(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1において提案されている構成では、タッチ式センサは、常に入力有効状態にあり、ユーザが使用しない場合でも意図しない接触によって誤操作が起こるおそれがあった。
また、入力有効状態を触感により認識する手段も備えていないため、随時表示部を目視確認する動作が必要となるという問題があった。
【0005】
本発明の課題は、ユーザによって意図的にタッチ式センサの入力状態を切り替えられることが可能であり、かつ、その状態を触感で直感的に認識することができるステアリングスイッチ、及び、ステアリングホイールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0007】
請求項1の発明は、複数の電極(11,12)と、前記電極が接触されたことを検知して電極毎に検知信号を出力する検知手段(15)と、前記検知信号に応じてどの電極が接触されているか否かを判定する接触判定手段(16a)と、を有するタッチ式センサを備え、さらに、前記接触判定手段が前記電極への接触を検出したことに応じて所定の処理を行う接触処理手段(16b)と、前記タッチ式センサによる入力を有効状態と無効状態との間で切り替える有効状態切り替えスイッチ(13,23,33)と、を備え、前記有効状態切り替えスイッチの操作ノブ(13a,23a,33a)は、前記有効状態にあるときに前記複数の電極間の
連続接触を許可する第1の位置と、前記無効状態にあるときに前記複数の電極間の
連続接触を阻止する第2の位置と、の間で移動可能
とし、前記無効状態では前記複数の電極(11,12)への連続接触を妨げるように前記電極の接触面間に位置し、前記有効状態では、前記電極の接触面間から外れた位置に移動可能としたこと、を特徴とするステアリングスイッチ(10,20,30)である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載のステアリングスイッチにおいて、前記接触処理手段(16b)は、前記接触判定手段(16a)が前記複数の電極の異電極間における連続接触を検出したときには、前記異電極間における接触の移動方向に応じた所定の処理を行うこと、を特徴とするステアリングスイッチ(10,20,30)である。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のステアリングスイッチにおいて、前記操作ノブ(13a)は、前記無効状態では前記複数の電極への連続接触を妨げるように前記電極の接触面よりも突出させ、前記有効状態では、前記電極の接触面と略面一になるように没入するように構成されること、を特徴とするステアリングスイッチ(10)である。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のステアリングスイッチにおいて、少なくとも2つの前記電極(11,12)を円弧状に配置し、前記有効状態切り替えスイッチ(13,23,33)を前記2つの電極間に配置したこと、を特徴とするステアリングスイッチ(10,20,30)である。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のステアリングスイッチにおいて、前記複数の電極(11,12)間の操作移動により選択可能な操作対象メニューを表示する表示部(19)を備え、前記表示部において選択された前記操作対象メニューを決定する操作機器切り替えスイッチ(14)と、前記操作機器切り替えスイッチからの入力信号に応じて、選択された前記操作対象メニューを実行、又は、さらにその階層表示がある場合には、次の階層表示に進むことを実行させるメニュー制御手段(16c)と、を備えること、を特徴とするステアリングスイッチ(10,20,30)である。
【0013】
請求項7の発明は、請求項6に記載のステアリングスイッチにおいて、前記操作ノブ(13a,23a,33a)が前記第2の位置にあるとき、前記メニュー制御手段(16c)が前記操作機器切り替えスイッチ(14)の入力を無効にすること、を特徴とするステアリングスイッチ(10,20,30)である。
【0014】
請求項8の発明は、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のステアリングスイッチにおいて、前記操作ノブは、前記第1の位置に移動した後、所定時間が経過すると自動で前記第2の位置へ戻ること、を特徴とするステアリングスイッチである。
【0015】
