特許第6091878号(P6091878)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6091878
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】可搬式エンジン発電機
(51)【国際特許分類】
   F02D 29/06 20060101AFI20170227BHJP
   F01N 3/027 20060101ALI20170227BHJP
   F02B 63/04 20060101ALI20170227BHJP
   H02P 9/04 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   F02D29/06 L
   F01N3/027 Z
   F02B63/04 C
   H02P9/04 K
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-275481(P2012-275481)
(22)【出願日】2012年12月18日
(65)【公開番号】特開2014-118904(P2014-118904A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年11月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 一郎
【審査官】 藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−226233(JP,A)
【文献】 特開平08−232677(JP,A)
【文献】 実開平06−043215(JP,U)
【文献】 実開平01−149515(JP,U)
【文献】 特開平09−195787(JP,A)
【文献】 特開2012−017706(JP,A)
【文献】 特開2011−132836(JP,A)
【文献】 特開昭63−052645(JP,A)
【文献】 実開昭57−108698(JP,U)
【文献】 特開2002−038918(JP,A)
【文献】 特開2003−278579(JP,A)
【文献】 特開2012−132378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 29/06
F01N 3/02 〜 3/028
F02B 63/04
H02P 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング内に、発電機と、該発電機を駆動するディーゼルエンジンと、前記発電機で発電した電力によって作動する内部負荷と、該内部負荷への電力供給を入り切りする接触器を設けた可搬式エンジン発電機において、
前記発電機の発電電力量を計測する発電電力量計測手段と、該発電電力量計測手段で計測した発電電力量があらかじめ設定された発電電力量閾値以下の軽負荷で運転された継続時間を計測する軽負荷運転継続時間計測手段と、該軽負荷運転継続時間計測手段で計測した軽負荷運転継続時間があらかじめ設定された軽負荷運転継続時間閾値を超えたときに前記接触器を投入して前記内部負荷に電力を供給する接触器投入手段と、接触器を投入して内部負荷に電力供給を行っている内部負荷運転時間を計測する内部負荷運転時間計測手段と、該内部負荷運転時間計測手段で計測した内部負荷運転時間があらかじめ設定された内部負荷運転時間閾値を超えたときに前記接触器を開放して内部負荷への電力供給を遮断する接触器開放手段とを備えている
ことを特徴とする可搬式エンジン発電機。
【請求項2】
前記内部負荷は、前記ディーゼルエンジンのラジエータを通過してケーシングの外部に排出される冷却空気が流れる排風室内に設置されていることを特徴とする請求項1記載の可搬式エンジン発電機。
【請求項3】
前記内部負荷がヒータであり、該ヒータが前記ディーゼルエンジンのマフラを加熱可能な位置に設置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の可搬式エンジン発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬式エンジン発電機に関し、詳しくは、ケーシング内に、発電機と、該発電機を駆動するディーゼルエンジンとを収納した可搬式エンジン発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
