(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記議事次第データは、少なくとも1つの議案を含み、前記議案毎に予め登録された複数の審議事項、該審議事項毎の発言予定者、前記審議事項の進行順、及び当該議事に対応するユーザ辞書情報を含み、
前記議事管理装置は、前記議事次第データに基づいて、当該議事に対応する所定のユーザ辞書と、前記審議事項の進行順に対応して選択された所定の議席端末装置から受信した音声信号をデータ処理して前記所定の識別子を付加した音声データとを、前記音声認識装置に送信するように制御することを特徴とする請求項1に記載の議会運営支援システム。
前記議事管理装置は、前記音声認識装置が前記送信された音声データをテキスト変換した議事録データに、前記所定の識別子を付加して所定の文書ファイル形式で前記記憶部に保存することを特徴とする請求項2に記載の議会運営支援システム。
前記通信回線は、有線又は無線の通信回線からなり、前記複数の議席端末装置と前記議事管理装置との間に前記複数の議席端末装置との接続を制御する端末親機又はネットワークハブを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の議会運営支援システム。
前記制御するステップは、前記受信した議事選択入力に対応する議事次第データに基づいて、所定のユーザ辞書を、前記選択された議席端末装置から受信した音声信号が変換された音声データに対応付けて前記音声認識装置に送信するステップを含むことを特徴とする請求項5に記載の議会運営支援方法。
前記制御するステップは、前記音声認識装置が前記送信された音声データを前記音声データに対応付けられた前記所定のユーザ辞書を利用してテキスト変換した議事録データに、前記所定の識別子を付加して所定の文書ファイル形式で前記記憶部に保存するステップを含むことを特徴とする請求項6に記載の議会運営支援方法。
複数の議員のそれぞれに対応する議席に設置された複数の議席端末装置を備える議会の議事運営支援システムの議事管理装置に用られるコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記複数の議席端末装置及び議場に設置された少なくとも1つのカメラを含む視聴覚機器に通信回線を介して接続された前記議事管理装置と、前記議事管理装置に有線又は無線接続された操作端末と、前記議事管理装置内に設置されるか又は前記議事管理装置に接続された音声認識装置とを備える議会運営支援システムにおいて、
前記議事管理装置が、前記操作端末から議事選択入力を受信すると、前記議事管理装置の記憶部に予め保存された議事次第データを読み出し、前記読み出された議事次第データ基づいて、前記複数の議席端末装置及び前記議場内に設置された少なくとも1つのカメラを含む視聴覚機器を制御し、前記受信した議事選択入力に対応する前記議事次第データに基づいて、前記複数の議席端末装置の中から順次に所定の前記議席端末装置を選択し、前記選択された議席端末装置から受信した音声信号を音声データに変換して前記議事次第データに基づく識別子を付加し、所定のユーザ辞書に対応付けて前記音声認識装置に送信する各手順をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【背景技術】
【0002】
近年、情報公開制度の推進に伴い、地方自治体などでは、県議会や市町村議会等における審議や採決を含む議会の進行状況を中継し、議員の発言や質疑応答の内容などを議事録として文書化し、一般の個人や企業の求めに応じて公開する業務が増加しつつある。
【0003】
議会運営処理として、例えば、議事の進行に従って、議員が発言や答弁をする場合、指名された議員の発言又は答弁を記録するために、当該議員の議席に配置されたマイクロフォンと録音機器とを接続して録音を行い、また議場内に配置された複数のビデオカメラの中から当該議員を撮影可能なビデオカメラを選択して録画を行う等の操作は、従来、それぞれの機器ごとに人手によって行われていた。そこで、これらの議場内に配置されたマイクロフォンや電子投票等に用いられる機器類を通信回線を通じて、中央管理装置から制御する議場装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
一方、議会議事録の作成においては、議会開催時に専門の書記や議事録担当者が議事の進行と同時に発言者の発言内容を手書きにより記録するか又はボイスレコーダー等の録音装置に録音し、議会終了後に録音した音声を再生して確認しながらパソコンのキーボード等を使ってタイピング入力し、ワープロソフト等で編集して議事録を作成するという手法が採用されていた。しかし、この方法では、議事録作成作業に、多大な人手と時間を要するため、大きな問題であった。
