【実施例】
【0039】
実施例1
急性COPD増悪を有する患者に経口投与した3−[5−アミノ−4−(3−シアノベンゾイル)−ピラゾール−1−イル]−N−シクロプロピル−4−メチルベンズアミドの単一75mg用量の有効性、安全性および忍容性を評価するための調査、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同研究
急性COPD増悪を有する患者に経口投与される3−[5−アミノ−4−(3−シアノベンゾイル)−ピラゾール−1−イル]−N−シクロプロピル−4−メチルベンズアミド(化合物A)の単一75mg用量の有効性、安全性および忍容性を実施した。
【0040】
研究目的は、以下の通りであった。
第一目的:プラセボと比べて、治療の最初の5日間でのFEV
1の改善により測定される増悪を呈するCOPD患者における化合物Aの単一の75mg用量の有効性を評価する
第二目的:安全性および忍容性、患者報告結果、ならびに次の増悪までの時間。
【0041】
研究デザイン
90名の患者を無作為に1:1:1の3つの治療群に分けた。
治療A(n=15)
=1日目に化合物Aの単一75mg用量+プレドニゾン プラセボ×10日間
治療B(n=15)
=1日目に化合物A プラセボの単一用量+プレドニゾン プラセボ×10日間
治療C(n=15)
=1日目に化合物A プラセボの単一用量+40mgの経口によるプレドニゾン プラセボ×10日間
すべての治療群
=ドキシサイクリン100mg用量×10日間または局所処方抗生物質ガイドラインと併用の非マクロライド抗生物質。
3、5および14日目の訪問および30および90日間のフォローアップ訪問。研究訪問は6カ月間で終了。
第1暫定分析は、5日目の患者45名を含んだ。
本データ(present data)(第2暫定)は、30日間のフォローアップを伴う総計91名の無作為に選ばれた患者を含む。
【0042】
調査対象母集団のための包含基準は、以下の通りであった。
・男性/女性 40歳以上〜80歳以下
・GOLDステージ 2〜4
・喫煙歴 少なくとも10たばこの箱年(10 pack years)
・治験責任医師により画定されたCOPD増悪
【0043】
調査対象母集団のための除外基準は以下の通りであった。
・動脈血pH 無作為で7.26未満
・臨床的に制御されていない左心不全の病歴または存在
・肺炎の臨床的または放射線学的証拠
・長期酸素 1日当たり15時間超
・臨床的に重要なECG異常の病歴
・腎機能障害の病歴または存在
・無作為化の48時間以内のマクロライド抗生物質の使用
【0044】
主要な有効性エンドポイント
・5日目のベースラインからのFEV
1改善
・BORGスコア
・EXACT PRO:
・回復は、発症に続く14日間にわたる最大観察スコア(MOV:3日周期平均を使用する最高EXACTスコア)を基準にして9ポイント以上のEXACTスコアの減少と定義される。
・回復時間
・重度
・最大重度−30日間での最高exactスコア
・総重症度−発症(すなわち1日目)〜回復/30日目(どちらが最初に来るにせよ)の総exactスコアを基準にする曲線下面積。
・増悪の期間(発症から回復/30日目までの日数)
・30日目で回復した患者の頻度
・治療の失敗:
・経口コルチコステロイドを用いて治療した患者が、COPDに関連する症状で病院に入院した、COPDに関連する抗生物質療法に変更された、または主治医の意見で、別の増悪のための治療を必要とした。
【0045】
定義
ベースラインは、安定な状況であり、4週間毎にリセットし、第4週の最後の7日間がベースライン値をリセットするのに使用される。
事象の発症は、連続2日間の患者の平均ベースラインスコアから12ポイント以上のEXACTスコアの増加(2日間の1日目を1日目(事象の発症)とする)、または連続3日間の患者の平均ベースラインから9ポイント以上の増加(3日間の1日目を事象の1日目(発症)とする)として定義される。
回復は、3日周期平均を使用して7日間持続する事象の14日間の最大観測値から少なくとも9ポイントのEXACTスコアの改善または減少と定義される。
事象期間は、発症、3日周期平均、最大観測値、改善および回復の閾値により定義される。
3日周期平均は、増悪時に起こり得るEXACTスコアの日々の変動を説明するのに使用される(それは発症の1日目に始まり、回復の1日目に終了する)。
【0046】
本研究の結果を、以下の表に要約する。
【表1】
【0047】
これらの結果は、化合物Aを用いて治療した患者は、プラセボまたはプレドニゾン(経口ステロイド)を用いた患者より、本研究で参加を中止しない傾向が強かったことを示す。
【表2】
【0048】
これらの結果は、群間(プレドニゾン群FEV
1 p>0.05 対 化合物Aおよびプラセボ群)で人口統計に違いがないことを示す。
【表3】
【0049】
これらの結果は、化合物Aを用いて治療を受ける患者が、プラセボおよびプレドニゾンに比べ、FEV
1では3日目で大きな改善を示したことを示す。
【0050】
ベースラインからのFEV
1変化は、繰り返し測定のためのANCOVA(分散分析)モデルを用いて分析した。見積もられた患者間の標準偏差 約200ml。
【0051】
化合物Aを用いて治療を受ける患者の60%は、3日目で100ml超の改善をした。プラセボを用いて治療を受ける患者の27%は、3日目で100ml超の改善をした。
【表4】
【0052】
