(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6091696
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】針引込み装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20170227BHJP
A61M 5/158 20060101ALI20170227BHJP
A61M 25/06 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
A61M5/32 510M
A61M5/32 510H
A61M5/158 500Z
A61M25/06 512
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-500113(P2016-500113)
(86)(22)【出願日】2013年11月27日
(65)【公表番号】特表2016-510626(P2016-510626A)
(43)【公表日】2016年4月11日
(86)【国際出願番号】US2013072222
(87)【国際公開番号】WO2014143220
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2016年11月18日
(31)【優先権主張番号】13/841,462
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501383727
【氏名又は名称】リトラクタブル テクノロジーズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】RETRACTABLE TECHNOLOGIES,INC.
(73)【特許権者】
【識別番号】508328486
【氏名又は名称】ショー,トーマス ジェイ.
【氏名又は名称原語表記】SHAW,Thomas J.
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】特許業務法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ショー,トーマス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】スモール,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ジュウ,ニ
【審査官】
寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】
特表2016−503675(JP,A)
【文献】
特表2011−522671(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0317999(US,A1)
【文献】
米国特許第5573510(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/32
A61M 5/158
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に突出する針を有する本体と、
前記本体内に設置されており、前記本体に対して前記針を後方に付勢する針引込み機構と、
前記本体に取り付けられており、前記本体から離れるように突出する針引込みキャビティと繋がる開口を有するスライド部材と、
前記スライド部材に対して回転可能であって、針引込みを妨げる第1位置から、針引込みを許す第2位置へと前記スライド部材を再配置するアクチュエータと、
を備えており、
前記針引込み機構は、前記本体内に設置された針ホルダを備えており、
前記スライド部材は、横方向に離間した2つの開口を備えており、前記本体に対して前記スライド部材を再配置することで、各開口は、異なる時に、前記針ホルダと同軸状に揃えられる、針引込み装置。
【請求項2】
前方に突出する針を有する本体と、
前記本体内に設置されており、前記本体に対して前記針を後方に付勢する針引込み機構と、
前記本体に取り付けられており、前記本体から離れるように突出する針引込みキャビティと繋がる開口を有するスライド部材と、
前記スライド部材に対して回転可能であって、針引込みを妨げる第1位置から、針引込みを許す第2位置へと前記スライド部材を再配置するアクチュエータと、
を備えており、
前記スライド部材の第1開口は、フラッシュチャンバと繋がっている、針引込み装置。
【請求項3】
前方に突出する針を有する本体と、
前記本体内に設置されており、前記本体に対して前記針を後方に付勢する針引込み機構と、
前記本体に取り付けられており、前記本体から離れるように突出する針引込みキャビティと繋がる開口を有するスライド部材と、
前記スライド部材に対して回転可能であって、針引込みを妨げる第1位置から、針引込みを許す第2位置へと前記スライド部材を再配置するアクチュエータと、
を備えており、
前記スライド部材の第1開口は、フラッシュチャンバと繋がっており、
前記スライド部材の第2開口は、前記針引込みキャビティと繋がっている、針引込み装置。
