(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】実施形態に係るエアバッグ装置の全体構成を示す断面図である。
【
図2】折畳まれたエアバッグをアウターバッグにて覆った状態を示す斜視図である。
【
図3】アウターバッグの製造工程を示す説明図である。
【
図4】アウターバッグの製造手順を示す説明図である。
【
図5】アウターバッグの製造手順を示す説明図である。
【
図6】アウターバッグの製造手順を示す説明図である。
【
図7】アウターバッグの製造手順を示す説明図である。
【
図8】アウターバッグ内にエアバッグを収容する工程を示す説明図である。
【
図9】アウターバッグ内にエアバッグを収容する工程を示す説明図である。
【
図10】アウターバッグ内にエアバッグを収容する工程を示す説明図である。
【
図11】アウターバッグ内にエアバッグを収容する工程を示す説明図である。
【
図12】アウターバッグ内にエアバッグを収容する工程を示す説明図である。
【
図13】アウターバッグ内にエアバッグを収容する工程を示す説明図である。
【
図14】エアバッグ装置の動作を示す説明図である。
【
図15】エアバッグ装置の動作を示す説明図である。
【
図16】エアバッグ装置の動作を示す説明図である。
【
図17】エアバッグ装置の動作を示す説明図である。
【
図18】エアバッグ装置の変形例を示す斜視図である。
【
図19】エアバッグ装置の他の変形例を示す説明図である。
【
図20】同上の変形例に係るエアバッグ装置の動作を示す説明図である。
【
図21】同上の変形例に係るエアバッグ装置の動作を示す説明図である。
【
図23】補助ラップ部材を組込んだ変形例を示す斜視図である。
【
図24】アウターバッグとエアバッグとを直接的に取付けた変形例を示す図である。
【
図25】アウターバッグとエアバッグとを直接的に取付けた他の変形例を示す図である。
【
図26】リッドパネルにエアバッグ装置を組付けた変形例を示す断面図である。
【
図27】同上の変形例において折畳まれたエアバッグをアウターバッグにて覆った状態を示す斜視図である。
【
図28】同上の変形例に係るエアバッグ装置の動作を示す説明図である。
【
図29】同上の変形例に係るエアバッグ装置の動作を示す説明図である。
【
図30】同上の変形例に係るエアバッグ装置の動作を示す説明図である。
【
図31】他の変形例に係るエアバッグ装置の動作を示す説明図である。
【
図32】他の変形例に係るエアバッグ装置の動作を示す説明図である。
【
図33】他の変形例に係るエアバッグ装置の動作を示す説明図である。
【
図34】さらに他の変形例に係るエアバッグ装置の動作を示す説明図である。
【
図35】さらに他の変形例に係るエアバッグ装置の動作を示す説明図である。
【
図36】さらに他の変形例に係るエアバッグ装置の動作を示す説明図である。
【
図37】アウターバッグを長くした変形例に係るシート状部材を示す説明図である。
【
図38】同上の変形例に係るエアバッグ装置を示す説明図である。
【
図39】同上の変形例に係るエアバッグ装置を示す説明図である。
【
図40】同上の変形例に係るエアバッグ装置の動作を示す説明図である。
【
図41】同上の変形例に係るエアバッグ装置の動作を示す説明図である。
【
図42】同上の変形例に係るエアバッグ装置の動作を示す説明図である。
【
図43】補助スリットを形成した変形例に係るエアバッグ装置を示す概略斜視図である。
【
図44】同上の変形例に係るエアバッグ装置を示す説明図である。
【
図45】同上の変形例に係るアウターバッグの製造工程を示す説明図である。
【
図46】同上の変形例に係るアウターバッグの製造工程を示す説明図である。
【
図47】同上の変形例に係るアウターバッグの動作を示す説明図である。
【
図48】破断ラインの位置をずらした変形例に係るエアバッグ装置を示す概略斜視図である。
【
図49】同上の変形例に係るアウターバッグの製造工程を示す説明図である。
【
図50】同上の変形例に係るアウターバッグの製造工程を示す説明図である。
【
図51】同上の変形例に係るエアバッグ装置の動作を示す説明図である。
【
図52】同上の変形例に係るエアバッグ装置の他の動作を示す説明図である。
【
図53】破断ラインの位置をずらした他の変形例に係るエアバッグ装置を示す概略斜視図である。
【
図54】同上の変形例に係るアウターバッグの製造工程を示す説明図である。
【
図55】同上の変形例に係るアウターバッグの製造工程を示す説明図である。
【
図56】破断ラインの位置をずらしたさらに他の変形例に係るエアバッグ装置を示す概略斜視図である。
【
図57】同上の変形例に係るアウターバッグの製造工程を示す説明図である。
【
図58】同上の変形例に係るアウターバッグの製造工程を示す説明図である。
【
図59】同上の変形例に係るアウターバッグの製造工程を示す説明図である。
【
図60】同上の変形例に係るアウターバッグの製造工程を示す説明図である。
【
図61】同上の変形例に係るアウターバッグの製造工程を示す説明図である。
【
図62】同上の変形例に係るアウターバッグの製造工程を示す説明図である。
【
図63】同上の変形例に係るエアバッグ装置の動作を示す説明図である。
【
図64】同上の変形例に係るエアバッグ装置の動作を示す説明図である。
【
図65】同上の変形例に係るエアバッグ装置の動作を示す説明図である。
【
図66】同上の変形例に係るエアバッグ装置の動作を示す説明図である。
【
図67】同上の変形例に係るエアバッグ装置の動作を示す説明図である。
【
図68】同上の変形例に係るエアバッグ装置の動作を示す説明図である。
【
図69】同上の変形例に係るエアバッグ装置の動作を示す説明図である。
【
図70】同上の変形例に係るエアバッグ装置の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下、実施形態に係るエアバッグ装置について説明する。
図1は本実施形態に係るエアバッグ装置20の全体構成を示す断面図である。なお、
図1では、エアバッグ装置20をインストルメントパネル10に組込んだ状態を示している。
図1は、車両の前後方向に沿った面における断面を示している。
【0059】
このエアバッグ装置20は、車両の助手席前方にあるインストルメントパネル10に組込まれ、車両衝突時等に助手席乗員前方に膨張展開して、助手席乗員を受止めて衝撃を吸収する装置として構成されている。
【0060】
すなわち、車両の助手席の車両前方には、エアバッグ組込パネルとしてインストルメントパネル10が配設されている。インストルメントパネル10には、割開き可能なリッド12が形成されている。ここでは、インストルメントパネル10は、樹脂により形成されている。また、インストルメントパネル10の内周面には、その略方形状の領域を3方(ここでは、車両後方及び両側方向)から囲むようにして溝状のティアライン13が形成されており、そのティアライン13によって囲まれる領域がリッド12とされている。エアバッグ装置20は、本リッド12の内側に組込まれている。そして、エアバッグ装置20の作動時には、インストルメントパネル10がティアライン13に沿って裂けることにより、リッド12が割開かれて開口が形成されるようになっている。なお、ティアライン13の形成例は上記例に限られない。例えば、インストルメントパネルにH字状又は放射状にティアラインが形成され、インストルメントパネルが複数の部分に分れて割開かれてもよい。要するに、ティアラインは、エアバッグ装置20の作動時にエアバッグ展開用の開口を形成可能な態様で形成されていればよい。
【0061】
また、インストルメントパネル10の内側には、車両のボディに固定された部材である車体側部材18が配設されている。ここでは、車体側部材18として、ボディに固定され、インストルメントパネル10内で車幅方向に沿って配設された部材(いわゆるリーンホースと呼ばれる部材)を想定している。上記インストルメントパネル10は、周知構造を含む取付構造によって車両のボディに固定され、また、本体側部材も車両のボディに固定されているので、インストルメントパネル10と車体側部材18とは一定の位置関係に保たれている。従って、車体側部材18にエアバッグ装置20を取付けることで、エアバッグ装置20もインストルメントパネル10に対して一定の位置に配設される。
【0062】