【0005】
そこで、最近では、議事録作成が容易になるように、例えば、音声データを音声認識手段を用いて文字データに変換し、変換された文字データを編集して議事録を作成する方法も提案されている(特許文献2参照)。
【0006】
しかし、議会議事を記録する議事録作成装置においては、多数の議題に対して複数の議員が、議場内に分散されたそれぞれの議席から発言を行うため、これらの発言を発言者を特定して正確に記録する必要がある。また、多様な議題を扱う議会の議事録作成では、議事次第、すなわち議事進行スケジュールに沿って操作される複数のマイクやビデオカメラから収集された音声データや画像データと、これに対応する審議事項及び発言者とを一致させて時系列的に正しく記録し、発言内容を適正な用語で正確に記載した議事録を作成する必要があり、このためには、的確でスムーズな議場内機器の操作に加えて、収録データの照合や確認に多大な人的リソース及びコストを要するという問題があった。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態による議会運営支援システムの全体構成を示す図である。
【0015】
図1に示す本実施形態による議会運営支援システム10は、多数の議員で構成される議会において、議事進行にともなう発言、答弁、採決等に関する議場内の各種設備の運営処理及び議事録作成を自動化して支援するものであり、例えば、所定の定員を有する議場Aにおいて、議事管理装置20、複数の議員のそれぞれの議席に設けられて通信回線100aを介して議事管理装置20と通信可能に接続され、入力手段として各議員の発言を集音するマイクロフォン、賛成や反対を表明するために操作される採決ボタン、及び発言を申請する発言ボタン等を備える議席端末装置(61、62、・・・、66)、議事管理装置20と議席端末装置(61、62、・・・、66)とを接続する通信回線100aの間に接続されて各議席端末装置との通信接続を制御する端末親機60、議事管理装置20に通信回線100bを介して接続された複数のカメラ(71、72)、議事管理装置20に通信回線100cを介して接続された音響機能を備える画像表示装置40、議事管理装置20に無線又は有線接続される操作端末21で構成される。なお、カメラ(71、72)は、静止画を撮影するものに限定されず、動画を撮影可能なビデオカメラ、望ましくは、追従式ビデオカメラが議場の大きさに応じて必要な台数設置される。また、画像表示装置40は、TVモニタ又はプロジェクタで構成され、端末親機60は、ネットワークハブ、より具体的にはスイッチングハブで構成され得る。
【0016】
議事管理装置20は、中央処理装置(CPU)22、入力部23、データ処理部24、通信インターフェース部25、及び記憶部26を備え、通信インターフェース部25を介して議場内の各議席端末装置(61〜66)、カメラ(71、72)、画像表示装置40、及び音声認識装置30にそれぞれ通信回線を通じて接続される。更に、議事管理装置20は、通信インターフェース部25を介してデータサーバ90に接続されてもよい。
【0017】
議事管理装置20のCPU22は、記憶部26に予め保存された制御プログラムに従って議事管理装置20の各部の動作を制御する。記憶部26には、制御プログラムと共に議場内に配備された各議席端末装置、カメラ、画像表示装置等に対する設備制御プログラム、画像撮影処理プログラム、音声処理プログラム、および議事録作成処理プログラムなどが予め保存される他に、開催される議会議事の進行に関する情報として議案、発言予定者、発言順などを含む議事次第データが予め保存される。また、記憶部26には、作業データファイルやデータサーバ90から取得された所定のデータなどの各種データファイルが保存される。なお、議事次第データの詳細は後述する。
【0018】
操作端末21は、議事管理装置20に有線又は無線接続され、議事管理装置20に対して議会の議事進行に関する各種の操作指示の入力を行うための端末であり、例えば、画像表示可能なタッチパネルを備え、タッチパネルの画面上にGUI(グラフィカルユーザインタフェース)によって、各種の選択ボタンや指示入力ボタンを表示する。なお、物理的なスイッチやボリュームつまみを備えてもよい。
【0019】