請求項9の発明は、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載のステアリングスイッチ(10,20,30)を備えるステアリングホイール(1)である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
【0017】
(1)請求項1の発明によれば、ステアリングスイッチは、有効状態切り替えスイッチの操作ノブの位置により、電極の接触操作による所定の処理の有効状態を切り替えられる。また、ユーザは、有効状態切り替えスイッチに触れるだけで操作ノブの位置の違いを識別でき、それに応じた処理の有効状態を瞬時に認識することができる。
【0018】
(2)電極が連続接触された場合の処理として、エアコンの温度設定やオーディオの音量設定等の数量操作が設定可能である。しかし、ステアリングホイール操舵時に電極を意図せずに連続接触したときに、音量等が一気に上がってしまい、ユーザに不快感を与えるおそれがある。請求項2の発明によれば、このようなユーザが煩わしさを覚える連続接触による誤操作を防止することができ、かつ、数量操作を簡単に行える。
【0019】
(3)請求項3の発明によれば、ステアリングスイッチは、電極操作面を沿うように動かした指が有効状態切り替えスイッチへ接触して移動を妨げられたか否かにより、処理の有効状態を目視せず直感的に認識させることができる。
【0020】
(4)請求項4の発明によれば、ステアリングスイッチは、電極の連続接触による処理の有効状態が、電極面を基準にした有効状態切り替えスイッチの操作ノブ位置の突出の有無と連動している。よって、ユーザは、触感により処理の状態をすぐに認識でき、異なる電極の連続接触操作をスムーズに実行することができる。
【0021】
(5)請求項5の発明によれば、ステアリングスイッチは、2つの電極が円弧状に配置されているため、ステアリングホイールを把持したままの指による操作が容易になる。また、これらの電極間にタッチ式センサの有効状態切り替えスイッチがあるため、ユーザは、異なる電極の接触操作と同時に、その操作による処理が有効状態であるか否かを、最低限の指移動で認識することができる。
【0022】
(6)請求項6の発明によれば、ステアリングスイッチは、タッチ式センサの電極とは別に操作機器切り替えスイッチを設けている。よって、ユーザは、電極接触操作と操作機器切り替えスイッチとを組合せて操作することにより、車載機器の操作対象切り替えを容易に行うことができる。
【0023】
(7)ステアリングスイッチは、車載機器の操作対象を切り替える操作機器切り替えスイッチを設けた場合、タッチ式センサと同様にステアリングホイール操舵時の意図しない接触により操作機器切り替えスイッチの誤操作を起こす可能性がある。請求項7記載の発明によれば、ステアリングスイッチは、操作機器切り替えスイッチの状態と、電極接触による処理状態を切り替える有効状態切り替えスイッチの状態を連動させることにより、操作機器切り替えスイッチの誤操作を無くすことができる。
【0024】
(8)請求項8の発明によれば、ステアリングスイッチは、操作ノブが自動的に第2の位置に復帰するので、ユーザが復帰操作を忘れてしまっているような場合にも、その後の誤操作を防止できる。
【0025】
(9)請求項9の発明によれば、上述した各効果を有したステアリングホイールを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。
【0028】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態によるステアリングスイッチを備えるステアリングホイールを示す概略図である。
図1では、ステアリングホイール1を、車両が直進する回転位置で示しており、以下、この位置を直進位置と呼ぶ。
なお、
図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
【0029】
ステアリングホイール1は、スポーク部1aの乗員側の面にステアリングスイッチ10を備えている。なお、本実施形態では、ステアリングスイッチ10は、乗員側からステアリングホイール1に向かって右側(ステアリングホイール1を直進位置にした状態における右側)にのみ設けている。しかし、ステアリングホイール1は、他の位置のスポーク部1b,1c等にもステアリングスイッチ10を有していてもよい。
【0030】
図2は、ステアリングスイッチ10を拡大して示した図である。
ステアリングスイッチ10は、第1の電極11と、第2の電極12と、有効状態切り替えスイッチ13と、操作機器切り替えスイッチ14とを備えている。
【0031】
