(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6091652
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】光加工ヘッド、光加工装置、その制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B29C 67/00 20170101AFI20170227BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20170227BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20170227BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20170227BHJP
B33Y 50/00 20150101ALI20170227BHJP
B23K 26/21 20140101ALI20170227BHJP
B22F 3/105 20060101ALI20170227BHJP
B22F 3/16 20060101ALI20170227BHJP
B23K 26/34 20140101ALI20170227BHJP
【FI】
B29C67/00
B23K26/00 P
B23K26/00 M
B33Y30/00
B33Y50/02
B33Y50/00
B23K26/21 Z
B22F3/105
B22F3/16
B23K26/34
【請求項の数】20
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-549115(P2015-549115)
(86)(22)【出願日】2015年3月20日
(86)【国際出願番号】JP2015058624
(87)【国際公開番号】WO2016151712
(87)【国際公開日】20160929
【審査請求日】2015年10月2日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度 経済産業省「三次元造形技術を核としたものづくり革命プログラム(次世代型産業用3Dプリンタ技術開発及び超精密三次元造形システム技術開発)」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】514227988
【氏名又は名称】技術研究組合次世代3D積層造形技術総合開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】100134430
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 卓士
(74)【代理人】
【識別番号】100198960
【弁理士】
【氏名又は名称】奥住 忍
(72)【発明者】
【氏名】大野 博司
(72)【発明者】
【氏名】小原 隆
(72)【発明者】
【氏名】笹木 裕司
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 光夫
(72)【発明者】
【氏名】益川 和之
【審査官】
篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−245059(JP,A)
【文献】
特開2009−160658(JP,A)
【文献】
特開平03−052785(JP,A)
【文献】
特開2002−160084(JP,A)
【文献】
特開2003−340583(JP,A)
【文献】
カナダ国特許出願公開第02824042(CA,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0064047(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 67/00
B22F 3/105
B22F 3/16
B23K 26/00
B23K 26/21
B23K 26/34
B33Y 30/00
B33Y 50/00
B33Y 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工用光線および前記加工用光線とは異なる波長をもつ検査用光線を加工面へ導く導光部と、
前記検査用光線のスポット画像を撮像する撮像手段と、前記検査用光線のスポット画像と基準スポット画像とを比較する比較手段とを備え、前記加工面で反射された前記検査用光線の反射光から、前記加工面の状態を検査する検査部と、
を備えた光加工ヘッド。
【請求項2】
前記加工面の状態とは、前記加工面の傾きおよび/または前記加工面上の加工材料の濃度であることを特徴とする請求項1に記載の光加工ヘッド。
【請求項3】
前記検査用光線の波長λと輝度Iとの関係は、前記加工面で想定される最高温度Tに対して、光速をc、プランク定数をh、ボルツマン定数をκとすると、
I(λ)>(2hc2/λ5)/[exphc/λκT−1]
であることを特徴とする請求項1または2に記載の光加工ヘッド。
【請求項4】
前記検査用光線の波長は1μm以下である請求項1、2または3に記載の光加工ヘッド。
【請求項5】
前記検査用光線は、500nm以下の波長を有する紫外光または青色光であることを特徴とする請求項4に記載の光加工ヘッド。
