特許第6091679号(P6091679)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6091679
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】液滴生成装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 3/08 20060101AFI20170227BHJP
   B01F 5/08 20060101ALI20170227BHJP
   B01F 5/00 20060101ALI20170227BHJP
   B01F 15/02 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   B01F3/08 A
   B01F5/08
   B01F5/00 D
   B01F15/02 A
【請求項の数】16
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-66637(P2016-66637)
(22)【出願日】2016年3月29日
【審査請求日】2016年3月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390011143
【氏名又は名称】株式会社松風
(73)【特許権者】
【識別番号】502289363
【氏名又は名称】鳥居 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】渕上 清実
(72)【発明者】
【氏名】信野 和也
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 徹
(72)【発明者】
【氏名】駒崎 友亮
【審査官】 増田 健司
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−149154(JP,A)
【文献】 実開昭63−100043(JP,U)
【文献】 特開昭62−234542(JP,A)
【文献】 特開2010−94427(JP,A)
【文献】 特表平11−509768(JP,A)
【文献】 実開平3−75833(JP,U)
【文献】 特開昭58−22062(JP,A)
【文献】 特開昭56−49154(JP,A)
【文献】 特開昭56−130219(JP,A)
【文献】 特開昭51−8176(JP,A)
【文献】 特開昭49−59789(JP,A)
【文献】 特表2008−517997(JP,A)
【文献】 特開2015−227315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 3/08
B01F 5/08
B01F 5/00
B01F 15/02
B01J 13/00
A61J 3/07
A61K 8/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続相液体と分散相液体を合流部に導き、合流部において連続相液体の中に分散相液体の液滴を形成する液滴生成装置であって、
連続相液体を供給する連続相パイプ、
上記連続相パイプに連結され、連続相液体を保持する保持タンク、
分散相液体を供給する分散相流路、ここで分散相流路の下流側の終端は上記保持タンク内に存在する、
上記分散相流路の下流側の終端に形成された複数の開孔、
上記複数の開孔のそれぞれを囲み、一端が上記分散相流路の終端に連結され、他端が保持タンク内に解放された複数の円筒形又は多角形の周壁、
上記複数の周壁の一端に設けた堆積防止部、ここで該堆積防止部は、分散相液体の流れる方向に対して傾斜する傾斜面を有する、
複数の周壁のそれぞれの内側に挿入され、一端が上記保持タンク内であって、上記開孔の近傍に位置すると共に、他端が上記保持タンクの外側に位置する複数の液滴流路
を含む液滴生成装置。
【請求項2】
連続相液体と分散相液体を合流部に導き、合流部において連続相液体の中に分散相液体の液滴を形成する液滴生成装置であって、
連続相液体を供給する連続相パイプ、
分散相液体を供給する分散相流路、
上記連続相パイプに連結され、連続相液体を保持する保持タンク、
上記分散相流路の下流側に設けた堆積防止部、ここで該堆積防止部は、分散相液体の流れる方向に対して傾斜する傾斜面を有すると共に、傾斜面の先端に形成された開孔を有し、分散相液体は開孔を通じて保持タンクに送出される、
上記開孔を囲み、一端が堆積防止部に連結され、他端が保持タンク内に解放された円筒形又は多角形の周壁、
上記周壁の内側に挿入され、一端が上記保持タンク内であって、上記開孔の近傍に位置すると共に、他端が上記保持タンクの外側に位置する液滴流路
を含む液滴生成装置。
【請求項3】
上記傾斜面は円錐状である、請求項2に記載の液滴生成装置。
【請求項4】
上記傾斜面が分散相液体の流れる方向に沿って切断されたときの傾斜面の断面のエッジは直線である、請求項2に記載の液滴生成装置。
【請求項5】
上記傾斜面が分散相液体の流れる方向に沿って切断されたときの傾斜面の断面のエッジは曲線である、請求項2に記載の液滴生成装置。
【請求項6】
上記堆積防止部の先端面と上記周壁の内壁との連結部分に湾曲部を形成した、請求項2に記載の液滴生成装置。
【請求項7】
