特許第6091720号(P6091720)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6091720画像生成装置、画像生成方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6091720
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】画像生成装置、画像生成方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20170227BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20170227BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20170227BHJP
   G06T 3/00 20060101ALI20170227BHJP
   G06T 3/60 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   H04N7/18 J
   G08B25/00 510M
   G06T1/00 330A
   G06T3/00 755
   G06T3/60 715
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-546281(P2016-546281)
(86)(22)【出願日】2014年9月5日
(86)【国際出願番号】JP2014073558
(87)【国際公開番号】WO2016035211
(87)【国際公開日】20160310
【審査請求日】2016年11月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512225287
【氏名又は名称】堺ディスプレイプロダクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】繁田 光浩
【審査官】 秦野 孝一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−17179(JP,A)
【文献】 特開2009−17026(JP,A)
【文献】 特開2007−200005(JP,A)
【文献】 特開2002−27433(JP,A)
【文献】 特開平10−105690(JP,A)
【文献】 特開平8−315116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G08B 25/00
G06T 1/00
G06T 3/00
G06T 3/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路を撮像した撮像画像を取得し、取得した撮像画像に基づいて前記道路上の状況を示す画像を生成する画像生成装置において、
取得した撮像画像から、該撮像画像の奥行き方向における消失点に収束する2本の消失線と、夫々が前記2本の消失線に交差する2本の平行直線とにより囲まれる台形領域の画像を抽出する領域抽出手段、
該領域抽出手段が抽出した台形領域を矩形領域に変形する幾何変換モデルを用いて、前記台形領域の画像を前記矩形領域の画像に変換する変換手段、及び
変換した前記矩形領域の画像に基づき、前記撮像画像の遠景側に存在する前記道路上の移動体又は構造物を拡大表示するための画像を生成する生成手段
を備えることを特徴とする画像生成装置。
【請求項2】
前記幾何変換モデルは、前記台形領域の4つの頂点と、前記矩形領域の4つの頂点との間の幾何学的関係を規定する射影変換により表されることを特徴とする請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項3】
前記生成手段は、前記矩形領域の画像を回転する手段を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像生成装置。
【請求項4】
前記領域抽出手段が抽出した前記台形領域の画像を前記奥行き方向に分割する領域分割手段、及び
前記領域分割手段が分割した各領域の画像を夫々変換して得られる複数の矩形領域の画像を合成する手段
を備えることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1つに記載の画像生成装置。
【請求項5】
前記道路の異なる範囲を撮像した複数の撮像画像を取得するようにしてあり、