【請求項6】
前記基準スポット画像は、前記加工用光線の光軸に直交する基準加工面で反射された前記検査用光線を撮像した画像である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光加工ヘッド。
【請求項7】
前記比較手段は、前記検査用光線のスポット画像に含まれるスポット中心と、前記基準スポット画像に含まれる基準スポット中心と、の距離に基づいて前記加工面の前記基準加工面に対する傾き角を算出する請求項6に記載の光加工ヘッド。
【請求項8】
前記加工用光線によって前記加工面上に形成した溶融プールに向けて加工材料を射出させるノズルをさらに含み、
前記基準スポット画像は、前記加工材料が射出されていない前記加工面上で反射された前記検査用光線を撮像した画像である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光加工ヘッド。
【請求項9】
前記比較手段は、前記検査用光線のスポット画像と基準スポット画像の大きさの差異から、前記加工面上の気体中における加工材料の濃度を算出する請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光加工ヘッド。
【請求項10】
前記加工材料の濃度に基づいて、前記加工材料の射出量を調整する調整手段をさらに備えた請求項9に記載の光加工ヘッド。
【請求項11】
前記撮像手段は、前記加工用光線から外れて配置され、前記検査部は、前記加工用光線を透過させ、前記加工面から反射された前記検査用光線を前記撮像手段に導く第1ハーフミラーをさらに備えた請求項1に記載の光加工ヘッド。
【請求項12】
前記検査用光線の射出部が、前記加工用光線から外れて配置され、前記検査部は、前記加工用光線を透過させ、前記射出部から射出された前記検査用光線を前記加工面に導く第2ハーフミラーをさらに備えた請求項11に記載の光加工ヘッド。
【請求項13】
加工用光線および前記加工用光線とは異なる波長をもつ検査用光線を加工面へ導く導光部と、
前記検査用光線のスポット画像を撮像する撮像手段を備え、前記加工面で反射された前記検査用光線の反射光から、前記加工面の状態を検査する検査部と、
を備え、
前記撮像手段と前記検査用光線の射出部は、前記加工用光線から外れて配置され、
前記検査部は、
前記加工用光線を透過させ、前記加工面から反射された前記検査用光線を前記撮像手段に導く第1ハーフミラーと、
前記加工用光線を透過させ、前記射出部から射出された前記検査用光線を前記加工面に導く第2ハーフミラーと、をさらに備え、
前記第1ハーフミラーの反射面および前記第2ハーフミラーの反射面は、前記加工用光線の光軸に直交する面に関して、面対称であることを特徴とする光加工ヘッド。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の光加工ヘッドと、
前記加工用光線を射出する加工用光源と、
前記検査用光線を射出する検査用光源と、
を備えた光加工装置。
【請求項15】
請求項7に記載の光加工ヘッドと、
算出された前記傾き角に応じて、前記加工面または前記光加工ヘッドの傾きを制御する制御手段と、
を備えた光加工装置。
【請求項16】
請求項9または10に記載の光加工ヘッドと、
前記加工材料の濃度に応じて、前記加工材料の射出量を制御する制御手段と、
を備えた光加工装置。
【請求項17】
加工用光線および前記加工用光線とは異なる波長をもつ検査用光線を加工面へ導く導光部と、
前記検査用光線のスポット画像を撮像する撮像手段と、前記検査用光線のスポット画像と前記加工用光線の光軸に直交する基準加工面で反射された前記検査用光線を撮像した基準スポット画像とを比較し、前記検査用光線のスポット画像に含まれるスポット中心と、前記基準スポット画像に含まれる基準スポット中心と、の距離に基づいて前記加工面の前記基準加工面に対する傾き角を算出する比較手段とを備え、前記加工面で反射された前記検査用光線の反射光から、前記加工面の状態を検査する検査部と、
を備えた光加工ヘッドと、
算出された前記傾き角に応じて、前記加工面または前記光加工ヘッドの傾きを制御する制御手段と、
を備えた光加工装置、の制御方法であって、
算出された前記傾き角に応じて、前記加工面と前記光加工ヘッドとが所定の相対位置となるように、前記加工面または前記光加工ヘッドの傾きを制御する光加工装置の制御方法。
【請求項18】
加工用光線および前記加工用光線とは異なる波長をもつ検査用光線を加工面へ導く導光部と、
前記検査用光線のスポット画像を撮像する撮像手段と、前記検査用光線のスポット画像と基準スポット画像とを比較し、前記検査用光線のスポット画像と基準スポット画像の大きさの差異から、前記加工面上の気体中における加工材料の濃度を算出する比較手段とを備え、前記加工面で反射された前記検査用光線の反射光から、前記加工面の状態を検査する検査部と、
を有する光加工ヘッドと
加工材料の濃度に応じて、前記加工材料の射出量を制御する制御手段と、
を備えた光加工装置、の制御方法であって、
前記加工材料の濃度が所定の範囲となるように、前記加工材料の射出量を制御する光加工装置の制御方法。
【請求項19】
加工用光線および前記加工用光線とは異なる波長をもつ検査用光線を加工面へ導く導光部と、