発電機の駆動源としてディーゼルエンジンを使用した可搬式エンジン発電機は、建設現場などの幅広い用途に用いられているが、例えば、河川工事で水汲みポンプの電源として可搬式エンジン発電機を用いる場合、ポンプの始動電流(突入電流)を考慮してポンプの定常運転に必要な電力の5倍以上の発電能力を有する可搬式エンジン発電機を用いる必要がある。このため、ポンプ運転中は、可搬式エンジン発電機が軽負荷(低負荷)で長時間運転されることになり、シリンダ内での燃焼温度が低下して未燃焼燃料やカーボンが排ガスに混入し、これらがマフラ内に溜まって目詰まり状態になってしまうなどの様々な不都合が発生することがある。特に、第3次排ガス規制対応エンジンでは、マフラ内に未燃焼燃料やカーボンが溜まりやすいという問題がある。
【0003】
一方、ハイブリッド電気自動車において、エンジンを所定時間以上にわたりアイドリング運転するときには、アイドリング運転中に、間欠的に短時間だけエンジンを発電運転することにより、排ガス浄化装置の触媒を加熱することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−248875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載されたハイブリッド電気自動車では、アイドリング運転中に行う発電運転により、搭載した走行用バッテリーを充電することができるが、ハイブリッド電気自動車のような走行用バッテリーを搭載していない一般的な可搬式エンジン発電機に適用することはできなかった。
【0006】
そこで本発明は、一般的な可搬式エンジン発電機に容易に適用可能で、第3次排ガス規制対応エンジンにおいても、マフラ内に未燃焼燃料やカーボンが溜まることを確実に防止することができる機能を備えた可搬式エンジン発電機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の可搬式エンジン発電機は、ケーシング内に、発電機と、該発電機を駆動するディーゼルエンジンとを収納した可搬式エンジン発電機において、前記ケーシングの内部に、前記発電機で発電した電力によって作動する内部負荷を設けるとともに、該内部負荷への電力供給を入り切りする接触器を設けたことを特徴としている。
【0008】
さらに、本発明の可搬式エンジン発電機は、前記発電機の発電電力量を計測する発電電力量計測手段と、該発電電力量計測手段で計測した発電電力量があらかじめ設定された発電電力量閾値以下の軽負荷で運転された継続時間を計測する軽負荷運転継続時間計測手段と、該軽負荷運転継続時間計測手段で計測した軽負荷運転継続時間があらかじめ設定された軽負荷運転継続時間閾値を超えたときに前記接触器を投入して前記内部負荷に電力を供給する接触器投入手段と、接触器を投入して内部負荷に電力供給を行っている内部負荷運転時間を計測する内部負荷運転時間計測手段と、該内部負荷運転時間計測手段で計測した内部負荷運転時間があらかじめ設定された内部負荷運転時間閾値を超えたときに前記接触器を開放して内部負荷への電力供給を遮断する接触器開放手段とを備えていることを特徴としている。
【0009】
また、前記内部負荷が、前記ディーゼルエンジンのラジエータを通過してケーシングの外部に排出される冷却空気が流れる排風室内に設置されていること、さらに、前記内部負荷がヒータであり、該ヒータが前記ディーゼルエンジンのマフラを加熱可能な位置に設置されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の可搬式エンジン発電機によれば、該可搬式エンジン発電機から電力供給を行っている外部負荷への電力供給量が少なく、長時間にわたって軽負荷運転が継続されたときに、接触器を投入して内部負荷と外部負荷とに電力供給を行うように運転することにより、発電機を駆動するディーゼルエンジンの負荷が増大し、シリンダ内への燃料噴射量の増大に伴って燃焼温度が上昇し、排ガスの温度が上昇するので、マフラ内に溜まった未燃焼燃料やカーボンを燃焼させてマフラ内から除去することができる。また、発電電力量を計測して自動的に接触器を入り切りする制御手段を設けることにより、マフラ内に未燃焼燃料やカーボンが溜まってディーゼルエンジンにトラブルが発生することを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の可搬式エンジン発電機の一形態例を示す断面正面図である。