上記開孔の下流側において、連続相液体の流れる方向と、分散相液体が流れる方向とがなす角度が鋭角になるような盛り上がり部形成された、請求項2に記載の液滴生成装置。
【請求項8】
上記液滴流路の上記一端がテーパー状になっている、請求項2に記載の液滴生成装置。
【請求項9】
更に、分散相液体を保持する、供給タンクを含む、請求項2に記載の液滴生成装置。
【請求項10】
更に、上記供給タンクと上記保持タンクとの間に、中間層設けられ、中間層内に複数の並行した貫通孔形成され、貫通孔の周囲の壁部を上記周壁として機能させる、請求項9に記載の液滴生成装置。
【請求項11】
上記供給タンクの内壁は矩形である、請求項9に記載の液滴生成装置。
【請求項12】
上記供給タンクの内壁はドーム状である、請求項9に記載の液滴生成装置。
【請求項13】
上記供給タンクの内壁に分散相流路形成され、該分散相流路、複数の放射状に延在する分流路に分岐した構成を有し、それぞれの終端が複数の貫通孔が形成されている位置まで延びている、請求項10に記載の液滴生成装置。
【請求項14】
上記分散相流路の分岐点に液貯めを設けた、請求項13に記載の液滴生成装置。
【請求項15】
上記周壁の内面親水性の材料で表面処理が成された、請求項1又は2に記載の液滴生成装置。
【請求項16】
上記周壁の内面疎水性の材料で表面処理が成された、請求項1又は2に記載の液滴生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の液体供給口からそれぞれ供給される種類の異なる液体を微小流路に導き、微小流路においてそれらの液体の乳化を行ない、ある液体が他の液体中に液滴として分散した乳液、すなわち[O/W],[(S/O)/W]、[W/O]、[(S/W)/O]等のエマルジョンを得る液滴生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、連続相液体と分散相液体を合流部に導き、合流部において連続相液体の中に分散相液体の液滴を形成する液滴生成装置として、特許第3746766号明細書に記載の装置や、非特許文献であるThe Royal Society of Chemistry 2008; Soft matter, 2008, 4, 2303-2309 "Fabrication of monodisperse thermosensitive microgels and gel capsules in microfluidic devices" by Rhutesh K. Shah, Jin-Woong Kim, Jeremy J. Agresti, David A. Weitz, Liang-Yin Chuに記載の装置が知られている。
これらの文献では単一流路のみの液滴生成を議論しており工業的生産に関しては一切の説明がなされていない。すなわち、如何にして変動係数の小さな液滴生成を効率的に行う複数流路に関する説明がなされていなかった。
従来の単流路の液滴生成装置を複数寄せ集めることにより、別々に分散相ポンプと連続相ポンプを導入した並列タイプ(図12)が考えられるが、この並列タイプではキャピラリーのポジショニングに非常に時間を要し、液滴生成装置の本数だけ分散相ポンプ及び連続相ポンプが必要である。実際、非特許文献では顕微鏡下での微調整が求められている。また、圧力が微妙に流路毎に異なるため、生成する液滴の分散度が高くなる。すなわち、CV値が上昇し、均一な粒径のエマルションが得難い。別の例として従来の単流路の液滴生成装置を複数つなぎ合わせ、複数ある分散相ポンプおよび複数ある連続相ポンプをそれぞれひとまとめにした構成(図13)が考えられるが、この構成では、分散相ポンプから分散相流路までのパイプの長さL1,L2,L3が異なるため、分散相流路内の抵抗を厳密に等しくする事は困難であり、その結果圧力差が生じ、せん断力の差異が生じる。その結果、生成する液滴径に大きなバラつきが生じCV値が上昇する。この流路抵抗の微調整には多大な時間を要し、工業的な生産には適さない。
更に、これらの文献にあっては、分散相液体には固形物が含まれておらず、流体のみで構成される場合について説明がされている。分散相液体に固形物が含まれている場合の問題点、解決策については、いずれの文献にも全く記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3746766号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】The Royal Society of Chemistry 2008; Soft matter, 2008, 4, 2303-2309 "Fabrication of monodisperse thermosensitive microgels and gel capsules in microfluidic devices" by Rhutesh K. Shah, Jin-Woong Kim, Jeremy J. Agresti, David A. Weitz, Liang-Yin Chu
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
工業的生産を行う場合の複数流路を如何に製造するかという問題があった。
