特許第6091842号(P6091842)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6091842居住者見守り装置、居住者見守りプログラム及び居住者の見守り方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6091842
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】居住者見守り装置、居住者見守りプログラム及び居住者の見守り方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20170227BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20170227BHJP
   G08B 13/19 20060101ALI20170227BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   G08B25/04 K
   G08B21/02
   G08B13/19
   H04M11/00 301
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-237504(P2012-237504)
(22)【出願日】2012年10月29日
(65)【公開番号】特開2014-89494(P2014-89494A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2015年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】511019281
【氏名又は名称】株式会社システムクラフト
(74)【代理人】
【識別番号】100117592
【弁理士】
【氏名又は名称】土生 哲也
(72)【発明者】
【氏名】谷津 明
【審査官】 山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−096630(JP,A)
【文献】 特開2002−149824(JP,A)
【文献】 特開2006−146827(JP,A)
【文献】 特開2005−056261(JP,A)
【文献】 特開2008−244636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00− 5/01
5/06− 5/22
A61G 9/00−15/12
99/00
G06F 19/00
G06Q 10/00−10/10
30/00−30/08
50/00−50/20
50/26−99/00
G08B 13/00−15/02
19/00−31/00
H04M 3/00
3/16− 3/20
3/38− 3/58
7/00− 7/16
11/00−11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人感センサと加速度センサを用いて住居における居住者の生活状況を見守るための居住者見守り装置であって、
居住者の住居に設置された人感センサの検出した検出時が特定された人感センサデータと、居住者が装着する加速度センサの検出した検出時が特定された加速度センサデータとを受信する受信手段と、
前記受信手段の受信した検出時が特定された人感センサデータから、ある時間における居住者の居場所を推定する第1の推定手段と、
前記受信手段の受信した検出時が特定された加速度センサデータから、発生時が特定された居住者の動作を推定する第2の推定手段と、
前記第1の推定手段が推定した居住者がある居場所にいる時間において、前記居住者について発生した前記第2の推定手段の推定した動作(動作が推定できない場合も含む)から、前記居住者の行動若しくは状態、又は前記居住者の住居において発生したイベントの少なくとも一つが生じていると判断する判断手段と、
を備え
前記判断手段は、前記第1の推定手段が、人感センサデータが検出されていないことから、居住者が住居にいないと推定した時間帯に、前記第2の推定手段が、前記時間帯に検出されている加速度センサデータから前記居住者の住居における何らかの動作を推定すれば、前記居住者は住居にいると判断すること
を特徴とする居住者見守り装置。
【請求項2】
人感センサと加速度センサを用いて住居における居住者の生活状況を見守るための居住者見守り装置であって、
居住者の住居に設置された人感センサの検出した検出時が特定された人感センサデータと、居住者が装着する加速度センサの検出した検出時が特定された加速度センサデータとを受信する受信手段と、
前記受信手段の受信した検出時が特定された人感センサデータから、ある時間における居住者の居場所を推定する第1の推定手段と、
前記受信手段の受信した検出時が特定された加速度センサデータから、発生時が特定された居住者の動作を推定する第2の推定手段と、
前記第1の推定手段が推定した居住者がある居場所にいる時間において、前記居住者について発生した前記第2の推定手段の推定した動作(動作が推定できない場合も含む)から、前記居住者の行動若しくは状態、又は前記居住者の住居において発生したイベントの少なくとも一つが生じていると判断する判断手段と、
を備え
前記判断手段は、前記第1の推定手段が、居住者が住居にいると推定した場合であっても、前記第2の推定手段が、前記第1の推定手段によって居住者がいると推定された時間に加速度センサデータが検出されておらず、前記居住者の住居における動作を推定できない場合は、前記居住者以外の侵入者が住居に侵入したと判断すること
を特徴とする居住者見守り装置。
【請求項3】
前記判断手段は、前記第1の推定手段が、居住者が住居にいると推定した場合であっても、前記第2の推定手段が、前記第1の推定手段によって居住者がいると推定された時間に加速度センサデータが検出されておらず、前記居住者の住居における動作を推定できない場合は、前記居住者以外の侵入者が住居に侵入したと判断すること