【請求項4】
前記針引込み管は、前記第2開口を通って受け入れる閉端部を伴う細長い部分を有する、請求項3に記載の針引込み装置。
【請求項5】
前方に突出する針を有する本体と、
前記本体内に設置されており、前記本体に対して前記針を後方に付勢する針引込み機構と、
前記本体に取り付けられており、前記本体から離れるように突出する針引込みキャビティと繋がる開口を有するスライド部材と、
前記スライド部材に対して回転可能であって、針引込みを妨げる第1位置から、針引込みを許す第2位置へと前記スライド部材を再配置するアクチュエータと、
を備えており、
前記アクチュエータは、針引込み管である、針引込み装置。
【請求項6】
前方に突出する針を有する本体と、
前記本体内に設置されており、前記本体に対して前記針を後方に付勢する針引込み機構と、
前記本体に取り付けられており、前記本体から離れるように突出する針引込みキャビティと繋がる開口を有するスライド部材と、
前記スライド部材に対して回転可能であって、針引込みを妨げる第1位置から、針引込みを許す第2位置へと前記スライド部材を再配置するアクチュエータと、
を備えており、
前記アクチュエータは、針引込み管であり、
前記針引込み管は、前記本体にある位置決めノッチと係合する、突出したラグを備えている、針引込み装置。
【請求項7】
前方に突出する針を有する本体と、
前記本体内に設置されており、前記本体に対して前記針を後方に付勢する針引込み機構と、
前記本体に取り付けられており、前記本体から離れるように突出する針引込みキャビティと繋がる開口を有するスライド部材と、
前記スライド部材に対して回転可能であって、針引込みを妨げる第1位置から、針引込みを許す第2位置へと前記スライド部材を再配置するアクチュエータと、
を備えており、
前記アクチュエータは、針引込み管であり、
前記針引込み管は、前記本体にある位置決めノッチと係合する、突出したラグを備えており、
前記針引込み管の回転により、前記本体に対して前記スライド部材が再配置される、針引込み装置。
【請求項8】
前方に突出する針を有する本体と、
前記本体内に設置されており、前記本体に対して前記針を後方に付勢する針引込み機構と、
前記本体に取り付けられており、前記本体から離れるように突出する針引込みキャビティと繋がる開口を有するスライド部材と、
前記スライド部材に対して回転可能であって、針引込みを妨げる第1位置から、針引込みを許す第2位置へと前記スライド部材を再配置するアクチュエータと、
を備えており、
前記スライド部材の第1開口は、フラッシュチャンバと繋がっており、
前記フラッシュチャンバは、前記スライド部材の第1開口に対向するように配置された閉端部を有する、針引込み装置。
【請求項9】
前方に突出する針を有する本体と、
前記本体内に設置されており、前記本体に対して前記針を後方に付勢する針引込み機構と、
前記本体に取り付けられており、前記本体から離れるように突出する針引込みキャビティと繋がる開口を有するスライド部材と、
前記スライド部材に対して回転可能であって、針引込みを妨げる第1位置から、針引込みを許す第2位置へと前記スライド部材を再配置するアクチュエータと、
を備えており、
前記スライド部材の第1開口は、フラッシュチャンバと繋がっており、
前記フラッシュチャンバは、前記スライド部材の第1開口に対向するように配置された閉端部を有しており、
前記閉端部は、弾性プラグを備えている、針引込み装置。
【請求項10】
前方に突出する針を有する本体と、
前記本体内に設置されており、前記本体に対して前記針を後方に付勢する針引込み機構と、
前記本体に取り付けられており、前記本体から離れるように突出する針引込みキャビティと繋がる開口を有するスライド部材と、
前記スライド部材に対して回転可能であって、針引込みを妨げる第1位置から、針引込みを許す第2位置へと前記スライド部材を再配置するアクチュエータと、
を備えており、
前記スライド部材の第1開口は、フラッシュチャンバと繋がっており、
前記フラッシュチャンバは、前記スライド部材の第1開口に対向するように配置された閉端部を有しており、
前記閉端部は、弾性プラグを備えており、
前記弾性プラグが、カニューレによって貫通されることで、前記フラッシュチャンバの閉端部を通る流体流路が確立される、針引込み装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2012年12月14日に出願された米国仮特許出願第61/737,263号の利益を主張する。本願はまた、2010年7月29日出願の米国特許出願第12/846,402号の一部継続出願である。出願第12/846,402号は、ラグと接触し、回転可能なラグリングによって画定された円弧に沿ってラグを移動させるトリガ又は作動装置を開示している。成形されているアパーチャは、その移動によって、針ホルダにおける対応する形状のフランジと揃えられて、針引込みが容易になる。
【0002】
[発明の分野]
本発明は、医療デバイス用の安全な針引込み装置に関しており、より詳細には、静脈注射又はその他の生物医学的用途のカテーテルイントロデューサの一部である、或いは、その他の流体注入又は収集処置に有用である別の装置の一部として用いられる、新しい安全な針引込み装置に関している。
