特許第6091649号(P6091649)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6091649遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能と薬物反応検査装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6091649
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能と薬物反応検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/86 20060101AFI20170227BHJP
   G01N 33/49 20060101ALI20170227BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20170227BHJP
   G01N 35/00 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   G01N33/86
   G01N33/49 X
   G01N37/00 101
   G01N35/00 D
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-547873(P2015-547873)
(86)(22)【出願日】2013年12月27日
(65)【公表番号】特表2016-503161(P2016-503161A)
(43)【公表日】2016年2月1日
(86)【国際出願番号】KR2013012289
(87)【国際公開番号】WO2014104807
(87)【国際公開日】20140703
【審査請求日】2015年6月15日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0158117
(32)【優先日】2012年12月31日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】510273880
【氏名又は名称】コリア ユニバーシティ リサーチ アンド ビジネス ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】KOREA UNIVERSITY RESEARCH AND BUSINESS FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(72)【発明者】
【氏名】シン ソヒョン
(72)【発明者】
【氏名】イム チェソン
(72)【発明者】
【氏名】ナム ジョンフン
(72)【発明者】
【氏名】イム ヒョンジュン
【審査官】 大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/069656(WO,A1)
【文献】 特開2012−194181(JP,A)
【文献】 特表2014−521975(JP,A)
【文献】 米国特許第04964728(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48 − 33/98
G01N 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能なディスク;
前記ディスクの中央に配置され、血液サンプルが内部に収容されるサンプルチャンバ;
前記サンプルチャンバと複数の半径方向にそれぞれ連結され、前記血液サンプル内にせん断流動を誘導する攪拌チャンバ;
前記攪拌チャンバに連結され、前記血液サンプルが移動しながら血小板の付着と凝集が発生するマイクロチャンネル;及び
前記マイクロチャンネルを通過した血液サンプルが収容される廃サンプルチャンバを含み、
前記攪拌チャンバには攪拌機が回転可能に設けられ、
前記攪拌機の中央と両側は開放され、前記開放された部分には封止材が備えられることを特徴とする、遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能と薬物反応検査装置。
【請求項2】
前記ディスクに設けられて、前記血液サンプルの移動距離を測定するための測定部をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能と薬物反応検査装置。
【請求項3】
前記攪拌機は、日字状の丸棒、十字状の丸棒、円形プレートの形状の中で選ばれる形状を有することを特徴とする、請求項に記載の遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能と薬物反応検査装置。
【請求項4】
前記攪拌機の内部には、血小板凝集を活性化にしたり、非活性化するための薬物が液体または固体の状態で貯留されることを特徴とする、請求項に記載の遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能と薬物反応検査装置。
【請求項5】
前記薬物はコラーゲン、アデノシンニリン酸(ADP)、エピネフリン(Epinephrine)の中で選ばれる1種以上のアゴニスト(agonist)であることを特徴とする、請求項に記載の遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能と薬物反応検査装置。
【請求項6】