を特徴とする請求項1記載の居住者見守り装置。
【請求項4】
人感センサと加速度センサを用いて住居における居住者の生活状況を見守るための居住者見守りプログラムであって、コンピュータに、
居住者の住居に設置された人感センサの検出した検出時が特定された人感センサデータと、居住者が装着する加速度センサの検出した検出時が特定された加速度センサデータとを受信する受信ステップと、
前記受信ステップで受信され検出時が特定された人感センサデータから、ある時間における居住者の居場所を推定する第1の推定ステップと、
前記受信ステップで受信された検出時が特定された加速度センサデータから、発生時が特定された居住者の動作を推定する第2の推定ステップと、
前記第1の推定ステップで推定した居住者がある居場所にいる時間において、前記居住者について発生した前記第2の推定ステップで推定した動作(動作が推定できない場合を含む)から、前記居住者の行動若しくは状態、又は前記居住者の住居において発生したイベントの少なくとも一つが生じていると判断する判断ステップと、
を実行させ
前記判断ステップでは、前記第1の推定ステップで、人感センサデータが検出されていないことから、居住者が住居にいないと推定した時間帯に、前記第2の推定ステップで、前記時間帯に検出されている加速度センサデータから前記居住者の住居における何らかの動作を推定すれば、前記居住者は住居にいると判断すること
を特徴とする居住者見守りプログラム。
【請求項5】
人感センサと加速度センサを用いて住居における居住者の生活状況を見守るための居住者見守りプログラムであって、コンピュータに、
居住者の住居に設置された人感センサの検出した検出時が特定された人感センサデータと、居住者が装着する加速度センサの検出した検出時が特定された加速度センサデータとを受信する受信ステップと、
前記受信ステップで受信され検出時が特定された人感センサデータから、ある時間における居住者の居場所を推定する第1の推定ステップと、
前記受信ステップで受信された検出時が特定された加速度センサデータから、発生時が特定された居住者の動作を推定する第2の推定ステップと、
前記第1の推定ステップで推定した居住者がある居場所にいる時間において、前記居住者について発生した前記第2の推定ステップで推定した動作(動作が推定できない場合を含む)から、前記居住者の行動若しくは状態、又は前記居住者の住居において発生したイベントの少なくとも一つが生じていると判断する判断ステップと、
を実行させ
前記判断ステップでは、前記第1の推定ステップで、居住者が住居にいると推定した場合であっても、前記第2の推定ステップで、前記第1の推定ステップにおいて居住者がいると推定された時間に加速度センサデータが検出されておらず、前記居住者の住居における動作を推定できない場合は、前記居住者以外の侵入者が住居に侵入したと判断すること
を特徴とする居住者見守りプログラム。
【請求項6】
人感センサと加速度センサを用いて住居における居住者の生活状況を見守るための居住者見守り方法であって、
コンピュータが、居住者の住居に設置された人感センサの検出した検出時が特定された人感センサデータと、居住者が装着する加速度センサの検出した検出時が特定された加速度センサデータとを受信する受信ステップと、
前記コンピュータが、前記受信ステップで受信され検出時が特定された人感センサデータから、ある時間における居住者の居場所を推定する第1の推定ステップと、
前記コンピュータが、前記受信ステップで受信された検出時が特定された加速度センサデータから、発生時が特定された居住者の動作を推定する第2の推定ステップと、
前記コンピュータが、前記第1の推定ステップで推定した居住者がある居場所にいる時間において、前記居住者について発生した前記第2の推定ステップで推定した動作(動作が推定できない場合を含む)から、前記居住者の行動若しくは状態、又は前記居住者の住居において発生したイベントの少なくとも一つが生じていると判断する判断ステップと、
を有し、
前記判断ステップにおいて、前記コンピュータは、前記第1の推定ステップで、人感センサデータが検出されていないことから、居住者が住居にいないと推定した時間帯に、前記第2の推定ステップで、前記時間帯に検出されている加速度センサデータから前記居住者の住居における何らかの動作を推定すれば、前記居住者は住居にいると判断すること
することを特徴とする居住者の見守り方法。
【請求項7】
人感センサと加速度センサを用いて住居における居住者の生活状況を見守るための居住者見守り方法であって、
コンピュータが、居住者の住居に設置された人感センサの検出した検出時が特定された人感センサデータと、居住者が装着する加速度センサの検出した検出時が特定された加速度センサデータとを受信する受信ステップと、
前記コンピュータが、前記受信ステップで受信され検出時が特定された人感センサデータから、ある時間における居住者の居場所を推定する第1の推定ステップと、
前記コンピュータが、前記受信ステップで受信された検出時が特定された加速度センサデータから、発生時が特定された居住者の動作を推定する第2の推定ステップと、
前記コンピュータが、前記第1の推定ステップで推定した居住者がある居場所にいる時間において、前記居住者について発生した前記第2の推定ステップで推定した動作(動作が推定できない場合を含む)から、前記居住者の行動若しくは状態、又は前記居住者の住居において発生したイベントの少なくとも一つが生じていると判断する判断ステップと、
を有し、
前記判断ステップにおいて、前記コンピュータは、前記第1の推定ステップで、居住者が住居にいると推定した場合であっても、前記第2の推定ステップで、前記第1の推定ステップにおいて居住者がいると推定された時間に加速度センサデータが検出されておらず、前記居住者の住居における動作を推定できない場合は、前記居住者以外の侵入者が住居に侵入したと判断すること
