(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
天井が高く高温や低温になり易い工場等の作業現場では、局所的に冷風や温風を吹き出す簡易のスポットエアコンがしばしば用いられる。また、斯かる従来のスポットエアコンは、
図21に示す如き構成である。該
図21において100はスポットエアコンであり、前面に空気取入孔101aを設け、内部を上下2段に分けたハウジング101に、コンプレッサ102、コンデンサ103、エバポレータ104並びに前記コンデンサ103用及びエバポレータ104用の各送風ファン105、106を含む空調ユニットを内蔵してなるものである。また、前記エバポレータ104の下部には凝結水ドレンパン107を配置し、受けた水を前記コンデンサ103の下部に配置した水槽108に自然に流下するようになしている。
【0003】
斯かるスポットエアコン100は、コンデンサ103によって温められた空気は、送風ファン105により通路109を経てその吹き出し口110に設けた筒状送風ガイド111から温風として吹き出され、またエバポレータ104によって冷却された空気は、送風ファン106により通路112を経てその吹き出し口113に設けた筒状送風ガイド114から冷風として吹き出されるものである。尚、該
図21において、115は冷凍サイクルを構成するための配管、116は膨張弁を示す。
【0004】
また、上記従来例と同様のものは、例えば特許文献1、特許文献2にも示されている。しかし、それらのものはいずれもコンプレッサ、コンデンサ、エバポレータ並びに前記コンデンサ用及びエバポレータ用の送風ファンを含む空調ユニットだけからなるものであるから、涼風、加湿温風、送風等の機能を有さず、スポットエアコンとして斯かる点の改善が望まれていた。また、冷風運転時において排熱がコンデンサの背後から放出されたり、送風ファンにより温風が室内に放出されるために、スポットエアコンの冷風の当たるところ以外では逆にエバポレータで空気を冷やした熱量分だけ排気が高温となり、さらに環境が悪化するという問題点もあった。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
本発明を実施するための形態について説明する前に、先ず、本発明者らが案出した図1乃至図7に示した、本発明と基礎的構成において共通するスポットエアコンについて説明する。 図中、1はスポットエアコンである。2は該スポットエアコン1におけるハウジングであり、前面に空気取入孔3を設けている。また、該ハウジング2は内部を上下2段に分けている。4は前記ハウジング2内の下段に設置したコンプレッサ、5は前記ハウジング2内の下段に設置したコンデンサ、6は前記ハウジング2内の上段に設置したエバポレータ、7、8は夫々ハウジング2内の上段と下段に設置した送風ファンであり、これらをもって空調ユニットが構成され、前記ハウジング2内に内蔵されている。
【0015】
9は前記エバポレータ6の下部に配置した凝結水ドレンパンであり、それに受けた水を排水口10からパイプ11を介して後記コンデンサ5等の下部に配置した水槽に流下排出するものである。
【0016】
12は前記送風ファン7により送り出される空気の通路である。13は該通路12の吹き出し口12aに設けた、開口の向きを調節自在とした筒状送風ガイドである。14は前記送風ファン8により送り出される空気の通路である。15は該通路14の吹き出し口14aに設けた、開口の向きを調節自在とした筒状送風ガイドである。
【0017】
16、17は前記コンデンサ5を挟むように両側に配置した前面気化エレメントと背面気化エレメントである。18は前記前面気化エレメント16と背面気化エレメント17の両方かそのいずれか一方、又はこれらと前記コンデンサ5に上部から散水する散水器である。尚、該散水器18には、前記前面気化エレメント16、背面気化エレメント17並びにコンデンサ5の直上位置に夫々散水ノズル18a、18aを設けている。
【0018】
19は前記コンデンサ5及び前面気化エレメント16、背面気化エレメント17の下部に配置した、所定量の水を貯留すると共に前記凝結水ドレンパン9からの流下排水を受ける水槽である。20は前記水槽19の水を前記散水器18に循環供給する散水ポンプである。これらをもって散水気化ユニットが構成され、前記ハウジング
