特許第6091605号(P6091605)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6091605燃料電池用気体インレットマニフォールドドレイン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6091605
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】燃料電池用気体インレットマニフォールドドレイン
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/24 20160101AFI20170227BHJP
   H01M 8/2484 20160101ALI20170227BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20170227BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20170227BHJP
【FI】
   H01M8/24 R
   H01M8/24 M
   H01M8/04 J
   !H01M8/10
【請求項の数】12
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-513984(P2015-513984)
(86)(22)【出願日】2012年5月24日
(65)【公表番号】特表2015-520933(P2015-520933A)
(43)【公表日】2015年7月23日
(86)【国際出願番号】US2012039232
(87)【国際公開番号】WO2013176668
(87)【国際公開日】20131128
【審査請求日】2015年5月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】591006586
【氏名又は名称】アウディ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】AUDI AG
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】トミー・スキバ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ジョン・カーニヴェイル
【審査官】 ▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−236975(JP,A)
【文献】 特開2003−346869(JP,A)
【文献】 特開2006−139944(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0107704(US,A1)
【文献】 特開2009−064619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/24
H01M 8/04
H01M 8/2484
H01M 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体を燃料電池に導入するように構成された気体インレットマニフォールドと、
前記気体を燃料電池から離れるように方向付けるために構成された気体アウトレットマニフォールドと、
前記気体インレットマニフォールドを前記気体アウトレットマニフォールドに接続するドレインチャネルであって、前記気体インレットマニフォールドから前記気体アウトレットマニフォールドへ液体を運ぶように構成されるとともに、前記燃料電池内部において前記気体インレットマニフォールドと前記気体アウトレットマニフォールドとの間に配設された気体流路とは独立して前記燃料電池外部に配設された、ドレインチャネルと、
前記ドレインチャネルを通過する気体の流れを制限するために、前記ドレインチャネルに関連するように設けられた流れ絞り弁であって、ウェットシールを備えた流れ絞り弁と、
を備え
前記ウェットシールは多孔性部材を備え、
前記多孔性部材は、液体が前記多孔性部材を通過することを可能にし、前記多孔性部材を通過する気体の流れを制限する、マニフォールドアセンブリ。
【請求項2】
前記ドレインチャネルは、チューブを備える、請求項1に記載のマニフォールドアセンブリ。
【請求項3】
前記気体インレットマニフォールドは、上端及び下端を有し、
前記ドレインチャネルは、前記気体インレットマニフォールドの前記下端に近接する開口部に連結される、請求項1に記載のマニフォールドアセンブリ。
【請求項4】