第1の電極11及び第2の電極12は、ユーザが指Fでタッチして各種機器の操作を行うための操作面を構成しており、後述する検知手段15及び接触判定手段16aを組み合わせてタッチ式センサを形成している。
第1の電極11と第2の電極12は、有効状態切り替えスイッチ13を挟んで左右対称に円弧状に配置されている。この配置により、ユーザは、指Fの自然な動作によってタッチ操作が可能である。
【0032】
有効状態切り替えスイッチ13は、ユーザによる操作によって、第1の位置と第2の位置との間を移動する操作ノブ13aを有したスイッチである。
操作ノブ13aが第1の位置にあるときには、操作ノブ13aの突出側の先端が、第1の電極11及び第2の電極12の操作面(接触面)と略面一、又は、第1の電極11及び第2の電極12の操作面よりも若干凹んだ状態となるように操作面よりも内側へ没入する。また、操作ノブ13aが第1の位置にあるときには、有効状態切り替えスイッチ13は、第1の電極11及び第2の電極12からの入力を有効状態とする。すなわち、操作ノブ13aが第1の位置にあるとき、ステアリングスイッチ10は、タッチ式センサによる操作入力が可能な状態となる。
【0033】
図3は、操作ノブ13aが第1の位置にあるときにユーザが操作を行っている状態を示す図である。
図4は、
図3の状態を断面で示した図である。
操作ノブ13aが第1の位置にあるときには、操作ノブ13aのユーザ側の先端が第1の電極11及び第2の電極12の操作面と同一面となっているので、指Fは、第1の電極11と第2の電極12との間を自由に操作移動することができる。
【0034】
一方、操作ノブ13aが第2の位置にあるときには、操作ノブ13aが、第1の電極11及び第2の電極12の操作面(接触面)よりも突出した状態となる。また、操作ノブ13aが第2の位置にあるときには、有効状態切り替えスイッチ13は、第1の電極11及び第2の電極12からの入力を無効状態とする。よって、操作ノブ13aが第2の位置にあるとき、ステアリングスイッチ10は、タッチ式センサによる操作入力が不可能な状態となる。
【0035】
図5は、操作ノブ13aが第2の位置にあるときにユーザが操作を行おうとしている状態を示す図である。
図6は、
図5の状態を断面で示した図である。
操作ノブ13aが第2の位置にあるときには、操作ノブ13aのユーザ側の先端が第1の電極11及び第2の電極12の操作面よりもユーザ側に突出している。よって、指Fは、第1の電極11から第2の電極12の方向へ操作移動するとき、及び、第2の電極12から第1の電極11の方向へ操作移動するときに、操作ノブ13aに衝突してしまい、電極への連続接触が阻止される。これにより、ユーザは、ステアリングスイッチ10がタッチ式センサによる入力操作が無効な状態にあることを、触感によって知ることができる。また、ユーザがステアリングスイッチ10を操作しようとするときに、操作ノブ13aが突出しているので、目視することなく手探りだけでステアリングスイッチ10の位置を正確に知ることが可能である。
【0036】
このように、有効状態切り替えスイッチ13は、第1の電極11及び第2の電極12からの入力を有効状態と無効状態との間で切り替える。本実施形態では、有効状態切り替えスイッチ13は、第1の電極11及び第2の電極12から、後述する接触処理手段16bへの入力を有効状態とするか、無効状態とするのかを、切り替える。なお、有効状態切り替えスイッチ13は、操作ノブ13aが第2の位置にあるときに、第1の電極11及び第2の電極12への導通を電気的に切断する構成としてもよい。
【0037】
また、有効状態切り替えスイッチ13は、操作ノブ13aを押す力を取り除いても操作ノブ13aが第1の位置にある状態を保持し続ける。そして、有効状態切り替えスイッチ13は、第1の位置にある操作ノブ13aがもう一度押されると、操作ノブ13aが突出した第2の位置に復帰する、オルタネイト動作を行う位置保持型のスイッチで構成されている。この構成は、ごく一般的なものであるので、ここでの詳しい構造の説明は省略する。なお、有効状態切り替えスイッチ13には、市販の位置保持型のスイッチを適宜利用することができる。
【0038】
操作機器切り替えスイッチ14は、後述する表示部19に表示されて選択された操作対象メニューを決定するときに操作されるスイッチである。操作機器切り替えスイッチ14は、有効状態切り替えスイッチ13とは異なり、操作力を除去すると自動復帰するモーメンタリ動作を行うスイッチで構成されている。なお、操作機器切り替えスイッチ14は、第1の電極11及び第2の電極12と同様に構成してタッチ式センサとしてもよい。
【0039】
図7は、ステアリングスイッチ10の内部構成を説明するブロック図である。
