
【文献】
特表2004−501662(JP,A)
【文献】
特表2002−515227(JP,A)
【文献】
特開平03−067543(JP,A)
【文献】
特表平04−507349(JP,A)
【文献】
特開平09−107941(JP,A)
【文献】
特開平05−336883(JP,A)
【文献】
特開平02−124060(JP,A)
【文献】
特開平04−135451(JP,A)
【文献】
特開2001−231531(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23C 1/00−23/00
A01J 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
具入りプロセスチーズのシート(60)を製造するための方法であって、
プロセスチーズ(12)の流動および具(14)の流動を、包装材料(56)中に共押出して、厚さを有する、具入りの連続したストランド(16)を生成する工程であって、前記プロセスチーズ(12)の流動および前記具(14)の流動の両方は層流である工程と、
前記具入りの連続したストランド(16)をあらかじめ定められた位置(18)で分離して、全ての辺において具(14)をプロセスチーズ(12)に完全に封入し、具入りの別個のシート(60)を形成する工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記包装材料(56)は、前記具入りの連続したストランド(16)の分離中にそれ自身に対して封止され、切り出されて具入りプロセスチーズの別個の包装されたシート(60)を形成することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記具入りの連続したストランド(16)は厚さを減少させられることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
具入りの連続したストランド(16)を分離した後に具入りシート(60)を冷却することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記具(14)は、第2の種類のプロセスチーズ、フレッシュまたはソフトチーズ、ペスト、トマトソース、マーマレード、ジャム、ゼリー、およびチョコレートからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記具入りの別個のシート(60)は、6mm以下の厚さを有することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記具入りの別個のシート(60)は、5.5mm以下の厚さを有することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記具入りの別個のシート(60)は、45g以下の質量を有することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記具入りの別個のシート(60)は、40g以下の質量を有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記プロセスチーズ(12)の流動または前記具(14)の流動の少なくとも一方は、断面区域の一部のみによって制御され、前記プロセスチーズまたは前記具が前記断面区域を通して押出されるか、または押出に供給されることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記プロセスチーズ(12)または前記具(14)の少なくとも一方は、液体状態で押出されることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記プロセスチーズ(12)または前記具(14)の少なくとも一方は、65℃以上の温度を用いて押出されることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記プロセスチーズ(12)は、65〜85℃の温度を用いて押出されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記プロセスチーズ(12)は、75〜85℃の温度を用いて押出されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記具(14)は、65〜90℃の温度を用いて押出されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記具(14)は、65〜80℃の温度を用いて押出されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記プロセスチーズ(12)および前記具(14)は、1〜10バール(0.1〜1MPa)の圧力における共押出にかけられることを特徴とする請求項1から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記プロセスチーズ(12)および/または前記具(14)は、1.5〜8バール(0.15〜0.8MPa)の圧力における共押出にかけられることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記プロセスチーズ(12)および/または前記具(14)は、2〜6バール(0.2〜0.6MPa)の圧力における共押出にかけられることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記プロセスチーズの絶対水分含有量と前記具の絶対水分含有量との差は10%以下であることを特徴とする請求項1から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記プロセスチーズの絶対水分含有量と前記具の絶対水分含有量との差は5%以下であることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記プロセスチーズの絶対水分含有量と前記具の絶対水分含有量との差は2%以下であることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記プロセスチーズ(12)または前記具(14)の少なくとも一方の粘度は、200〜10000mPa・sであることを特徴とする請求項1から22