音声認識装置30は、音声認識部31、議事録作成部32、辞書部33、通信部35、及び記憶部36を備え、各議員の発言に基づく音声データをテキストデータに変換し、議事録を作成する装置であり、例えば、パーソナルコンピュータ又はワークステーションを用いることができる。この場合、音声認識装置30となるパーソナルコンピュータ又はワークステーションは、通信回線100dで議事管理装置20に接続される。なお、議事管理装置20及び音声認識装置30を含む本発明の議会運営支援システムの構成は、本実施形態に限定されるものではなく、例えば、同じコンピュータ内に議事管理装置20及び音声認識装置30の構成を含む形態で具現することも可能である。
【0020】
データサーバ90には、議会の構成員である議員の氏名、議場内における各議員の議席位置、各議席に対応するマイクやビデオカメラなどの議場設備配置情報を含む議会情報データベース、また個別議案毎に特徴的な用語、地名、人名などを含むユーザ辞書91などが保存される。なお、これらの情報データは、議事管理装置20の記憶部26に保存してもよい。
【0021】
次に、
図2〜
図4を参照して、本発明の一実施形態による議会運営支援システムで参照される議事運営に関連する各種データについて詳細に説明する。
【0022】
図2は、本発明の一実施形態による議会運営支援システムで参照される議事次第データのデータ構成例を示す図である。
図2に示すように、議事次第データは、1つの議事に対応して複数のデータ項目からなる議会の議事進行に関する情報を含むデータであり、予めユーザによって登録される。議事次第データファイルには、少なくとも1つの議事次第データが含まれる。
【0023】
図2に示す本実施形態による議事次第データファイルAは、例えば、議場Aで開催される複数の議事に対応する議事次第データ(210、220、230)を含み、データ構成表200の左端の第1列目に、議事の進行順を示す議事番号(インデックス)201が設定され、各議事番号に対して、データ項目A〜データ項目Dの組(tuple)が設定される。ここで、設定されるデータ項目の内容及び個数は任意であるが、本実施形態では、データ項目Aに「議案名」、データ項目Bに「審議事項(アジェンダ)」、データ項目Cに「発言予定者」、データ項目Dに「参照データ情報」に関するデータが登録される。議事次第データファイルは、所定日に開催される議会の審議予定に基づき、予め事務局の担当者等によって作成されて、議事管理装置20の記憶部26に保存されるか又はデータサーバ90に保存される。
【0024】
図3は、本発明の一実施形態による議会運営支援システムで参照される議会情報データベースのデータ構成例を示す図である。
図3を参照すると、例えば、議場Aに関する議会情報データベースAは、議場Aに配置された複数の議席に対応する議席情報データ(310、320、・・・、350、360)を含み、データ構成表300の左端の第1列目に、議員氏名が検索キー301として登録され、各議員氏名に対して、データ項目a〜データ項目cの組(tuple)が対応付けられてデータサーバ90に保存される。設定されるデータ項目の内容及び個数は任意であるが、本実施形態では、データ項目aに議場内の「議席位置」、データ項目bに各議席端末装置の「マイク番号」、データ項目cに当該議席位置を撮影可能な「カメラ番号」が登録される。議会情報データベースAは、議事次第データに基づき、議事管理装置20が、議場内の上述した設備を制御する際に参照される。なお、これらのデータは、変更が生じた場合には適宜更新される。
【0025】
図4は、本発明の一実施形態による議会運営支援システムで操作端末に表示される簡易操作メニューに対応付けられた簡易操作メニューファイルのデータ構成例を示す図である。
図4に示すように、簡易操作メニューファイルは、議事次第データに基づく議事進行に伴う議場内の設備の操作に必要な情報データファイルであり、
図4のデータ構成表に示すように、操作端末21に表示される議事選択メニュー(ボタン)401のそれぞれに、議事次第データファイル、議会情報データベース、及びユーザ辞書に関する情報が対応付けられており、議事管理装置20が、操作端末21からの議事選択入力に基づき議場内の各議席端末装置やカメラ等の設備を制御するために使用される。簡易操作メニューファイルは、ユーザによって議事次第データファイルが登録されると、議事管理装置20の記憶部26に具備された簡易操作メニュー生成プログラムよって、自動生成される。
【0026】
以下、本実施形態による議会運営支援システムの各構成要素の動作を説明する。
【0027】