本エアバッグ装置20は、上記のようなインストルメントパネル10に組込まれる。なお、ここで、エアバッグ装置20がインストルメントパネル10に組込まれるとは、エアバッグ装置20がインストルメントパネル10から膨張展開可能な位置に配設される場合を含み、エアバッグ装置20がインストルメントパネル10に対して物理的機械的に固定されていることは必須ではない。
【0063】
本エアバッグ装置20は、インフレータ22と、エアバッグ30と、アウターバッグ40とを備えている。
【0064】
インフレータ22は、点火装置及びガス発生剤等を有しており、上記リッド12の内側に配設されている。このインフレータ22は、車両自体に設置された衝撃検知部等からの点火命令信号を受けて前記点火装置によりガス発生剤を燃焼させ、これによりガスを発生可能に構成されている。ここでは、インフレータ22は、短円柱状に形成されており、その外周に金属板等でつば部24が形成されている。ここでは、つば部24は、方形状に形成されている。また、つば部24の一主面にネジ部25が突設されており、このネジ部25を利用して、インフレータ22とエアバッグ30、アウターバッグ40等との取付がなされる。
【0065】
エアバッグ30は、布等でガス導入口を有する袋状に形成されている。上記インフレータ22は、ガス導入口を介してエアバッグ30内にガスを導入可能な位置及び姿勢で、エアバッグ30に取付けられている。このエアバッグ30は、通常状態では、折畳まれてリッド12の内側、ここでは、リッド12とインフレータ22との間に配設されている。エアバッグ30の折畳み構成は、予め決定された折り線に沿って折られる構成であっても、くしゃくしゃに丸めるように折畳まれる構成であってもよい。もっとも、エアバッグ30は、直方体状をなすように折畳まれていることが好ましい。そして、車両衝突時等の膨張展開時には、エアバッグ30は、インフレータ22よりガス導入口を介して導入されるガスによって、リッド12を割開いてインストルメントパネル10の外方に突出するように膨張して、車室内側である助手席乗員側に向けて袋状に膨張展開する。
【0066】
図2は折畳まれたエアバッグ30をアウターバッグ40で覆った状態を示す斜視図である。
図1及び
図2に示すように、アウターバッグ40は、折畳み可能でかつ接合可能な柔軟なシート状部材42(布或は樹脂シート等)を縫製することにより構成されている。接合は、縫製によって行われることが好ましく、ここでも縫製した例で説明するが、これは必須ではない。
【0067】
アウターバッグ40は、シート状部材42を、その両端部を重ね合せるように筒状に形成し、この筒状の両端開口部を閉じるようにシート状部材42の両端部を縫製する縫製することによって袋状に形成されている。シート状部材42には、インフレータ取付孔43が形成されており、後に詳述するように、インフレータ22が当該インフレータ取付孔43の周縁部に取付けられた状態で、アウターバッグ40が折畳まれたエアバッグ30を覆っている。また、アウターバッグ40のうちリッド12の内側の位置には、破断容易な破断ライン45が形成されており、エアバッグ30は当該破断ライン45を破断して膨張展開できるようになっている。
【0068】
上記アウターバッグ40についてより具体的に説明する。
【0069】
上記アウターバッグ40を組立てるにあたって、まず、
図3に示すシート状部材42を準備する。シート状部材42は、長方形状に形成されている。シート状部材42の長手方向一端部にインフレータ取付孔43が形成されると共に、インフレータ取付孔43の周縁部に固定孔43aが(ここでは4つ)形成されている。また、シート状部材42の長手方向他端部には、インフレータ取付孔43の一部分形状(ここでは半円よりやや小さい凹形状)を呈するインフレータ嵌込凹部44が形成されると共に、当該インフレータ嵌込凹部44の周縁部に固定孔44aが形成されている。また、シート状部材42の長手方向中間部には、その幅方向に沿って破断ライン45が形成されている。破断ライン45は、エアバッグ30の膨張展開力によって破断可能なラインであり、ここでは、直線状のカット部分が直線状に断続的に形成された構成とされている。なお、破断ライン45が上記構成であることは必須ではなく、破断によりエアバッグ30が膨張展開可能な開口を形成できる構成であればよい。
【0070】
図4は上記シート状部材42の縫合ライン42a(
図4において点線で示す)及び折りライン42b(
図4において2点鎖線で示す)を示しており、シート状部材42を折りライン42bで折りつつ、縫合ライン42aで縫製することで、上記アウターバッグ40が形成される。
【0071】
すなわち、まず、シート状部材42の他端側をその幅方向に沿った任意の直線ラインL1(
図4参照)に沿って折る。ここでは、シート状部材42を破断ライン45に沿った直線ラインL1で折る。直線ラインL1は、インフレータ取付孔43の中心を、シート状部材42の幅方向に横切る直線ラインL2(
図5参照)と平行なラインでもある。すると、
図5に示すように、インフレータ嵌込凹部44がインフレータ取付孔43に重ね合される。
【0072】
次に、シート状部材42を上記直線ラインL1と平行な直線ラインL2(
図5参照)で折返す。ここでは、シート状部材42の一端部を、インフレータ取付孔43の中心を、シート状部材42の幅方向に横切る直線ラインL2で折返す。これにより、
図6に示すように、シート状部材42が、その両端部を重ね合せるように筒状に折られた状態となる。つまり、後述するアウターバッグ40の底部40aを構成するシート状部材42の一端部に対して、シート状部材42の他端部を重ね合せる。
【0073】
なお、シート状部材42を折返す直線ラインL1、L2の位置は上記例に限られない。後述する縫製を容易に行うためには、アウターバッグ40を直方体状に形成した状態で、対向する面に直線ラインL1、L2が形成されていることが好ましい。なお、シート状部材42の一端側が、その他端部よりも先に折られてもよい。
【0074】
次に、
図7に示すように、シート状部材42のうち前記筒状の両端側開口部となる両側部分で、上記直線ラインL1、L2と直交する縫合ライン42aに沿って縫製する。すると、シート状部材42は、折畳まれたエアバッグ30を全体的に覆うことができる袋状に形成されることになる。なお、アウターバッグ40は、強度上の必要性等に応じて、全体的或は部分的に複数の布等が重ね合されていてもよい。また、袋を形成するのとは無関係な箇所等で、補充的な縫合箇所等があってもよい。なお、シート状部材42の形状、折るライン等を適宜調整することで、アウターバッグ40(周壁部40b)の高さ調整も容易に行うことができる。
【0075】
ここでは、次のようにして、エアバッグ30がアウターバッグ40内に収容されている。
【0076】
すなわち、
図8に示すように、シート状部材42の一端部が裏側を向くように、上記のように縫製したシート状部材42が裏返される。そして、
図9に示すように、インフレータ取付孔43の全体が表面に露出するように、シート状部材42の一端部が外方に引出される。インフレータ22のつば部24に突設されたネジ部25をアウターバッグ40のインフレータ取付孔43の周縁部の固定孔43aに挿通させた状態で、インフレータ22の一部がインフレータ取付孔43内に配設される。なお、インフレータ22のつば部24に突設されたネジ部25は、エアバッグ30のガス導入口の周縁部に形成された固定孔に挿通されており、当該エアバッグ30に対して取付(仮固定)されている。
【0077】
すると、
図10に示すように、シート状部材42のうちインフレータ取付孔43を有する部分の一主面側(
図10に示す状態で外面側)に、インフレータ22及び折畳まれたエアバッグ30が配設される。なお、
図10〜
図12において、(a)は折畳まれたエアバッグ30の膨張展開方向からの図、(b)は折畳まれたエアバッグ30の側方からの図、(c)は折畳まれたエアバッグ30の底部(インフレータ22)側からの図を示している。
【0078】
次に、
図11に示すように、シート状部材42の他端部(インフレータ嵌込凹部44側の端部)を、折畳まれたエアバッグ30上に被せるように、シート状部材42を反転させる。
【0079】
さらに、
