【文献】
N.Hasegawa et al,Thickness measurement of iron-oxide layers on steel plates using terahertz reflectometry,2011 International Conference on Infrared, Millimeter and Terahertz Waves,米国,IEEE,2011年,p.1-2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基板上に配置され二つ以上の層を有する被測定物に向けて、0.01[THz]以上100[THz]以下の周波数の電磁波を出力する電磁波出力器と、前記被測定物に入射され、前記基板により反射され、前記被測定物を透過した前記電磁波である基板面反射電磁波を検出する電磁波検出器とを備えた電磁波測定装置における電磁波測定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記電磁波測定処理が、
前記電磁波検出器により検出された前記基板面反射電磁波の周波数成分の振幅を取得する周波数成分取得工程と、
前記被測定物のいずれか一つ以上の層の厚さを示す厚さ指示量と、前記基板面反射電磁波の周波数成分の振幅との関係を記録する厚さ・振幅特性記録工程と、
前記周波数成分取得工程により取得された前記基板面反射電磁波の周波数成分の振幅と、前記厚さ・振幅特性記録工程の記録内容とに基づき、前記厚さ指示量を導出する厚さ指示量導出工程と、
を備えたプログラム。
基板上に配置され二つ以上の層を有する被測定物に向けて、0.01[THz]以上100[THz]以下の周波数の電磁波を出力する電磁波出力器と、前記被測定物に入射され、前記基板により反射され、前記被測定物を透過した前記電磁波である基板面反射電磁波を検出する電磁波検出器とを備えた電磁波測定装置における電磁波測定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータによって読み取り可能な記録媒体であって、
前記電磁波測定処理が、
前記電磁波検出器により検出された前記基板面反射電磁波の周波数成分の振幅を取得する周波数成分取得工程と、
前記被測定物のいずれか一つ以上の層の厚さを示す厚さ指示量と、前記基板面反射電磁波の周波数成分の振幅との関係を記録する厚さ・振幅特性記録工程と、
前記周波数成分取得工程により取得された前記基板面反射電磁波の周波数成分の振幅と、前記厚さ・振幅特性記録工程の記録内容とに基づき、前記厚さ指示量を導出する厚さ指示量導出工程と、
を備えた記録媒体。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0020】
第一の実施形態
図1は、本発明の実施形態にかかる電磁波測定装置100の構成を示す図である。
図2は、2層構造の被測定物1および基板20により反射された電磁波を示す図(
図2(a)参照)および反射された電磁波の時間波形を示す図(
図2(b)参照)である。
【0021】
本発明の実施形態にかかる電磁波測定装置100は、電磁波出力器2、電磁波検出器4、層解析装置10を備える。電磁波測定装置100は、被測定物1を測定するためのものである。
【0022】
被測定物1は、
図2(a)を参照して、層1a、層1bを有する。層1aの方が、層1bよりも上にある。なお、被測定物1は基板20の上に配置されており、層1bが基板20に接している。例えば、基板20は金属板(材質は、例えばアルミニウムである)であり、層1bには金属板の平面が接している。この金属板の平面が平面ミラーの役割を果たしている。ただし、基板20は、複素屈折率が分かっている基板であればよく、基板20と層1bとの界面の反射率が高いものが好ましい。
【0023】
なお、本発明の実施形態では、被測定物1は二つの層を有しているが、三つ以上の層を有していてもよい。
【0024】
電磁波出力器2は、被測定物1に向けて、0.01[THz]以上100[THz]以下の周波数の電磁波を出力する。なお、被測定物1に向けて出力される電磁波の周波数は、テラヘルツ波帯(例えば、0.03[THz]以上10[THz]以下)を含むものである。そこで、本発明の全ての実施形態においては、電磁波の一例として、テラヘルツ波を想定している。
【0025】
図2(a)を参照して、被測定物1に向けて出力されたテラヘルツ波は、空気中(屈折率=1)を進み、被測定物1に入射される。入射されたテラヘルツ波の一部は、層1aを透過して層1bに進入し、基板20により反射され、層1bを透過してさらに層1aを透過し(被測定物1を透過する)、被測定物1の外部に出射される。すなわち、テラヘルツ波が、被測定物1に入射され、基板20により反射され、被測定物1を透過する。このようにして、被測定物1を透過した電磁波(例えば、テラヘルツ波)を基板面反射電磁波という。
【0026】
