(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記脚部には、下降時の前記昇降側支柱及び前記2本の平行リンクとの干渉を回避する収容スペースが設けられていることを特徴とする請求項1記載のベッド類の昇降装置。
前記ベース側支柱は前記脚部の前部又は後部に設けられており、前記脚部の前部に前記ベース側支柱が設けられている場合には前記脚部の後部に荷物収納部が、前記脚部の後部に前記ベース側支柱が設けられている場合には前記脚部の前部に荷物収納部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のベッド類の昇降装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のストレッチャでは、重量のあるベッド本体101をスムーズに昇降させるためには大きく高価な油圧シリンダ108が必要である。そのため、昇降手段103が大型化すると共に、製造コストが高くなる。
【0005】
本発明は、小さな昇降用アクチュエータの使用が可能なベッド類の昇降装置、及びこれを組み込んだストレッチャを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために請求項1記載の発明は、
使用者を下方から支える支持部を
脚部に対して昇降可能に取り付けるベッド類の昇降装置において、脚部
の底板に
下端が連結されると共に上向き鉛直に設けられたベース側支柱と、支持部
の下面から下向き鉛直に設けられた昇降側支柱と、ベース側支柱と昇降側支柱との間に
上下方向において離間して設けられた2本の平行リンクとからなる四節リンク機構、
ベース側支柱に連結されると共に2本の平行リンクのうちの一方
の平行リンクのベース側支柱との連結点と昇降側支柱との連結点との間に連結されて四節リンク機構を上下に揺動させる昇降用アクチュエータ、及び2本の平行リンクの
上下方向における間に
これら2本の平行リンクに対して平行に設けられると共にベース側支柱と昇降側支柱とに連結されて昇降側支柱を上昇させる方向に弾発力を発揮する付勢手段を備え、四節リンク機構は平行運動機構であり、平行リンクは支持部の昇降ストロークの中間位置又は中間位置付近で水平になり、且つ、支持部が下降したときに鉛直のベース側支柱と
当該ベース側支柱よりも後方に降りる鉛直の昇降側支柱との間に昇降用アクチュエータが
位置するようにされている。
【0007】
したがって、アクチュエータを作動させて平行リンクを上方向又は下方向に揺動させると、昇降側支柱が上昇又は下降して支持部の高さが変わる。昇降機構は平行運動機構となる四節リンク機構であり、支持部を昇降させてもその角度は維持される。アクチュエータによる支持部の上昇は付勢手段によって補助される。昇降機構の平行リンクは支持部の昇降ストロークの中間位置又は中間位置付近で平行になるものであり、この位置からの上方向への揺動角と下方向への揺動角とが等しくなる。
【0008】
また、請求項2記載のベッド類の昇降装置は、脚部には、下降時の昇降側支柱及び2本の平行リンクとの干渉を回避する収容スペースが設けられている。したがって、支持部の下降時に昇降機構の昇降側支柱と2本の平行リンクを脚部内に降ろすことができる。
【0009】
また、請求項3記載のベッド類の昇降装置は、ベース側支柱が脚部の前部又は後部に設けられており、脚部の前部にベース側支柱が設けられている場合には脚部の後部に荷物収納部が、脚部の後部にベース側支柱が設けられている場合には脚部の前部に荷物収納部が設けられているものである。昇降機構のベース側支柱を脚部の前部又は後部に設けることで、その反対側(脚部の後部又は前部)に空きスペースが生じる。この空きスペースを利用して荷物収納部を設けることができる。
【0010】
さらに、請求項4記載のベッド類の昇降装置は、付勢手段をガススプリングにしている。したがって、昇降用アクチュエータによる支持部の上昇をガススプリングによってアシストすることができる。
【0011】
さらに、請求項5記載のストレッチャは、