また、分散相液体に微粒固形物が含まれている場合、微粒固形物が流路の内壁に堆積し、流路を閉栓、閉塞することが有り、安定して液滴を生成する事ができないという問題があった。
上記の問題に鑑み、解決しようとする課題は、均一なサイズの液滴を容易に連続して生成し、液滴を量産する事ができるようにする事である。
【0006】
別の課題は、微粒固形物が流路の内壁に堆積したり、流路を閉栓、閉塞することが無いようにする事である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る液滴生成装置は、連続相液体と分散相液体を合流部に導き、合流部において連続相液体の中に分散相液体の液滴を形成する液滴生成装置であって、連続相液体を供給する連続相パイプ、上記連続相パイプに連結され、連続相液体を保持する保持タンク、分散相液体を供給する複数の分散相流路、ここで各分散相流路の下流側の一端は上記保持タンク内に存在する、上記各分散相流路の下流側に形成された開孔、上記開孔を囲み、一端が上記各分散相流路に連結され、他端が保持タンク内に解放された複数の円筒形又は多角形の周壁、各周壁の内側に挿入され、一端が上記保持タンク内であって、上記開孔の近傍に位置すると共に、他端が上記保持タンクの外側に位置する複数の液滴流路を含む。
本発明の別の実施形態に係る液滴生成装置は、連続相液体と分散相液体を合流部に導き、合流部において連続相液体の中に分散相液体の液滴を形成する液滴生成装置であって、連続相液体を供給する連続相パイプと、分散相液体を供給する分散相流路と、上記連続相パイプに連結され、連続相液体を保持する保持タンクと、必要により上記分散相流路の先端部分に設けた堆積防止部とを含む。ここで該堆積防止部は、分散相液体に対向する円錐状の傾斜面を有すると共に、円錐状の傾斜面の先端に形成された開孔を有し、分散相液体は開孔を通じて保持タンクに送出される。更に、本発明の液滴生成装置は、上記開孔を囲み、一端が堆積防止部に連結され、他端が保持タンク内に解放された円筒形又は多角形の周壁と、上記円筒形又は多角形の周壁内に挿入され、一端が上記保持タンク内であって、上記開孔の近傍に位置すると共に、他端が上記保持タンクの外側に位置する液滴流路とを含む。
【発明の効果】
【0008】
さらに[(S/O)/W]、[(S/W)/O]などの複合エマルションを調製する場合には、分散相流路の開孔の上流側に、円錐状の傾斜面を設けることにより、分散相液体に含まれる微粒固形物(S)が滑り落ち、堆積することを防止することができ、流路の閉栓、閉塞を防ぐことができる。これにより、安定して均一なサイズの液滴を容易に連続して生成し、液滴を量産する事ができる。
【0009】
連続相液体が先端面に沿って流れ、連続相液体を集中して開孔の方向に向かう集中流を発生させることができるので、液滴のサイズを均一化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】本発明の第1実施形態に係る液滴生成装置の断面図。
図1B】本発明の第1実施形態の参考例に係る液滴生成装置の断面図。
図1C】本発明の第2実施形態に係る液滴生成装置の断面図。
図1D】本発明の第2実施形態の変形例に係る液滴生成装置の断面図。
図1E】本発明の第2実施形態の別の変形例に係る液滴生成装置の断面図。
図2図1Cに示す液滴生成部の拡大図。
図3図2に示す実施形態の変形図。
図4図2に示す実施形態の別の変形図。
図5図2に示す実施形態の更に別の変形図。
図6図2に示す実施形態の更に別の変形図。
図7A】本発明の第3実施形態に係る液滴生成装置の断面図。
図7B図7Aに示す実施形態の変形例。
図7C図7Aに示す実施形態の別の変形例。
図8図7Aに示す実施形態の更に別の変形例。
図9図7Aに示す実施形態の更に別の変形例。
図10図7Aに示す実施形態の更に別の変形図。
図11図7Aに示す実施形態の更に別の変形図。
図12】従来の単流路の液滴生成装置を複数寄せ集めた概念図。
図13】従来の単流路の液滴生成装置を複数つなぎ合わせた概念図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1Aは本発明に係る液滴生成装置100の第1実施形態を示す。液滴生成装置100は、連続相ポンプ2,分散相ポンプ4,生成物タンク6,保持タンク10を有する。例えばO/W,(S/O)/Wエマルションを調製する場合には、連続相ポンプ2からは連続相液体、例えば水、好ましくは界面活性剤を含む水、が送出され、連続相パイプ12を通って密閉状の保持タンク10に送り込まれる。保持タンク10には連続相液体が満たされる。分散相ポンプ4からは分散相液体、例えば、油又は微粒固形物が含まれた油、が送出され、分散相流路14を通って保持タンク10内の液滴生成部18に送り込まれる。液滴生成部18では、分散相液体が液滴ET(エマルション)になり、液滴ETは連続相液体に混じって混合液体となり、液滴流路16を通って生成物タンク6に集められる。保持タンク10、連続相パイプ12、分散相流路14、液滴流路16は、例えばガラス、金属、プラスチック等で構成され、その表面接液部は必要により[W/O]、[(S/W)/O]エマルション調製時には疎水化処理、[O/W]、[(S/O)/W]エマルション調製時には親水化処理される。連続相ポンプ2,分散相ポンプ4,生成物タンク6は、無くても、液滴生成装置100は商品として成立する。
【0012】