電磁波検出器4は、基板面反射電磁波を検出する。ただし、電磁波検出器4には、基板面反射電磁波だけではなく、基板20以外の面により反射された電磁波(例えば、層1aの表面により反射されたテラヘルツ波(表面反射電磁波という))も入射されてしまう。
【0027】
ただし、
図2(b)を参照して、表面反射電磁波の方が、基板面反射電磁波よりも早く、電磁波検出器4に到達する。これにより、表面反射電磁波と基板面反射電磁波とを区別することができる。すなわち、反射された電磁波のうち遅く到達した方が、基板面反射電磁波である。
【0028】
なお、層1aと層1bとの境界面において反射する電磁波については、測定する必要が無いので、特に検出の対象としない(そもそも、検出不能である場合もある)。
【0029】
電磁波検出器4は、基板面反射電磁波と時間との対応関係(すなわち、時間波形)を出力する。電磁波検出器4は、基板面反射電磁波を、例えば電圧(またはパワーなど)として検出する。本発明の実施形態においては、電磁波検出器4が、基板面反射電磁波を電圧として検出するものとして説明する。
【0030】
図3は、第一の実施形態にかかる層解析装置10の構成を示す機能ブロック図である。層解析装置10は、単層膜特性記録部12a、測定条件入力部12b、定量モデル導出部12c、定量モデル記録部(厚さ・振幅特性記録部)12d、周波数成分取得部12e、膜厚比導出部(厚さ指示量導出部)12fを有する。
【0031】
単層膜特性記録部12aは、層1aおよび層1bにおけるテラヘルツ波の反射および吸収に関する特性を記録する。例えば、層1aおよび層1bにおけるテラヘルツ波の吸収係数、表面反射率および界面反射率を記録する。
【0032】
単層膜特性記録部12aの記録内容は、例えば、任意の測定装置により、以下のような測定を行うことにより生成できる。
【0033】
まず、電磁波出力器2が被測定物1に入射する予定のテラヘルツ波の周波数成分の振幅を取得する。
【0034】
図4は、電磁波出力器2が被測定物1に入射する予定のテラヘルツ波の周波数成分の振幅を取得するための図であり、全反射したテラヘルツ波の光路(
図4(a)参照)、全反射したテラヘルツ波の時間波形(
図4(b)参照)である。
【0035】
まず、
図4(a)に示すように、空気中(屈折率=1)を進むテラヘルツ波を、任意の入射角β
inで平面ミラーに入射すると、全反射する。この全反射したテラヘルツ波を、例えば電圧として検出し、テラヘルツ波の時間波形を取得する。すると、
図4(b)に示すような、全反射したテラヘルツ波の時間波形が得られる。この時間波形により示されるテラヘルツ波を、FFT(高速フーリエ変換)することにより、周波数成分の振幅を取得する。すなわち、FFTにより、全反射したテラヘルツ波を、周波数成分A
nsin(2πf・nt+θ
n)の総和として表現し、周波数f・nの各々について、振幅A
nを取得する。ただし、nは0以上N以下の全ての値をとる整数、Nは正の整数、fは所定の周波数[Hz]、θ
nは周波数成分の位相である。全反射したテラヘルツ波の周波数成分の振幅をI
refと表記する。
【0036】
例えば、fを0.1[THz]、Nを30とした場合、全反射したテラヘルツ波は、周波数0THzの成分、周波数0.1THzの成分、周波数0.2THzの成分、…、周波数2.9THzの成分、周波数3.0THzの成分の総和として表され、これらの周波数成分の各々について振幅I
ref(0THz)、I
ref(0.1THz)、I
ref(0.2THz)、…、I
ref(2.9THz)、I
ref(3.0THz)を取得する。
【0037】
I
refは周波数成分ごとに取得されるので、I
refは周波数の関数である。よって、上記の例では、I
refの引数として周波数を記載している。ただし、以後、I
refの引数として周波数を記載することは省略する。
【0038】
図5は、電磁波出力器2が被測定物1に入射する予定のテラヘルツ波を実際に層1aまたは層1bに入射したときの光路を示す図(
図5(a)参照)、反射したテラヘルツ波の時間波形を示す図(
図5(b)参照)である。
【0039】
ここで、電磁波出力器2が被測定物1に入射する予定のテラヘルツ波を、空気中(屈折率=1)を進行させて、実際に層1aに入射する。ただし、層1aは基板20に載せておく。このときの、層1aの表面により反射されたテラヘルツ波(表面反射成分)の周波数成分の振幅I
sur-aと、層1aと基板20との界面により反射されたテラヘルツ波(基板面反射成分)の周波数成分の振幅I
met-aとを測定する。
【0040】
さらに、電磁波出力器2が被測定物1に入射する予定のテラヘルツ波を、空気中(屈折率=1)を進行させて、実際に層1bに入射する。ただし、層1bは基板20に載せておく。このときの、層1bの表面により反射されたテラヘルツ波(表面反射成分)の周波数成分の振幅I
sur-bと、層1bと基板20との界面により反射されたテラヘルツ波(基板面反射成分)の周波数成分の振幅I
met-bとを測定する。
【0041】
ただし、
図4において全反射されたテラヘルツ波と同じテラヘルツ波を