前記検査用光線のスポット画像を撮像する撮像手段と、前記検査用光線のスポット画像と前記加工用光線の光軸に直交する基準加工面で反射された前記検査用光線を撮像した基準スポット画像とを比較し、前記検査用光線のスポット画像に含まれるスポット中心と、前記基準スポット画像に含まれる基準スポット中心と、の距離に基づいて前記加工面の前記基準加工面に対する傾き角を算出する比較手段とを備え、前記加工面で反射された前記検査用光線の反射光から、前記加工面の状態を検査する検査部と、
を備えた光加工ヘッドと、
算出された前記傾き角に応じて、前記加工面または前記光加工ヘッドの傾きを制御する制御手段と、
を備えた光加工装置、の制御プログラムであって、
算出された前記傾き角に応じて、前記加工面と前記光加工ヘッドとが所定の相対位置となるように、前記加工面または前記光加工ヘッドの傾きを制御する制御ステップをコンピュータに実行させる光加工装置の制御プログラム。
【請求項20】
加工用光線および前記加工用光線とは異なる波長をもつ検査用光線を加工面へ導く導光部と、
前記検査用光線のスポット画像を撮像する撮像手段と、前記検査用光線のスポット画像と基準スポット画像とを比較し、前記検査用光線のスポット画像と基準スポット画像の大きさの差異から、前記加工面上の気体中における加工材料の濃度を算出する比較手段とを備え、前記加工面で反射された前記検査用光線の反射光から、前記加工面の状態を検査する検査部と、
を有する光加工ヘッドと
加工材料の濃度に応じて、前記加工材料の射出量を制御する制御手段と、
を備えた光加工装置の制御プログラムであって、
前記加工材料の濃度が所定の範囲となるように、前記加工材料の射出量を制御する制御ステップをコンピュータに実行させる光加工装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光加工ヘッド、光加工装置、その制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1には、光加工ヘッドの外部に設けられた測定装置を用いて加工面の傾きを検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】カナダ特許公開公報CA2251082A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献に記載の技術では、測定装置が、加工用の光線を加工面に導く光学系と全く独立した別の検査用光学系を有するため、測定装置について独立した調整を行なう必要があった。
【0005】
本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明にかかる光加工ヘッドは、
加工用光線および前記加工用光線とは異なる波長をもつ検査用光線を加工面へ導く導光部と、
前記検査用光線のスポット画像を撮像する撮像手段と、前記検査用光線のスポット画像と基準スポット画像とを比較する比較手段とを備え、前記加工面で反射された前記検査用光線の反射光から、前記加工面の状態を検査する検査部と、
を備えた。
上記目的を達成するため、本発明にかかる他の光加工ヘッドは、
加工用光線および前記加工用光線とは異なる波長をもつ検査用光線を加工面へ導く導光部と、
前記検査用光線のスポット画像を撮像する撮像手段を備え、前記加工面で反射された前記検査用光線の反射光から、前記加工面の状態を検査する検査部と、
を備え、
前記撮像手段と前記検査用光線の射出部は、前記加工用光線から外れて配置され、
前記検査部は、
前記加工用光線を透過させ、前記加工面から反射された前記検査用光線を前記撮像手段に導く第1ハーフミラーと、
前記加工用光線を透過させ、前記射出部から射出された前記検査用光線を前記加工面に導く第2ハーフミラーと、をさらに備え、
前記第1ハーフミラーの反射面および前記第2ハーフミラーの反射面は、前記加工用光線の光軸に直交する面に関して、面対称である。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明にかかる光加工装置は、
上述の光加工ヘッドと、
前記加工用光線を射出する加工用光源と、
前記検査用光線を射出する検査用光源と、
を備えた光加工装置である。
上記目的を達成するため、本発明にかかる他の光加工装置は、
上述の光加工ヘッドと、
算出された前記傾き角に応じて、前記加工面または前記光加工ヘッドの傾きを制御する制御手段と、
を備えた光加工装置である。
上記目的を達成するため、本発明にかかるさらに他の光加工装置は、
上述の光加工ヘッドと、
加工材料の濃度に応じて、前記加工材料の射出量を制御する制御手段と、
を備えた光加工装置である。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明にかかる光加工装置の制御方法は、
加工用光線および前記加工用光線とは異なる波長をもつ検査用光線を加工面へ導く導光部と、
前記検査用光線のスポット画像を撮像する撮像手段と、前記検査用光線のスポット画像と前記加工用光線の光軸に直交する基準加工面で反射された前記検査用光線を撮像した基準スポット画像とを比較し、前記検査用光線のスポット画像に含まれるスポット中心と、前記基準スポット画像に含まれる基準スポット中心と、の距離に基づいて前記加工面の前記基準加工面に対する傾き角を算出する比較手段とを備え、前記加工面で反射された前記検査用光線の反射光から、前記加工面の状態を検査する検査部と、
