(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
インク流体を所与の基体位置に噴出するための第1のノズルアレイ配列と処理流体を前記基体位置に噴出するための第2のノズルアレイ配列とを含むプリントヘッドを受容するためのプリントヘッド受容アセンブリと、
プロセッサとからなる、プリンティングシステムであって、
該プロセッサが、前記インク流体及び前記処理流体を前記基体位置に堆積させる堆積順を動的に制御し、該動的な制御が、前記第1のノズルアレイ配列におけるサブグループのノズルと前記第2のノズルアレイ配列におけるサブグループのノズルとを動作させることを含み、それらサブグループのノズルが、前記堆積順に従って前記インク流体及び前記処理流体を前記基体位置に堆積させるよう空間的に選択され、
前記第1のノズルアレイ配列及び前記第2のノズルアレイ配列が、基体進行方向に沿って延びており且つ互いに平行であり、並びにそれらノズルが互い違いでない構成で配置されており、
前記第2のノズルアレイ配列が、前処理流体を噴出するための第1のアレイと後処理流体を噴出するための第2のアレイとを含み、
前記第1のノズルアレイ配列が、前記基体進行方向と直交するプリントヘッド遷移方向に対して該第1のアレイと該第2のアレイとの間にある、
プリンティングシステム。
前記第2のノズルアレイ配列における前記サブグループのノズルが、前記第1のアレイにおけるサブグループのノズルと前記第2のアレイにおけるサブグループのノズルとを含む、請求項1に記載のプリンティングシステム。
前記第1のアレイにおける前記サブグループのノズルが、前記第1のノズルアレイ配列における前記サブグループのノズルの下流側に空間的に位置するよう選択され、該第1のノズルアレイ配列における該サブグループのノズルが、前記第2のアレイにおける前記サブグループのノズルの下流側に空間的に位置するよう選択され、該下流側が、前記基体進行方向に対する下流側である、請求項2に記載のプリンティングシステム。
前記第1のノズルアレイ配列における前記サブグループのノズル及び前記第2のアレイにおける前記サブグループのノズルが、前記プリントヘッドの同じ遷移中に前記インク流体及び前記処理流体が前記基体位置に堆積されるように、互いに等しい寸法で互いに平行に選択され、前記第1のアレイにおける前記サブグループのノズルが、前記第1のノズルアレイ配列における前記サブグループのノズル及び前記第2のアレイにおける前記サブグループのノズルの下流側に空間的に位置するよう選択され、該下流側が、前記基体進行方向に対する下流側である、請求項2に記載のプリンティングシステム。
プロセッサにより読み取ることが可能な有形の媒体からなるコンピュータソフトウェア製品であって、基体上に所与のパターンをプリントするようプリンティングシステムを動作させるための一組の命令が前記媒体に格納されており、該プリンティングシステムが、インク流体を噴出するためのインクノズルアレイ配列と処理流体を噴出するための処理流体ノズルアレイ配列とを有するプリントヘッドを受容するためのプリントヘッド受容アセンブリを含み、該インクノズルアレイ配列及び該処理流体ノズルアレイ配列が、基体進行方向に沿って延び及び互いに平行となるよう構成されており、該処理流体ノズルアレイ配列が、前処理流体を噴出するための第1のアレイと後処理流体を噴出するための第2のアレイとを含み、該インクノズルアレイ配列が、前記基体進行方向と直交するプリントヘッド遷移方向に対して該第1のアレイと該第2のアレイとの間にあり、前記命令が、
メモリにロードされて前記プロセッサにより実行された際に、
前記インクノズルアレイ配列におけるサブグループのノズルと
前記処理流体ノズルアレイ配列の前記第1のアレイにおけるサブグループのノズルと
前記処理流体ノズルアレイ配列の前記第2のアレイにおけるサブグループのノズルと
を空間的に選択することにより所与の基体位置に前記インク流体、前記前処理流体、及び前記後処理流体を堆積させる堆積順を設定する、一組の命令と、
メモリにロードされて前記プロセッサにより実行された際に、
前記インクノズルアレイ配列における前記選択されたサブグループのノズル、前記第1のアレイにおける前記選択されたサブグループのノズル、及び前記第2のアレイにおける前記選択されたサブグループのノズルを動作させて、前記インク、前記前処理流体、及び前記後処理流体を前記堆積順に従って前記基体位置に堆積させる、一組の命令とを含む、コンピュータソフトウェア製品。
前記命令が更なる一組の命令を含み、該一組の命令が、メモリにロードされて前記プロセッサにより実行された際に、前記プリンティングシステムに前記基体を所定の基体進行長さだけ進行させ、前記選択されたサブグループのノズルが、該基体進行長さの倍数に対応するプリント幅を画定する、請求項7に記載のコンピュータソフトウェア製品。
前記命令が更なる一組の命令を含み、該一組の命令が、メモリにロードされて前記プロセッサにより実行された際に、前記インクノズルアレイ配列における前記選択されたサブグループのノズルと前記処理流体ノズルアレイ配列の前記第1のアレイにおける前記選択されたサブグループのノズルとの間に設定された間隙を介して前記基体位置における前記インク流体及び前記前処理流体の堆積間の時間間隔を画定し、該間隙が基体進行方向における間隙である、請求項7又は請求項8に記載のコンピュータソフトウェア製品。
前記インクノズルアレイ配列における前記選択されたサブグループのノズル及び前記処理流体ノズルアレイ配列の前記第2のアレイにおける前記選択されたサブグループのノズルが、前記プリントヘッドの同じ遷移中に前記インク流体及び前記後処理流体が前記基体位置に堆積されるように、互いに等しい寸法を有し且つ互いに平行である、請求項7ないし請求項10の何れか一項に記載のコンピュータソフトウェア製品。
前記サブグループのノズルが、前記基体進行方向に沿った前記サブグループのノズル間の間隙を画定し、該間隙の幅が、前記インク流体及び前記処理流体の前記基体位置への堆積間の時間間隔を画定するよう選択される、請求項12又は請求項13に記載のプリンティング方法。