本実施形態による議会運営支援システムにおいて、操作端末21の初期画面に表示された起動ボタン(図示せず)が押されると、議事管理装置20は、予め記憶部26又はデータサーバ90に保存された議事次第データファイルを読み出して、操作端末21の画面に議事選択メニュー(ボタン)が表示されるように制御する。そして、操作端末21から議事選択入力を受信すると、議事管理装置20は、議事選択入力に対応した議事番号(インデックス)の議事次第データが保存された議事次第データファイルから選択し、選択入力に対応した議会情報データベースを参照して、議席端末装置(61、62、・・・、66)の中の所定の議席端末装置から音声信号を取得するように制御する。
【0028】
例えば、操作端末21から、
図4に示す簡易操作メニューファイルの「議事選択メニュー(ボタン)A1」が入力されると、議事管理装置20は、これに対応する
図2に示す「議事次第データファイルA」の議事番号(インデックス)A1の議事次第データを選択し、
図3に示す議場Aの議会情報データベースを参照して、最初に議席端末装置61のマイクロフォンを、通信回線100aを介して接続するように通信インターフェース部25及び端末親機60を制御する。接続された議席端末装置61のマイクロフォンで集音された音声信号は、議事管理装置20のデータ処理部24に入力される。データ処理部24は、受信した音声信号を音声データに変換する。以後の発言者についても同様の動作を行うが詳細は後述する。
【0029】
議事管理装置20は、選択された議事次第データに基づいて、カメラを制御する。例えば、上述の議事番号(インデックス)A1の議事次第データが選択されて、議席端末装置61のマイクロフォンが議事管理装置20に接続される際、これに同期して議席端末装置61に対応する議席付近を撮影可能な追従式ビデオカメラA71を作動させて発言者を撮影するように制御する。
【0030】
議事管理装置20は、選択された議事次第データに基づいて、取得した所定の議席端末装置に対応する音声データ及び追従式ビデオカメラで撮影された画像データを記憶部26に保存する。記憶部26は、例えば、ハードディスクや大容量のメモリ等からなり、記憶部26の内部には、議事次第データに基づいて選択された所定の発言予定者に対応する議席端末装置ごとに、例えば、議席端末装置61、議席端末装置62、及び議席端末装置66に対応する第1〜第3フォルダ(26a〜26c)が設けられ、また、議事進行に沿って全ての音声データ及び画像データが配列された議事進行データファイルを保存する第4フォルダ26dが設けられる。なお、各議席端末装置に対応するデータフォルダは、議事次第データに基づく発言者数に応じて自由に増減することができる。なお、これらのデータフォルダは、同じ構成でデータサーバ90内に保存してもよい。
【0031】
図5は、本実施形態による議事管理装置で作成される議事進行データファイルのデータ構成例を示す図である。
【0032】
議事管理装置20は、記憶部26に議事進行データに基づいて取得した各発言予定者に対応する音声データ及び画像データを保存する際に、所定のルールに従って、それぞれの音声データ及び画像データに議事ヘッダを付与する。例えば、2016年1月22日に開催され、
図2に示す議事次第データファイルAの中の議事番号A1の議案審議において、最初の発言として議席端末装置61から受信した音声データのファイル「AU01221」を第1フォルダ26aに保存する場合、開催日を表す数字「160122」と、その発言が議場Aの議事次第の中のいずれの審議項目であるかを識別する識別番号「A1a」と、議席端末装置61から受信した音声データであることを表す番号「61」と、が連結されて、
図5のデータ構成表500に示す「160122−A1a−61」という議事ヘッダが第1識別子として付与され、末尾に音声データ及び画像データが時間的に対応していることを示す第2識別子(時系列識別子)として、例えば「AM101025」が付与される。
【0033】
また、議事ヘッダは、議席端末装置62から受信した音声データ「AU01222」及び画像データ「MV01222」を第2フォルダ26bに保存する際にも同様に付与される。このように、音声データと画像データとに第1及び第2識別子として議事ヘッダ及び時系列識別子が付加されることにより、両データは関連付けられて保存される。
【0034】
議事管理装置20は、記憶部26の第1〜第3フォルダ(26a〜26c)に保存された音声データ及び画像データから、全ての音声データ及び画像データが発言順に並べられた議事進行データファイルAを作成する。議事進行データファイルAは、例えば、発言中の議員の動画に合わせて、発言された音声が出力されるように合成された動画データを作成する際にも利用され、第4フォルダ25dに保存される。