2内に備えられている。また、21は前記コンデンサ5と前記前面気化エレメント16及び背面気化エレメント17とを一体的に組み込んだ額縁状ホルダである。また、その他、22は冷凍サイクルを構成するための配管、23は膨張弁、24は水を循環供給する配管を示す。
【0019】
次に、上記
スポットエアコンの作用について説明する。
先ず、送風及びサーキュレート運転モードについて説明する。
コンプレッサ4と散水ポンプ20のいずれをも停止させた状態において送風ファン7と送風ファン8を夫々独立に作動させれば、両筒状送風ガイド13、15からは何ら処理されない風が吹き出し、送風モードとなる(2組の送風機となる。)。そしてまた、このとき筒状送風ガイド13、15を別方向に向ければサーキュレータとなるものである。
【0020】
次に、冷風及び温風運転モードについて説明する。
冷風運転モードとする場合には、コンプレッサ4を作動させ、エバポレータ6によって空気を冷却して送風ファン8により送り出し、筒状送風ガイド15を目標に向けると共に、コンデンサ5と送風ファン7によって温められた温風が吹き出す筒状送風ガイド13を屋外や筒状送風ガイド15とは別の方向に向けるようにするものである。
【0021】
また、温風運転モードとする場合には、前記と逆に、筒状送風ガイド13を目標に向けると共に、筒状送風ガイド15を屋外や筒状送風ガイド13とは別の方向に向けるようにするものである。
【0022】
次に、涼風運転モードについて説明する。
涼風運転モードとする場合には、コンプレッサ4を停止させた状態において散水ポンプ20を作動させ、水槽19内の水を散水器18の各ノズル18a、18aから流下させて前面気化エレメント16と背面気化エレメント17に散水し、それの気化により涼風とするものである。そして送風ファン7により筒状送風ガイド13から吹き出させるものである。また、このように前面気化エレメント16と背面気化エレメント17に散水気化させた場合は、蒸発による水蒸気の発生なので供給水が不純物を含む地下水であってもコンデンサ5へのスケール発生がなく、更には海岸付近での塩害によるアルミフィン腐食進行も低減できるものである。
【0023】
次に、除湿運転モードについて説明する。
除湿運転モードとする場合には、
図2に示す如く、散水ポンプ20を停止させた状態において他の全ての部材を作動するものであり、この場合には普通のスポットエアコンと同様となるものである。そして、筒状送風ガイド13と筒状送風ガイド15を同じ向きにして温風と冷風を混合させればドライ運転状態となり、凝結水ドレンパン9から水槽19に排水された分だけ除湿されることになるものである。
【0024】
次に、加湿温風運転モードについて説明する。
加湿温風運転モードとする場合には、
図3に示す如く、散水ポンプ20を作動させてコンデンサ5による温風と同時に散水気化機能をも働かせるものである。この場合には、前面気化エレメント16への散水により、それの表面の水の蒸発による加湿を行なうことができる上に、高温のコンデンサ5を通過するとき温度が上昇して飽和水蒸気圧が大きくなった空気に、更に背面気化エレメント17により加湿を行なうことができるので、より多くの加湿を行なうことができるものである。したがって、加湿温風時において過乾燥防止を簡便に実現することができ、快適性が向上するものである。また、この場合には筒状送風ガイド13から加湿された温風が吹き出すものである。
【0025】
次に、冷風運転モードにおける気化機能の併用モードについて説明する。
この場合には、
図4に示す如く、散水ポンプ20を作動させてエバポレータ6による冷風と同時に散水気化機能をも働かせるものである。即ち、エバポレータ6による冷風運転時においてコンデンサ5の前に配置した前面気化エレメント16への散水によりそれの表面に含水させることで、室内空気の温度が水の蒸発潜熱による冷却効果で降下する冷却効果を利用することができるものであり、冷却効果を一段と向上させることができるものである。そしてまた、この場合には、コンプレッサ4で加圧されたコンデンサ5内の高温高圧の冷媒ガスを効率的に冷却し、液化を促進することができるものである。また、上記前面気化エレメント16への散水と同時にコンデンサ5自体へも直接散水することで、より大きな効果を得ることができるものである。