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記プロセスチーズ(12)または前記具(14)の少なくとも一方の粘度は、400〜6000mPa・sであることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記プロセスチーズ(12)または前記具(14)の少なくとも一方の粘度は、500〜4000mPa・sであることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記プロセスチーズ(12)および前記具(14)のpH値の差は、2.0以下であることを特徴とする請求項1から25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記プロセスチーズ(12)および前記具(14)のpH値の差は、1.0以下であることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記プロセスチーズ(12)および前記具(14)のpH値の差は、0.5以下であることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
具入りプロセスチーズのシート(60)を製造するための機器(10)であって、
具入りの連続した共押出ストランドを形成するための共押出ノズル(22)であって、前記共押出ノズル(22)は、装置(58、62、64)により供給される包装材料(56)中に外側成分(12)を押出すための外側ポート(24)、および、全ての辺において外側成分(12)に完全に封入される内側成分(14)を押出すための内側ポート(26)を有する共押出ノズル(22)とを含み、前記外側ポート(24)および内側ポート(26)は、外側成分(12)および内側成分(14)の両方を層流として供給する共押出しノズル(22)と、
前記共押出ストランド(16)を分離するための、リッジを有する2つ以上のローラー(46)を含む装置(44)と、
2つ以上の協働するローラー(42)を含む、前記共押出ストランド(16)の厚さを減少させるための装置(40)と
を含むことを特徴とする機器。
【請求項30】
少なくとも前記内側ポート(26)は、第2の短辺(30)よりも長い第1辺(28)を有する断面において実質的に平坦であり、前記外側ポート(24)は、前記内側ポート(26)の少なくとも1つの第1辺(28)に隣接する断面において、内側ポート(26)の隣接する他の区域よりも大きいことを特徴とする請求項29に記載の機器。
【請求項31】
前記内側ポート(26)は、断面において、実質的に長方形であることを特徴とする請求項29または30に記載の機器。
【請求項32】
前記内側ポート(26)は、断面において、曲線状の第2の短辺(30)を有することを特徴とする請求項31に記載の機器。
【請求項33】
前記外側ポート(24)は断面において実質的に楕円形であることを特徴とする請求項29から32のいずれかに記載の機器。
【請求項34】
前記外側ポート(24)および前記内側ポート(26)は、それぞれのポート(24,26)の断面に実質的に相当するチューブ(32,132)にそれぞれ連通することを特徴とする請求項29から33のいずれかに記載の機器。
【請求項35】
前記外側ポート(24)および前記内側ポート(26)は、それぞれ少なくとも1つのパイプ(100)に連通することを特徴とする請求項29から34のいずれかに記載の機器。
【請求項36】
前記少なくとも1つのパイプ(100)は、実質的に円形の断面を有することを特徴とする請求項35に記載の機器。
【請求項37】
前記チューブ(32,132)の断面区域は、リッジまたはフラップ(34)によって部分的に遮られていることを特徴とする請求項34に記載の機器。
【請求項38】
前記少なくとも1つのパイプ(100)の断面区域は、リッジまたはフラップ(34)によって部分的に遮られていることを特徴とする請求項35または36に記載の機器。
【請求項39】
前記リッジまたはフラップ(34)は調整可能であることを特徴とする請求項37または38に記載の機器。
【請求項40】
前記外側ポート(24)および内側ポート(26)は、押出方向に沿って実質的に同一の位置にあることを特徴とする請求項29から39のいずれかに記載の機器。
【請求項41】
包装材料(56)をそれ自身に対して封止する装置(50)、冷却区域(52)、および共押出物を封入する個別の包装物に切断する装置(54)を含むことを特徴とする請求項29から40のいずれかに記載の機器。
【請求項42】
前記冷却区域(52)は、冷却用の水浴であることを特徴とする請求項41に記載の機器。
【請求項43】
前記内側ポート(26)へと続く内側ノズルの断面積は30cmの長さあたり6以下の縮小率で縮小することを特徴とする請求項29から42のいずれかに記載の機器。
【請求項44】
前記外側ポート(24)へと続く外側ノズルの断面積は30cmの長さあたり3以下の縮小率で縮小することを特徴とする請求項29から42のいずれかに記載の機器。
【請求項45】
前記内側ポート(26)へと続く内側ノズルまたは前記外側ポート(24)へと続く外側ノズルの少なくとも一方の断面積は、前記ポートの4cmから10cm上流と前記ポートの始点との間において実質的に一定であることを特徴とする請求項29から44のいずれかに記載の機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、具入りプロセスチーズのシートを製造するための方法および機器、ならびに具入りプロセスチーズのシートに関する。
【0002】
シート(たとえば典型的には矩形で平坦なピース)状のプロセスチーズは、パン、トーストまたは他の料理の上に載せられる食品としてよく知られている。それらのシートは、塊から切り出されたのではなく、押出成形されたものであっても、スライスとも呼ばれる。
【背景技術】
【0003】
本出願は、欧州特許出願第09154502.0号(出願日2009年3月6日)の優先権を主張する、特願2011−553122(国際出願日2010年3月5日)の分割出願である。
食品を押出成形する分野において、欧州特許第0130772号明細書は、2つの異種材料(すなわち、押出物のロープを製造するような、生地からなる外側チューブ、および外側チューブに包囲される内側コア)を連続的に共押出する方法を記載している(特許文献1参照)。
【0004】
米国特許第5,194,283号明細書は、異種のチーズの共押出に関連する(特許文献2参照)。