【0003】
本発明のある態様は、回転して作動する針引込み装置を有するIVカテーテルイントロデューサに関している。本発明の別の態様は、ガラス製又はプラスチック製である流体注入又は収集デバイス用の針引込み装置に関しており、当該装置は、本体と、針引込み機構と、前向きであって後方に付勢された針とを有する。
【0004】
本発明の別の態様は、引込み式針装置であって、装置の前面に取付け可能な従来のカテーテルハブやカニューレとともに用いられるように構成されている。
【0005】
本発明の別の態様は、フラッシュチャンバと、ほぼ並行且つ横方向に離間した針引込み管とを有するリア摺動アセンブリに関する。リア摺動アセンブリは、流体の収集又は注入の後で、針引込みを開始するために針引込み管が本体に対して回転すると、本体に対して横に移動するように構成されている。
【0006】
本発明の別の態様は、医療デバイスにおいて針を引込む方法に関している。この方法によると、針引込み管が回転することにより、後方に付勢された針と同軸状に揃うように針引込み管が横方向に再配置されて、針引込み管内への針の引込みが容易になる。
【背景技術】
【0007】
米国特許出願公開第2006/0155244号(Popov)は、針の引込み後にポートユニットを回転させる静脈穿刺デバイスを開示している。針引込みチャンバは、医療デバイスの内部に配置されており、そして、引込みチャンバが不動のまま、ポートユニットは、針の引込み後に引込みチャンバに対して回転移動する。開示されている前部アタッチメントは、一般的なルアーロックシリンジに用いることはできない。
【0008】
近年、医療安全技術において多くの発展がもたらされてきたが、本明細書に記載されるIV−カテーテルイントロデューサのような、他の市販の流体収集又は注入デバイスと組み合わせて使用できる引込み式針装置が必要とされている。そのようなデバイスは、望ましくは流体の流路の外部に針引込みチャンバを有しており、充分な引込み力を有する引込み式針の利点を提供するであろう。
【発明の概要】
【0009】
開示される針引込み装置は、本体と、本体後部に取付け可能なスライド部材と、本体内に設置された針引込み機構と、本体とスライド部材の間に設置された流体シールと、本体から前方に突出する医療グレードステンレス鋼(又は認可された同等物)の針とを備えている。本発明の一実施形態では、本体は、中央に配置された段付きの(stepped)軸方向のボアと、横方向に突出したつかみ面と、従来のカテーテルハブ及びカニューレが着脱可能に取付けできる、前方に突出するノーズとを有する。
【0010】
本発明のある実施形態によれば、スライド部材は前向き面を備えており、当該前向き面はハウジングの後部に接触し、針引込み中、ハウジングの後部に対して横方向に摺動して移動するように構成されている。ある実施形態では、本体の後部は、上側トラック及び下側トラックを備えている。上側トラック及び下側トラックは、スライド部材の主たる横部分に摺動可能に係合している。スライド部材は、横方向に離間する2つの開口を更に備えているのが望ましい。そのうちの一方は、前向き面の背後において後方に突出するフラッシュチャンバへの開口として機能し、他方は、フラッシュチャンバと略平行であるが、フラッシュチャンバから横方向に離間しており、後方に突出した針引込み管への開口として機能する。
【0011】
フラッシュチャンバは、当初は、針ホルダと揃えられているのが望ましく、装置を使用する医療関係者が、挿入中にて血管へのアクセスが達せられたか否かを容易に決定できるように、透明又は半透明であるのが好ましい。フラッシュチャンバを通した流体の注入又は収集を容易にするため、高分子プラグ又は別の適切な装置がフラッシュチャンバの後部に取り付けられるのが望ましい。プラグは貫通可能であるか、連続的なボアを設けられてよく、これにより他の流体収集又は注入装置との連結がされやすくなる。
【0012】
針引込み管は、スライド部材によって支持されているのが望ましいが、スライド部材に対して回転可能であって、これにより、針引込みプロセス中にて、針引込み管の横方向への再配置が容易になる。本発明のある実施態様では、針引込み管は、開いた前端部と閉じた後端部とを有し、開いた端部の周りに環状フランジを備えるのが望ましい。環状フランジは、好ましくは前方に突出するラグを備えている。組立て中、前方に突出するラグは、協働するように位置決めされた、本体の位置決めノッチの中に受け入れられる。針引込み管が回転して針引込みが開始すると、前方に突出したラグが、針引込み管の長手方向軸回りで円弧状に移動し、本体の再配置ノッチの側面に係合する。これにより、スライド部材が本体に対して横方向に移動し、針引込み管が針ホルダ及び針とほぼ同軸状に揃えられる。
【0013】
本発明のある実施態様では、針引込み機構は、細長い針ホルダを備えている。針ホルダは、本体の軸方向ボア内に受け入れられて、本体内にある、圧縮された引込みバネを捕らえる。針ホルダと針を後方に付勢するために、同様の効果を奏するその他の手段を用いてもよい。針ホルダは、針引込み前、面しており隣接しているスライド部材によってハウジング内に拘束されているのが望ましい。また、流体シールは、針ホルダの後向きの頭部と、フラッシュチャンバに通じる開口にある前向きの環状の凹みとの間に位置するのが望ましい。