これらの結果は、化合物Aを用いて治療を受ける患者は、プレドニゾンを用いて治療を受けた患者より14日間にわたり平均で息切れがより少なかったことを示す。
【0053】
LSは、最小二乗の略語である。
【0054】
治療失敗の複合エンドポイントは、抗生物質、経口ステロイド、死亡、入院、または別の増悪を示唆する治験責任医師の意見での治療を伴う再治療と定義した。各治療の治療失敗は、以下の通りであった。
・化合物A=患者0名
・プラセボ(標準治療+抗生物質のみ)=患者5名
・プレドニゾン=患者5名
【0055】
安全性の結果を以下の表に要約する。
【表5】
【0056】
これらの結果は、単一用量として投与された化合物Aが、安全で耐容性良好であったことを示す。COPD有害事象は、化合物Aに関して何も観察されなかった。
【0057】
ベースラインでのCOPD増悪のための最初の入院は、重篤有害事象(SAE)として記録しなかった。それに続く入院のみを記録した。表5は、本研究の少なくとも2名の被験者が経験した有害事象のみを示す。発疹は認められなかった。異常な事象または治療群間の不均衡は認められなかった。
【0058】
上記の個々のセクションで言及した、本発明の種々の特徴および実施形態は、必要な変更を加えて、他のセクションに適切に適用する。したがって、一セクションで挙げられる特徴は、他のセクションで挙げられる特徴と適切に組み合わせることができる。
【0059】
当業者は、単なるルーチン実験を使用して、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態に多くの等価物を認めることになり、または確認できることになる。そのような等価物は、以下の特許請求の範囲に含まれるものと意図される。
本発明は、以下の態様を包含し得る。
[1]
慢性閉塞性肺疾患の急性増悪の治療に使用するための3−[5−アミノ−4−(3−シアノベンゾイル)−ピラゾール−1−イル]−N−シクロプロピル−4−メチルベンズアミドまたは医薬的に許容されるその誘導体。
[2]
慢性閉塞性肺疾患の急性増悪の治療に使用するための3−[5−アミノ−4−(3−シアノベンゾイル)−ピラゾール−1−イル]−N−シクロプロピル−4−メチルベンズアミドまたは医薬的に許容されるその誘導体の単一用量。
[3]
慢性閉塞性肺疾患の急性増悪を治療するための医薬の製造における3−[5−アミノ−4−(3−シアノベンゾイル)−ピラゾール−1−イル]−N−シクロプロピル−4−メチルベンズアミドの使用。
[4]
慢性閉塞性肺疾患の急性増悪の治療のための医薬の製造における、単一用量の3−[5−アミノ−4−(3−シアノベンゾイル)−ピラゾール−1−イル]−N−シクロプロピル−4−メチルベンズアミドの使用。
[5]
3−[5−アミノ−4−(3−シアノベンゾイル)−ピラゾール−1−イル]−N−シクロプロピル−4−メチルベンズアミドまたは医薬的に許容されるその誘導体の有効量を、それを必要とする被験者に投与する工程を含む、慢性閉塞性肺疾患の急性増悪の治療方法。
[6]
3−[5−アミノ−4−(3−シアノベンゾイル)−ピラゾール−1−イル]−N−シクロプロピル−4−メチルベンズアミドまたは医薬的に許容されるその誘導体の単一用量が投与される、上記[5]に記載の方法。
[7]
前記単一用量が50〜100mgの3−[5−アミノ−4−(3−シアノベンゾイル)−ピラゾール−1−イル]−N−シクロプロピル−4−メチルベンズアミドまたは医薬的に許容されるその誘導体を含む、上記[6]に記載の方法。
[8]
前記単一用量が60〜90mgの3−[5−アミノ−4−(3−シアノベンゾイル)−ピラゾール−1−イル]−N−シクロプロピル−4−メチルベンズアミドまたは医薬的に許容されるその誘導体を含む、上記[6]に記載の方法。
[9]
前記単一用量が75mgの3−[5−アミノ−4−(3−シアノベンゾイル)−ピラゾール−1−イル]−N−シクロプロピル−4−メチルベンズアミドまたは医薬的に許容されるその誘導体を含む、上記[6]に記載の方法。
[10]
前記単一用量が75mgの遊離形態の3−[5−アミノ−4−(3−シアノベンゾイル)−ピラゾール−1−イル]−N−シクロプロピル−4−メチルベンズアミドを含む、上記[6]に記載の方法。
[11]
3−[5−アミノ−4−(3−シアノベンゾイル)−ピラゾール−1−イル]−N−シクロプロピル−4−メチルベンズアミドまたは医薬的に許容されるその誘導体を含有する経口投与のための医薬組成物。
[12]
50〜100mgの3−[5−アミノ−4−(3−シアノベンゾイル)−ピラゾール−1−イル]−N−シクロプロピル−4−メチルベンズアミドまたは医薬的に許容されるその誘導体を含有する、上記[11]に記載の医薬組成物。
[13]
60〜90mgの3−[5−アミノ−4−(3−シアノベンゾイル)−ピラゾール−1−イル]−N−シクロプロピル−4−メチルベンズアミドまたは医薬的に許容されるその誘導体を含有する、上記[12]に記載の医薬組成物。
[14]
75mgの3−[5−アミノ−4−(3−シアノベンゾイル)−ピラゾール−1−イル]−N−シクロプロピル−4−メチルベンズアミドまたは医薬的に許容されるその誘導体を含有する、上記[13]に記載の医薬組成物。
[15]
75mgの遊離形態の3−[5−アミノ−4−(3−シアノベンゾイル)−ピラゾール−1−イル]−N−シクロプロピル−4−メチルベンズアミドを含有する、上記[14]に記載の医薬組成物。
[16]
錠剤形態である、上記[11]に記載の医薬組成物。
[17]
錠剤形態である、上記[15]に記載の医薬組成物。