を備えた光加工ヘッドと、
算出された前記傾き角に応じて、前記加工面または前記光加工ヘッドの傾きを制御する制御手段と、
を備えた光加工装置、の制御方法であって、
算出された前記傾き角に応じて、前記加工面と前記光加工ヘッドとが所定の相対位置となるように、前記加工面または前記光加工ヘッドの傾きを制御する。
上記目的を達成するため、本発明にかかる光加工装置の他の制御方法は、
加工用光線および前記加工用光線とは異なる波長をもつ検査用光線を加工面へ導く導光部と、
前記検査用光線のスポット画像を撮像する撮像手段と、前記検査用光線のスポット画像と基準スポット画像とを比較し、前記検査用光線のスポット画像と基準スポット画像の大きさの差異から、前記加工面上の気体中における
加工材料の濃度を算出する比較手段とを備え、前記加工面で反射された前記検査用光線の反射光から、前記加工面の状態を検査する検査部と、
を有する光加工ヘッドと
前記加工材料の濃度に応じて、前記加工材料の射出量を制御する制御手段と、
を備えた光加工装置の制御方法であって、
前記加工材料の濃度が所定の範囲となるように、前記加工材料の射出量を制御する。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明にかかる制御プログラムは、
加工用光線および前記加工用光線とは異なる波長をもつ検査用光線を加工面へ導く導光部と、
前記検査用光線のスポット画像を撮像する撮像手段と、前記検査用光線のスポット画像と前記加工用光線の光軸に直交する基準加工面で反射された前記検査用光線を撮像した基準スポット画像とを比較し、前記検査用光線のスポット画像に含まれるスポット中心と、前記基準スポット画像に含まれる基準スポット中心と、の距離に基づいて前記加工面の前記基準加工面に対する傾き角を算出する比較手段とを備え、前記加工面で反射された前記検査用光線の反射光から、前記加工面の状態を検査する検査部と、
を備えた光加工ヘッドと、
算出された前記傾き角に応じて、前記加工面または前記光加工ヘッドの傾きを制御する制御手段と、
を備えた光加工装置、の制御プログラムであって、
算出された前記傾き角に応じて、前記加工面と前記光加工ヘッドとが所定の相対位置となるように、前記加工面または前記光加工ヘッドの傾きを制御する制御ステップをコンピュータに実行させる光加工装置の制御プログラムである。
上記目的を達成するため、本発明にかかる他の制御プログラムは、
加工用光線および前記加工用光線とは異なる波長をもつ検査用光線を加工面へ導く導光部と、
前記検査用光線のスポット画像を撮像する撮像手段と、前記検査用光線のスポット画像と基準スポット画像とを比較し、前記検査用光線のスポット画像と基準スポット画像の大きさの差異から、前記加工面上の気体中における
加工材料の濃度を算出する比較手段とを備え、前記加工面で反射された前記検査用光線の反射光から、前記加工面の状態を検査する検査部と、
を有する光加工ヘッドと
前記加工材料の濃度に応じて、前記加工材料の射出量を制御する制御手段と、
を備えた光加工装置の制御プログラムであって、
前記加工材料の濃度が所定の範囲となるように、前記加工材料の射出量を制御する制御ステップをコンピュータに実行させる光加工装置の制御プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、光加工において簡便に加工面の状態を検査できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る光加工ヘッドの構成を示す図である。
【
図2】本発明の第2実施形態に係る光加工ヘッドの構成を示す斜視図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係る光加工ヘッドの撮像画像を示す図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る光加工ヘッドの加工用光線の光路を説明する図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る光加工ヘッドの制御の流れを示すフローチャートである。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る光加工ヘッドの波長分離効果を示す図である。
【
図7】本発明の第3実施形態に係る光加工ヘッドの構成を示す断面図である。
【
図8】本発明の第4実施形態に係る光加工ヘッドの構成を示す断面図である。
【
図9】本発明の第5実施形態に係る光加工装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。なお、以下の実施形態において、「光」は、紫外光からマイクロ波までを含む様々な電磁波を含み、加工対象等に応じて適宜選択することができるものとする。
【0013】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としての光加工ヘッド100について、
図1を用いて説明する。光加工ヘッド100は、導光部101と検査部102とを含む。
【0014】
導光部101は、加工用光線111および検査用光線112を加工面120へ導く。ここで、検査用光線112は、加工用光線111とは異なる波長をもつ光線である。
【0015】