この実施の形態においては、微粒固形物(S)が含まれている油(O)の液滴が水(W)の中に生成される形態、いわゆるソリッド・イン・オイル・イン・ウォータ[(S/O)/W]の液滴生成装置の形態について説明するが、本発明は、他の形態、[O/W]、[W/O]、[(S/W)/O]等についても利用可能である事は、言うまでも無い。
図1Aの第1実施形態においては、更に、図2で詳述する堆積防止部14eが設けられている。
図1Bは、図1A参考例を示し、この参考例では図1Aで示した堆積防止部14eが省略されている。この参考例においては、液滴流路16の先端部を取り囲む周壁20の内面は、[W/O]、[(S/W)/O]エマルションを生成する場合は疎水性の材料で表面処理がなされる一方、[O/W]、[(S/O)/W]エマルションを生成する場合は親水性の材料で表面処理がなされる。他の変形例や実施形態においても同様である。
図1Cは、液滴生成装置100の第2実施形態を示す。第1実施形態においては液滴生成部18は、単流路で構成されていたが、第2実施形態においては、液滴生成部18は複流路で構成される。分散相流路14側から周壁20を見た場合、周壁20は8の字のように、2つの円が隣り合わせにある。隣り合う液滴生成部18の間には分離壁19が存在し、分離壁19の上側先端(分散相流路14が存在する側)には、分離壁19の厚みよりも厚い堆積防止部14eが設けられている。堆積防止部14eは、漏斗状の傾斜面を有し、漏斗状の傾斜面の中心は開孔14bが形成されている。この実施形態においては、開孔14bの直径は液滴流路16の直径と等しいかより小さい。開孔14bの直径は液滴流路16の直径よりも大きくても良い。分散相流路14の終端は保持タンク10内に存在し、分散相流路14の下流側の終端に複数の開孔14bが形成されている。また、複数の開孔14bのそれぞれを囲み、一端が分散相流路14の終端に連結され、他端が保持タンク内に解放された複数の円筒形又は多角形の内壁を有する周壁20が設けられている。分離壁19は周壁20の一部を構成する。更に、複数の周壁20のそれぞれの内側に挿入され、一端が上記保持タンク10内であって、開孔の近傍に位置し、他端が保持タンク10の外側に位置する複数の液滴流路16を有する。
図1Dは、図1Cの変形例を示し、この変形例では図1Cで示した堆積防止部14eが分離壁19の厚みと同じ厚みのものとして形成されている。分離壁19の上側先端がテーパー状に尖った構成になっている。
図1Eは、図1Cの別の変形例を示し、この変形例では、堆積防止部14eが、分離壁19を含む周壁20に形成されている。
【0013】
図2は、液滴生成部18の堆積防止部14eを備え、複流路を有する第2実施形態(図1C)の詳細を示す。
【0014】
分散相流路14は、円筒形又は多角形の流路であり、その最も下流側には円錐状の傾斜面14cが複数設けられており、各傾斜面14cの先端には微細な開孔14bが形成されている。分散相流路14の先端面14aは、保持タンク10の内側に存在し、微細な開孔14bから分散相液体が流出する。開孔14bの直径D1は、液滴(エマルション)を形成するのに適した大きさになっており、例えば、10μm〜5mm程度で、好ましくは100μm程度である。直径D1は、液滴のサイズ(直径)によって決めることができる。また、開孔14bは、その軸方向に所定の厚み(10μm〜5mm程度)を有する。円錐状の傾斜面14cにより、微粒固形物と共に分散相液体を開孔14bに案内する。分散相流路14の軸方向に切断した時の傾斜面14cは、同軸方向に対し大略45度の角度で、直線的に傾斜している。傾斜面14cの上流側は、分散相流路14の内周面14dに繋がっている。先端面14a、開孔14b、傾斜面14cで囲まれる部分に堆積防止部14eが形成される。すなわち、分散相流路14の下流側に設けた堆積防止部14eは、分散相液体に対向する円錐状の傾斜面14cを有すると共に、円錐状の傾斜面の先端に形成した開孔14bを有するので、傾斜面を流れる分散相液体により、微粒固形物は堆積する事無く開孔を通じて保持タンクに送出される。
【0015】
先端面14aの先には開孔14bを囲む円筒形又は多角形の周壁20が形成されている。周壁20の一端は堆積防止部14eに連結され、他端20aは保持タンク10内に解放されている。分散相流路14と周壁20とは、一体構成されても良いし、別体構成されても良い。周壁20の長さD2は、100μm〜数10mm程度である。周壁20の内側の内周面20bと先端面14aとで円柱状の空間20cが形成される。内周面20bの直径D3は、1000μm〜数10mm程度である。
【0016】
液滴流路16は、周壁20の内周面20bより細い流路であり、液滴流路16の内周面16bの内径D4は、内径D3の1/2から4/5程度である。筒状になっている液滴流路16の先端部分は、空間20c内に、同軸状(同心状)に挿入されている。挿入される長さD5は、例えば、100μm〜数10mm程度である。液滴流路16の先端16aと先端面14aとの間に間隙が設けられている。間隙の長さD6は、10μm〜5mm程度である。
【0017】
上記の構成により、周壁20の内周面20bと液滴流路16の外周面との間に連続相流路22が形成される。
【0018】