図5においても層1aまたは層1bに入射するものとする。
【0042】
図5(a)を参照して、テラヘルツ波を層1a(または層1b)を入射すると、層1aの表面により反射される成分(表面反射成分)と、層1aと基板20との界面により反射される成分(基板面反射成分)とが得られる。この表面反射成分および基板面反射成分を、例えば電圧として検出し、両者の時間波形を取得する。すると、
図5(b)に示すような、表面反射成分および基板面反射成分の時間波形が得られる。
【0043】
図5(b)を参照して、表面反射成分の方が、基板面反射成分よりも早く検出される。これにより、表面反射成分と基板面反射成分とを区別することができる。すなわち、反射成分のうち早く(遅く)到達した方が、表面反射成分(基板面反射成分)である。
【0044】
層1a(層1b)による表面反射成分の時間波形により示されるテラヘルツ波を、FFT(高速フーリエ変換)することにより、層1a(層1b)による表面反射成分の周波数成分の振幅I
sur-a(I
sur-b)を取得する。周波数成分の振幅とはどのようなものであるかは、先にI
refについて説明した場合と同様である。なお、I
refについての表記と同様に、表面反射成分の周波数成分の振幅I
sur-a(I
sur-b)の引数として周波数を記載することは省略する。
【0045】
層1a(層1b)による基板面反射成分の時間波形により示されるテラヘルツ波を、FFT(高速フーリエ変換)することにより、層1a(層1b)による基板面反射成分の周波数成分の振幅I
met-a(I
met-b)を取得する。周波数成分の振幅とはどのようなものであるかは、先にI
refについて説明した場合と同様である。なお、I
refについての表記と同様に、基板面反射成分の周波数成分の振幅I
met-a(I
met-b)の引数として周波数を記載することは省略する。
【0046】
単層膜特性記録部12aが記録する層1aにおけるテラヘルツ波の吸収係数α
aおよび表面反射率R
sur-aは、以下のとおりである。ただし、
図5(a)を参照して、屈折角β
tは、入射角β
inおよび層1a(層1b)の屈折率n
a(n
b)から、スネルの法則により導出することができる。なお、入射角β
inおよび層1a(層1b)の屈折率n
a(n
b)は既知であるものとし、屈折率n
aおよびn
bは単層膜特性記録部12aに記録しておく。また、層1aの厚さをd
aとする。
【0047】
【数1】
単層膜特性記録部12aが記録する層1bにおけるテラヘルツ波の吸収係数α
bおよび表面反射率R
sur-bは、以下のとおりである。また、層1bの厚さをd
bとする。
【0048】
【数2】
なお、単層膜特性記録部12aが記録する界面反射率R
intは、層1aと層1bとを重ね合わせたときの層1aと層1bとの境界面の反射率であり、以下のように表される。ただし、層1aの複素屈折率n
2+jk
2および層1bの複素屈折率n
3+jk
3は既知であるものとする。なお、n
2およびn
3は、それぞれ、層1aおよび層1bの上記の屈折率n
aおよびn
bと同じものである。
【0049】
【数3】
単層膜特性記録部12aは、例えば、上記のように、層1aおよび層1bにおけるテラヘルツ波の吸収係数α
a、α
b、表面反射率R
sur-a、R
sur-bおよび界面反射率R
intを記録する。
【0050】
さらに、単層膜特性記録部12aは、例えば、層1bと基板20との境界面の反射率R
sub(基板反射率)を記録しておく。基板反射率R
subは、以下のように表される。ただし、基板20の複素屈折率n
4+jk
4は既知であるものとする。
【0051】
【数4】
なお、下記の表に、層1aおよび層1bに関する変数の定義を記載しておく。
【0052】
【表1】
測定条件入力部12bは、被測定物1に入射する予定のテラヘルツ波について、その周波数成分の振幅I
ref-ab、入射角β
in-abおよび被測定物1における層の配置(層1aが上で、層1bが下)、被測定物1の厚さd(層1aおよび層1bの厚さd
a、d
bの合計)を層解析装置10に入力するためのものである。この入力は、例えば、電磁波測定装置100のユーザが行う。
【0053】
なお、電磁波出力器2が被測定物1に入射する予定のテラヘルツ波の周波数成分の振幅I
ref-abおよび入射角β
in-abは、単層膜特性記録部12aの記録内容の生成に用いたテラヘルツ波の周波数成分の振幅I
refおよび入射角β
inと同じ値とすることができる。以後、振幅I
ref-abおよび入射角β
in-abは、振幅I
refおよび入射角β
inと同じ値であるとし、I
ref、β
inと表記する。
【0054】
定量モデル導出部12cは、被測定物1のいずれか一つ以上の層(層1aおよび層1bのいずれか一つ以上)の厚さを示す厚さ指示量と、基板面反射電磁波(
図2参照)の周波数成分の振幅との関係(定量モデル)を導出する。
【0055】
定量モデル記録部(厚さ・振幅特性記録部)12dは、定量モデル導出部12cが導出した上記の関係(定量モデル)を記録する。