することを特徴とする居住者の見守り方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生活状況の見守りが必要な高齢者などを対象にして、人感センサと加速度センサを用いて住居における居住者の行動等を見守るための居住者見守り装置、居住者見守りプログラム及び居住者の見守り方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高齢化社会の進展に伴い、一人暮らしの高齢者や、高齢者が多数入居する介護施設等において、高齢者の生活状況の見守りが重要な社会問題となっている。こうした高齢者の見守りのニーズに対し、様々なIT技術を活用することが可能と考えられる。
【0003】
例えば、住居における人の存在を確認するのには人感センサが有効であることから、人感センサを活用した居住者の監視システムが提供されており(例えば、特許文献1の従来技術、特許文献2等参照)、高齢者等の見守りに人感センサを活用することが可能である。
【0004】
また、高齢者の行動を把握することによって事故が生じていないかを監視する、加速度センサが備えられた携帯型事故監視装置に関する発明や(特許文献3参照)、寝たきりの患者の動きに異常がないかを把握するための、患者に加速度センサを装着させる患者異常通知システムに関する発明が開示されており(特許文献4参照)、高齢者等の見守りに加速度センサを活用することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−033767号公報
【特許文献2】特開2012−168911号公報
【特許文献3】特開平10−295649号公報
【特許文献4】特開2008−293301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
人感センサは、住居等の防犯にも多く用いられていて、住居における人の侵入や存在を把握するのに有効である。複数の場所に設置することによって、部屋毎の侵入や退出の状況を把握することも可能である。しかしながら、センサの死角に入ってしまうと、住居に居住者がいても検知することができないこと、センサの監視している場所に居住者がいることは検知できても、その居住者がどのような動きをしているかまでは把握できないことなどが、人感センサを見守りに用いる場合の限界となる。
【0007】
一方の加速度センサは、見守り対象となる居住者に装着すれば、その動作を検知するのには有効であるが、居住者が住居のどの場所にいるのかまで把握することはできない。
【0008】
本発明は、このような課題に対応するためになされたものであり、生活状況の見守りが必要な高齢者などを対象にして、人感センサと加速度センサを有効に組み合わせて住居における居住者の行動を見守るための居住者見守り装置、居住者見守りプログラム及び居住者の見守り方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題に対応する本発明は、人感センサと加速度センサを用いて住居における居住者の生活状況を見守るための居住者見守り装置であって、居住者の住居に設置された人感センサの検出した検出時が特定された人感センサデータと、居住者が装着する加速度センサの検出した検出時が特定された加速度センサデータとを受信する受信手段と、前記受信手段の受信した検出時が特定された人感センサデータから、ある時間における居住者の居場所を推定する第1の推定手段と、前記受信手段の受信した検出時が特定された加速度センサデータから、発生時が特定された居住者の動作を推定する第2の推定手段と、前記第1の推定手段が推定した居住者がある居場所にいる時間において、前記居住者について発生した前記第2の推定手段の推定した動作(動作が推定できない場合も含む)から、前記居住者の行動若しくは状態、又は前記居住者の住居において発生したイベントの少なくとも一つが生じていると判断する判断手段と、を備えることを特徴とする居住者見守り装置である。
【0010】
本発明では、見守り対象となる居住者の住居に設置した人感センサ、居住者が装着する加速度センサの双方から検出したデータを受信し、これらのセンサからそれぞれ推定される情報を組み合わせて居住者の行動等を判断することによって、人感センサ、加速度センサそれぞれ一方のみのデータからは判断することが困難な、居住者に関するより具体的な生活状態に関する情報を収集することが可能になっている。
【0011】
尚、本発明の対象となる住居には、戸建ての住宅、マンション等の集合住宅の他に、介護施設や病院のように、見守り対象となる居住者が実質的に居住している施設が含まれる。居住者が装着する加速度センサは、加速度センサのみの専用装置に限られるものではなく、他の機能も備えた装置に設けられるものであってもよい。本発明において判断される居住者の「行動」には、例えば、居住者が料理をしている、食事をしているといった行動が、居住者の「状態」には、例えば、居住者が浴室で転倒した、具体的な場所はわからないが居住者が住居にいるといった状態が、「居住者の住居において発生したイベント」には、例えば、住居に居住者以外の者が侵入したといったイベントが該当する。
【0012】
また、本発明は、見守り対象となる居住者に関する情報を通知するアドレスを記憶する記憶手段と、前記判断手段が生じていると判断した前記居住者の行動又は状態、ないしは前記居住者の住居において発生したイベントが、所定のルールに該当する場合は、前記居住者に関する情報を通知するアドレスを前記記憶手段から読み出して、前記アドレスを宛先とした通知を送信する送信手段と、を備えることを特徴とすることもできる。
【0013】
このように構成すると、居住者が転倒した、住居に居住者以外の者が侵入したといった緊急時において、留守家族や介護ケアセンターの担当者等への速やかな通報が可能になる。また、居住者が食事をしている、入浴をしているといった日々の生活状況に関する情報を通知することによって、留守家族等に安心を与えることも可能になる。
【0014】
