(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態に係る板材折曲装置で折り曲げ対象となる板材の一例を示す図。
【
図2】本発明の実施の形態に係る板材折曲装置で折り曲げ対象となる板材の要部を示す図。
【
図3】本発明の実施の形態に係る板材折曲装置で折り曲げ対象となる板材の要部を示す図。
【
図4】本発明の実施の形態に係る板材折曲装置の一例を示す図。
【
図5】本発明の実施の形態に係る板材折曲装置の一例を示す図。
【
図6】本発明の実施の形態に係る板材折曲装置の一例を示す図。
【
図7】本発明の実施の形態に係る板材折曲装置の一例を示す図。
【
図8】本発明の実施の形態に係る板材折曲装置の一例を示す図。
【
図9】本発明の実施の形態に係る板材折曲装置の一例を示す図。
【
図10】本発明の実施の形態に係る板材折曲装置の動作状態の一例を示す図。
【
図11】本発明の実施の形態に係る板材折曲装置の動作状態の一例を示す図。
【
図12】本発明の実施の形態に係る板材折曲装置における板材の位置決め手法を説明するための図。
【
図13】本発明の実施の形態に係る板材折曲装置を用いたダクトの製造方法の手順の一例を示すフローチャート。
【
図14】本発明の実施の形態に係る板材折曲装置で折り曲げられた板材の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。また、以下では、各図に示される上下、左右、及び前後の方向を用いて説明することがある。
【0011】
本実施の形態に係る板材折曲装置100は、例えばダクトを製造する際にそのダクトを構成する亜鉛引き鉄板やステンレス板,ガルバ鋼板,塩ビ鋼板などの金属板の折り曲げに用いられる。
【0012】
図1は、板材折曲装置100を用いて折り曲げられる金属板の一例である板材200を示す図である。
図1に示されるように、板材200は、4つの平面部10と、平面部10各々に形成されたダブルはぜ11と、平面部10の一端から延設されている折り返し部12とを備える平板状の金属板である。
【0013】
そして、板材200が、
図1に示される4箇所の折り曲げ目標位置13各々で折り曲げられることにより、板材200は断面矩形状のダクトを構成する。なお、折り返し部12は、板材200における折り返し部12とは反対側の端部の平面部10の内側又は外側に重ねられた状態で平面部10に溶接等によって固定される。また、折り返し部12が省略され、3箇所の折り曲げ目標位置13で折り曲げられた後、板材200の両端部の平面部10が直接溶接されてもよい。
【0014】
ここに、
図2は板材200の部分拡大図であって、(A)は
図1における領域R1の部分拡大図であり、(B)は
図1における領域R2の部分拡大図である。
【0015】
図1及び
図2(A)に示されるように、板材200の平面部10の下端部には、折り曲げ目標位置13各々に対応する凹部状の溝部14が形成されている。溝部14は、平面部10の下端部から内側に向けて形成されている。具体的に、溝部14は、折り曲げ目標位置13と同一直線上に頂点が位置する二等辺三角形状又は正三角形状などの特定形状の切り欠きである。なお、溝部14は、プラズマ切断機などを用いて予め形成され、後述するように、溝部14は、板材200を板材折曲装置100で位置決めするために用いられる。
【0016】
また、板材200の平面部10の上端部には、所謂ボタンパンチはぜの接合方法に用いられるダブルはぜ11が、例えば周知のロール成形機などによって予め形成される。特に、板材200では、まず板材200の平面部10の上端部に溝部14と同様の溝部15が形成され、その後に平面部10の上端部の裏面10A側にダブルはぜ11が形成される。裏面10Aは、板材200の折り曲げ後に谷側となる面である。なお、板材200の表面10Bは、板材200の折り曲げ後に山側となる面である。
【0017】
このとき、
図2(B)に示されるように、裏面10Aにおいて、溝部15は、ダブルはぜ11においてダブルはぜ11の最も外側の部分よりも裏面10A側に凹む溝部として現れる。ダブルはぜ11は、例えば周知のロール成形機などによって平面部10の上端部に予め形成され、所謂ボタンパンチはぜの接合方法に用いられる。例えば、ダブルはぜ11は、板材200の平面部10と排気口又は吸気口などが形成される接合板20との接合に用いられる。具体的には、
図3(A)及び