【0026】
そしてまた、上記の如く効率的な冷却によりコンデンサ5内の冷媒ガスの液化が促進されることで、コンプレッサ4の吐出圧力が低下することになる。したがって、コンプレッサ4の負荷が軽減されて、それを駆動するためのエネルギーを軽減することができるものである。
【0027】
また、図示した如く、コンデンサ5とエバポレータ6を直列に接続し、コンデンサ5からエバポレータ6に冷媒液を供給するようになした構成においては、前記気化機能によってコンデンサ5からエバポレータ6に供給される冷媒液の供給量が増すので、冷却能力が一段と向上する。そしてまた、コンデンサ5を通過して温度が上昇した空気を、その後に配置した背面気化エレメント17に散水された水の蒸発潜熱で更に冷やし、その状態で排出することになるので、周囲の環境に対する悪影響を軽減することができるものである。
【0028】
次に、上記
スポットエアコンの作用の更なる具体例を説明する。
コンデンサ5の熱交換フィンを通過する室内空気は、乾球温度35度・相対湿度60%・風量10立方メートル/毎分と仮定すると、気化冷却を採用した場合には、冷却された空気は、コンデンサ5の熱交換フィンの位置で乾球温度28.4度・相対湿度97.9%となり、コンデンサ5と熱交換する冷却された空気の入口乾球温度が35−28.4=7.6度低くなり、その温度差が増大した分だけ熱伝達量が増加する。このコンデンサ5を通過する空気と2.2Kwの熱交換が行なわれると仮定すると、コンデンサ5を通過した空気の温湿度は、乾球温度46.5度・相対湿度33%であるが、
上記スポットエアコンの冷風気化機能を採用すると、排気の温湿度は、乾球温度約33度・相対湿度86%・風量10立方メートル/毎分と、大幅に排気温度の上昇が緩和される。湿度が更に低ければ温度差も大きくなり、省エネと排気温度の低下が共に実現できることになるものである。
【0029】
コンプレッサ4を作動させない涼風運転では、室内空気が乾球温度35度・相対湿度60%・風量10立方メートル/毎分の条件で、乾球温度28.4度・相対湿度97.9%・風量10立方メートル/毎分の涼風扇として利用可能であり、ファンモータ(図示せず。)と散水ポンプ20の電力だけで、コンプレッサ4の電力が不要な分省エネとなる。但し、室内の湿度が高ければ気化しにくく、気化冷却効果が低下するので、部分的に更に冷却したい場合にはコンプレッサ4を作動させて冷風運転モードとし、
上記スポットエアコンではそれを使い分けすることができる。
【0030】
また、
上記スポットエアコンにおいては、
図5に部分的に拡大して示す如く、コンデンサ5を挟むように両側に前面気化エレメント16と背面気化エレメント17を配置し、これらに所定の組み合わせで散水器18の散水ノズル18a、18aによる散水を行なうようにしているが、これに関連して特許文献2において
図22に示した構成が記載されているので、この点について説明する。
【0031】
図22に示した構成は、二つのコンデンサ117、118間に蒸散器119を配置し、エバポレータ120で発生する凝結水を通路121を介して該蒸散器119に流下させるものである。そしてこの流下した凝結水をコンデンサ117の温風で蒸散させるものである。これによる効果は、ドレンタンクと排水口を不要とすることができることにある。
【0032】
斯かる構成によると、室内空気がコンデンサ117、118と凝結水が流下する蒸散器119とを通過することになる。しかし、エバポレータ120で発生する凝結水は室内空気中の水蒸気のごく一部からの供給に過ぎず、水の供給に限度がある。また、その構造上、水の蒸発潜熱を利用した排気温度の抑制効果や、コンデンサの温度を低くするだけの効果を期待することはできない。結局、
図22に示した構成では
上記スポットエアコンによる構成と同一の効果をあげることはできない。
【0033】
また、
上記スポットエアコンではコンデンサ5を挟むように両側に前面気化エレメント16と背面気化エレメント17を配置し、これらに所定の組み合わせで散水器18の散水ノズル18a、18aによる散水を行なうようにしているが、コンデンサ5が、