前記薬物はアスピリン、P2Y1レセプターアンタゴニスト、P2Y12レセプターアンタゴニストの中で選ばれる1種以上のアンタゴニスト(antagonist)であることを特徴とする、請求項に記載の遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能と薬物反応検査装置。
【請求項7】
前記P2Y1レセプターアンタゴニストはMRS2179、MRS2279、MRS2500、A2P5P、A3P5P、A3P5PSの中で選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項に記載の遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能と薬物反応検査装置。
【請求項8】
前記P2Y12レセプターアンタゴニストはクロピドグレル(clopidogrel)、チクロピジン(ticlopidine)、プラスグレル(prasugrel)、AR−C67085MX、カングレロル(cangrelor)、C1330−7、MRS2395、2−methylthioadenosine−5’−monophosphateの中で選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項に記載の遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能と薬物反応検査装置。
【請求項9】
前記攪拌機によって発生するせん断流動で、最小せん断率は5000(s−1)以上であるか、最小せん断力が8Pa以上であることを特徴とする、請求項に記載の遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能と薬物反応検査装置。
【請求項10】
前記封止材は相変化物質または水溶性メンブレンであることを特徴とする、請求項に記載の遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能と薬物反応検査装置。
【請求項11】
前記相変化物質はパラフィンワックスであり、前記水溶性メンブレンはでんぷんであることを特徴とする、請求項10に記載の遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能と薬物反応検査装置。
【請求項12】
回転可能なディスク;
前記ディスクの中央に配置され、血液サンプルが内部に収容されるサンプルチャンバ;
前記サンプルチャンバと複数の半径方向にそれぞれ連結され、前記血液サンプル内にせん断流動を誘導する攪拌チャンバ;
前記攪拌チャンバに連結され、前記血液サンプルが移動しながら血小板の付着と凝集が発生するマイクロチャンネル;及び
前記マイクロチャンネルを通過した血液サンプルが収容される廃サンプルチャンバを含み、
前記マイクロチャンネルの前端には、前記血液サンプルの流れを制御するためのマイクロ流動バルブが設けられることを特徴とする、遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能と薬物反応検査装置。
【請求項13】
前記マイクロチャンネルの形状は直線状、曲線状、千鳥状の中で選ばれるいずれか一つ、またはこれらの組み合わせからなることを特徴とする、請求項1に記載の遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能と薬物反応検査装置。
【請求項14】
回転可能なディスク;
前記ディスクの中央に配置され、血液サンプルが内部に収容されるサンプルチャンバ;
前記サンプルチャンバと複数の半径方向にそれぞれ連結され、前記血液サンプル内にせん断流動を誘導する攪拌チャンバ;
前記攪拌チャンバに連結され、前記血液サンプルが移動しながら血小板の付着と凝集が発生するマイクロチャンネル;及び
前記マイクロチャンネルを通過した血液サンプルが収容される廃サンプルチャンバを含み、
前記マイクロチャンネルには中間の複数の地点に中間チャンバが形成されることを特徴とする、遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能と薬物反応検査装置。
【請求項15】
回転可能なディスク;
前記ディスクの中央に配置され、血液サンプルが内部に収容されるサンプルチャンバ;
前記サンプルチャンバと複数の半径方向にそれぞれ連結され、前記血液サンプル内にせん断流動を誘導する攪拌チャンバ;
前記攪拌チャンバに連結され、前記血液サンプルが移動しながら血小板の付着と凝集が発生するマイクロチャンネル;及び
前記マイクロチャンネルを通過した血液サンプルが収容される廃サンプルチャンバを含み、
前記マイクロチャンネルには中間に相対的に幅が大きい複数の拡大部が備えられることを特徴とする、遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能と薬物反応検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血小板薬物反応検査装置に関するもので、より詳細には、血栓性虚血及び出血症の早期診断と予後と関連して、簡単な使い捨て回転ディスクの上でのマイクロ流動を利用して、少量の血液で複数の検査を自動で検査することができる遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能と薬物反応検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