図2】内部負荷の一例を示す正面図である。
図3】本発明の可搬式エンジン発電機における電源供給回路の一例を示す結線図である。
図4】接触器を制御する制御手段の制御手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本形態例に示す可搬式エンジン発電機は、防音構造を有する箱形のケーシング11の内部を、仕切壁12によって機器室13と排風室14とに区画し、機器室13内に、発電機15と、該発電機15を駆動するディーゼルエンジン16とを収納している。発電機15の上方には、燃料タンク17と制御盤18とが配置され、ディーゼルエンジン16の上方にはエアクリーナ19が配置されている。仕切壁12にはラジエータ20が設けられており、排風室14内には、マフラ21と内部負荷である空気加熱用のヒータ22とが設置されている。また、ラジエータ20の下部には、マフラ21の熱からラジエータ20を保護するための遮熱板23がロアタンク20aの周囲に設けられている。
【0013】
ケーシング11の天井部には、エンジン発電機を吊り上げるための吊り金具24が設けられるとともに、前記排風室14に連通する排風口(図示せず)が設けられている。
【0014】
さらに、ケーシング11の側面部には、図示は省略するが、ケーシング11の内部に冷却空気やエンジン燃焼用空気を導入する吸気口や外部負荷へのケーブルを接続するための端子台、点検扉などが設けられている。
【0015】
前記ヒータ22は、前記ラジエータ20に対向する排風室14の壁面に、端子22aを上方に向けて配置されており、端子22aの上方には、排風室14内に浸入した雨水が端子22aに掛かることを防止するカバー14aが設けられている。このヒータ22の容量は、発電機15やディーゼルエンジン16の性能に応じて適宜選択されるものであって、ヒータ22の長さが長い場合には、排風室14の壁面に納まる形状に曲げ加工を施したものを用いることができる。また、必要に応じて複数本のヒータを並列に接続して使用することができる。
【0016】
このヒータ22は、図3に示すように、発電機(G)15の出力端子と外部負荷接続端子31との間の出力線32から分岐した分岐線33に設けられており、分岐線33には、ヒータ22への通電を入り切りする接触器34が設けられている。前記出力線32には、電圧計35,周波数計36,電流計37が設けられるとともに、前記接触器34を開閉信号34Sを介して開閉制御する制御手段38が設けられている。
【0017】
前記制御手段38は、電圧計35や電流計37の測定値から演算処理して求められる前記発電機15の発電電力量を計測する発電電力量計測手段と、該発電電力量計測手段で計測した発電電力量があらかじめ設定された発電電力量閾値以下の軽負荷で運転された継続時間を計測する軽負荷運転継続時間計測手段と、該軽負荷運転継続時間計測手段で計測した軽負荷運転継続時間があらかじめ設定された軽負荷運転継続時間閾値を超えたときに前記接触器34を投入して前記ヒータ22に電力を供給する接触器投入手段と、接触器34を投入してヒータ22に電力供給を行っている時間、すなわち、ディーゼルエンジン16の負荷を増大させて運転している内部負荷運転時間を計測する内部負荷運転時間計測手段と、該内部負荷運転時間計測手段で計測した内部負荷運転時間があらかじめ設定された内部負荷運転時間閾値を超えたときに前記接触器34を開放してヒータ22への電力供給を遮断する接触器開放手段とを備えており、発電機15から外部負荷への電力供給量に応じて接触器34を自動的に開閉してヒータ22への通電を行うように形成されている。
【0018】
ヒータ22に電力を供給している間、発電機15は、内部負荷であるヒータ22と外部負荷とに同時に電力供給を行うため、発電機15の負荷が増大し、これに伴ってディーゼルエンジン16の負荷も増大するため、ディーゼルエンジン16が高負荷運転状態となってシリンダへの燃料噴射量が増大し、燃焼温度が上昇して排ガスの温度も上昇する。したがって、高温の排ガスがマフラ21を流れることになり、軽負荷運転時にマフラ21内に溜まった未燃焼燃料やカーボンを燃焼させてマフラ21内から除去することができ、さらに、DPFからも、詰まりの原因となる粒子状物質を除去することができる。特に、マフラ21内に未燃焼燃料やカーボンが溜まりやすい第3次排ガス規制対応エンジンにおいても、未燃焼燃料やカーボンがマフラ21内に溜まることを確実に防止でき、第3次排ガス規制に対応したディーゼルエンジン16を使用した可搬式エンジン発電機をポンプ用電源として安定した状態で運転することができる。