図12に示すように、シート状部材42の他端部(インフレータ嵌込凹部44側の端部)を、シート状部材42の一端部(インフレータ取付孔43側の端部)まで引張り、インフレータ嵌込凹部44をインフレータ取付孔43に重ね合せるように、シート状部材42を完全に反転させると、アウターバッグ40が折畳まれたエアバッグ30を全体的に覆うようになる。
【0080】
この状態では、インフレータ22のネジ部25は、インフレータ嵌込凹部44の固定孔44aにも挿通される。このため、インフレータ取付孔43の周縁部とインフレータ22との固定部分に、シート状部材42の他端部が固定されることとなる。
【0081】
この状態では、アウターバッグ40は、略直方体容器状に形成されている。より具体的には、アウターバッグ40は、インフレータ22が固定される略方形状部分(インフレータ取付孔43が形成された部分)である底部40aと、底部40aの一主面側を略方形環状に囲む周壁部40bと、前記底部40aと対向する位置で前記周壁部40bの開口を塞ぐ天井部40cとを有している。なお、上記シート状部材42を略方形状に折ると、底部40aの両側部及び天井部40cの両側部には、錐体状の袋状部分が余る。この袋状部分は、三角形状に折られて耳部分40dに形成されている。この耳部分40dは、上記周壁部40bの外側に折畳まれていてもよいし、周壁部40bと折畳まれたエアバッグ30との間に折込まれていてもよい。これにより、アウターバッグ40は、直方体箱状をなすように折られている。
【0082】
また、シート状部材42の両側部の接合部分である縫合ライン42aの延在方向は、エアバッグ30の主膨張展開方向(つまり、リッド12に向う方向)に沿った方向である。また、破断ライン45は、上記インフレータ取付孔43(つまり、インフレータ22)と対向する位置に形成されている。より具体的には、破断ライン45は、天井部40cにおいて、縫合ライン42aのうち前記リッド12側に至る終端間に破断ライン45が形成されている。従って、アウターバッグ40が破断ライン45において破断されると、アウターバッグ40は、破断ライン45が破断した部分を開口とし、かつ、シート状部材42のうち一対の縫合ライン42aで囲まれた部分を周面とする筒状に形成されるようになっている。
【0083】
なお、最終的には、上記インフレータ22のつば部24に対しては、アウターバッグ40の外側から固定ブラケット28が重ね合される。固定ブラケット28には、ネジ部25に対応する孔が形成されており、当該孔から突出するネジ部25にナット29が螺合締結される。これにより、つば部24と固定ブラケット28との間に、エアバッグ30のうちガス導入口の周縁部及びアウターバッグ40のうちインフレータ取付孔43及びインフレータ嵌込凹部44の周縁部が挟込み固定される。
【0084】
また、インフレータ22には、インフレータ固定部材46が固定されている。インフレータ固定部材46は、金属板等によって形成された部材であり、ここでは、略L字状に曲る形状に形成されている。そして、ここでは、上記ネジ部25がインフレータ固定部材46の一端部に挿通された状態でネジ部25にナット29が螺合締結されることで、インフレータ固定部材46の一端部が上記固定ブラケット28の外面とナット29との間で締付け固定され、もって、インフレータ固定部材46がインフレータ22に固定されている。また、インフレータ固定部材46の他端部は、車体側部材18に固定可能な形状に形成されている、ここでは、車体側部材18に突設された固定ボルト18Bを、前記インフレータ固定部材46の他端部に挿通して、当該固定ボルト18Bにナット18Nを螺合締結することにより、インフレータ固定部材46が車体側部材18に対して固定される。そして、本インフレータ固定部材46が車体側部材18に固定されることで、インフレータ22がリッド12の内側の一定位置に固定されている。
【0085】
なお、この固定状態では、アウターバッグ40の周壁部40bとリッド12との距離は、アウターバッグ40が筒状に展開する際に、周壁部40bよりも天井部40c及びその両側の耳部分40dが延出する長さ分(
図16参照)よりも小さいことが好ましい。
【0086】
なお、インフレータ22或は車体側部材18に対するインフレータ固定部材46の固定は、上記例に限られず、カシメ或は溶接、嵌め込み構造、或はこれらの複合構成であってもよい。
【0087】
図14〜
図16は、上記エアバッグ装置20の展開動作を示す説明図であり、
図17はエアバッグ30の展開状態におけるアウターバッグ40の状態を示す説明図である。
【0088】
まず、展開動作前の状態では、
図14に示すように、折畳まれたエアバッグ30は、リッド12の内側に配設されている。また、アウターバッグ40の周壁部40bは折畳まれたエアバッグ30を周囲四方から覆っており、天井部40cは折畳まれたエアバッグ30の上部を覆っている。
【0089】
この状態で、インフレータ22から発生したガスがエアバッグ30内に導入されると、
図15に示すように、エアバッグ30は、リッド12の内側で膨張を開始する。
【0090】
すると、エアバッグ30が膨張展開しようとする力によって、アウターバッグ40の破断ライン45が破断される。これにより、アウターバッグ40は、破断ライン45を開口とする筒状に展開可能となり、エアバッグ30は当該開口を通って外方に膨張展開しようとする。
【0091】
この際、エアバッグ30の主膨張展開方向(インフレータ22からリッド12に向う方向)では、インフレータ固定部材46によりインフレータ22はリッド12に対して一定距離離れた位置で固定されている。このため、膨張を始めたエアバッグ30はリッド12の内面に当接し、エアバッグ30の突出方向の膨張展開力は、リッド12のティアライン13を分断する力として作用する。これにより、リッド12が割開かれ、インストルメントパネル10に開口が形成される。
【0092】
インストルメントパネル10に開口が形成されると、エアバッグ30は当該開口を通ってインストルメントパネル10の外方に膨張展開しようとする。この際、アウターバッグ40のうち天井部40c及び当該天井部40cの両側の耳部分40dは、周壁部40bよりも、エアバッグ30の膨張展開方向側でエアバッグ30を囲うことができる(
図17参照)。即ち、エアバッグ30の膨張展開により、アウターバッグ40のうち天井部40c及び当該天井部40cの両側の耳部分40dは、インストルメントパネル10の前記開口を通って外方に押出される。そして、エアバッグ30がインストルメントパネル10の開口を通って外方に突出すると、アウターバッグ40のうち天井部40c及び当該天井部40cの両側の耳部分40dは、インストルメントパネル10の開口と膨張展開中のエアバッグ30との間に挟込まれる。これにより、エアバッグ30の膨張展開中において、インストルメントパネル10の内側でアウターバッグ40がエアバッグ30の周囲を囲う状態がより確実に維持される。そして、アウターバッグ40のうちインストルメントパネル10の内側に存在する部分が、膨張展開するエアバッグ30のうちインストルメントパネル10の内側に位置する部分を周囲全体に亘って受止めて、エアバッグ30がインストルメントパネル10の内側でラジアル方向に広がることを抑制する。
【0093】
そして、エアバッグ30がインストルメントパネル10と助手席乗員との間に膨張展開することで、助手席乗員を受止めて衝撃を吸収する。
【0094】
以上のように構成されたエアバッグ装置20によると、シート状部材42がその両端部を重ね合せるように筒状に形成されると共に、その筒状の両端開口部を閉じるようにシート状部材42の両側部が縫合されることで、折畳まれたエアバッグ30を全体的に覆うアウターバッグ40が形成されている。このため、シート状部材42の両側部を接合するという比較的簡易な接合作業によって、シート状部材42によって折畳まれたエアバッグ30を全体的に覆う構成を得ることができる。
【0095】
特に、本実施形態では、シート状部材42の両側部を直線状に縫合するという作業によってアウターバッグ40を得ることができるため、より容易にアウターバッグ40を製造することができる。
【0096】
しかも、シート状部材42は、略長方形状に形成されているため、大きなシート状部材42から本シート状部材42を切抜く際に無駄が生じ難く、歩留りを高くすることができる。
【0097】