【0056】
厚さ指示量は、例えば、いずれか一つの層(例えば、層1a)の厚さを被測定物1の厚さ(すなわち、層1aと層1aとの厚さの合計)で割った値である。また、厚さ指示量は、例えば、いずれか一つの層(例えば、層1a)の厚さを、他の一つの層(例えば、層1b)の厚さで割った値である。
【0057】
これ以降、厚さ指示量としては、層1aの厚さd
aを、被測定物1の厚さd(すなわち、層1aの厚さd
aと層1bの厚さd
bとの合計)で割った値(膜厚比という)として、本発明の実施形態を説明する。
【0058】
図6は、ある周波数(例えば、f
n[THz])についての、定量モデル記録部12dの記録内容を示す図である。定量モデル記録部12dは、周波数ごとに、膜厚比r(=d
a/d)と基板面反射電磁波の周波数成分の振幅I
metとの対応関係を記録する。この定量モデルは、単層膜特性記録部12aの記録内容および測定条件入力部12bによる入力により、基板面反射電磁波の周波数成分の振幅I
metを推定したものである。なお、定量モデルは、周波数ごと(例えば、f
n = 1.0、1.1、1.2[THz])に導出し、記録しておく。定量モデルは、上記の対応関係がわかるものであればよく、例えば、グラフ、表、数式などが考えられる。
【0059】
基板面反射電磁波の周波数成分の振幅I
metは、以下のように表される。ただし、
図2(a)を参照して、屈折角β
tは層1aによる屈折についての屈折角であり、屈折角β
t1は層1bによる屈折についての屈折角である。
【0060】
【数5】
表面反射率R
sur-aは層1aによるテラヘルツ波の反射、界面反射率R
intは層1aおよび層1b(層1aと層1bの界面)によるテラヘルツ波の反射、基板反射率R
subは基板20によるテラヘルツ波の反射の程度を意味する。
【0061】
吸収係数α
a、α
bは、それぞれ、層1aおよび層1bにおけるテラヘルツ波の吸収の程度を意味する。
【0062】
このように、テラヘルツ波(電磁波)の各層における反射および吸収に基づいて、定量モデル記録部(厚さ・振幅特性記録部)12dの記録する定量モデルが導出されている。
【0063】
なお、上記のように基板面反射電磁波の周波数成分の振幅I
metを推定するために必要なパラメータのうち、表面反射率R
sur-a、界面反射率R
int、基板反射率R
subおよび吸収係数α
a、α
bは、単層膜特性記録部12aに記録されているものを、定量モデル導出部12cが利用する。また、振幅I
refおよび被測定物1の厚さdは、測定条件入力部12bにより入力されたものを、定量モデル導出部12cが用いる。さらに、屈折角β
t、β
t1は、測定条件入力部12bにより入力された入射角β
inおよび層の配置(層1aが上で、層1bが下)、単層膜特性記録部12aに記録されている層1aおよび層1bの屈折率n
aおよびn
bからスネルの法則により、定量モデル導出部12cにおいて導出される。
【0064】
周波数成分取得部12eは、電磁波出力器2が被測定物1にテラヘルツ波を入射し(周波数成分の振幅I
ref)、電磁波検出器4により検出された基板面反射電磁波(
図2参照)の周波数成分の振幅を取得する。まず、周波数成分取得部12eは、電磁波検出器4から基板面反射電磁波(例えば、電圧として検出される)の時間波形を取得すると、FFT(高速フーリエ変換)することにより、周波数成分の振幅I
metを取得する。周波数成分の振幅とはどのようなものであるかは、先にI
refについて説明した場合と同様である。なお、I
refについての表記と同様に、基板面反射電磁波の周波数成分の振幅I
metの引数として周波数を記載することは省略する。この振幅I
metは実測値である。
【0065】
膜厚比導出部(厚さ指示量導出部)12fは、周波数成分取得部12eにより取得された基板面反射電磁波の周波数成分の振幅I
metと、定量モデル記録部(厚さ・振幅特性記録部)12dの記録内容である定量モデル(
図6参照)とに基づき、厚さ指示量(膜厚比r(=d
a/d))を導出する。
【0066】
図7は、膜厚比導出部(厚さ指示量導出部)12fによる膜厚比rの導出を説明するための図である。なお、
図7においては、定量モデルがグラフである場合を想定している。
【0067】
図7を参照して、周波数成分取得部12eにより取得された基板面反射電磁波の周波数成分の振幅I
met(実測値)(
図7(1)参照)を縦軸の座標として有する定量モデルのグラフ上の点の横軸の座標が、膜厚比r
X(
図7(2)参照)である。
【0068】
このように、周波数ごと(例えば、f
n = 1.0、1.1、1.2[THz])に、定量モデルから膜厚比r
Xを求めていく。
【0069】
例えば、周波数1.0THzについての定量モデルおよび振幅I
met(実測値)から求めた膜厚比r
Xと、周波数1.1THzについての定量モデルおよび振幅I
met(実測値)から求めた膜厚比r
Xと、周波数1.2THzについての定量モデルおよび振幅I
met(実測値)から求めた膜厚比r