上半身を支える上半身支持部分と臀部を支持する臀部支持部分と脚部を支える脚支持部分とが折り曲げ可能に連結されて成ると共に患者を下方から支える支持部、当該支持部が昇降可能に取り付けられる脚部、当該脚部の底板に下端が連結されると共に上向き鉛直に設けられたベース側支柱と、支持部の臀部支持部分の下面から下向き鉛直に設けられた昇降側支柱と、ベース側支柱と昇降側支柱との間に上下方向において離間して設けられた2本の平行リンクとからなる四節リンク機構、ベース側支柱に連結されると共に2本の平行リンクのうちの一方の平行リンクのベース側支柱との連結点と昇降側支柱との連結点との間に連結されて四節リンク機構を上下に揺動させる昇降用アクチュエータ、及び2本の平行リンクの上下方向における間にこれら2本の平行リンクに対して平行に設けられると共にベース側支柱と昇降側支柱とに連結されて昇降側支柱を上昇させる方向に弾発力を発揮する付勢手段を備え、四節リンク機構は平行運動機構であり、平行リンクは支持部の昇降ストロークの中間位置又は中間位置付近で水平になり、且つ、支持部が下降したときに鉛直のベース側支柱と当該ベース側支柱よりも後方に降りる鉛直の昇降側支柱との間に昇降用アクチュエータが位置するものである昇降装置を組み込んだものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載のベッド類の昇降装置では、アクチュエータによる支持部の上昇を付勢手段によって補助することができるので、その分だけ推力の小さなアクチュエータを使用することが可能になる。そのため、小型のアクチュエータを採用することが可能となり、昇降機構を小型化、軽量化することができる。また、例えば、アクチュエータとして電動シリンダを採用する場合、電動シリンダは推力の大きさと動作速度とが反比例する性質を有しているので、推力の小さなものを採用することで動作速度を大きくすることができ、支持部の昇降スピードを速めることができる。さらに、付勢手段が支持部を上昇させる方向の弾発力を常時発揮しているので、例えばアクチュエータの故障等により支持部を支える力が消滅した場合にもその急激な落下を防止することができる。そのため、安全性をより向上させることができる。
【0013】
請求項2記載のベッド類の昇降装置では、支持部の下降時に昇降機構の昇降側支柱と2本の平行リンクを脚部内に降ろすことができるので、支持部をより低い位置まで降ろすことができ、使い勝手を向上させることができる。
【0014】
請求項3記載のベッド類の昇降装置では、昇降機構のベース側支柱を脚部の前部又は後部に設けているので、脚部に空きスペースを生じさせることができ、この空きスペースを利用して荷物収納部を設けることができる。そのため、昇降ベッドの使い勝手をより向上させることができる。
【0015】
請求項4記載のベッド類の昇降装置では、付勢手段としてガススプリングを使用しているので、特別の電源等を必要とせずにアクチュエータによる支持部の上昇をアシストすることができる。
【0016】
請求項5記載のストレッチャでは、請求項1から4のいずれか1つに記載のベッド類の昇降装置を組み込んでいるので、上述の各効果を奏するストレッチャを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の構成を図面に示す形態に基づいて詳細に説明する。本実施形態では、ベッド類としてストレッチャに適用した場合について説明するが、ストレッチャには限られない。
【0019】
図1〜
図13に本発明を適用したストレッチャの実施形態の一例を示す。ストレッチャは走行可能な脚部1と、患者を乗せる支持部2と、脚部1に対して支持部2を昇降可能に取り付ける昇降装置3を備えている。
【0020】
なお、本実施形態では、前後方向について便宜的に患者の足側を前方向、頭側を後方向としている。
【0021】
脚部1は、前後左右のフレーム4F,4B,4L,4Rを矩形状に連結した台枠4と、台枠4の後フレーム4Bの下方に設けられたガードフレーム5と、台枠4の四隅に設けられた車輪6を備えており、台枠4は車輪6によってある程度の高さに持ち上げられている。本実施形態では車輪6として四輪ともキャスタを使用し旋回可能にしているが、必ずしも四輪全てを旋回可能にする必要はない。
【0022】