また、シート状部材42の他端部がシート状部材42の底部40aに重ね合され、インフレータ取付孔43の周縁部とインフレータ22との固定部分にシート状部材42の他端部が固定されているため、シート状部材42の両側部の重ね合せ状態が、インフレータ22の取付け構造を介して維持されることとなり、アウターバッグ40が折畳まれたエアバッグ30を覆う状態がより確実に維持される。もっとも、シート状部材42の重ね合せ部分が、インフレータ22の取付け箇所であることは必須ではない。
【0098】
また、シート状部材42の両側部の縫合ライン42aの延在方向は、リッド12を割開いて膨張展開するエアバッグ30の主膨張展開方向に沿った方向であり、シート状部材42の両側部の縫合ライン42aがリッド12側に至る終端間に破断ライン45が形成されている。このため、エアバッグ30が膨張展開する際に、破断ライン45によって破断されることによって形成されたアウターバッグ40の開口部は、エアバッグ30の膨張展開方向に向けて延出することができる。これにより、エアバッグがそのラジアル方向に広がることを抑制できる。
【0099】
特に、本実施形態では、アウターバッグ40が、天井部40cに形成された破断ライン45を破断させて筒状に開口する際、天井部40c及びその両側の耳部分40dを周壁部40bからインストルメントパネル10の開口に向けて延出させて、さらに、インストルメントパネル10の開口外側部分に配設することができる。そして、インストルメントパネル10の開口周縁部と膨張展開するエアバッグ30との間に、天井部40c及びその両側の耳部分40dを配設することができる。このため、リッド12の内側でアウターバッグ40が膨張しようとするエアバッグ30の周囲を取囲む状態がより確実に維持され、エアバッグ30のラジアル方向の展開を抑制して、助手席乗員側により確実に膨張展開させることができる。
【0100】
これにより、エアバッグ30がラジアル方向に膨張するのを抑制するために、折畳まれたエアバッグ30の周りに金属製のハウジング等を設置することを省略することができる。軽量化及びコスト削減等が可能となる。また、インストルメントパネル10側にハウジング取付用の形状を形成する必要もなくなるので、構成の簡易化が可能となる。
【0101】
もっとも、そのような金属製等のハウジングが設けられていてもよい。ハウジングを設けた場合でも、薄いもの、高さが低いものを用いることができるため、軽量化は可能となる。また、そのハウジングとリッドとの連結作業が不要となり、エアバッグ装置の組付作業は容易となる。
【0102】
また、リッド12の内側にリッド側周壁部を設ける必要がなくなるという利点がある。なお、リッド12の内側にリッド側周壁部があってもよく、その場合の例については後で説明する。
【0103】
また、アウターバッグ40は、インストルメントパネル10の開口周縁部でも、エアバッグ30がラジアル方向に展開することを抑制しているため、インストルメントパネル10の開口周縁部での割れを抑制することができる。
【0104】
また、アウターバッグ40は、エアバッグ30が膨張展開する際に、インストルメントパネル10の開口周縁部とエアバッグ30との直接的な接触を抑制するという役割も果す。
【0105】
また、アウターバッグ40が直方体箱状をなすように折られているため、折畳まれたエアバッグ30及びそれを包むアウターバッグ40が、直方体外観をなすようにすることができる。これにより、折畳まれたエアバッグ30及びアウターバッグ40の形状安定化及び収容作業の容易化を図り易い。
【0106】
また、破断ライン45は、インフレータ22及びインフレータ取付孔43の対向する位置に形成されているため、インフレータ22の反対側へ効果的にエアバッグ30を膨張展開させることができる。
【0107】
また、アウターバッグ40を反転させながら、アウターバッグ40内に折畳まれたエアバッグ30を包込む構成であるため、アウターバッグ40の反転作業とアウターバッグ40によってエアバッグ30を包込む作業とを同時に行えるという利点がある。もっとも、アウターバッグ40が反転されていることは必須ではない。
【0108】
また、インフレータ22がインフレータ固定部材46を介して車体側部材18に固定されているため、インフレータ22とインストルメントパネル10との固定構造を簡略化或は省略することができる。
【0109】
なお、上記実施形態において、破断ライン45とインフレータ22及びインフレータ取付孔43とが対向する位置関係にあることは必須ではない。例えば、
図18に示す変形例に係るエアバッグ装置20Bのように、アウターバッグ40に対応するアウターバッグ40Bのうち周壁部40bに対応する周壁部40Bbの一面を構成する部分にインフレータ取付孔43に対応するインフレータ取付孔43Bが形成されると共にインフレータ22が取付けられていてもよい。この場合でも、アウターバッグ40Bがエアバッグ30の膨張展開態様をコントロールできるように、縫合ライン42aは、エアバッグ30の主膨張展開方向に沿って形成されていることが好ましい。
【0110】
また、
図19に示すように、上記インストルメントパネル10の裏面側に、リッド12を囲むようにしてリッド側周壁部14が形成されていてもよい。この場合、エアバッグ30が膨張展開すると、
図20に示すように、リッド側周壁部14の内側で、アウターバッグ40がリッド側周壁部14と膨張展開中のエアバッグ30との間に挟込まれる。そして、最終的には、
図21に示すように、エアバッグ30がインストルメントパネル10の開口を通って外方に大きく突出する。
【0111】
この場合、アウターバッグ40は、リッド側周壁部14と膨張展開中のエアバッグ30との間に挟込まれるため、インストルメントパネル10の内側において、アウターバッグ40が膨張展開中のエアバッグ30を囲む状態がより確実に維持される。このため、インストルメントパネル10の内側において、エアバッグ30がラジアル方向に展開することをより確実に抑制することができる。
【0112】
このようにリッド側周壁部14を設ける場合であっても、アウターバッグ40によってエアバッグ30がラジアル方向に展開することを抑制しているため、リッド側周壁部14の高さを小さくし、或は、その厚みを小さくして軽量化を図ることができる。
【0113】
また、
図22及び
図23に示すように、上記エアバッグ装置20が、アウターバッグ40の内側で折畳まれたエアバッグ30を覆う補助ラップ部材(ラッピングクロス)60を備えていてもよい。ここでは、補助ラップ部材60は、長方形状に形成されており、その両端部に弧状に凹むインフレータ嵌込凹部62が形成されると共に、当該インフレータ嵌込凹部62の周縁部にネジ部25を挿通可能な取付孔62aが形成されている。また、その長手方向中間部に、エアバッグ30の膨張展開によって破断可能な破断ライン64が形成されている。ここでは、破断ライン64は、上記破断ライン45と同様に、直線状の切断線が断続的に形成された構成とされている。
【0114】
上記補助ラップ部材60は、折畳まれたエアバッグ30を覆うように装着され、その両端部がインフレータ22まで引出されている。そして、インフレータ22のネジ部25が取付孔62aに挿通されており、インフレータ22とエアバッグ30、アウターバッグ40との取付構造部分を利用して、補助ラップ部材60がインフレータ22に取付固定されている。
【0115】
この補助ラップ部材60によって、エアバッグ30がより確実に折畳まれた形態に維持される。特に、折畳まれたエアバッグ30をアウターバッグ40内に入れる前の状態で、補助ラップ部材60を装着して、エアバッグ30を折畳んだ状態に維持し、かつ、折畳まれたエアバッグ30からインフレータ22が分離し難いようにすることによって、当該エアバッグ30を容易にアウターバッグ40内に入れることができる。
【0116】
なお、補助ラップ部材60は、上記形状に限られない。例えば、補助ラップ部材60は、折畳まれたエアバッグ30の天井部分から4方の側方部分に沿って延びる十字形状に形成されていてもよい。
【0117】
また、
図24及び
図25に示すように、上記アウターバッグ40がエアバッグ30に直接的に取付けられていてもよい。
【0118】
図24及び
図25に示す例では、インフレータ取付孔43周りで、アウターバッグ40がエアバッグ30に直接的に取付けられている。より具体的には、
図24に示す例では、インフレータ取付孔43を囲む円状の接合部分としての円状縫合部分70を介して、アウターバッグ40がエアバッグ30に直接的に固定されている。また、