Xとの平均を、被測定物1の膜厚比r
Xとして、膜厚比導出部12fが出力するようにすることが考えられる。
【0070】
次に、第一の実施形態の動作を説明する。
【0071】
(1)定量モデルの導出および記録
第一の実施形態にかかる電磁波測定装置100は、被測定物1を測定する前に、厚さ指示量(膜厚比r(=d
a/d))と基板面反射電磁波(
図2参照)の周波数成分の振幅I
metとの関係(定量モデル)を、周波数f
n[THz]ごとに、定量モデル導出部12cにより導出し、定量モデル記録部12dに記録しておく(
図6参照)。
【0072】
まず、入射するテラヘルツ波を測定し(
図4参照)、振幅I
refを導出する。次に、層1aおよび層1bを測定し(
図5参照)、層1aおよび層1bによる表面反射成分の周波数成分の振幅I
sur-a(I
sur-b)、基板面反射成分の周波数成分の振幅I
met-a(I
met-b)を導出する。これらの導出結果に基づき、層1a(層1b)におけるテラヘルツ波の吸収係数α
a(α
b)および表面反射率R
sur-a(R
sur-b)を導出し(式(1)および式(2)を参照)、単層膜特性記録部12aに記録する。この他、上記のように(式(3)および式(4)を参照)、界面反射率R
intおよび基板反射率R
subを求めて記録しておく。
【0073】
次に、測定条件入力部12bにより、被測定物1に入射する予定のテラヘルツ波について、その周波数成分の振幅I
ref、入射角β
inおよび被測定物1における層の配置(層1aが上で、層1bが下)、被測定物1の厚さd(層1aおよび層1bの厚さd
a、d
bの合計)を入力する。
【0074】
定量モデル導出部12cは、上記のように(式(5)を参照)、単層膜特性記録部12aの記録内容および測定条件入力部12bからの入力に基づき、厚さ指示量(膜厚比r(=d
a/d))と基板面反射電磁波(
図2参照)の周波数成分の振幅I
metとの関係(定量モデル)を、周波数f
n[THz]ごとに導出する。導出された定量モデルは、定量モデル記録部12dに記録しておく(
図6参照)。
【0075】
(2)被測定物1の膜厚比rの測定
次に、第一の実施形態にかかる電磁波測定装置100は、被測定物1を測定し、定量モデル記録部12dに記録された定量モデルを参照しながら、被測定物1の膜厚比r
Xを導出する。
【0076】
まず、
図2(a)を参照して、電磁波出力器2が被測定物1に向けて、テラヘルツ波を出力する。入射されたテラヘルツ波の一部は、基板20により反射され、被測定物1を透過する(基板面反射電磁波)。この基板面反射電磁波は、層1aの表面により反射されたテラヘルツ波(表面反射電磁波)よりも遅く(
図2(b)参照)、電磁波検出器4に到達する。このことから、電磁波検出器4は基板面反射電磁波および表面反射電磁波を区別する。さらに、電磁波検出器4は、基板面反射電磁波を電圧として検出し、時間との対応関係を、層解析装置10の周波数成分取得部12eに与える。
【0077】
周波数成分取得部12eは、基板面反射電磁波(
図2参照)の周波数成分の振幅I
metを取得する(実測値)。
【0078】
図7を参照して、膜厚比導出部12fは、周波数成分取得部12eから振幅I
met(実測値)を受け(
図7(1)参照)、振幅I
met(実測値)を縦軸の座標として有する定量モデルのグラフの点の横軸の座標を、定量モデル記録部12dの記録内容から読み取り、膜厚比r
Xとする(
図7(2)参照)。かかる膜厚比r
Xの導出は周波数ごと(例えば、f
n = 1.0、1.1、1.2[THz])に行われる。そこで、例えば、周波数ごとに導出した膜厚比r
Xを平均することにより、被測定物1の膜厚比r
Xを導出する。
【0079】
第一の実施形態によれば、層構造(層1a、層1b)を有する被測定物1にテラヘルツ波を照射しながらも、層1aと層1bとの境界面による反射波を測定することなく、基板面反射電磁波(
図2参照)を測定することで、被測定物1の膜厚比r
Xの測定を行うことができる。これは、層1aと層1bとの境界面による反射波が測定困難または測定不能な場合に、特に有益である。
【0080】
なお、第一の実施形態においては、厚さ指示量(膜厚比r(=d
a/d))と基板面反射電磁波(
図2参照)の周波数成分の振幅I
metとの関係(定量モデル)を、表面反射率および吸収係数などから導出するようにしている。しかし、定量モデル記録部(厚さ・振幅特性記録部)12dの記録する定量モデルの導出は、これに限らず、既知の膜厚比を有する被測定物1を実測することにより行うことも可能である。
【0081】
図8は、第一の実施形態の変形例にかかる定量モデルの導出法を説明する図である。第一の実施形態の変形例においては、まず、(1)既知の膜厚比を有する被測定物1を電磁波測定装置100により実測し、基板面反射電磁波の周波数成分の振幅I
met(実測値)を、周波数成分取得部12eから得る。そして、(2)周波数ごと(例えば、f
n = 1.0、1.1、1.2[THz])に、既知の膜厚比に対応づけられた基板面反射電磁波の周波数成分の振幅I