各撮像画像から抽出した台形領域の画像を夫々変換して得られる複数の矩形領域の画像を合成する手段
を備えることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1つに記載の画像生成装置。
【請求項6】
前記道路を撮像した各撮像装置の配置に係る情報を取得する手段
を備え、
取得した各撮像装置の配置に係る情報に基づき、前記複数の矩形領域の画像を合成するようにしてあることを特徴とする請求項5に記載の画像生成装置。
【請求項7】
道路を撮像した撮像画像を取得し、取得した撮像画像に基づいて前記道路上の状況を示す画像を生成する方法において、
取得した撮像画像から、該撮像画像の奥行き方向における消失点に収束する2本の消失線と、夫々が前記2本の消失線に交差する2本の平行直線とにより囲まれる台形領域の画像を抽出し、
前記台形領域を矩形領域に変形する幾何変換モデルを用いて、前記台形領域の画像を前記矩形領域の画像に変換し、
変換した前記矩形領域の画像に基づき、前記撮像画像の遠景側に存在する前記道路上の移動体又は構造物を拡大表示するための画像を生成する
ことを特徴とする画像生成方法。
【請求項8】
コンピュータに、入力された道路の撮像画像に基づいて、前記道路上の状況を示す画像を生成させるコンピュータプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記撮像画像から、該撮像画像の奥行き方向における消失点に収束する2本の消失線と、夫々が前記2本の消失線に交差する2本の平行直線とにより囲まれる台形領域の画像を抽出させる手順と、
前記台形領域を矩形領域に変形する幾何変換モデルを用いて、前記台形領域の画像を前記矩形領域の画像に変換させる手順と
を実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路上の状況を示す画像を生成する画像生成装置、画像生成方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、道路上で発生する事象を複数のカメラで監視し、道路状態を管制室で集中管理する道路監視システムが存在する。例えば、特許文献1に記載の道路監視システムでは、複数の監視カメラによって撮像した画像を処理することにより事故等の異常検知を行ない、運転者や道路管理者へ情報を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−273587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の道路監視システムは、路側や道路上部等に設置した監視カメラの画像を処理するものであるため、監視カメラの死角となる位置や監視カメラの監視範囲外における異常検知は不可能である。また、監視カメラの死角をなくすためにはさらに多くの監視カメラを設置しなければならず、システムが大規模なものとなってコストがかかるという課題を有していた。
【0005】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、遠景側に存在する道路上の移動体及び構造物の画像を拡大し、死角の少ない画像を提供できる画像生成装置、画像生成方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の画像生成装置は、道路を撮像した撮像画像を取得し、取得した撮像画像に基づいて前記道路上の状況を示す画像を生成する画像生成装置において、取得した撮像画像から、該撮像画像の奥行き方向における消失点に収束する2本の消失線と、夫々が前記2本の消失線に交差する2本の平行直線とにより囲まれる台形領域の画像を抽出する領域抽出手段、該領域抽出手段が抽出した台形領域を矩形領域に変形する幾何変換モデルを用いて、前記台形領域の画像を前記矩形領域の画像に変換する変換手段、及び変換した前記矩形領域の画像に基づき、前記撮像画像の遠景側に存在する前記道路上の移動体又は構造物を拡大表示するための画像を生成する生成手段を備えることを特徴とする。
【0007】
本願の画像生成装置は、前記幾何変換モデルは、前記台形領域の4つの頂点と、前記矩形領域の4つの頂点との間の幾何学的関係を規定する射影変換により表されることを特徴とする。
【0008】
本願の画像生成装置は、前記生成手段は、前記矩形領域の画像を回転する手段を含むことを特徴とする。
【0009】