図25に示す例では、底部40aの周りの4つの辺に沿った方形状の接合部分としての方形状縫合部分72を介して、アウターバッグ40がエアバッグ30に取付けられている。
【0119】
エアバッグ30に対するアウターバッグ40の縫合は、エアバッグ30を袋状に縫合する前後のいずれに行ってもよいし、また、アウターバッグ40を袋状に縫合する前後のいずれに行ってもよい。
【0120】
図24及び
図25に示す変形例によると、アウターバッグ40がエアバッグ30に直接的に取付けられているため、インフレータ22を取付ける前の製造途中状態で、エアバッグ30(或はその成形用のシート状部材)とアウターバッグ40(或はその成形用のシート状部材)とを一体的な構成部品として取扱うことができ、作業工程上便利である。
【0121】
特に、アウターバッグ40の底部40aがエアバッグ30に取付けられているため、取付け後におけるアウターバッグ40の加工が容易である。また、インフレータ取付孔43の周囲でエアバッグ30がアウターバッグ40に取付けられているため、エアバッグ30がインフレータ22周りを固定箇所として安定して膨張展開することができる。
【0122】
また、
図24に示す例においては、円状縫合部分70を介してエアバッグ30がアウターバッグ40に直接的に固定されているため、エアバッグ30の膨張展開力が当該円状縫合部分70に作用すると、当該力は円状縫合部分70に対してその延在方向に分散する。このため、アウターバッグ40とエアバッグ30とが外れ難くなる。
【0123】
また、
図25に示す例においては、アウターバッグ40とエアバッグ30とが方形状縫合部分72を介して縫合されているため、アウターバッグ40の底部40aが方形形状を維持し易い。このため、アウターバッグ40が直方体箱状を維持し易くなる。
【0124】
また、エアバッグ装置20は、リッド12の外周囲に立設されたリッド側周壁部に連結固定されていてもよい。この場合、
図26に示す変形例のように、インストルメントパネル110に組込まれるリッドパネル110Bと上記エアバッグ装置20に相当するエアバッグ装置120とが連結固定された構成とするとよい。
【0125】
すなわち、インストルメントパネル110は、車体に固定されるインストルメントパネル本体110Aと、そのインストルメントパネル本体110Aに取付けられるリッドパネル110Bとを有している。インストルメントパネル本体110Aには、開口(ここでは略方形開口)が形成されており、当該開口にリッドパネル110Bが嵌込み固定されている。リッドパネル110Bの固定は、例えば、リッドパネル110Bに形成された係合部110Baをインストルメントパネル本体110Aに形成された被係合部(図示省略)に係合させること等により行われる。
【0126】
リッドパネル110Bは、樹脂等により形成されており、エアバッグ装置120が組込まれるエアバッグ組込パネルとして用いられる。このリッドパネル110Bには、上記リッド12と同様のリッド112が形成されている。リッド112の周囲にはティアライン13が形成されている。
【0127】
リッドパネル110Bの内面には、リッド112の外周囲に立設されたリッド側周壁部114が形成されている。このリッド側周壁部114は、リッド112を外周囲全体に亘って囲っている。但し、リッド側周壁部114は、リッドパネル110Bの主面に対して傾斜しており、インストルメントパネル本体110Aへのリッドパネル110Bの取付状態では、略直下を向くように延出している。また、この状態で、リッド側周壁部114のうち車両前方に位置する一方側の側壁部114A(
図26において左側)の下端部は、車両後方に位置する他方側の側壁部114B(
図26において右側)の下端部よりも上方に位置している。また、各側壁部114A、114Bには、後述するベルト170、172を連結するための取付孔114Ah、114Bhが形成されている。
【0128】
本エアバッグ装置120は、インフレータ22と、エアバッグ30と、アウターバッグ40とを備え、さらにベルト170、172を備えている。
【0129】
図27は、組立途中状態でのアウターバッグ40及びベルト170、172を示す斜視図である。
図26及び
図27に示すように、ベルト170、172は、インフレータ22とリッド側周壁部114とに連結されて、インフレータ22をリッド112の内側の一定位置に保持する部材である。ここでは、ベルト170、172の一端部がインフレータ22に接合され、ベルト170、172の他端部がリッド側周壁部114に形成された取付孔114Ah、114Bhを通って周壁部40bに接合された例について説明する。
【0130】
すなわち、アウターバッグ40の周壁部40bのうちの一つの側面部分に一対のベルト170が接合され、アウターバッグ40の周壁部40bのうちの前記一つの側面部分に対向する他の側面部分に一対のベルト172が接合されている。
【0131】
一対のベルト170は、基端部で一体化され、長手方向中間部で穴部(ここでは基端側から先端側に向けて順次幅狭になる形状)を介して分離され、先端部で切断等により分離された構成とされている。また、一対のベルト170の先端部は、インフレータ22の外周形状に応じた弧状の凹状縁部を有しており、その凹状縁部の外周であってエアバッグ30のガス導入口回りに形成された取付用孔に対応する箇所に取付用孔が形成されている。この一対のベルト170の基端部は、周壁部40bの一つの側面部分の外面に縫合等により接合されており、リッド側周壁部114に対する取付前の状態(
図27参照)では、周壁部40bの一つの側面部分から上方に延出している。
【0132】
また、一対のベルト172は、上記一対のベルト170に対して長さ寸法が異なる点を除いて、当該一対のベルト170と略同様構成を有している。この一対のベルト172の基端部は、周壁部40bのうち前記他の側面部分の外面に縫合等により接合されており、リッド側周壁部114に対する取付前の状態(
図26参照)では、前記他の側面部分から上方に延出している。
【0133】
上記インフレータ22、エアバッグ30及びアウターバッグ40の一体化構造物を、リッドパネル110Bに取付けるための構成について説明する。
【0134】
まず、一対のベルト170及び一対のベルト172それぞれを、リッド側周壁部114の側壁部114A、114Bの取付孔114Ah、114Bhに内側から通しつつ、折畳まれたエアバッグ30及びこれを包むアウターバッグ40とをリッド側周壁部114内に押込む。
【0135】
この後、一対のベルト170及び一対のベルト172それぞれを、リッド側周壁部114の外面からインフレータ22の周囲に向けて折返す。そして、インフレータ22のネジ部25を一対のベルト170及び一対のベルト172の先端側の取付孔に通す。そして、インフレータ22のつば部24に固定ブラケット28を重ね合せた状態で、ナット29をネジ部25に螺合締結する。なお、この状態に至るまで、ナット29をネジ部25に対して緩く締結しておき、必要に応じてナット29を取外せる状態にしておくとよい。これにより、インフレータ22がリッド112に対して一定距離離れた位置で保持されることになる。
【0136】
そして、上記のように、インフレータ22、エアバッグ30及びアウターバッグ40が取付けられたリッドパネル110Bを、インストルメントパネル本体110Aの開口内にその外方から嵌め込むと、本エアバッグ装置120がインストルメントパネル110に組込まれることになる。この際、エアバッグ装置120と車体側部材18との強固な固定構造は不要であるため、エアバッグ装置120を比較的容易に組込むことができる。
【0137】
図28〜
図30は上記エアバッグ装置120の展開動作を示す説明図である。なお、これらの図では、説明の便宜上、リッド側周壁部114の側壁部114A、側壁部114Bを略同高さ位置に示す等、簡略化している。
【0138】
まず、展開動作前の通常状態では、
図28に示すように、折畳まれたエアバッグ30は、リッド112とインフレータ22との間に配設されている。この状態では、リッド側周壁部114は、折畳まれたエアバッグ30の上端部を周囲四方から取囲んでいる。また、アウターバッグ40の周壁部40bは、折畳まれたエアバッグ30を周囲四方から取囲んでいる。
【0139】
この状態で、インフレータ22からのガスがエアバッグ30内に導入されると、