ガードフレーム5は略U字形状を成しており、その中央部分は後フレーム4Bと所定の間隔をあけて平行に配置され、両端は上方に向けて延びて左右のフレーム4L,4Rに連結されている。台枠4の内側空間は、底板7と後側板8とによってガードされている。底板7及び後側板8は例えば1枚のパンチングメタルを折り曲げて形成されており、底板7の先端は台枠4の前フレーム4Fに固定されたベース側支柱14Aの下端に連結され、後側板8の上端は台枠4の後フレーム4Bに連結されている。また、左フレーム4Lにはスイッチ取付プレート9が連結されている。スイッチ取付プレート9には昇降装置3の昇降用アクチュエータ15を作動させるフットスイッチ10と、支持部2の形態をベッド形態と椅子形態とに変形させるアクチュエータ(図示せず)を作動させるフットスイッチ11が取り付けられている。
【0023】
支持部2は、使用者の主に上半身を支える上半身支持部分2Aと、主に臀部を支持する臀部支持部分2Bと、主に脚部を支える脚支持部分2Cより構成され、臀部支持部分2Bの前側に脚支持部分2Cが、後側に上半身支持部分2Aがそれぞれ折り曲げ可能に連結されており、例えば図示しないアクチュエータの駆動によってベッド形態(
図1〜
図4等)と椅子形態(
図5,
図6等)とに変形可能になっている。ただし、アクチュエータの使用によって変形させる構成に限られず、レバー等の操作による手動で変形させる構成にしても良い。脚支持部分2Cのマット12は他の部分とは別個のものであるが、上半身支持部分2Aのマット12と臀部支持部分2Bのマット12は繋げられて1枚のものになっている。上半身支持部分2Aのマット12にはヘッドレスト13が設けられている。
【0024】
また、ストレッチャは、ベッド形態と椅子形態のいずれにおいても、頭部側に設置されたレバー操作によりロックを解除し上半身支持部分2A及び臀部支持部材2Bを下へ押し下げることにより、頭側へ若干の傾斜をつける機能を有している。椅子の形態において後方へ傾斜をつけることにより患者の前方へのずれ落ち等を防止することができる。また、ベッド形態では、頭部(脳)への血流を促す必要が発生した場合にトレンデレンバーグを行うことが可能である。
【0025】
また、この傾斜を着ける作業についても、手動による操作、アクチュエータを組み込むことによるリモコンによる操作、フットペダルによる操作いずれによっても可能である。
【0026】
昇降装置3は、脚部1に支持部2を昇降可能に取り付けるもので、脚部1に設けられたベース側支柱14Aと、支持部2に設けられた昇降側支柱14Bと、ベース側支柱14Aと昇降側支柱14Bとの間に設けられた2本の平行リンク14C,14Dとからなる四節リンク機構14、及び四節リンク機構14を上下に揺動させる昇降用アクチュエータ15、及びベース側支柱14Aと昇降側支柱14Bとの間に設けられて昇降側支柱14Bを上昇させる方向に弾発力を発揮する付勢手段16を備えている。ベース側支柱14Aと昇降側支柱14Bは鉛直に設けられている。また、支持部2のマット12は水平に設けられている。
【0027】
本実施形態では、ベース側支柱14Aと昇降側支柱14Bの両側に2本の平行リンク14C,14Dと付勢手段16がそれぞれ設けられている。ただし、必ずしもベース側支柱14Aと昇降側支柱14Bの両側に2本の平行リンク14C,14Dと付勢手段16を設ける必要はなく、いずれか片側にのみ設けても良い。
【0028】
四節リンク機構14は平行運動機構であり、ベース側支柱14Aと昇降側支柱14B、2本の平行リンク(昇降アーム)14C,14Dがそれぞれ平行になっている。したがって、昇降用アクチュエータ15が四節リンク機構14を上下に揺動させると、昇降側支柱14Bは傾かずに昇降する。本実施形態では、ベース側支柱14Aは脚部1の台枠4の前フレーム4Fに、昇降側支柱14Bは支持部2の臀部支持部分2Bに固定されている。昇降側支柱14Bはベース側支柱14Aよりも後方に配置されている。2本の平行リンク14C,14Dは所定の間隔をあけて昇降側支柱14Bの上部と昇降側支柱14Bの下部に連結されている。
【0029】
平行リンク14C,14Dは支持部2の昇降ストロークの中間位置又は中間位置付近で水平になるように設けられている。本実施形態では支持部2の昇降ストロークの中間位置(
図9(B)の位置)で水平になるように設けられている。したがって、平行リンク14C,14Dが水平になっている位置からの上方向への揺動角(
図9(A)のα)と下方向への揺動角(