【0005】
最後に、独国実用新案第29620117号明細書は、その周縁部全体が封止されて、それらの間に具を封入する、2枚のプロセスチーズの組み合わせを記載している(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第0130772号明細書
【特許文献2】米国特許第5,194,283号明細書
【特許文献3】独国実用新案第29620117号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明によって解決される課題の1つは、新規な寸法ならびに異種の食感および味覚の新規の組み合わせを有する食品の効率的かつ信頼性の高い大量生産のための方法および装置を提供することである。後述するように、これらの課題および他の課題を解決するための方法は、請求項1に記載され、対応する装置は請求項7においてその詳細が記載され、かつ新規な製造物は請求項16から導出される。具体的な実施形態は、従属請求項において提供される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明は、具入りプロセスチーズのシートの効率的かつ信頼性の高い大量生産を可能にする方法および装置を提供する。さらに、前述のような具入りプロセスチーズのシートを提供して、消費者に対して、食感および味覚に関する全く新しい経験、ならびに異種の食品の新規な組み合わせを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に従う機器および本願に記載される方法の実施の概略を示す図である。
【
図3】
図1に示す機器の押出ポートを示す図である。
【
図4】
図1の装置と同様の機器において用いられる、代替の内側チューブおよび内側ポートの上面図である。
【
図5】
図4の内側チューブおよび内側ポートの側面図である。
【
図6】
図1の装置と同様の機器において用いられる、代替の外側チューブおよび外側ポートを示す図である。
【
図7】
図6の外側チューブおよび外側ポートの側面図である。
【
図8】
図2〜
図7の実施形態のさらなる代替の形態の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願明細書に記載される方法において、第1の工程において、プロセスチーズ(process or processed cheese)および具は共押出されて、押出方向と直交する方向の厚さを有する具入りストランドを製造する。言い換えれば、本願明細書に記載の方法は連続的な方法であり、第1の工程において連続した具入りストランドを製造し、該ストランドの外側はプロセスチーズによって完全に構成され、具は、連続しており、プロセスチースによって完全に封入されている。好ましくは、プロセスチーズは加熱状態(すなわち溶融状態)で供給され、該加熱状態は、たとえば約70℃以上の温度を意味する。
【0011】
具体的には、現状において、本願明細書に記載される発明において溶融可能なプロセスチーズを用いることが好ましい。言い換えれば、クリーミングと呼ばれる工程によってプロセスチーズを処理するべきではない。クリーミングと呼ばれる工程は、上記の温度におけるプロセスチーズの溶融可能性を排除して、プロセスチーズを溶融可能なプロセスチーズではなく展性の高いプロセスチーズに変化させる。展性の高いプロセスチーズ、および/またはクリーミング工程を経たプロセスチーズに対して本発明を適用することは一般的には可能である。しかしながら、前述のように、現状においては、溶融可能なプロセスチーズを用いることが好ましい。
【0012】
任意選択的な第2の工程において、連続したストランドはその厚さを減少させられ、第3の工程において、あらかじめ定められた位置においてストランドを分離して、別個のシートを製造する。この分離工程に関して、具入りストランドは、既に、その厚さが最終製造物の厚さを実質的に等しい状態にあり、たとえば6mm以下の厚さを有してもよい。ここで、具は、シートの全重量を基準として、15%以上、特に15%〜45%、および好ましくは25〜35%の重量パーセントで存在する。したがって、プロセスチーズを他方の面のプロセスチーズを向かって押圧することによって、分離工程を容易に実施することができる。該押圧は、ストランドの表面の上方にあってストランドの厚さの方向に実質的に相当する方向内の仮想線に沿って実施される。この操作中に、プロセスチーズは、「押圧される区域」において実質的に移動させられ、最終製造物の横縁を形成する。最終製造物の縦縁は、共押出の方向と実質的に同一の方向を有する点に留意されたい。前述の一方の面から他方の面へのプロセスチーズの押圧および移動の代替として、ストランドの両面から中心に向かってプロセスチーズを押圧して、それらの間の具によって分離されていた両面のプロセスチーズが中心近傍で合流してもよい。この方法も同様に、連続したストランドから別個のシートを形成する。これに関連して、連続したストランドを好ましくは包装材料(薄く透明なプラスチックフィルムのようなもの)の連続的「チューブ」の中に押出し、それによってストランドの外側被覆を形成するプロセスチーズを、機器(ストランドの厚さを減少させること、および/またはストランドを独立したシートに分離することに用いられてもよいローラーのようなもの)に粘着することなしに前述の操作に容易にかけることを可能にする。
【0013】
これらの具入りシートにおいて、横縁をプロセスチーズで形成して、プロセスチーズによって具を完全に封入することが有利である。したがって、最終製造物においては、消費者は、食感、味覚および外見の新規な組み合わせを経験することができる。外側成分(すなわち、プロセスチーズ)は、ゲル型の食感を有してもよい。一方、具は、クリーム様またはペースト様の食感を有することができる。さらに、プロセスチーズはたとえば70℃より高い温度において溶融可能であってもよい。一方、具は、その種の温度においてその形状および食感を実質的に維持してもよい。したがって、トーストまたはパスタのような種々の食品を本願明細書に記載される製造物と組み合わせることができ、それらを加熱した後に、溶融したプロセスチーズおよび前述の温度によって実質的に影響されないクリーム様成分(フレッシュチーズまたはトマトソースの成分のようなもの)のカバーを有してもよい。同様に、プロセスチーズの味覚を、以下に詳細に記載する異種の想定できる具から得られるさらなる味覚成分と組み合わせることができる。最後に、本願明細書に記載の方法によって製造される製造物の独特な色の組み合わせを作り出すために、プロセスチーズの黄色または白色の外観を、具を構成する第2のプロセスチーズの白色、トマトソースの赤色、ペストソースの緑色のような異種の色と組み合わせることができる。具体的には、記載された新規の種類の具入りプロセスチーズは、非常に効率的に、すなわち一般的に毎分50〜1500シート、好ましくは毎分300〜700シートまたは毎分300〜500シートの生産量で、かつ実質的に均一な表面を有して、加工することができる。したがって、プロセスチーズのスライスの利点の全てを維持することができ、かつ具を提供する利点が追加される。