図29に示すように、エアバッグ30は、リッド112とリッド側周壁部114とインフレータ22とで囲まれる空間内で膨張を開始する。
【0140】
この際、エアバッグ30の主膨張展開方向(インフレータ22からリッド112に向う方向)では、ベルト170、172によって、インフレータ22はリッド112に対して一定距離離れた位置で保持されているため、エアバッグ30の突出方向の膨張展開力は、リッド112が割開く力として作用する。
【0141】
この際、上記実施形態の場合と同様に、エアバッグ30は、その主膨張展開方向(インフレータ22からリッド112に向う方向)を中心としてその周囲に向うラジアル方向にも膨張展開しようとする。そして、リッド側周壁部114が存在する部分では、膨張展開しようとするエアバッグ30は、リッド側周壁部114の内面に向けて押付けられるので、エアバッグ30とリッド側周壁部114との間で周壁部40bが挟込まれるように保持される。また、周壁部40bのうちリッド側周壁部114とインフレータ22との間に介在する部分が、膨張展開しようとするエアバッグ30のうちのインフレータ22近傍部分を周囲全体に亘って受止めることになり、エアバッグ30がリッド側周壁部114とインフレータ22との間でラジアル方向に広がるように外方に膨張展開してしまうことを抑制することができる。
【0142】
そして、リッド112が割開かれると、
図30に示すように、エアバッグ30がインストルメントパネル110の開口を通って外方に膨張展開する。この状態でも、周壁部40bエアバッグ30とリッド側周壁部114との間に挟込まれる構成によって、周壁部40bがリッド側周壁部114に部分的に重複した状態が維持される。これにより、上記と同様に、周壁部40bうちリッド側周壁部114とインフレータ22との間に介在する部分が、膨張展開するエアバッグ30のうちのインフレータ22近傍部分を周囲全体に亘って受止めて、エアバッグ30がリッド側周壁部114とインフレータ22との間でラジアル方向に広がることを抑制する。
【0143】
そして、エアバッグ30がインストルメントパネル110と助手席乗員との間に膨張展開することで、助手席乗員を受止めて衝撃を吸収する。
【0144】
このように構成されたエアバッグ装置120によると、上記実施形態と同様に、リッド側周壁部114とインフレータ22との間で、エアバッグ30がラジアル方向に広がってしまうことを抑制しつつ、なるべく軽量化することができるという作用効果を得ることができる。
【0145】
また、インフレータ22を主としてベルト170、172によってリッド112の内側一定位置に保持するため、インフレータ22の保持構成をより軽量化することができる。
【0146】
しかも、ベルト170、172の基端部が取付孔114Ah、114Bhを通って周壁部40bに接合されているため、周壁部40bは、膨張展開中のエアバッグ30とリッド側周壁部114との間から抜出難くなる。これにより、周壁部40bがより確実にリッド側周壁部114とインフレータ22との間により確実に維持され、その間部分でのエアバッグ30のラジアル方向への広がりをより確実に抑制することができる。
【0147】
また、ベルト170、172によってインフレータ22を、リッド112の内側の一定位置に固定しているため、インフレータ22と車体側部材との固定構造を簡略化或は省略することができる。これにより、例えば、インストルメントパネル本体110Aに対して、インフレータ22、エアバッグ30等を取付けたリッドパネル110Bを取付ければよいため、インストルメントパネル110へのエアバッグ装置120の組込作業が容易となる。
【0148】
なお、上記ベルト170、172自体の主機能は、リッド112に対するインフレータ22の位置を一定に保持することである。このため、ベルト170、172は、エアバッグ30の外周回り全体に連続的に存在するのではなく、エアバッグ30の外周回りに間欠的に少なくとも2カ所(ここでは、エアバッグ30回りの4カ所)に存在していればよい。
【0149】
また、ベルトを、リッド側周壁部に連結する構成は、上記例に限られない。
【0150】
例えば、
図31に示すように、ベルト270、272の長手方向中間部がリッド側周壁部114の側壁部114A、114Bに形成された取付孔114Ah、114Bhに通され、ベルト270、272の両端部がインフレータ22に接合された構成であってもよい。
【0151】
この場合でも、
図32及び
図33に示すように、ベルト270、272は、上記の場合と同様に、エアバッグ30の膨張展開時に、リッド112から一定位置にインフレータ22を保持する。従って、上記の場合と同様に、リッド側周壁部114とインフレータ22との間で、エアバッグ30がラジアル方向に広がってしまうことを抑制しつつ、なるべく軽量化することができるという作用効果を得ることができる。
【0152】
また、ベルト270、272の両端部をインフレータ22に接合すればよいため、アウターバッグに縫合等による接合する作業が不要となり、その接合構造を簡易化することができる。
【0153】
また、例えば、
図34に示すように、ベルト370、372の基端部をインフレータ22に接合し、ベルト370、372の他端部を、フック374を介して側壁部114A、114Bに形成された取付孔114Ah、114Bhに係止固定するようにしてもよい。フック374としては、例えば、金属板材を略U字状に折曲げた部材を用いることができ、ベルト370、372の他端部とフック374との接合構造としては、縫合、カシメ等による挟み込み構造、他のクリップ部材等を用いた構成を採用することができる。また、フック374は、ここでは、側壁部114A、114Bの外面から取付孔114Ah、114Bhに係止される。
【0154】
この変形例の場合でも、
図35及び
図36に示すように、ベルト370、372は、上記の場合と同様に、エアバッグ30の膨張展開時に、リッド112から一定位置にインフレータ22を保持する。従って、上記の場合と同様に、リッド側周壁部114とインフレータ22との間で、エアバッグ30がラジアル方向に広がってしまうことを抑制しつつ、なるべく軽量化することができるという作用効果を得ることができる。
【0155】
また、ベルト370、372の両端部のフック374をインフレータ22に側壁部114A、114Bに形成された取付孔114Ah、114Bhに引っ掛けるようにして比較的容易に係止して接合することができる。
【0156】
また、例えば、上記ベルト370、372にベルト長調整機構を組込めば、ベルト370、372が比較的長い状態でフック374を取付孔114Ah、114Bhに容易に引っ掛けることができ、また、この後、ベルト370、372の長さを短くすれば、インフレータ22を一定位置に保持することができる。
【0157】
また、エアバッグ30が膨張する際に、エアバッグ30及びリッド側周壁部114が外方に膨らむことで、ベルト370、372が外方に湾曲するように膨らむと、取付孔114Ah、114Bhに外方から係止されたフック374の基端部が外方に変位し、フック374の先端部が取付孔114Ah、114Bhの周縁部でリッド側周壁部114の内面に強く食込む。これにより、フック374の脱落がより確実に防止される。
【0158】
図37に示す変形例では、シート状部材42に対応するシート状部材242のうち当該シート状部材242を直方体箱状に折った状態で、折畳まれたエアバッグ30の周囲を囲む部分を長くしている。これにより、アウターバッグ40に対応するアウターバッグ240が、膨張展開するエアバッグ30がリッド12を割開いた後に破断ライン45を破断可能な大きさに形成されている(
図40〜
図42参照)。具体的には、アウターバッグ240を形成するシート状部材242のうち破断ライン45の両側方からインフレータ22に達する両部分の長さ寸法M1、M2(
図37参照)が、インフレータ22とアウターバッグ240との取付箇所とリッド12との距離N(
図38参照)よりも大きく設定されていることが好ましい。さらに好ましくは、シート状部材242を直方体箱状に折った状態で、折畳まれたエアバッグ30の周囲を囲む部分の高さ方向の寸法M3、M4が前記距離Nよりも大きく設定されている。
【0159】
上記アウターバッグ240によって折畳まれたエアバッグ30を覆った状態では、アウターバッグ240の高さ方向の一部が余ってしまう。当該余り部分については、