血栓症(Thrombosis)は、血管内で止血または血栓などが生成されるもので、これらの症状は、心臓の冠状動脈や脳血管で発生すると、心臓麻痺または脳梗塞を誘発し、サイレントキラーの異名を持つ血栓症は、現代人の主な死亡原因として浮上している。問題は、これらの血栓症または出血性症が遺伝的欠陥だけで診断されず、まだ明らかになっていない状態である。
【0003】
さらに、このような血栓症の有病率が遺伝及び後天的な発生の要因等により非常に急速に増加している点が、より深刻な問題である。したがって、血栓症や出血性症を定量的に検査して、これにより早期診断及び予後を判断することができる装置と方法が古くから要求されてきた。
【0004】
傷を負った血管の止血機転に関与するいくつかの因子が存在するが、各要素の生化学的と生物理学機転とも重要に作用し、その中でも、血小板の止血機転は決定的な役割をはたすことも知られている。血小板は傷のない血管壁では付着しないが、傷の発生した血管壁には生化学的及び生物理学的な機転が同時に作用していかなる流動条件であっても関係なく、止血が行われるように作用する。
【0005】
このような血小板の機能(function)を細分化して検査する様々な方法と装置が並行して開発されてきた。血小板機能検査は、主に血小板の数的に異常のない出血性疾患で先天性または後天性血小板機能の異常による出血性疾患を鑑別するために重要な検査である。また、このような血小板機能検査は、心血管疾患の治療及び予防に使用される抗血小板薬剤により出血性傾向の増加や薬剤の耐性の検査のためにも多く利用されている。
【0006】
血管内皮細胞に傷が発生した場合、血管内皮細胞の内部物質を構成するコラーゲンのような物質が血液の流動にさらされて、血小板はこれらの物質に付着しながら活性化される。血小板の付着機転は血液の流動の環境に応じて、異なる特性を帯びるようになる。
【0007】
これを詳細に説明すると、動脈のように血流速度が速く、血管壁に作用するせん断力が高い場合、血小板が血管内膜に付着しにくいが、このような条件で活性化されて血管壁に付着しやすいフォンヴィレブラント因子(vWF:von Willebrand factor)によって血小板が血管壁に付着される。もちろん、血小板の細胞膜に存在する糖タンパク質受容体(glycoproteic receptor)複合体のGPIb−IX−Vなどがフォンヴィレブラント因子(vWF)との相互作用を誘発して付着されることが知られている。
【0008】
このように付着した血小板は同類の血小板を引き込んで凝集(aggregation)を誘発させて止血をすることになり、以後再びフィブリンによって止血作用を強化する。
【0009】
しかし、このように血小板の機能が常に良い方のみ作用するのではなくて、特定の流動条件や状況では逆機能に作用することができる。例えば、動脈硬化により血管壁が局部的に狭窄された場合、血小板がこのような部分を通過しながら、高いせん断率にさらされて活性化されることにより、狭窄部の後方部に付着及び凝集が発生し、血管が詰まった血栓症を誘発することもある。
【0010】
前述したように、血流の流動の大きさに応じて、すなわち流動による剪断力(shear stress)によって血小板及びフォンヴィレブラント因子(vWF)は活性化され、付着性が大幅に増加して止血機転を持つようになる。このように血小板やフォンヴィレブラント因子(vWF)の活性化に必要なせん断力は8Pa以上であり、せん断率(shear rate)では5,0001/s以上であることが知られている。
【0011】
このように、止血または血栓症の早期診断及び予後の検査のために、様々なデバイスが提案され開発されたが、これを計測センサを基準に区分すると、電気的、光学的、及び出血の停止時間を測定する方式などで区別することができる。
【0012】
出血時間(Bleeding time、BT)検査法は約100年前に開発された出血時間を測定する検査として、現在まで血小板機能のスクリーニングでたまに使われる。しかし、現在使用されている血小板機能検査の場合、標準化が難しく、臨床的有用性が少なく、侵襲的方法を使用しなければならない問題があり、それに応じて血小板機能を測定することができる客観的な測定法が求められてきた。
【0013】
以上の問題を解決するために考案されて血小板の機能を測定する技術として使用されている血小板機能アナライザー(Platelet Function Analyzer)(例えば、PFA−100)の場合には、高せん断率で活性化されたフォンヴィレブラント因子(vWF)によって血小板が凝集される特性を利用したもので、このような特性を測定するために、長い毛細管に高せん断率で全血を流動させた後、コラーゲン(Collagen)と一緒にADPあるいはエピネフリン(Epinephrine)がコーティングされたオリフィス(orifice)に血小板が凝集されてオリフィス穴が詰まる閉鎖時間を圧力または流量などで測定する方法が行われている。
【0014】
このような血小板機能検査のためには、フォンヴィレブラント因子(vWF)の機能に絶対的に依存しなければならず、ヘマトクリット(Hct)に依存する検査が行われ、抗アスピリン(Aspirin)または抗クロピドグレル(Clopidogrel)検査が不可能な短所がある。また、血小板の機能検査のために二段階にわたって検査が必要であり、検査コストが上がる短所を持っている。
【0015】
