特許第6091888号(P6091888)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6091888
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】コネクタ組立体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/00 20060101AFI20170227BHJP
   H01R 24/86 20110101ALI20170227BHJP
   G01M 15/14 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   H01R43/00 B
   H01R24/86
   G01M15/14
【請求項の数】18
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-283878(P2012-283878)
(22)【出願日】2012年12月27日
(65)【公開番号】特開2013-140794(P2013-140794A)
(43)【公開日】2013年7月18日
【審査請求日】2015年11月27日
(31)【優先権主張番号】13/341,206
(32)【優先日】2011年12月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】309012096
【氏名又は名称】ユニゾン・インダストリーズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクター・ポール・ファーンワース
【審査官】 山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−184506(JP,A)
【文献】 実公昭39−009910(JP,Y1)
【文献】 特開平02−197063(JP,A)
【文献】 特開平09−115598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 43/00
H01R 24/86
G01M 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンエンジンのデバイスにワイヤを接続するためのコネクタ組立体を製造する方法であって、
終端部を有するワイヤを提供するステップと、
第1の近位端、第1の遠位端、及び前記第1の近位端から前記第1の遠位端に延びる第1の通路を有する第1のシェルを提供するステップと、
前記ワイヤが前記第1の近位端を通って前記第1の通路に延びるように前記第1のシェルを前記ワイヤに結合し、前記第1のシェルが前記終端部に対して前記ワイヤに沿って変位可能であるようにするステップと、
第1のグロメット構造体を前記ワイヤに結合し、前記第1のグロメット構造体が前記第1の通路内に配置される第1の位置から、前記第1のグロメット構造体が前記第1の通路の外に露出される第2の位置まで前記第1のシェルが前記ワイヤに沿って変位可能になるようにするステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1のグロメット構造体を前記ワイヤに結合し、前記第1のグロメット構造体が前記第1のシェルに対して前記ワイヤに沿って変位可能であるようにするステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ガスタービンエンジンのデバイスにワイヤを接続するためのコネクタ組立体を製造する方法であって、
終端部を有するワイヤを提供するステップと、
第1の近位端、第1の遠位端、及び前記第1の近位端から前記第1の遠位端に延びる第1の通路を有する第1のシェルを提供するステップと、
前記ワイヤが前記第1の近位端を通って前記第1の通路に延びるように前記第1のシェルを前記ワイヤに結合し、前記第1のシェルが前記終端部に対して前記ワイヤに沿って変位可能であるようにするステップと、
前記第1のシェル及び前記デバイスに結合されるように構成され、第2の近位端と、第2の遠位端と、前記第2の近位端から前記第2の遠位端まで延びる第2の通路とを有する第2のシェルを提供するステップと、
前記ワイヤの終端部を受けるように構成された誘電構造体を提供するステップと、
