特許第6091680号(P6091680)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6091680酸洗設備のカテナリー測定装置及びカテナリー測定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6091680
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】酸洗設備のカテナリー測定装置及びカテナリー測定方法
(51)【国際特許分類】
   C23G 3/00 20060101AFI20170227BHJP
   C23G 1/08 20060101ALI20170227BHJP
   G01B 5/00 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   C23G3/00 Z
   C23G1/08
   G01B5/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-67230(P2016-67230)
(22)【出願日】2016年3月30日
【審査請求日】2016年4月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006910
【氏名又は名称】株式会社淀川製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】高橋 和弘
【審査官】 酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−192811(JP,A)
【文献】 特開平08−192216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23G 3/00
C23G 1/08
G01B 5/00
B08B 1/00
B05C 1/00
C25D 5/00
C23C 18/00
C23F 4/00
C23G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸洗槽(2)の上から前記酸洗槽(2)内に延出されて上下方向に延びる検出棒(8)と、前記検出棒(8)の下端を前記酸洗槽(2)内を通過する鋼帯(1)に対して間欠的に接触させるように前記検出棒(8)を昇降させる単軸ロボット(9)と、前記検出棒(8)の下端が前記鋼帯(1)に接触したことを検出する検出センサ(10)と、を備え、前記検出棒(8)の下端が前記鋼帯(1)に接触したときの前記単軸ロボット(9)の位置情報を読み取り、前記鋼帯(1)のカテナリー量(D)を測定することを特徴とする酸洗設備のカテナリー測定装置。
【請求項2】
前記単軸ロボット(9)は、前記酸洗槽(2)の上に固定されて上下方向に延びるフレーム(9a)と、前記フレーム(9a)に沿って移動する第1スライダ(9b)と、前記第1スライダ(9b)の位置情報に基づいて前記第1スライダ(9b)を所定の位置に移動させるコントローラ(9c)と、を備え、前記第1スライダ(9b)にはリニアガイドユニット(11)を設置し、前記リニアガイドユニット(11)は、前記第1スライダ(9b)に固定されて上下方向に延びるガイドレール(11a)と、前記ガイドレール(11a)に沿って前記第1スライダ(9b)に対して相対移動可能な第2スライダ(11b)と、前記ガイドレール(11a)に固定されて前記第2スライダ(11b)が前記第1スライダ(9b)に対して下向きに相対移動するときにその移動終端位置にて前記第2スライダ(11b)を係合させて停止させるストッパ(11c)と、を備え、前記検出棒(8)は、前記第2スライダ(11b)に固定し、前記単軸ロボット(9)により前記検出棒(8)を下降し、前記検出棒(8)の下端が前記鋼帯(1)に接触すると、前記検出棒(8)が前記第1スライダ(9b)に対して上向きに相対移動するように構成しており、前記検出センサ(10)は、前記検出棒(8)の前記第1スライダ(9b)に対する上向きの相対移動を検出することにより、前記検出棒(8)の下端が前記鋼帯(1)に接触したことを検出することを特徴とする請求項1に記載の酸洗装置のカテナリー測定装置。
【請求項3】
前記検出センサ(10)は近接スイッチである請求項2に記載の酸洗装置のカテナリー測定装置。
【請求項4】