met(実測値)((1)により得られたもの)から定量モデルを推定する。定量モデルの推定は、例えば、定量モデルを示すグラフを直線と仮定し、この直線を回帰分析(例えば、最小自乗法)により求めることが考えられる。また、必要に応じ、既知の膜厚比に対応づけられた基板面反射電磁波の周波数成分の振幅I
met(実測値)を主成分分析してもよい。
【0082】
なお、第一の実施形態の変形例においては、単層膜特性記録部12a、測定条件入力部12bおよび定量モデル導出部12cは使用しない。
【0083】
第二の実施形態
第二の実施形態にかかる電磁波測定装置100は、層解析装置10が誤差ばらつき導出部12gおよび周波数範囲決定部12hを備え、周波数成分取得部12eにおいて取得する周波数成分の振幅I
metの周波数の範囲を決定する点が、第一の実施形態にかかる電磁波測定装置100と異なる。
【0084】
電磁波測定装置100が、電磁波出力器2、電磁波検出器4、層解析装置10を備え、被測定物1を測定するためのものであることは、第一の実施形態と同じである(
図1参照)。また、被測定物1の構成(
図2(a)参照)も、電磁波検出器4が基板面反射電磁波を検出すること(
図2(b)参照)も第一の実施形態と同じである。
【0085】
図9は、第二の実施形態にかかる層解析装置10の構成を示す機能ブロック図である。層解析装置10は、単層膜特性記録部12a、測定条件入力部12b、定量モデル導出部12c、定量モデル記録部(厚さ・振幅特性記録部)12d、周波数成分取得部12e、膜厚比導出部(厚さ指示量導出部)12f、誤差ばらつき導出部12g、周波数範囲決定部12hを有する。以下、第一の実施形態と同様な部分は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0086】
単層膜特性記録部12a、測定条件入力部12b、定量モデル導出部12cおよび定量モデル記録部(厚さ・振幅特性記録部)12dは、第一の実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0087】
周波数成分取得部12eは、膜厚比が未知である被測定物1の測定の前に、既知の膜厚比を有する被測定物1の実測結果から、基板面反射電磁波の周波数成分の振幅I
met(実測値)を得る。
【0088】
誤差ばらつき導出部12gは、周波数成分取得部12eから既知の膜厚比に対応づけられた基板面反射電磁波の周波数成分の振幅I
metの測定値(実測値)を受ける。さらに、誤差ばらつき導出部12gは、周波数成分取得部12eから受けた振幅I
metの測定値から定量モデル記録部(厚さ・振幅特性記録部)12dの記録内容(定量モデル)に基づき得られた膜厚比と、既知の膜厚比との間の誤差のばらつきを、周波数f
n[THz]の成分ごとに導出する。
【0089】
図10は、周波数f
n[THz]の成分について、誤差ばらつき導出部12gが誤差のばらつきを導出する方法を説明する図である。
【0090】
まず、(0)定量モデル記録部(厚さ・振幅特性記録部)12dには、予め、定量モデルが記録されている。ここで、(1)誤差ばらつき導出部12gは、周波数成分取得部12eから、既知の膜厚比について、基板面反射電磁波の周波数成分の振幅I
met(実測値)を得る。さらに、誤差ばらつき導出部12gは、(2)振幅I
met(実測値)から、定量モデルにより膜厚比(推定値)を得ておき(振幅I
met(実測値)を縦軸の座標として有する定量モデルのグラフ上の点の横軸の座標が、膜厚比(推定値)となる)、(膜厚比(推定値))−(既知の膜厚比(真の値))を誤差とする。
【0091】
誤差ばらつき導出部12gは、既知の膜厚比について得られた振幅I
met(実測値)の各々について誤差を求める。
図10の例では、4点のプロットにつき振幅I
met(実測値)が得られるので、かかる4点につき誤差を求める。かかる誤差のばらつきとして、誤差ばらつき導出部12gは、誤差の2乗平均平方根を取得する。すなわち、誤差ばらつき導出部12gは、誤差を2乗したものを平均し(
図10の例では、4点について誤差を2乗したものの総和を4で割った値)、平方根をとった値を、誤差のばらつきとして求める。
【0092】
このように、誤差ばらつき導出部12gは、誤差の2乗平均平方根を周波数f
n[THz]の成分ごとに導出する。例えば、誤差ばらつき導出部12gは、f
n = 0, 0.1, 0.2, … , 2.9, 3.0[THz]について、誤差の2乗平均平方根を求める。なお、誤差の2乗平均平方根が小さい程、定量モデルによる膜厚比の推定が正しいということを意味している。
【0093】
周波数範囲決定部12hは、誤差ばらつき導出部12gの導出結果に基づき、周波数成分取得部12eにおいて取得する周波数成分の振幅I
metの周波数f
n[THz]の範囲を決定する。
【0094】
周波数範囲決定部12hは、ある周波数f
n[THz]の範囲(例えば、1.0THz以上1.2THz以下であり、f