図6に示す如き腐食し易いアルミニウム製熱交換フィンを採用したものと、
図7に示す如き耐食性のある銅製の熱交換フィンを採用したものとでは、散水の仕方において異ならしめている。即ち、
図6に示した場合にはコンデンサ5への散水は行なわず(この場合には散水器18のコンデンサ5の直上には散水ノズル18aを設けないか、設けても盲キャップを取り付ける。)、また、
図7に示した場合には、前面気化エレメント16と背面気化エレメント17への散水と合わせてコンデンサ5への散水も行なうものである(この場合には散水器18のコンデンサ5の直上にも散水ノズル18aを設けるか、或いは両側の散水ノズル18a、18aが内側に回動可能になるようにする。)。
【0034】
また、前記コンデンサ5と前面気化エレメント16及び背面気化エレメント17とを額縁状ホルダ21に組み込んだ場合には、コンデンサ5と前面気化エレメント16及び背面気化エレメント17との相互の間隔を一定に保持することができると共に、散水ノズル18a、18aの送風ファン7による負圧のショートサーキットを防止することもできる。更にまた、
図6に示した場合の如くコンデンサ5への散水を行なわない場合に、前面気化エレメント16と背面気化エレメント17への散水で生じる気流によって水が飛び散ってもコンデンサ5に水がかかることを防ぐことができるものである。尚、図示はしないが額縁状ホルダ21の代わりにコンデンサ5の両側に飛散防止板を設置するようにしてもよい。
【0035】
次に、
上記スポットエアコンと基礎的構成において共通する図8乃至
図13に示した本発明の第
1実施形態
に係るスポットエアコンについて説明する。
【0036】
本実施形態において、前面に空気取入孔3を設け、コンプレッサ4、コンデンサ5、エバポレータ6並びに前記コンデンサ5用及びエバポレータ6用の各送風ファン7、8を含む空調ユニットを内蔵したハウジング2に、前記コンデンサ5を挟むように両側に配置した前面気化エレメント16及び背面気化エレメント17と、前記前面気化エレメント16と背面気化エレメント17の両方かそのいずれか一方、又はこれらと前記コンデンサ5に上部から散水する散水器18と、前記コンデンサ5と前面気化エレメント16及び背面気化エレメント17の下部に配置した、所定量の水を貯留すると共に前記エバポレータ6の下部に配置した凝結水ドレンパン9からの流下排水を受ける水槽19と、前記水槽19の水を前記散水器18に循環供給する散水ポンプ20とからなる散水気化ユニットを備えていることは、前記
図1乃至図7に示したスポットエアコンと同様である。また、その他の構成部材も同様であるから、同一の部材には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0037】
而して、本実施形態と前記
スポットエアコンとの相違点は、前記
スポットエアコンにおいて送風ファン7、8に連通する各空気通路12、14の吹き出し口に筒状送風ガイド13、15を設けているのに対して、本実施形態においてこれに代わる以下のような構成とした点にある。
【0038】
即ち、本実施形態においては、前記ハウジング2の上部に、利用する空気が流入する給気チャンバー25と利用しない空気が流入する排気チャンバー26とを前者を下、後者を上にして重ねて設け、前記コンデンサ5用及びエバポレータ6用の各送風ファン7、8に連通する空気通路12、14を、前記給気チャンバー25を貫通させて前記排気チャンバー26の底部に接続すると共に、前記空気通路12、14の夫々の、前記給気チャンバー25の貫通部分における前記ハウジング2の前面と同一側の面に空気通過口12a′、14a′を設け、更に、前記空気通路12、14の夫々の前記排気チャンバー26の底部への開口12b、14bと、前記空気通路12、14の夫々に設けた空気通過口12a′、14a′とを交互に適宜のタイミングで遮断する空気流路切替ダンパー27、28を設け、更に、前記給気チャンバー25の空気放出口25Aは、前記ハウジング2の前面側に設ける一方、前記排気チャンバー26の空気放出口26Aは、前記給気チャンバー25の空気放出口25Aとは異なる側の位置に設けてなるものである。尚、前記空気流路切替ダンパー27、28の切り替え作動は、手動又は自動のどちらで行ってもよいが、運転モードに合わせて自動的に切り替わるようにすることが好ましい。