前記前処理流体の堆積が、前記処理流体ノズルアレイ配列の前記第1のアレイのノズルアレイを介して前記基体位置に前記インク流体の定着を促進させるための定着液を噴出することを含み、及び、
前記後処理流体の堆積が、前記処理流体ノズルアレイ配列の前記第2のアレイのノズルアレイを介して前記基体位置に堆積された前記インク流体上に被覆を形成するよう前記後処理流体を噴出することを含む、
請求項12に記載のプリンティング方法。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本開示が良好に理解されるように図面を参照して様々な実施形態について説明する。
【0005】
以下の説明では、本書で開示する実施形態の理解を提供すべく多数の細部について説明する。しかし、かかる実施形態はそれら細部を用いることなく実施することが可能であることが理解されよう。限られた数の実施形態を開示するが、該実施形態からの多数の修正例及び変形例が存在することが理解されよう。様々な図面における同様の及び対応する部分には同様の符号を使用している。
【0006】
上述のように、プリント時には、複数のプリンティング流体が基体上に堆積され得る。例えば、基体に着色剤を供給するために1つ以上のインク流体を堆積させることが可能である。上述のように基体上に処理流体を堆積させることが可能である。
【0007】
プリンティング流体を付与するために、プリンティングシステムは、プリントヘッド受容アセンブリを備えることが可能である。該プリントヘッド受容アセンブリは、プリントヘッドを受容するものであり、該プリントヘッドは、少なくとも第1のプリンティング流体(例えば、インク)を所与の基体位置に射出するための第1のノズルアレイ配列と、少なくとも第2のプリンティング流体(例えば、処理流体)を前記基体位置に射出するための第2のノズルアレイ配列とを含む。(該ノズルアレイ配列は、所与のプリンティングジョブを完成させるために複数の基体位置にプリンティング流体を射出する、ということが理解されよう。)プリントヘッド受容アセンブリは、プリントヘッドが基体上に所与のパターンをプリントするよう機能的に動作することができるよう該プリントヘッドを受容するための任意の構造とすることが可能である。例えば、プリントヘッド受容アセンブリは、プリントヘッド、プリンティング流体を噴出させるよう該プリントヘッドのノズルを動作させるための電気的な接続手段、又は該プリントヘッドにかかる流体を供給するための流体的な接続手段を配置するための、機械的な接続手段を含むことが可能である。
【0008】
少なくとも幾つかのプリンティングシステムでは、ノズルアレイは、物理的に互い違いに配置されたものとすることが可能である。例えば、インクノズルアレイ及び処理流体ノズルアレイは、インク及び処理流体の2行でのシングルパスプリンティングを容易にすべく物理的に互い違いに配置することが可能である。例えば、プリントヘッドは、インクノズルアレイに対して互い違いに配置された前処理ノズルアレイを有することが可能であり、このノズルの互い違いの配置は、全ての前処理ノズルアレイがインクノズルの下流側に位置するようなものとすることが可能である(「下流側」とは、基体の進行方向に対する下流側を意味している)。かかる互い違いに配置されたプリントヘッドでは、特定の基体位置は、最初に前処理ノズルに遭遇し、次いでインクノズルに遭遇する。このため、プリントされるべき特定の基体位置の各々毎に、該基体位置の前処理の後にインクが堆積されることになる。
【0009】
異なる用途では異なる堆積順が必要となる場合がある。例えば、織物をプリントする用途では、前処理流体は、織物を通過する所望レベルのインクのにじみに応じて、インクの前又は後に付与することが可能である。前処理流体は、織物内へのインクの浸透を促進させるためにインクの堆積後に付与することが可能である。前処理流体は、織物の片面における色域(gamut)を改善するためにインクの前に発射させることが可能である。別の実施形態では、プリンティング速度を改善するために、インクと擬似同時的に(quasi-simultaneously)後処理流体(例えば、コーティング)を付与するのが有利となり得る。このため、特定の用途に応じて堆積順を変更するのが好都合となり得る。しかし、物理的に互い違いに配置されたプリントヘッドの場合の堆積順は、ノズルアレイの互い違いの配置によって決まるため、その堆積順を動的に制御することはできない。換言すれば、物理的に互い違いに配置されたプリントヘッドは、所定の堆積順に従ってプリンティング流体を付与するものとなる。
【0010】
本書における少なくとも幾つかの実施形態によれば、所与の基体位置にプリンティング流体を堆積させるための堆積順は、第1のノズルアレイ配列におけるサブグループのノズルと第2のノズルアレイ配列におけるサブグループのノズルとを選択することにより動的に制御される。より詳細には、本書における少なくとも幾つかの実施形態では、インクノズル及び処理流体ノズルのプリント幅(printing swath)を動的に削減することにより、互い違いに配置されていないプリントヘッド構成(例えば、インラインプリントヘッド構成)を使用して、物理的に互い違いに配置されたプリントヘッドをシミュレートすることができる。これにより、1つのプリントヘッドを所定の堆積順を伴うことなく動作させることが可能となる。更に、プリンティング流体(例えば、処理流体及びインク流体)が基体上に堆積される順序を動的に制御することが可能となる。
【0011】
本書で用いる場合、「堆積順の動的な制御」とは、プリントヘッドの物理的な構成を変更することなく、基体上にプリンティング流体を堆積させる順序を設定することを意味する。動的に制御される堆積順は、特定のプリントジョブについて、プリントされるべき複数の基体位置が単一の選択された堆積順に従ってプリンティング流体を受容するように設定することが可能である。別の実施形態では、動的に制御される堆積順は、特定のプリントジョブを完成させるべくプリントされるべき複数の異なる基体位置で異ならせることが可能である。