n = 1.0, 1.1, 1.2 [THz]である)について、誤差ばらつき導出部12gの導出結果の平均をとる。例えば、周波数範囲決定部12hは、周波数1.0[THz]の成分についての誤差ばらつき(2乗平均平方根)と、周波数1.1[THz]の成分についての誤差ばらつき(2乗平均平方根)と、周波数1.2[THz]の成分についての誤差ばらつき(2乗平均平方根)との平均をとる。
【0095】
このようにして、周波数範囲決定部12hは、あらゆる周波数範囲について、誤差ばらつきの平均を求める。そこで、周波数範囲決定部12hは、誤差ばらつきの平均が最小(または所定値以下)になるような周波数f
nの範囲を決定する。
【0096】
このようにして決定された周波数f
nの範囲(例えば、1.0THz以上1.6THz以下であり、f
n = 1.0, 1.1, 1.2, 1.3, 1.4, 1.5, 1.6[THz]である)は、周波数成分取得部12eに与えられる。そして、周波数成分取得部12eは、未知の膜厚比を有する被測定物1の実測結果から、決定された周波数f
nの範囲について、基板面反射電磁波の周波数成分の振幅I
met(実測値)を得る。それ以降の動作は、第一の実施形態と同様である。
【0097】
次に、第二の実施形態の動作を説明する。
【0098】
まず、「(1)定量モデルの導出および記録」は、第一の実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0099】
次に、周波数成分取得部12eが、既知の膜厚比を有する被測定物1の実測結果から、基板面反射電磁波の周波数成分の振幅I
met(実測値)を得る。この振幅I
met(実測値)が、誤差ばらつき導出部12gに与えられる。誤差ばらつき導出部12gは、定量モデル記録部12dに記録された定量モデルおよび振幅I
met(実測値)から、膜厚比の誤差(
図10の(2)を参照)を導出し、かかる誤差のばらつき(2乗平均平方根)を、周波数f
n[THz]の成分ごとに導出する。
【0100】
周波数範囲決定部12hは、誤差ばらつき導出部12gの導出結果を、ある周波数f
n[THz]の範囲内で平均し、それが最小(または所定値以下)となるような周波数f
n[THz]の範囲を決定する。決定された周波数f
n[THz]の範囲(例えば、1.0THz以上1.6THz以下であり、f
n = 1.0, 1.1, 1.2, 1.3, 1.4, 1.5, 1.6[THz]である)は、周波数成分取得部12eに与えられる。
【0101】
この後、「(2)被測定物1の膜厚比rの測定」は、第一の実施形態とほぼ同様である。ただし、周波数成分取得部12eは、周波数範囲決定部12hにより決定された周波数f
n[THz]の範囲について、周波数成分の振幅I
metを取得する。
【0102】
第二の実施形態によれば、定量モデルを用いた膜厚比の推測の誤差ばらつきが最小(または所定値以下)となるような周波数f
n[THz]の範囲の基板面反射電磁波の周波数成分の振幅I
metを、周波数成分取得部12eが取得して、未知の膜厚比を有する被測定物1の膜厚比を膜厚比導出部12fが導出するようにするので、電磁波測定装置100による膜厚比の測定誤差を最小(または所定値以下)とすることができる。
【0103】
第三の実施形態
第三の実施形態にかかる電磁波測定装置100は、被測定物1の厚さd(すなわち、層1aの厚さd
aと層1bの厚さd
bとの合計)を測定する点が、第二の実施形態にかかる電磁波測定装置100と異なる。
【0104】
電磁波測定装置100が、電磁波出力器2、電磁波検出器4、層解析装置10を備え、被測定物1を測定するためのものであることは、第一の実施形態と同じである(
図1参照)。また、被測定物1の構成(
図2(a)参照)も第一の実施形態と同じである。
【0105】
ただし、電磁波検出器4が、基板面反射電磁波を検出すること(
図2(b)参照)のみならず、さらに、表面反射電磁波をも検出する点が第一の実施形態と異なる。すなわち、電磁波検出器4は、基板面反射電磁波と時間との対応関係(すなわち、時間波形)を出力するのみならず、さらに、表面反射電磁波と時間との対応関係(すなわち、時間波形)をも出力する。基板面反射電磁波と時間との対応関係および表面反射電磁波と時間との対応関係は、ピーク時点取得部12jに与えられる。
【0106】
ただし、表面反射電磁波は、第一の実施形態においても説明したが、層1aの表面により反射されたテラヘルツ波である。すなわち、表面反射電磁波は、被測定物1に入射され、被測定物1の表面により反射された電磁波(テラヘルツ波)である。
【0107】
なお、電磁波検出器4は、表面反射電磁波を、例えば電圧(またはパワーなど)として検出する。本発明の実施形態においては、電磁波検出器4が、表面反射電磁波を(基板面反射電磁波と同様に)電圧(電場)として検出するものとして説明する。
【0108】
図11は、第三の実施形態にかかる2層構造の被測定物1および基板20により反射された電磁波を示す図(