図38に示すように、折畳まれたエアバッグ30上で余らしておいてもよいし、その周囲側方部分で余らしておいてもよい。また、
図39に示すように、アウターバッグ240の余った部分、即ち、破断ライン45の形成箇所を含む天井部分を、折畳まれたエアバッグ30上で折畳んでおいてもよい。
【0160】
上記のように構成されたエアバッグ装置220は、次のように膨張展開する。
【0161】
すなわち、展開動作前の状態では、
図38又は
図39に示すように、折畳まれたエアバッグ30は、リッド12の内側に配設されている。また、アウターバッグ240の周壁部40bは折畳まれたエアバッグ30を周囲四方から覆っており、天井部40cは折畳まれたエアバッグ30の上部を覆っている。
【0162】
この状態で、インフレータ22から発生したガスがエアバッグ30内に導入されると、
図40に示すように、エアバッグ30は、リッド12の内側かつアウターバッグ240内で膨張を開始する。
【0163】
この際、エアバッグ30の主膨張展開方向(インフレータ22からリッド12に向う方向)では、インフレータ固定部材46によりインフレータ22はリッド12に対して一定距離離れた位置で固定されている。このため、膨張を始めたエアバッグ30はアウターバッグ240を介してリッド12の内面に当接し、エアバッグ30の突出方向の膨張展開力は、リッド12のティアライン13を分断する力として作用する。これにより、
図41に示すように、リッド12が割開かれ、インストルメントパネル10に開口が形成される。
【0164】
エアバッグ30がさらに膨張展開すると、エアバッグ30の大きさは、アウターバッグ240内空間よりも大きくなる。すると、エアバッグ30がさらに膨張展開しようとする力によって、アウターバッグ240の破断ライン45が破断される。これにより、アウターバッグ240は、破断ライン45を開口とする筒状に展開可能となり、エアバッグ30は当該開口を通ってさらに外方に大きく膨張展開しようとする。
【0165】
すると、
図42に示すように、エアバッグ30はインストルメントパネル10の開口及びアウターバッグ240の上記開口を通ってインストルメントパネル10の外方に大きく膨張展開する。この際、アウターバッグ240のうち天井部40c及び当該天井部40cの両側の耳部分40dは、周壁部40bよりも、エアバッグ30の膨張展開方向側でエアバッグ30を囲うことができる(
図42参照)。即ち、エアバッグ30の膨張展開により、アウターバッグ240のうち天井部40c及び当該天井部40cの両側の耳部分40dは、インストルメントパネル10の前記開口を通って外方に押出される。そして、エアバッグ30がインストルメントパネル10の開口を通って外方に突出すると、アウターバッグ240のうち天井部40c及び当該天井部40cの両側の耳部分40dは、インストルメントパネル10の開口と膨張展開中のエアバッグ30との間に挟込まれる。特に、アウターバッグ240は、リッド12が割開かれた後に、破断ライン45で破断されるため、アウターバッグ240のうち天井部40c及び当該天井部40cの両側の耳部分40dがインストルメントパネル10の前記開口を通ってより確実に外方に押出される。これにより、エアバッグ30の膨張展開中において、インストルメントパネル10の内側でアウターバッグ240がエアバッグ30の周囲を囲う状態がより確実に維持される。そして、アウターバッグ240のうちインストルメントパネル10の内側に存在する部分が、膨張展開するエアバッグ30のうちインストルメントパネル10の内側に位置する部分を周囲全体に亘って受止めて、エアバッグ30がインストルメントパネル10の内側でラジアル方向に広がることを抑制する。
【0166】
そして、エアバッグ30がインストルメントパネル10と助手席乗員との間に膨張展開することで、助手席乗員を受止めて衝撃を吸収する。
【0167】
この変形例によると、リッド12が割開かれた後、アウターバッグ240の破断ライン45が破断するため、アウターバッグ240は、リッド12を割開くことにより形成された開口の周縁部と膨張展開中のエアバッグ30との間により確実に挟まれる。また、アウターバッグ240のうち破断ライン45の周縁部は、より確実に開口の外方に押出されてリッド12の周囲に被さる。これにより、エアバッグ30がそのラジアル方向に広がることをより確実に抑制できる。また、エアバッグ30とアウターバッグ240との擦れによって摩擦抵抗がマシ、エアバッグ30の突出し量を抑制することができる。さらに、エアバッグ30の展開初期において、エアバッグ30はアウターバッグ240によって包まれて急な膨張が抑制されて大きく広がらないため、乗員がインストルメントパネル10近くに位置している場合等の非正規姿勢対策として有効である。
【0168】
特に、アウターバッグ240を形成するシート状部材242のうち破断ライン45の両側方からインフレータ22に達する両部分の長さ寸法M1、M2が、インフレータ22とアウターバッグ240との取付箇所とリッド12との距離Nよりも大きく設定されているため、上記状態がより確実に実現される。
【0169】
アウターバッグ240のうち折畳まれたエアバッグ30を覆った状態で余る部分が、折畳まれたエアバッグ30上で折畳まれた構成とすることで、膨張展開するエアバッグ30が、アウターバッグ240のうち前記折畳まれた部分をリッド12に向けて押付けるように展開させつつ、リッド12を割開き、その後、破断ライン45を破断させる。このため、アウターバッグ240は、リッド12を割開くことにより形成された開口の周縁部及びその外周囲により確実に広がり、前記開口周縁部と膨張展開するエアバッグ30との間により確実に挟まれる。これにより、エアバッグ30がそのラジアル方向に展開することをより確実に抑制できる。
【0170】
図43及び
図44に示す変形例に係るエアバッグ装置320では、アウターバッグ340のうち、リッド12を割開くことにより形成された開口を越えて延出可能な部分340Bに、リッド12を割開くことにより形成された開口の縁部に交差する方向に沿った補助スリット345Aが形成されている。
【0171】
図45はアウターバッグ340を形成するためのシート状部材342を示しており、
図46は同シート状部材342を用いてアウターバッグ340を形成する途中状態を示している。
【0172】
シート状部材342が、シート状部材42と異なる点は、破断ライン45の途中に、当該破断ライン45に交差(ここでは直交)する補助スリット345Aが形成されている。ここでは、シート状部材342を直方体箱状に折った状態で、その天井部の側辺に沿う方向に補助スリット345Aが形成されている。補助スリット345Aは、その長手方向全体に亘って予め切断されたラインであってもよいし、ミシン目状に部分的に切断され、破断ライン45の破断時に前後して破断されるラインであってもよい。
【0173】
補助スリット345Aは、アウターバッグ340がリッド12を割開くことにより形成された開口を越えて延出した状態で、当該延出した部分340Bの全体、換言すれば、破断ライン45から前記開口に達する部分全体に形成されていることが好ましいが、必ずしもその必要はない。破断ライン45の近傍部分だけに形成されていてもよい。また、アウターバッグ340のうちリッド12を割開くことにより形成された開口を越えない部分にも形成されていてもよい。
【0174】
このエアバッグ装置320によると、エアバッグ30の膨張展開により、アウターバッグ340が破断ライン45で割れた状態で、
図47に示すように、リッド12を割開くことにより形成された開口を越える部分340Bは、前記補助スリット345Aで割れて前記開口の周囲四方部分に覆い被さる。従って、アウターバッグ340の前記部分340Bは、リッド12を割開くことにより形成された開口の外周囲により確実に広がり、前記開口周縁部と膨張展開するエアバッグ30との間により確実に挟まれる。これにより、アウターバッグ340が膨張展開中のエアバッグ30を囲う状態をより確実に維持でき、エアバッグ30がそのラジアル方向に展開することをより確実に抑制できる。
【0175】
なお、上記例では、補助スリット345Aは、リッド12を割開くことにより形成された開口のコーナー部に交差する位置に形成されているが、それ以外の位置、例えば、当該開口の直線部分に対して交差する位置に形成されていてもよい。また、補助スリット345Aは、少なくとも1つ形成されていればよい。