【0012】
本書で用いる「ノズルアレイ配列」とは、基体上に流体(例えば、処理流体又はインク流体)を噴出させるよう配置されたノズルの集合体を意味する。ノズル配置は、1つ以上のノズルアレイからなる。ノズル配置は、それぞれのノズルアレイを介して1つ以上のプリンティング流体を噴出させるよう構成することが可能である。例えば、処理ノズル配置は、前処理流体(例えば、定着液)、及び後処理流体(例えば、被覆剤(coater))を噴出させるための後処理ノズルアレイを含むことが可能であり、インクノズル配置は、異なる種類のインク(例えば、プリンタの基本色(例えば、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、又はブラックインク)の各々毎に1種類のインク)を噴出させるための一組のインクノズルアレイを含むことが可能である。
【0013】
「ノズルアレイ」とは、特定のプリンティング流体、例えば、特定の種類のインク(シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、又はブラックインクなど)又は特定の種類の処理流体(定着液又は被覆剤など)を噴出するよう構成された1グループのノズルを意味する。ノズルアレイにおけるノズルのグループ化は、複数の行と少なくとも1つの列をなすようにノズルを配列することが可能である。ノズルのグループ化の別の配列を実施する(例えば、ノズルをジグザグのパターンに従うものとする)ことも可能である。
【0014】
図1Aは、プリンティングシステム100を概略的に示すブロック図である。
図1B及び
図1Cは、該プリンティングシステム100の一部を異なる動作条件で示したものである。詳細には、
図1B及び
図1Cは、
図1Aに示すラインA-Aから見た正面図を異なるノズルサブグループの選択と共に示している。プリンティングシステム100についての以下の説明は、単なる例示であり、本開示のプリンティングシステムの構成及び機能を制限するものではない、ということが理解されよう。
【0015】
プリンティングシステム100は、プリントヘッド受容アセンブリ102及びプロセッサ104を含む。プリントヘッド受容アセンブリ102はプリントヘッド106を受容するものである。プリンティングシステム100は、プリントヘッド106がプリントヘッド受容アセンブリ102に受容されないシステム構成、並びにプリントヘッド106がプリントヘッド受容アセンブリ102に固定される構成を包含するものである、ということが理解されよう。プリントヘッド106は、第1のプリンティング流体(例えば、インク流体)及び第2のプリンティング流体(例えば、処理流体)を噴出するものである。
【0016】
より詳細には、
図1B及び
図1Cに示すように、プリントヘッド106は、基体位置112a上に第1のプリンティング流体を噴出するための第1のノズルアレイ配列108と、該基体位置112a上に第2のプリンティング流体を噴出するための第2のノズルアレイ配列110とを含む。ノズルアレイ配列108,110は、
図2A及び
図2Bに示すように、更なるプリンティング流体を噴出することが可能である。プリントヘッド106は、基体位置112a上にプリンティング流体を噴出するために遷移方向128に沿って横移動することが可能である。ノズルアレイ配列108,110は、基体進行方向116に沿って延びている。プリントヘッド106は、互い違いでないプリントヘッド構成で示されており、この場合、ノズルアレイ配列108,110は、互いに平行に配列されており、より詳細には、異なるアレイ中のノズル行が平行に配列されているインラインプリントヘッド構成を有している。
【0017】
例示のため、第1のノズルアレイ配列108及び第2のノズルアレイ配列110は、プリンティング流体を噴出するための単一のノズルアレイをそれぞれ含むものとして
図1B及び
図1Cに示されている。プリントヘッド106のノズルアレイ配列は、
図2Aに示すように、複数のプリンティング流体を噴出するための複数のノズルアレイを含むことが可能である、ということが理解されよう。ノズルアレイ配列108,110は、
図1B及び
図1Cでは、単一のプリントヘッドアセンブリ(例えば、異なるプリンティング流体を噴出するための複数のノズルアレイを含む単一の組み立てられたプリントヘッドユニット)において提供されるものとして示されている。別の実施形態では、プリントヘッド106は、基体108上にインク又は処理流体を噴出するよう構成された複数のプリントヘッドユニットからなる(
図2A参照)。
【0018】
プロセッサ104は、基体位置112a上にプリンティング流体を堆積させるための堆積順を動的に制御するものである。該堆積順を動的に制御するために、プロセッサ104は制御データ114にアクセスすることが可能である。例えば、制御データ114は、プロセッサ104により読み出すことが可能な媒体(
図2及び
図3参照)に格納することが可能であり、又は別の態様でプロセッサ104に提供することが可能である。この動的な制御は、第1のノズルアレイ配列108内のサブグループ108aのノズル及び第2のノズルアレイ配列110内のサブグループ110aのノズルを動作させることを含む。該サブグループ108a,110aのノズルは、特定の堆積順に従って基体上にプリンティング流体を堆積させるよう空間的に選択される。本書で用いる場合、「ノズルの空間的な選択」とは、プリンティング流体を噴出させるよう動作させるべきノズルの位置を選択することを意味する。ノズルの空間的な選択は、例えば、該空間的な選択に従ってプリンティングマスクを生成し又は修正すること又はかかる空間的な選択を用いてプリンティングマスクを処理することにより行うことが可能である。
【0019】
堆積順の動的な制御を
図1B及び
図1Cの実施形態に示す。両図は、異なる堆積順を生じさせることになるノズルのサブグループ108a,110aの2つの異なる選択を示している。同図において、基体112は、基体進行方向116に沿って進行するよう示されている。これにより、基体112は、プリントヘッド106の下方を進行することになる。
