特許第6091576号(P6091576)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6091576ポリメチルメタクリレート骨セメントの混合および貯蔵装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6091576
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】ポリメチルメタクリレート骨セメントの混合および貯蔵装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/28 20060101AFI20170227BHJP
【FI】
   A61F2/28
【請求項の数】26
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-195667(P2015-195667)
(22)【出願日】2015年10月1日
(65)【公開番号】特開2016-209534(P2016-209534A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2015年10月1日
(31)【優先権主張番号】10 2015 106 899.0
(32)【優先日】2015年5月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510340506
【氏名又は名称】ヘレウス メディカル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】フォクト セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】クルーゲ トーマス
【審査官】 宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−005255(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0155381(US,A1)
【文献】 特表2013−539403(JP,A)
【文献】 特開2008−044372(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0083789(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/28− 2/30
A61B 17/56
A61L 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリメチルメタクリレート骨セメントを混合するための、そして骨セメントの出発成分、前記骨セメントの出発成分としてのモノマー液およびセメント粉、を貯蔵するための装置であり、
前記骨セメントを混合するための内部空間(24、74)を有するカートリッジ(1、51)であって、可動性の予製プランジャ(2、52)によって一側上に閉じる、カートリッジ(1、51)、
モノマー液がモノマー容器(46、96)から前記装置へと流れるようにモノマー容器(46、96)が前記装置内に適切に開けられることができるような、モノマー液用のモノマー容器(46、96)および/またはモノマー液用のモノマー容器(46、96)の取付けのためのコネクタ(20、70)、
前記モノマー液がそれを通って前記カートリッジ(1、51)の前記内部空間(24、74)へと導かれることができる連結導管(38、88)、
を備える装置であって、
前記連結導管(38、88)に中空円筒(12、62)が接続され、前記中空円筒(12、62)は、前記モノマー容器(46、96)または前記モノマー容器(46、96)用の前記コネクタ(20、70)と、前記カートリッジ(1、51)の前記内部空間(24、74)との間に配置され、
それにより、前記中空円筒(12、62)内に軸方向に変位されることができるポンピングプランジャ(14、64)が前記中空円筒(12、62)内に配置され、
それにより、前記モノマー液は、前記開けられたモノマー容器(46、96)から前記中空円筒(12、62)へと流れることができて、前記連結導管(38、88)は、前記中空円筒(12、62)を前記カートリッジ(1、51)の前記内部空間(24、74)に適切に接続して、そうすると、前記ポンピングプランジャ(14、64)を作動させることによって、前記ポンピングプランジャ(14、64)は、前記中空円筒(12、62)から前記連結導管(38、88)を通って前記カートリッジ(1、51)の前記内部空間(24、74)へとモノマー液を押すために用いることができる、
ことを特徴とする、装置。
【請求項2】
外側から作動されることのできる混合設備(26、76)が前記カートリッジ(1、51)内に配置され、それにより、前記混合設備(26、76)は、前記予製プランジャ(2、52)のフィードスルーを通して前記カートリッジ(1、51)の内部へと導かれて、可動性の支持面のように支持される混合ロッド(4、54)によって作動されることができることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記予製プランジャ(2、52)は、粉に対して不透過性であり、それにより、前記予製プランジャ(2、52)内に配置される、ガスに対して透過性であり、かつ粉に対して不透過性である孔フィルタを有することを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記カートリッジ(1、51)の前記内部空間(24、74)は、前記セメント粉を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記連結導管(38、88)と前記カートリッジ(1、51)の前記内部空間(24、74)との間に、前記セメント粉に対して不透過性であり、かつ前記モノマー液に対して透過性であるフィルタ(32、82)が配置されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記装置は、前記連結導管(38、88)の少なくとも一部がその中に配置されるベース(10、60)を備え、それにより、前記カートリッジ(1、51)は、ねじによって着脱可能に前記ベース(10、60)に接続されて、それにより、該当する場合、前記セメント粉不透過性で、かつ前記モノマー液透過性のフィルタ(32、82)は、前記ベース(10、60)の前記カートリッジ(1、51)への接続部(34、84)に配置されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記中空円筒(12、62)および前記モノマー容器(46、96)、または、前記中空円筒(12、62)および前記モノマー容器(46、96)の取付けのための前記コネクタ(20、70)は、解放不能な方法で前記ベース(10、60)に接続していることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記モノマー容器(46、96)または前記モノマー液または前記モノマー容器(46、96)の取付けのための前記コネクタ(20、70)は、前記ポンピングプランジャ(14、64)の真下で前記中空円筒(12、62)へと終端することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記装置は、それによって前記モノマー容器(46、96)が接続装置の内部で開けられることのできる前記モノマー容器(46、96)を開けるための開口手段(21、71)を備え、それにより、前記開けられたモノマー容器(46、96)の断片または小片が保持されることのできる前記中空円筒(12、62)への接続部に配置される篩(45、95)またはフィルタ(45、95)を有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記モノマー容器(46、96)は、前記中空円筒(12、62)への接続部より上に配置されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記連結導管(38、44、88、94)は、前記中空円筒(12、62)の最下位点で前記中空円筒(12、62)に接続していて、それにより、前記中空円筒(12、62)の反対側に配置される前記ポンピングプランジャ(14、64)を有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記中空円筒(12、62)は、前記ポンピングプランジャ(14、64)と反対側に、円錐形の、半球形の、または他の任意の下向きテーパーがついた床(41、91)を備え、それにより、前記中空円筒(12、62)の前記床(41、91)に面する前記ポンピングプランジャ(14、64)の表面(42、92)は、前記床(41、91)のネガ像を形成することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記ポンピングプランジャ(14、64)は、手で前記中空円筒(12、62)内を軸方向に押圧されることができることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記中空円筒(12、62)は、透明であり、前記中空円筒(12、62)内の液体の充填レベルを示すマーキングを備えることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記中空円筒(12、