連続相流路22の入口22aは、周壁20の先端20aに形成され、そこから、連続相流体である水(好ましくは、界面活性剤を含む水)が連続相流路22に案内される。連続相流路22の途中に、液滴ETが生成される連続相-分散相合流部22bが存在する。また、連続相流路22の出口22cは、液滴流路16の先端16aに形成され、そこから、生成された液滴ETと連続相液体とが存在する混合液体([O/W]、[(S/O)/W]エマルション)が液滴流路16を通って送出される。
【0019】
図1C図2に示すように、連続相ポンプ2から送り出される連続相液体である水(好ましくは、界面活性剤を含む水)は、保持タンク10内に送り込まれ、矢印Aで示すように、連続相流路22の入口22aから流入する。連続相液体は、連続相流路22の中に流入し、分散相流路14の先端面14aに沿って案内され、矢印Bで示すように、開孔14bに集中的に向かう。矢印Bのように、開孔14bの中心に向かって360度の方向から流れる流体を集中流と言う。一方、分散相ポンプ4からは、分散相液体である、微粒固形物が混じった油が、分散相流路14を通り、開孔14bから下方(液滴流路16の方向)に放出される。この時、開孔14bから放出された分散相液体は、集中流により滴下・せん断される。液滴ETは、合流部22bから出口22cの間で生成される。生成された液滴ETは、連続相液体と混合され、出口22cに向かう。これにより、出口22cから液滴ETと連続相液体とが混ざった混合液体([O/W]、[(S/O)/W]エマルション)が、液滴流路16を通り、生成物タンク6に集められる。連続相ポンプ2は、連続相液体により作られる集中流の強さを調整する流量圧力で連続相液体を送り出せば良い。また、分散相ポンプ4は、分散相流体が開孔14bを通過する早さを調整する流量圧力で分散相流体を送り出せば良い。これにより、ポンプ2,4の流量圧力の調整がなされる。
【0020】
堆積防止部14eの一方の面は、分散相液体に対向し、円錐状の傾斜面14cが設けられているので、分散相液体に含まれる微粒固形物が滑り落ち、堆積することを防止することができ、流路の閉栓、閉塞を防ぐことができる。
【0021】
連続相液体が先端面14aに沿って流れ、連続相液体を集中して開孔14bの方向に向かう集中流を発生させることができるので、液滴のサイズを均一化することができる。また、液滴のサイズは開孔14bのサイズや、出口22cの細孔径にも依存する。
【0022】
連続相液体に含まれる界面活性剤の例として、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性(高分子)界面活性剤がある。より具体的にはアニオン性界面活性剤としては、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリメタクリル酸カリウム。アルキル硫酸エステル塩としてラウリル硫酸ナトリウム。ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩として、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸カリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン。アルキルベンゼンスルホン酸塩として、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム。その他スルホン酸塩として、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸カリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸カリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸カリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸カリウム。脂肪酸塩として、半硬化牛脂脂肪酸ナトリウム、半硬化牛脂脂肪酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ヒマシ油脂肪酸ナトリウム、ヒマシ油脂肪酸カリウムその他、アルケニルコハク酸ジカリウム、アルケニルコハク酸ジナトリウム、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム等が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド。アルキルアミン塩として、ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート。第四級アンモニウム塩として、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンや原子移動ラジカル重合等の精密重合(ATRP,ICAR, AGET, Reverse ASTRP, RAFT, NMP)により合成されるブロックコポリマーやトリブロックポリマーなどがある。