ステアリングスイッチ10は、先に説明した構成の他に、検知手段15と、マイコン16と、出力部17と、電源部18とを備えている。
【0040】
検知手段15は、第1の電極11又は第2の電極12のいずれかが指Fにより接触されたことを検知して、電極毎に検知信号を出力する。検知手段15には、コンパレータ15a,15bと、積分回路15c,15dと、抵抗R1からR6等が設けられ、検知信号を電極毎にマイコン16のA/D入力部に出力する。
【0041】
マイコン16は、ステアリングスイッチ10の動作を制御する制御部である。マイコン16は、接触判定手段16aと、接触処理手段16bと、メニュー制御手段16cとを備えている。
【0042】
接触判定手段16aは、検知手段15からの検知信号に応じてどの電極が接触されているか否かを判定する。接触判定手段16aは、上記判定の結果を接触処理手段16bへ送る。
【0043】
接触処理手段16bは、接触判定手段16aが第1の電極11と第2の電極12との少なくとも一方への接触を検出したことに応じて、所定の処理として、エアコン、又は、オーディオ機器への制御信号を出力部17へ出力する。
【0044】
メニュー制御手段16cは、操作機器切り替えスイッチ14からの入力信号に応じて、選択された操作対象メニューを実行、又は、さらにその階層表示がある場合には、次の階層表示に進むことを実行させる。メニュー制御手段16cが実行した処理の情報は、接触処理手段16bに送られる。接触処理手段16bは、決定された操作対象の機器に対応した制御信号を出力する。
また、メニュー制御手段16cは、操作ノブ13aが第2の位置にあるときには、操作機器切り替えスイッチ14の入力を無効にする。これにより、誤操作により意図せず操作対象の機器が切り替わってしまうことを防止できる。
【0045】
出力部17は、エアコン、及び、オーディオ機器に接続されており、接触処理手段16bが出力する制御信号をエアコン、及び、オーディオ機器に伝える。
【0046】
電源部18は、ステアリングスイッチ10の動作に用いる電源であり、本実施形態では、車両に搭載されている蓄電池を利用している。
【0047】
図8は、ステアリングスイッチ10の動作を示すフローチャートである。
ステップ(以下、Sとする)110では、マイコン16は、入力状態切り替えスイッチ13の位置を確認する。入力状態切り替えスイッチ13の操作ノブ13aが第1の位置、すなわち、タッチ式センサを有効状態とする位置にあるときには、S120へ進む。一方、入力状態切り替えスイッチ13の操作ノブ13aが第2の位置、すなわち、タッチ式センサを無効状態とする位置にあるときには、S130へ進む。
【0048】
S120では、マイコン16は、第1の電極11及び第2の電極12から接触処理手段16bへの入力を有効状態とした後、S140へ進む。
【0049】
一方、S130では、マイコン16は、第1の電極11及び第2の電極12から接触処理手段16bへの入力を無効状態とする。このS130の処理を行った後、S110へ戻る。
【0050】
S140では、マイコン16は、表示部19と第1の電極11及び第2の電極12への接触を利用して操作対象の選択を受け付ける。
図9は、表示部19の表示例を示す図である。
表示部19は、例えば、スピードメータの隣等、ユーザが見やすい位置に配置されていることが望ましい。
図9の例では、表示部19には、外気内気切り替えアイコン19aと、送風場所切り替えアイコン19bと、風量切り替えアイコン19cと、温度設定アイコン19dとの4つのアイコンが操作対象メニューとして表示されている。なお、
図9及び後述する
図10では、周囲が黒く囲まれて示されているアイコンが選択されているものとする。よって、
図9(a)は、風量切り替えアイコン19cが選択された状態を示し、
図9(b)は、外気内気切り替えアイコン19aが選択された状態を示し、
図9(c)は、送風場所切り替えアイコン19bが選択された状態を示し、
図9(d)は、温度設定アイコン19dが選択された状態を示している。なお、上述したエアコンに関連するメニューを選択する画面の上位階層のメニューとして、例えば、操作対象をオーディオ機器とエアコンとの間で選択するためのメニュー表示を有していてもよい。
【0051】
S140では、マイコン16は、操作対象の選択を受け付ける。ユーザが第1の電極11から第2の電極12へと指Fを移動させると、メニュー制御手段16cは、表示部19におけるメニューのアイコン選択状態が、
図9(a)から
図9(b)、
図9(c)、
図9(d)と順次変化させる。これにより、ユーザは、所望のアイコンを選択できる。