前記第2のシェルの第2の通路内に前記誘電構造体を固定して結合し、前記終端部が前記第2のシェルの第2の遠位端を通って前記誘電構造体内に挿入可能になるようにするステップと、
含む方法。
【請求項4】
前記デバイスがコンタクトを有し、前記方法が更に、
前記誘電構造体を前記デバイスのコンタクトを受けるように構成させるステップと、
前記誘電構造体を前記第2のシェルの第2の通路内に固定して結合し、前記コンタクトが、前記第2のシェルの第2の近位端を通って前記誘電構造体内に挿入可能にし、前記終端部を前記誘電構造体内で前記コンタクトに結合するようにするステップと、
を含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
第2のグロメット構造体を前記第2のシェル内に固定して結合し、前記ワイヤの終端部が前記誘電構造体内に挿入される前に前記第2のグロメット構造体が前記ワイヤの終端部を受けるように構成されるようにするステップを更に含む、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
ガスタービンエンジンのデバイスにワイヤの終端部を接続するためのコネクタ組立体であって、
前記ワイヤに結合されるよう構成された第1のグロメット構造体と、
第1の近位端、第1の遠位端、及び前記第1の近位端から前記第1の遠位端まで延びる第1の通路を含む第1のシェルと、
を備え、前記第1のシェルが、前記ワイヤに結合されて前記ワイヤが前記第1の近位端を通って前記第1の通路内に延びるように構成され、前記第1のシェルが、前記第1のグロメット構造体が前記第1の通路内に配置された第1の位置から、前記第1のグロメット構造体が前記第1の通路の外に露出される第2の位置まで前記終端部及び前記第1のグロメット構造体に対して前記ワイヤに沿って変位可能であるように構成されている、コネクタ組立体。
【請求項7】
前記第1のグロメット構造体が、前記第1のシェルに対して前記ワイヤに沿って変位可能であるように構成される、請求項に記載のコネクタ組立体。
【請求項8】
前記第1のシェル及び前記デバイスに結合されるように構成され、且つ第2の近位端、第2の遠位端、及び前記第2の近位端から前記第2の遠位端まで延びる第2の通路を含む第2のシェルと、
前記第2のシェルの第2の通路内に固定して結合され、且つ前記第2のシェルの第2の遠位端を通って前記ワイヤの終端部を受けるよう構成された誘電構造体と、
を備える、請求項6または7に記載のコネクタ組立体。
【請求項9】
前記デバイスがコンタクトを有し、前記誘電構造体が更に、前記第2のシェルの第2の近位端を通って前記デバイスのコンタクトを受け、前記終端部を前記誘電構造体内で前記コンタクトに結合するように構成されている、請求項に記載のコネクタ組立体。
【請求項10】
前記第2のシェル内に固定して結合された第2のグロメット構造体を更に備え、前記第2のグロメット構造体が、前記ワイヤの終端部が前記誘電構造体内に挿入される前に前記ワイヤの終端部を受けるように構成されるようにする、請求項8または9に記載のコネクタ組立体。
【請求項11】
ガスタービンエンジンであって、
デバイスと、
終端部を含むワイヤと、
前記終端部を前記デバイスに動作可能に結合するコネクタ組立体と、
を備え、前記コネクタ組立体が、第1の近位端、第1の遠位端、及び前記第1の近位端から前記第1の遠位端に延びる第1の通路を有する第1のシェルを含み、前記第1のシェルが、前記第1の近位端を通って前記第1の通路内に前記ワイヤが延びるよう該ワイヤに結合され、前記第1のシェルが前記終端部に対して前記ワイヤに沿って変位可能であり、
前記コネクタ組立体が更に、前記第1のグロメット構造体が前記第1の通路内に配置された第1の位置から、前記第1のグロメット構造体が前記第1の通路の外に露出される第2の位置まで前記第1のシェルが前記ワイヤに沿って変位可能であるように前記ワイヤに結合された第1のグロメット構造体を更に含む、ガスタービンエンジン。
【請求項12】
前記第1のグロメット構造体が、前記第1のシェルに対して前記ワイヤに沿って変位可能である、請求項1に記載のガスタービンエンジン。
【請求項13】
ガスタービンエンジンであって、
デバイスと、
終端部を含むワイヤと、
前記終端部を前記デバイスに動作可能に結合するコネクタ組立体と、