具体的にはポリメチルメタアクリレート-b-ポリアクリル酸ブロックコポリマー、ポリメチルメタアクリレート-b-ポリメタアクリル酸ブロックコポリマー、ポリメチルメタアクリレート-b-ポリビニルピロリドンブロックコポリマー、ポリメチルメタアクリレート-b-ポリ2-ヒドロキシメタアクリレートブロックコポリマー、ポリメチルメタアクリレート-b-ポリビニルアルコールブロックコポリマー、ポリメチルメタアクリレート-b-ポリエチレングリコールブロックコポリマー、ポリメチルアクリレート-b-ポリアクリル酸ブロックコポリマー、ポリメチルアクリレート-b-ポリメタアクリル酸ブロックコポリマー、ポリメチルアクリレート-b-ポリビニルピロリドンブロックコポリマー、ポリメチルアクリレート-b-ポリ2-ヒドロキシメタアクリレートブロックコポリマー、ポリメチルアクリレート-b-ポリビニルアルコールブロックコポリマー、ポリメチルアクリレート-b-ポリエチレングリコールブロックコポリマー、ポリスチレン-b-ポリアクリル酸ブロックコポリマー、ポリスチレン-b-ポリメタアクリル酸ブロックコポリマー、ポリスチレン-b-ポリビニルピロリドンブロックコポリマー、ポリスチレン-b-ポリ2-ヒドロキシメタアクリレートブロックコポリマー、ポリスチレン-b-ポリビニルアルコールブロックコポリマー、ポリスチレン-b-ポリエチレングリコールブロックコポリマーなどが挙げられる。
【0023】
分散相液体の例として、好ましくは非水溶性有機溶媒である、メチルメタアクリレート(MMA)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸ターシャルブチルなどが挙げられる。溶質として、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリイソプロピルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリターシャルブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリプロピルアクリレート、ポリイソプロピルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリターシャルブチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート-ポリエチルメタクリレートコポリマー、ポリメチルアクリレート-ポリエチルアクリレートコポリマーなどが挙げられる。
【0024】
微粒固形物の例として、好ましくは例えば歯科用無機ガラス組成物がある。特にフッ素イオンなどを放出するイオン徐放性ガラスが好ましい。このイオン徐放性ガラスは、ガラス骨格を形成する1種類以上のガラス骨格形成元素とガラス骨格を修飾する1種類以上のガラス修飾元素を含んだガラスであれば何等制限なく用いることができる。また、本発明においてはガラス組成によってガラス骨格形成元素又はガラス修飾元素になりうる元素、いわゆるガラス両性元素はガラス骨格形成元素の範疇として含めるものである。イオン徐放性ガラスに含まれるガラス骨格形成元素を具体的に例示するとシリカ、アルミニウム、ボロン、リン等が挙げられるが、単独だけでなく複数を組み合わせて用いることができる。また、ガラス修飾元素を具体的に例示するとフッ素、臭素、ヨウ素等のハロゲン類元素、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属類元素、カルシウム、ストロンチウム等のアルカリ土類金属類元素等が挙げられるが、単独だけでなく複数を組み合わせて用いることができる。これらの中でもガラス骨格形成元素としてシリカ、アルミニウム、ボロンを含み、且つガラス修飾元素としてフッ素、ナトリウム、ストロンチウムを含むことが好ましく、具体的にはストロンチウム、ナトリウムを含んだシリカガラス、フルオロアルミノシリケートガラス、フルオロボロシリケートガラス、フルオロアルミノボロシリケートガラス等が挙げられる。さらに、フッ化物イオン、ストロンチウムイオン、アルミニウムイオン、ホウ酸イオンを徐放する観点から、より好ましくはナトリウム、ストロンチウムを含んだフルオロアルミノボロシリケートガラスであり、そのガラス組成範囲はSiO 15〜35質量%、Al 15〜30質量%、B 5〜20質量%、SrO 20〜45質量%、F 5〜15質量%、NaO 0〜10質量%となる。また、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン及び2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)-3-ヘキシンなどの有機過酸化物微粉末も好ましく使用される。さらに、バルビツール酸やその誘導体微粉末も好ましい。例えば、バルビツール酸、1,3,5-トリメチルバルビツール酸、1,3-ジフェニルバルビツール酸、1,5-ジメチルバルビツール酸、5-ブチルバルビツール酸、5-エチルバルビツール酸、5-イソプロピルバルビツール酸、5-シクロヘキシルバルビツール酸1,3-ジメチル-5-エチルバルビツール酸、1,3-ジメチル-5-n-ブチルバルビツール酸、1,3-ジメチル-5-イソブチルバルビツール酸1,3-ジメチル-5-シクロペンチルバルビツール酸、1,3-ジメチル-5-シクロヘキシルバルビツール酸、1,3-ジメチル-5-フェニルバルビツール酸、1-シクロヘキシル--エチルバルビツール酸、1-ベンジル-5-フェニルバルビツール酸、5-メチルバルビツール酸、5-プロピルバルビツール酸、1,5-ジエチルバルビツール酸、1-エチル-5-メチルバルビツール酸、1-エチル-5-イソブチルバルビツール酸、1,3-ジエチル-5-ブチルバルビツール酸、1-シクロヘキシル-5-メチルバルビツール酸、1-シクロヘキシル-5-エチルバルビツール酸、1-シクロヘキシル-5-オクチルバルビツール酸、1-シクロヘキシル-5-ヘキシルバルビツール酸、5-ブチル-1-シクロヘキシルバルビツール酸、1-ベンジル-5-フェニルバルビツール酸及びチオバルビツール酸類、ならびにこれらの塩(特にアルカリ金属又はアルカリ土類金属類が好ましい)が挙げられ、これらバルビツール酸類の塩としては、例えば、5-ブチルバルビツール酸ナトリウム、1,3,5-トリメチルバルビツール酸ナトリウム及び1-シクロヘキシル-5-エチルバルビツール酸ナトリウムなどのバルビツール酸誘導体微粉末も挙げられる。