【0052】
図8に戻って、S150では、メニュー制御手段16cは、操作機器切り替えスイッチ14が押されたか否かの判断を行う。操作機器切り替えスイッチ14が押された場合には、S160へ進む。
操作機器切り替えスイッチ14が押されていない場合には、S140へ戻り、操作対象の選択の受け付けを継続する。
【0053】
S150では、メニュー制御手段16cは、操作機器切り替えスイッチ14からの入力信号を受けて、そのときに選択されている操作対象メニューを決定する。また、さらにその階層表示がある場合には、メニュー制御手段16cは、次の階層表示に進める。
【0054】
S160では、接触判定手段16aは、第1の電極11と第2の電極12とのいずれかに指Fの接触(タッチ)があるか否かの判断を行う。指Fの接触(タッチ)がある場合には、S180へ進む。一方、指Fの接触(タッチ)がない場合には、S110へ戻る。
【0055】
S180では、異電極間、すなわち、第1の電極11と第2の電極12との間での連続接触後、所定時間、いずれかの電極に接触が継続しているか否かの判断を行う。接触が継続している場合には、S190へ進み、接触が継続していない、すなわち、指Fがいずれの電極からも離れている場合には、S200へ進む。
【0056】
S190では、接触処理手段16bは、選択された操作対象(機能)を制御する信号として、連続遷移動作を行う指示を操作対象機器へ出力する。
図10は、送風場所切り替えアイコン19bが選択された場合の設定の変化に対応する表示部19の表示例を示す図である。
図10(a)は、送風が正面に向く設定の場合を示す。
図10(b)は、送風が正面と足下に向く設定の場合を示す。
図10(c)は、送風が足下に向く設定の場合を示す。
図10(d)は、送風が正面ウィンドウと足下に向く設定の場合を示す。
図10(e)は、自動設定の場合を示す。
接触処理手段16bから連続遷移動作を行う指示が出力された場合には、
図10(a)から
図10(b)、
図10(c)、
図10(d)、
図10(e)と自動的に設定が順次変化する。また、例えば、操作対象が温度設定である場合には、設定温度を連続的に増加、又は、減少させるように制御信号を出力する。なお、設定の移動方向、及び、数値等を増加させるか、減少させるかは、指Fが第1の電極11から第2の電極12へ移動したのか、その逆方向なのかによって決められる。
【0057】
図8に戻って、S200では、接触処理手段16bは、選択された操作対象(機能)を制御する信号として、インクリメント動作を行う指示を操作対象機器へ出力する。
図10の例では、タッチ操作前に
図10(a)の状態であったとすると、
図10(b)の設定に1つだけ移動する。また、例えば、操作対象が温度設定である場合には、設定温度を1度だけ増加、又は、減少させるように制御信号を出力する。なお、設定の移動方向、及び、数値等を増加させるか、減少させるかは、指Fが第1の電極11から第2の電極12へ移動したのか、その逆方向なのかによって決められる。
【0058】
なお、上述した例では、異電極間における連続接触がなされた場合についてのみ操作対象を制御することができる例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、第1の電極11と第2の電極12とのいずれか一方だけに指Fが接触した場合についても、操作対象を制御することができるようにしてもよい。
【0059】
以上説明したように、本実施形態によれば、ステアリングスイッチ10は、操作ノブ13aが突出する有効状態切り替えスイッチ13を備えたので、ユーザによって意図的にタッチ式センサの入力状態を切り替えられることが可能である。よって、ステアリングスイッチ10は、誤作動を防止できる。また、ステアリングスイッチ10は、操作ノブ13aが移動するので、ユーザは、有効状態切り替えスイッチ13の切り替え状態を目視することなく触感で直感的に認識することができる。
【0060】
(第2実施形態)
図11は、第2実施形態のステアリングスイッチ20を示す図である。
第2実施形態のステアリングスイッチ20は、有効状態切り替えスイッチ23の形態が第1実施形態のステアリングスイッチ10の有効状態切り替えスイッチ13と異なる他は、同様な形態をしている。よって、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0061】
第2実施形態の有効状態切り替えスイッチ23の操作ノブ23aは、第1の電極11及び第2の電極12の操作面に平行な方向にスライド移動可能に設けられている。より具体的には、操作ノブ23aは、第1の電極11と第2の電極12との間から退避した、