図3(B)に示されるように、平面部10のダブルはぜ11と接合板20に形成されているシングルはぜ21とが嵌合することにより平面部10と接合板20とが接合される。
【0018】
続いて、
図4〜
図12を参照しつつ板材折曲装置100について説明する。ここに、
図4〜
図7は板材折曲装置100の正面図、平面図、左側面図、右側面図である。
図4〜
図7に示すように、板材折曲装置100は、折曲部300、第1駆動部400、第2駆動部500、第3駆動部600、及びこれらを支持する筐体101を備える。
【0019】
折曲部300は、パンチ31、ダイ32、及び位置決め部33を備える。パンチ31及びダイ32は、鉛直上下方向に沿って配置されている。より具体的に、パンチ31及びダイ32のうちパンチ31が鉛直方向の下側に配置され、ダイ32が鉛直方向の上側に配置されている。パンチ31及びダイ32は左右方向に長尺状であり、パンチ31は、鉛直上方向に尖端が位置する逆V字状の先端311を有し、ダイ32は、鉛直上方向に底部が位置するV字状の凹部321を有している。板材折曲装置100における板材200の折り曲げ角度は、パンチ31先端311及びダイ32の凹部321の傾斜角度によって予め定められることになる。
【0020】
そして、パンチ31及びダイ32は、先端311及び凹部321で板材200の裏面10A及び表面10Bを圧接することにより板材200を折り曲げる一対の圧接部を構成する。なお、板材200は、パンチ31の先端311の位置で折り曲げられることになる。
【0021】
具体的に、パンチ31は、長手方向の一端が筐体101に螺子などを用いて固定部102で固定されており、他端は後述の第2駆動部500の保持部材53が第1状態(
図4参照)に移動した場合に保持部材53で支持される。
【0022】
一方、ダイ32は、長手方向の両端が、筐体101によって鉛直上下方向にスライド移動可能に支持されている。また、ダイ32の長方向の両端の背面には、後述の駆動ギア43に噛合したラック部321がそれぞれ形成されている。そして、駆動ギア43の双方向の回転運動がラック部321によって直線運動に変換されることにより、ダイ32がパンチ31に対して接触及び離間する鉛直上下方向に移動する。
【0023】
具体的に、ダイ32は、エアーシリンダ31の駆動により、
図7及び
図10(A)に示すように、パンチ31及びダイ32が離間する離間状態と、
図9及び
図10(B)に示すように、パンチ31及びダイ32で板材200が圧接される圧接状態との間で状態が切り替えられる。このように、板材折曲装置100では、
図10(A)及び
図10(B)に示すように、パンチ31及びダイ32が前記離間状態から前記圧接状態に切り替えられることにより、板材200がパンチ31及びダイ32に沿って折り曲げられる。なお、パンチ31及びダイ32は、相対的に移動するものであればよく、パンチ31が移動する構成、パンチ31及びダイ32が共に移動する構成も他の実施形態として考えられる。
【0024】
位置決め部33は、
図5及び
図12(A)に示すように、平面視でパンチ31の先端311と同一直線上の頂点を有する二等辺三角形状又は正三角形状の凸部331を有する。位置決め部33は、上下方向に長尺状の金属製部材であり、例えば溶接又は接着などによってパンチ31に固定される。なお、
図12(A)は、位置決め部33に板材200がセットされた状態を示す平面模式図である。凸部331は、板材折曲装置100の内側、即ち
図1における左側に向けて凸状である。位置決め部33は、パンチ31及びダイ32によって板材200が圧接される圧接状態においても、板材200に形成されている溝部14に係合可能である。
【0025】
そして、位置決め部33は、パンチ31及びダイ32による板材200の折り曲げ位置と板材200における折り曲げ目標位置13とを位置決めするために用いられる。具体的に、位置決め部33は、板材200に予め形成される溝部14に係合し、パンチ31、ダイ32の長手方向及びパンチ31、ダイ32の圧接方向に垂直な方向における板材200の移動を規制する。従って、板材折曲装置100のユーザーは、板材200の折り曲げ目標位置13を容易にパンチ31及びダイ32による折り曲げ位置に位置決めすることが可能である。また、溝部14及び位置決め部33の係合によりパンチ31及びダイ32による圧接時における板材200のずれも抑制される。
【0026】