また、本発明は、前記判断手段が生じていると判断した前記居住者の行動又は状態、ないしは前記居住者の住居において発生したイベントを、前記居住者の生活状況に関する情報として格納する格納手段と、前記居住者の生活状況に関する情報の閲覧権限を有する情報閲覧者が操作する端末からのアクセスを受け付けると、前記格納手段に格納された前記居住者の生活状況に関する情報を読み出して、前記端末に送信する送信手段と、を備えることを特徴とすることもできる。
【0015】
このように構成すると、留守家族や介護ケアセンターの担当者等に閲覧権限を設定することによって、これらの者が、過去も含めた居住者の生活状況に関する情報を確認することが可能になる。
【0016】
さらに、本発明は、前記判断手段は、前記第1の推定手段が、人感センサデータが検出されていないことから、居住者が住居にいないと推定した時間帯に、前記第2の推定手段が、前記時間帯に検出されている加速度センサデータから前記居住者の住居における何らかの動作を推定すれば、前記居住者は住居にいると判断すること特徴としてもよい。
【0017】
このように構成すると、居住者が住居にいるのに人感センサの死角に入ってしまったとしても、加速度センサからのデータを検出できている場合には、居住者は住居にいると判断することが可能になる。
【0018】
さらに、本発明は、前記判断手段は、前記第1の推定手段が、居住者が住居にいると推定した場合であっても、前記第2の推定手段が、前記第1の推定手段によって居住者がいると推定された時間に加速度センサデータが検出されておらず、前記居住者の住居における動作を推定できない場合は、前記居住者以外の侵入者が住居に侵入したと判断すること特徴としてもよい。
【0019】
このように構成すると、人感センサによって人が住居にいることが確認されても、加速度センサからのデータを検出できない場合には、居住者は住居にいないはずなので、住居にいるのが居住者以外の者であると判断することが可能になる。
【0020】
本発明は、本発明にかかる居住者見守り装置に備えられる、居住者見守りプログラムとして特定することもできる。
【0021】
本発明にかかる居住者見守りプログラムは、人感センサと加速度センサを用いて住居における居住者の生活状況を見守るための居住者見守りプログラムであって、コンピュータに、居住者の住居に設置された人感センサの検出した検出時が特定された人感センサデータと、居住者が装着する加速度センサの検出した検出時が特定された加速度センサデータとを受信する受信ステップと、前記受信ステップで受信され検出時が特定された人感センサデータから、ある時間における居住者の居場所を推定する第1の推定ステップと、前記受信ステップで受信された検出時が特定された加速度センサデータから、発生時が特定された居住者の動作を推定する第2の推定ステップと、前記第1の推定ステップで推定した居住者がある居場所にいる時間において、前記居住者について発生した前記第2の推定ステップで推定した動作(動作が推定できない場合を含む)から、前記居住者の行動若しくは状態、又は前記居住者の住居において発生したイベントの少なくとも一つが生じていると判断する判断ステップと、を実行させることを特徴とする居住者見守りプログラムである。
【0022】
また、本発明にかかる居住者見守りプログラムは、コンピュータに、前記判断ステップにおいて生じていると判断された前記居住者の行動又は状態、ないしは前記居住者の住居において発生したイベントが、所定のルールに該当する場合は、前記居住者に関する情報を通知するアドレスを見守り対象となる居住者に関する情報を通知するアドレスを記憶する記憶手段から読み出して、前記アドレスを宛先とした通知を送信する送信ステップを実行させることを特徴とすることもできる。
【0023】
また、本発明にかかる居住者見守りプログラムは、コンピュータに、前記判断ステップにおいて生じていると判断された前記居住者の行動又は状態、ないしは前記居住者の住居において発生したイベントを、前記居住者の生活状況に関する情報として格納する格納手段に格納するステップと、前記居住者の生活状況に関する情報の閲覧権限を有する情報閲覧者が操作する端末からのアクセスを受け付けると、前記格納手段に格納された前記居住者の生活状況に関する情報を読み出して、前記端末に送信する送信ステップと、を実行させることを特徴とすることもできる。
【0024】
さらに、本発明にかかる居住者見守りプログラムは、前記判断ステップでは、前記第1の推定ステップにおいて、人感センサデータが検出されていないことから、居住者が住居にいないと推定した時間帯に、前記第2の推定ステップにおいて、前記時間帯に検出されている加速度センサデータから前記居住者の住居における何らかの動作を推定すれば、前記居住者は住居にいると判断すること特徴としてもよい。
【0025】
さらに、本発明にかかる居住者見守りプログラムは、前記判断ステップでは、前記第1の推定ステップにおいて、居住者が住居にいると推定した場合であっても、前記第2の推定ステップにおいて、前記第1の推定ステップで居住者がいると推定された時間に加速度センサデータが検出されておらず、前記居住者の住居における動作を推定できない場合は、前記居住者以外の侵入者が住居に侵入したと判断すること特徴としてもよい。
【0026】
本発明は、本発明にかかる居住者見守り装置によって実行される、居住者の見守り方法として特定することもできる。
【0027】
本発明にかかる居住者の見守り方法は、人感センサと加速度センサを用いて住居における居住者の生活状況を見守るための居住者見守り方法であって、コンピュータが、居住者の住居に設置された人感センサの検出した検出時が特定された人感センサデータと、居住者が装着する加速度センサの検出した検出時が特定された加速度センサデータとを受信する受信ステップと、前記コンピュータが、前記受信ステップで受信され検出時が特定された人感センサデータから、ある時間における居住者の居場所を推定する第1の推定ステップと、前記コンピュータが、前記受信ステップで受信された検出時が特定された加速度センサデータから、発生時が特定された居住者の動作を推定する第2の推定ステップと、前記コンピュータが、前記第1の推定ステップで推定した居住者がある居場所にいる時間において、前記居住者について発生した前記第2の推定ステップで推定した動作(動作が推定できない場合を含む)から、前記居住者の行動若しくは状態、又は前記居住者の住居において発生したイベントの少なくとも一つが生じていると判断する判断ステップと、を有することを特徴とする居住者の見守り方法である。
