特許第6091844号(P6091844)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6091844
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】バッテリーシステム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/613 20140101AFI20170227BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20170227BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20170227BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20170227BHJP
   H01M 10/6572 20140101ALI20170227BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20170227BHJP
   B60K 11/06 20060101ALI20170227BHJP
   B60K 1/04 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   H01M10/613
   H01M10/615
   H01M10/625
   H01M10/6563
   H01M10/6572
   H01M2/10 K
   B60K11/06
   B60K1/04 Z
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-241635(P2012-241635)
(22)【出願日】2012年11月1日
(65)【公開番号】特開2014-53275(P2014-53275A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2015年8月25日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0099404
(32)【優先日】2012年9月7日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA MOTORS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉 萬 周
(72)【発明者】
【氏名】金 才 熊
(72)【発明者】
【氏名】朴 宰 佑
【審査官】 竹下 翔平
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0248876(US,A1)
【文献】 特開2007−008443(JP,A)
【文献】 特開2011−116321(JP,A)
【文献】 特開2008−280009(JP,A)
【文献】 特開2011−175875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/00−6/12
7/00−15/10
H01M 2/10
10/52−10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の出入りが遮断されバッテリーパックが内蔵されて吸入口と吐出口が形成された密閉型のハウジングと、
前記ハウジングと離隔して配置され、乗客が搭乗する空間と分離した別途の車内空間に設置され、前記吸入口及び吐出口と吸入ダクト及び吐出ダクトを通じて連結され、送風ファンが備えられてハウジングの空気を循環させる密閉型の空調器と、
前記空調器の空気循環流路上に設けられ、循環する空気を冷却又は加熱する熱電素子と、を含み、
前記空調器は、吸入ダクト、吐出ダクト及び送風ファンからなる複数の空調器セットで構成され、熱電素子は、各空調器セットの空気流路上に設けられることを特徴とするバッテリーシステム。
【請求項2】
前記ハウジングは、車両のフロア側に設置され、前記空調器はトランク側に設置されることを特徴とする請求項1に記載のバッテリーシステム。
【請求項3】
前記ハウジングは、吸入口がハウジングの下部に形成されて空気が流入し、吐出口がハウジングの上部に形成されて空気が吐出されることを特徴とする請求項1に記載のバッテリーシステム。
【請求項4】
前記送風ファンは、中央で空気を吸入し、側方で空気を吐出するラジアル式ファンであることを特徴とする請求項1に記載のバッテリーシステム。
【請求項5】
前記ハウジング、吸入ダクト、吐出ダクト及び空調器は、外部と空気が遮断され閉流路を形成することを特徴とする請求項1に記載のバッテリーシステム。
【請求項6】
前記熱電素子は、吸入ダクト又は吐出ダクトに埋め込まれることを特徴とする請求項1に記載のバッテリーシステム。
【請求項7】
前記吐出ダクトから分割された分割ダクトがそれぞれの前記送風ファンと連結されることを特徴とする請求項1に記載のバッテリーシステム。
【請求項8】
前記熱電素子は、それぞれの吸入ダクトに埋め込まれることを特徴とする請求項7に記載のバッテリーシステム。
【請求項9】
前記ハウジングのバッテリーパックは、複数の列をなすように配置され、前記吐出ダクトと連結する吐出口には、前記ハウジングでそれぞれのバッテリーパック列に対応する位置に、バッテリーパック列と吐出口を連結する連結ダクトが設けられることを特徴とする請求項8に記載のバッテリーシステム。
【請求項10】
前記連結ダクトは、一端が吐出口と連結して他端が分岐してそれぞれのバッテリーパック列と連結し、各バッテリーパックは、前後方向に空気が流通する構造であることを特徴とする請求項9に記載のバッテリーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーシステムに係り、より詳しくは、車両のバッテリーの冷却又は暖房の効率を高めることができるバッテリーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、環境問題に対応して、多くの産業分野で内燃機関を電気機関で代替することが行なわれている。電気機関での燃料の役割はバッテリーが受け持つことになるが、車両の場合、燃費や耐久性の面から電気自動車及びハイブリッドカーのバッテリーの温度を上昇又は冷却して、バッテリーの状態を最適に維持する必要がある。