【0020】
プリントヘッド106のノズルはインラインであり、基体112はノズルアレイ配列108,110のノズルに遭遇する。しかし、プロセッサ104により実行される動的な制御により、プリンティング流体の堆積順はノズルサブグループの空間的な選択によって画定される。より詳細には、プロセッサ104は、制御データ114に従ってノズルのサブグループ108a,110aを選択する。最初に堆積されるべき流体に対応するサブグループは、それに続いて堆積されるべき流体に対応するサブグループよりも下流側に位置する(「下流側」とは、基体進行方向の下流側という意味である)。これにより、プリンティング流体(例えば、異なる種類のインク又は処理流体に対応する流体)を特定の堆積に従って基体位置112a上に堆積させることが可能となる。ノズルのサブグループの選択は、プリンティング流体の堆積順を決定するものである。
【0021】
図示のプリントヘッド106の動作は、プリント幅を動的に縮小することにより、互い違いに配置されていないプリントヘッドを使用して、物理的に互い違いに配置されたプリントヘッドをシミュレートするものであるとみなすことが可能である。換言すれば、プリントヘッド106は、基体進行方向116に沿って延びるノズルアレイ配列108,110によって画定される物理的なプリント幅118を有する。プリンティングシステム100の動作中に、プリントヘッド106は、選択されたノズルサブグループ108a,110aにより画定される仮想的なプリント幅120,122を有する。これにより、プリントヘッド106の物理的な構成を変更することなく、基体上に噴出されるプリンティング流体の堆積順を制御することが容易となる。
【0022】
更に、
図1Aないし
図1Cに示した実施形態は、物理的に互い違いに配置された等価的なプリントヘッドと同じ物理的なプリント幅を有するものであるが、各ノズルアレイの幅がプリント領域全体をカバーするため、原理的には、動作させるべきノズルサブグループを単に選択することによりプリンティング流体のあらゆる堆積順を実施することが可能である。例えば、第1のプリンティング流体がインクであり、第2のプリンティング流体が処理流体である場合、
図1B及び
図1Cに示すプリンティング動作を使用して、プリントヘッド106のノズルの空間的な位置を物理的に変更することなく、基体位置112a上にインク及び処理流体が堆積される堆積順を変更することが可能である。
【0023】
以下の実施形態の幾つかでは、単純化のため、プリンティング流体は、インク流体及び処理流体に対応するものとなるよう図示されている。しかし、本開示は、特定のプリンティング流体の選択に限定されるものではなく、あらゆるプリンティング流体の堆積順の制御を包含するものである、ということが理解されよう。
【0024】
以下では、プリンティングシステムの一実施形態であるプリンティングシステム200を示す
図2Aを参照する。同図はプリンティングシステム200のブロック図を示している。以下のプリンティングシステム200に関する説明は、単なる例示であり、本開示によるプリンティングシステムの構成及び機能を制限するものではない、ということが理解されよう。
【0025】
同図に示すように、プリンティングシステム200は、プリントヘッド受容アセンブリ102を有するキャリッジ228を含む。図示の実施形態では、プリンティングシステム200は、プリントヘッド受容アセンブリ102内にプリントヘッド106を含む。
図2Bは、プリント中に基体112から見たプリントヘッド106の側面図を示している。キャリッジ228は、基体112の幅にわたって(すなわち、プリントヘッド遷移方向250,252に沿って)プリントヘッド106を遷移させるものである。図示の実施形態では、プリントヘッド106は、基体の幅よりも狭い。それ故、プリンティングシステム200は、キャリッジ228の遷移によって基体112の幅にわたってプリントを実行することが可能となる。
【0026】
この実施形態のプリントヘッド106は、複数のインクプリントヘッドユニット238,240,242,244を含むよう図示されている。該インクプリントヘッドユニットの各々は、それぞれのインクノズルアレイ配列239,241,243,245(
図2Bにも示す)を介して異なる色のインク256を噴出するよう構成されている。インクプリントヘッドユニット238,240,242,244は、インクリザーバシステム260に流体的に結合されている。インクリザーバシステム260は、インクプリントヘッドユニットにそれぞれインクを供給するためのインクリザーバ260a,260b,260c,260dを含む。図示の実施形態では、インクリザーバ260a,260b,260c,260dは、それぞれ、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、及びブラックインクを収容している。上記インクのうちの1つのインク滴を所与の基体位置に堆積させることにより、基体112上に一基調色が再生される。更に、異なる複数のインクプリントヘッドユニットからのインクを組み合わせることにより二次色を再生することが可能である。特に、基体位置における隣接するドット位置に異なる基調色のインク滴を堆積させることにより、二次色又は影付きの色を再生することが可能である(人間の目は、かかる色の混合を二次色又は影付きの色と解釈する)。
【0027】
本書中の実施形態によっては、処理流体ノズルアレイ配列(例えば、処理流体ノズル配列110)は、前処理流体を噴出するための第1のアレイ及び後処理流体を噴出するための第2のアレイの少なくとも一方を含むことが可能である。
図2A及び
図2Bの実施形態では、処理流体プリントヘッドユニット246,248は、所与の基体位置を処理するためのものである。処理流体プリントヘッドユニット246は、該基体位置に前処理流体ノズル配列247を介して前処理流体(例えば、定着液)を付与するためのものである。処理流体プリントヘッドユニット248は、該基体位置に後処理流体ノズル配列249を介して後処理流体(例えば、被覆剤)を付与するためのものである。