【0014】
本発明の針引込み装置は、カテーテルハブとは別に、又は、カテーテルハブと組み合わせて提供されてよいが、カテーテルハブが既に本体に取付けられている状態で提供されるのが望ましい。本発明の良好な使用方法では、まず、針及びカテーテルハブの前から保護キャップ(図示せず)が取り除かれる。そして、針引込み管における前方に突出するラグが、フラッシュチャンバが針ホルダ及び針とほぼ同軸状に揃えられた状態で、針が患者に挿入される。フラッシュチャンバ内に血液が現れたら、血管への挿入が成功したということである。針引込み管を本体に対して回転させ、針ホルダと同軸状に針引込み管を再配置することにより、カニューレから装置へと針を引込むことができる。同軸状に揃えられる点に至ると、後方に付勢された針ホルダは、針引込み管内の引込みキャビティへと後方に、進む。この時点で、カテーテルハブは、例えばIVセットのような他の装置と連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の針引込み装置は、以下の図面に関して更に記載且つ説明される。
【
図1】
図1は、本発明の装置の一実施形態の上面図であり、針は、装置の針ハブより前方に突出しており、装置のフラッシュチャンバ管と同軸状に揃えられている。
【
図3】
図3は、
図1の線3−3に沿って破断した横断面図である。
【
図5】
図5は、針引込み後において、針引込み管が針ハブと同軸状に再配置された状態における、
図1の実施形態の横断的上面図である。
【
図7】
図7は、
図1の実施形態の横断面図であり、針ホルダと、針引込みキャビティに引き込まれた針及び引込みバネの少なくとも一部とを示している。
【
図9】
図9は、
図1の装置の背面図であり、針引込み管が充分に回転しており、リア摺動アセンブリは、針ホルダと同軸状に揃うように針引込み管を再配置し始めている。
【
図10】
図10は、
図1の装置の背面図であり、針引込み管が充分に回転しており、リア摺動アセンブリは、針ホルダと同軸状に揃うように針引込み管を再配置し始めている。
【
図11】
図11は、
図1の装置の背面図であり、針引込み管は、引込み位置に完全に再配置されている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1乃至
図4は、本発明の針引込み装置を備えるIVカテーテルイントロデューサ30を開示している。IVカテーテルイントロデューサは更に、本体34と、先端94が斜めになっており、前方に突出している針78(
図4)と、針引込み機構36と、スライド部材38と、針引込み管42とを備えている。
図1乃至
図4を参照すると、カテーテルハブアセンブリ32は、従来のIVカテーテルハブであって、本体34に着脱可能に取り付けでき、前向きの可撓性シース又はカニューレ44を含んでいる。それらを通して針78が挿入されることで、血管への挿入が容易になっている。針引込み機構36は、本体34の内部に設置されており、スライド部材38(
図4)によって所定の位置に保持されている。組立て中、針引込み管42は、スライド部材38に挿入されて、本体34の後部に摺動可能に係合する。本発明の針引込み装置は、引込み式針と回転作動式針の引込み装置とが必要とされているその他の医療デバイスでの使用に容易に適用できることは、当業者が本明細書を読めば理解できるであろう。
【0017】
図示されているように、カテーテルハブ32は、ハブノーズ46を更に備えている。ハブノーズ46は、略円筒形状のバレル48から前方に突出している。略円筒形状のバレル48は、環状の取付カラー50に囲まれた後部開口を有している。環状の取付カラー50は、対向しているラグ52及びラグ54を備えている。環状の取付カラー50及びバレル48の内側は、望ましくは、テーパー状にされた雌ルアー面を有しており、当該雌ルアー面は、本体34における前方に突出する雄ルアー先端部56と摩擦係合して、流体を密封するように構成されている。
【0018】
本体34は、段付きの内面(
図3)と外側のつかみ面58とを有している。つかみ面58は、血管挿入中にて、臨床医がたやすくつかむことができるように構成されているのが望ましい。本体34の後部は、横方向に延びる上部トラック60及び下部トラック62を備えているのが好ましい。上部トラック60及び下部トラック62は、スライド部材38の前向きのフレーム80と摺動可能に係合し、スライド部材38の前向きのフレーム80を本体34に極めて近接して保持するように構成されているのが望ましい。デバイスの作動について以下で詳述されているように、本体34の後部には、位置決めノッチ64が供されるのが望ましく、これによって、針引込み管42における前方に突出するラグ102との係合が容易にされる。
【0019】
針引込み機構36は、針ホルダ70とバネ76(例示用のスペースを節約するため、
図4には、