図9(C)のα)とが等しくなる。ただし、ここでの中間位置は厳密なものでなくても良く、後述するように移動量L1の大きさを許容できる範囲に抑えることができれば平行リンク14C,14Dが水平になる位置は中間位置から多少ずれても良い(中間位置付近でも良い)。
【0030】
本実施形態の昇降用アクチュエータ15はベース側支柱14Aと上側の平行リンク14Cとの間に設けられている。ただし、昇降用アクチュエータ15を設ける位置はこれに限られず、平行運動機構となる四節リンク機構14を上下に揺動させることができればその他の位置に設けても良い。例えば、台枠4と下側の平行リンク14Dとの間等に昇降用アクチュエータ15を設けても良い。また、本実施形態では昇降用アクチュエータ15として電動シリンダを使用しているが、これに限られず、例えばガス圧シリンダ、油圧シリンダ等を使用しても良い。昇降用アクチュエータ15はフットスイッチ10及び図示しないリモコンスイッチによって操作される。なお、リモコンスイッチでの操作の場合、任意の高さを例えばボタンの長押し操作等の簡単な操作によって記憶させることが可能(本実施形態では2つの高さを記憶可能)であり、記憶させた高さへはリモコンのスイッチ操作により自動的に移動させることができる。
【0031】
付勢手段16はベース側支柱14Aと昇降側支柱14Bとの間に設けられている。本実施形態では下側の平行リンク14Dと一緒にベース側支柱14Aに連結され、上側の平行リンク14Cと一緒に昇降側支柱14Bに連結されている。本実施形態では付勢手段16としてガススプリングを使用しているが、これに限られない。付勢手段16としてガススプリングを使用することで、特別の電源等を必要とせずに昇降用アクチュエータ15による支持部2の上昇をアシストすることができる。
【0032】
付勢手段16は、昇降側支柱14Bを上昇させる方向に弾発力を発揮するように設けられている。本実施形態では付勢手段16を昇降側支柱14Bの下降時に押し縮めるようにし、昇降側支柱14Bの上昇時に付勢手段16が伸びようとする力を利用する。
【0033】
昇降用アクチュエータ15を作動させて上側の平行リンク14Cを上方向又は下方向に揺動させると、昇降側支柱14Bが上昇又は下降して支持部2の高さが変わる。昇降装置3の各リンクは平行運動機構となる四節リンク機構14を構成しており、支持部2を昇降させても鉛直状態は維持される。したがって、支持部2を水平なまま昇降させることができる。
【0034】
昇降装置3には付勢手段16が設けられており、昇降用アクチュエータ15による支持部2の上昇を付勢手段16によって補助することができるので、その分だけ推力の小さな昇降用アクチュエータ15を使用することが可能になる。そのため、小型のアクチュエータを採用することが可能となり、昇降装置3を小型化、軽量化することができる。
【0035】
また、本実施形態では昇降用アクチュエータ15として電動シリンダを採用している。電動シリンダは推力の大きさと動作速度とが反比例する性質を有しているので、推力の小さなものを採用することで動作速度を大きくすることができ、支持部2の昇降スピードを速めることができる。そのため、ストレッチャの使い勝手がより良くなる。
【0036】
さらに、付勢手段16が支持部2を上昇させる方向の弾発力を常時発揮しているので、例えば昇降用アクチュエータ15の故障等により支持部2を支える力が消滅した場合にもその急激な落下を防止することができる。そのため、安全性をより向上させることができる。
【0037】
2本の平行リンク14C,14Dを上下に揺動させて昇降側支柱14Bを昇降させる構成の昇降装置3では、平行リンク14C,14Dの揺動に伴って水平方向に移動量L1が発生する(
図9)。昇降装置3は、支持部2の昇降ストロークの中間位置で平行リンク14C,14Dが平行になるようにしているので、中間位置からの上方向への揺動角(
図9(A)のα)と下方向への揺動角(
図9(C)のα)とを等しくすることができ、移動量L1を最小に抑えることができる。そのため、昇降に伴う支持部2の水平移動量を小さくすることができ、診察時等の使い勝手を良くすることができると共に、壁際への設置が可能になってこの点からも使い勝手を良くすることができる。
【0038】