62)から前記カートリッジ(1、51)の前記内部空間(24、74)へと前記モノマー液を押圧するために、前記ポンピングプランジャ(14、64)が前記中空円筒(12、62)にねじ込まれることができるように、前記中空円筒(12、62)は、雌ねじを備え、そして前記ポンピングプランジャ(14、64)は、螺合する雄ねじを備えることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記装置は、張力をかけられた圧縮ばね(67)およびロック機構(65)を備え、それにより、前記圧縮ばね(67)および/または前記ポンピングプランジャ(64)は、解放可能な方法で前記ロック機構(65)によって係止され、それにより、前記ロック機構(65)が解放されるときに、前記圧縮ばね(67)は、前記ポンピングプランジャ(64)が前記中空円筒(62)へと押圧されるという趣旨で、前記ポンピングプランジャ(64)上に圧力を働かせることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記予製プランジャ(2、52)が前記カートリッジ(1、51)の前記内部空間(24、74)において軸方向に移動することができるように、前記予製プランジャ(2、52)は、解放可能なスナップ式の装置によって前記カートリッジ(1、51)に接続していて、それにより、前記スナップ式の装置は、軸方向の力の作用によって手動で解放されることができることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
前記中空円筒(12、62)と前記カートリッジ(1、51)の前記内部空間(24、74)との間の前記連結導管(38、44、88、94)は、上向きのループ(40、90)を備え、それにより、前記ループ(40、90)の最上位の位置は、前記モノマー容器(46、96)の、または前記中空円筒(12、62)への前記モノマー容器(46、96)用の前記コネクタ(20、70)の、接合部(44、94)より上にあることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
前記中空円筒(12、62)の容量は、前記モノマー容器(46、96)内の前記モノマー液の量よりも少ないかまたは等しいことを特徴とする、請求項1〜18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記カートリッジ(1、51)の前記内部空間(24、74)は、下側で、液透過性の方法で前記連結導管(38、88)に接続していることを特徴とする、請求項1〜19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
骨セメントを混合するための、請求項1〜20のいずれか1項に記載の装置を用いて骨セメントを混合するための方法であって、以下の経時的ステップ、
A)モノマー容器(46、96)が開けられるステップ、
B)モノマー液が前記モノマー容器(46、96)から中空円筒(12、62)へと流れて、それにより、前記中空円筒(12、62)がポンピングプランジャ(14、64)によって一側上に境を接するステップ、
C)前記ポンピングプランジャ(14、64)が前記中空円筒(12、62)へと押し込まれて、したがって、モノマー液が前記中空円筒(12、62)から、そして連結導管(38、88)を通って、前記カートリッジ(1、51)の前記内部空間(24、74)へと押圧されて、それにより、セメント粉が前記カートリッジ(1、51)の前記内部空間(24、74)内に位置するステップ、および、
D)前記モノマー液および前記セメント粉が前記カートリッジ(1、51)の前記内部空間(24、74)において混合されるステップ、
を含む、方法。
【請求項22】
一旦前記ポンピングプランジャ(14、64)が前記中空円筒(12、62)へと完全にまたはマーキングまで押し込まれたときだけ、前記モノマー液および前記セメント粉が前記カートリッジ(1、51)の前記内部空間(24、74)において混合されて、それにより、前記マーキングは、前記カートリッジ(1、51)の前記内部空間(24、74)に供給される前記モノマー液のための計量器であることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
それが回転されることができて長手方向に変位されることができるように前記カートリッジ(1、51)の前記内部空間(24、74)に導かれる混合ロッド(4、54)を動かすことによって混合設備(26、76)を操作することにより、前記モノマー液および前記セメント粉は、前記混合設備(26、76)によって前記内部空間(24、74)において混合されて、それにより、前記混合ロッド(4、54)は、混合後にリミットストップまで前記カートリッジ(1、51)の前記内部空間(24、74)から引き抜かれた後、前記混合ロッド(4、54)は、予め定められた破損部位で折られることを特徴とする、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
前記モノマー容器(46、96)は、開口手段(21、71)を作動させるかまたは起動させることによって開けられて、それにより、前記開口手段(21、71)によって開くように壊されるモノマー容器(46、96)を有することを特徴とする、請求項21〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記ポンピングプランジャ(14、64)は、張力をかけられた弾性ばね要素(67)によって前記中空円筒(12、62)へと押し込まれて、それにより、前記ポンピングプランジャ(14、64)および/または前記ばね要素(67)を係合しているロック機構(65)を最初に解放することを特徴とする、請求項21〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
生セメント生地を有する前記カートリッジ(1、50)は、前記連結導管(38、44、88、94)、中空円筒(12、62)、およびモノマー容器(46、96)から解放されることを特徴とし、そして、前記カートリッジ(1、51)内で軸方向に可動性であるように支持されて、そして一側上で前記カートリッジ(1、51)の前記内部空間(24、74)と境を接する予製プランジャ(2、52)を前進させることによって、前記生セメント生地は、前記カートリッジ(1、51)の前記内部空間(24、74)から予製されることを特徴とする、請求項21〜25のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの出発成分からポリメチルメタクリレート骨セメント(PMMA骨セメント)を混合するための、特に医学的な骨セメントを混合するための、そして、出発成分の貯蔵のための混合システムに、関する。
【0002】
本発明はさらに、ポリメチルメタクリレート骨セメントを混合するための方法に関する。
【0003】
したがって、本発明の主題は、ポリメチルメタクリレート骨セメントの貯蔵および混合装置、ならびにポリメチルメタクリレート骨セメントの混合方法である。
【背景技術】
【0004】
ポリメチルメタクリレート(PMMA)骨セメントは、Charnley卿の先駆的な仕事に基づく(Charnley,J.大腿骨の軸の人工骨頭の固定法。J.Bone Joint Surg.42 (1960) 28−30.)。PMMA骨セメントは、液体モノマー成分および粉成分から成る。モノマー成分は、モノマー(メタアクリル酸メチル)およびそれに溶けた活性化因子(N、N−ジメチル−p−トルイジン)を一般に含む。粉成分(骨セメント粉とも呼ばれる)は、1つ以上のポリマー、放射線不透過体(radiopaquer)および過酸化ジベンゾイル開始剤(initiator dibenzoylperoxide)を含む。粉成分のポリマーは、メタアクリル酸メチルおよびコモノマ(例えば、スチレン、アクリル酸メチル)または、例えば重合による、好ましくは懸濁重合による類似のモノマーを基礎として作られる。粉成分およびモノマー成分の混合の間、メタアクリル酸メチルの粉成分のポリマーの腫脹は、可塑的に成形されることができる生地を生成して、実際の骨セメントである。粉成分およびモノマー成分の混合の間、活性化因子(N、N−ジメチル−p−トルイジン)は、ラジカルを形成すると共に、過酸化ジベンゾイルと反応する。したがって、形成されるラジカルは、メタアクリル酸メチルのラジカル重合を起動させる。メタアクリル酸メチルの重合を前進させる際に、セメント生地の粘度は、セメント生地が凝固するまで増加する。
【0005】
メタアクリル酸メチルは、ポリメチルメタクリレート骨セメントにおいて最も一般的に使用するモノマーである。レドックス開始剤系は、通常、過酸化物、アクセラレータおよび、(適用できる場合)適切な還元剤から成る。レドックス開始剤系のすべての成分が協力して作用する場合にだけ、ラジカルは、形成される。このために、別々の出発成分におけるレドックス開始剤系の成分は、これらがラジカル重合を起動させることができないように適切に配置される。出発成分は、それらの組成が十分に提供されて貯蔵されている間、安定である。セメント生地を作るために2つの出発成分が混合されるときにだけ、レドックス開始剤系の成分は、2つのペーストにおいて別に貯蔵される以前に、液体または粉が互いに反応して、少なくとも1つのモノマーのラジカル重合を起動させるラジカルを形成する。ラジカル重合は、次いで、モノマーを消費すると共に、ポリマーの形成に至る。それにより、セメント生地は、保存に適切な状態になる。