【0039】
また、本実施形態においては、排気チャンバー26の空気放出口26Aをハウジング2の後面側に位置させており、更に給気チャンバー25の空気放出口25Aに風向調整用のルーバー付空気吹き出しグリル29を取り付けている。また、空気通路14の給気チャンバー25の貫通部分における空気通路12に対向する面の外側には、空気通路12における空気通過口12a′から吹き出す空気を左右に振り分ける平面三角形状の空気整流板30を取り付けている。
【0040】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図8乃至
図10は給気チャンバー25の空気放出口25Aから冷風を吹き出す場合を示しており、斯かる場合には、空気通路14の空気通過口14a′を開放すると共に、空気通路14の排気チャンバー26の底部への開口14bを空気流路切替ダンパー28で遮断する一方、空気通路12の空気通過口12a′を空気流路切替ダンパー27で遮断すると共に、空気通路12の排気チャンバー26の底部への開口12bを開放するものである。
【0041】
これにより、エバポレータ6によって冷却された空気は、空気通路14から給気チャンバー25内に流入し、その空気放出口25Aからハウジング2の前面側に放出される。また、その風向の調整は、風向調整用のルーバー付空気吹き出しグリル29のルーバーをもって行われる。また一方、コンデンサ5によって温められた空気は、空気通路12から排気チャンバー26内に流入し、その空気放出口26Aからハウジング2の後面側に放出されるものである。
【0042】
また、
図11乃至
図13は給気チャンバー25の空気放出口25Aから温風を吹き出す場合を示しており、斯かる場合には、空気通路12の空気通過口12a′を開放すると共に、空気通路12の排気チャンバー26の底部への開口12bを空気流路切替ダンパー27で遮断する一方、空気通路14の空気通過口14a′を空気流路切替ダンパー28で遮断すると共に、空気通路14の排気チャンバー26の底部への開口14bを開放するものである。
【0043】
これにより、コンデンサ5によって温められた空気は、空気通路12から給気チャンバー25内に流入し、その空気放出口25Aからハウジング2の前面側に放出される。また一方、エバポレータ6によって冷却された空気は、空気通路14から排気チャンバー26内に流入し、その空気放出口26Aからハウジング2の後面側に放出されるものである。
【0044】
次に、
図14乃至
図16に示した本発明の第
2実施形態について説明する。
【0045】
本実施形態は、基本的な構成においては前記第
1実施形態と同様である。而して、本実施形態と前記第
1実施形態との相違点は、本実施形態において排気チャンバー26の空気放出口26Aを、ハウジング2の上面側に位置せしめたことにある。また、更に本実施形態においては、排気を周囲の快適性を阻害しない位置まで導くために、該空気放出口26Aに筒状送風ガイド31を設けている。尚、その他の構成並びに作用は前記第
1実施形態と同様であるから、同一の部材には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0046】
次に、
図17乃至
図19に示した本発明の第
3実施形態について説明する。
【0047】
本実施形態は、基本的な構成においては前記第
2実施形態と同様である。而して、本実施形態と前記第
2実施形態との相違点は、本実施形態において給気チャンバー25の空気放出口25Aに、風向調整用のルーバー付空気吹き出しグリルを取り付けていないことにあり、そしてこれに代えて給気を所定の場所まで導くための筒状送風ガイド32を設けたことにある。尚、その他の構成並びに作用は前記第
2実施形態と同様であるから、同一の部材には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0048】
次に、
図20に示した本発明の第
4実施形態について説明する。
【0049】