本実施形態では、脚部1に荷物収納部17が設けられている。本実施形態のベース側支柱14Aは台枠4の前フレーム4Fに固定されていることから、脚部1の前部に設けられており、荷物収納部17は反対側の後部に設けられている。本実施形態では後フレーム4Bの上面に凹部を設けて荷物収納部17を形成している。
【0039】
このように、昇降機構のベース側支柱14Aを脚部1の前部に設けることで、脚部1の後部に空きスペースを生じさせることができ、この空きスペースを利用して荷物収納部17を設けることができる。そのため、ストレッチャの使い勝手をより向上させることができる。
【0040】
また、本実施形態の脚部1には、下降時の昇降側支柱14B及び2本の平行リンク14C,14Dとの干渉を回避する収容スペース18が設けられている。本実施形態では台枠4の内側の底板7及び後側板8でガードされた空間を収容スペース18にしている。
【0041】
このように、支持部2に収容スペース18を設けることで、支持部2の下降時に昇降装置3の昇降側支柱14Bと2本の平行リンク14C,14Dを脚部1内に降ろすことができるようになるので、支持部2をより低い位置まで降ろすことができ、ストレッチャの使い勝手をより向上させることができる。
【0042】
ストレッチャには、回転式サイドガード装置19が設けられている。回転式サイドガード装置19は、使用者を支える高さ調節可能な支持部2の側縁に支持部2の幅方向に沿う軸20を介して柵部材21を回転可能に取り付け、使用時には使用者を支える面39よりも高く立て、収納時には柵部材21を使用者を支える面39よりも低い位置に倒して収納するものである。
【0043】
回転式サイドガード装置19の詳細を
図10,
図11に示す。柵部材21は軸支手段22を介して支持部2に取り付けられている。本実施形態では、支持部2のマット12に取り付けられている。軸支手段22は固定部と可動部より構成され、固定部は、マット12に固定された固定部材23と、固定部材23に取り付けられた固定側ブロック24より構成されている。固定部材23は例えばマット12の底面に例えば図示しないねじ等の締結手段によって取り付けられている。ただし、固定部材23をマット12に取り付ける手段としては締結手段に限られない。また、固定部材23をマット12以外の部材に取り付けるようにしても良く、例えば図示しないフレーム等に取り付けるようにしても良い。
【0044】
固定側ブロック24は例えば円柱形状をなし、中心に孔24aが設けられている。固定側ブロック24の内側端面及び周面は例えばボルト等の締結手段25,26によって固定部材23に取り付けられているが、取り付ける手段はこれに限られない。なお、本実施形態では、固定側ブロック24の周面を固定部材23に取り付けるボルト26を回転制限機構34のピン部材36として利用している。ただし、ボルト26とピン部材36とを別々に設けても良い。
【0045】
軸支手段22の可動部は、固定側ブロック24に回転可能に嵌め込まれた外筒27と、固定側ブロック24に突き合わされた状態で一緒に外筒27内に収容された可動側ブロック28と、可動側ブロック28の中心孔28aと固定側ブロック24の中心孔24aに挿入されたスライド軸(軸20)と、スライド軸20を径方向に貫通する支持片29と、支持片29に取り付けられたロックピン30と、スライド軸20を固定側ブロック24に向けて常時付勢するリターンスプリング31を備えている。スライド軸20はその長さ方向にスライド可能になっている。外筒27には、柵部材21を支持する柵支持部材32が例えば溶接等の固着手段によって固着されている。したがって、柵部材21は軸支手段22の可動部と一体となって回転する。
【0046】
固定側ブロック24の可動側ブロック28に臨む端面(外側端面)24bにはロックピン30が挿入される係止孔24cが設けられている(
図12)。スライド軸20の外側端には操作グリップ33が取り付けられており、リターンスプリング31を縮めながら操作グリップ33を引っ張ることでスライド軸20、支持片29、ロックピン30をスライドさせてロックピン30を係止孔24cから引き抜き、ロックを解除することができる(
図11)。ロック解除状態では、軸支手段22の可動部を固定側ブロック24に対して回転させることができる。
【0047】