図7に示されるように、第1駆動部400は、折曲部300を駆動させるものであり、エアーシリンダ41、伝達機構42、駆動ギア43、駆動軸44を有する。エアーシリンダ41は、伝達機構42を駆動するための駆動源の一例である。そして、エアーシリンダ41は、不図示のコンプレッサーに接続されており、不図示の第1操作部のユーザー操作に応じて、コンプレッサーから供給される空気によってピストン運動する。なお、エアーシリンダ41に代えてモーター等が用いられてもよい。
【0027】
伝達機構42は、エアーシリンダ41のピストン運動を回転運動に変換するギア及びリンク部材などを備え、エアーシリンダ41のピストン運動に応じて駆動軸44を双方向(時計回り及び反時計回り)に所定量だけ回転させる。駆動軸44には、ダイ32の長手方向の背面に形成されたラック部321に噛合された駆動ギア43が連結固定されている。そして、駆動ギア43は、伝達機構42によって駆動軸44が駆動されて双方向(時計回り及び反時計回り)に回転することにより同方向に回転する。駆動ギア43は、ダイ32の長方向の両端の背面に形成されたラック部321に噛合されており、駆動ギア43の双方向の回転によりダイ32がパンチ31に対して接触及び離間する鉛直上下方向に移動する。これにより、パンチ31及びダイ32によって板材200が圧接された場合にその板材200が折り曲げられる。
【0028】
図6に示されるように、第2駆動部500は、エアーシリンダ51、伝達機構52、保持部材53を備える。エアーシリンダ51は、伝達機構52を駆動するための駆動源の一例である。保持部材53は、伝達機構52により回動軸531を介して回動可能に支持されている。そして、エアーシリンダ51は、不図示のコンプレッサーに接続されており、不図示の第2操作部のユーザー操作に応じて、コンプレッサーから供給される空気によってピストン運動する。なお、エアーシリンダ51に代えてモーター等が用いられてもよい。伝達機構52は、エアーシリンダ51のピストン運動を回転運動に変換するギア及びリンク部材などを備え、エアーシリンダ51のピストン運動に応じて回動軸531を軸にして保持部材53を回転させる。
【0029】
具体的に、保持部材53には、パンチ31の長手方向の一端が挿通可能な開口部532が形成されており、開口部532により形成される開口の下端部には、パンチ31の一端を支持する支持ローラー533が設けられている。そして、支持ローラー53は、エアーシリンダ51の駆動により、
図5及び
図6に示すようにパンチ31を保持する第1状態と、
図8に示すようにパンチ31を保持しない第2状態の間で状態が切り替えられる。
【0030】
従って、板材折曲装置100では、保持部53が前記第1状態である場合には、支持ローラー533によってパンチ31の一端を支持することが可能であり、保持部53が前記第2状態である場合には、板材200をパンチ31及びダイ32の間に挿入することや板材200をパンチ31及びダイ32の間から取り出すことが可能である。
【0031】
ここに、
図11はA−A矢視の要部概略図である。
図11に示すように、第3駆動部600は、エアーシリンダ61、伝達機構62、接触板63を備える。エアーシリンダ61は、伝達機構62を駆動するための駆動源の一例である。接触板63は、伝達機構62により回動軸531を介して回動可能に支持されている。そして、エアーシリンダ61は、不図示のコンプレッサーに接続されており、不図示の第3操作部のユーザー操作に応じて、コンプレッサーから供給される空気によってピストン運動する。なお、エアーシリンダ61に代えてモーター等が用いられてもよい。伝達機構62は、エアーシリンダ61のピストン運動を回転運動に変換するギア及びリンク部材などを備え、エアーシリンダ61のピストン運動に応じて接触板63を変位させる。
【0032】
具体的に、接触板63は、エアーシリンダ61の駆動により、
図11(A)に示すように、パンチ31及びダイ32の間において前方から後方に向けて挿入される板材200に接触して板材200の移動を規制する第3状態、及び、
図11(B)に示すように、板材200に接触しない第4状態の間で状態が切り替えられる。これにより、板材折曲装置100では、板材200が接触板63に接触する状態でパンチ31及びダイ32によって板材200の端部を折り曲げることにより、板材200の端部において折り返し部12を所定幅(パンチ31及びダイ32による折り曲げ位置と接触板63との離間距離)で容易に折り曲げることが可能である。
【0033】
以下、
図13及び