前記流れ絞り弁は、前記ドレインチャネル内に位置する、前記気体インレットマニフォールドと前記ドレインチャネルとの間の接合面に位置する、又は気体インレットマニフォールドの下端に近接する位置に設けられた開口部を横断して位置する、の少なくとも1つであり、
前記ドレインチャネルは、前記開口部に接続されている、請求項1に記載のマニフォールドアセンブリ。
【請求項5】
前記ドレインチャネルは、液体を少なくとも一時的に保持するように構成された屈曲部を有し、それにより前記保持された液体が前記屈曲部を通過する気体流れを制限する、請求項1に記載のマニフォールドアセンブリ。
【請求項6】
電気化学反応を促進させるように構成された複数のセルを含むセルスタックアセンブリと、
前記セルスタックアセンブリの反応ガス入口側に設けられた気体インレットマニフォールドであって、気体をセルスタックアセンブリへ導入するように構成された気体インレットマニフォールドと、
前記セルスタックアセンブリの反応ガス出口側に設けられた気体アウトレットマニフォールドであって、気体を前記セルスタックアセンブリから離れるように方向付けるように構成された気体アウトレットマニフォールドと、
前記気体インレットマニフォールドを前記気体アウトレットマニフォールドに接続するドレインチャネルであって、前記気体インレットマニフォールドから前記気体アウトレットマニフォールドへ液体を運ぶように構成されるとともに、前記燃料電池内部において前記気体インレットマニフォールドと前記気体アウトレットマニフォールドとの間に配設された気体流路とは独立して前記燃料電池外部に配設された、ドレインチャネルと、
前記気体インレットマニフォールドから前記ドレインチャネルへの気体の流れを制限するために、前記ドレインチャネルに関連するように設けられた流れ絞り弁であって、ウェットシールを備えた流れ絞り弁と、
を備え
前記ウェットシールは多孔性部材を備え、
前記多孔性部材は、液体が前記多孔性部材を通過することを可能にし、前記多孔性部材を通過する気体の流れを制限する、燃料電池。
【請求項7】
前記ドレインチャネルは、チューブを備える、請求項に記載の燃料電池。
【請求項8】
前記流れ絞り弁は、前記ドレインチャネル内に位置する、前記気体インレットマニフォールドと前記ドレインチャネルとの間の接合面に位置する、又は気体インレットマニフォールドの下端に近接する位置に設けられた開口部を横断して位置する、の少なくとも1つであり、
前記ドレインチャネルは、前記開口部に接続されている、請求項に記載の燃料電池。
【請求項9】
前記ドレインチャネルは、液体を少なくとも一時的に保持するように構成された屈曲部を有し、それにより前記保持された液体が前記屈曲部を通過する気体流れを制限する、請求項に記載の燃料電池。
【請求項10】
燃料電池で使用するための流体管理方法であって、
燃料電池スタックアセンブリの反応ガス入口側に設けられた気体インレットマニフォールドと前記燃料電池スタックアセンブリの反応ガス出口側に設けられた気体アウトレットマニフォールドとの間の液体ドレイン接続を確立するステップと、
前記気体インレットマニフォールドから前記液体ドレイン接続を通じて前記気体アウトレットマニフォールド内へ液体の流れを可能にするステップと、
を備え、
前記液体ドレイン接続は、前記燃料電池スタックアセンブリ内部において前記気体インレットマニフォールドと前記気体アウトレットマニフォールドとの間に配設された気体流路とは独立して前記燃料電池スタックアセンブリ外部に配設されるとともに、ウェットシールを備え
前記ウェットシールは多孔性部材を備え、
前記多孔性部材は、液体が前記多孔性部材を通過することを可能にし、前記多孔性部材を通過する気体の流れを制限する、流体管理方法。
【請求項11】
前記気体インレットマニフォールドから前記液体ドレイン接続内への気体の流れを制限するステップを備える、請求項10に記載の流体管理方法。
【請求項12】
重力が前記気体インレットマニフォールドから前記液体ドレイン接続内へ液体を方向付けることを可能にするステップと、
前記液体ドレイン接続を通じて前記気体アウトレットマニフォールドに向けて液体を強制するように、前記燃料電池スタックアセンブリに亘る圧力差を使用するステップと、
を備える請求項10に記載の流体管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
燃料電池は、電気を発生させるために電気化学反応を採用する。電気化学反応は、水素及び酸素などの反応物質を巻き込む。空気は一般的に、酸素の源として使用される。空気をセルスタックアセンブリに導入することは多くの場合、空気の湿気により水蒸気も導入する。燃料電池内に導入した空気における水蒸気の影響を管理することに関連した様々な挑戦が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