検査部102は、加工面120で反射された検査用光線112の反射光113から、加工面120の状態を検査する。
【0016】
以上の構成によれば、光加工において簡便に加工面の状態、例えば加工面の傾きや、加工面上の加工材料の濃度などを検査できる。また、加工用光線111と検査用光線112の波長が異なるため、導光部101内でそれらの光線は干渉しない。そのため、それらの光線を重ねることができ、導光部101をコンパクトにできるという利点もある。さらに、検査用光線112の反射光113は、加工用光線111の反射光と分離することが可能である。つまり、検査部102において、反射光113のみを分離して受光することができ、加工光線111によるノイズを低減できる。
【0017】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態としての光加工ヘッド200について、
図2を用いて説明する。
図2は、レーザ光を適用した光加工ヘッド200の内部構成を示す図であり、
図2に示すとおり、光加工ヘッド200は、導光部として機能する集光光学系装置201と検査部として機能する検査ユニット202とノズル203とを含む。
【0018】
(ヘッド全体構成)
集光光学系装置201は、コリメータレンズ211、集光レンズ212および集光レンズ212を保護する保護ガラス213、ならびにそれらのレンズを保持する筐体214を備えている。コリメータレンズ211は、入射端215より射出された加工用光線205を平行光に変換する。集光レンズ212は、その平行光を下流側の加工面260に向けて集光させる。
【0019】
これらの光学系により、集光光学系装置201は、不図示の光源から光伝送部210を経て入射端215から導かれた加工用光線205を加工面260に導くことができる。光伝送部210は、例えばコア径がφ0.01〜1mmの光ファイバであり、光源で発生した光(例えばレーザ光)を光加工ヘッド200に導く。
【0020】
光加工ヘッド200は、入射端215から入射した加工用光線205を加工面260に対して集光させ、加工面260を加熱し、加工面260に溶融プール261を形成させる。
【0021】
ノズル203は、加工用光線205を遮らないように光線経路を備え、不図示の材料供給装置から、材料供給部を介して、粉体材料およびガスの供給を受け、ガスに混合された加工材料250を、加工面260の溶融プール261に対して射出する。その後、溶融プール261が冷却されることで加工面260に材料が堆積される。加工面260上で溶融プール261を移動させ、溶融と材料供給と冷却とを繰り返すことにより3次元造形が実現する。
【0022】
(検査ユニットの構成)
検査ユニット202は、加工面260およびその付近の状況を加工用光線205の光軸に沿った視点から観測するためのユニットであり、集光レンズ212よりも上流側で、コリメータレンズ211よりも下流側に配置される。
【0023】
検査ユニット202は、検査用光線206の反射光207のスポット画像を撮像する撮像デバイス221を備え、さらに、検査用光線206のスポット画像と基準スポット画像とを比較する比較部225を備える。検査ユニット202は、さらに、筐体214の内部に設けられたハーフミラー(one-way mirror)222、223と検査用光線射出部224とを含む。
【0024】
撮像デバイス221は、加工用光線205から外れて配置され、検査ユニット202は、加工用光線205を透過させ、加工面260から反射された検査用光線206の反射光207を撮像デバイス221に導くハーフミラー222をさらに備える。
【0025】
検査用光線射出部224は、加工用光線205から外れて配置される。検査用光線射出部224は、検査用光源であってもよいが、それに限定されず、光ファイバなど光伝達手段の射出口でもよい。
【0026】
ハーフミラー222は、加工用光線205(波長1000nm以上)を透過し、ハーフミラー222の下流側の表面は検査用光線206(波長400〜800nm)の一部を反射するように、コーティングされている。加工面260で反射された反射光207は、ハーフミラー222によって反射され、撮像デバイス221に導かれる。このように観測した加工状況に応じて、加工パラメータをフィードバック制御し、加工精度を向上させることができる。ハーフミラー223は、加工用光線205を透過させ、検査用光線射出部224から射出された検査用光線206を加工面260に導く。
【0027】
検査用光線射出部224および撮像デバイス221は、加工用光線205から外れて配置されている。検査用光線射出部224は例えばLEDであり、検査用光線206の波長は400〜450nmである。ただしこの限りではなく、加工用光線205(例えば波長1060nm)と異なる波長(例えば波長400〜800nm)を有する検査用光線206を射出できれば、ハロゲンランプ、白熱ランプ、クリプトンランプ、などでもよい。撮像デバイス221は、レンズ221aとCCDやCMOSなどの撮像素子221bとを有している。レンズ221aに到達した光線は、撮像素子221bの各画素へと集光される。
【0028】
加工面260は加工中に昇温され、高温になる。このとき、加工面260より熱輻射が生じる。この熱輻射の波長スペクトルは、
図3に示すプランク分布に従う。ここでは、例として、加工点の温度が2000度または1500度の場合の波長と強度の関係を示すスペクトル301、302を表わしている。