本願の画像生成装置は、前記領域抽出手段が抽出した前記台形領域の画像を前記奥行き方向に分割する領域分割手段、及び前記領域分割手段が分割した各領域の画像を夫々変換して得られる複数の矩形領域の画像を合成する手段を備えることを特徴とする。
【0010】
本願の画像生成装置は、前記道路の異なる範囲を撮像した複数の撮像画像を取得するようにしてあり、各撮像画像から抽出した台形領域の画像を夫々変換して得られる複数の矩形領域の画像を合成する手段を備えることを特徴とする。
【0011】
本願の画像生成装置は、前記道路を撮像した各撮像装置の配置に係る情報を取得する手段を備え、取得した各撮像装置の配置に係る情報に基づき、前記複数の矩形領域の画像を合成するようにしてあることを特徴とする。
【0012】
本願の画像生成方法は、道路を撮像した撮像画像を取得し、取得した撮像画像に基づいて前記道路上の状況を示す画像を生成する方法において、取得した撮像画像から、該撮像画像の奥行き方向における消失点に収束する2本の消失線と、夫々が前記2本の消失線に交差する2本の平行直線とにより囲まれる台形領域の画像を抽出し、前記台形領域を矩形領域に変形する幾何変換モデルを用いて、前記台形領域の画像を前記矩形領域の画像に変換し、変換した前記矩形領域の画像に基づき、前記撮像画像の遠景側に存在する前記道路上の移動体又は構造物を拡大表示するための画像を生成することを特徴とする。
【0013】
本願のコンピュータプログラムは、コンピュータに、入力された道路の撮像画像に基づいて、前記道路上の状況を示す画像を生成させるコンピュータプログラムにおいて、前記コンピュータに、前記撮像画像から、該撮像画像の奥行き方向における消失点に収束する2本の消失線と、夫々が前記2本の消失線に交差する2本の平行直線とにより囲まれる台形領域の画像を抽出させる手順と、前記台形領域を矩形領域に変形する幾何変換モデルを用いて、前記台形領域の画像を前記矩形領域の画像に変換させる手順とを実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本願によれば、撮像画像の遠景側に存在する道路上の移動体及び構造物を拡大表示するための画像を生成することにより、視認性の高い表示画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態1に係る道路監視システムの構成を示すブロック図である。
図2】画像生成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】画像生成装置の機能的構成を示すブロック図である。
図4】画像生成装置が実行する処理の手順を説明するフローチャートである。
図5】撮像画像の一例を示す模式図である。
図6】抽出手順を説明する説明図である。
図7】抽出した台形領域の画像を示す模式図である。
図8】変換後の矩形領域の画像を示す模式図である。
図9】矩形領域の画像に対して線形変換処理を施した画像の一例を示す模式図である。
図10】実施の形態2に係る画像生成装置が実行する処理内容を説明する説明図である。
図11】実施の形態3に係る道路監視システムの構成を示すブロック図である。
図12】実施の形態3に係る画像生成装置が実行する処理内容を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る道路監視システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る道路監視システムは、道路を斜め上方から撮像する撮像装置1と、撮像装置1から出力される撮像画像を基に道路の状況を示す画像を生成する画像生成装置2と、画像生成装置2から出力される画像を表示する表示装置3とを備える。
【0017】
撮像装置1は、適宜のタイミングで道路を撮像する。撮像装置1は、画像生成装置2に通信回線を介して接続されており、撮像して得られる撮像画像を画像生成装置2へ送信する。
【0018】
画像生成装置2及び表示装置3は、例えば、道路を監視する者(監視者)が居る監視施設、道路利用者(利用者)に対して道路状況を示す場所等に設置される。画像生成装置2は、撮像装置1から取得した撮像画像に基づいて、道路の状況を示す画像を生成する。このとき、画像生成装置2は、撮像画像から監視対象となる台形領域の画像を抽出し、抽出した台形領域の画像を矩形領域の画像に変換することにより遠景側を拡大した画像を生成し、変換した矩形領域の画像に基づき出力画像を生成する。画像生成装置2は、生成した出力画像を表示装置3へ出力する。
【0019】