例示的なマニフォールドアセンブリは、気体を燃料電池に導入するように構成された気体インレットマニフォールドを含む。気体アウトレットマニフォールドは、気体を燃料電池から離れるように方向付けるために構成される。ドレインチャネルは、気体インレットマニフォールドを気体アウトレットマニフォールドに接続する。ドレインチャネルは、気体インレットマニフォールドから気体アウトレットマニフォールドへ液体を運ぶように構成される。
【0003】
ドレインチャネルは、気体インレットマニフォールドから凝縮液を取り除くために、そのような液体が、燃料電池への意図した気体の供給と干渉することを妨げることを可能にする。
【0004】
例示的な燃料電池は、複数のセルを有するスタックセルアセンブリを含み、これらの複数のセルは電気化学反応を促進させるように構成される。気体インレットマニフォールドは、セルスタックアセンブリの一側に設けられる。気体インレットマニフォールドは、セルスタックアセンブリに気体を導入するように構成される。気体アウトレットマニフォールドは、セルスタックアセンブリの他の側に設けられる。気体アウトレットマニフォールドは、セルスタックアセンブリから離れるように気体を方向付けるように構成される。ドレインチャネルは、気体インレットマニフォールドから気体アウトレットマニフォールドへ液体を運ぶように構成される。
【0005】
燃料電池で使用するための例示的な流体管理方法は、燃料電池スタックアセンブリの一の側に設けられた気体インレットマニフォールドと燃料電池スタックアセンブリの他の側に設けられた気体アウトレットマニフォールドとの間の液体ドレイン接続を確立するステップを含む。液体は、気体インレットマニフォールドから液体ドレイン接続を通じて気体アウトレットマニフォールド内へ流れることができる。
【0006】
開示された例の様々な特徴及び利点は、以下の詳細な説明から当業者に明らかである。
【0007】
詳細な説明に伴う図面は、以下に簡単に記載されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施形態に従って設計された燃料電池装置の選択された部分を概略的に図示する図である。
図2図1の例と矛盾しないで、実施形態で有益な例示的な流れ絞り弁を概略的に図示する図である。
図3】他の例の流れ絞り弁を概略的に図示する図である。
図4】他の例の流れ絞り弁を概略的に図示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、燃料電池装置20を概略的に示す。セルスタックアセンブリ22は、電気化学反応を促進するために構成される複数の個々のセルを含む。例示のセルは、PEM燃料電池又はりん酸燃料電池を備えてもよい。当業者は、セルスタックアセンブリがどのように配置されるか理解する。
【0010】
気体インレットマニフォールド24は、セルスタックアセンブリ22の一の側に設けられる。気体インレットマニフォールド24は、反応ガス26をセルスタックアセンブリ22に導入することを容易にする。一の例において、反応ガス26は、セルスタックアセンブリ22内に酸素を導入するための空気である。酸素は周知な方法で燃料電池内の電気的化学反応において使用される。
【0011】
図1の例は、セルスタックアセンブリ22の他の側に気体アウトレットマニフォールド28を含む。この例において、気体インレットマニフォールド24は、気体アウトレットマニフォールド28に対してセルスタックアセンブリの反対側にあるが、それは、可能とされる唯一の配置構成ではない。マニフォールド24及び28の様々な位置は可能である。
【0012】
反応ガス26を導入するための空気の使用は、気体インレットマニフォールド24内の液体凝縮の可能性を含む。空気は一般に、その中に若干の湿気又は水蒸気の量を有する。気体インレットマニフォールド24に提供された気体内の任意の湿気は、気体インレットマニフォールド24の内側表面に凝縮されてもよい。そのような凝縮は、温度差により生じる場合があり、例えば、気体インレットマニフォールド24の壁と気体インレットマニフォールド24内に導入された空気との間の温度差により生じる場合がある。図示した例示は、気体インレットマニフォールド24と気体アウトレットマニフォールド28との間に接続されたドレインチャネル30を含む。一の例において、ドレインチャネル30は、チューブを備える。ドレインチャネル30は、そのような液体が矢印32によって概略的に示されるように、ドレインチャネル30を通じて流れることを可能にするので、気体インレットマニフォールド24から液体凝縮を取り除くことを容易する。気体アウトレットマニフォールド28がセルスタックアセンブリ22から離れるように流体を方向付けるためにすでに構成されると、ドレインチャネル30からの液体は気体アウトレットマニフォールド28から取り除かれることができ、燃料電池システムの他の部分(図示していない)に向けられることができる。