【0176】
図48〜
図50に示す変形例に係るエアバッグ装置420では、アウターバッグ440のうち破断ライン445の一側方からインフレータ22に達する長さP1が、アウターバッグ440のうち破断ライン45の他側方からインフレータ22に達する長さP2よりも大きく設定されている。
【0177】
ここでは、
図49に示すように、アウターバッグ440を形成するためのシート状部材442のうち、当該シート状部材242を直方体箱状に折った状態で、天井面の一方側の長辺に沿った位置に、上記破断ライン445が形成されている。破断ライン445は、上記破断ライン45と同様にエアバッグ30の膨張展開力によって破断可能なラインであり、ここでは、直線状のカット部分が直線状に断続的に形成された構成とされている。
【0178】
また、ここでは、破断ライン445の両側部に当該破断ライン445の一側方側に向う補助破断ライン445Bが形成されている。ここでは、補助破断ライン445Bは、アウターバッグ440を直方体箱状に折った状態で、耳部分40dを形成する一方の折目部分に沿って補助破断ライン445Bが形成されている。この補助破断ライン445Bは、エアバッグ30がアウターバッグ440を上記破断ライン445で破断させる際に一緒に破断し、もって、アウターバッグ440に対してエアバッグ30膨張展開用の開口を大きく広げる役割を果す。また、補助破断ライン445Bは、アウターバッグ440がリッド12を割開くことにより形成された開口を越えて延出した状態で、当該延出した部分に、前記開口を横切るように形成されており、上記補助スリット345Aと同様の役割をも果す。補助破断ライン445Bは、直線状のカット部分が連続して形成された部分であっても、断続的に形成された部分であってもよい。
【0179】
この変形例によると、
図51及び
図52に示すように、エアバッグ30の膨張展開方向をコントロールする役割を果す。
【0180】
すなわち、本エアバッグ装置420をインストルメントパネル10に組込む際に、
図51に示すように、破断ライン445が上側に位置するようにする。すると、エアバッグ30は上側にある破断ライン445を通って膨張展開するため、斜め上方向きに膨張展開しやすくなる。
【0181】
逆に、本エアバッグ装置420をインストルメントパネル10に組込む際に、
図52に示すように、破断ライン445が下側に位置するようにする。すると、エアバッグ30は下側にある破断ライン445を通って膨張展開するため、斜め下方向きに膨張展開しやすくなる。
【0182】
このため、インストルメントパネル10の形状、大きさ、組込位置、これらに対する乗員のポジションに等に応じて、適切な方向へエアバッグ30を膨張展開させるように、コントロールことができる。例えば、乗員から逃げる方向に膨張展開させることで、乗員の非正規姿勢対策として利用することができる。なお、リッド12が割開かれるタイミングは、破断ライン445の破断の前後のいずれでもよい。
【0183】
また、補助破断ライン445Bによって、アウターバッグ440をより大きく開口させて、エアバッグ30をアウターバッグ440の当該開口から円滑に外方に膨張展開させることができる。もっとも、補助破断ライン445Bは省略されてもよい。
【0184】
図53〜
図55に示す変形例に係るエアバッグ装置520では、
図48〜
図50に示す変形例において、さらに、別の補助破断ライン545Cが形成されている。
【0185】
すなわち、アウターバッグ540のうち折畳まれたエアバッグ30を覆う部分に、上記破断ライン445の中間部の他側方に向う補助破断ライン545Cが形成されている。より具体的には、アウターバッグ540を形成するシート状部材542のうち、直方体箱状に折った状態で折畳まれたエアバッグ30の周囲を囲む部分に、上記破断ライン445の中間部(ここでは中央部)からインフレータ22に向うように、補助破断ライン545Cが形成されている。補助破断ライン545Cは、アウターバッグ540のうち折畳まれたエアバッグ30を加工周囲部分の途中に達する程度の長さに形成されている。補助破断ライン545Cは、直線状のカット部分が連続して形成された部分であっても、断続的に形成された部分であってもよい。
【0186】
なお、ここでは、
図37に示す変形例と同様に、シート状部材542のうち当該シート状部材542を直方体箱状に折った状態で、折畳まれたエアバッグ30の周囲を囲む部分を長くしている。
【0187】
この変形例によると、
図37に示す変形例と、
図48〜
図50に示す変形例が奏する作用効果に加えて、エアバッグ30を膨張展開させる際に、補助破断ライン545Cによって、アウターバッグ540をより大きく開口させることができる。このため、エアバッグ30がより円滑にアウターバッグ540外に膨張展開させることができるという作用効果を奏する。
【0188】
図56に示す変形例に係るエアバッグ装置620でも、アウターバッグ640のうち破断ライン45の一側方からインフレータ22に達する長さが、アウターバッグ640のうち破断ライン45の他側方からインフレータ22に達する長さよりも大きく設定されている。
【0189】
本変形例では、
図57〜
図62に示すように、アウターバッグ640のうち破断ライン45の他側方からインフレータ22に達する部分に、その長さ寸法を短くするタック部641が形成されている。
【0190】
すなわち、
図57及び
図58に示すように、アウターバッグ640を上記実施形態と同様に、直方体箱状に形成する。
【0191】
そして、
図59及び
図80に示すように、アウターバッグ640のうち折畳まれたエアバッグ30を囲う周壁部であって破断ライン45の他側方部分を上下方向にたくり寄せるようにして部分的に2つ折りし、当該2つ折りした部分を縫い合せて、タック部641を形成する。これにより、アウターバッグ640のうち破断ライン45の他側方からインフレータ22に達する部分を短くできる。
【0192】
図61及び
図62に示すように、2箇所にタック部641を形成することで、アウターバッグ640のうち破断ライン45の他側方からインフレータ22に達する部分をより短くできる。
【0193】
タック部641は、アウターバッグ640を直方体箱状に形成する前に形成されてもよい。
【0194】
かかるエアバッグ装置620によると、
図63〜
図66及びその拡大図である
図67〜
図70に示すように、エアバッグ30の膨張展開方向をコントロールすることができる。
【0195】
すなわち、
図63及び
図67に示す初期状態からエアバッグ30が膨張すると、
図64及び
図68に示すように、エアバッグ30は、アウターバッグ640で包まれた状態でリッド12を割開いて、外方に膨張展開する。
【0196】
この際、アウターバッグ640の組付状態で上方部分にタック部641が形成されていると、当該上方部分で寸法が短く、下方部分で寸法が長く伸長する余裕があるので、アウターバッグ640は上方に向けて膨張する。つまり、エアバッグ30は、アウターバッグ640内に包まれた状態で上方に膨張展開する。
【0197】
やがて、
図65及び
図69に示すように、エアバッグ30はアウターバッグ640の破断ライン45を破ってアウターバッグ640の外方に膨張し、
図66及び
図70に示すように、インストルメントパネル10と乗員との間で膨張展開する。
【0198】
このように、エアバッグ30は、上方を向きつつ膨張展開することができるため、エアバッグ30の展開方向をコントロールすることができる。このため、タック部641を適宜位置に形成することで、インストルメントパネル10の形状、大きさ、組込位置、これらに対する乗員のポジションに等に応じて、適切な方向へエアバッグ30を膨張展開させるように、コントロールことができる。
【0199】
{変形例}
なお、上記実施形態では、エアバッグ装置が助手席用としてインストルメントパネルに組込まれる例で説明したが、適用対象はそれに限られない。例えば、運転席、サイドエアバッグ等、何らかの取付パネルに組込まれ、リッドを割開いて膨張する各種エアバッグに適用し得る。
【0200】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0201】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。