【0028】
また、本発明にかかる居住者の見守り方法は、前記コンピュータが、前記判断ステップにおいて生じていると判断された前記居住者の行動又は状態、ないしは前記居住者の住居において発生したイベントが、所定のルールに該当する場合は、前記居住者に関する情報を通知するアドレスを見守り対象となる居住者に関する情報を通知するアドレスを記憶する記憶手段から読み出して、前記アドレスを宛先とした通知を送信する送信ステップを有することを特徴とすることもできる。
【0029】
また、本発明にかかる居住者の見守り方法は、前記コンピュータが、前記判断ステップにおいて生じていると判断された前記居住者の行動又は状態、ないしは前記居住者の住居において発生したイベントを、前記居住者の生活状況に関する情報として格納する格納手段に格納するステップと、前記コンピュータが、前記居住者の生活状況に関する情報の閲覧権限を有する情報閲覧者が操作する端末からのアクセスを受け付けると、前記格納手段に格納された前記居住者の生活状況に関する情報を読み出して、前記端末に送信する送信ステップと、を有することを特徴とすることもできる。
【0030】
さらに、本発明にかかる居住者の見守り方法は、前記判断ステップでは、前記コンピュータが、前記第1の推定ステップにおいて、人感センサデータが検出されていないことから、居住者が住居にいないと推定した時間帯に、前記第2の推定ステップにおいて、前記時間帯に検出されている加速度センサデータから前記居住者の住居における何らかの動作を推定すれば、前記居住者は住居にいると判断すること特徴としてもよい。
【0031】
さらに、本発明にかかる居住者の見守り方法は、前記判断ステップでは、前記コンピュータが、前記第1の推定ステップにおいて、居住者が住居にいると推定した場合であっても、前記第2の推定ステップにおいて、前記第1の推定ステップで居住者がいると推定された時間に加速度センサデータが検出されておらず、前記居住者の住居における動作を推定できない場合は、前記居住者以外の侵入者が住居に侵入したと判断すること特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明によると、見守り対象となる居住者の住居に設置した人感センサ、居住者が装着する加速度センサの双方から検出したデータを組み合わせて居住者の行動等を判断することによって、人感センサ、加速度センサそれぞれ一方のみのデータからは判断することが困難な居住者に関するより具体的な生活状態に関する情報を把握することが可能になる。
【0033】
本発明は、一人暮らしの高齢者の見守りの他、高齢者が多数入居する介護施設や病院等における入居者や入院患者の見守りにも好適であり、高齢化社会における社会的なニーズに対して顕著な効果が期待できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の実施形態の概要を示す図である。
図2】本発明において住居に設置される人感センサの配置の一例を示す図である。
図3】本発明において住居に設置される人感センサから受信したデータから、時間帯毎の居住者の居場所を推定した結果の一例を示す図である。
図4】本発明にかかる居住者見守り装置の構成の一例を示すブロック図である。
図5】本発明にかかる居住者見守り装置の処理フローを示す第1のフローチャートである。
図6】本発明にかかる居住者見守り装置の処理フローを示す第2のフローチャートである。
図7】本発明にかかる居住者見守り装置よって、人感センサデータから推定した居住者の居場所と加速度センサデータから推定した居住者の動作から、居住者の行動等を判断する第1の例を示す図である。
図8】本発明にかかる居住者見守り装置よって、人感センサデータから推定した居住者の居場所と加速度センサデータから推定した居住者の動作から、居住者の行動等を判断する第2の例を示す図である。
図9】本発明にかかる居住者見守り装置よって、人感センサデータから推定した居住者の居場所と加速度センサデータから推定した居住者の動作から、居住者の行動等を判断する第3の例を示す図である。
図10】本発明にかかる居住者見守り装置よって、人感センサデータから推定した居住者の居場所と加速度センサデータから推定した居住者の動作から、居住者の行動等を判断する第4の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明を実施するための形態について、図面を用いて以下に詳細に説明する。尚、以下の説明では、本発明を一人暮らしの高齢者の見守りに適用する例について説明するが、具体的なシステム構成や本発明によって判断できる居住者の行動等は、本発明を実施する際の一例を示したものであって、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明は、多数の高齢者が生活する介護施設等に導入して、複数の高齢者の見守りに適用するのにも好適である。
【0036】
図1は、本発明の実施形態の概要を示している。本発明では、見守り対象となる高齢者等の居住者が居住する住宅に人感センサを設置し、居住者には加速度センサを備えたペンダント等を装着させる。人感センサ、加速度センサそれぞれが検出した検出時が特定されたデータは、アクセスポイント等を介して住居に設置された、本発明にかかる居住者見守り装置に対応するサーバPCに集約される。
【0037】