【0006】
へらを用いて、セメント粉およびモノマー液を適切な混合ビーカーにおいて混合することによって、PMMA骨セメントは、混合されることができる。空気包含が起こる場合がありおよび/またはこのように形成されるセメント生地中に存在する場合があり、そして、保存に適切な状態の機械的性質に対する逆影響を有する場合があり、したがって、後ほど骨セメントの不安定化が生じる場合があることは、この手順の不利な点である。
【0007】
多くの真空セメンティング・システムは、骨セメント生地への空気封入を防止するために提唱された。そしてそのいくつかは、例示的目的のために以下にリストされる。特許文献1〜13。このように特定される真空セメンティング・システムでは、負圧を生成するために外部の真空ポンプを接続する必要がある。これらは、通常、ベンチュリの原理を利用する圧縮空気によって作動される。真空ポンプの作動のために必要とされる圧縮空気は、静止圧縮空気施設によって、または電気的に作動される圧縮器によって供給される。加えて、真空を生成するために電気的に作動される真空ポンプを使用することも、可能である。
【0008】
セメント粉およびモノマー液の両方が混合システムの別々の区画にすでに包装されて、セメントの使用の直前にだけセメンティング・システムにおいて互いに混合されるセメンティング・システムは、セメンティング技術の開発である。前記閉じた完全包装済みの混合システムは、以下の文献によって提案された。特許文献14〜19。前記混合システムも、外部の真空源を必要とする。
【0009】
特許文献15には、セメント・カートリッジの終了のための2つの部分の予製プランジャを有する一般的な混合システムが開示されている。ガス透過性滅菌プランジャおよびガス不透過性シーリングプランジャの組合せは、この文脈において使用される。閉じた真空混合システムのこの原理は、Heraeus Medical社によって製造され、販売される閉じたセメンティング・システム「PALACOS(登録商標) PRO」において実施される。
【0010】
特許文献20は、ポリメチルメタクリレート骨セメント粉がカートリッジに貯蔵される装置を提案する。それにより、セメント粉は、カートリッジの容量全体および、カートリッジに貯蔵されるセメント粉を用いる骨セメント生地の作成のために必要とされるモノマー液の量に対応するセメント粉の粒子間のすきまの量を満たす。前記装置の設計は、モノマー液が真空の作用によって上からカートリッジに供給されるようなものである。それにより、真空は、この目的のためにカートリッジの下側上の真空コネクタに適用される。その結果、モノマー液は、セメント粉によって引かれる。それにより、セメント粒子間のすきまに位置する空気は、モノマー液と置き換えられる。これは、したがって、攪拌機によって形成されるセメント生地の機械的混合を含まない。
【0011】
急速に膨張するセメント粉の粒子がセメント粉へのモノマー液の進入後にほぼ1〜2cmのゲル様のバリアを形成して、全てのセメント粉を通るモノマー液の移動を妨げるので、モノマー液がある場合に急速に膨張するセメント粉がこの装置を用いて混合されることができないことは、このシステムの不利な点である。そのうえ、真空の作用にさらされて、モノマー液がセメント粉に完全に浸透後に、真空コネクタを通ってモノマー液が吸い込まれることは、排除することができない。この場合、不十分な量のモノマー液は、ラジカル重合および/または混合比によって加硫に利用できる。したがって、骨セメントの濃度は、不注意に変えられる。さらに、セメント粉の粒子間に囲まれる空気がモノマー液によって上から下まで位置がずれることは、問題である。それというのも、モノマー液と比較してより小さい比重を有する空気は、セメント粉において上方へ、そして真空コネクタの方向において下向きでない方へ移動する傾向があるからである。
【0012】
真空混合システムがセメンティングのために用いられる場合、外部の真空ポンプは、設けられることを必要とする。前記真空ポンプは、高価で、使用後に掃除されることを必要とする。さらに、真空ポンプを真空混合システムに接続するためのバキュームホースは、必要とされる。前記バキュームホースは、真空混合システムで囲まれることを必要とする。したがって、真空混合システムを使用する混合の前に、真空ポンプは、外科的場所(OR)にセットアップされることを必要として、エネルギー源(例えば圧縮空気または電力)に接続していなければならない。次いで、真空ポンプは、バキュームホースによって真空混合システムに接続される。前記据付けステップは、高コストのOR時間を取り、そして潜在的にエラーを起こしやすい。真空混合システムに対する、および外部のエネルギー源および供給導管に対する真空ポンプおよび連結導管は、スペースを取り、そして手術の間に忙しい手順をしばしば妨げることができる潜在的に軽快な危険および障害である。
【0013】
興味深い概念は、特許文献21で提案された。ここで、セメント粉は、空にされたカートリッジに貯蔵される。そして、モノマー液は、別の容器に位置している。負圧に保たれるカートリッジが開けられることは、空気のいかなる進入もなくモノマー液をカートリッジに吸い込ませる。空気包含がない骨セメント生地は、したがって作られる。前記概念は、非無菌空気がカートリッジに入ることができないように、使用の前に貯蔵する間、カートリッジが真空密で閉じたままであることを必要とする。この目的のために、カートリッジは、安定な密封した方法において密閉されなければならない。したがって、1つの関連する不利な点は、設計が全く精巧であるということであり、そして、混合ロッドまたは混合管のためのフィードスルーが直ちに永久に真空密でないので、モノマー液の吸引後に外部的に作動された混合システムによってカートリッジの中身が混合されることができないということである。現在まで公知のすべての完全包装済みの混合システムは、モノマー液をセメント粉に移送するために、真空または負圧を利用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第6033105A号
【特許文献2】米国特許第5624184A号
【特許文献3】米国特許第4671263A号
【特許文献4】米国特許第4973168A号
【特許文献5】米国特許第5100241A号
【特許文献6】国際公開第99/67015A1号
【特許文献7】欧州特許第1020167A2号
【特許文献8】米国特許第5586821A号
【特許文献9】欧州特許第1016452A2号
【特許文献10】独国特許第3640279A1号
【特許文献11】国際公開第94/26403A1号
【特許文献12】欧州特許第1005901A2号
【特許文献13】米国特許第5344232A号
【特許文献14】欧州特許第0692229A1号
【特許文献15】独国特許出願公開第102009031178B3号
【特許文献16】米国特許第5997544A号
【特許文献17】米国特許第6709149B1号
【特許文献18】独国特許第69812726T2号
【特許文献19】米国特許第5588745A号
【特許文献20】国際公開第00/35506A1号
【特許文献21】欧州特許第1886647A1号
【特許文献22】独国特許第102010026496B4号
【特許文献23】米国特許第8662736B4号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、先行技術の不利な点を克服することは、本発明の目的である。具体的には、外部真空源を有する周知の真空混合システムの不利な点は、克服されるべきである。本発明の目的の1つは、単純な、閉じた装置を開発することである。そして、ポリメチルメタクリレート骨セメント粉(セメント粉)およびモノマー液は、別々の区画に貯蔵されることができて、その後、混合されることができる。2つのセメント成分のいずれかにさらされている医学ユーザなしで、医学ユーザは、装置の内部でポリメチルメタクリレート骨セメント粉およびモノマー液を組み合わせて、混合することができる。医学ユーザのポリメチルメタクリレート骨セメント粉との、そしてモノマー液とのいかなる接触も、可能な限り除外される。開発される装置は、完全包装済みの混合システムである。圧縮空気または圧縮器によって駆動される外部の真空ポンプを用いずに、モノマー液がポリメチルメタクリレート骨セメント粉に移送されることができるように、装置は、適切に設計される。さらに、最も単純な外部条件下でさえ装置が外部エネルギー源(例えば圧縮空気、真空または電流)の不存在下で機能的であることは、そして、それが骨セメント生地の生産を確実に保証することは、重要である。追加の技術的器材のない自律的な装置を使用することができる。
【0016】
セメント生地へと移されるモノマー液の量を特に制御することを可能にする装置を提供することは、本発明の別の目的である。そうすると、骨セメントの濃度およびしたがって骨セメントの処理特性を制御するために、セメント粉の量に対するモノマー液の量の比率は、変化することができる。
【0017】
さらに、モノマーの移送および完全包装済みの混合システムの混合を可能にする方法は、提供されるべきである。この文脈において、開発される混合システムは、安価なプラスチックから主に製造される。
【0018】
さらに、製造するのに安価であり、医学用セメントを混合するための作業が信頼的であり、妥当な場合にはセメントの出発成分の貯蔵のための装置、および、骨セメントを混合するための方法は、考案される。そして、妥当な場合には、外部のまたは付加的なエネルギー源を使用する必要なしで、そして混合材料において起こる空気包含なしで、単純な手動操作は、出発成分を混合するために用いることができる。