【0013】
ドレインチャネル30は、重力がドレインチャネル30内への液体凝縮の動きを容易にする位置(例えば、底部又は下端に近接する位置)で気体インレットマニフォールド24に接続される。重力は、そのチャネルに沿って部分的に、ドレインチャネル内に液体を促すのに有益とされることができる。いくつかの構成において、重力は、ドレインチャネル30を通じて気体アウトレットマニフォールド28内へ液体を全体的に(the entire way)方向付けるであろう。いくつかの例において、セルスタックアセンブリ22間の圧力差は、ドレインチャネル30を通じてアウトレットマニフォールド28内へ液体を促すために少なくとも部分的に使用される。
【0014】
気体インレットマニフォールド24内に導入された気体は、セルスタックアセンブリ22に提供されるように意図される。図示した例は、ドレインチャネル30を通じた気体の流れを制限するとともに、そのチャンネルを通じた液体の流れを可能にするために、ドレインチャネル30と関連した流れ絞り弁(flow restrictor)を含む。流れ絞り弁は、ドレインチャネル30内に位置してもよく、ドレインチャネル30の間の接合面に、又はドレインチャネルが接続されたマニフォールド24における開口部を横断して位置してもよい。
【0015】
図2は、流れ絞り弁の一の例を図示する。この例は、膜40を含む。膜40の外形寸法42は、ドレインチャネル30の内形寸法、又は、ドレインチャネル30が接続された気体インレットマニフォールド24における開口部に対応する。膜は、膜の外形寸法42より非常に小さい寸法を有する開口部を含む。開口部44は、少なくとも液滴が気体インレットマニフォールド24からドレインチャネル30内へ通過することを可能にする。
【0016】
図3は、ウェットシールである別の流れ絞り弁50を概略的に図示する。流れ絞り弁50の一の例の実施形態は、ドレインチャネル30内に位置した、ドレインチャネル30と気体インレットマニフォールド24と間の接合面を横断して位置した、又は、ドレインチャネル30が接続された気体インレットマニフォールド24における開口部の上方に位置した、多孔性プレート又はディスクを備える。多孔性部材50は、液体が流れ絞り弁50を通過することを可能にする。多孔性部材50が少なくとも部分的に浸される(すなわち、孔が液体によって少なくとも部分的にブロックされる)場合に、それは、多孔性部材50を通過する気体の流れを制限する、又は妨げる。乾燥した場合でさえ、多孔性部材50は、ドレインチャネル30を通過する気体の流れを減少させる。ドレインチャネル30を通過する気体の流れを妨げる又は制限することは、セルスタックアセンブリ22に供給されたマニフォールド24内に導入された気体を可能な限り多く有することを容易にする。
【0017】
図4は、他の例の流れ弁構造を図示する。この例は、ドレインチャネル30の区域52を備える。この区域52は、液体を少なくとも一時的に保持するように構成される。この区域52内に保持された液体はバリアを確立しており、気体インレットマニフォールド24からの気体が多くの作業状態下でそのバリアを通過しないであろう。図2及び図3の例と比較して、図4の例の一の限定は、ドレインチャネル30を通過する気体流れを制限することが、ドレインチャネル30の区域52内における少なくともある程度の液体の存在に依存していることになる。
【0018】
開示された例と矛盾しないで設計されたマニフォールドアセンブリは、燃料電池装置の気体インレットマニフォールド内に内容液を管理する能力を提供する。
【0019】
前述の説明は、本質的に制限するよりもむしろ例示である。開示された例に対する変更及び修正は、この発明の本質を必ずしも逸脱しない範囲で当業者に明らかになってもよい。この発明に対して付与された法律的保護範囲は、以下の特許請求の範囲を考慮することによってのみ決定されることができる。
【符号の説明】
【0020】
22 セルスタックアセンブリ
24 気体インレットマニフォールド
26 反応ガス
28 気体アウトレットマニフォールド
30 ドレインチャネル
32 矢印
40 膜
42 外側寸法
44 開口部
50 流れ絞り弁、多孔性部材
52 区域
図1
図2
図3
図4