【0014】
前述のように、具入りストランドは包装材料中に共押出されてもよく、該包装材料は、ストランドを独立したシートへ分離する工程中に封止されてもよい。さらに、包装材料は、独立し、個別に包装された具入りプロセスチーズのシートを製造する前述の方法の下流において切断されてもよい。包装材料は、たとえば、透明なプラスチックフィルムの連続ウェブとして供給されて、共押出ノズルの周囲に巻き付けられて、あるいは、押出方向に実質的に延びるいわゆるフィンシール(fin seal)と共に提供されて、包装材料の連続パイプ、チューブまたはホースを製造してもよい。前述のように、共押出されるストランドは、このチューブ中に押出され、ストランドの分離を伴う1つの工程において、連続したストランドが分離される位置において、包装材料はそれ自身に対して封止される。個別の包装シートのより遅い段階での切断は、これらの封止される区域において実施してもよい。最終製造物において、フィンシールは、プロセスチーズのシートの平坦な表面の一方の上に提供され、消費者がフィンシールにおいて包装を容易に開けることを可能にする。
【0015】
連続したストランドを分離して独立したシートを製造する工程の次の工程として、具入りプロセスチーズのシートを冷却することが有利であると判明した。冷却が独立したシートの分離の後に比較的迅速に実施される場合、外側のプロセスチーズと内側の具との間の混合を著しく減少させて、前述の食感、味覚および外観の異なる成分を好都合に維持することができる。
【0016】
具に関する限りにおいて、消費者の利益のために、たとえば、具は、約70℃以上の温度で同様に溶融可能であってもよい第2のタイプのプロセスチーズ、あるいは本件特許出願人によって「Philadelphia」の商標の下で販売されるもののようなフレッシュチーズまたはソフトチーズ、あるいはペストソースまたはトマトソース、あるいはマーマレード、ジャムまたはゼリー、あるいはチョコレートであってさえもよい。
【0017】
消費者の満足および生産性の両方に関して、6mm以下、好ましくは5.5mm以下の厚さ、および/または、45g以下、好ましくは40g以下の重量を有する具入りプロセスチーズのシートが好ましいことがさらに見いだされた。これらの寸法を有する場合、具入りプロセスチーズのシートは、その間に具が入った「2枚重ね」のプロセスチーズの印象を与えない。むしろ、具入りプロセスチーズのシートは、多くとも、2枚の慣用のプロセスチーズの厚さおよび/または重量を有する。しかしながら、追加的に存在する具によって、本願明細書に記載の製造物は、「かさばる」印象すなわち魅力的ではない印象を与えない。本願明細書に記載の具入りプロセスチーズのシートの厚さに関する下限は、4mm、および/または30g、好ましくは35gであってもよい。シートは、実質的に正方形の形状であってもよく、8cm〜9cmの長さおよび/または幅を有する。
【0018】
本願明細書に記載される共押出プロセスは、鉛直式(好ましくは下向き)、または水平式、または任意の他の方位において実施してもよい。特に、当該プロセスを水平またはそれに接近した方向である押出方向において実施する際には、押出が実施される横断面区域の一部のみによってプロセスチーズおよび/または具の流動が制御される場合に共押出の信頼性が向上することが見いだされた。したがって、横断面区域(押出方向に垂直な平面内に見いだすことができる)を観察する際に、関連する成分(たとえばプロセスチーズ)のより均一な分布を達成するために、流動(たとえばプロセスチーズ)を、底部区域によって部分的に遮る。これは、実質的に水平式の押出が押出された塊が(重力によって)底部へと流れるという知見に基づくものであるが、これに限定されるものではない。これは、前述の制御によって相殺される。
【0019】
信頼性が高く定常的な製造のためには、特にプロセスチーズおよび具が最終製造物において実質的に厳密に分離されている製造のためには、共押出ノズルに対して、プロセスチーズおよび/または具、好ましくは両成分の層流、好ましくはクリープ波を提供することが特に有効であることが証明された。層流は、特に周囲の壁において、摩擦力が支配するタイプの流動を意味し、それは「十分に秩序正しい」ものである。逆に、慣性力が支配した場合、流動は「乱流」となる。層流と乱流との間には、遷移型の流動が存在する。流動のタイプを特徴づけるために、レイノルズ数Reが慣用的に用いられる。実質的に管状のパイプにおいて、層流から乱流への遷移は、1,000〜3,000のオーダーのレイノルズ数において起こる。
【0020】
パイプ中の流動を特徴づけるレイノルズ数の一般式は、Re=ρ・V・D/μと定義され、式中、ρは流体の密度であり、Vは平均流体速度であり、Dは水力直径であり、μは流体の動粘度である。水力直径は、4・A/Cと定義され、式中、Aは断面積であり、Cはウエッテッドペリメーター(wetted perimeter)である。円形のパイプにおいて、水力直径はパイプの内径に等しい。本願明細書に記載される方法の例において、内側ノズルの断面積は約210mm
2であり、外側ノズルの断面積は約1144mm
2である。1020kg/m
3の密度、ならびに、それぞれ0.008kg/sおよび0.013kg/sの具およびプロセスチーズの質量流量において、具の流動速度は約0.037m/sであり、プロセスチーズの流動速度は約0.011m/sである。約100mmのウエットテッドペリメーターおよび約400mPa・sの粘度を用いると、具のレイノルズ数は約0.79である。同様に、プロセスチーズに関して約258mmのウエットテッドペリメーターおよび約600mPa・sの粘度を用いると、そのレイノルズ数は0.33である。これらの数値は、乱流が発生するレイノルズ数よりも著しく小さく、したがって、好都合な層流条件を反映している。前述の数値の約20〜30倍であってもよい産業規模の質量流を用いてさえも、レイノルズ数は、パイプ中で遷移流動が発生すると慣用的に容認されている値である2,300未満に十分に留まる。1つの実施形態において、本発明の方法におけるレイノルズ数は50未満である。好ましくは10未満であり、より好ましくは1未満である。