【0035】
議事次第データに基づき作成された議事進行データファイルAは、音声認識装置30の音声認識部31に通信部35を介して伝送される。
【0036】
音声認識装置30の音声認識部31は、議事進行データファイルAの各議事ヘッダ毎に対応する音声データをテキストデータに変換する。音声認識部31は、例えば、周知の音声認識技術を用いるもので、多数の「音響モデル」と「辞書部」とを備えている。音響モデルには、人間の発声の小さな単位(音素)の音響特徴が記録されており、辞書部には音声認識させる一般的な「言葉」が記録されている。音声認識部31は、入力された音声データを分析して音響特徴を抽出し、辞書部に記録されている言葉の中から、言葉の音響特徴が入力音声の音響特徴に最も近い言葉を探して、テキストデータ形式の音声認識結果を出力する。
【0037】
図6は、本実施形態による音声認識装置で作成される議事録データファイルのデータ構成例を示す図である。
【0038】
音声認識装置30は、音声認識部31によって作成された各議事ヘッダに対応するテキストデータを記憶部36に議事録データファイルAとして保存する。音声認識装置30は、各議事ヘッダに対応するテキストデータを記憶部36に議事録データファイルAとして保存する際に、
図6に示すデータ構成表600のように、変換元の音声データに対応する第1及び第2識別子として議事ヘッダ及び時系列識別子を付与する。これにより、それぞれのテキストデータが、どの議案の誰による発言であるかを議事進行の前後関係を含めて特定することができる。
【0039】
図7は、本実施形態による音声認識装置で作成される議事録の構成例を示す図である。
【0040】
議事録作成部32は、記憶部36に保存された議事録データファイル600を読み込んで、予め設定された書式に従って、議事録形式の出力ファイルを自動生成する。すなわち、各テキストデータに付与された議事ヘッダ及び時系列識別子に基づいて、
図7に示すような形態の議事録を自動生成する。なお、議事録データのファイル形式は、特定の文書プログラムで取り扱われるファイル形式や電子書類形式で作成してもよいし、HTML言語を使用してインターネットのホームページ用ブラウザで閲覧できる形式で作成してもよい。議事録形式の出力ファイルは、議事管理装置20の記憶部26又はデータサーバ90に送信されて保存される。
【0041】
以下、本発明の一実施形態による議会運営支援方法を
図8を参照して詳細に説明する。
【0042】
図8は、本発明の一実施形態による議会運営支援方法を説明するフローチャートである。
【0043】
本実施形態による議会運営支援方法は、議会運営支援システムにおいて、操作端末21から起動入力が議事管理装置20に送信されると(ステップS100)、議事管理装置20は、予め記憶部26に保存された議事次第データファイル、例えば、
図2に示す「議事次第データファイルA」を読み出して、操作端末21の画面(図示せず)に
図4に示すような簡易操作メニューファイルの「議事選択メニュー(ボタン)」が表示されるように制御する(ステップS200)。議事進行操作端末21は、画面に表示された複数の議事選択メニュー(ボタン)の中から、審議を開始する議事を指定する選択ボタン(タッチパネルの場合、表示画面の該当箇所)が押される、即ち、入力されると、当該選択入力を議事管理装置20に送信する(ステップS110)。
【0044】
議事管理装置20は、選択入力を受信すると、受信した選択入力に対応する議事番号の議事次第データ、例えば、
図4に示す簡易操作メニューファイルの「議事選択メニュー(ボタン)A1」が入力されると、これに対応する
図2の議事番号(インデックス)A1の議事次第データを選択する(ステップS210)、そして、選択された議事次第データに基づいて、議事番号(インデックス)に対応付けられた議会情報データベース及び辞書データベースを参照して、議案順に議席端末装置やカメラ等の設備を制御する(ステップS220)。
【0045】
例えば、議事管理装置20は、議事番号(インデックス)A1の議事次第データに基づき、最初の発言者として、議席端末装置61に設置されているマイクロフォンを通信回線100aに接続するように端末親機60を介して制御し、同議席に着席している議員、例えば、「阿部 信一」の発言がマイクロフォンで音声信号に変換されて送信される。議事管理装置20は、議席端末装置61から通信インターフェース部25を介して受信した音声信号をデータ処理部24でデジタル音声データに変換して記憶部26に保存する(ステップS230)。
【0046】