を備え、前記コネクタ組立体が、第1の近位端、第1の遠位端、及び前記第1の近位端から前記第1の遠位端に延びる第1の通路を有する第1のシェルを含み、前記第1のシェルが、前記第1の近位端を通って前記第1の通路内に前記ワイヤが延びるよう該ワイヤに結合され、前記第1のシェルが前記終端部に対して前記ワイヤに沿って変位可能であり、
前記コネクタ組立体が更に、
前記デバイス及び前記第1のシェルに結合され、第2の近位端、第2の遠位端、及び前記第2の近位端から前記第2の遠位端まで延びる第2の通路を含む第2のシェルと、
前記第2のシェルの第2の通路内に固定して結合され且つ前記第2のシェルの第2の遠位端を通って前記ワイヤの終端部を受ける誘電構造体と、
を含むガスタービンエンジン。
【請求項14】
前記デバイスがコンタクトを含み、前記誘電構造体が、前記第2のシェルの第2の近位端を通って前記デバイスのコンタクトを受け、前記終端部を前記誘電構造体内で前記コンタクトに結合するようになる、請求項1に記載のガスタービンエンジン。
【請求項15】
前記終端部が前記コンタクトから取り外し可能である、請求項1に記載のガスタービンエンジン。
【請求項16】
前記コネクタ組立体が更に、前記第2のシェル内に固定して結合された第2のグロメット構造体を更に含み、該第2のグロメット構造体が、前記ワイヤの終端部が前記誘電構造体内に挿入される前に前記ワイヤの終端部を受けるようにする、請求項13乃至15のいずれかに記載のガスタービンエンジン。
【請求項17】
前記第2のシェル及び前記第1のシェルが共に螺着結合される、請求項13乃至16のいずれかに記載のガスタービンエンジン。
【請求項18】
前記第1のシェルが、前記第1の遠位端にて第1の歯状部を含み、前記第2のシェルが、前記第2の遠位端にて第2の歯状部を含み、前記第1のシェルが前記第2のシェルに結合されたときに前記第1の歯状部及び前記第2の歯状部が共に嵌合される、請求項1に記載のガスタービンエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術分野は、全体的にコネクタ組立体に関し、より詳細には、ワイヤをデバイスに接続するコネクタ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの公知のシステム(例えば、自動車、船舶、航空機、宇宙船、その他)は、複数のデバイス(例えば、モータ、ポンプ、及びセンサなどの電気機械デバイス)を利用する。これら公知のシステムの少なくとも一部は、ハーネスを利用して、デバイスとワイヤとの間の干渉を最小限にしてデバイスに電力を提供するか又はデバイスと通信することを可能にする系統的な方式でシステムにわたってワイヤ束を配線している。製造、設置、及びシステムの作動に伴うコストを低減するためにワイヤとデバイスとの間の干渉を改善することが有用となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7,695,331号明細書
【発明の概要】
【0004】
1つの態様において、ガスタービンエンジンのデバイスにワイヤを接続するためのコネクタ組立体を製造する方法が提供される。本方法は、終端部を有するワイヤを提供するステップと、第1の近位端、第1の遠位端、及び第1の近位端から第1の遠位端に延びる第1の通路を有する第1のシェルを提供するステップと、を含む。本方法は更に、ワイヤが第1の近位端を通って第1の通路に延びるように第1のシェルをワイヤに結合し、第1のシェルが終端部に対してワイヤに沿って変位可能であるようにするステップを含む。
【0005】
別の態様において、ガスタービンエンジンのデバイスにワイヤを接続するためのコネクタ組立体が提供される。コネクタ組立体は、ワイヤに結合されるよう構成された第1のグロメット構造体と、第1の近位端、第1の遠位端、及び第1の近位端から第1の遠位端まで延びる第1の通路を有する第1のシェルと、を含む。第1のシェルは、ワイヤに結合されてワイヤが第1の近位端を通って第1の通路内に延びるように構成される。第1のシェルはまた、第1のグロメット構造体が第1の通路内に配置された第1の位置から、第1のグロメット構造体が第1の通路の外に露出される第2の位置まで終端部及び第1のグロメット構造体に対してワイヤに沿って変位可能であるように構成されている。