【0021】
より高いスループットにおいて層流を効率的に維持するために、プロセスチーズおよび具を、一定(constant)の過圧(たとえば、1〜10バール(0.1〜1MPa)、好ましくは1.5〜8バール(0.15〜0.8MPa)、さらにより好ましくは2〜6バール(0.2〜0.6MPa))における共押出に委ねることが好ましい可能性がある。高すぎる圧力はノズルを変型させる恐れがある。
【0022】
押出される材料の粘度に関して、望ましい層流を具体的に考慮すると、200〜10,000mPa・sの範囲内の数値であることが好ましく、より好ましくは400〜6,000mPa・s、さらにより好ましくは500〜4,000mPa・sである。粘度は、同心の円筒(粗面)、5mmのギャップを用い、70℃の温度において、10/sにおける3分間の予備剪断条件、3分間の平衡化時間、および100/sの剪断速度を用いる、制御された応力のレオメーター(Bohlin CVO 120)を用いて測定される。
【0023】
好都合には、粘度の観点および薄いスライスを得るためにも、プロセスチーズおよび/または具を、液体状態および/または熱い状態で押出す。それは、包装材料中へのストランドの共押出の後に、具を完全に封入したプロセスチーズのシートの分離を可能にする。たとえば、押出温度は、60〜98℃または70〜80℃の範囲内であってもよい。好ましくは、プロセスチーズは、65℃以上、または65〜85℃、より好ましくは75〜85℃の温度で押出される。具の好ましい押出温度は、65℃以上、または65〜90℃、より好ましくは80〜90℃である。これは、2〜10℃の範囲内の温度において少なくとも5ヶ月のような長い貯蔵寿命、および包装中の低温殺菌も同様に提供する。
【0024】
有益な方法のために、特にコストおよび貯蔵寿命の観点から、プロセスチーズおよび具中の水分を50質量%以上に維持することが好ましい可能性がある。さらに、プロセスチーズおよび具の間の水の移動を減少させるために、プロセスチーズおよび具の間の水分含量差を、パーセント点に関して、10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下に維持することが好ましい。
【0025】
好ましい粘度範囲を実現するために、プロセスチーズおよび/または具の組成を、それに応じて、調整することができる。調整は、たとえば、当該技術において慣用的に知られている乳タンパクおよび他の乳製品粉末のような成分の適切な種類および比率を選択することによって実施できる。これに関連して、一方でプロセスチーズのpH値を調整し、他方で具のpH値を調整して、それらpH値の差を2.0単位以下、好ましくは1.0単位以下、より好ましくは0.5単位以下とすることが好ましい可能性がある。
【0026】
本発明は、外側成分を供給するための外側ポートおよび内側成分(外側成分によって完全に封入される)を供給するための内側ポートを有する共押出ノズルを有する、具入りプロセスチーズのシートを製造するための機器をさらに提供する。前述のように、たとえば、外側成分はプロセスチーズであってもよく、内側成分は1つまたは複数の前述の具であってもよい。本願明細書に記載の機器は、共押出されたストランドの厚さを減少させるための装置(たとえば2つ以上の協働するローラーであってもよい)、および/または共押出されたストランドを分離するための装置(リッジを有する2つ以上のローラーのようなもの)をさらに任意選択的に有する。具入りプロセスチーズのシートを製造するための内側成分および外側成分は包装材料中に共押出されるため、包装材料を供給するための装置も提供される。
【0027】
本願明細書に記載される機器において、少なくとも内側ポートは、横断面が実質的に平坦であってもよい。すなわち、当該横断面は、第2の短辺よりも長い第1の辺を有する。この横断面は、たとえば長方形であってもよく、好ましくは曲線的な辺または短辺を有し、望ましい最終製造物(すなわち具入りプロセスチーズの平坦なシートまたはスライス)に対応する。さらに、外側ポートは、内側ポートの第1の辺(長辺)に隣接する横断面において、内側ポートの隣接する他の区域よりも大きくてもよい。言い換えると、外側ポートを画定する境界は、他の区域と比較して、少なくとも内側ポートの1つ長辺より長い距離で、内側ポートから離隔している。内側ポートと比較して、この種の転換された外側ポートの形状は、少なくとも押出開口部(すなわち、成分がポートを出る場所)そのものに存在する。しかしながら、ポートに対して成分を供給する任意のチューブ、パイプ、または類似の構成要素中に存在してもよい。記載された形状を用いて、連続した共押出されたストランドの厚さを減少させる工程を、外側成分が薄くなりすぎるリスク、および、さらに外側成分が裂開して内側成分を露出させるリスクなしに、高い信頼性で実施できることが見いだされた。記載されたより大きな断面区域、すなわち内側ポートの長辺の区域におけるより大きな距離は、充分な量の外側成分を提供する。その充分な量の外側成分は、ストランドの厚さを減少させる工程において、外側成分を側方に(すなわち、端部に向かって)押しのけることを可能とし、具入りプロセスチーズのシートの表面に沿って外側成分の望ましい厚さを依然として維持する。さらに、記載された設計を用いて、具入りプロセスチーズのスライスを製造することができ、該スライス中では、具が前述の横断面の主要部分全体にわたって延在し、かつ具が中心のみに実質的に存在するのではなく、かつ具が端部に向かう主要部分には存在しない。
【0028】
実験は、実質的に楕円形の形状を有する外側ポート、および実質的に平坦で、曲線的な第2辺(短辺)を有する長方形形状の内側ポートを用いて、特に良好な結果が得られることを示した。
【0029】
外側ポートおよび/または内側ポートから押出される成分の供給に関して、これらのポートは、それぞれのポートの横断面に実質的に相当する横断面を有するチューブと、それぞれ連通していてもよい。
【0030】