特に好適なバルビツール酸誘導体を具体的に例示すると、例えば、5-ブチルバルビツール酸、1,3,5-トリメチルバルビツール酸、1-シクロヘキシル-5-エチルバルビツール酸、1-ベンジル-5-フェニルバルビツール酸、及びこれらバルビツール酸類のナトリウム塩などが挙げられる。
【0025】
本発明に係る液滴生成装置は、分散相液体として、微粒固形物が含まれた油を用いる事を想定して構成されているが、微粒固形物を含まない油を用いることも可能である事は、言うまでも無い。
【0026】
図3は、傾斜面14cの変形例を示す。軸方向に切断した傾斜面14cは、S字曲線を描く。これにより、より効率的に、微粒固形物の沈殿を防止することができる。
【0027】
図4は、連続相流路22の変形例を示す。内周面20bと先端面14aとの間は湾曲部20dで連結されている。このようにすることにより、集中流を効率よく発生させ、連続相液体の流れを安定して開孔14bの方向に向かわせることができる。
【0028】
図5は、連続相流路22の別の変形例を示す。先端面14aの開孔14bに隣接する部分が液滴流路16の方向に湾曲している。開孔14bの下流側において、連続相液体の流れる方向と、分散相液体が流れる方向とが鋭角になるような盛り上がり部14fを形成する。このようにすることにより、連続相液体の流れをより安定化することができ、液滴サイズを均一化することができる。又、液滴ETの生成早さを上げる事も可能となる。
【0029】
図6は、液滴流路16の変形例を示す。図2に示した液滴流路16は、筒状で、開孔14bに近い先端部分も筒状になっている。図6に示す変形例においては、同先端部分がテーパー状に、開孔14bに向かって細くなっている。
【0030】
この様に、液滴流路16の先端部分をテーパー状にすることにより、連続相流路22の出口22cから液滴流路16内に送り込まれる連続相液体の流れがより急峻になり、液滴をちぎる流力(せん断力)が強くなり、均一なサイズの液滴をより高速で確実に生成することができる。
【0031】
上記の変形例は、単独で採用してもよいし、組み合わせて採用してもよい。又、次に説明する第2実施形態やその変形例においても採用しても良い。
【0032】
図7Aは、本発明に係る液滴生成装置200の第3実施形態を示す。第1、第2実施形態では液滴生成部18が保持タンク10内に設けられていたが、第3実施形態では、液滴生成部18を一つの中間層32の中に形成した。又、中間層32の中には複数の、例えば4つの液滴生成部18が並行に設けられている。第1実施形態で示した部分と同様の部分には、同じ参照符号を用い、その詳細な説明は省略する。
【0033】
液滴生成装置200は、連続相液体を保持する保持タンク10とは別の分散相液体を供給する供給タンク30が設けられている。保持タンク10と供給タンク30との間に、液滴生成部18を構成する中間層32が設けられている。供給タンク30には、分散相ポンプ4から分散相液体が送り込まれるための分散相パイプ11が繋がっている。供給タンク30の内壁は、矩形の空間が形成されている。供給タンク30には、空気を抜くための空気抜きポート15が設けられている例が示されているが、ポート15は省略しても良い。
【0034】
中間層32には、第1実施形態の空間20cに相当する円柱状の貫通孔20cが形成されている。貫通孔20cの内壁が、第1実施形態の周壁20に対応する。貫通孔20cが複数本、ここでは4本、並行に形成されている。従って、周壁20が複数本、並行に形成されている事になる。貫通孔20c内に、液滴流路16の先端部分が同軸状に挿入されている。保持タンク10、供給タンク30、中間層32は、例えばガラス、金属、プラスチック等で構成され、その表面接液部は必要により[W/O]、[(S/W)/O]エマルション調製時には疎水化処理、[O/W]、[(S/O)/W]エマルション調製時には親水化処理される。
【0035】
供給タンク30の内壁が分散相液体を供給する分散相流路14としての機能を有する。供給タンク30には、4つの円錐状の傾斜面14cで形成される堆積防止部14eが設けられており、各堆積防止部の中心に開孔14bが形成されている。開孔14bの中心は、貫通孔20cの中央に位置している。また、堆積防止部14eの外側の面が第1実施形態の先端面14aに対応すると共に、堆積防止部14eの内側の面が第1実施形態の傾斜面14cに対応する。
図7Bは、図7Aで示した液滴生成装置200の変形例を示す。図7Bの変形例においては、傾斜面14cの先端に設けた開孔14bが、トンネルの如く、所定の長さを有している。従って、傾斜面14cと開孔14bは、漏斗状に成っている。