サーバPCでは、人感センサが検出した検出時が特定された人感センサデータから、ある時間における居住者の居場所を推定するとともに、加速度センサから検出した検出時が特定された加速度センサデータから、発生時が特定された居住者の動作を推定する。そして、人感センサデータから推定された居住者がある居場所にいる時間において、加速度センサデータから推定されたその時間に発生した居住者の動作から、居住者の行動や居住者の状態、あるいは居住者の住居において発生したイベントが生じたことを判断する。
【0038】
このようにして推定、あるいは判断された居住者の生活状況に関する情報がサーバPCに保存され、介護ケアセンターの担当者や留守家族等の閲覧権限のある者がインターネットを介してサーバPCにアクセスすると、保存された情報を閲覧することが可能となっている。また、サーバPCにおいて判断された居住者の行動等が、例えば、居住者が浴室で転倒した、居住者以外の者が住居に侵入した、といった緊急性を有する情報である場合には、あらかじめサーバPCに登録された留守家族等の通知先に、警告メール等が送信される。
【0039】
尚、図1では、居住者の住居に設置されたサーバPCが本発明にかかる居住者見守り装置に対応することとしているが、本発明はかかる構成に限定されるものではなく、例えば、サーバPCは人感センサデータと加速度センサデータをインターネット経由で管理センタ等に設置された他のサーバへの中継を行い、居住者の居場所や動作の推定等の処理は管理センタ等に設置された他のサーバで実行され、この管理センタ等に設置された他のサーバが本発明にかかる居住者見守り装置に対応するよう構成することとしてもよい。
【0040】
また、人感センサと加速度センサとアクセスポイント、サーバPC間におけるデータ通信の経路も図1の例に示したように限定されるものではなく、各々を繋ぐ通信回線は無線、有線のいずれであってもよいし、複数のアクセスポイントで人感センサや加速度センサから受信したデータを、コーディネータ等の機器で集約して、サーバPCに送信するよう構成することとしてもよい。
【0041】
住居に設置される人感センサの配置も特に限定されるものではないが、図2の例に示したように、住居の複数個所、例えば部屋毎に人感センサを設置すれば、居住者が住居にいるというだけでなく、どの部屋にいるかを推定することも可能になる。人感センサデータはそれぞれ検出時が特定されているので、いつどの部屋の人感センサが反応したかを集計すれば、図3の例に示したように、居住者が時間帯毎にどの部屋にいたかを推定することができる。
【0042】
居住者が加速度センサを装着する方法も特に限定されるものではないが、居住者が常時装着しやすいように、例えば、加速度センサが備えられペンダントを見守り対象となる居住者に身に付けさせることとすればよい。加速度センサの種別も特に限定されるものではないが、居住者の動作を正確に把握するためには3軸加速度センサを用いることが好ましく、これによって、立位、座位、歩行、転倒などの居住者の動作を推定することが可能になる。
【0043】
尚、人感センサデータと加速度センサデータは、いずれもデータの検出時が特定されていることが必要であるが、検出時を付与する方法は特に限定されるものではなく、人感センサや加速度センサ本体で検出時を付与したデータをアクセスポイントに送信することとしてもよいし、センサ本体からデータを受信したアクセスポイントやコーディネータで、検出時を付与することとしてもよい。
【0044】
また、サーバPCでは、特に加速度センサデータについては、できるだけリアルタイムに近い状態でデータを受信することが好ましいが、センサ本体からリアルタイムで受信したデータを一旦アクセスポイントやコーディネータに蓄積し、所定のタイミングでこれらのデータをサーバPCに送信するよう構成することとしてもよい。
【0045】
図4は、本発明にかかる居住者見守り装置の構成の一例を示している。図4において、サーバPC10が、本発明にかかる居住者見守り装置に対応するが、サーバPC10は見守り対象となる居住者の住居に設置されることとしてもよいし、住居に設定されたPC等からインターネット等を経由してデータを受信できる管理センタ等に設置されることとしてもよいことは、前述のとおりである。
【0046】
サーバPC10には、CPU、メインメモリ、HDD等の補助記憶装置を備えたPC(パーソナルコンピュータ)等のコンピュータが用いられ、人感センサデータ受信部11、加速度センサデータ受信部12、居住者行動等判断部13、人感センサデータ格納部14、加速度センサデータ格納部15、生活状況情報格納部16、ユーザ情報記憶部17、閲覧要求受付部18、警告通知部19の各部が設けられている。
【0047】
このうち、人感センサデータ受信部11、加速度センサデータ受信部12、居住者行動等判断部13、閲覧要求受付部18、警告通知部19の各部は、いずれも機能的に特定されるものであって、各部の機能に対応するアプリケーションプログラムが、HDD等の補助記憶装置からメインメモリに呼び出され、CPUで演算処理を行うことによって、それぞれに対応する機能が実現される。
【0048】
また、人感センサデータ格納部14、加速度センサデータ格納部15、生活状況情報格納部16、ユーザ情報記憶部17には、それぞれHDD等の補助記憶装置の所定の記憶領域が割り当てられるが、これらは物理的に1台のコンピュータに備えられることを要件とするものではない。その一部又は全部が、前述のアプリケーションプログラムを実行するコンピュータとは異なる、データベースサーバ等の他のコンピュータに備えられるものであるなど、全体として一のコンピュータ同様に機能し得るものであればよい。
【0049】
アクセスポイント20、30は、それぞれ人感センサ21〜23、加速度センサ31で検出したデータをサーバPC10に中継する通信機器であり、サーバPC10との間には、複数のアクセスポイントが受信したデータを集約する通信機器である、コーディネータ40を設置することとしてもよい。人感センサ21〜23、加速度センサ31とアクセスポイント20、30、アクセスポイント20、30とコーディネータ40又はサーバPC10、コーディネータ40とサーバPC10との間の通信回線は、一般には無線通信が用いられるが、その一部又は全部に有線通信を用いることとしてもよい。