代替として、またはそれらとの組み合わせとして、ポートの少なくとも一方は、前述の横断面形状と相違する、たとえば実質的に円形の横断面を有する少なくとも1つのパイプまたはホースと連通してもよい。全てのパイプは、(流動方向において)それぞれのポートの前で終端してもよい。代替として、それらパイプは内側ポートおよび/または外側ポートへと延びていてもよい。それぞれのポートに対して具および/またはプロセスチーズを供給するパイプの使用は、ポートの横断面全体にわたるプロセスチーズおよび/または具の分布の均一性を向上させるのに有効であることが証明されている。さらに、1つまたは複数のパイプの流動特性を独立的に調整することは、さらなる改善をもたらす。前述の調整は、たとえば、パイプに接続される1つまたは複数のポンプの作動速度を調整することによって実施される。前述の改善は、たとえば、横断面全体にわたるプロセスチーズおよび/または具の均一な分布に関する。最後に、パイプは、製造を停止しなければならない時の挙動に関して有利であることが分かっている。特に、パイプを使用してる際には、機器を直ちに清掃する必要性を減少させることが分かった。前述のチューブ、パイプまたはホースの1つまたは複数は、たとえば、ステンレス鋼または適当なプラスチックから作製してもよい。
【0031】
押出される1つまたは複数の成分の流動を制御するために、特に水平式の共押出において、少なくとも1つのチューブおよび/またはパイプの横断面区域を、たとえばリッジまたはフラップによって部分的に遮ることができる。例示のために、そのようなリッジまたはフラップは、外側ポートに外側成分を供給するチューブ(ノズルのようなもの)の底部に存在してもよい。
【0032】
異なる特性を有する異種の成分に関する汎用性を提供するために、供給ライン中の1つまたは複数の障害物(リッジまたはフラップのようなもの)は、調整可能であってもよい。言い換えると、それらの位置および/または大きさ(それらの高さのようなもの)は、成分の流動に影響を与えるように調整可能であってもよい。
【0033】
内側ポートおよび外側ポートは、一般的に、押出方向に沿った異なる位置に存在する。すなわち、内側成分は、外側成分が押出される(すなわち、ポートから出る)前に外側成分中に押出されてもよい。あるいは、たとえば、最初に外側成分を押出して、次いで既に押出された外側成分中に内側成分を押出してもよい。しかしながら、実験は、実質的に同一レベルにあるポートを用いた場合、すなわち、両成分が押出方向に沿った実質的に同一の位置で押出される場合に、最良の結果を示した。特に、この場合、具を特に良好に中心に配置し、かつ外側成分によって良好に被覆されることが見いだされた。
【0034】
本願明細書に記載の機器は:
包装材料(前述の材料がその中に共押出される)を供給するための装置;および/または
共押出されたストランドを分離するための装置と組み合わせられてもよい、包装材料をそれ自身に対して封止するための装置;および/または
水浴または冷却のためにその周縁に具入りプロセスチーズが配置される冷蔵または冷却されたホイールのような冷却区域;および/または
具入りプロセスチーズを封入する個別の包装物を切断して、前述の製造物を含む独立した包装物を製造するための装置
をさらに有してもよい。前述の装置は、前述のプロセス工程と実質的に対応し、対応する利点を提供する。
【0035】
好都合な水平式のノズル設計(
図4、
図5、
図6および
図7)に関して、過圧を含む乱流を排除するための望ましい共押出条件を達成するのを補助するために、内側ポートへと通じる内側ノズルの断面積および外側ポートへと通じる外側ノズルの断面積を縮小する。ここで、内側ノズルの断面積は、好ましくは30cmの長さあたり6以下の縮小率で縮小され(すなわち、当初断面積の1/6以上の断面積まで縮小され)、外側ノズルの断面積は、好ましくは30cmの長さあたり3以下の縮小率で縮小される。
【0036】
好ましくは垂直式のノズル設計(
図2、
図3および
図8)における定常的な層流を支持するために、現状においては、ポートの上流約4cmと約10cmの間の長さとポートの開始点との間において、すなわち、ノズル22の最後の約4〜約10cmの部分において、流動方向に沿ってノズルが実質的に一定の断面積を有することが好ましい。前述のレイノルズ数に基づく考察に加えて、90mm幅の具入りシートを製造するためには、本発明者らは、外側ノズルが、好ましくは50〜85mm幅および/または10〜40mm厚さ、好ましくは60〜80mm幅および/または15〜30mm厚さ、より好ましくは65〜75mm幅および/または20〜25mm厚さであることを見いだした。たとえば、内側ノズルは、30〜80mm幅および/または2〜20mm厚さ、好ましくは40〜70mm幅および/または4〜15mm厚さ、より好ましくは45〜60mm幅および/または5〜10mm厚さである。一方または両方のノズルの形状は、たとえば、実質的に長方形であり、好ましくは内側ノズルから外側ノズルに至る距離が5〜10mmの細い楕円形であることができる。前述のように、その距離は、その周囲にわたって変化することができる。
【0037】
最後に、本発明は、プロセスチーズによって完全に封入された具を充填され、6mm、好ましくは5.5mm以下の厚さを有するプロセスチーズのシートをも提供する。具の想定される種類は、前述のようなものである。さらに、本願明細書に記載される具入りプロセスチーズのシートは、実質的に平坦な表面を有してもよく、当該実質的に平坦な表面とは、たとえば、表面の80%(すなわち、端部に向かって発生する可能性のある凹凸を無視して)にわたる厚さの変化が、10%、および/または0.5mm以下である事実によって表現される。
【0038】
新規の製造物のさらなる特徴、利益および利点に関する限りにおいて、それを製造する方法および/または装置に関する上記の記載を参照されたい。
【0039】
以下、非限定的な例および図面の参照によって本発明をさらに説明する。
【0040】
図1から理解できるように、具入りプロセスチーズのシートを製造するための機器は、共押出ノズル22に対してプロセスチーズを供給するための第1の内側チューブ32.1と、共押出ノズル22に対して具を供給するための第2の外側チューブ32.2とを有する。
図2〜
図7を参照してより詳細に説明されるように、内側チューブ32.2は、外側チューブ32.1中に挿入され、示される実施形態において、両チューブは共押出ノズル22で終了する。ノズル22を通して、その周囲全体をプロセスチーズによって包囲された具が包装材料中に押出される。当該包装材料は、共押出ノズル22において実質的に平坦な長方形の形状に成形され、実質的に連続かつホース状である。この状況において、