【0019】
ポリメチルメタクリレート骨セメントの混合材料としての主成分は、粉である。そして、第2成分は、液体の形で存在する。好ましくは、完全包装済みの混合システムにおいて互いに別の骨セメントの2つの出発成分を貯蔵することができて、装置を用いることによりそれらを安全に組み合わせることができる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の目的は、ポリメチルメタクリレート骨セメント(PMMA骨セメント)を混合するための、そして骨セメントの出発成分、特に骨セメントの出発成分としてのモノマー液およびセメント粉、を貯蔵するための装置であって、
1)骨セメントを混合するための内部空間を有するカートリッジであって、可動性の予製プランジャによって一側上に閉じる、カートリッジ、
2)モノマー液がモノマー容器から装置へと流れるようにモノマー容器が装置内に適切に開けられることができるような、モノマー液用のモノマー容器および/またはモノマー液用のモノマー容器の取付けのためのコネクタ、
3)モノマー液がそれを通ってカートリッジの内部空間へと導かれることができる連結導管、を備え、それにより、
4)連結導管に中空円筒が接続され、中空円筒は、モノマー容器またはモノマー容器用のコネクタと、カートリッジの内部空間との間に配置され、それにより、中空円筒内に軸方向に変位されることができるポンピングプランジャが中空円筒内に配置され、それにより、モノマー液は、開けられたモノマー容器から中空円筒へと流れることができて、連結導管は、中空円筒をカートリッジの内部空間に適切に接続して、そうすると、ポンピングプランジャを作動させることによって、ポンピングプランジャは、中空円筒から連結導管を通ってカートリッジの内部空間へとモノマー液を押すために用いることができる、装置によって対処される。
【0021】
モノマー液用のモノマー容器またはモノマー容器用のコネクタと、カートリッジとの間に配置されている中空円筒は、これらの間に中空円筒が幾何学的に配置されることを意味しない。むしろ、モノマー液が流れておよび/または、開けられたモノマー容器からカートリッジの方向に汲み出されるときに、それは、流体接続(すなわちモノマー液の流れ方向)に関して、モノマー容器またはモノマー容器用のコネクタと、カートリッジとの間に配置される。
【0022】
開けられたモノマー容器から中空円筒へと流れるモノマー液のために、開けられたモノマー容器は、この目的のために中空円筒に接続されて、好ましくは、合流点によって中空円筒に接続される。
【0023】
付加的な力の作用なしで流れることが可能なモノマー液のために、重力が所望の流れ方向を遂行するように、装置は、意図された目的にしたがって組み立てられなければならない。したがって、本発明の範囲において使われる、上部および底部、上および下、そして最上位および最下位の用語は、意図された目的にしたがう装置の組立てに関して常に理解される。
【0024】
カートリッジの内部空間は、幾何学的円筒を有することが好ましい。円筒形は、カートリッジの内部空間および中空円筒が実施することができる最も単純な形状である。円筒形の内部形状は、いかなるフットプリントを有する一般の(すなわちちょうど円形のフットプリントを有するシリンダでない)シリンダも意味するために、幾何学的に理解される。したがって、内部空間の内壁は、いかなるフットプリントも有するシリンダであることができる。そして、中空円筒のジャケットは、いかなるフットプリントも有する(すなわち、非円形または円形のフットプリントを含む)シリンダであることができる。しかしながら、回転対称のフットプリントを有する幾何学的円筒は、本発明によって好ましい。
【0025】
良好なポンピング効果を達成するために、そして、ポンピングプランジャからのモノマー液の漏出を防止するために、ポンピングプランジャは、中空円筒の内壁に関して流体密の方法で閉じる。この目的のために、中空円筒の内壁に関してポンピングプランジャを切り離す円周シールは、設けられることができる。
【0026】
本発明によれば、モノマー容器用のコネクタに取り付けられるモノマー容器を有すること、または、モノマー容器用のコネクタに挿入されるモノマー容器を有することは、好ましい。
【0027】
好ましくは、ポリメチルメタクリレート骨セメントは、少なくとも2つの成分から混合されておよび/または作り出されることができる。特に好ましくは、1つの成分は液体(モノマー液)であり、そして、他の成分は粉体である。
【0028】
本発明によれば、混合材料のための、特にPMMA骨セメントのための出発成分は、カートリッジおよびモノマー容器においてすでに存在する。
【0029】
本発明によれば、特に容器が装置に挿入されるときに、または、容器が装置の固定された一部であるときに、装置はまた、出発成分の貯蔵のために適していることが好ましい。
【0030】
本発明は、外側から作動されることのできる混合設備をカートリッジ内に配置して、それにより、混合設備は、予製プランジャのフィードスルーを通してカートリッジの内部へと導かれて、例えば可動性の支持面のように支持される混合ロッドによって、好ましくは作動されることができることを提案する。
【0031】
特に好ましくは、混合ロッドは、フィードスルーにおいて回転することができて、例えば長手方向において変位可能なように支持面のように支持される。混合設備によって、カートリッジの内部空間の中身は、混合ロッドによって都合よく混合されることができる。低粘性骨セメントの使用を参照すると、混合ロッドおよび混合設備の使用をなしで済ませることが可能である。それというのも、モノマー液は、セメント粉体粒子間の孔すきまの空気を移動させて、セメント粉が膨張する前にセメント粉体粒子を濡らすからである。
【0032】
本発明は、粉に対して不透過性である予製プランジャをそのうえ提供することができる。それにより、予製プランジャ内に配置される、ガスに対して透過性であり、かつ粉に対して不透過性である孔フィルタを有することは、好ましい。
【0033】
孔フィルタリングは、好ましくは孔ディスクとして設けられることができる。粉に対する不透過性は、セメント粉がカートリッジの内部から漏れるのを防止することができる。予製プランジャがガス透過性である場合、内部空間は、例えば、予製プランジャを通るガス(例えばエチレンオキシド)によって空にされることができて、殺菌されることができる。
【0034】
本発明はまた、カートリッジの内部空間に含まれるセメント粉を提案する。
【0035】
本発明は、モノマー容器に含まれるモノマー液をそのうえ提供することができる。その結果、装置は、アプリケーションの前にセメント粉で満たされる必要のない既製の完全包装済みの混合システムを形成する。セメント粉は、使用の前にモノマー液と別のカートリッジ内に貯蔵される。
【0036】
さらに、本発明は、連結導管とカートリッジの内部空間との間に配置される、セメント粉に対して不透過性であり、かつモノマー液に対して透過性であるフィルタを提供することができる。
【0037】
セメント粉は、この手段によって、連結導管に浸透することを、そして、モノマー液が供給されるときにこの空間において重合することを、そして、連結導管を不注意に詰まらせておよび/または凝集させることを、防止することができる。
【0038】
さらなる展開によれば、本発明は、連結導管の少なくとも一部がその中に配置されるベースを備え、それにより、カートリッジは、着脱可能な方法でベースに接続され、特にねじによって着脱可能にベースに接続されて、それにより、該当する場合、セメント粉不透過性で、かつモノマー液透過性のフィルタは、装置のベースに好ましくは配置され、特に好ましくはベースのカートリッジへの接続部に配置される、装置を提供することができる。
【0039】
その結果、装置は、容易に組み立てられることができて、作動されることができる。
【0040】
この文脈において、本発明は、ベースに接続していて、好ましくは解放不能な方法でベースに接続している、中空円筒およびモノマー容器、または、中空円筒およびモノマー容器の取付けのためのコネクタを提供することができる。
【0041】
これは、装置の特に単純なそして安価な設計を可能にする。
【0042】
本発明の好ましい実施形態は、中空円筒のジャケット表面上で中空円筒に終端して、好ましくはポンピングプランジャの真下で中空円筒に終端するために、モノマー液用のモノマー容器またはモノマー容器の取付けのためのコネクタを提供することができる。
【0043】
この手段によって、モノマー液の全てが中空円筒へと流れ込むことができて、そして中空円筒を満たすことができることが保証されることができる。さらに、空気は、この位置の中空円筒から特に容易に排出されることができる。
【0044】
さらに、本発明は、それによってモノマー容器が接続装置の内部で開けられることのできるモノマー容器を開けるための開口手段を備え、それにより、開けられたモノマー容器の断片または小片が保持されることのできる中空円筒への接続部に配置される篩またはフィルタを有することは、好ましい、装置を提供することができる。
【0045】
この文脈において、壊れやすいガラスアンプルであるモノマー容器を提供することは、好ましくあり得る。
【0046】
装置の一部である開口手段によって、装置は、そのうえ長期においてモノマーの貯蔵のために使用することができる。適切な開口手段は、例えば特許文献22から公知である。
【0047】