酸洗槽(2)の上から前記酸洗槽(2)内に延出されて上下方向に延びる検出棒(8)を、前記検出棒(8)の下端を前記酸洗槽(2)内を通過する鋼帯(1)に対して間欠的に接触させるように単軸ロボット(9)により昇降させ、前記検出棒(8)の下端が前記鋼帯(1)に接触したことを検出センサ(10)により検出し、前記検出棒(8)の下端が前記鋼帯(1)に接触したときの前記単軸ロボット(9)の位置情報を読み取り、前記鋼帯(1)のカテナリー量(D)を測定することを特徴とする酸洗設備のカテナリー測定方法。
【請求項5】
前記単軸ロボット(9)は、前記酸洗槽(2)の上に固定されて上下方向に延びるフレーム(9a)と、前記フレーム(9a)に沿って移動する第1スライダ(9b)と、前記第1スライダ(9b)の位置情報に基づいて前記第1スライダ(9b)を所定の位置に移動させるコントローラ(9c)とを備え、前記第1スライダ(9b)にはリニアガイドユニット(11)を設置し、前記リニアガイドユニット(11)は、前記第1スライダ(9b)に固定されて上下方向に延びるガイドレール(11a)と、前記ガイドレール(11a)に沿って前記第1スライダ(9b)に対して相対移動可能な第2スライダ(11b)と、前記ガイドレール(11a)に固定されて前記第2スライダ(11b)が前記第1スライダ(9b)に対して下向きに相対移動するときにその移動終端位置で前記第2スライダ(11b)を係合させて停止させるストッパ(11c)と、を備え、前記検出棒(8)は、前記第2スライダ(11b)に固定し、前記検出棒(8)の下端が前記鋼帯(1)に対して接触していないときには前記第1スライダ(9b)と一体的に移動可能とし、前記検出棒(8)の下端が前記鋼帯(1)に対して接触しているときには前記第1スライダ(9b)に対して相対移動可能としており、(a)前記単軸ロボット(9)により、前記検出棒(8)を、前記検出棒(8)の下端が前記鋼帯(1)に対して接触しない状態で前記第2スライダ(11b)が前記第1スライダ(9b)に対する下向きの相対移動終端位置に停止する待機位置から下降するステップと、(b)前記ステップ(a)で前記検出棒(8)の下端が前記鋼帯(1)に接触すると前記検出棒(8)が前記第1スライダ(9b)に対して上向きに相対移動し、これを前記検出センサ(10)により検出し、前記第1スライダ(9b)の位置情報を読み取り、前記鋼帯(1)のカテナリー量(D)を測定するステップと、(c)前記ステップ(b)の終了後、前記単軸ロボット(9)により、前記検出棒(8)を、前記検出棒(8)の下端が前記鋼帯(1)に対して接触しない状態で前記第2スライダ(11b)が前記第1スライダ(9b)に対する下向きの相対移動終端位置に復帰する前記待機位置まで上昇し、前記待機位置にて所定時間待機するステップと、を含み、前記ステップ(a)ないし(c)を繰り返し、一定時間間隔で前記鋼帯(1)のカテナリー量(D)を測定することを特徴とする請求項4に記載の酸洗設備のカテナリー測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱間圧延された鋼帯表面のスケールを連続的に除去する酸洗設備のカテナリー測定装置及びカテナリー測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱間圧延された鋼帯表面には、熱間圧延工程で生成したスケール(酸化皮膜)が付着している。鋼帯表面のスケールは、連続酸洗設備を用いて、鋼帯を、酸液を貯留した酸洗槽内を連続的に通過させることで除去する。その際、鋼帯は、酸洗槽内でカテナリーと呼ばれる懸垂曲線を描いて連続的に搬送される。酸洗槽内における鋼帯のカテナリー量(たるみ)が大きくなり過ぎると酸洗槽底部と鋼帯が接触することにより鋼帯に傷が発生し、カテナリー量が小さくなり過ぎると鋼帯が液面上を通過し、酸洗されなくなる。また、前記のような状態にならなくても、カテナリー量は、スケール除去能力に影響を与えるので、過酸洗、酸洗不良を防止して、適切な脱スケールを行うためには、カテナリー量を適切な範囲に制御する必要がある。
【0003】
そこで、酸洗槽内の鋼帯のカテナリー量制御を行うのに際し、そのカテナリー量を接触式の位置検出器により測定するものがある(特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−192811号公報