操作グリップ33の引っ張り操作をやめると、リターンスプリング31によってスライド軸20、支持片29、ロックピン30が固定側ブロック24側に引き込まれる。この場合、ロックピン30が係止孔24cからずれているときにはロックピン30が係止孔24cに入り込まないので、ロックはされず、軸支手段22の可動部を固定側ブロック24に対して回転させることができる。一方、ロックピン30が係止孔24cに対向すると、ロックピン30が係止孔24cに入り込み、ロックされる(
図10)。ロック状態では、軸支手段22の可動部を固定側ブロック24に対して回転させることはできない。
【0048】
このように、係止孔24cとロックピン30とリターンスプリング31とスライド軸20とを備えるロック機構を有しており、柵部材21を立てた状態で支持部2に係止するようにしている。このロック機構では、上述の通り、スライド軸20のスライド操作によって、柵部材21を支持部2に係止(ロック)したり係止を解除(ロック解除)したりすることができるので、操作が簡単で使い勝手を良くすることができる。また、係止のための構造が簡単なものとなり、製造コストの上昇を抑えることができる。さらに、使用状態において柵部材21をロックすることができるので、使用時の安心感を増すことができる。また、収納状態において柵部材21をロックせずにフリー状態に保つことができるので、挟み込みが防止されて安全性をより向上させることができる。
【0049】
なお、本実施形態では、支持部2側の部材である軸支手段22の固定部の固定側ブロック24に係止孔24cを設け、軸20側の部材である支持片29にロックピン30を取り付けていたが、係止孔24cを設ける部材やロックピン30を取り付ける部材はこれらには限られない。例えば、支持部2の図示しないフレームや軸支手段22の固定部の固定部材23等に係止孔24cを設けても良く、軸20にロックピン30を直接設けても良い。さらに、支持部2側と軸20側との関係を逆にして、軸20側に係止孔24cを設けると共に、支持部2側にロックピン30を設けるようにしても良い。
【0050】
本実施形態では、ロックピン30と係止孔24cの組合せを2組設けているが、2組に限られない。また、2組の組合せは同一直径上の中心から等距離の位置に設けられている(
図12参照)が、この配置には限られない。2組のロックピン30と係止孔24cの組合せが同一直径上の位置に設けられているので、後述するように柵部材21の倒れ角が90度に制限される本実施形態では、柵部材21を立てている状態(使用状態)でロックされるが、収納状態ではロックされない。
【0051】
固定側ブロック24と軸支手段22の可動部の間には回転制限機構34が設けられており、軸支手段22の可動部の回転できる角度(柵部材21の倒れ角)が制限されている。本実施形態の回転制限機構34は外筒27の周面に設けられた長孔35と、長孔35を貫通するピン部材36より構成されているが、軸支手段22の可動部の回転角度を制限できればかかる構成には限られない。長孔35は外筒27の周方向に沿って細長く形成されており、外筒27が固定側ブロック24を中心にして回転すると長孔35内をピン部材36が相対的に移動する。そのため、外筒27の回転可能角度は長孔35内をピン部材36が相対移動できる範囲に制限され、長孔35の長さを調節することで外筒27の回転可能角度即ち柵部材21の倒れ角を調節することができる。本実施形態の回転制限機構34は、柵部材21の倒れ角を90度に制限している。
【0052】
本実施形態では柵部材21を板状にしているが、板状に限られない。例えば、枠状、網状等でも良い。
【0053】
柵部材21は、収納状態、即ち使用者を支える面(マット12の上面)39よりも低い位置に倒した状態では、ストレッチャの幅方向から見て、その下端部21aが軸20の真下から外れている(
図13)。本実施形態では、ストレッチャの幅方向から見て、柵部材21の中心から外れた位置に軸20を設けると共に、柵部材21の倒れ角を180度以外の角度にすることで、収納状態では柵部材21の下端部21aが軸20の真下から外れるようにしている。ここで、軸20の真下からの外れ量L2は倒れ角が90度の場合に最大になるので、倒れ角を90度に近い値に設定することが好ましい。
【0054】
ただし、収納状態で柵部材21の下端部21aが軸20の真下から外れるようにする手段としてはこれに限られない。例えば、