本実施形態と前記第
1実施形態との相違点は、給気チャンバー25と排気チャンバー26との上下位置を逆にした点にある。即ち、本実施形態においては、前記ハウジング2の上部に、利用する空気が流入する給気チャンバー25と利用しない空気が流入する排気チャンバー26とを前者を上、後者を下にして重ねて設け、前記コンデンサ5用及びエバポレータ6用の各送風ファン7、8に連通する空気通路12、14を、前記排気チャンバー26を貫通させて前記給気チャンバー25の底部に接続すると共に、前記空気通路12、14の夫々の、前記排気チャンバー26の貫通部分における前記ハウジング2の前面と反対側の面に空気通過口12a′、14a′を設け、更に、前記空気通路12、14の夫々の前記給気チャンバー25の底部への開口12b、14bと、前記空気通路12、14の夫々に設けた空気通過口12a′、14a′とを交互に適宜のタイミングで遮断する空気流路切替ダンパー27、28を設け、更に、前記給気チャンバー25の空気放出口25Aは、前記ハウジング2の前面側に設ける一方、前記排気チャンバー26の空気放出口26Aは、前記給気チャンバー25の空気放出口25Aとは異なる側(本実施形態ではハウジング2の後面側)の位置に設けてなるものである。
【0050】
また、
図20は給気チャンバー25の空気放出口25Aから冷風を吹き出す場合を示しており、斯かる場合には、空気通路14の空気通過口14a′を空気流路切替ダンパー28で遮断すると共に、空気通路14の給気チャンバー25の底部への開口14bを開放する一方、空気通路12の空気通過口12a′を開放すると共に、空気通路12の給気チャンバー25の底部への開口12bを空気流路切替ダンパー27で遮断するものである。
【0051】
これにより、エバポレータ6によって冷却された空気は、空気通路14から給気チャンバー25内に流入し、その空気放出口25Aからハウジング2の前面側に放出される。また一方、コンデンサ5によって温められた空気は、空気通路12から排気チャンバー26内に流入し、その空気放出口26Aからハウジング2の後面側に放出されるものである。尚、その他の構成並びに作用は前記第
1実施形態と同様であるから、同一の部材には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0052】
また、
図20に示した実施形態の変形例として、図示はしないが、排気チャンバー26の空気放出口26Aに筒状送風ガイドを設けるようにしてもよく、また更に給気チャンバー25の空気放出口25Aに、風向調整用のルーバー付空気吹き出しグリルを取り付けず、これに代わる給気を所定の場所まで導くための筒状送風ガイドを設けるようにしてもよい。
【0053】
また、以上の各実施形態において、温度と湿度を計測し、冷風運転モードと涼風運転モードを自動制御により切り替えるようにすれば、快適性と省エネ性を両立させた最適な空気冷却運転を自動的に行うことができる。
【0054】
斯かる場合には、ハウジング2前面の空気取入孔3と前面気化エレメント16との間に配置した温度センサー33と湿度センサー34で吸込み空気の温度と湿度を計測し、計測された空気の温度と湿度及び任意に設定された給気温度と気化冷却効率から最適な空気冷却運転モードを判断し、運転モードを自動的に切り替える運転モード自動制御装置35を設けるようにするものである。
【0055】
また、上記運転モード自動制御装置35による制御の概略は、次の通りである。
設定パラメータ(制御入力)
(1)設定給気温度(任意) :TDBos
(2)気化冷却の効率(任意):SE
計測パラメータ(制御入力)
(1)温度センサーによる吸込み空気乾球温度:TDBi
(2)
湿度センサーによる吸込み空気相対湿度:RHi
演算パラメータ(内部演算)
(1)TDBiとRHiから吸込み空気の湿球温度を計算:TWBi
(2)TDBi、TWBi、SEから涼風運転時の給気乾球温度を計算:TDBoc
(3)設定給気温度TDBosと涼風運転時の給気乾球温度TDBocの大小を比較
運転切り替え(制御出力)
(1)TDBos≧TDBocの時、涼風運転の信号を出力(省エネ運転)
(2)TDBos<TDBocの時、冷風運転の信号を出力(快適性優先運転)