表示装置3は、画像生成装置2から出力される画像を表示することにより、道路の状況に係る情報を監視者及び利用者に提供する。
【0020】
以下、画像生成装置2の内部構成について説明する。
図2は画像生成装置2のハードウェア構成を示すブロック図である。画像生成装置2は、制御部21、記憶部22、画像入力IF23、画像出力IF24などを備える。
【0021】
制御部21は、例えば、CPU、ROM、RAMなどを備える。制御部21内のROMには、装置全体を本発明に係る画像生成装置として機能させるためのコンピュータプログラムが格納されている。制御部21が備えるCPUは、ROMに格納されているコンピュータプログラムをRAM上に読み出して実行し、上述したハードウェア各部の動作を制御することにより、装置全体を本発明に係る画像生成装置として機能させる。具体的には、制御部21は、撮像装置1から取得した撮像画像から監視対象となる台形領域の画像を抽出する処理、抽出した台形領域の画像を矩形領域の画像に変換する処理、及び変換した矩形領域の画像から出力画像を生成する処理を実行する。
【0022】
記憶部22は、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリ、HDD(Hard Disk Drive)のような記憶装置等により構成されている。記憶部22は、画像入力IF23を通じて取得した撮像画像、制御部21が生成する処理途中の画像や最終的な出力画像等を随時記憶する。
【0023】
画像入力IF23は、撮像装置1を有線又は無線により接続するためのインタフェースであり、撮像装置1から出力される撮像画像を有線通信又は無線通信により取得する。
【0024】
画像出力IF24は、制御部21が生成した出力画像を有線通信又は無線通信により外部へ出力するためのインタフェースである。出力先は、例えば、監視者及び利用者が閲覧する表示装置3である。また、表示装置3に代えて、道路状況を示す画像を経時的に蓄積するサーバ装置(不図示)へ出力する構成であってもよく、撮像装置1の近傍を通過する車両内の装置(例えば、車載モニタ)へ無線通信により送信する構成としてもよい。画像出力IF24は、外部へ出力すべき出力画像を制御部21から取得した場合、外部装置との通信規格に準じた通信処理を実行することにより、出力画像を外部装置へ送信する。
【0025】
図3は画像生成装置2の機能的構成を示すブロック図である。画像生成装置2は、機能的構成として、領域抽出部211、変換処理部212、及び画像生成部213を備える。領域抽出部211、変換処理部212、及び画像生成部213の各機能は、制御部21が備えるCPUが、ROMに格納されているコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0026】
領域抽出部211は、画像入力IF23を通じて入力される撮像画像から処理対象の画像を抽出する。より具体的には、領域抽出部211は、撮像画像の奥行き方向における消失点に収束する2本の消失線と、これらの消失線にそれぞれ近景側及び遠景側で交差する2本の平行直線とにより囲まれる台形領域の画像を抽出する。領域抽出部211は、抽出した台形領域の画像を変換処理部212へ送出する。
【0027】
領域抽出部211は、台形領域の画像を抽出するために用いる2本の消失線及び平行直線を、処理対象の撮像画像が入力される都度、設定することができる。例えば、領域抽出部211は、入力された撮像画像に含まれるエッジを検出し、検出したエッジの延長線が撮像画像の奥行き方向で収束するような点(消失点)を探索し、探索した消失点に収束するエッジのうち、道路部分の外側にある2本のエッジを選択することで2本の消失線を設定することができる。
【0028】
また、領域抽出部211は、撮像画像の近景側及び遠景側のそれぞれにおいて、2本の消失線に交差するように平行直線を設定する。なお、撮像画像における2本の平行直線の位置は領域抽出部211が適宜設定すればよい。例えば、領域抽出部211は、撮像画像の下辺からYa画素分(Yaは撮像画像の高さの1/4程度)だけ隔てた位置に近景側の平行直線を配置し、上辺からYb画素分(Ybは撮像画像の高さの1/4程度)だけ隔てた位置に遠景側の平行直線を配置する。
【0029】
本実施の形態では、撮像画像が入力される都度、領域抽出部211が2本の消失線及び平行直線を設定する構成としたが、撮像装置1の位置及び姿勢が常に一定である場合、抽出すべき台形領域を予め設定しておき、各撮像画像から予め設定した台形領域の画像を抽出する構成としてもよい。また、本実施の形態における消失線は、透視図法で描かれる精密な直線である必要はなく、消失線に近似する直線であればよい。また、本実施の形態における平行直線は、厳密に平行である必要はなく、実質的に平行であればよい。