特に、フォンヴィレブラント因子(vWF)を活性化するために、血液サンプルを高いせん断率で一定時間以上に露出しなければならず、そのためにPFA−100は非常に長い毛細管に速い速度で血液を流動させる方法を採択した。しかし、このような方法は、多くの血液が必要となるだけでなく、せん断率が最大となる毛細血管の壁の近くのフォンヴィレブラント因子(vWF)は容易に活性化されるが、せん断率が最小となる管の中心部に位置するフォンヴィレブラント因子(vWF)は活性化されない問題を有し、これにより検査結果の反復性に問題をもたらす短所を持っている。
【0016】
Diamed社のIMPACTはCone−Plate方式の回転型クエット流動方式を採用して、その中に満たされた血液に均一なせん断力を加えるように構成され、高いせん断力を加えた場合、血小板の付着程度を測定する方法である。これは、PFA−100と同様に、フォンヴィレブラント因子(vWF)及びフィブリノーゲン(Fibrinogen)の濃度及び機能に非常に依存的な短所を持っている。
【0017】
Verify−NOW(Accumetrics)は、血小板凝集の程度を光学センサを利用して、濁度で測定する原理を採用したが、これは血液中のアゴニスト(agonist)を混合し、コラーゲンが表面にコーティングされたマイクロビーズと作用させて血液中に血小板が凝集するようにした後、これを時間に応じて濁度に測定する方式なので、従来のいくつかの濁度測定方式の技術的欠点をそのまま保持したにもかかわらず、最近に使用頻度が増えている状況である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、本発明の目的は、前記の従来技術の問題を解決するためのもので、一回の検査で出血性及び血栓性症に対する複合的な複数の早期診断及び予後の検査ができるようにして検査コストを低減し、検査の繰り返し性と精度を向上させることができる遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能と薬物反応検査装置を提供することである。
【0019】
本発明の他の目的は、自動で血液の流動の閉鎖時間(Closure time)を測定することができる構造を持つ遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能と薬物反応検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、前記のような目的を達成するために、回転可能なディスク;前記ディスクの中央に配置され、血液サンプルが内部に収容されるサンプルチャンバ;前記サンプルチャンバと複数の半径方向にそれぞれ連結され、前記血液サンプル内にせん断流動を誘導する攪拌チャンバ;前記攪拌チャンバに連結され、前記血液サンプルが移動しながら血小板の付着と凝集が発生するマイクロチャンネル;及び前記マイクロチャンネルを通過した血液サンプルが収容される廃サンプルチャンバを含むことを特徴とする、遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能と薬物反応検査装置を提供する。
【0021】
本発明に係る検査装置は、前記ディスクに設けられて、前記血液サンプルの移動距離を測定するための測定部をさらに含むことができる。
【0022】
本発明において、前記攪拌チャンバには攪拌機が回転可能に設けられることができる。
【0023】
本発明において、前記攪拌機は、一字状の丸棒、十字状の丸棒、円形プレートの形状の中で選ばれる形状を有することができる。
【0024】
本発明において、前記攪拌機の内部には、血小板凝集を活性化にしたり、非活性化するための薬物が液体または固体の状態で貯留されることができる。
【0025】
本発明において、前記薬物はコラーゲン、アデノシンニリン酸(ADP)、エピネフリン(Epinephrine)の中で選ばれる1種以上のアゴニスト(agonist)であることができる。
【0026】
本発明において、前記薬物はアスピリン、P2Y1レセプターアンタゴニスト、P2Y12レセプターアンタゴニストの中で選ばれる1種以上のアンタゴニスト(antagonist)であることができる。
【0027】
本発明において、前記P2Y1レセプターアンタゴニストはMRS2179、MRS2279、MRS2500、A2P5P、A3P5P、A3P5PSの中で選ばれる1種以上であることができる。
【0028】
本発明において、前記P2Y12レセプターアンタゴニストはクロピドグレル(clopidogrel)、チクロピジン(ticlopidine)、プラスグレル(prasugrel)、AR−C67085MX、カングレロル(cangrelor)、C1330−7、MRS2395、2−methylthioadenosine−5’−monophosphateの中で選ばれる1種以上であることができる。
【0029】
本発明において、前記攪拌機によって発生するせん断流動で、最小せん断率は5000(s−1)以上であるか、最小せん断力が8Pa以上であることができる。
【0030】
本発明において、前記攪拌機の中央と両側は開放され、前記開放された部分には封止材が備えられることができる。
【0031】
本発明において、 前記封止材は相変化物質または水溶性メンブレンであることができる。
【0032】
本発明において、前記相変化物質はパラフィンワックスであり、前記水溶性メンブレンはでんぷんであることができる。
【0033】