【特許文献2】特開平8−192216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の検出器は、酸洗槽の上から酸洗槽内に延出されて上下方向に延びるガイド・ロッドを備え、ガイド・ロッドの先端にタッチ・ロールを回転自在に取り付け、ガイド・ロッドの上下動をポテンショメータで計測する。そのため、酸洗槽の開口上面を覆うカバーに設けるガイド・ロッド挿通用の開口部が小さく、酸性ヒュームの影響を低減できるという特徴を有する。しかし、鋼帯にタッチ・ロールを連続的に接触させる必要があり、タッチ・ロールの摩耗を発生すると共に、鋼帯に傷が入りやすいという問題がある。
【0006】
本発明は、前記のような問題に鑑みてなされたもので、その目的は、鋼帯への接触部の摩耗を低減できると共に、鋼帯に傷等が入りにくくできる酸洗設備のカテナリー測定装置及びカテナリー測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1.酸洗槽2の上から前記酸洗槽2内に延出されて上下方向に延びる検出棒8と、前記検出棒8の下端を前記酸洗槽2内を通過する鋼帯1に対して間欠的に接触させるように前記検出棒8を昇降させる単軸ロボット9と、前記検出棒8の下端が前記鋼帯1に接触したことを検出する検出センサ10と、を備え、前記検出棒8の下端が前記鋼帯1に接触したときの前記単軸ロボット9の位置情報を読み取り、前記鋼帯1のカテナリー量Dを測定することを特徴とする酸洗設備のカテナリー測定装置。
2.前記単軸ロボット9は、前記酸洗槽2の上に固定されて上下方向に延びるフレーム9aと、前記フレーム9aに沿って移動する第1スライダ9bと、前記第1スライダ9bの位置情報に基づいて前記第1スライダ9bを所定の位置に移動させるコントローラ9cと、を備え、前記第1スライダ9bにはリニアガイドユニット11を設置し、前記リニアガイドユニット11は、前記第1スライダ9bに固定されて上下方向に延びるガイドレール11aと、前記ガイドレール11aに沿って前記第1スライダ9bに対して相対移動可能な第2スライダ11bと、前記ガイドレール11aに固定されて前記第2スライダ11bが前記第1スライダ9bに対して下向きに相対移動するときにその移動終端位置にて前記第2スライダ11bを係合させて停止させるストッパ11cと、を備え、前記検出棒8は前記第2スライダ11bに固定し、前記単軸ロボット9により前記検出棒8を下降し、前記検出棒8の下端が前記鋼帯1に接触すると、前記検出棒8が前記第1スライダ9bに対して上向きに相対移動するように構成しており、前記検出センサ10は、前記検出棒8の前記第1スライダ9bに対する上向きの相対移動を検出することにより、前記検出棒8の下端が前記鋼帯1に接触したことを検出することを特徴とする1に記載の酸洗装置のカテナリー測定装置。
3.前記検出センサ10は近接スイッチである2に記載の酸洗装置のカテナリー測定装置。
4.酸洗槽2の上から前記酸洗槽2内に延出されて上下方向に延びる検出棒8を、前記検出棒8の下端を前記酸洗槽2内を通過する鋼帯1に対して間欠的に接触させるように単軸ロボット9により昇降させ、前記検出棒8の下端が前記鋼帯1に接触したことを検出センサ10により検出し、前記検出棒8の下端が前記鋼帯1に接触したときの前記単軸ロボット9の位置情報を読み取り、前記鋼帯1のカテナリー量Dを測定することを特徴とする酸洗設備のカテナリー測定方法。
5.前記単軸ロボット9は、前記酸洗槽2の上に固定されて上下方向に延びるフレーム9aと、前記フレーム9aに沿って移動する第1スライダ9bと、前記第1スライダ9bの位置情報に基づいて前記第1スライダ9bを所定の位置に移動させるコントローラ9cとを備え、前記第1スライダ9bにはリニアガイドユニット11を設置し、前記リニアガイドユニット11は、前記第1スライダ9bに固定されて上下方向に延びるガイドレール11aと、前記ガイドレール11aに沿って前記第1スライダ9bに対して相対移動可能な第2スライダ11bと、前記ガイドレール11aに固定されて前記第2スライダ11bが前記第1スライダ9bに対して下向きに相対移動するときにその移動終端位置で前記第2スライダ11bを係合させて停止させるストッパ11cと、を備え、前記検出棒8は、前記第2スライダ11bに固定し、前記検出棒8の下端が前記鋼帯1に対して接触していないときには前記第1スライダ9bと一体的に移動可能とし、前記検出棒8の下端が前記鋼帯1に対して接触しているときには前記第1スライダ9bに対して相対移動可能としており、(a)前記単軸ロボット9により、前記検出棒8を、前記検出棒8の下端が前記鋼帯1に対して接触しない状態で前記第2スライダ11bが前記第1スライダ9bに対する下向きの相対移動終端位置に停止する待機位置から下降するステップと、(b)前記ステップ(a)で前記検出棒8の下端が前記鋼帯1に接触すると前記検出棒8が前記第1スライダ9bに対して上向きに相対移動し、これを前記検出センサ10により検出し、前記第1スライダ9bの位置情報を読み取り、前記鋼帯1のカテナリー量Dを測定するステップと、(c)前記ステップ(b)の終了後、前記単軸ロボット9により、前記検出棒8を、前記検出棒8の下端が前記鋼帯1に対して接触しない状態で前記第2スライダ11bが前記第1スライダ9bに対する下向きの相対移動終端位置に復帰する前記待機位置まで上昇し、前記待機位置にて所定時間待機するステップと、を含み、前記ステップ(a)ないし(c)を繰り返し、一定時間間隔で前記鋼帯1のカテナリー量Dを測定することを特徴とする4に記載の酸洗設備のカテナリー測定方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、酸洗槽2内の鋼帯1に対して検出棒8を連続的に接触させるのではなく、間欠的に接触させて酸洗槽2内の鋼帯1のカテナリー量Dを測定するので、鋼帯1への接触部の摩耗を低減できると共に、鋼帯1に傷等が入りにくくできる。
また、検出棒8を下降し、検出棒8が鋼帯1に接触すると、検出棒8が第1スライダ9bに対して上向きに相対移動する場合、検出棒8の鋼帯1への接触時の衝撃を吸収するので、鋼帯への接触部の摩耗をさらに低減できると共に、鋼帯1に傷等がさらに入りにくくできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例としてのカテナリー測定装置を備える酸洗設備の要部構成を示す図である。
図2】本発明の実施例としてのカテナリー測定装置の構成を示す図である。
図3図2の側面図である。
図4図3の平面図である。
図5】本発明の実施例としてのカテナリー測定装置の動作を示す図である。
図6】本発明の実施例としてのカテナリー測定方法を示す流れ図である。
図7】他の検出棒を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1に、本発明の実施例としてのカテナリー測定装置を備える酸洗設備の要部構成を示す。図1において、1は鋼帯、2は酸液3を貯留する酸洗槽、4は酸洗槽2の開口上面を覆うカバー、5は酸洗槽入側ブライドルロール,6は酸洗槽出側ブライドルロールである。
【0012】
酸洗槽2は、入口スキッド2aと出口スキッド2bの相互間2箇所にダム2c,2dを設け、ダム2c,2dにより入口スキッド2aと出口スキッド2bの相互間を第1〜第3酸洗槽2A〜2Cに仕切り、第1〜第3酸洗槽2A〜2C内に酸液3をそれぞれ貯留する。
【0013】
鋼帯1は、酸洗槽入側ブライドルロール5と2つのダム2c,2dと酸洗槽出側ブライドルロール6等で支持され、第1〜第3酸洗槽2A〜2C内において第1〜第3カテナリー部1a〜1cをそれぞれ形成し、第1〜第3カテナリー部1a〜1cを第1〜第3酸洗槽2A〜2C内の酸液3にそれぞれ浸漬した状態で、酸洗槽入側ブライドルロール5と酸洗槽出側ブライドルロール6により連続的に搬送され、第1〜第3酸洗槽2A〜2C内を連続的に通過する。これにより、鋼帯1表面のスケールを除去する。
【0014】
そして、図1において、7が本発明の実施例としてのカテナリー測定装置である。
【0015】
カテナリー測定装置7は、酸洗槽2のカバー4において第1酸洗槽2Aの上面開口を覆う前部の上方に設置し、下方の第1カテナリー部1aのカテナリー深さDを測定するものである。
【0016】
図2図4に、本発明の実施例としてのカテナリー測定装置の構成を示す。図1図4に示すように、カテナリー測定装置7は、酸洗槽2のカバー4において第1酸洗槽2Aの上面開口を覆う前部の上方から下方の第1酸洗槽2A内に延出されて上下方向に延びる検出棒8と、検出棒8の下端を第1カテナリー部1aに対して間欠的に接触させるように検出棒8を昇降させる単軸ロボット9と、検出棒8の下端が第1カテナリー部1aに接触したことを検出する検出センサ10と、を備え、検出棒8の下端が第1カテナリー部1aに接触したときの単軸ロボット9の位置情報を読み取り、第1カテナリー部1aのカテナリー深さDを測定するように構成している。
【0017】
検出棒8はポリプロピレン製で直径50mm程度の丸棒からなる。酸洗槽2のカバー4には検出棒8を昇降(上下動)可能に挿通する開口部4aを設ける。開口部4aは直径60mm程度の小さい丸穴からなる。
【0018】