【0030】
変換処理部212は、領域抽出部211から送出される台形領域の画像を、矩形領域の画像に変換する。より具体的には、変換元の台形領域の4つの頂点と、変換先の矩形領域の4つの頂点との間の幾何学的関係を規定する射影変換行列を設定し、この射影変換行列に基づいて台形領域の画像を矩形領域の画像に変換する。変換処理部212は、変換後の矩形領域の画像を画像生成部213へ送出する。
【0031】
画像生成部213は、変換処理部212により変換された矩形領域の画像から出力画像を生成する。画像生成部213は、変換処理部212から送出された矩形領域の画像に対して、回転処理、拡大縮小処理等を施すことにより、出力画像を生成する。画像生成部213は、生成した出力画像を画像出力IF24へ送出する。
【0032】
以下、画像生成装置2の動作について説明する。
図4は画像生成装置2が実行する処理の手順を説明するフローチャートである。画像生成装置2の制御部21は、画像入力IF23を通じて撮像装置1から撮像画像を取得する(ステップS11)。図5は撮像画像の一例を示す模式図である。図5に示した撮像画像には、走行している乗用車の画像が近景側に含まれており、停車しているバイクの画像が遠景側に含まれている。
【0033】
次いで、制御部21は、取得した撮像画像から、2本の消失線及び平行線により囲まれる台形領域の画像を抽出する(ステップS12)。図6は抽出手順を説明する説明図である。制御部21は、道路の縁石部分、建築物、窓、ドアなどのエッジを撮像画像から抽出し、抽出したエッジの延長線が撮像画像の遠景側にて収束する消失点P0の座標を求める。本実施の形態では、消失点P0が撮像画像に含まれる例について示したが、消失点P0は必ずしも撮像画像に含まれる必要はない。
【0034】
次いで、制御部21は、消失点P0に収束するエッジ(又はエッジの延長線)のうち、道路の縁石を示す2本のエッジを選択することにより、2本の消失線L1,L2を設定する。例えば、制御部21は、撮像画像上で消失点P0を通る垂直線から左右方向に夫々エッジを探索し、左右方向で最初に探索されたエッジを選択することにより、2本の消失線L1,L2を設定する。
【0035】
次いで、制御部21は、抽出すべき台形領域の下辺及び上辺に相当する2本の平行直線La,Lbを設定する。例えば、制御部21は、撮像画像の下辺からYa画素分だけ隔てた位置に近景側の平行直線を配置し、上辺からYb画素分だけ隔てた位置に遠景側の平行直線を配置することにより、2本の平行直線La,Lbを設定する。
【0036】
次いで、制御部21は、撮像画像から、2本の消失線L1,L2と、2本の平行直線La,Lbとにより囲まれる台形領域の画像を抽出する。図7は抽出した台形領域の画像を示す模式図である。
【0037】
なお、本実施の形態では、撮像画像から、消失点P0の座標を算出し、消失点P0に収束するエッジの延長線を求めることにより、2本の消失線L1,L2を設定する構成としたが、撮像装置1が固定の位置及び姿勢から道路を撮像するのであれば、撮像画像を取得する都度、消失点P0及び消失点P0に収束するエッジの延長線を求める必要はない。この場合、抽出すべき台形領域の各辺に対応した消失線L1,L2及び平行直線La,Lbを予め設定しておくことができる。制御部21は、撮像画像を取得した際、予め設定された2本の消失線L1,L2及び平行直線La,Lbに基づいて台形領域の画像を抽出する。
【0038】
次いで、制御部21は、抽出した台形領域の画像を矩形領域の画像に変換する(ステップS13)。例えば、台形領域を予め定めた矩形領域に変換する幾何変換モデルを設定し、ステップS12で抽出した台形領域の画像を前記幾何変換モデルに従って変換することにより、矩形領域の画像を取得する。ここで、幾何変換モデルは、変換元の台形領域における4つの頂点と、変換先の矩形領域における4つの頂点との幾何学的関係を規定する射影変換により表される。制御部21、台形領域の画像を構成する各画素の座標(x,y)を、射影変換行列を用いて、変換先の矩形領域の画像を構成する各画素の座標(X,Y)に変換することにより、矩形領域の画像を生成する。なお、各画素の座標変換に伴い、変換後の各画素について画素値の補間処理を行ってもよいことは勿論のことである。図8は変換後の矩形領域の画像を示す模式図である。
【0039】