本発明において、前記マイクロチャンネルの前端には、前記血液サンプルの流れを制御するためのマイクロ流動バルブが設けられることができる。
【0034】
本発明において、前記マイクロチャンネルの形状は直線状、曲線状、千鳥状の中で選ばれるいずれか一つ、またはこれらの組み合わせからなることができる。
【0035】
本発明において、前記マイクロチャンネルには中間の複数の地点に中間チャンバが形成されることができる。
【0036】
本発明において、前記マイクロチャンネルには中間に相対的に幅が大きい複数の拡大部が備えられることができる。
【0037】
また、本発明は、回転可能なディスク;前記ディスクの中央部に円周方向に沿って複数に配置され、血液サンプルを内部に収容し、前記血液サンプル内にせん断流動を誘導する撹拌チャンバ;前記攪拌チャンバに連結され、前記血液サンプルが移動しながら血小板の付着と凝集が発生するマイクロチャンネル;及び前記マイクロチャンネルを通過した血液サンプルが収容される廃サンプルチャンバを含む遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能と薬物反応検査装置を提供する。
【0038】
また、本発明は、血液サンプルを注入する段階;前記血液サンプルが攪拌チャンバに流入して、前記攪拌チャンバ内の攪拌機が回転しながら薬物が前記攪拌チャンバに放出される段階;前記攪拌チャンバが設けられたディスクが回転する段階;前記血液サンプルがマイクロチャンネルを介して移動する途中に血小板の凝集により停止される段階;及び前記ディスクが停止され、前記血液サンプルの移動度を測定する段階を含む遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能及び薬物反応検査方法を提供する。
【0039】
また、本発明は、血液サンプルを注入する段階;前記血液サンプルが注入されたディスクが回転する段階;前記血液サンプルがマイクロチャンネルを介して放出され移動する途中に血小板の凝集により停止される段階;及び前記ディスクが停止され、前記血液サンプルの移動度を測定する段階を含む遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能及び薬物反応検査方法を提供する。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、複数のチャネルを介して大量の血液サンプルを一回に短時間で検査することができる効果がある。
【0041】
また、1つの血液サンプルに対する複数の薬物検査を複数のチャンネルで一回の検査で複合的な血小板機能についての複数の検査ができ、検査時間が減少し、検査コストも低減する効果がある。
【0042】
また、血液を移動させるために真空ポンプなどのような流体駆動装置なしで遠心力でこれを切り替える効果を得ることができる。
【0043】
また、血液に接触する部分がすべて使い捨てで製作され、使用後廃棄することができ、ユーザーの利便性と血液感染などの危険から脱する効果を得ることができる。
【0044】
また、計測時間の短縮と、複数のサンプルが同時に測定することができるシステムの具現が可能であり、大量の検査を実行するに適した効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明の一実施形態に係る遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能と薬物反応検査装置の構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係る血液サンプルの進行過程を示した構成図である。
図3】本発明の一実施形態に係る撹拌機の内部を示した構成図である。
図4】本発明の一実施形態に係るマイクロチャンネルの他の例と流動圧力分布を示した図面である。
図5】本発明の他の実施形態に係る遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能と薬物反応検査装置の構成図である。
図6】本発明の一実施形態に係る遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能と薬物反応検査方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明にかかる遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能と薬物反応検査装置の一実施形態を添付する図面を参照して詳細に説明する。
【0047】
図1は、本発明の一実施形態に係る遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能と薬物反応検査装置の構成図であり、図2は本発明の一実施形態に係る血液サンプルの進行過程を示した構成図であり、図3は本発明の一実施形態に係る撹拌機の内部を示した構成図である。
【0048】
図示されたところによると、本発明にかかる遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能と薬物反応検査装置は、回転可能なディスク10;前記ディスク10の中央に配置され、血液サンプルが内部に収容されるサンプルチャンバ20;前記サンプルチャンバ20と複数の半径方向にそれぞれ連結され、前記血液サンプル内にせん断流動を誘導する攪拌チャンバ30;前記攪拌チャンバ30に連結され、血小板の付着と凝集が発生するマイクロチャンネル40;及び前記マイクロチャンネル40を通過した血液サンプルが収容される廃サンプルチャンバ24を含むことができる。