【0019】
また、ヒータ22を排風室14内に設置することにより、ラジエータ20を通過して排風室14を通り、排風口からケーシング11の外部に排出される冷却空気でヒータ22を冷却することができるので、ヒータ22が過度に発熱してヒータ22が破損したり、ケーシング11や内部に収納した機器を損傷することを防止できる。さらに、マフラ21やDPFを加熱可能な位置にヒータ22を設置することにより、マフラ21やDPFをヒータ22の熱で加熱できるので、マフラ21内に溜まった未燃焼燃料やカーボン及びDPFに捕捉された粒子状物質を、より効果的に除去することができる。
【0020】
次に、図4に示すフローチャートに基づいて前記制御手段38の動作を説明する。まず、ステップ51で運転を開始すると、ステップ52で前記発電電力量計測手段が電圧計35や電流計37の測定値から演算処理した発電機15の発電電力量を計測する。ステップ53では、演算して計測した発電電力量と、あらかじめ設定された発電電力量閾値とを比較して軽負荷運転状態か否かを判断し、軽負荷運転状態であると判断した場合はステップ54に進み、前記軽負荷運転継続時間計測手段が計測した軽負荷運転状態の継続時間と、あらかじめ設定された軽負荷運転継続時間閾値とを比較する。
【0021】
ステップ54で軽負荷運転状態の継続時間が軽負荷運転継続時間閾値を超えていると判断したら、ステップ55に進んで前記接触器投入手段が接触器34を投入する(ON)。これにより、内部負荷であるヒータ22に発電機15から電力が供給され、ステップ56の外部負荷と内部負荷とに電力を供給する内部負荷運転(高負荷運転)を行うとともに、前記内部負荷運転時間計測手段が内部負荷運転時間を計測する。
【0022】
次のステップ57では、内部負荷運転時間計測手段が計測した内部負荷運転時間と、あらかじめ設定された内部負荷運転基準継続時間とを比較し、内部負荷運転時間が内部負荷運転基準継続時間を超えるまではステップ56、ステップ57を繰り返し、内部負荷運転を継続する。ステップ57で内部負荷運転時間が内部負荷運転基準継続時間を超えたと判断したらステップ58に進み、前記接触器開放手段が接触器34を開放し(OFF)、ヒータ22への電力供給を終了してステップ59に進み、外部負荷のみに電力供給を行う通常運転状態に戻る。
【0023】
また、ステップ53で軽負荷運転状態ではないと判断した場合、及び、ステップ54で軽負荷運転状態の継続時間が軽負荷運転継続時間閾値を超えていないと判断した場合も、ステップ59に進んで通常運転を継続する。運転中は、これらの各ステップを繰り返し、軽負荷運転が長時間継続されたときに自動的に接触器34を投入して内部負荷であるヒータ22に電力供給する運転を行うことで、軽負荷運転中にマフラ21に付着した未燃焼燃料やカーボンを高温の排ガスで除去することができる。さらに、長時間の軽負荷運転に起因する各種エンジントラブルの発生も未然に防止することができる。
【0024】
なお、軽負荷運転状態の判断基準は、可搬式エンジン発電機の仕様に応じて設定すればよく、軽負荷運転継続時間閾値及び内部負荷運転基準継続時間も、可搬式エンジン発電機の仕様や内部負荷の仕様に応じて適宜設定することができる。また、内部負荷は、ヒータ以外のものを使用することも可能であり、設置する位置もケーシング11の内部で任意に選定することができる。さらに、制御手段で接触器を開閉することなく、制御手段で警報を発信し、該警報に基づいて手動で接触器34を投入し、内部負荷運転を一定時間、行うようにしてもよい。さらに、警報を発することなく、手動で接触器を入り切りするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0025】
11…ケーシング、12…仕切壁、13…機器室、14…排風室、14a…カバー、15…発電機、16…ディーゼルエンジン、17…燃料タンク、18…制御盤、19…エアクリーナ、20…ラジエータ、20a…ロアタンク、21…マフラ、22…ヒータ、22a…端子、23…遮熱板、24…吊り金具、31…外部負荷接続端子、32…出力線、33…分岐線、34…接触器、34S…開閉信号、35…電圧計、36…周波数計、37…電流計、38…制御手段
図1
図2
図3
図4