単軸ロボット9は、酸洗槽2のカバー4において第1酸洗槽2Aの上面開口を覆う前部の上面にボルト固定された図示しない架台にボルト固定されて上下方向(一軸方向)に延びるフレーム9aと、フレーム9aに沿って移動する第1スライダ9bと、第1スライダ9bの位置情報に基づいて第1スライダ9bを所定の位置に移動させるコントローラ9cと、を備える。コントローラ9cは、カテナリー深さD(実測値)をカテナリー制御部へ出力する。
【0019】
単軸ロボット9は、さらにフレーム9aとカバー9d等からなる上下方向に細長のケーシングを有し、ケーシングに第1スライダ9bを移動可能に備えると共に、ケーシング内に設けられた図示しない駆動機構により第1スライダ9bを駆動するように構成されている。
【0020】
駆動機構は、フレーム9aに固定されて上下方向に延びるガイドレールと、ガイドレールと平行に延びてフレーム9aに回転自在に支持されるボールねじ軸と、ボールねじ軸を回転駆動する位置検出器付のサーボモータなどのモータと、を備え、第1スライダ9bがガイドレールに移動可能に装着されると共に、第1スライダ9bに一体に設けられたナット体がボールねじ軸に螺合装着されている。そして、モータによりボールねじ軸が正逆回転駆動されると、これに応じて第1スライダ9bがガイドレールに沿って上下方向にスライド移動するように構成されている。
【0021】
単軸ロボット9には、ヤマハ発動機株式会社製の単軸ロボット;F17-10-BK-1200-10Lを使用するが、その他の電動アクチュエータ、リニアアクチュエータ等も使用できる。
【0022】
カテナリー測定装置7は、さらに単軸ロボット9の第1スライダ9bに設置するリニアガイドユニット11を備える。
【0023】
リニアガイドユニット11は、第1スライダ9bにボルト固定されたタッププレート12にボルト固定されて上下方向に延びるガイドレール11aと、ガイドレール11aに沿って第1スライダ9bに対して相対移動可能な第2スライダ11bと、ガイドレール11aの下端に固定されて第2スライダ11bが第1スライダ9bに対して下向きに相対移動するときにその移動終端位置にて第2スライダ11bを係合させて停止させるストッパ11cと、を備える。
【0024】
リニアガイドユニット11には、THK株式会社製のスライドパック;FBW50110XRUU+450Lを使用するが、その他のリニアガイドユニットも使用できる。
【0025】
検出棒8は、第2スライダ11bに固定し、検出棒8の下端が第1カテナリー部1aに対して接触していないときには第1スライダ9bと一体的に移動可能とし、検出棒8の下端が第1カテナリー部1aに対して接触しているときには第1スライダ9bに対して相対移動可能とし、単軸ロボット9により検出棒8を下降し、検出棒8の下端が第1カテナリー部1aに接触すると、検出棒8が第1スライダ9bに対して上向きに相対移動するように構成している。
【0026】
検出棒8の第2スライダ11bへの固定は、第2スライダ11bにタッププレート13をボルト固定し、タッププレート13の上部と下部にシャフトサポート14,15を固定し、上下のシャフトサポート14,15により検出棒8の上部を保持する。
【0027】
検出センサ10は、検出棒8の第1スライダ9bに対する上向きの相対移動を検出することにより、検出棒8の下端が第1カテナリー部1aに接触したことを検出するものである。検出センサ10は、近接スイッチ(接近センサ)であって、タッププレート12にボルト固定されたブラケット16に固定されて第1スライダ9bと一体的に移動可能に設けられ、第2スライダ11bにボルト固定された検出対象の金属体である板金製のブラケット17を、第2スライダ11bが下向きの移動終端位置から第1スライダ9bに対して上向きに所定距離相対移動したときに検出することにより、検出棒8の第1スライダ9bに対する上向きの相対移動を検出するように構成している。
【0028】
検出センサ10には、オムロン株式会社製の近接センサ;E2E-X10Dを使用するが、その他の電磁形近接センサ,静電容量形近接センサ,磁気式近接センサ等も使用できる。
【0029】
次に、以上のように構成したカテナリー測定装置7を用いたカテナリー測定方法について、図5図6を参照して説明する。図5に、本発明の実施例としてのカテナリー測定装置の動作を示し、図6に、本発明の実施例としてのカテナリー測定方法の流れを示す。
【0030】
先ず、単軸ロボット9により、検出棒8を、検出棒8の下端が第1カテナリー部1aに対して接触しない状態で第2スライダ11bが第1スライダ9bに対する下向きの相対移動終端位置に停止する図5(B)に示す待機位置よりもさらに上位の図5(A)に示す初期状態の位置、即ち初期位置から図5(B)に示す待機位置よりも下位に下降する(図6のステップS1)。なお、ステップS1における検出棒8の下降は、スタート時の初回のみ初期位置から行い、2回目以降は待機位置から行う。