次いで、制御部21は、変換後の矩形領域の出力画像に基づき、出力画像を生成し(ステップS14)、生成した出力画像を画像出力IF24を通じて所定の出力先へ出力する。制御部21は、ステップS13で変換した矩形領域の画像を出力画像として出力してもよく、矩形領域の画像に対して、回転、拡大縮小、鏡映変換、スキュー変換などの線形変換処理を施した画像を出力画像として出力してもよい。
【0040】
図9は矩形領域の画像に対して線形変換処理を施した画像の一例を示す模式図である。図9Aは、矩形領域の画像を反時計回りに90度回転することにより生成した出力画像を示している。元の撮像画像では、遠景側のバイクは小さく写っているため、監視者及び利用者にとってバイクの存在を認識することは容易ではなく、見落としが発生する可能性がある。これに対し、図9Aに示す出力画像では、近景側の車両の画像は歪んでいるものの、遠景側の画像は拡大されるため、遠景側のバイクの存在を容易に認識することが可能となる。
【0041】
図9Bは、矩形領域の画像に対し、回転、縦方向の縮小、及びスキュー変換を施すことにより生成した出力画像を示している。このような線形変換処理を行うことにより、画像生成装置2は、近景側の画像の歪みを抑えつつ、遠景側の画像を拡大することができる。
【0042】
以上のように、実施の形態1に係る画像生成装置2は、撮像画像から抽出した台形領域の画像に対して、射影変換や線形変換といった変形処理を施すことにより、遠景側を拡大した画像を生成する。よって、実施の形態1に係る道路監視システムは、画像生成装置2が生成した出力画像を表示装置3に表示することにより、監視者及び利用者に対して、近景側から遠景側に至る監視領域内の移動体及び構造物の存在を容易に認識できる画像を提供することが可能となる。
【0043】
なお、本実施の形態では、台形領域の画像を矩形領域の画像に変換する射影変換処理と、矩形領域の画像から出力画像を生成する線形変換処理とを便宜的に分けて記載したが、これらの処理を単一の処理として実行する構成としてもよい。
【0044】
また、本実施の形態では、道路に設置された撮像装置1を用いて、道路の撮像画像を取得する構成としたが、自動車等の車両に搭載される車載カメラを用いて道路の撮像画像を取得する構成としてもよい。この場合、各車両が画像生成装置2を搭載し、画像生成装置2が生成する出力画像を車内モニタに表示する構成としてもよい。
【0045】
実施の形態2.
実施の形態2では、抽出した台形領域の画像を奥行き方向に分割し、分割した台形領域の画像をそれぞれ矩形領域の画像に変換してから合成する構成について説明する。
なお、実施の形態2に係る道路監視システムの構成、及び画像生成装置2の構成等は実施の形態1と同様であるため、その説明を省略することとする。
【0046】
図10は実施の形態2に係る画像生成装置2が実行する処理内容を説明する説明図である。画像生成装置2の制御部21は、上述したステップS11及びS12の処理を実行することにより、撮像画像から監視対象を含む台形領域の画像を抽出する。
【0047】
次いで、制御部21は、抽出した台形領域の画像を奥行き方向に分割する。分割数及び分割箇所は適宜設定することができる。図10に示した例では、抽出した台形領域の画像を中央付近にて2つに分割した状態を示している。
【0048】
次いで、制御部21は、分割した台形領域の画像のそれぞれを矩形領域の画像に変換する。実施の形態1と同様に、台形領域のそれぞれについて矩形領域に変換する幾何変換モデルを設定し、各台形領域の画像をそれぞれの幾何変換モデルに従って変換することにより、矩形領域の画像に変換することができる。
【0049】
次いで、制御部21は、各台形領域の画像を変換して得られる矩形領域の画像を合成する。制御部21は、合成後の画像に基づいて出力画像を生成し、画像出力IF24を通じて所定の出力先へ出力する。このとき、実施の形態1と同様に、合成後の画像に対して、回転、拡大縮小、鏡映変換、スキュー変換等の線形変換処理を施し、出力画像を生成する構成としてもよい。
【0050】
以上のように、実施の形態2では、撮像画像から抽出した台形領域の画像を奥行き方向に分割し、それぞれを矩形領域の画像に変換してから合成するので、近景側の画像については射影変換に伴う歪みの発生を抑えることができ、遠景側の画像については適度の大きさに拡大することができる。この結果、本実施の形態に係る道路監視システムは、道路上の移動体及び構造物を認識し易い画像を監視者及び利用者に提供することができる。
【0051】
実施の形態3.