【0028】
図2Aのブロック図は、前処理流体リザーバ261a及び後処理流体リザーバ261bにそれぞれ流体的に結合された処理流体プリントヘッドユニット246,248を示している。処理流体リザーバ261a,261bは、処理流体ノズル247,249により噴出されるべき処理流体を収容するためのものである。例えば、前処理流体リザーバ261aは、インク定着成分からなるプリンティング流体を収容することが可能であり、後処理流体リザーバ261bは、被覆成分からなるプリンティング流体を収容することが可能である。インクリザーバシステム260及び処理流体リザーバ261a,261bは、使い捨て式カートリッジ(図示せず)を含むことが可能である。それらリザーバは、それぞれのプリントヘッドに隣接した位置でキャリッジ228上に取り付けることが可能である。別の構成(軸外(off-axis)システムとも呼ばれる)では、それらリザーバは、キャリッジ228上には取り付けられず、小さな流体供給源(インク又は処理流体)がキャリッジ228内のプリントヘッドの外部に配設され、インク及び定着液のための主供給源がそれぞれのリザーバ内に格納される。軸外システムでは、可撓性導管を使用して軸外主供給源からそれに対応するプリントヘッドカートリッジへと流体が搬送される。プリントヘッド及びリザーバを組み合わせて単一のユニット(一般に「ペン」と呼ばれるもの)にすることが可能である。
【0029】
本書の実施形態によっては、処理流体ノズルアレイ配列が第1のノズルアレイ及び第2のノズルアレイを含み、該第1のノズルアレイと該第2のノズルアレイとの間にインクノズルアレイが存在することが可能である。かかる実施形態が、
図2A及び
図2Bに関して示されている。
図2A及び
図2Bにおけるプリントヘッド106の処理流体ノズルアレイ配列は、前処理流体ノズルアレイ247及び後処理流体ノズルアレイ249を含む。
図2A及び
図2Bにおけるプリントヘッド106のインクノズルアレイ配列は、インクノズルアレイ239,241,243,245を含む。この実施形態では、プリントヘッド106は、前処理流体ノズルアレイ247と後処理流体ノズルアレイ249との間のインクノズルアレイ配列がプリントヘッド遷移方向250,252に存在するよう物理的に構成されている。かかるノズルアレイ配列の構成は、
図6Aないし
図6Cに関して後述するように、堆積順を制御する際の柔軟性を促進させるものとなる。
【0030】
本実施形態は、特定のプリンティングシステムの設計に応じて任意数のプリントヘッドユニットを用いて実施することが可能であり、その各プリントヘッドユニットは、インク又は処理流体等のプリンティング流体を噴出するためのノズルアレイを含むものとなる、ということが理解されよう。例えば、プリンティングシステム200は、少なくとも1つの処理流体プリントヘッドユニット(例えば、2つ以上の処理流体プリントヘッドユニット)を含むことが可能である。更に、プリンティングシステム200は、少なくとも1つのインクプリントヘッドユニット(例えば、2〜6つのインクプリントヘッドユニット、又は更に多数のインクプリントヘッドユニット)を含むことが可能である。図示の実施形態では、複数のインクプリントヘッドユニットが、各処理流体プリントヘッドユニットの一方の側に配置されている。複数のインクプリントヘッドユニットを1つの処理流体プリントヘッドユニットの両側に配置することが可能である、ということが理解されよう。更に、複数のプリントヘッドユニットをプリントヘッド106内にモノリシックに集積化させることが可能である。代替的に、各プリントヘッドユニットをプリントヘッド106内でモジュール式に実施して、各プリントヘッドユニットを個々に交換できるようにすることが可能である。更に、プリントヘッド106を、使い捨て式プリンタ要素、またはプリンティングシステム200の全動作寿命にわたって使用し続けるよう設計された固定式プリンタ要素とすることが可能である。
【0031】
プリンティングシステム200は更に、該プリンティングシステム200の上述した構成要素に動作可能な状態で接続されたコントローラ262を含む。図示のコントローラ262は、メモリ267内に格納されている制御データに従ってプリントジョブソース266から受信したプリントジョブを実行するよう構成されている。コントローラ262はプロセッサ104を含むものとして示されている。プロセッサ104は、本書で説明する方法を実行するよう構成されている。
【0032】
プロセッサ104は、例えば、如何なる特定のハードウェア、ファームウェア、又はソフトウェア(すなわち、マシン読み取り可能命令)による構成にも限定されることのない、1つ以上の別個のモジュール(又はデータ処理要素)により実施することが可能である。プロセッサ104は、ディジタル電子回路(例えば、ディジタル信号プロセッサ(DSP)等を含む特定用途集積回路(ASIC))を含む任意のコンピューティング環境又はデータ処理環境で実施することが可能であり、又は、コンピュータハードウェア、ファームウェア、デバイスドライバ、又はソフトウェア(すなわち、マシン読み取り可能命令)で実施することが可能である。実施形態によっては、かかるモジュールの機能を単一のデータ処理要素に組み込むことが可能である。別の態様では、1つ以上のモジュールの各機能が、複数組をなす複数のデータ処理要素の各組により実施される。
【0033】
メモリデバイス264は、コントローラ262によりアクセスすることが可能である。メモリデバイス264は、コントローラ262(より詳細にはプロセッサ104)により実行される方法を実施するための処理命令(例えば、コンピュータソフトウェア等のマシン読み取り可能コード)という形で制御データを格納する。より詳細には、メモリデバイス264は、本書で説明するように堆積順を動的に制御するための制御データを格納する。メモリデバイス264は、
図3に関して以下で説明する記憶媒体302と同様に物理的に構成することが可能である。