【0049】
マイクロチャンネル40は、その断面形状が四角形などの多角形、円形または楕円形であることができる。例えば、断面形状が正方形であるチャンネルの場合、一つの角の長さは1〜1,000μm、好ましくは10〜200μm、さらに好ましくは20〜50μmであることができる。断面形状が円形の場合にも、前記の範囲の直径を有することができる。
【0050】
本発明では、使い捨てのディスク10が回転すると、遠心力によって血液サンプルが半径方向に移動する。このとき、血小板の凝集性または付着程度に応じて、サンプルの移動距離の差が発生し、この時移動距離の差を利用して相対的な血小板の凝集性及び付着性を測定する。
【0051】
図1は、本発明の一実施形態として、一つの血液サンプルチャンバ20から複数の攪拌チャンバ30が半径方向にそれぞれ分けられ、それぞれの攪拌チャンバ30では検査目的の特殊な薬物が含まれてあり、一回の検査で様々な薬物反応検査を行うことができる。ここでは、血液サンプルの移動距離の測定は、ディスク10に設けられた測定部50を介して得ることができる。測定部50は、小型カメラなどの装置で構成され、映像を獲得して分析することもでき、特定の場所にLED及びフォトダイオードセンサなどのセンサの組み合わせを介して血液サンプルの移動距離を測定することもできる。
【0052】
図2を参照すると、まず、サンプルチャンバ20に血液サンプルが供給されると、連結チャネル22を介して攪拌チャンバ30に血液サンプルが流入される。この時、血液サンプルはこれ以上、下流に流されないように制御するために、マイクロチャンネル40の前段にはマイクロ流動バルブ42が設けられることができる。そして、血液サンプルはマイクロチャンネル40を介して廃サンプルチャンバ24に流入する。
【0053】
図3を参照すると、攪拌チャンバ30の内部には血液サンプルの攪拌のための攪拌機32が回転可能に設けられる。攪拌機32は、磁力のような非接触方式によって回転することができ、回転数を制御することにより攪拌及びせん断流動を効率的に生成することができる。
【0054】
また、攪拌機32の形状は、一般的に使用される一字状の丸棒をはじめ、十字状の丸棒または円形プレートの形状など様々な形状を有することができる。このような攪拌機32が非接触式の力を受けて回転すると、攪拌チャンバ30の内部には攪拌だけでなく、回転数に応じたせん断流動が発生する。このようなせん断流動の形態は、一字状の丸棒の場合断続的なせん断流動であることができ、円形プレートの場合連続的なせん断流動が発生することができる。例えば、攪拌機32は、別途に設けられた攪拌誘導装置(図示せず)の磁力によって磁化され、機械的な連結なしに影響を受けることができるように薄い金属材で製作することができる。
【0055】
攪拌機32の直径または厚さは、攪拌チャンバ30の深さの半分のサイズの内外を有することが好ましく、攪拌機32の長さまたは直径は攪拌チャンバ30の直径の80〜90%水準の大きさを有することが適切である。
【0056】
一方、攪拌機32の内部には、血小板凝集を活性化するし、非活性化するための薬物34が液体または固体の状態で貯留されることができる。つまり、攪拌機32の内部には中空であることができ、攪拌機32の内部に液体または固体の微粒状粉末の薬物を貯留することができる。
【0057】
一実施形態として、一字状の丸棒の攪拌機32の場合、攪拌機32の中央と両側部分が開放され、前記開放された部分には封止材36が備えられる。封止材36としてはパラフィンワックスのような相変化物質、でんぷんなどのような水溶性メンブレンが使用されることが望ましい。パラフィンワックスは一定の温度以上にさらされると、固体が液体に変化されながら攪拌機32の密封が解除され、このとき攪拌機32の内部の薬物34は遠心力によって攪拌チャンバ30の内部に放出されることができる。また、でんぷんは血液にさらされるとやすく溶け密封が解除され、薬物34が攪拌チャンバ30の内部に放出することができる。
【0058】
また、相変化物質の封止材36が使用される場合は、レーザーまたは電磁波などを封止材36に照射して、相変化物質が溶け下すように加熱して密封を解除することができる。そして、水溶性メンブレンに封止材36が使用される場合は、血液にすぐにとろけるよう攪拌機32を回転させると、密封が解除されて攪拌機32の内部の薬物34が放出されることができる。このように、薬物34が放出される原理は攪拌機32の回転に伴う遠心力が主な駆動力になることができる。
【0059】
血小板が力学的な力によって活性化されるかどうかを検査しようとする場合には、攪拌機32の回転による最小せん断率は5000(s−1)以上になるし、最小せん断力が8Pa以上であることが望ましい。また、前記せん断流動場に血液サンプルがさらされる時間は30秒以上であることが好ましい。これは、前記せん断率を利用して、血小板及びフォンヴィレブラント因子(vWF)の十分な活性化を達成するためである。
【0060】
攪拌機32に充填される薬物34としては、血小板凝集を活性化させるアデノシンニリン酸(ADP)、エピネフリンのようなアゴニスト(agonist)、逆に血小板の凝集や付着を非活性化するアンタゴニスト(antagonist)などが単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0061】
また、薬物34は攪拌機32の内部に液相と液相、液相と固相の形でそれぞれ充填することができ、互いに異なる空間に分離されて貯留されることもできる。さらに、薬物34が固相にのみ充填されるときには微粒子で互いに混合されて貯留されることもできる。
【0062】
このように、薬物34が攪拌機32から放出され、血液サンプルに流入すると、攪拌機32の回転により均質に混合されながら、薬物34による血小板反応が発生する。特に、アゴニストの薬物である場合、血小板の凝集が促進され、大きな塊の凝集体が形成されることができる。
【0063】
薬物34と血液サンプルが攪拌機32によって混合が完了すると、攪拌チャンバ30とマイクロチャンネル40を含むディスク10に連結された回転装置(図示せず)は、徐々に回転をすることになり、一定速度の回転数を持つようになる。このとき、攪拌チャンバ30に貯留されている血液サンプルは遠心力によって半径方向に行こうとするが、相変化物質のような封止材36に詰まってあり、流動が発生しない。しかし、相変化物質の部位に電磁波、レーザーまたは他の加熱手段によって熱が伝達されると、チャンネル内の流路が開かれ、血液サンプルが半径方向に移動する。
【0064】
図1及び2を参照すると、薬物34の混合及びせん断攪拌が終了したら、マイクロ流動バルブ42が開き、ディスク10が回転するのに、この時血液サンプルは回転による遠心力によって半径方向に力を受けることになってマイクロチャンネル40に沿って移動する。このとき、薬物34と反応した血液サンプルは血小板の凝集の程度に応じて移動の速度が異なり、移動度も異なる特性を利用して、血小板の薬物反応検査を遂行する。
【0065】
血小板凝集などにより血液サンプルの進行がマイクロチャンネル40内で止まるのに、この時血液サンプルの移動比(migration ratio)を相対的に測定することができる。また、マイクロチャンネル40の他の例として、図1に示すように、一字状のチャンネルに中間チャンバ44が中間の複数の地点に形成されることができる。中間チャンバ44は血液サンプルの流速を減少させ、血小板の凝集を誘発させることができ、凝集された血小板の塊がマイクロチャンネル40に再進入するとき閉鎖を促進するようにする役割をはたす。
【0066】
攪拌チャンバ30に連結され、複数の中間チャンバ44を含むマイクロチャンネル40で、血液の薬物反応の程度に応じて血液の移動度が決定されることができる。つまり、アゴニストによく反応する血液サンプルは相対的に大きな血小板凝集体を複数形成し、これは前記マイクロチャンネル40に大きな流動抵抗で作用して検体群(Control)に比べ、血液の移動比が小さくすることができる。しかし、アゴニストとよく反応しない血液サンプルの場合、血小板の凝集の程度が低く、これにより血液の移動距離は非常に長く下流まで遠心力によって行うことができる。このように、薬物34と混合された血液サンプルの移動度を検体群の移動距離と比較して移動比を計算することができる。
【0067】
また、攪拌チャンバ30の下流方向に連結されたマイクロチャンネル40の配列は半径方向に、図1に示すように、直線状、曲線状または千鳥状に配置することもでき、これらの様々な組み合わせであることもできる。
【0068】
一方、図4を参照すると、マイクロチャンネル40は一字状のチャンネルで構成されることもできるが、中間に相対的に幅が大きい拡大部46を備えて血液サンプルの流速を減速させながら血小板の凝集と付着を増加させるように構成することができる。このような拡大部46を中間に適切に配置すると、血液サンプルはまるで脈動型圧力やせん断力を経験しながら移動する特性を持つようになって、生体内部の流動を写すことができる。拡大部46に連結されたマイクロチャンネル40は、まるで血管の内部に存在する狭窄部を写すこともできる。
【0069】
また、拡大部46の表面には、血小板の付着を増加させることができるアゴニストをコーティングして、血液の移動度の弁別力を向上させることができる。このようなマイクロチャンネル40を全部通過した血液サンプルは廃サンプルチャンバ24に収集される。
【0070】
前記薬物には、血小板が付着することに役立つアゴニスト、すなわちコラーゲン、ADP、エピネフリンなどがあり、逆に血小板の凝集を妨害したり抑制したりするアンタゴニストではアスピリン、P2Y1レセプターアンタゴニスト、P2Y12レセプターアンタゴニストなどが使用されることができる。
【0071】
P2Y1レセプターアンタゴニストはMRS2179、MRS2279、MRS2500、A2P5P、A3P5P、A3P5PSなどの候補物質のうちの少なくともいずれか一つであることができる。P2Y12レセプターアンタゴニストは、クロピドグレル、チクロピジン、プラスグレル、AR−C67085MX、カングレロル、C1330−7、MRS2395、2−methylthioadenosine−5’−monophosphateなどの候補物質のうちの少なくともいずれか一つであることができる。
【0072】
特に、前記関連薬物服用者での血小板凝集機能と薬物に対する抵抗性の測定が、本発明による検査装置により実施することができる。
【0073】