図1に示される機器の部分および後述される全ての部分は、チューブ32および共押出ノズル22を除いて、プロセスチーズのシートまたはスライスを製造するための既知の装置から理解できる。包装材料56がノズル22に到達する前に、それは、ロール58から巻き解かれ、種々のローラーを介していわゆるショルダー64へと通過し、ショルダー64によって包装材料は外側チューブ32.1の周囲に巻き付けられ、封止装置66によって
図1の縦方向(すなわち、垂直方向)において封止される。プロセスチーズおよび/または具は、プロセスチーズおよび/または具が貯蔵されてもよいそれぞれのタンク82からチューブ32へと送り込まれる。
【0041】
共押出ノズル22において、プロセスチーズに完全に包囲される具が包装材料56中へと押出され、この状態において、共押出されたストランド16の厚さを減少させるための装置40として機能するローラー42の間のニップを通過させられる。示される実施形態において、このストランド16は、共押出されたストランド16を分離するための装置44,具体的にはさらなるローラー46の組の間のニップを通過させられる。ここで、ストランド16のそれぞれの側の2つのローラーは、リッジ(不図示)を有してもよいベルト68で連結されている。一方の側のベルト68のリッジは、他方の側のベルトのリッジと整列させられていることも図示されていない。ここで、整列されたリッジが協働して共押出されたストランド10の両側から圧力を印加し、一方の側の包装材料が他方の側の包装材料に接触し、この区域に存在するように用いられたプロセスチーズおよび具は、最終製造物におけるあらかじめ決められた位置18において横縁を形成するように側方に排除される。これは、示された実施形態においては2つの協働するローラーと該2つのローラー上に加熱されたリッジ70とを有する、さらなる装置50が、包装材料をそれ自身に対して封止して、個別に包装されたプロセスチーズのスライスを形成するためである。これらの個別に包装されたスライスは、依然として連続して状態にあり、この状態において、示される実施形態においては水浴である冷却区域52へと入る。
図1から分かるように、独立的に包装された具入りプロセスチーズのスライスは、種々のローラー72上を、前述の製造物を冷却するのに十分な時間をかけて、水浴52を通過してもよい。
【0042】
連続した一連の具入りスライスが水浴74を離れた後に、示される実施形態において、全ての残留水をブラシ76によって除去する。示される実施形態において、記載される製造物の連続的な輸送は、その上にエンドレスベルトが巻き付けられている2つの作動ローラーを有する適切なコンベアー78によって実施される。さらなる下流において、連続した一連のものを単独のシートに切断するための装置54が存在する。最後に、単独のシートまたはシートのスタックを最終包装ステーションまたは同様の装置へと輸送するためのさらなるコンベアー80が存在してもよい。
【0043】
図2は、チューブ32の詳細を示す。特に、
図2から、内側チューブ32.2が、外側チューブ32.1中に挿入され、示される実施形態においては、適切なスペーサー84によって外側チューブ32.1の内周から離間された状態で維持されていることが分かる。
図2に示される実施形態において、
図2に示される組立体を
図1に概念的に示される装置に取り付けるためのホルダー86が存在する。
【0044】
図3は、共押出ノズル22(
図2を参照)の詳細を示す。
図3に示されるように、共押出ノズル22の内側ポート26は、たとえば、第1の長辺28および曲線状の辺30を有する平坦かつ実質的に長方形の断面を有してもよい。外側ポート24は、たとえば、実質的に楕円状であって、内側ポート26の長辺28に沿った位置では、短辺(すなわち曲線状の辺30)においてよりも大きな距離で内側ポートから離間してもよい。
図3において、スペーサーをピンによって示したが、それは、スペーサー84を構成するための単なる例としての役割を果たすに過ぎない。内側チューブ32.2の注入口を参照符号92で示し、外側チューブ32.1の注入口を参照符号94で示す。
【0045】
図4は、代替の内側チューブ132.2の上面図を示す。
図2、
図3および
図8の実施形態が
図1の装置のために示されるような垂直式の共押出を主として意図しているにもかかわらず、この種類の内側チューブは、共押出が実質的に水平式で実施される状況および装置において特に好適であることに留意されたい。
図4の実施形態は、断面が実質的に長方形であり、
図4の上面図において示されるように押出方向Aの横方向に発散する。
【0046】
図5から、内側チューブ132.2が厚さ方向において収束していることが理解できる。この設計は、内側チューブ132.2において好都合な圧力低下をもたらすことが見いだされた。
【0047】
図6は、代替の外側チューブ132.1の上面図を示し、当該上面図から、押出方向A全体にわたる横方向において断面の幅が本質的に同一のままであることが分かる。
図6は、特にその底部90においてチューブ132.1中のプロセスチーズの流動を調整するために、回転させることによってフラップ34(
図7)の位置を調整するネジまたはノブ88を概念的に示す。したがって、フラップ34を、
図7の描画平面に対して実質的に垂直な方向に延びる軸の廻りで回転させて、ある種の障害物を提供する。当該障害物は、底部90に向かう区域において過剰なプロセスチーズが蓄積することを防止し、それによってプロセスチーズの実質的に均一な分布を提供することを補助する。
【0048】
内側チューブ132.2の注入口を参照符号92で示した。外側チューブ132.1の注入口を参照符号94で示した。内側チューブ132.2が、
図6および
図7で示される実施形態の外側チューブ132.1中に挿入されて、組み立てられた状態で外側チューブ132.1の端部96は内側チューブ132.2の段部98に接触することに留意されたい。図示および記載された発散/集束断面を有する、
図4〜
図7に示される内側チューブ132.2および外側チューブ132.1の組み合わせによって、内側チューブ132.2および外側チューブ132.1の両方における圧力降下または圧力損失が実質的に回避されることが見いだされた。具体的な実施形態において、内側チューブの断面積は、たとえば約6の縮小率で縮小する。言い換えると、内側ポート126における断面積は、内側チューブの始点(