【0003】
従来のバッテリー冷暖房技術の大部分は、バッテリーを冷却するため、車両内部又は外部の空気を吸入し、バッテリー内での対流による冷却を行なっている。このような冷却と暖房を同時に行なうバッテリー冷暖房構造は、バッテリーハウジングの内部にはバッテリーパックと他の電気装置が多数備えられているので、熱交換のための空気流路がバッテリーパック内部を流動できるように、吸入部と出口部に別途のダクトを備える必要があった。また、バッテリーパック周辺でもflow channelが構成されて空気の流路を制限するので、設計空間の制約があり効率的な冷房構造を行なうことができない。
【0004】
特許文献1の「ラジアルファンを含んだバッテリーパック」の場合、バッテリーパックの冷却のため、内部にラジアルファンを設置し、冷却空気の流入及び流出方向と、数個のバッテリーセル(cell)の間を通過する冷却空気の方向が垂直になるように構成する。これによりバッテリーパックの冷却流路をより効率的に設計することができる。しかしながら、この構造であっても別途の冷却のためのチャンネルとダクトを備えなければならないので、効果的な空間の活用が劣り、冷却路の流れが長く、冷却損失が発生するとの問題があった。
【0005】
また、大部分のバッテリーと空調装置を車両の一地点に設置するので、複数の部分に分けて設置をしても、空調部分のファンが搭乗者の後席に位置するものとなって、騷音が大きいとの問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】KR10−2012−0069274A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、冷却器の流れを最小化し、空間の集積度を高め、空間の活用度を最大に高めることができるバッテリーシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明によるバッテリーシステムは、空気の出入りが遮断されバッテリーパックが内蔵されて吸入口と吐出口が形成された密閉型のハウジングと、前記ハウジングと離隔して配置され、乗客が搭乗する空間と分離した別途の車内空間に設置され、前記吸入口及び吐出口と吸入ダクト及び吐出ダクトを通じて連結され、送風ファンが備えられてハウジングの空気を循環させる密閉型の空調器と、前記空調器の空気循環流路上に設けられ、循環する空気を冷却又は加熱する熱電素子と、を含み、前記空調器は、吸入ダクト、吐出ダクト及び送風ファンからなる複数の空調器セットで構成され、熱電素子は、各空調器セットの空気流路上に設けられることを特徴とする
【0009】
前記ハウジングは、車両のフロア側に設置され、前記空調器はトランク側に設置されることが好ましい。
【0010】

前記ハウジングは、吸入口がハウジングの下部に形成されて空気が流入し、吐出口がハウジングの上部に形成されて空気が吐出されることが好ましい。
【0011】
前記送風ファンは、中央で空気を吸入し、側方で空気を吐出するラジアル式ファンであることが好ましい。
【0013】
前記ハウジング、吸入ダクト、吐出ダクト及び空調器は、外部と空気が遮断され閉流路を形成することが好ましい。
【0014】
前記熱電素子は、吸入ダクト又は吐出ダクトに埋め込まれることが好ましい。
【0015】
前記吐出ダクトから分割された分割ダクトがそれぞれの前記送風ファンと連結されることを特徴とする。
【0016】
前記熱電素子は、それぞれの吸入ダクトに埋め込まれることが好ましい。
【0017】
前記ハウジングのバッテリーパックは、複数の列をなすように配置され、前記吐出ダクトと連結する吐出口には、前記ハウジングでそれぞれのバッテリーパック列に対応する位置に、バッテリーパック列と吐出口を連結する連結ダクトが設けられることが好ましい。
【0018】
前記連結ダクトは、一端が吐出口と連結して他端が分岐してそれぞれのバッテリーパック列と連結し、各バッテリーパックは、前後方向に空気が流通する構造であることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明のバッテリーシステムによれば、バッテリーハウジングとブロアーが分離されるので、騷音が減少し、また、冷暖房のための空間と部品を顕著に減少させることができる。
【0020】
また、閉流路によって最小限の冷却気流の流れを達成し、冷却効率の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明によるバッテリーシステムの斜視図である。
図2】本発明によるバッテリーシステムの側面図である。
図3】本発明によるバッテリーシステムの平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照して、本発明によるバッテリーシステムの実施例を詳しく説明する。
【実施例】
【0023】
図1〜3は、本発明によるバッテリーシステムの構成図で、図1はバッテリーシステムの斜視図、図2はバッテリーシステムの側面図であり、図3はバッテリーシステムの平断面図である。
【0024】
本発明のバッテリーシステムは、空気の出入りが遮断されバッテリーパック700が内蔵され、吸入口120と吐出口140が形成された密閉型のハウジング100と、ハウジング100と離隔して配置され、乗客が搭乗する空間と分離した別途の車内空間に設置されて、吸入口120及び吐出口140と吸入ダクト220及び吐出ダクト240を通じて連結され、送風ファン320が備えられてハウジング100の空気を循環させる密閉型の空調器300と、密閉型の空調器300の空気循環流路上に設けられ、循環する空気を冷却又は加熱する熱電素子500と、を含んで構成される。