図11中で破線により示した第1の位置と、第1の電極11と第2の電極12との間の位置であって、
図11中で実線により示した第2の位置との間をスライド移動可能に設けられている。操作ノブ23aの移動は、手動操作により行われる。
【0062】
操作ノブ23aが第1の位置にあるときには、第1実施形態の場合と同様に、第1の電極11と第2の電極12との間を指Fが自由に移動可能である。このとき、第1の電極11及び第2の電極12からの入力が有効状態となる。
操作ノブ23aが第2の位置にあるときには、第1実施形態の場合と同様に、操作ノブ23aが障害物となって、第1の電極11と第2の電極12との間での指Fの移動が阻止される。このとき、第1の電極11及び第2の電極12からの入力が無効状態となる。
【0063】
以上説明した第2実施形態によれば、第1実施形態と同様な効果を、第1実施形態とは異なる操作方法により実現できる。
【0064】
(第3実施形態)
図12は、第3実施形態のステアリングスイッチ30を示す図である。
第3実施形態のステアリングスイッチ30も、有効状態切り替えスイッチ33の形態が第1実施形態のステアリングスイッチ10の有効状態切り替えスイッチ13と異なる他は、同様な形態をしている。よって、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0065】
第3実施形態の有効状態切り替えスイッチ33の操作ノブ33aは、第1の電極11及び第2の電極12の操作面に平行な面に直交する軸33bを中心として回転移動可能に設けられている。より具体的には、操作ノブ33aは、第1の電極11と第2の電極12との間から退避した、
図12中で破線により示した第1の位置と、第1の電極11と第2の電極12との間の位置であって、
図12中で実線により示した第2の位置との間を回転移動可能に設けられている。操作ノブ23aの移動は、手動操作により行われる。
【0066】
操作ノブ33aが第1の位置にあるときには、第1実施形態の場合と同様に、第1の電極11と第2の電極12との間を指Fが自由に移動可能である。このとき、第1の電極11及び第2の電極12からの入力が有効状態となる。
操作ノブ33aが第2の位置にあるときには、第1実施形態の場合と同様に、操作ノブ33aが障害物となって、第1の電極11と第2の電極12との間での指Fの移動が阻止される。このとき、第1の電極11及び第2の電極12からの入力が無効状態となる。
【0067】
以上説明した第3実施形態によれば、第1実施形態と同様な効果を、第1実施形態及び第2実施形態とは異なる操作方法により実現できる。
【0068】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
【0069】
(1)各実施形態において、操作ノブ(13a,23a,33a)は、手動操作によって第1の位置(有効状態)から第2の位置(無効状態)に移動させる例を挙げて説明した。これに限らず、たとえば、操作ノブが第1の位置(有効状態)になった後、所定時間が経過すると第2の位置(無効状態)に操作ノブが自動復帰するように構成してもよい。自動復帰させるための構成としては、電動のアクチュエータを用いてもよいし、ゼンマイ等の蓄力式のアクチュエータと係止構造とを組み合わせて用いてもよく、適宜公知技術を適用可能である。
【0070】
(2)各実施形態において、ステアリングスイッチ(10,20,30)による操作対象がエアコンとオーディオ機器である例を挙げて説明した。これに限らず、たとえば、ナビゲーション機器、携帯電話、車両の運転モードの切り換え等、ステアリングスイッチによる操作対象は、どのような内容であってもよい。
【0071】
(3)各実施形態において、ステアリングスイッチ(10,20,30)は、2つの電極を備えている例を挙げて説明した。これに限らず、たとえば、電極の数は、3つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0072】
(4)各実施形態において、表示部19における機能選択を操作機器切り替えスイッチ14で行うようにしてもよい。例えば、操作切り替えスイッチ14を押すことにより、操作したい機能のアイコン状態を選択(
図9のアイコンの周囲が黒く囲まれて示されている状態が遷移する)され、その下位階層の操作(
図10)を電極へのタッチ操作で行うようにしてもよい。
【0073】
なお、第1実施形態〜第3実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は、以上説明した各実施形態によって限定されることはない。