実施の形態1及び2では、撮像装置1から取得した1つの撮像画像を基に出力画像を生成する構成としたが、道路に沿って撮像装置1を複数配置し、それぞれから取得した撮像画像を基に1つの出力画像を生成する構成としてもよい。
実施の形態3では、複数の撮像画像から1つの出力画像を生成する構成について説明する。
【0052】
図11は実施の形態3に係る道路監視システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る道路監視システムは、例えば道路に沿って設置され、それぞれ道路を斜め上方から撮像する撮像装置1A,1B,1Cと、撮像装置1A,1B,1Cから出力される撮像画像を基に道路の状況を示す画像を生成する画像生成装置2と、画像生成装置2から出力される画像を表示する表示装置3とを備える。
【0053】
撮像装置1A,1B,1Cは適宜のタイミングで道路を撮像する。撮像装置1A,1B,1Cは、画像生成装置2に通信回線を介して接続されており、撮像して得られる撮像画像を画像生成装置2へ送信する。
【0054】
画像生成装置2は、撮像装置1A,1B,1Cから取得した撮像画像に基づいて、道路の状況を示す画像を生成する。このとき、画像生成装置2は、それぞれの撮像画像から監視対象となる台形領域の画像を抽出し、抽出した台形領域の画像を矩形領域の画像に変換することにより遠景側を拡大した画像を生成し、生成した矩形領域の画像を合成して出力画像を生成する。画像生成装置2は、生成した出力画像を表示装置3へ出力する。
なお、画像生成装置2の内部構成については実施の形態1と同様であるため、その説明を省略することとする。
【0055】
表示装置3は、画像生成装置2から出力される画像を表示することにより、道路の状況に係る情報を監視者及び利用者に提供する。
【0056】
図12は実施の形態3に係る画像生成装置2が実行する処理内容を説明する説明図である。画像生成装置2の制御部21は、撮像装置1A,1B,1Cが撮像した撮像画像を画像入力IF23を通じて取得する。制御部21は、取得した撮像画像のそれぞれから台形領域の画像を抽出し、抽出した台形領域の画像を射影変換することにより、矩形領域の画像を生成する。
【0057】
なお、制御部21が撮像画像から抽出する台形領域の画像は、撮像装置1A,1B,1Cの間で同一の形状である必要はなく、撮像装置1A,1B,1Cの設置位置及び姿勢に応じて設定した形状の画像を抽出すればよい。
【0058】
また、制御部21は、台形領域の画像を矩形領域の画像に変換する幾何変換モデルを撮像装置1A,1B,1Cのそれぞれについて設定し、各台形領域の画像をそれぞれの幾何変換モデルに従って変換することにより、矩形領域の画像に変換する。
【0059】
次いで、制御部21は、変換した矩形領域の画像を合成して出力画像を生成する。このとき、各矩形領域の画像に対し、回転、拡大縮小、鏡映変換、スキュー変換等の線形変換処理を施した後に、画像合成を行って出力画像を生成する構成としてもよい。また、制御部21は、撮像装置1A,1B,1Cの配置関係を考慮して、矩形領域の画像を合成することが好ましい。撮像装置1A,1B,1Cの配置関係に係る情報は予め記憶部22に記憶されているものとする。制御部21は、撮像装置1A,1B,1Cの配置関係に係る情報を記憶部22から取得し、取得した配置関係に係る情報に基づき、矩形領域の画像を合成する。例えば、撮像装置1A,1B,1Cがこの順に配置されている場合、撮像装置1A,1B,1Cから生成した矩形領域の画像をこの順に合成する。また、撮像装置1A,1B,1Cがそれぞれ道路の右側、左側、手前側に配置されている場合、表示装置3における表示画面の右側、左側、下側に各矩形領域の画像を配置して合成する。
【0060】
以上のように、実施の形態3に係る画像生成装置2は、複数の撮像装置1A,1B,1Cから取得した撮像画像のそれぞれについて台形領域の画像を抽出し、抽出した画像に対する射影変換及び線形変換を行い、変換後の画像を合成して出力画像を生成する。よって、本実施の形態に係る道路監視システムは、画像生成装置2が生成した出力画像を表示装置3に表示することにより、監視者及び利用者に対して、移動体及び構造物の存在を容易に認識することができ、死角の少ない画像を提供することが可能となる。
【0061】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0062】
1 撮像装置
2 画像生成装置
21 制御部
22 記憶部
23 画像入力IF
24 画像出力IF
211 領域抽出部
212 変換処理部
213 画像生成部
図1
図2
図3
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図5
図6
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図10
図11
図12