図14に示すように、柵部材21の下端部21aを部分的に突出させて軸20の真下から外れた位置に下端部21aを設けるようにしても良く(この場合には柵部材21の倒れ角を180度にすることも可能。)、その他でも良い。
【0055】
また、本実施形態では、
図13に示すように、柵部材21の形状を略台形とし、軸20側の縁37の形状を、障害物に当たった場合に上方向への回転力を発生させるテーパー形状にしている。即ち、収納状態における柵部材21の軸20側の縁37は下端部21aの幅を狭める方向に傾斜している。このようにすることで、柵部材21の軸20側の縁37や下端部21aの軸20側の部位が障害物に当たった場合にも上方向により確実に回転させることができる。したがって、障害物に当たった場合に柵部材21を確実に退避させることができる。
【0056】
軸支手段22による柵部材21のロックは柵部材21を立てた状態(使用状態)で行われ、収納状態ではロックが解除されている。したがって、収納状態では柵部材21は上方向への回転が許容されている。
【0057】
本実施形態では、臀部支持部分2Bと上半身支持部分2Aの両側に柵部材21が設けられている。ただし、柵部材21を設ける位置はこれに限られない。また、本実施形態では4箇所に柵部材21を設けているが、設置数はこれに限られない。
【0058】
柵部材21を倒して収納すると、柵部材21が下方に突出する。この状態で支持部2を下降させた場合の柵部材21と脚部1との位置関係を
図4に示す。
図4中2点鎖線で示すように柵部材21の下端部21aは脚部1の台枠4よりも低くなる。また、下端部21aと台枠4との間隔L3は僅かである。
【0059】
したがって、柵部材21を収納した状態で支持部2を下降させると、下方に突出している柵部材21が何らかの障害物に当たることがある。例えば、脚部1の台枠4に介護者が足を乗せた状態で支持部2を下降させた場合、柵部材21の下端部21aが介護者の足に当たることがある。柵部材21の下端部21a、即ち障害物に当たる位置は軸20の真下から外れており、障害物に当たった柵部材21にはこれを持ち上げる方向の回転力が発生する。収納状態では柵部材21の上方向への回転は許容されているので、柵部材21は障害物に押されて回転し退避する。そのため、障害物と柵部材21との干渉を回避することができ、柵部材21及び障害物の破損を防止することができる。
【0060】
また、回転式サイドガード装置19の一つ一つはそれぞれ独立しているため、必要最小限のものを収納することにより、使用する患者の安全を確保しながらドクターの診療行為を円滑に行うことができる。
【0061】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【0062】
例えば、上述の説明では、支持部2を昇降可能なベッド類としてストレッチャを例に説明していたが、支持部2を昇降可能なものであればストレッチャに限られない。例えば、高さ調節可能なベッド、検査用ベッド、手術台等に適用しても良い。
【0063】
また、上述の説明では、脚部1の前部にベース側支柱14Aを固定し、後部に荷物収納部17を設けていたが、逆に、脚部1の後部にベース側支柱14Aを固定し、前部に荷物収納部17を設けても良い。
【0064】
また、上述の説明では、昇降機構の平行リンク14C,14Dをストレッチャの前後方向に設けていたが、幅方向に設けても良い。即ち、脚部1の右部又は左部に昇降機構のベース側支柱14Aを固定し、ストレッチャの幅方向に平行リンク14C,14Dを設けるようにしても良い。この場合には、支持部2の昇降に伴う水平方向の移動をストレッチャの幅方向にすることができる。
【0065】
また、上述の説明では、障害物との衝突時に柵部材21を軸20周りに回転させて退避させるようにしていたが、必ずしもこの構成に限られない。例えば、
図15に示すように、柵支持部材32を柵部材21に対して第2の軸38によって回転可能に接続し、収納時の回転中心と障害物からの退避時の回転中心を別々にしても良い。即ち、柵部材21を収納するために倒す場合には軸20を中心に回転させ(
図15(A))、障害物に衝突した場合には第2の軸38を中心に柵部材21を回転させて退避させるようにしても良い(
図15(B))。