血小板の機能の測定のために、健常者、またはアスピリン及びクロピドグレル服用者の血液をcitratedチューブに採取した後、約50〜100 microliterの全血液をとり、それぞれADP、プロスタグランジンE(Prostaglandin E)、フィブリノーゲン、アラキドン酸の最適濃度で37℃の温度で10〜30分間反応させることができる。反応後、血液をマイクロチャンネルで遠心力を加えて移動させるのに、対象者の血小板の機能が正常であれば短い時間内にマイクロチャンネルの流路が詰まって流動が止まったり、移動距離が短くなる。逆に血小板の機能に異常がある場合、正常に比べて閉鎖時間が増えるか、または移動距離が増加することになる。
【0074】
薬物耐性を検査する場合、つまりアスピリン、クロピドグレル、チクロピジンなどを服用した場合、血小板の凝集機能が低下するので、マイクロチャンネル内の流路がやすく詰まらない閉鎖時間が増加し、移動距離が増加する。健常者の場合、薬物によく反応して、この閉鎖時間が短く表し、このような閉鎖時間の割合が健常者よりも大幅に減らすと、アスピリンとクロピドグレルの薬物耐性と判断する。
【0075】
次に、以下では、本発明の他の実施形態に係る遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能と薬物反応検査装置について説明する。
【0076】
図5は、本発明の他の実施形態に係る遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能と薬物反応検査装置の構成図である。
【0077】
図示されたところによると、本実施形態では、4つの互いに異なる血液サンプルが一つのディスク10に注入されて、一回の検査で実行することができる利点を持っている。本実施形態で攪拌チャンバ30は、サンプルチャンバの機能も兼ね備えて血液サンプルを収容することができ、すなわち、図1のサンプルチャンバ20と攪拌チャンバ30を併合したものであることができる。攪拌チャンバ30の数は、図示された4つに限定されず、例えば、複数の血液サンプル検査ができるように、複数の攪拌チャンバ30及びこれと同じ数のマイクロチャンネル40が備えられる。ここで、複数の攪拌チャンバ30はディスク10の中央部に円周方向に沿って配置されることができ、それぞれの攪拌チャンバ30に注入された血液サンプルはそれぞれ半径方向に移動することができる。
【0078】
また、マイクロチャンネル40の構成は、図1に示すように直線状、曲線状または千鳥状等の様々な形状の組み合わせで構成することができる。
【0079】
以下では、前記のような構成を有する遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能と薬物反応検査方法を詳細に説明する。
【0080】
図6は、本発明の一実施形態に係る遠心力のマイクロ流動ベースの血小板複合機能と薬物反応検査方法のフローチャートである。
【0081】
図示されたところによると、検査者は静脈採血した血液サンプルをサンプルチャンバ20に注入する(S10)。以降、血液サンプルは、サンプルチャンバ20に連結された連結チャネル22を介して攪拌チャンバ30に流入され、攪拌チャンバ30内の攪拌機32が自力によって回転しながら攪拌機32の内部に貯留されている薬物34が放出されながら、血液サンプルと混合される(S20)。
【0082】
この時、血小板の機械的な刺激による活性化試験の場合には、特定の回転数で急速に回転させて、血小板及びフォンヴィレブラント因子(vWF)を活性化させることができる。このような機械的な活性化の試験ではない場合には、薬物と血液サンプルの撹拌を目的であらかじめ設定された速度と時間の間に回転させることができる。
【0083】
次に、サンプルチャンバ20が設けられたディスク10が回転する(S30)。以降、マイクロ流動バルブ42が開くと、血液サンプルはマイクロチャンネル40を介して下流に移動され、血小板の凝集度及び付着性に応じてマイクロチャンネル40を流れていく速度と移動距離が異なり、停止または最後まで移動される(S40)。
【0084】
すると、ディスク10は止まるようになり、サンプルの移動度が映像装置または光源及び光センサなどの測定部50を介して測定される(S50)。
【0085】
前記血液サンプルにせん断力を加えて血小板を活性化する方法として撹拌機を回転させてせん断流動を発生させる方法以外に、遠心力による血液の高せん断流動を介して血小板を活性化させることができる。より詳細に説明すると、血液サンプルが注入された後、マイクロ流体バルブ42が閉じた状態で一定の回転速度まで増加させた後、マイクロ流動バルブ42が開かれると、マイクロチャンネル40を介して高せん断流動が発生する。これにより、活性化された血小板がマイクロチャンネルの拡大部46または特定の部位にコーティングされたアゴニストなどの薬物と反応して付着及び凝集などが行われ流動の進行程度を妨害する。このとき、サンプル流動の移動比またはマイクロチャンネル40の末端に到達する時間などを利用して、薬物反応検査を行うことができる。
【0086】
本発明の権利範囲は、上述した実施形態に限定されず、請求の範囲に記載されたところによって定義され、本発明の技術分野における通常の知識を有する者が請求の範囲に記載された権利の範囲内で種々の変形や改作を行うことができるということは自明である。
【符号の説明】
【0087】
10:ディスク
20:サンプルチャンバ
22:連結チャネル
30:攪拌チャンバ
32:攪拌機
34:薬物
36:封止材
40:マイクロチャンネル
42:マイクロ流動バルブ
44:中間チャンバ
46:拡張部
50:測定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6