中空円筒へのモノマー液の流れを引き起こすために重力の利用を含む本発明の改良は、中空円筒への接続部より上に配置されるモノマー容器を提案する。
【0048】
その結果、モノマー容器が開かれた後、重力は、モノマー液をモノマー容器から中空円筒へと流れさせる。あるいは、モノマーは、そのうえ絞り出される方がよくて、したがって、中空円筒に流れ込む。
【0049】
好ましい装置は、連結導管が下側上で中空円筒に接続して、好ましくは中空円筒の最下位点で中空円筒に接続していて、それにより、中空円筒の反対側に配置されるポンピングプランジャを有することは、特に好ましいことをそのうえ特徴とすることができる。
【0050】
その結果、全てのモノマー液は、流出することができておよび/またはポンピングプランジャから圧搾されることができる。
【0051】
本発明はさらに、中空円筒がポンピングプランジャと反対側に、円錐形の、半球形の、または他の任意の下向きテーパーがついた床を備え、それにより、中空円筒の床に面するポンピングプランジャの表面は、好ましくは床のネガ像を形成することを提案する。
【0052】
その結果、全てのモノマー液は、流出することができておよび/またはポンピングプランジャから圧搾されることができる。これは、中空円筒の最下位点まで全てのモノマー液の流れがあり、「デッド」スペースがないことを意味する。そして、モノマー液は、ポンピングプランジャの作動の際に背後に留まる。中空円筒の内部形状に対するポンピングプランジャの形状の適応のせいで、中空円筒に残っているモノマー液のいかなる残余もなしにポンピングプランジャの動作に応じて、全てのモノマー液は、中空円筒から連結導管に向かう開口部の方向へポンピングプランジャによって押圧される。さらに、前記円錐または球面および/またはマッチする形状を有するポンピングプランジャの正面は、ポンピングプランジャが下におよび/またはベースの方向に移動するときに、中空円筒のモノマー液より上の空気が中空円筒のジャケット表面の開口を通して漏れることができること、そして、カートリッジの内部空間へのおよび/またはセメント粉へのモノマー液の移送の間、モノマー液より上に気泡が残らないことを確実にする。
【0053】
好ましい実施形態は、ポンピングプランジャが手で中空円筒内を軸方向に動かされることができて、好ましくは手で中空円筒内を軸方向に押圧されることができることを提供する。
【0054】
その結果、手で中空円筒からモノマー液を押圧して、それをカートリッジの内部空間へ移送することは、可能である。
【0055】
操作を単純化するために、そして本発明による装置のより多くの可変性を提供するために、本発明は、透明であり、中空円筒内の液体の充填レベルを示すマーキングを備える中空円筒をそのうえ提供することができる。
【0056】
この手段によって、マーキングで測定されるモノマー液の量は、中空円筒へと満たされることができておよび/またはカートリッジの内部空間へと中空円筒から押圧されることができる。これは、濃度がモノマーの量によって与えられる骨セメント生地を生産するために装置を使用するためにオプションを与える。あるいは、ポンピングプランジャの定義済みの前進を可能にするために、そしてしたがって、中空円筒からモノマー液の定義済みの量を押圧することが可能であるために、中空円筒は、そのうえ透明でありえず、そして、マーキングは、中空円筒から突出するポンピングプランジャの端部上に設けられることができる。したがって、このタイプのデザインについては、中空円筒からカートリッジの内部空間のセメント粉へとモノマー液の全ての量を押圧すること、ならびに中空円筒からセメント粉へとモノマー液のある部品量だけを移すことのいずれも可能である。この手段によって、粉の量に対するモノマー液の比は、調整されることができる。そしてそれは、特に制御される骨セメントの粘度と同様に、このように形成されるセメント生地が粘着しなくなるまでの期間を許容する。
【0057】
本発明は、中空円筒からカートリッジの内部空間へとモノマー液を押圧するために、ポンピングプランジャが中空円筒にねじ込まれることができるように、雌ねじを備える中空円筒、および螺合する雄ねじを備えるポンピングプランジャをそのうえ提供することができる。
【0058】
これによっても、定義済みの量のモノマー液が中空円筒からカートリッジの内部空間へと押圧されることができる。これは、モノマー液の量によってその濃度が決定される骨セメント生地を作成するために装置を使用するためのオプションを与える。
【0059】
あるいは、本発明は、張力をかけられた圧縮ばねおよびロック機構を備え、それにより、圧縮ばねおよび/またはポンピングプランジャは、解放可能な方法でロック機構によって係止され、それにより、ロック機構が解放されるときに、圧縮ばねは、ポンピングプランジャが中空円筒(62)へと押圧されるという趣旨で、ポンピングプランジャ上に圧力を働かせる、装置を提供することができる。
【0060】
類似して、中空円筒が雌ねじを備え、ポンピングプランジャが雄ねじを備える実施形態において、本発明は、ロック機構が解除された後、ポンピングプランジャを中空円筒にねじ込む張力をかけられた回転ばねを、提供することができる。
【0061】
これらの手段は、それらが装置の操作を単純化するという点で、有利である。さらに、ありうる誤った操作は、したがって防止されることができる。
【0062】
さらに、本発明は、予製プランジャがカートリッジの内部空間において軸方向に移動することができるように、解放可能なスナップ式の装置によってカートリッジに接続していて、それにより、スナップ式の装置は、特に軸方向の力の作用によって手動で解放されることができる、予製プランジャを提供することができる。
【0063】
この手段によって、例えば、カートリッジの内部空間の真空によって、生じる場合がある等の、予製プランジャの不注意な動作は、防止されることができる。
【0064】
カートリッジの内部空間が不注意にモノマー液で満たされるのを防止するために、本発明は、上向きのループを備えるために中空円筒とカートリッジの内部空間との間の連結導管であって、それにより、ループの最上位の位置は、モノマー容器の、または中空円筒へのモノマー容器用のコネクタの、接合部より上にある、連結導管を提供することができる。
【0065】
この手段によって、それが中空円筒にすでに満たされている間、モノマー液は、連結導管を通ってカートリッジの内部空間に到達するのを防止されることができる。連結導管の前記逆U型のループの効果は、ポンピングプランジャがカートリッジに向けて連結導管の方向に移動する前に、中空円筒内のモノマー液が頂点のレベルまで連結導管内のままであるということである。そして、それによって、セメント粉に向かうモノマー液の早まった進入は、防止される。特に高粘度セメントの場合、米国特許第8662736B2に記載されているように、セメント粉とのモノマー液のいかなる早期接触も、非常に少ない量でさえ、連結導管の、またはノズルの形で設けられる導管手段の、詰まりにつながることができる。連結導管は、ユーザが目でモノマーの移送を点検することができるように、透明または半透明でありえる。この目的のために、特に、最も高い頂点を有するループが見られ得る点検窓は、装置に設けられることができる。
【0066】
さらに、本発明は、モノマー容器内のモノマー液の量よりも少ないかまたは等しい中空円筒の容量を提供することができる。
【0067】
これは、ポンピングプランジャが作動するときに、空気がセメント粉に沿って押し込まれるのを防止する。
【0068】
さらに、本発明は、その下側に液透過性の方法で連結導管に接続されるカートリッジの内部空間を提供することができる。
【0069】
特許文献23によれば、連結導管は、内部空間の正面のノズルに出て行くことができる。前記ノズルは、接続手段へのセメント粉のいかなる進入も防止する。
【0070】
実施形態の別の異型において、カートリッジの内部空間は、液透過性の方法で連結導管に対して横方向のジャケット表面上に接続される。この手段によって、カートリッジの内部空間のセメント粉へと側部を介してモノマー液を移すことは、そのうえ可能である。
【0071】
好ましくは、中空円筒、カートリッジ、および連結導管、ならびに、存在する場合、ベース、混合設備、および混合ロッドは、プラスチック材料から成り、そして、プラスチック射出成形によって安価に製造されることができる。
【0072】
本発明の基礎をなす目的はまた、特に本発明による装置によって、骨セメントを混合するための方法であって、以下の経時的ステップ、
A)モノマー容器が開けられるステップ、
B)モノマー液がモノマー容器から中空円筒へと流れて、それにより、中空円筒がポンピングプランジャによって一側上に境を接するステップ、
C)ポンピングプランジャが中空円筒へと押し込まれて、したがって、モノマー液が中空円筒から、そして連結導管を通って、カートリッジの内部空間へと押圧されて、それにより、セメント粉がカートリッジの内部空間内に位置するステップ、および、
D)モノマー液およびセメント粉がカートリッジの内部空間において混合されるステップ、を含む、方法によって解決される。
【0073】
好ましくは、モノマー液は、重力の作用によって、中空円筒に流れ込む。
【0074】
この文脈において、本発明は、一旦ポンピングプランジャが中空円筒へと完全にまたはマーキングまで押し込まれたときだけ、カートリッジの内部空間において混合されて、それにより、マーキングは、カートリッジの内部空間に供給されるモノマー液のための計量器である、モノマー液およびセメント粉を提供することができる。