【0006】
別の態様において、ガスタービンエンジンが提供される。ガスタービンエンジンは、デバイスと、終端部を含むワイヤと、終端部をデバイスに動作可能に結合するコネクタ組立体と、を含む。コネクタ組立体は、第1の近位端、第1の遠位端、及び第1の近位端から第1の遠位端に延びる第1の通路を有する第1のシェルを含む。第1のシェルは、第1の近位端を通って第1の通路内にワイヤが延びるよう該ワイヤに結合され、第1のシェルが終端部に対してワイヤに沿って変位可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ガスタービンエンジンの概略図。
図2図1に示すガスタービンエンジンの電気又は通信システムの概略図。
図3】線3−3に沿った図2に示すシステムの概略断面図。
図4】コネクタ組立体を介してワイヤに結合されたデバイスを示す、図2(部分4で囲まれた)に示したシステムの一部の斜視図。
図5図4に示すコネクタ組立体の側面図。
図6図5の線6−6に沿った、図4に示すコネクタ組立体の断面図。
図7図4に示すコネクタ組立体の組み立て状態の部分斜視図。
図8図4に示すコネクタ組立体の第1の分解状態の部分斜視図。
図9図4に示すコネクタ組立体の第2の分解状態の部分斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の詳細な説明は、限定ではなく例証として、コネクタ組立体及びその製造方法を記載している。本明細書は、コネクタ組立体を当業者が実施し利用することを可能にするものであり、コネクタ組立体に関して現時点で最良の形態であると考えられるものを含む幾つかの実施形態、改良、変更、変形、及び使用法について記載している。コネクタ組立体は、好ましい実施形態、すなわち、ガスタービンエンジン用の電気ハーネスに適用されるものとして記載される。しかしながら、コネクタ組立体及びその製造方法は、広範なシステムにおける一般的応用、並びに様々な他の商用、産業、及び民生用途があることは企図される。
【0009】
図1は、ファンシステム102、圧縮機システム104、燃焼システム106、高圧タービンシステム108、及び低圧タービンシステム110を含む、例示的なガスタービンエンジン100の概略図である。作動中、周囲空気は、ファンシステム102を通って圧縮機システム104に配向され、ここで周囲空気が加圧されて燃焼システム106に配向される。燃焼システム106において、加圧空気が燃料と混合され、点火されて燃焼ガスを生成し、該燃焼ガスは、高圧タービンシステム108及び低圧タービンシステム110を通って配向される。次いで、燃焼ガスは、排出システム112を介してガスタービンエンジン100から排出される。他の実施形態において、ガスタービンエンジン100は、あらゆる好適な方法で構成された、あらゆる好適な数のファンシステム、圧縮機システム、燃焼システム、及び/又はタービンシステムを含むことができる。
【0010】
図2は、ガスタービンエンジン100の電気又は通信システム200の概略図であり、図3は、線3−3に沿ったシステム200の概略断面図である。例示的な実施形態において、システム200は、ハーネス202と、ハーネス202の端部206に結合された複数のデバイス204(例えば、モータ、ポンプ、センサ、その他などの電気デバイス)と、ハーネス202に沿った端部206間の中間位置に結合される複数の取付デバイス208とを含む。システム200はまた、ハーネス202を介してデバイス204に電力を提供し又はデバイス204と通信するための電力又は通信源209(例えば、発電機又は制御ユニット)を含む。ハーネス202は、少なくとも1つのワイヤ210を含み、ワイヤ210は、摩擦及び/又は電磁干渉(EMI)からワイヤ210を保護する被覆部212(例えば、編み組材料の層)内に配置することができる。ハーネス202は、主セグメント214と、該主セグメント214から延びてワイヤ210をデバイス204に容易に通すことを可能にする複数のブレイクアウトセグメント216とを有する。
【0011】
図4は、コネクタ組立体300を介してワイヤ210に結合された1つのデバイス204を示す(図2の部分4で囲まれた)システム200の一部の斜視図である。図5は、コネクタ組立体300の側面図であり、図6は、図5の線6−6に沿ったコネクタ組立体300の断面図である。例示的な実施形態において、コネクタ組立体300は、第1のシェル302、第2のシェル304、及び第1及び第2のシェル302、304内に収容されたワイヤ接続部306を含む。