また、議事管理装置20は、議席端末装置61からの音声信号入力に応答して、カメラA71を制御し、議席端末装置61が配置された議席付近を撮影範囲とするカメラAを作動させ、発言議員「阿部 信一」の姿を撮影する。撮影によって生成された画像データは、通信回線100bを通じて送信され、議事管理装置20は、通信インターフェース部25を介して受信した画像データを音声データに対応付けて記憶部26に保存するように制御する(ステップS230)。
【0047】
なお、議事管理装置20は、音響再生機能を備える画像表示装置40に、受信した画像信号及び音声信号を送信して、議場内の参加者及び傍聴者に発言者の発言が視聴できるように制御する。
【0048】
データ処理部24は、入力された音声信号を逐次デジタル変換して音声データに変換する。議事管理装置20は、音声量が所定レベル以下に下がった時点でその発言が終了したものと判断し(ステップS240)、議席端末装置61のマイクロフォンを通信回線100aにから切り離し、当該審議項目毎の音声データファイルを作成する。すなわち、議事管理装置20は、
図5に示すように、音声データと画像データとに対して、会議の開催日時「160122」、審議順「A1a」、及び議席端末装置61を識別する共通の第1及び第2識別子として議事ヘッダ及び時系列識別子を付与して、記憶部26の第1フォルダ26aに保存する(ステップS260)。
【0049】
なお、発言終了の判断は、運営担当者又は議長が操作端末21から終了を指示するボタン(図示せず)を押す、すなわち入力することで、議席端末装置61のマイクロフォンと通信回線100aとの接続解除を実行してもよい。この場合においても、議事管理装置20は、発言終了の判断を受けて、当該審議項目毎の音声データファイルを生成するステップ260を実行する。
【0050】
以上のように、予め議事次第データに登録された各議員の発言は、それぞれの議席端末装置(61、62、66)のマイクロフォンに入力されて、対応するフォルダ(26a〜26c)内に保存されるため、全ての発言を個別に記録することができる。また、発言の入力に使用されるマイクロフォン及び追従式ビデオカメラから送信される音声データ及び画像データに第1及び第2識別子として同じ議事ヘッダ及び時系列識別子を付与することで、これらのデータを対応付けて保存するため、音声データと画像データとに齟齬をきたすことはない。
【0051】
一方、議事次第データに登録されていない議員から、発言が要求されると(ステップS145)、議事管理装置20は、操作端末に設けられた採否ボタン(図示せず)による判断結果(ステップS250)に基づき、発言の許可又は不許可を決定する。不許可の場合は、要求のあった議席端末装置と通信回線100aとの接続を拒否する(ステップS155)。許可の場合は、ステップS220と同様に、当該議席端末装置を通信回線100aに接続するように制御して、要求のあった議席端末装置に対応するマイクロフォン及び追従式ビデオカメラを手動で操作して、受信した音声データと画像データとに対して第1及び第2識別子として議事ヘッダ及び時系列識別子を付与して記憶部26に対応するフォルダを追加して保存する。また、当該発言終了後は、議事次第データに基づき、割り込み前の審議段階に戻るように制御する。
【0052】
議事管理装置20のデータ処理部24は、第1〜第3フォルダ(26a〜26c)に保存されている音声データ及び画像データから全体の議事進行データファイルAを作成し、これを第4フォルダ26dに保存するとともに、音声認識装置30に送信する。
【0053】
音声認識装置30の音声認識部31は、議事進行データファイルAの音声データ部分に音声認識処理を施してテキストデータを作成する(ステップS360)。更に、議事録作成部32は、テキストデータから予め設定された書式で
図6に示すような議事録データファイルAを作成し、第5フォルダ25eに保存するか又はデータサーバ90に送信する(ステップS370)。
【0054】
これらの議事進行データファイルA及び議事録データファイルAは、各議員によって発言が行なわれるたびに更新される。このように、各議員の発言から自動的に議事録が作成されるので、会議中及び会議終了後の議事録作成にかかる負担を軽減することができる。
【0055】
議事管理装置20の記憶部26内の各フォルダ(26a〜26e)に保存された音声データ、画像データ、議事進行データファイル、及び議事録データは、議事管理装置20の入力部23又は通信インターフェース部25を介して接続された別個のパーソナルコンピュータ等により、審議中であっても読み出すことができる。また、議会終了後には、各種データをDVD−R、BD−R等の大容量記憶メディアに記録したり、印刷したりする等して保管することができる。このように、審議中又は議会終了後に発生したデータを簡単に利用することができる。