図7Cは、図7Aで示した液滴生成装置200の別の変形例を示す。図7Cの変形例においては、傾斜面14cが無く、中間層32の貫通孔20cが供給タンク30の開孔になっている。
図7Cの変形例においては、図12に示す様な液滴生成部が別々に構成されたものと比べ、全てのキャピラリーに均一な圧力がかかるためCV値が低い。すなわち液滴の分散度は低い。また、キャピラリーのポジショニングも凸冶具等を用いることで瞬時に行える事ができる。
【0036】
図8は、図7Aで示した液滴生成装置200の更に別の変形例を示す。図8の変形例にあっては、分散相パイプ11の軸方向が、複数の円錐状の傾斜面14cで形成される堆積防止部14eを囲い込む面の中心を通り、かつ、その面と垂直である位置関係で、分散相パイプ11が設けられている。
【0037】
図8の変形例の構成により、各堆積防止部14eに送られる分散相液体の液圧をほぼ均一にすることができる。これにより、安定して均一なサイズの液滴を容易に連続して生成し、液滴を量産する事ができる。
【0038】
図9は、図7Aで示した液滴生成装置200の更に別の変形例を示す。図9の変形例は、図8の変形例を更に変形したもので、供給タンク30の内壁をドーム状にしたものである。ドーム状に変えて、円錐状にする事も可能である。この様にする事により、ドーム内の分散相の流れを全体的により均一にすることができる。
【0039】
又、図9の変形例においては、開孔14bを内周面20bと大略同じ大きさに形成した。この様にする事により、液滴ETのサイズや、液滴の生成速度を所望のサイズ、所望の速度にすることができる。開孔14bを内周面20bと大略同じ大きさに形成する変形例は、第1、第2、第3の実施形態やその変形例に適用する事もできる。
【0040】
図10は、第3実施形態の更に別の変形例を示す。図10の変形例は、分散相パイプ11に連結された供給タンク30の中に分散相流路14を設け、この分散相流路14を複数本、図10の変形例にあっては4本の分流路14w、14x、14y、14zに分岐させている。4本の分流路14w、14x、14y、14zは、分散相パイプ11の先端から放射状に延在し、開孔14bが形成される位置、すなわち貫通孔が形成されている位置まで延びている。この様にして、4本の分流路が4つの液滴生成部18にそれぞれ分散相液体を供給する。また、4本の分流路のいずれもが傾斜面14cで開孔14bと繋がっているので、傾斜面14cは、上述した堆積防止部としての機能を有する。この形態の場合には4本の分流路14w、14x、14y、14zの距離、すなわち11末端から14aまでの距離が可能な限り等しいことが望まれる。そうすることで流路の抵抗が均一になり液滴排出量や粒径のCV値が均一になる。
【0041】
図10に示す様に、分散相流路を、複数の分流路に分ける事により、それぞれの液滴生成部18に均等の圧力で分散相液体を供給する事ができる。従って、4つの液滴生成部18間で、優劣無く同等の効率で液滴を生成する事ができる。
【0042】
図11は、第3実施形態の更に別の変形例を示す。図11の変形例は、図10に示した変形例を更に変形したもので、4本の分流路14w、14x、14y、14zの分岐点に球状の液貯め14gを形成する。
【0043】
液貯め14gを設ける事により、分散相パイプ11から送られてくる分散相液体が脈動して液圧に強弱が生じていても、液貯め14gにおいて係る脈動する液圧は低減され、分流路14w、14x、14y、14zには均一の液圧で分散相液体を送出する事ができる。これにより、液滴生成部18において、均一な液滴を生成する事ができる。
【0044】
図10図11の変形例では空気抜きポート15を省いているが、必要に応じて設けても良い。
【産業上の利用可能性】
【0045】
ここに記載の液滴生成装置は、液滴を生成する産業に利用する事ができる。
【符号の説明】
【0046】
2・・・連続相ポンプ,4・・・分散相ポンプ,6・・・生成物タンク,
10・・・保持タンク,11・・・分散相パイプ,12・・・連続相パイプ,
14・・・分散相流路,14a・・・先端面,14b・・・開孔,14c・・・傾斜面,
14d・・・内周面,14e・・・堆積防止部,14w、14x、14y、14z・・・分流路,14g・・・液貯め,15・・・空気抜きポート,
16・・・液滴流路,18・・・液滴生成部,20・・・周壁,20a・・・他端,
20b・・・内周面,20c・・・空間,20d・・・湾曲部,22・・・連続相流路,22a・・・入口,22b・・・連続相-分散相合流部,22c・・・出口,
30・・・供給タンク,32・・・中間層,ET・・・液滴
【要約】      (修正有)
【課題】安定して均一の液滴を生成する事ができ、粒子堆積のない液滴生成装置の提供。
【解決手段】連続相液体を供給する連続相パイプ12と、分散相液体を供給する分散相流路14と、連続相パイプ12に連結され、連続相液体を保持する保持タンク10と、分散相流路14の先端部分に設けた堆積防止部14eとを含み、堆積防止部14eは、分散相液体に対向する円錐状の傾斜面を有すると共に、円錐状の傾斜面の先端に形成された開孔14bを有し、分散相液体は開孔14bを通じて保持タンク10に送出される液滴生成装置100。
【選択図】図1C
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12
図13