図7のように緩んだ状態のものではなく、圧縮された状態で描かれている)とを備えており、本体34における段付きで円筒形状である内部に配置されるのが望ましい。針ホルダ70は、図示されているように、細長い円筒形状のシャフト72と、より直径が大きい頭部74とを有する。シャフト72が巻きバネの中を通って挿入されるように、シャフト72の外径は、巻バネ76の内径よりも僅かに小さいのが望ましい。連続する軸線方向のボア92は、シャフト72と頭部74を通って延びているのが望ましい。頭部74の外径は、シャフト72の外径よりも充分に大きいのが望ましく、前向きの環状面がシャフト72の後端部に設けられる。バネ76が圧縮されて本体34の内部に取付けられると、その環状面にバネ76の後部が接触する。針ホルダ70の頭部74における後向きの端部は、僅かな凹みを含んでよい。これによって、流体シール68が着座しやすくなるが、以下に述べるように、流体シール68は、針引込み中にて、スライド部材38によって運ばれるのが望ましい。圧縮されたバネ76は、本体34に対して針ホルダ70を後方に付勢する。スライド部材38が本体34に取り付けられている場合、針ホルダ70は、バネ付勢に抗じて、本体34内にて、スライド部材38の近くに保持される。バネ76は、針ホルダを本体34に対し後方に付勢するために用いるのに充分なものであるが、同様の効果を持つ他の構造を用いることもできる。本発明の針引込み装置の組立て中、後方に向かう針78の鈍端(
図4)は、望ましくは、針ホルダ70のボア92へと前方より挿入され、接着のような公知の適切な任意の手段によって、針ホルダ70に固定されるように取付けられる。
【0020】
スライド部材38は、フレーム80と、後方に突出しており、略円筒形状である流体フラッシュチャンバ110とを備えているのが望ましい。流体フラッシュチャンバは内部空間を有しており、流体は、患者から針78、針ホルダ70及び開口90を通って当該内部空間へと流入できる。フラッシュチャンバ110における後向き開口には、弾性プラグ40が嵌められるのが望ましい。スライド部材38における前向きの部分は、第1円形開口及び第2円形開口とを備えており、第1円形開口は開口90を含み、第2円形開口は開口86を含んでいるのが好ましい。開口90は、前向きの面84における環状の凹み88の後側に設けられている。環状の凹み88は、流体シール68を着座させるために設けられている。流体シール68は、好ましくは、針ホルダ70の頭部74と、スライド部材38との間に位置する弾性Oリングであって、使用中及び針引込みの前に流体が漏出するのを防ぐ。開口86は、窪み面部82に設けられており、針引込み管42とスライド部材38の組立てを容易にする。
【0021】
針引込み管42は、望ましくは第1管状部104と第2管状部108を備えており、第1管状部104は、径方向に突出している環状カラー100に囲まれた、前向きの開放端部98を有し、第2管状部108は、本体34から離れるように突出している閉端部106を有している。針引込み管42における略円柱状の内部空間は、引込みキャビティとなる。望ましくは複数のリブ(又は、同様の効果を持つ表面の模様付け)が部分108の周りに設けられて、これにより、本体34に対して針引込み管42を回転して針の引込みを開始するために、針引込み管42をつまむことが容易になる。前方に突出するラグ102が、針引込み管42の前部に設けられるのが望ましく、また、本体34の位置決めノッチ64と協働するように位置合わせされるのが望ましい。組立て中、針引込み管42は、スライド部材38の前方から開口86内へと挿入されるのが望ましい。これにより、管42は、スライド部材38に取り付けられると長手方向軸回りで回転でき、環状カラー100の前面(ラグ102を除く)は、スライド部材38の前向き面84とほぼ同一平面上にあることになる。
【0022】
図1乃至
図3を参照すると、IVカテーテルイントロデューサ80が完全に組み立てられており、(針のキャップが除去されて)使用される準備ができている場合、斜めになった針先94は、カニューレ44から前方に向かって突出しており、フラッシュチャンバ110の中央の長手方向軸は、針の長手方向軸と一直線上にある。
図5乃至
図7及び
図8乃至
図11を参照すると、針引込み管42が、本体34に対して矢印114で示される方向に回転されると、前方に突出するラグ102が本体34の位置決めノッチ64を押して、スライド部材38は、本体34に対して矢印118で示す方向へと摺動する。スライド部材38が本体34に対して横方向に移動するにつれて、流体シール68(
図4)が針ホルダ70の頭部74から離れて、最終的に、針引込み管42の中央長手方向軸が針ホルダ70と揃えられた、
図5乃至
図7及び
図11に示した位置に到達する。引込み管42の前面開口98の直径(
図4)が針ホルダ70の頭部74の外径よりも僅かに大きいので、伸張するバネ76(
図4)の力により、針ホルダ70及び針78は、後方に向かって針引込み管42内へと進められる。
【0023】
当業者であれば、本明細書や開示されている好ましい実施形態の説明を読めば、本発明の装置や使用方法の変更及び代替が本発明の範囲内で可能であることが理解できるであろう。そして、本発明の範囲は、発明者が法的に権利を有する添付の特許請求の範囲の最も広い解釈によってのみ限定されることが意図されている。