【0056】
次に、
図8を参照して、本発明の一実施形態による議会運営支援方法における議事録作成段階について詳細に説明する。
【0057】
図8で、議事選択入力を受信すると(ステップS200)、議事管理装置20は、記憶部26から読み出された議事次第データに基づき、審議される議事に最も適合するユーザ辞書91をデータサーバ90内から選択して取得する(ステップS310)。例えば、操作端末21から、
図4に示す簡易操作メニューファイルの「議事選択メニュー(ボタン)A1」が入力されると、議事管理装置20は、これに対応する
図2に示す「議事次第データファイルA」の議事番号(インデックス)「A1」の議事次第データを選択し、また参照先の辞書データベースとして「ユーザ辞書D1」の指定に基づき、データサーバ90のユーザ辞書91から「ユーザ辞書D1」を選択して取得する。当該議事管理装置20が取得した「ユーザ辞書D1」には、選択された議事の審議項目に合致した専門用語や、当該議事の出席者の氏名をはじめとする固有名詞などが格納されている。
【0058】
議事管理装置20は、取得された「ユーザ辞書D1」を、音声認識装置30に送信し、音声認識装置30は、受信したユーザ辞書を音声認識部31が使用する辞書部33に追加設定し、これにより対象議事の音声データをテキスト変換する際に利用可能とする(ステップS360)。なお、議事管理装置20は、音声認識装置30に、議事番号「A1」に最も適合する「ユーザ辞書D1」を直接送信せず、当該ユーザ辞書の保存先情報のみを指示してもよい。
【0059】
音声認識装置30の辞書部33に審議される議事に最も適合するユーザ辞書91が追加設定されると、音声認識部31は、辞書部33の当初から保存された辞書とユーザ辞書91とを利用してテキスト変換処理を実行する。したがって、議事録作成の対象として選択された議事に適合したユーザ辞書91を参照することから、変換処理における変換精度が高くなる。このため、音声認識部31におけるテキスト変換を高速かつ正確に行うことが可能になる。
【0060】
その後、議事管理装置20は、当該議事終了の入力を受信すると(ステップS270)、音声認識装置30で変換されたテキストデータを記憶部26又はデータサーバ90に保存し、追加設定されたユーザ辞書をリセットするように制御して、以後、次の議事選択入力に基づいて、同様のステップを実行する。
【0061】
上述した議会運営支援方法は、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)、などのレガシープログラミング言語やオブジェクト指向プログラミング言語などで記述されたコンピュータ実行可能なプログラムにより具現でき、ROM、EEPROM、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM、CD−RW、DVD、SDカード、MOなどの装置可読な記録媒体に格納して頒布することができる。
【0062】
以上、本発明の議会運営支援システムによれば、議会が開催される議場に配備された各設備の操作を予め登録された議事次第データに基づいて自動化できるため、運営に必要な人的リソースが効率化できる。
また、予め登録された議事次第データに基づく議案に対応した最適なユーザ辞書が選択されて音声認識に利用されるため、発言者の誤認やテキスト変換時の誤変換が減少し、自動作成された議事録の校正及び確認作業が軽減され、より精確な議事録を短時間で作成することができる。
【0063】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【解決手段】本発明による議会運営支援システムは、複数の議員のそれぞれに対応して設置された音声入力手段を含む複数の議席端末装置及び議場に設置されたカメラに通信回線を介して接続された議事管理装置と、議事管理装置に接続された操作端末と、議事管理装置に接続された音声認識装置と、を備え、議事管理装置は、議席端末装置から送信された音声信号及びカメラから送信された画像信号を受信してデータ処理を行い、操作端末から受信した議事選択入力に対応する予め議事毎に登録された議事次第データに基づいて、複数の議席端末装置の中から順次に選択された議席端末装置から受信した音声信号を音声データに変換し、議事次第データに基づく識別子を付加して音声認識装置に送信するように制御する。