【0050】
管理者端末50には、介護ケアセンターの担当者等が操作する、ネットワークに接続可能なPC等の端末が用いられる。管理者端末50は、インターネット等のネットワークを介してサーバPC10と接続され、サーバPC10に保存された情報の閲覧や、サーバPC10からの電子メール等による通知の受信が可能となっている。
【0051】
ユーザ端末60には、見守り対象となる居住者の留守家族等が操作する、ネットワークに接続可能な携帯電話やPC等の端末が用いられる。ユーザ端末60は、インターネット等のネットワークを介してサーバPC10と接続され、サーバPC10に保存された情報の閲覧や、サーバPC10からの電子メール等による通知の受信が可能となっている。
【0052】
以上の構成を前提に、図5の人感センサデータと加速度センサデータを受信する処理のフローチャート、図6のこれらのデータから見守り対象である居住者の行動等を判断する処理のフローチャートと、図7〜10に示した居住者の行動等を判断する例を用いて、本発明にかかる居住者見守り装置による処理フローについて説明する。
【0053】
図5のフローチャートは、図4の人感センサデータ受信部11、加速度センサデータ受信部12により実行される処理に対応するもので、人感センサデータと加速度センサデータを受信する処理フローを示している。
【0054】
サーバPC10が、人感センサ21〜23及び加速度センサ31で検出されたデータを受信する通信経路は特に限定されるものではないが、コーディネータ40、又はアクセスポイント20、30から、これらのセンサが検出したデータを受信すると(S01)、このうち、人感センサが検出した検出時が特定された人感センサデータを人感センサデータ格納部14に(S02)、加速度センサから検出した検出時が特定された加速度センサデータを加速度センサデータ格納部15(S03)にそれぞれ格納する。
【0055】
尚、図4では、人感センサデータ受信部11、加速度センサデータ受信部12はそれぞれ異なる経路でセンサが検出したデータを受信するよう記載されているが、これは検出時が特定された人感センサデータと加速度センサデータを受信し、各々を識別して格納するよう構成されることを示したものであって、コーディネータ40を介した一の通信経路からこれらのデータを併せて受信して、サーバPCにおいて各々のデータを判別して格納するよう構成するものであってもよい。
【0056】
図6のフローチャートは、図4の居住者行動等判断部13と警告通知部19により実行される処理に対応するもので、人感センサデータと加速度センサデータから見守り対象である居住者の行動等を判断する処理のフローを示している。
【0057】
尚、居住者行動等判断部13と警告通知部19がこのフローチャートに示した処理を実行するタイミングは特に限定されるものではなく、図5に示した処理フローにより、人感センサデータと加速度センサデータが人感センサデータ格納部14と加速度センサデータ格納部15に格納された状態で、居住者行動等判断部13が定期的に起動されてかかる処理を実行することとしてもよいし、人感センサデータや加速度センサデータを受信したタイミングで、図5に示した処理フローと並行してかかる処理を実行するものであってもよい。
【0058】
まず、人感センサデータ受信部11で受信した検出時が特定された人感センサデータから(人感センサデータ受信部11で受信して人感センサデータ格納部14に格納された検出時が特定された人感センサデータを読み出して用いる場合を含む)、検出時から特定される時間を用いながら、ある時間における居住者の居場所を推定する(S11)。
【0059】
ここで居住者の居場所が推定される時間は、必ずしも人感センサデータの検出時に限定されるものではなく、例えば、ある部屋に設置された人感センサから断続的にデータが検出されている時間帯全体について、居住者がその部屋にいると推定することができる。また、住居に設置された全ての人感センサからデータが検出されていない時間帯については、居住者が住居におらず、外出していると推定することもできる。
【0060】
次に、加速度センサデータ受信部12で受信した検出時が特定された加速度センサデータから(加速度センサデータ受信部12で受信して加速度センサデータ格納部15に格納された検出時が特定された人感センサデータを読み出して用いる場合を含む)、検出時から特定される時間を用いながら、発生時が特定された居住者の動作を推定する(S12)。
【0061】
加速度センサデータから推定される動作には、立位、座位、歩行、転倒などを含むことができるが、転倒のように発生時が一時点に特定される動作のみでなく、加速度センサデータが近似している状態が継続している場合、その時間は立位が継続している、加速度センサデータが一定の割合で変化する状態が継続している場合、その時間は歩行が継続している、といったように、発生時が一定の時間帯として把握できる動作も含まれる。尚、加速度センサデータを受信していない時間帯については、居住者の動作を推定することはできない。
【0062】
続いて、人感センサデータから推定した居住者がある居場所にいる時間において、その時間に居住者について発生した加速度センサデータから推定した動作(動作が推定できない場合も含む)から、居住者の行動若しくは状態、又は前記居住者の住居において発生したイベントのいずれかが生じていることを判断する(S13)。ここで判断する行動、状態、イベントの例について、図7〜10を用いて、以下に説明する。
【0063】
図7は、居住者が住居にいる場合の生活状態の例であるが、人感センサデータから、時間帯毎の居住者の居場所が、台所、居間、浴室と推移すると推定されたとする。それぞれの時間帯において、加速度センサは継続的又は断続的にデータを検出しており、加速度センサデータから推定される居住者の動作が、それぞれの時間帯において、立位、座位・・・と推移すると推定されたとする。