【0029】
加工面260からの熱輻射と検査用光線206は、撮像素子に同時に入射する。そのため、熱輻射の波長が検査用光線206の波長と同じかあるいは近いと、撮像素子において熱輻射がノイズとなる。そこで、検査用光線206の波長は熱輻射の波長から外れるようにするとよい。これにより、ノイズを低減できるという効果がある。
【0030】
そこで、検査用光線206の波長λと輝度Iとの関係は、加工面260で想定される最高温度Tに対して、光速をc、プランク定数をh、ボルツマン定数をκとすると、
I(λ)>(2hc
2/λ
5)/[exp(hc/λκT)−1]
とする。具体的に検査用光線206の波長は1μm以下であり、好ましくは、500nm以下の波長を有する紫外光または青色光である。
【0031】
金属粉体として鉄やSUS(Steel Use Stainless)が代表的であるが、これらの融点は約1500℃である。
図3において、加工点が1500℃の場合の熱輻射スペクトルのピーク波長は約1.2μmであり、このピーク波長よりも小さい1μm以下にすると急激に輻射強度は減少する。一方、ピーク波長よりも大きい波長では輻射強度は緩やかに減少する。それゆえ、検査用光線206の波長を1μm以下にすることにより、熱輻射によるノイズを効率的に低減できる。
【0032】
また、500nm以上の波長を持つ検査用光線206を採用すると、数μm程度の小さい加工材料においてはレイリー散乱が主となり、散乱が波長の4乗に反比例して弱くなるため、加工材料の濃度を精度よく検査できない場合がある。そこで、本実施形態では、加工材料が数μm程度の小さい粉末であっても、ミー散乱によって強く散乱されるように、検査用光線206の波長を500nm以下にし、加工材料の濃度の高精度な検査を実現する。
【0033】
比較部225は、基準スポット画像と、検査用光線206のスポット画像とを比較する。加工用光線205の光軸に直交する加工面を基準加工面とし、加工材料250が射出されていないときに、その基準加工面で反射された検査用光線206の反射光207のスポット画像を基準スポット画像とする。
比較部225は、検査用光線206のスポット画像に含まれるスポット中心と、基準スポット画像に含まれる基準スポット中心と、の距離に基づいて加工面260の基準加工面に対する傾き角を算出する。また、比較部225は、検査用光線のスポット画像と基準スポット画像の大きさの差異から、加工面260上における加工材料250の濃度を算出する。光加工ヘッド200は、加工面260上における加工材料250の濃度に基づいて、加工材料250の射出量を調整する調整部208をさらに有する。
【0034】
図4は、撮像デバイス221で撮像された画像を、光線追跡シミュレーションで算出した結果を示す図である。
【0035】
撮像デバイス221によって反射光207を撮像した結果としての画像を検査用光線スポット画像と呼ぶ。検査用光線スポット画像のスポット径は、例えばスポットのピーク位置を基準とする半値全幅とする。
【0036】
粉体材料が加工面260へ射出されておらず、加工面が加工用光線の光軸に対して直交する場合、基準スポット画像401が出力される。一方、粉体材料が加工面260に対して射出され、加工面260付近に粉体が密になると検査用光線スポット画像402のように、検査用光線スポットは基準スポットより大きくなる。
【0037】
粉体収束性が高いと、粉体収束領域に存在する粉体の濃度が高くなり、検査用光線206の反射光207は粉体によって散乱される。つまり、粉体収束性が高いほど、粉体によって検査用光線は散乱される回数が多くなる。散乱回数が多いほど、撮像素子で受光される検査用光線スポットは広がりを持つことになる。検査用光線スポット径の基準スポット径に対する差分が大きいほど、粉体収束性が高いと言える。そこで、検査用光線スポットの直径を測定し、基準スポットの直径と比較することにより、粉体収束性を算出する。ここで、粉体収束性は加工面260における粉体濃度で定量化される。
【0038】
粉体材料が加工面260へ射出されず、加工面260が傾いた場合、検査用光線スポット画像403のように、基準スポットから検査用光線スポットの位置がずれる。このずれの距離を画面上でdとすると、加工面260の傾きθは、レンズ221aと撮像素子221bとの距離fを用いて、下の式で表わされる。
θ=tan
-1(d/f)
【0039】
粉体材料が射出され、かつ加工面260が傾いた場合、検査用光線スポット画像404のように、基準スポットから検査用光線スポットの位置がずれ、さらに検査用光線スポットは基準スポットより大きくなる。
【0040】
加工面260の傾きの基準を光軸に対して直交する平面とする。加工面260の傾きが大きいほど、検査用光線スポットのピーク位置と基準スポットのピーク位置の距離dが大きくなる。以上より、粉体収束性と加工面傾き角θを算出できる。
【0041】
粉体収束性の情報により、加工面上の粉体濃度が適正であるか否かの判断が可能となる。また、粉体濃度が所望の値になっていない場合、粉体供給量を増減することにより調整することが可能となる。
【0042】