【0075】
その結果、このように生じる骨セメント生地は、モノマー液の所望の混合物によって所望の濃度に到達すると保証されることができる。
【0076】
本発明はまた、それが回転されることができて長手方向に変位されることができるようにカートリッジの内部空間に導かれる混合ロッドを動かすことによって混合設備を操作することにより、モノマー液およびセメント粉は、混合設備によって内部空間において混合されて、それにより、好ましくは、混合ロッドは、混合後にリミットストップまでカートリッジの内部空間から引き抜かれて、そして特に好ましくは、リミットストップまで引き抜かれた後、混合ロッドは、予め定められた破損部位で折られる、ことを提案する。
【0077】
その結果、方法は、手動操作によって容易に実行されることができる。
【0078】
さらに、本発明は、開口手段を作動させるかまたは起動させることによって開けられるモノマー容器であって、それにより、開口手段によって開くように壊されるモノマー容器を有することは好ましい、モノマー容器を提供することができる。
【0079】
その結果、全体の装置が外側に関して閉じられるように、モノマー容器は、装置の内部で開かれることができる。
【0080】
本発明はまた、ポンピングプランジャが張力をかけられた弾性ばね要素によって中空円筒へと押し込まれて、それにより、この目的のためにポンピングプランジャおよび/またはばね要素を係合しているロック機構を最初に解放することは好ましい、ことを提案する。
【0081】
これは、本発明による方法のさらなる最適化を達成し、加えて、ありうる誤った操作を防止する。
【0082】
そして、最後に、生セメント生地を有するカートリッジは、連結導管、中空円筒、およびモノマー容器から解放され、そして、カートリッジ内で軸方向に可動性であるように支持されて、そして一側上でカートリッジの内部空間と境を接する予製プランジャを前進させることによって、生セメント生地は、カートリッジの内部空間から予製される、ことを提供することができる。
【0083】
本発明は、骨セメントにおいて同時に形成するいかなる干渉する空気包含もなしに、ポンピングプランジャによって、モノマー液がカートリッジの内部空間に下から押し込まれることができるという、驚くべき発見に基づく。その結果、装置は、外部エネルギー源または内部エネルギー貯蔵なしで主に用いられることができる。特に、真空源および真空−タイプのコネクタおよび構成要素を使用する必要がない。そしてそれは、より開発されていない場所ならびに局所使用または野戦病院での使用を著しく単純化する。さらに、本発明による完全包装済みの混合システムは、真空漏れが起こりえないので、ありうる障害により影響されなくて、したがって非常に使用の準備ができていそうである。
【0084】
本発明による装置および/または本発明による方法は、モノマー容器が開かれた後、例えば、モノマー液が、重力の作用によって中空円筒に流れ込むために、そして、ポンピングプランジャの手動動作によって中空円筒からセメント粉を含んでいるカートリッジの内部空間に押し込まれるために、提供されることができる。これは、モノマー液の移送が真空の作用よりもむしろ圧力の作用によって進行することを意味する。そしてそれは、現在、混合システムと対照的に市場に出ている。手で遂行される圧力の作用による前記モノマー移送は、プラスチック射出成形によって作られことができる単純なプラスチック部品を用いて安価に実現されることができる。本発明による装置の特別な利点は、外部の援助(例えば、圧縮空気真空ポンプ)の不存在下で、そして外部エネルギー源(例えば、圧縮空気または電流)の不存在下で、装置が作動され得るということである。その結果、本発明による装置は、自律的に使用されることができて、最も単純な操作条件下でさえ使用されることができる。本発明による装置は、価格に敏感な市場用の閉じた完全包装済みの混合システムを提供する。
【0085】
圧力の作用を通してカートリッジの内部空間の下側からセメント粉へと供給されるモノマー液が均一な正面の底部から上部に移ることは、本発明の範囲において明らかである。この手段によって、セメント粉の粒子間のすきまに存在する空気は、位置がずれて、上部の方へ押し出される。その結果、空気包含は、防止される。本発明による装置および本発明による方法によって作られる骨セメント生地が主に空気包含がなくて、真空において作られるセメント生地のそれに等しい品質を有することは、驚くべきことに、本発明の範囲において明らかである。
【0086】
本発明のさらなる例示的実施形態は、本発明の範囲を制限しないけれども7つの概略図に基づいて以下に例示される。
【図面の簡単な説明】
【0087】
図1図1は、完全包装済みの混合システムの形で、本発明による装置の概略的斜視図を示す。
図2図2は、図1による装置の2つの断面AおよびBを有する上面図を示す。
図3図3は、図2による断面Aに対応する概略的断面図において、図1および図2による装置を示す。
図4図4は、図2による断面Bに対応する概略的断面図において、図1図2および図3による装置の詳細を示す。
図5図5は、完全包装済みの混合システムの形で、本発明による代わりの装置の概略的斜視図を示す。
図6図6は、概略的断面図において、図5による装置を示す。
図7図7は、図4および図5による装置の詳細の、すなわち、圧縮ばねのためのロック機構としての締金を有する中空円筒の、概略的断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0088】
図3図4図6、および図7の断面図の割面は、ハッチングによって確認される。
【0089】
図1〜4は、本発明による方法を実行するために適切である本発明による第1の装置の概略図を示す。この文脈において、図1は、完全包装済みの混合システムの形で、本発明による装置の概略的斜視図を示し、図2は、図1による装置の2つの断面AおよびBを有する上面図を示し、図3は、図2による断面Aに対応する概略的断面図において、図1および図2による装置を示し、そして、図4は、図2による断面Bに対応する概略的断面図において、図1図2および図3による装置の詳細を示す。
【0090】
装置は、作られるPMMA骨セメントの出発成分としてのセメント粉を含むカートリッジ1を備える。カートリッジ1は、予製プランジャ2によって、上側(図1および図3の上部、図2のオブザーバの方向)を閉じられる。予製プランジャ2は、カートリッジ1の壁に関して係止されることができる。真空コネクタ3は、予製プランジャ2に設けられていて、カートリッジ1の内部を空にするために用いることができる。そして、理論的には、カートリッジ1の中身の滅菌のためにエチレンオキシドが真空コネクタ3を通して満たされることができる。混合ロッド4は、予製プランジャ2に中心フィードスルーを通して案内されて、カートリッジ1に引き込まれそして引き出されることができて、それが予製プランジャ2において、したがってカートリッジ1において回転することができるように、支持面のように支持される。混合ロッド4の手動操作のためのハンドル部分6は、混合ロッド4の上端(図1および図3の上部、図2のオブザーバの方向)に取り付けられる。
【0091】
カートリッジ1は、装置のベース10上のソケット8の領域において解放可能な方法でベース10に取り付けられる。ベース10と同じ部分に設けられるために、中空円筒12は、ベース10の上側に配置されて、その中に配置されるポンピングプランジャ14を有する。そしてそれは、その内側に適合して、中空円筒12の内部に(図1および図3の下向き、図2のオブザーバの方向から画面へ)押圧されることができておよび/または押し込まれることができる。
【0092】
中空円筒12は別として、ベース10上に設けられて、装置のモノマー容器46用のコネクタ20の一部を形成する接続ソケット18がある。接続ソケット18は別として、モノマー容器46用のコネクタ20は、モノマー容器46用の弾性レセプタクル21、および、モノマー容器46が挿入された後、モノマー容器46用のコネクタ20が外側に関して閉じることができる蓋22を備える。モノマー容器46は、コネクタ20の内側に、そして装置において配置される。モノマー容器46は、作られるPMMA骨セメントのための第2成分としてのモノマー液で満たされるガラスアンプルである。弾性レセプタクル21は、ゴムまたは他の弾性プラスチック材料から成る。
【0093】
装置の設計に関する詳細は、図3および図4から明白である。カートリッジ1の内側は、セメント粉を含む円筒状内部空間24によって形成される。さらに、カートリッジ1の内部空間24は、混合ロッド4に取り付けられて、混合ロッド4によって内部空間24を移動することができるように配置された複数の混合羽根26からなる混合設備26を有する。予製プランジャ2は、2つの部分であるように設計されて、滅菌プランジャ28(図3の予製プランジャの上部)および、シール29によって内部空間24の内壁に関してシールされるシーリングプランジャ30(図3の予製プランジャの下部)から成る。シーリングプランジャ30は、ガス透過性であるが、しかし粉不透過性であり、それを通して内部空間24が空にされることができる孔ディスクを備える。予製プランジャ2は、円筒状外周を有して、内部空間24の壁に対して密に閉じる。予製プランジャ2は、予製プランジャ2と正反対であるカートリッジ1の内部空間24の側に配置される予製開口の方向において、内部空間24内を推進されることができる。
【0094】