【0064】
以上の状況から、居住者が台所にいると推定される時間に、居住者の動作が立位であると推定されれば、その時間の居住者の行動は、「料理をしている」と判断できることになる。同様に、台所にいると推定される時間の動作が座位と推定されれば、その時間の居住者の行動は、「食事をしている」と判断できることになる。このように、本発明によると、居住者の居場所や動作だけでなく、「居住者がどこで何をしているか」という、より具体的な行動を判断することが可能になる。
【0065】
図8は、居住者が住居にいて、転倒が発生した場合の例を示している。人感センサデータから、時間帯毎の居住者の居場所が、居間、台所と推移すると推定されたとする。それぞれの時間帯において、加速度センサは継続的又は断続的にデータを検出しており、加速度センサデータから推定される居住者の動作は、座位、立位と推移した後に、12:00〜12:10の間のある時間に、転倒が発生したと推定されたとする。
【0066】
以上の状況から、単に居住者が転倒したというだけでなく、その時間帯は人感センサデータから居住者の居場所が台所と推定されているため、居住者が「台所で転倒した」と判断できることになり、こうした情報を留守家族等に警告メール等で通知することとすればよい。このように、本発明によると、居住者に発生した動作だけでなく、「その動作がどこで発生したか」という、より具体的な状態を判断することが可能になる。
【0067】
図9は、居住者が住居にいるものの、途中から人感センサの死角となる場所に移動し、人感センサデータが検出されなくなった場合の例を示している。11:30以降に人感センサからのデータが検出されなくなっているので、人感センサデータのみだと居住者が外出したと判断されるところであるが、人感センサからのデータが検出されなくなった後の時間にも、加速度センサは継続的又は断続的にデータを検出しており、その間の動作は歩行、座位・・・と推移し、その後に転倒が発生している。
【0068】
以上の状況から、人感センサからはデータが検出されていないものの、居住者は加速度センサのデータが検出できる場所、すなわち、「住居の人感センサの死角になっている場所にいる」という状態や、その「死角になっている場所で転倒した」という状態を判断することができることになり、こうした情報を留守家族等に警告メール等で通知することとすればよい。このように、本発明によると、人感センサデータのみからは検知できない居住者の状態を、加速度センサデータとの組合せによって判断することが可能になる。
【0069】
図10は、居住者が住居にいない留守の間に、居住者以外の者が住居に侵入した場合の例を示している。人感センサからのデータが検出されていない時間帯は、居住者は住居におらず留守であると推定され、データが検出され始めた時間以降は、居住者が住居に戻ったと推定されることになる。ここで、人感センサからのデータが検出されるようになった時間に、加速度センサからのデータが検出されない状態が継続したとする。
【0070】
以上の状況から、加速度センサからのデータが検出されないということは、居住者本人の動作は推定できない、つまり、居住者は住居にいないものと推定され、人感センサによって検出されているのは、居住者本人ではなく居住者以外の者である、すなわち、居住者以外の者が住居に侵入した、という住居において発生したイベントを判断することができることになり、こうした情報を留守家族等に警告メール等で通知することとすればよい。このように、本発明によると、人感センサデータのみからは判断できない、居住者の住居において発生したイベントを、加速度センサデータとの組合せによって判断することが可能になる。
【0071】
以上の例に示したように、居住者の行動若しくは状態、又は前記居住者の住居において発生したイベントのいずれかが生じていることが判断されると(S13)、判断された行動等が、警告の必要な所定のルールに該当するかを判断する(S14)。警告の必要な行動等である場合は、警告通知部19が起動され、ユーザ情報記憶部17から、通知先となる留守家族や介護ケアセンターの担当者等のメールアドレスが読み出され、読み出したメールアドレスを宛先に設定して、居住者の行動等に関する警告メールを管理者端末50やユーザ端末60に向けて送信する(S15)。
【0072】
尚、本発明において、この場合に送信するメールは、警告のためのメールに限られるものではなく、例えば、居住者が食事をしている、入浴をしているといった日常的な行動に関する情報を、留守家族等の安心のために送信することとしてもよい。
【0073】
警告の必要性に関わらず、判断された居住者の行動等は、居住者の生活状況に関する情報として、生活状況情報格納部16に書き込まれる(S16)。これらの情報を閲覧したい介護ケアセンターの担当者や留守家族等が、管理者端末50やユーザ端末60からサーバPC10にアクセスすると、閲覧要求受付部18が起動されて、ユーザ情報記憶部17を参照してパスワード照合等により閲覧権限の確認が行われると、要求した生活状況に関する情報が生活状況情報格納部16から読み出され、管理者端末50やユーザ端末60に送信される。
【0074】
以上に説明した居住者行動等判断部13と警告通知部19による処理は、システムのメンテナンス、居住者の長期外出や退去などの理由によって見守りが終了するまで(S17)、繰り返し実行される。
【符号の説明】
【0075】
10 サーバPC
11 人感センサデータ受信部
12 加速度センサデータ受信部
13 居住者行動等判断部
14 人感センサデータ格納部
15 加速度センサデータ格納部
16 生活状況情報格納部
17 ユーザ情報記憶部
18 閲覧要求受付部
19 警告通知部
20 アクセスポイント
21 人感センサ
22 人感センサ
23 人感センサ
30 アクセスポイント
31 加速度センサ
40 コーディネータ
50 管理者端末
60 ユーザ端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10