【0012】
例示的な実施形態において、第1のシェル302は、ほぼ円筒形の本体308と、環状結合セグメント310とを含む。本体308は、近位端312と、遠位端314と、半径方向内側表面316と、半径方向外側表面318とを有する。遠位端314は、複数の歯状部320と、近位端312から遠位端314に延びて通路322を定める半径方向内側表面316と、を有する。通路322は、近位端314付近の近位領域324と、遠位端314付近の遠位領域326とを有し、近位領域324は遠位領域326よりも狭く、近位領域324と遠位領域326との間にリップ328が定められるようになる。結合セグメント310は、本体308と一体的に形成されて該本体308から遠位方向に延びており、ネジ付き内側表面330を含む。1つの実施形態において、結合セグメント310及び本体308は、金属材料(例えば、ステンレス鋼材料)から共に一体的形成される。他の実施形態では、第1のシェル302は、本明細書で記載されるようにコネクタ組立体300が機能できるあらゆる好適な構成を有することができる。
【0013】
例示的な実施形態において、第2のシェル304は、ほぼ円筒形であり、近位端332と、遠位端334と、半径方向内側表面336と、半径方向外側表面338とを有する。半径方向内側表面336は、近位端332から遠位端334まで延びて通路340を定める。第2のシェル304は、金属材料(例えば、ステンレス鋼材料)から製造され、近位端332にてデバイス204のハウジング205に結合(例えば、溶接)されるように構成されている。外側表面338は、遠位端334付近でネジ止めされ、遠位端334は、第1のシェル302の歯状部320と嵌合(例えば、噛み合う)ように構成された複数の歯状部342を有する。他の実施形態では、第2のシェル304は、あらゆる好適な形状を有することができ、あらゆる好適な材料から製造することができ、また、あらゆる好適な方式でデバイス204のハウジング205に結合することができる(例えば、一部の実施形態では、第2のシェル304は、プラスチック材料から製造でき、ハウジング205と一体的に形成することができる)。加えて、第2のシェル304は、近位端332及び/又は遠位端334付近で、本明細書で説明される方式で第2のシェル304を第1のシェル302及びデバイス204に結合可能にするあらゆる好適な構成を有することができる。本明細書で使用されるように、向きに関する第1のシェル302及び/又は第2のシェル304に対する表現(例えば、第1のシェル302又は第2のシェル304が「近位端」又は「遠位端」を有するなどの表現)は、第1のシェル302及び第2のシェル304が、本明細書で説明されるようにコネクタ組立体300が少なくとも部分的に組み立てられたときのような向きになるよう構成されることを意味するものとし、このような向きの表現は、本開示の技術的範囲を実際に組み立てられるこれらのコネクタ組立体のみに限定することを意図したものではない。むしろ、本開示は、組み立てられるか否かに関係なく、一般的にコネクタ組立体に適用されることを意図したものである。
【0014】
ワイヤ接続部306は、少なくとも1つのワイヤ210、少なくとも1つのコンタクト344(例えば、ピン)、及び支持組立体346を含む。例示的な実施形態において、ワイヤ接続部306は、4つのコンタクト344及び4つの対応するワイヤ210を含む。他の実施形態では、ワイヤ接続部306は、あらゆる好適な数のコンタクト344及びワイヤ210を含むことができる。例示的な実施形態において、コンタクト344は、デバイス204に動作可能に結合され(例えば、デバイス204に電力を提供するか、又はデバイス204と通信するため)、第2のシェル304の近位端332を介して通路340内に延びる。各ワイヤ210は、リテーナリング213及びソケットコンタクト215を有する終端部211を含み、ワイヤ210は、第1のシェル302の近位端312を介して通路322内に延びる。他の実施形態では、コンタクト344及びワイヤ210は、コネクタ組立体300が本明細書で説明されるように機能することを可能にするあらゆる好適な方式で構成することができる。