ベース10に対するカートリッジ1の接続のために、雄ねじを有して、それに配置される粉不透過性でかつ液透過性のフィルタ32を有するベースコネクタ34は、カートリッジ1への接続として設けられる。ベースコネクタ34の雄ねじに螺合する雌ねじを有するカートリッジコネクタ36は、予製プランジャ2と正反対であるカートリッジ1の内部空間24の側に設けられる。カートリッジコネクタ36は、カートリッジ1の予製開口と境を接する。カートリッジコネクタ36は、ベースコネクタ34にねじ留めされて、それに対して密に閉じる。
【0095】
連結導管34は、中空円筒12とカートリッジ1の内部空間24との間に設けられて、中空円筒12をカートリッジ1の内部空間24に接続する。セメント粉がカートリッジ1の内部空間24から連結導管38に入るのを防止するフィルタ32は、カートリッジ1の内部空間24への接合部に配置される。連結導管38は、連結導管38を通ってカートリッジ1の内部空間24へのモノマー液のいかなる非制御移動も防止するために、高い頂点を有するループ40を形成する。小さい点検窓を有するハウジング16は、ループ40のカバーおよび目視点検のために設けられる。
【0096】
ソケット8、ベース10、中空円筒12、ハウジング16、およびモノマー容器46のための接続ソケット18は、例えば射出成形によって、プラスチック材料から単一部品の形で作られる。中空円筒12は、下向き方向において着実にテーパーがつく漏斗形状床41によって、その下側(図3の底部)を制限される。これは、モノマー液の全てが流れることができておよび/または中空円筒12から押し出されることができることを確実にする。ポンピングプランジャ14は、プラスチック材料でできた中空体によって形成されて、中空円筒12の床41のネガ像として、その底面42上に形づくられる。ポンピングプランジャ14は、シール43によって中空円筒12の内壁に関してシールされて、それが長手方向(図3の下向き)において可動性であるように、中空円筒12に支持面として支持される。
【0097】
中空円筒12へのモノマー容器46用のコネクタ20の接合部44は、ポンピングプランジャ14の下部表面42の真下で、中空円筒12のジャケット表面上に設けられる。接合部44がそれに配置される中空円筒12を有するモノマー液のための連結導管38、44の一部であると解釈されることができるように、接合部44は、モノマー液のための導管手段を形成する。
【0098】
開かれたモノマー容器46の断片および部分がトラップされることができる篩45またはフィルタ45は、モノマー容器46用のコネクタ20において配置される。モノマー容器46は、折られることができるアンプル頭部47および、開くように壊されることができる頸部を有するガラスアンプル46であり、それにより、頸部は、アンプル頭部47をアンプル46の本体に接続する。モノマー容器46用のレセプタクル21の弾力のせいで、そして頸部の領域で広げられているレセプタクル21のせいで、その中にモノマー容器46を有するレセプタクル21を曲げることによって、モノマー容器46の頭部47は、折られることができる。この手段によって、適切な形、特に頸部の領域で広げられている形を有するレセプタクル21は、モノマー容器46を開けるための開口手段21を形成する。モノマー容器46の頭部47を切り取るための他の開口手段は、ちょうど同様に実施されることができる。
【0099】
接合部44の方向に傾けられる傾斜した床面48は、篩45および/またはフィルタ45の下で接続ソケット18に設けられる。この手段によって、全てのモノマー液は、モノマー容器46から接合部44を通って中空円筒12へと流れることができる。
【0100】
本発明による方法は、例えば以下のように、図1図4による装置によって実施することができる。装置は、テーブル上に、または他のいかなる適切なレベル支持部上にも、ベース10によって配置される。頭部47を折っておよび/または開くように壊すことにより弾性レセプタクル21をよじらせることによって、モノマー容器46は、開けられる。モノマー容器46からのモノマー液は、篩45および/またはフィルタ45を通って流れる。それにより、モノマー容器46の断片は保持される。傾斜した床面48は、接合部44を通って中空円筒12にモノマー液を導く。中空円筒12の空き内部空間は、モノマー液で完全に満たされている。それというのも、モノマー容器46は、中空円筒12によって取り上げられることができるよりも多くのモノマー液を含むからである。含有空気は、接合部44を通って逃げる。それというのも、接合部44は、中空円筒12およびポンピングプランジャ14によって境を接する空間の最上位に位置しているからである。この文脈において、ループ40が接合部44より明らかに上に配置されて、そしてまた、圧力がない場合にモノマー液がこのレベルまで上昇しないように、コネクタ20のモノマー液の液面より上に配置されるので、モノマー液は、ループ40の頂点を越えて流れることができない。
【0101】
その後、中空円筒12から連結導管38を通ってカートリッジ1の内部空間24へとモノマー液の所望量を移送しておよび/または押圧するために、ポンピングプランジャ14は、中空円筒12内に完全にまたは部分的に押し込まれることができる。ポンピングプランジャ14を中空円筒12内に異なる深さレベルまで挿入することによって、圧入されるモノマー液の量は、調整されることができる。この目的のために、マーキング(図示せず)は、ポンピングプランジャ14の外側に設けられることができる。または、マーキングは、中空円筒12上に位置していて、中空円筒12は、透明材料から成る。モノマー液は、フィルタ32を通ってカートリッジ1の内部空間24へと圧入されている。そしてそこで、それは上昇して、カートリッジ1の内部空間24に貯蔵されるセメント粉と混ざる。
【0102】
所望の量がカートリッジ1の内部空間24に満たされた後、モノマー液およびセメント粉を手動で混合するために、混合設備26および/または混合ロッド4は、ハンドル部分6によって押し込まれて、引き出されて、回転される。そして、セメント生地および/またはPMMA骨セメントは、したがって混合される。混合が完了した後、混合ロッド4は、リミットストップまでカートリッジ1の内部空間24から引き抜かれて、それが後の時に妨げないことを確実にするために折られる。該当する場合、予製プランジャ2のロック機構は、解除されることができる。その後、カートリッジ1は、ベース10からねじを外されて、予製管(図示せず)は、カートリッジコネクタ36上の雌ねじにねじ留めされることができる。その後、生骨セメントは、予製プランジャ2を内側へ押圧することによって、予製開口および予製管を通してカートリッジの内部空間から放出されることができる。そして、生骨セメントは、適用されることができる。
【0103】
図5図7は、本発明による方法を実行するために適切である本発明による第2の代わりの装置の概略図を示す。この文脈において、図5は、完全包装済みの混合システムの形で、本発明による代わりの装置の概略的斜視図を示し、図6は、概略的断面図において、図5による装置を示し、そして、図7は、図4および図5による装置の詳細の概略的断面図を示す。
【0104】
装置は、作られるPMMA骨セメントの出発成分としてのセメント粉を含むカートリッジ51を備える。カートリッジ51は、予製プランジャ52によって、上側(図5および図6の上方)を閉じられる。予製プランジャ52は、カートリッジ51の壁に関して係止されることができる。真空コネクタ53は、予製プランジャ52に設けられていて、カートリッジ51の内部を空にするために用いることができる。そして、理論的には、カートリッジ51の中身の滅菌のためにエチレンオキシドが真空コネクタ3を通して満たされることができる。混合ロッド54は、予製プランジャ52に中心フィードスルーを通して案内されて、カートリッジ51に引き込まれそして引き出されることができて、それが予製プランジャ52において、したがってカートリッジ51において回転することができるように、支持面のように支持される。混合ロッド54の手動操作のためのハンドル部分56は、混合ロッド54の上端(図5および図6の上部)に取り付けられる。
【0105】
カートリッジ51は、装置のベース60上のソケット58の領域において解放可能な方法でベース60に取り付けられる。ねじ蓋63によって閉じられる中空円筒62は、ベース60と同じ部品として設けられて、ベース60の上側上に配置される。中空円筒62の内部に(図5および図6の下向き)押圧されることができておよび/または押し込まれることができる適切なポンピングプランジャ64は、中空円筒62内に配置される。ポンピングプランジャ64は、締金65および/またはロック機構65を解除することなく中空円筒62の内部にそれが持ち込まれることができないように、ロック機構65として作用する締金65によって係止される。ねじ蓋63に対してもたれかかる張力をかけられた圧縮ばね67は、ポンピングプランジャ64の内部に配置される。それを引き抜く(図7で上方へ引く)ことによって締金65および/またはロック機構65が解除された後、圧縮ばね67は、ポンピングプランジャ64を中空円筒62へと下に押し込む。
【0106】
中空円筒62は別として、ベース60上に設けられて、装置のモノマー容器96用のコネクタ70の一部を形成する接続ソケット68がある。接続ソケット68は別として、モノマー容器96用のコネクタ70は、モノマー容器96用の弾性レセプタクル71、および、モノマー容器96が挿入された後、モノマー容器96用のコネクタ70が外側に関して閉じることができる蓋72を備える。モノマー容器96は、コネクタ70の内側に、そして装置において配置される。モノマー容器96は、作られるPMMA骨セメントのための第2成分としてのモノマー液で満たされるガラスアンプルである。弾性レセプタクル71は、ゴムまたは他の弾性プラスチック材料から成る。