図4および5における位置B)における断面積の約1/6である。示される実施形態において、外側チューブの形状およびその中に挿入される内側チューブの形状によって決定される外側チューブ132.1の有効断面積もまた、好都合に圧力損失を実質的に回避するように減少させられる。示される実施形態において、断面積は約3の縮小率で縮小する。言い換えると、外側ポート124における断面積は、外側チューブの始点、すなわち
図6および7における位置Cにおける断面積の約1/3である。
【0049】
示される実施形態において、押出方向Aにおける断面積の前述の変化は、上面図(
図4)において発散し、側面図(
図5)において収束する内側チューブの形状によって得られる。図示される実施形態において、外側チューブの大きさは、上面図(
図6)において概略同一の間まであるが、側面図(
図7)において収束する。さらに、前述のように、外側チューブの有効断面積は、その中に挿入される内側チューブの形状にも影響を受ける。また、
図4〜
図7に示されるように、断面積の変化は均一な方法で形成されることに留意されたい。これは、均一な押出プロセスを提供することを目的とする。特に、上面図(
図4)において発散する内側チューブと組み合わせられる前述の外側チューブの有効断面積の減少は、この点において効率的であることが証明された。内側チューブ132.2および外側チューブ132.1の(押出方向Aから見た)終点に形成される内側チューブ132.2および外側チューブ132.1のポートは、
図3に示されるように形成されてもよい。あるいはまた、外側ポート124および/または内側ポート126は、実質的に長方形の形状を有してもよい。この場合において特に、外側ポート124および内側ポート126の寸法は、製造される具入りプロセスチーズのシートの(断面)寸法に相当してもよい。すなわち、押出と独立したシートの分離との間で、共押出された具入りストランドの厚さを減少させる必要が存在しなくてもよい。
【0050】
図8は、共押出ノズル22に対してプロセスチーズおよび/または具を供給するための代替の実施形態を示す。この実施形態において、実質的に円形の断面を有する3本のパイプ100を用いて、ノズル22に対して前述の材料を供給する。より多くの数の、またはより少ない数のパイプが存在してもよいことに留意すべきである。さらに、示される実施形態において、それらパイプは、(流動方向において)ノズル22の終端より前(すなわち、ポート24、26が存在する位置より前)で終了する。示された実施形態において、中央パイプ100.2は、示される実施形態において2つのライン102に分岐し、内側ポート26において終端するノズル22の前述の部分における具の均一性を改善する。外側パイプ101および103は、ノズル22の外側区域および結果的に外側ポート24にプロセスチーズを供給する。それらパイプ100を一緒に保持するための、および/または
図1に示される装置のような装置に対するパイプ100の組立体の取付を可能にするためのホルダーを、参照符号186で示す。
【0051】
図9は、参照符号102で示される縦方向シールおよび横方向シール104においてそれ自身に封止される包装材料によって包装されたプロセスチーズのシート60の平面図である。長さ(縦方向シール102に沿って測定される)および/または幅(横方向シール104に沿って測定される)は、たとえば、8cm〜9cmであってもよい。また、
図9に示される製造物は、たとえば、30〜45gの質量、好ましくは35〜40gの質量を有してもよい。
図9の描画表面に垂直に測定される厚さすなわち高さは、たとえば、4mm〜6mmであってもよい。
【0052】
図10は、
図9の縦方向シール102に実質的に沿った、切断透視図を示す。
図10から分かるように、具14は、全ての辺をプロセスチーズ12によって被覆され、かつ本質的に全製造物の内部に存在する。特に、具が存在しない端部106の幅は、具14の上方および下方のプロセスチーズ12の厚さと実質的に同一、またはわずかに大きくてもよい。
【実施例】
【0053】
前述の製造物のプロセスチーズ12は、たとえば、以下の組成を有して製造されてもよい。
水/凝縮液 35.20%
モッツァレラチーズ 32.20%
エメンタールチーズ 9.90%
バター 9.60%
乳タンパク粉末 8.20%
乳化性塩 2.20%
乳清粉末 2.00%
塩化ナトリウム 0.50%
乳酸 0.20%
または
エメンタールチーズ 40.00%
水/凝縮液 31.50%
チェダーチーズ 9.80%
バター 5.60%
乳清粉末 4.70%
乳タンパク粉末 5.00%
乳化性塩 2.10%
塩化ナトリウム 0.80%
乳酸 0.50%
【0054】
プロセスチーズは、たとえば、チーズを粉砕し、全ての成分を混合し、混合物を(たとえば直接蒸気を用いて85℃まで)加熱し、得られるプロセスチーズを75℃まで冷却することによって、調製してもよい。その後、プロセスチーズは、前述のように共押出ノズルに供給されてもよい。
【0055】
プロセスチーズの具は、たとえば、以下の組成物から調製されてもよい。
全脂肪ソフトチーズ 72.10%
バター 11.95%
水/凝縮液 9.70%
乳タンパク粉末 5.00%
乳化性塩 0.80%
クエン酸 0.20%
塩化ナトリウム 0.15%
オレオレジンパプリカ 0.10%
上記の具は、全成分を混合し、混合物を(たとえば直接蒸気を用いて85℃まで)加熱し、引き続いて75℃まで冷却することによって調製されてもよい。その後、具(本実施例ではプロセスチーズ)は、共押出ノズルに対する供給の準備ができている。
【0056】
代替物として、ソフトホワイトチーズの具を、
全脂肪ソフトチーズ 99.80%
ローカストビーンガム 0.20%
から、それら成分を混合し、(たとえば非直接蒸気を用いて75℃まで)加熱することによって調製してもよい。引き続いて、同様に、この種の具も、共押出ノズルに対する供給の準備ができている。上記の具の両方に関して、それらの粘度は、具の厚さが増大する一方、具の全周囲に存在するプロセスチーズの厚さが減少するような区域が実質的に存在することがない、具入りプロセスチーズのシート中の具の実質的に均一な分布を可能にする範囲内にあることが見いだされた。
【0057】
得られた製造物を、
図10に示される切断されたスライスから得ることができる、具の量、およびその分布について検討した。具入りプロセスチーズのシートが、具はスライスの全重量を基準として15%のパーセンテージで存在し、信頼性の高い方法で製造できることが見いだされた。さらに、具は、
図10に示されるようにプロセスチーズによって完全に封入されていた。