【0015】
例示的な実施形態において、支持組立体346は、セラミック構造体348、堅固な誘電構造体350、堅固な第1のグロメット構造体352、及び堅固な第2のグロメット構造体354(例えば、シールグロメット構造体体)を含む。セラミック構造体348、誘電構造体350、及び第2のグロメット構造体354は、第2のシェル304内に(例えば、接着剤で)固定して結合され、セラミック構造体348が近位端332に隣接し、第2のグロメット構造体354が遠位端334に隣接し、誘電構造体350がセラミック構造体348と第2のグロメット構造体354との間に配置されるようになる。少なくとも1つの貫通ポート356が、セラミック構造体348、誘電構造体350、及び第2のグロメット構造体354を貫通して定められ、遠位端334から近位端332まで全体的に延びる。例示的な実施形態において、4つのワイヤ210及び4つのコンタクト344に対応するよう4つの貫通ポート356が設けられる。他の実施形態では、あらゆる好適な数の貫通ポート356を設けることができる。例示的な実施形態において、保持機構(例えば、テーパー付きリテーナスリーブ358)は、誘電構造体350内に各貫通ポート356の一部を一列に並べる。或いは、支持組立体346は、コネクタ組立体300が本明細書で説明されるように機能することを可能にするあらゆる好適な方式で配列された、あらゆる好適な数のセラミック構造体、誘電構造体、及び/又は第2のグロメット構造体で構成することができる。
【0016】
例示的な実施形態において、第1のグロメット構造体352は、該第1のグロメット構造体352に定められた複数の貫通ポート360を介してワイヤ210に結合され且つ該ワイヤ210に沿って変位可能である。第1のシェル302もまたワイヤ210に沿って変位可能である。このようにして、第1のグロメット構造体352及び第1のシェル302は、ワイヤ210に沿って互いに対して変位可能である。第1のグロメット構造体352は、通路322の遠位領域326内に配置されるよう構成され、通路322の近位領域324よりも大きいようなサイズにされていることに起因して、第1のグロメット構造体352がリップ328と接触し且つ終端部211に向かう第1のシェル302の変位に対する限界停止部を提供するので、第1のグロメット構造体352により、第1のシェル302がワイヤ210から外れるのを防ぐことが可能となる。他の実施形態では、ワイヤ210、第1のシェル302、及び第1のグロメット構造体352は、ネクタ組立体300が本明細書で説明されるように機能することを可能にするあらゆる好適な方式で構成することができる。
【0017】
図7、8、及び9は、それぞれ、コネクタ組立体300の組み立て状態、第1の分解状態、及び第2の分解状態の部分斜視図である。図7を参照すると、コネクタ組立体300の組み立て状態において、第2のシェル304は、デバイス204のハウジング205に結合(例えば、溶接)され、コンタクト344が第2のシェル304の近位端332を介して通路340に延びるようになる。セラミック構造体348誘電構造体350、及び第2のグロメット構造体354は、通路340内に(例えば、接着剤により)固定して保持され、コンタクト344が貫通ポート356を介して誘電構造体350に延びるようになる。加えて、第1のシェル302は、第2のシェル304に結合され、遠位端314の歯状部320が遠位端334の歯状部342と嵌合し、また、結合セグメント310のネジ付き内側表面330が第2のシェル304のネジ付き外側表面338と接合するようになる。ワイヤ210は、第1のグロメット構造体352の貫通ポート360を介して第1のシェル302の通路322を通って(例えば、近位端312内で且つ遠位端314の外に)延びる。ワイヤ210はまた、遠位端334を介して第2のシェル304の通路340内に延び、ワイヤが第2のグロメット構造体354を通って貫通ポート356を介して誘電構造体350内に延びるようになる。
【0018】