【0034】
コントローラ262は、プリントジョブソース266からプリントジョブコマンド及びデータを受信し、該プリントジョブソース266は、イメージをプリントするためのコンピュータその他の任意のプリントジョブのソースとすることが可能である。一実施形態では、コントローラ262は、受信したデータからプリントマスクを決定するよう構成することが可能である。該プリントマスクは、堆積順を動的に制御するために、メモリデバイス264内の制御データに従って修正することが可能なものである。該動的な制御はまた、特定の堆積順に従ったプリントマスクの前処理またはプリントマスクの生成によって実施することが可能である。「プリントマスク」とは、様々なプリントヘッドの複数のノズルのうち、プリントジョブを再生すべく流体を噴出するために所与のタイミングで発射するノズルを決定する制御データを含む、ロジックを意味するものである。
【0035】
コントローラ262は、プリントマスク及びメモリデバイス264内の制御データに従って制御を行うために、処理流体プリントヘッドユニット246,248、インクプリントヘッドユニット238,240,242,244、及びそれぞれのリザーバに動作可能な状態で接続される。これにより、コントローラ262(より詳細にはプロセッサ104)は、プリンティングシステム200の機能、例えば、a)特定のインク/処理流体堆積順を実施するためのノズルサブグループの選択、b)所与の堆積順に従ってプリンティング流体を堆積させるためのノズルサブグループの作動、及びc)所与の基体位置において前記堆積順に従ってプリンティング流体を堆積させるためのキャリッジ228及び基体112の運動を制御することが可能となる(但し、これらには限定されない)。
【0036】
メモリデバイス264及びプリントジョブソース266の機能は、単一の要素に組み込むこと又は複数の要素に分散させることが可能である、ということが理解されよう。更に、メモリデバイス264及びプリントジョブソース266は、プリンティングシステム200の外部要素として配設することが可能である。更に、堆積順を動的に制御するためのプロセッサ104の動作は上記例に限定されるものではないことが理解されよう。
【0037】
図3は、一実施形態に従ってプリンティングシステムに基体上にイメージをプリントさせるためのシステム300のブロック図である。図示のように、該システム300は、プリンタ動作モジュール304という形で記憶媒体302上に格納されたプロセッサ実行可能命令からなるプログラミングを含む。システム300は、プリンタ動作モジュール304内の命令を実行するためのプロセッサ104という形のハードウェアを含む。記憶媒体302は、プロセッサ104により読み取ることが可能な有形の媒体により構成することが可能である。記憶媒体302は、プリンタ動作モジュール304を構成するプログラム命令を格納するためのものであるということができ、該プログラム命令は、プロセッサ104による実行時に、本書で説明するようにプリンティングシステムを動作させるための方法を実施する。(かかるプリンティング方法のうちの少なくとも幾つかを
図4及び
図5に関して以下で説明する。)記憶媒体302は、プロセッサ104と同じデバイス内に組み込むことが可能であり、又は該デバイス又はプロセッサ104からアクセスすることができる別個のものとすることが可能である。記憶媒体302及びプロセッサ104は、単一のシステム要素内に組み込むことが可能であり、又は複数のシステム要素に分散させることが可能である。
【0038】
一実施形態では、プリンタ動作モジュール304を構成するプログラム命令は、制御エンジン108を実施するためにプロセッサ104により実行することができるインストールパッケージの一部とすることが可能である。この場合、記憶媒体302は、CD、DVD、若しくはフラッシュドライブ等のポータブル媒体、又は前記インストールパッケージをダウンロードしてインストールすることができるサーバにより保持されているメモリとすることが可能である。別の実施形態では、前記プログラム命令は、所与のアプリケーション又は既にインストールされているアプリケーションの一部とすることが可能である。この場合、記憶媒体302は、ハードディスクドライブ等の記憶装置を含むことが可能である。本書で用いる場合、「有形の媒体」とは、伝搬している信号からなるものではないことを意味するものである、ということに留意されたい。一実施形態では、該媒体は持続性媒体である。
【0039】
図4及び
図5は、基体上にイメージをプリントするための方法の実例を実施するフローチャートを示している。かかる方法は、
図1及び
図2に関して上述したプリンティングシステム等のシステムを用いて実施することが可能である。別の実施形態では、
図3に示すようなシステムを使用して、かかる方法を実施することが可能である。
図4及び
図5に関する説明では、文脈に沿った実例を提供すべく
図6Aないし
図6Cも参照することとする。しかし、本発明の実施はかかる実施形態には限定されないことが理解されよう。
【0040】
図4は、基体上にイメージをプリントするための方法の実例を実施するフローチャート400を示している。フローチャート400は、ブロック402で、所与の基体位置にプリンティング流体(例えば、処理流体及びインク)を堆積させる堆積順を動的に制御する。プロセッサ104は、制御データ114(
図1A参照)にアクセスすることによりブロック402を実施することを責務とすることが可能である。
【0041】
ブロック402は、堆積順に従って基体上にプリンティング流体を堆積させるようノズルアレイ配列中のサブグループのノズルを動作させるサブブロック404を含む。該サブグループのノズルは、前記堆積順に従って基体上にプリンティング流体を堆積させるよう空間的に選択される。より詳細には、最初に堆積されるべき流体に対応するサブグループのノズルは、それに次いで堆積されるべき流体に対応するサブグループの下流側に空間的に位置するよう選択することが可能である(「下流側」とは、基体進行方向に対する下流側を意味する)。