図14を参照しつつ、板材折曲装置100を用いて行われるダクトの製造方法について説明する。具体的に、ダクトの製造方法には、形成工程及び折り曲げ工程が含まれる。なお、ダクトの製造方法の各工程は板材折曲装置100を制御する制御装置又は人間によって行われる。
【0034】
まず、ステップS1〜S2において、板材200における複数の折り曲げ目標位置13に溝部14、15を形成する形成工程が実行される。具体的に、ステップS1では、板材200における複数の折り曲げ目標位置13の一端(上端)及び他端(下端)に溝部14、15が形成される。その後、ステップS2では、板材200の溝部15側の端部に、板材200において板材折曲装置100による折り曲げ後に谷側となる裏面10Aにその裏面10Aから突出するダブルはぜ11が形成される。
【0035】
次に、ステップS3〜S7において、板材200を折り曲げ目標位置13各々で折り曲げて板材200を断面矩形状に変形させる折り曲げ工程が実行される。具体的に、ステップS3では、第2駆動部500により保持部53がパンチ31を保持する前記第1状態にセットされる。ステップS4では、板材200を板材折曲装置100に位置決めする位置決め工程が実行される。ここで、1回目のステップS4では、第3駆動部600により接触板63が板材200に接触する前記第3状態にセットされ、板材200の先端が接触板63に接触するまでパンチ31及びダイ32の間に挿入されて、板材200が板材折曲装置100に位置決めされる。
【0036】
そして、2回目以降のステップS4では、第3駆動部600により接触板63が板材200に接触しない前記第4状態にセットされ、板材200の溝部14と位置決め部33とが係合されて板材200が板材折曲装置100に位置決めされる。特に、ステップS4では、
図12(B)に示すように、板材200の溝部15をパンチ31に係合させて位置決めすると共に、
図12(A)に示すように、板材200の溝部14を位置決め部33に係合させて位置決めする。なお、板材200の裏面10Aでは、ダブルはぜ11が裏面10Aから突出して形成されており、そのダブルはぜ11に溝部15が形成されているため、その溝部15はパンチ31に載置された際にパンチ31の先端311に係合する。
【0037】
その後、ステップS5では、第1駆動部300が駆動され、パンチ31及びダイ32によって板材200の裏面10A及び表面10Bが圧接されて予め定められたV字状(例えば90°)に折り曲げられる。そして、ステップS4〜S5の工程は、板材200が折り曲げて断面矩形状に変形するまで複数回繰り返し実行され(S6:No側)、複数回の折り曲げが終了すると(S6:Yes側)、板材200についての折り曲げ作業が終了する。例えば、本実施形態に係る板材200については、4回の折り曲げ工程が実行された場合に当該折り曲げ作業が終了する。ここに、
図14は、板材折曲装置100で折り曲げられた矩形状の板材200の一例を示す図であり、(A)は平面図、(B)は裏面図、(C)は側面図である。
【0038】
そして、続くステップS7では、第2駆動部500により保持部53がパンチ31を保持しない前記第2状態に変位され、板材200がパンチ31の保持部53側の一端から取り出される。なお、当該ダクトの製造方法では、板材200の折り曲げ工程を抽出して説明したが、当該ダクトの製造方法の実行後にも断面矩形状に変形された板材200に対して開口端部の一端に他のダクトを連結する工程や、開口端部の他端に吸気口又は排気口などが形成された部材を連結する工程が実行されてもよい。なお、それらの工程については従来と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略するが、例えば、
図14(D)は、
図14(C)におけるB−B矢視断面図であって、板材200に、
図14(D)に示されるように、例えば排気口又は吸気口などが形成された接合板20が接合される様子が示されている。
【解決手段】板材折曲装置100は、板材200の表面及び裏面を圧接して前記板材200を折り曲げる一対の圧接部31、32と、前記圧接部31、32による前記板材200の折り曲げ位置と前記板材200における折り曲げ目標位置13とを位置決めするために前記板材200に予め形成される溝部14に係合し、前記圧接部31、32の長手方向及び前記圧接部31、32の圧接方向に垂直な方向における前記板材200の移動を規制する位置決め部33とを備える。