このようにして、各ワイヤ210のソケットコンタクト215は、1つの関連するコンタクト344を受けて、ワイヤ210をデバイス204に結合(例えば、電気的に結合又は通信可能に結合)するようにする。ソケットコンタクト215とコンタクト344との間の結合を維持するために、終端部211の保持リング213が対応するリテーナスリーブ358内に挿入され、該リテーナスリーブ358のテーパー形状により、ソケットコンタクト215のコンタクト344からの結合解除が抑制される。第1のグロメット構造体352及び第2のグロメット構造体354が実質的に整列される(すなわち、貫通ポート360、356が実質的に整列される)ので、ワイヤ210は、第1のグロメット構造体352から第2のグロメット構造体354に延びるときに実質的に直線状の平行な向きで維持され、これによりワイヤ210を互いに対して且つシェル302、304に対して間隔を置いて配置され、干渉及び摩擦が最小限になる。
【0019】
ここで図8及び9を参照すると、コネクタ組立体300を分解する(すなわち、ワイヤ210をデバイス204から結合解除する)ために、第1のシェル302の結合セグメント310は、第2のシェル304からネジ解除され、第1のシェル302は、第1のグロメット構造体352が通路322内に配置された第1の位置(図7)から、第1のグロメット構造体352が通路322の外に露出される第2の位置(図8)までワイヤ210に沿って被覆部212に向けて(一部の実施形態では、被覆部212を覆って)変位される。第1のグロメット構造体352が通路322の外に露出されると、第1のグロメット構造体352は、ワイヤ210に沿って被覆部212に向けて変位され、第1のグロメット構造体352と第2のグロメット構造体354との間に十分な間隔をもたらし、第2のシェル304からワイヤ210を除去することができるようになる(図9)。第2のシェル304からワイヤ210を除去するために、リテーナリング213がリテーナスリーブ358から結合解除され、ソケットコンタクト215がコンタクト344から結合解除され、ワイヤ210が貫通ポート356から引き出される(例えば、ツールを貫通ポート356内に挿入し、終端部211を把持して結合を解除することができる)。ソケットコンタクト215がコンタクト344から結合解除されると、デバイス204は、もはやワイヤ210に電気的又は通信可能に結合されず、これによりデバイス204(例えば、センサデバイス)及び/又はハーネス202(例えば、ワイヤ210)の現場での補修又は交換を良好に行うことが可能になる。上述のステップを好適に逆行させることにより、コネクタ組立体300を所望の補修又は交換後に再組み立てすることができる。
【0020】
本明細書で記載される方法及びシステムは、デバイスとワイヤを結合及び結合解除することを可能にする。本明細書で記載される方法及びシステムはまた、デバイスがワイヤから結合解除されたときに、補修又は交換のためワイヤ終端部を露出させることができる。本明細書で記載される方法及びシステムは更に、コネクタ組立体300に関連する構成要素の数を低減し、これによりコネクタ組立体を製造するに用いる原材料を低減し且つコネクタ組立体のスペース及び重量を低減することができる。従って、本明細書で記載される方法及びシステムは、ワイヤと関連デバイスとの間の接合を簡素化し、システムの製造、設置、及び作動に関連するコストを低減することができる。
【0021】
コネクタ組立体及びその製造方法に関する例示的な実施形態を上記で詳細に説明した。本方法及びシステムは、本明細書で記載される特定の実施形態に限定されるものではなく、むしろ本方法及びシステムの構成要素は、本明細書で記載した他の構成要素とは独立して別個に利用することができる。例えば、本明細書で記載される方法及びシステムは、他の産業及び/又は消費者向けの用途を有することができ、本明細書で記載されるガスタービンエンジンの電気ハーネスでの実施にのみ限定されるものではない。むしろ、上記の特定的特徴及び行為は、実施形態を実施する例示的な形態として開示されている。
【0022】
種々の特定の実施形態について本発明を説明してきたが、請求項の技術的思想及び範囲内にある修正により本発明を実施することができる点は、当業者であれば理解されるであろう。
【符号の説明】
【0023】
200 システム
202 ハーネス
206 端部
204 デバイス
208 取付デバイス
209 電力又は通信源
210 ワイヤ
214 主セグメント
216 ブレイクアウトセグメント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9