【0031】
次に、ステップS1で検出棒8の下端が図5(C)に示すように第1カテナリー部1aに接触すると図5(D)に示すように検出棒8が第1スライダ9bに対して上向きに相対移動し、これを検出センサ10により検出し、第1スライダ9bの位置情報を読み取り、第1カテナリー部1aのカテナリー深さDを測定する(図6のステップS2)。
【0032】
次に、ステップS2の終了後、すぐに単軸ロボット9により、検出棒8を、検出棒8の下端が第1カテナリー部1aに対して接触しない状態で第2スライダ11bが第1スライダ9bに対する下向きの相対移動終端位置に復帰する図5(E)に示す待機位置まで上昇し、その待機位置に所定時間(例えば5秒)待機保持する(図6のステップS3)。
【0033】
そして、ステップS1ないしS3を繰り返し、一定時間間隔で第1カテナリー部1aのカテナリー深さDを測定するものである。
【0034】
以上、本発明の実施例としてのカテナリー測定装置7及びカテナリー測定方法によれば、酸洗槽2内の第1カテナリー部1aに対して検出棒8を連続的に接触させるのではなく、間欠的に接触させて酸洗槽2内の第1カテナリー部1aのカテナリー深さDを測定するので、第1カテナリー部1aへの接触部、即ち検出棒8の下端の摩耗を低減できると共に、鋼帯1に傷等が入りにくくできる。
また、高速で搬送される鋼帯1へ連続的に検出棒8を接触させた場合,接触部の摩耗のみならず,検出棒8の折損や装置の破損が懸念されるが、間欠的に接触させるため、そのような不具合も解消できる。
【0035】
また、検出棒8を下降し、検出棒8の下端が第1カテナリー部1aに接触すると、検出棒8が第1スライダ9bに対して上向きに相対移動し、検出棒8の第1カテナリー部1aへの接触時の衝撃を吸収するので、第1カテナリー部1aへの接触部、即ち検出棒8の下端の摩耗をさらに低減できると共に、鋼帯1に傷等がさらに入りにくくできる。
また、外乱により鋼帯1の位置が上昇側に変動した場合も検出棒8が第1スライダ9bに対して上向きに相対移動するので,検出棒8が鋼帯1により,突き上げられても衝撃を吸収することができる。
【0036】
なお、前記実施例の検出棒8は、検出棒8の下端を酸洗槽2内の第1カテナリー部1aに直接に接触(摺接)するものとしたが、それに代えて、図7に示す他の検出棒18を備えてもよい。図7に示す他の検出棒18は、検出棒18の下端にセラミック製のベアリング19を回転自在に軸支しており、検出棒18の下端をベアリング19を介して酸洗槽2内の第1カテナリー部1aにころがり接触するものである。
【符号の説明】
【0037】
1 鋼帯
1a 第1カテナリー部
1b 第2カテナリー部
1c 第3カテナリー部
2 酸洗槽
2A 第1酸洗槽
2B 第2酸洗槽
2C 第3酸洗槽
2a 入口スキッド
2b 出口スキッド
2c ダム
2d ダム
3 酸液
4 カバー
4a 開口部
5 酸洗槽入側ブライドルロール
6 酸洗槽出側ブライドルロール
7 カテナリー測定装置
8 検出棒
9 単軸ロボット
9a フレーム
9b 第1スライダ
9c コントローラ
9d カバー
10 検出センサ(近接スイッチ)
11 リニアガイドユニット
11a ガイドレール
11b 第2スライダ
11c ストッパ
12 タッププレート
13 タッププレート
14 シャフトサポート
15 シャフトサポート
16 ブラケット
17 ブラケット
18 他の検出棒
19 ベアリング
D カテナリー深さ(カテナリー量)
【要約】
【課題】鋼帯への接触部の摩耗を低減できると共に、鋼帯に傷等が入りにくくできる酸洗設備のカテナリー測定装置及びカテナリー測定方法を提供する。
【解決手段】酸洗槽2の上から第1酸洗槽2A内に延出されて上下方向に延びる検出棒8と、検出棒8の下端を前記第1酸洗槽2A内を通過する鋼帯1の第1カテナリー部1aに対して間欠的に接触させるように検出棒を昇降させる単軸ロボット9と、検出棒8の下端が第1カテナリー部1aに接触したことを検出する検出センサ10と、を備え、検出棒8の下端が第1カテナリー部1aに接触したときの単軸ロボット9の位置情報を読み取り、第1カテナリー部1aのカテナリー深さDを測定することを特徴とするカテナリー測定装置7。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7