傾き角θは、一般的に0度であることが望ましく、このとき、加工用光線205の光軸と加工面260が垂直をなす。加工用光線205の光軸と加工面260が垂直をなすと、加工面260による加工用光線205のフレネル反射が最も小さくなり、光利用効率が最も高くなる。そこで、傾き角を常に0なるように、加工用光線205の光軸または加工面260を調整すれば、光利用効率を常に最大にできる。例えば、加工面260を支えるステージを制御したり、光加工ヘッド200の傾きを制御したりすることで、加工状況にかかわらず傾き角θを0度に維持できる。
【0043】
一方、加工面260における加工用光線の反射率が高い場合(例えば銅板など)、加工用光線の反射光が加工用光源に戻り、加工用光源を損傷する場合がある。この場合、傾き角θを0度以外の値にして、加工用光線が加工用光源に直接戻らないようにすることも重要である。つまり、傾き角θを0以外の値にすることで、加工用光源の損傷を抑えることができる。
【0044】
図5は、ハーフミラー222、223による加工用光線205の光軸ずれについて説明するための図である。
図5に示すとおり、ハーフミラー222の反射面およびハーフミラー223の反射面は、加工用光線205の光軸501に直交する面502に関して、面対称である。つまり、ハーフミラー222、223の反射面の、加工用光線205の軸に対する傾き角αはそれぞれ等しい。加工用光線205のハーフミラー222、223による光軸からのずれが打ち消される。これにより、加工用光線205の光軸501のずれ補正をする必要がなくなるという効果がある。
【0045】
図6は、検査ユニット202によって行なわれる処理の流れを示すフローチャートである。まず、ステップS601において、撮像デバイス221が検査用光線スポットを撮像する。次にステップS602において、基準スポット画像を不図示のデータベースから読出す。ここでは、基準スポット画像として、基準最小スポット画像および基準最大スポット画像を読出す。基準最小スポット画像とはスポット径が最小となる基準スポット画像であり、基準最大スポット画像とはスポット径が最大となる基準スポット画像である。たとえば、基準最小スポット画像は、加工材料250を射出しないときに、加工用光線205の光軸に直交する基準加工面で反射された基準スポット画像である。一方、基準最大スポット画像は加工材料250を最大量射出したときに基準加工面で反射された基準スポット画像である。
【0046】
ステップS603では、比較部225が検査用光線スポット径と、基準最小スポット径とを比較し、検査用光線スポット径の方が小さい場合には、ステップS604に進み、調整部208がノズル203による材料の供給量を上げる。
【0047】
次に、ステップS605では、比較部225が検査用光線スポット径と、基準最大スポット径とを比較し、検査用光線スポット径の方が大きい場合にはステップS606に進み、調整部208がノズル203による材料の供給量を下げる。
【0048】
さらに、ステップS607に進むと、比較部225が、検査用光線スポットの中心と、基準スポットの中心とのずれdが、基準値D以下か否かを判定する。ずれdが基準値Dを超えていれば、ステップS608に進み、不図示のステージ(または光加工ヘッド)の傾きを調整する。
【0049】
以上説明したとおり、本実施形態によれば、簡易な構成で、加工面の状態、例えば加工面の傾きや、加工面上の気体中における加工材料の濃度などを検査でき、その加工面の状態に応じて、光加工ヘッドを制御できる。
【0050】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態としての光加工ヘッドについて、
図7を用いて説明する。
図7は、本実施形態に係る光加工ヘッド700の構成を説明するための図である。本実施形態に係る光加工ヘッド700は、上記第2実施形態と比べると、検査ユニット702がハーフミラー723と検査用光線射出部724とを有する点で異なる。ハーフミラー723は、ハーフミラー223とは異なり、ハーフミラー222と同じ傾きで取り付けられている。また、これに応じて、検査用光線射出部724は、撮像デバイス221側に設けられる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0051】
本実施形態によれば、検査用光線射出部724と撮像デバイス221を光加工ヘッド700の同じサイドに設けることができるので、よりコンパクトな構成で、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。しかしながら
図5を用いて説明したような光軸のずれに対応するための工夫(例えば集光レンズ212をずらして配置するなど)が必要となる。
【0052】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態としての光加工ヘッドについて、
図8を用いて説明する。
図8は、本実施形態に係る光加工ヘッド800の構成を説明するための図である。本実施形態に係る光加工ヘッド800は、上記第2実施形態と比べると、検査ユニット802がハーフミラー223の代わりに、平板の透過板823を備え、撮像デバイス221のそばに検査用光線射出部824を有する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0053】