【0042】
サブブロック404を実施するためにプロセッサ104が堆積順を決定することが可能である。例えば、プロセッサ104は、インク及び処理流体が所与の基体位置に堆積される順序が指定されたプリントマスクを受信することが可能である。次いでプロセッサ104は、サブグループのノズルを選択することにより堆積順を設定することが可能である。最後に、プロセッサ104は、前記サブグループのノズルのアクチュエータ素子に電気信号を送って、前記堆積順に従ってプリンティング流体を噴出させることが可能である。代替的に、プロセッサ104は、どの堆積に決定すべきかを指示する命令を受信することが可能である。プロセッサ104は次いで、かかる命令に従って、堆積順に従うプリントマスクを生成し又は修正する。
【0043】
フローチャート400の実行について
図1B及び
図1Cを参照して以下で更に説明する。
図1Bを参照すると、プリンティングシステム100を使用して、基体位置112a上に最初に処理流体を堆積させ次いでインクを堆積させることに対応する堆積順が実施されている。したがって、プロセッサ104は、処理流体に対応するノズルサブグループ110aを、インクに対応するノズルサブグループ108aの下流側に位置するよう選択して、処理済みの基体位置112上にインクが堆積されるようにする。
図1Cを参照すると、プリンティングシステム100を使用して、基体位置112a上に最初にインクを堆積させ次いで処理流体を堆積させることに対応する堆積順が実施されている。したがって、プロセッサ104は、インクに対応するノズルサブグループ108aを、処理流体に対応するノズルサブグループ110aの下流側に位置するよう選択して、インクが付与された基体位置112上に処理流体が堆積されるようにする。異なる堆積順の動的な制御の更なる実施形態が
図6Aないし
図6Cに示されている。
【0044】
本書の実施形態に従って基体上にイメージをプリントするための方法は、堆積順の設定を含むことが可能である。本書で用いる場合、「堆積順の設定」とは、プリンティング流体(例えば、処理流体及びインク)が特定の堆積順に従って堆積されるようにプリンティングシステムの動作を設定することを意味する。
図5は、基体上にイメージをプリントするための方法の実例を実施するフローチャート500であり、特に堆積順の設定を示すものである。以下に示す実施形態によっては、単純化のため、プリンティング流体は、インク流体及び処理流体に対応するものとして示されている。しかし、本開示は、特定のプリンティング流体の選択に限定されるものではなく、あらゆるプリンティング流体の堆積順の制御を包含するものである、ということが理解されよう。
【0045】
ブロック502で、インク及び処理流体を所与の基体位置に堆積させるための堆積順が設定される。該堆積順は、(i)サブブロック504でインクノズルアレイ配列中のサブグループのノズルを選択し、及び(ii)サブブロック506で処理流体ノズルアレイ配列中のサブグループのノズルを選択することにより、設定することが可能である。これにより、それぞれのノズルアレイ配列中のサブグループのノズルの選択が、処理流体及びインクが前記基体位置に堆積される順序を決定する。ブロック508で、選択されたサブグループのノズルが作動され、これによりインク及び処理流体が前記堆積順に従って前記基体位置に堆積される。
【0046】
図6Aないし
図6Cは、異なる堆積順に従ってプリンティング流体を堆積させるためのプリンティングシステム(例えば、
図2Aのプリンティングシステム200)の動作を概略的に示している。図示の実施形態では、プリンティング流体はインク及び処理流体に対応し、該処理流体は前処理流体PT及び後処理流体OCを含む。プリントヘッド106は、インクノズルアレイ配列108及び処理流体ノズルアレイ配列110を含むものとして示されている。本実施形態では、インクノズルアレイ配列108は、4つの異なる種類のインク流体(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックにそれぞれ対応するもの)をそれぞれ噴出するための4つのインクノズルアレイ602a-602dを含む。処理流体ノズルアレイ配列110は、前処理流体ノズルアレイ604(例えば、定着液に対応するもの)及び後処理流体ノズルアレイ606(例えば、被覆剤に対応するもの)を含むものとして示されている。
【0047】
図6Aないし
図6Cの各動作モードについて、各ノズルアレイ毎にサブグループのノズルが選択され、すなわち、前処理流体ノズルアレイ604について前処理流体ノズルサブグループ608が選択され、後処理流体ノズルアレイ606について後処理流体ノズルサブグループ612が選択される。図示の実施形態では、インクノズルアレイ602a-602dの各々で同じインクノズルサブグループ610が選択される。インク流体の堆積順を変更するためにインクノズルアレイ602a-602dにおいて異なるインクノズルサブグループを選択することが可能である、ということが理解されよう。
【0048】
ノズルサブグループの選択により、対応するプリント幅が画定することとなる。例えば、前処理流体ノズルサブグループ608は前処理流体プリント幅611を画定し、インクノズルサブグループ610はインクプリント幅614を画定し、後処理流体ノズルサブグループ612は後処理流体プリント幅616を画定する。図示の実施形態では、プリント幅は、プリンティング流体による所与の基体位置の好都合な被覆を促進させるために、基体進行長さ622の倍数に対応する(基体の進行は複数の平行線620により示されている)。図示の実施形態では、ノズルサブグループ608,610,612は、基体進行長さ622の3倍に対応するプリント幅を画定する。プリント幅は、1倍、2倍、4倍、又は10倍といった、基体進行長さの任意の倍数とすることが可能である。
【0049】