【0107】
装置の設計に関する詳細は、図6および図7から明白である。カートリッジ51の内側は、セメント粉を含む円筒状内部空間74によって形成される。さらに、カートリッジ51の内部空間74は、混合ロッド54に取り付けられて、混合ロッド54によって内部空間74を移動することができるように配置された複数の混合羽根76からなる混合設備76を有する。予製プランジャ52は、2つの部分であるように設計されて、滅菌プランジャ78(図6の予製プランジャの上部)および、シール79によって内部空間74の内壁に関してシールされるシーリングプランジャ80(図6の予製プランジャの下部)から成る。シーリングプランジャ80は、ガス透過性であるが、しかし粉不透過性であり、それを通して内部空間74が空にされることができる孔ディスクを備える。予製プランジャ52は、円筒状外周を有して、内部空間74の壁に対して密に閉じる。予製プランジャ52は、予製プランジャ52と正反対であるカートリッジ51の内部空間74の側に配置される予製開口の方向において、内部空間74内を推進されることができる。
【0108】
ベース60に対するカートリッジ51の接続のために、雄ねじを有して、それに配置される粉不透過性でかつ液透過性のフィルタ82を有するベースコネクタ84は、カートリッジ51への接続として設けられる。ベースコネクタ84の雄ねじに螺合する雌ねじを有するカートリッジコネクタ86は、予製プランジャ52と正反対であるカートリッジ51の内部空間74の側に設けられる。カートリッジコネクタ86は、カートリッジ51の予製開口と境を接する。カートリッジコネクタ86は、ベースコネクタ84にねじ留めされて、それに対して密に閉じる。
【0109】
連結導管84は、中空円筒62とカートリッジ51の内部空間74との間に設けられて、中空円筒62をカートリッジ51の内部空間74に接続する。セメント粉がカートリッジ51の内部空間74から連結導管88に入るのを防止するフィルタ82は、カートリッジ51の内部空間74への接合部に配置される。連結導管88は、連結導管88を通ってカートリッジ51の内部空間74へのモノマー液のいかなる非制御移動も防止するために、高い頂点を有するループ90を形成する。小さい点検窓を有するハウジング66は、ループ90のカバーおよび目視点検のために設けられる。
【0110】
ソケット58、ベース60、中空円筒62、ハウジング66、およびモノマー容器96のための接続ソケット68は、例えば射出成形によって、プラスチック材料から単一部品の形で作られる。中空円筒62は、下向き方向において着実にテーパーがつく漏斗形状床91によって、その下側(図6の底部)を制限される。これは、モノマー液の全てが流れることができておよび/または中空円筒62から押し出されることができることを確実にする。ポンピングプランジャ64は、プラスチック材料でできた中空体によって形成されて、中空円筒62の床91のネガ像として、その底面92上に形づくられる。ポンピングプランジャ64は、シール93によって中空円筒62の内壁に関してシールされて、それが長手方向(図6の下向き)において可動性であるように、中空円筒62に支持面として支持される。
【0111】
中空円筒62へのモノマー容器96用のコネクタ70の接合部94は、ポンピングプランジャ64の下部表面92の真下で、中空円筒62のジャケット表面上に設けられる。接合部94がそれに配置される中空円筒62を有するモノマー液のための連結導管88、94の一部であると解釈されることができるように、接合部94は、モノマー液のための導管手段を形成する。
【0112】
開かれたモノマー容器96の断片および部分がトラップされることができる篩95またはフィルタ95は、モノマー容器96用のコネクタ70において配置される。モノマー容器96は、折られることができるアンプル頭部97および、開くように壊されることができる頸部を有するガラスアンプル96であり、それにより、頸部は、アンプル頭部97をアンプル96の本体に接続する。モノマー容器96用のレセプタクル71の弾力のせいで、そして頸部の領域で広げられているレセプタクル71のせいで、その中にモノマー容器96を有するレセプタクル71を曲げることによって、モノマー容器96の頭部97は、折られることができる。この手段によって、適切な形、特に頸部の領域で広げられている形を有するレセプタクル71は、モノマー容器96を開けるための開口手段71を形成する。モノマー容器96の頭部97を切り取るための他の開口手段は、ちょうど同様に実施されることができる。
【0113】
接合部94の方向に傾けられる傾斜した床面98は、篩95および/またはフィルタ95の下で接続ソケット68に設けられる。この手段によって、全てのモノマー液は、モノマー容器96から接合部94を通って中空円筒62へと流れることができる。
【0114】
本発明による方法は、例えば以下のように、図5図7による装置によって実施することができる。装置は、テーブル上に、または他のいかなる適切なレベル支持部上にも、ベース60によって配置される。頭部97を折っておよび/または開くように壊すことにより弾性レセプタクル71をよじらせることによって、モノマー容器96は、開けられる。モノマー容器96からのモノマー液は、篩95および/またはフィルタ95を通って流れる。それにより、モノマー容器96の断片は保持される。傾斜した床面98は、接合部94を通って中空円筒62にモノマー液を導く。中空円筒62の空き内部空間は、モノマー液で完全に満たされている。それというのも、モノマー容器96は、中空円筒62によって取り上げられることができるよりも多くのモノマー液を含むからである。含有空気は、接合部94を通って逃げる。それというのも、接合部94は、中空円筒62およびポンピングプランジャ64によって境を接する空間の最上位に位置しているからである。この文脈において、ループ90が接合部94より明らかに上に配置されて、そしてまた、圧力がない場合にモノマー液がこのレベルまで上昇しないように、コネクタ70のモノマー液の液面より上に配置されるので、モノマー液は、ループ90の頂点を越えて流れることができない。
【0115】
その後、締金65は、装置から引き抜かれる。そして、したがって、ポンピングプランジャは、ロック解除される。圧縮ばね67の機械的張力のせいで、ポンピングプランジャ64は、次いで、中空円筒62内に完全に押し込まれる。そして、この手段によって、モノマー液は、中空円筒62から連結導管88を通ってカートリッジ51の内部空間74へと移送されておよび/または押圧される。モノマー液は、フィルタ82を通ってカートリッジ51の内部空間74へと圧入されている。そしてそこで、それは上昇して、カートリッジ51の内部空間74に貯蔵されるセメント粉と混ざる。
【0116】
モノマー液がカートリッジ51の内部空間74に満たされた後、モノマー液およびセメント粉を手動で混合するために、混合設備76および/または混合ロッド54は、ハンドル部分56によって押し込まれて、引き出されて、回転される。そして、セメント生地および/またはPMMA骨セメントは、したがって混合される。混合が完了した後、混合ロッド54は、リミットストップまでカートリッジ51の内部空間74から引き抜かれて、それが後の時に妨げないことを確実にするために折られる。該当する場合、予製プランジャ52のロック機構は、解除されることができる。その後、カートリッジ51は、ベース60からねじを外されて、予製管(図示せず)は、カートリッジコネクタ86上の雌ねじにねじ留めされることができる。その後、生骨セメントは、予製プランジャ52を内側へ押圧することによって、予製開口および予製管を通してカートリッジの内部空間から放出されることができる。そして、生骨セメントは、適用されることができる。
【0117】
以前の記述において、そして請求項、図、および例示的実施形態において開示される本発明の特徴は、単独のそして任意の組合せの両方の本発明のさまざまな実施形態の実施にとって本質でありえる。
【符号の説明】
【0118】
1,51…カートリッジ
2,52…予製プランジャ
3,53…真空コネクタ
4,54…混合ロッド
6,56…ハンドル部分
8,58…ソケット
10,60…ベース
12,62…中空円筒
14,64…ポンピングプランジャ
16,66…連結導管のループのためのハウジング
18,68…接続ソケット
20,70…モノマー容器用のコネクタ
21,71…モノマー容器/開口手段用の弾性レセプタクル
22,72…蓋
24,74…カートリッジの内部空間
26,76…混合羽根/混合設備
28,78…滅菌プランジャ
29,79…シール
30,80…シーリングプランジャ
32,82…粉不透過性でかつ液透過性のフィルタ
34,84…雄ねじを有するベースコネクタ
36,86…雌ねじを有するカートリッジコネクタ
38,88…連結導管
40,90…連結導管のループ
41,91…中空円筒の床
42,92…ポンピングプランジャの下部表面
43,93…シール
44,94…中空円筒/連結導管への接合部
45,95…篩/フィルタ
46,96…ガラスアンプル/モノマー容器
47,97…ガラスアンプルの頭部/モノマー容器の頭部
48,98…モノマー容器用のコネクタの傾斜した床面
63…ねじ蓋
65…ロック機構/締金
67…張力をかけられた圧縮ばね

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7