ハーフミラー222および透過板823は、加工用光線205の光軸に直交する面に関して、面対称である。つまり、ハーフミラー222と透過板823との、加工用光線205の軸に対する傾き角はそれぞれ等しい。ハーフミラー222による加工用光線205の光軸のずれを、透過板823による屈折により打ち消すことができる。
【0054】
本実施形態によれば、よりコンパクトな構成で、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、加工用光線205の光軸のずれ補正をする必要がなくなるという効果がある。
【0055】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態としての光加工装置(Optical Processing Apparatus)900について、
図9を用いて説明する。光加工装置900は、上述の実施形態で説明した光加工ヘッド100、200、700、800のいずれかを含み、集光した光が生み出す熱で材料を溶融することにより三次元的な造形物(あるいは肉盛溶接)を生成する装置である。ここでは一例として、光加工ヘッド200を備えた光加工装置900について説明する。
【0056】
《装置構成》
光加工装置900は、光加工ヘッド200以外に、光源901、光伝送部210、冷媒供給装置903、冷媒供給部904、ステージ905、ガス供給装置906、ガス供給部907、材料供給装置908、材料供給部909、および制御部930を備えている。
【0057】
光源901は、レーザ、LED、ハロゲンランプ、キセノンランプ、白熱球などでよい。光線の波長は例えば1060nmであるが、これに限るものではない。
【0058】
冷媒供給装置903は、冷媒として例えば水を貯蔵し、冷媒供給部904を介して、ポンプで冷媒を光加工ヘッド200に供給する。冷媒供給部904は内径φ2〜6の樹脂あるいは金属のホースである。冷媒を光加工ヘッド200内に供給し、その内部で循環させ、冷媒供給装置903に戻すことにより、光加工ヘッド200の昇温を抑えることができる。冷媒の供給量は例えば1〜10L/minである。
【0059】
ステージ905は、例えばXステージ、あるいはXYステージ、あるいはXYZステージであり、各軸(X、Y、Z)を稼動させることが可能である。
【0060】
ガス供給装置906は、ガス供給部907を介して光加工ヘッド200にパージガスを供給する。パージガスは例えば窒素、またはアルゴン、またはヘリウム、である。しかし、パージガスはこれに限定されるものではなく、不活性ガスならば他のガスでもよい。光加工ヘッド200に供給されたパージガスは、上記で述べた光線に沿ってノズル203から射出される。
【0061】
材料供給装置908は、材料供給部909を介してノズル203に材料を供給する。例えば、材料は金属粒子、樹脂粒子、金属線材、樹脂線材、である。材料供給装置908は、キャリアガスも同時に供給できる。材料供給部909は例えば樹脂あるいは金属のホースであり、キャリアガスに材料を混入させた粉体流をノズル203へと導く。ただし、材料が線材の場合、キャリアガスは不要となる。
【0062】
また図示はしていないが、光加工装置900は、光加工ヘッド200の姿勢および位置を制御する、姿勢制御機構および位置制御機構を備えている。
【0063】
《装置動作》
次に、光加工装置900の動作について説明する。造形物910は、ステージ905の上で作成される。パージガスはノズル203から加工面260へと射出される。そのため、溶融プールの周辺環境はパージガスによってパージされる。パージガスとして酸素を含まない不活性ガスを選ぶことにより、加工面260の酸化を防ぐことができる。
【0064】
光加工ヘッド200は、冷媒供給装置903から冷媒供給部904を介して供給された冷媒によって冷却され、加工中の昇温が抑えられる。
【0065】
以上の一連の動作と同時に、光加工ヘッド200を加工面260に沿って走査させることにより、材料を堆積させながら所望の造形を行うことができる。つまり、本装置によって肉盛溶接あるいは三次元造形を作成できる。
【0066】
制御部930は、検査ユニット202から加工面260の状況を取得し、その状況に応じて材料供給装置908を制御して、加工面260に対して射出する加工材料の量を変更する。また、制御部930は、検査ユニット202から加工面260の状況を取得し、その状況に応じてステージ905を制御して、加工面260と光加工ヘッド200とが所定の相対位置となるように、加工面260の傾きを変更する。
【0067】
以上、本実施形態によれば、加工面の状況を簡易に検査し、その状況に合わせた加工条件とすることにより、より精度の高い光加工を実現できる。
【0068】
[他の実施形態]
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
【0069】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する制御プログラムが、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、その制御プログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、本発明の範疇に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の範疇に含まれる。