図6Aは、以下の堆積順に従って所与の基体位置にプリンティング流体を堆積させるプリンティング動作を示している:最初に前処理流体(例えば、定着液)、2番目にインク流体、3番目に後処理流体(例えば、被覆剤)。このため、この実施形態では、前処理流体ノズルサブグループ608は、インクノズルサブグループ610の下流側に空間的に位置するよう選択され、インクノズルサブグループ610は、後処理流体ノズルサブグループ612の下流側となるよう選択される(基体進行方向116に対する下流側)。これにより所与の堆積順が設定され、該堆積順で、(i)所与の基体位置がインクを受容する前に該基体位置を処理するために該基体位置が最初に前処理流体を受容し、(ii)処理済みの該基体位置がその上にインクを受容し、及び(iii)インクが付与された該基体位置に後処理流体(例えば、被覆剤)が付与される。
【0050】
用途によっては、前処理された基体位置にインクが堆積された際に該インクの浸透度が比較的低くなり得る。かかる用途では、基体内への所定レベルのインクの浸透を可能にすることが有利となり得る。しかし、
図6Aの実施形態の場合のように処理済みの基体上にインクが堆積される場合には、所望レベルのインクの浸透が達成されない場合がある。したがって、本書における実施形態によっては、前処理流体(例えば、定着液)の堆積前に所与の基体位置にインクが堆積されるように堆積順を設定すべくノズルサブグループが選択される。かかる実施形態を
図6Bに関して説明する。
【0051】
図6Bは、以下の堆積順に従って所与の基体位置にプリンティング流体を堆積させるプリンティング動作を示している:最初にインク流体、2番目に前処理流体(例えば、定着液)、3番目に後処理流体(例えば、被覆剤)。このため、この実施形態では、インクノズルサブグループ610は、前処理流体ノズルサブグループ608の下流側に空間的に位置するよう選択され、前処理流体ノズルサブグループ608は、後処理流体ノズルサブグループ612の下流側となるよう選択される(基体進行方向116に対する下流側)。これにより所与の堆積順が設定され、該堆積順で、(i)所与の基体位置がインクを受容し、(ii)一定の時間間隔にわたり該インクが該基体内に浸透することが可能となり(以下で詳述するように該時間間隔はインクノズルサブグループ610と前処理流体ノズルサブグループ608との間の間隙618に比例する)、(iii)続いて堆積されたインク上に後処理流体が付与され、例えば、基体上のインクパターンが被覆される。
【0052】
本書における実施形態によっては、前記堆積順は、所与の基体位置にプリンティング流体を擬似同時的に堆積させるものとなる。かかる擬似同時的な堆積順では、上述したような互い違いに配置されたプリントヘッドをシミュレートする場合と比較してプリント幅を拡大することが可能となり、このため、プリント速度を改善することが可能となる。かかる動作の特定の実施形態を
図6Cに関して説明する。この場合、インク及び後処理流体は、所与の基体位置に擬似同時的に堆積されることになる。かかる堆積順を設定するために、インクノズルサブグループ610及び後処理流体ノズルサブグループ612は、プリントヘッド106の同じ遷移中にインク及び
後処理流体が所与の基体位置上に堆積されるように、等しい寸法で互いに平行に選択される。特定の基体位置へのインク及び後処理流体の堆積間には一定の遅延が存在することが理解されよう。(この遅延は、基体幅にわたるプリントヘッドの遷移中に個々のノズルアレイを基体位置の下方に位置決めするために必要となる時間に起因するものである。)
上述のように、所与の基体位置への異なるプリンティング流体の堆積間の時間間隔は、基体進行方向116に対するノズルサブグループ間の間隙の選択によって画定することが可能である。より詳細には、ノズルサブグループは、該ノズルサブグループ間に間隙618が存在するように選択することが可能である。
図6Aないし
図6Cにおいて、ノズルサブグループ間の間隙は、基体進行長さの倍数に設定することが可能である。(プリンティングシステムは、選択されたノズルが発射する前に基体112を基体進行長さ622だけ進行させるよう動作させることが可能である。)間隙618は、選択されたノズルサブグループからのプリンティング流体の堆積間の時間間隔を画定する。
【0053】
図6A及び図6Cの実施形態では、間隙618は、前処理流体ノズルサブグループ608とインクノズルサブグループ610との間に画定される。この実施形態では、間隙618により、前処理流体の堆積とインクの堆積との間に時間遅延が生じることになる。前処理流体とインクとの間のかかる時間調整を使用して、前処理流体が所望の効果を達成するためにインクの堆積前に所定時間を必要とするような種類の基体に対する前処理の効率を改善することが可能となる。
図6Bの実施形態では、間隙618は、インクノズルサブグループ610と前処理流体ノズルサブグループ608との間に画定される。この実施形態では、間隙618により、インクの堆積と前処理流体の堆積との間に時間遅延が生じることになる。前処理流体とインクとの間のかかる時間調整を使用して、基体上のインクを処理する前に該基体によるインクの吸収を改善することが可能となる。
【0054】
上記では、本書で開示する実施形態の理解を提供すべく多数の細部について説明した。しかし、該実施形態はかかる細部なしでも実施することが可能であることが理解されよう。限られた数の実施形態を説明したが、かかる実施形態に対する多数の修正及び変更が考えられる。特許請求の範囲は、かかる修正及び変更を網羅することを意図したものである。更に、本書におけるフローチャートは特定の処理順を示したものであるが、かかる実行の順序は本開示のものとは異ならせることが可能であることが理解されよう。例えば、図示の2つ以上のブロックの実行順を入れ替えることが可能である。また、連続して示した2つ以上のブロックを同時に又は部分的に同時に実行することが可能である。更に、各請求項における特定の1つの要素は、1つ以上のかかる要素を包含することを意図したものであるが、2つ以上のかかる要素を必須とし又は排除することを意図したものではない。更に、用語「含む」及び「からなる」は、非制限的な転換(open-ended transitions)として用いたものである。