【0025】
このバッテリーシステムは、バッテリーパック700が内蔵されるハウジング100と空調器300の位置を空間的に離隔してバッテリーの性能を保障すると同時に、騷音等の問題を根本的に解決している。また、密閉型に設計することにより閉流路を形成して空調効率を高めている。
【0026】
ハウジング100は、空気の出入りが遮断されバッテリーパック700が内蔵され、吸入口120と吐出口140が形成された密閉型であって、ハウジング100は車両のフロアF側に設置され、空調器300はトランクT側に設置されることが好ましい。バッテリーは比較的広い空間を必要とするので、車両の後席の下に安全に設置することにより車両の重さの中心を合わせ、空調器300の場合、送風ファン320の騷音問題上これをトランクT側に分離することが好ましい。また、分離によって空間の設計が容易になる。ハウジング100は、フロアF側のトリムやパネルに固定が可能で、空調器300はトランクT側のルーム内部や下部に設置が可能である。そして、空調器300がトランクTの空間に設置されることにより、熱電素子500の作動のための廃熱交換にさらに有利にする。
【0027】
ハウジング100は、吸入口120がハウジング100の下部に形成されて空気が流入し、吐出口140がハウジング100の上部に形成されて空気が吐出される。また、送風ファン320は、中央で空気を吸入し側方で空気を吐出するラジアル式ファンで形成することにより、上下に区分された吸気と排気の位置によって少ない空間でも最適に送風ファン320を設置することができる。
【0028】
空調器300は、吸入ダクト220、吐出ダクト240及び送風ファン320からなる複数のセットA、Bから構成される。熱電素子500は、各空調器セットA、Bの空気流路上に設けることができる。熱電素子500は、吸入ダクト220又は吐出ダクト240に埋め込むことができる。
【0029】
具体的には、空調器300は、吸入ダクト220及び送風ファン320からなる複数のセットA、Bで構成され、吐出ダクト240から分割された分割ダクト241、242がそれぞれの送風ファン320と連結する。熱電素子500は、各空調器セットA、Bの空気流路上に設けられる。熱電素子500は、それぞれの吸入ダクト220に埋め込まれる。
【0030】
このような構成によって、ハウジング100、吸入ダクト220、吐出ダクト240及び空調器300は、外部との空気が遮断され、閉流路を形成する。
【0031】
空調器の送風ファン320は、複数が設けられており、一側が故障しても他側のみで運転が可能とし、これに合わせて熱電素子500を複数設けて、一側が故障しても他側で運転し、バッテリーを保護している。また、各送風ファン320と熱電素子500をセットA、Bで構成し、独立に制御する場合、冷房空調がさらに効果的となり、システムの安定に寄与することができる。
【0032】
一方、密閉型のハウジング100のバッテリーパック700は、複数の列C、Dをなすように配置され、吐出ダクト240と連結する吐出口140には、ハウジング100でそれぞれのバッテリーパック列C、Dに対応する位置に、バッテリーパック列C、Dと吐出口140を連結する連結ダクト600が設けられる。
【0033】
具体的には、連結ダクト600は、一端が吐出口140と連結し、他端が分岐してそれぞれのバッテリーパック列C、Dと連結し、各バッテリーパック700は前後方向に空気が流通する構造である。
【0034】
このような構成では、送風ファン320から吹き出た空気は、熱電素子500によって空調された後、空調された空気はそれぞれ吸入ダクト220と吸入口120を通じてバッテリーパック列C、Dの間又はバッテリーパック列C、Dとハウジング100の内壁の間を通って後方に回っていき、後方のバッテリーパック700に流入する。
【0035】
バッテリーパック700は、内部を空気が前後方向に貫通する構造で、空調された空気はバッテリーパック列C、Dを貫通して熱交換する。そして熱交換された空気は、再び前端から連結ダクト600を通じて吐出口140に集められ、吐出ダクト240を通じて再び送風ファン320に集められる。これによって空調された空気を効果的にバッテリーパック700に供給し、空調された空気がハウジング100を囲むようにすることによりハウジング100内部を全体的に空調された雰囲気にすることができる。そして熱交換された空気は漏れなく送風ファン320に集められ、熱電素子500で空調されてより空調効率が上昇する。
【0036】
また、吸入ダクト220及び吐出ダクト240は、断熱材で形成される。空気の移動時、閉流路を通じて移動するので、ダクトを断熱の材質を付加して形成する場合、移動する過程での熱損失を最小化することができる。
【0037】
上述したような構造からなるバッテリーシステムによれば、バッテリーハウジングとブロアーが分離されて騷音を減らし、冷暖房のための空間と部品が顕著に減る効果を奏することができる。また、閉流路によって最小限の冷却気流の流れを達成し、冷却効率の低下を防止することができる。
【0038】
すなわち、本発明のバッテリーシステムは、バッテリーパックが内蔵されるハウジングと空調器の位置を空間的に離隔してバッテリーの性能を保障すると同時に、騷音等の問題を根本的に解決することができ、また、密閉型に設計することにより閉流路を形成して空調効率を高めることができる。
【0039】
なお、本発明は、本実施例に限られるものではなく多様な改良が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、騷音を減少させ、冷暖房のための空間と部品を著しく減少させることができるバッテリーシステムとして好適である。
【符号の説明】
【0041】
100 ハウジング
220 吸入ダクト
240 吐出ダクト
300 空調器
500 熱電素子
700 バッテリーパック
F フロア
T トランク
図1
図2
図3