図11(a)参照)および反射された電磁波の時間波形が極値をとるタイミングを示す図(
図11(b)参照)である。
【0109】
図12は、第三の実施形態にかかる層解析装置10の構成を示す機能ブロック図である。層解析装置10は、単層膜特性記録部12a、測定条件入力部12b、定量モデル導出部12c、定量モデル記録部(厚さ・振幅特性記録部)12d、周波数成分取得部12e、膜厚比導出部(厚さ指示量導出部)12f、誤差ばらつき導出部12g、周波数範囲決定部12h、ピーク時点取得部(極値タイミング取得部)12j、合計膜厚導出部(合計厚さ導出部)12k、各層厚導出部(層厚さ導出部)12mを有する。以下、第二の実施形態と同様な部分は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0110】
単層膜特性記録部12a、測定条件入力部12b、定量モデル導出部12c、定量モデル記録部(厚さ・振幅特性記録部)12d、周波数成分取得部12eおよび膜厚比導出部(厚さ指示量導出部)12fは、第二の実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0111】
ピーク時点取得部12jは、電磁波検出器4により検出された表面反射電磁波および基板面反射電磁波の時間波形(
図11(b)参照)を受ける。
【0112】
ピーク時点取得部(極値タイミング取得部)12jは、さらに、電磁波検出器4により検出された表面反射電磁波および基板面反射電磁波の電場が極値をとるタイミングt
0、t
1を取得する。
【0113】
ここで、
図11を参照して、表面反射電磁波の時間波形は、タイミング(時間)t
0において、極値E
0をとる。また、基板面反射電磁波の時間波形は、タイミング(時間)t
1において、極値E
1をとる。そこで、ピーク時点取得部12jは、表面反射電磁波の電場が極値をとるタイミングt
0および基板面反射電磁波の電場が極値をとるタイミングt
1を出力する。
【0114】
合計膜厚導出部(合計厚さ導出部)12kは、ピーク時点取得部12jが取得したタイミングt
0、t
1の時間差Δtから、被測定物1の厚さd(合計膜厚、すなわち、層1aの厚さd
aと層1bの厚さd
bとの合計)を導出する。
【0115】
ただし、被測定物1の厚さdは、cを光速とし、n
aとn
bとがほぼ等しいとすると、d = cΔt/(2n
a)である。
【0116】
各層厚導出部(層厚さ導出部)12mは、膜厚比導出部(厚さ指示量導出部)12fが導出した厚さ指示量(膜厚比r(=d
a/d))と、合計膜厚導出部(合計厚さ導出部)12kが導出した被測定物1の厚さdとに基づき、被測定物1のいずれか一つ以上の層1a、1bの厚さを導出する。
【0117】
例えば、各層厚導出部12mは、被測定物1の厚さdに膜厚比rを乗じて、層1aの厚さd
aを求める。また、各層厚導出部12mは、被測定物1の厚さdから層1aの厚さd
aを減じて、層1bの厚さd
bを求める。
【0118】
なお、第三の実施形態にかかる層解析装置10は、誤差ばらつき導出部12gおよび周波数範囲決定部12hを備えなくても動作可能である。
【0119】
次に、第三の実施形態の動作を説明する。ただし、第二の実施形態と同様な動作は説明を省略する。
【0120】
まず、ピーク時点取得部12jは、電磁波検出器4により検出された表面反射電磁波および基板面反射電磁波の時間波形(
図11(b)参照)を受ける。なお、ピーク時点取得部12jがこれらの時間波形を受けるタイミングは、周波数成分取得部12eが基板面反射電磁波の時間波形を取得するタイミングより前でも後でもよい。
【0121】
ピーク時点取得部12jが取得したタイミングt
0、t
1(
図11(b)参照)は、合計膜厚導出部12kに与えられ、合計膜厚導出部12kにより、被測定物1の厚さ(合計膜厚)dが導出される。被測定物1の厚さ(合計膜厚)dは、各層厚導出部12mに与えられる。
【0122】
なお、膜厚比導出部12fが膜厚比を導出する際の動作は、第二の実施形態と同様な動作であり説明を省略する。
【0123】
各層厚導出部12mには、膜厚比導出部12fから膜厚比r(=d
a/d)が与えられる。各層厚導出部12mは、膜厚比r(=d
a/d)および被測定物1の厚さdから、層1aの厚さd
aおよび層1bの厚さd
bを求める。
【0124】
第三の実施形態によれば、被測定物1の厚さdが、たとえ既知でなくても、被測定物1の厚さdを導出して、層1aの厚さd
aおよび層1bの厚さd
bのいずれか一つ以上を求めることができる。
【0125】
また、上記の実施形態は、以下のようにして実現できる。CPU、ハードディスク、メディア(フロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROMなど)読み取り装置を備えたコンピュータに、上記の各部分、例えば層解析装置10を実現するプログラムを記録したメディアを読み取らせて、ハードディスクにインストールする。このような方法でも、上記の機能を実現できる。