(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6091889
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】温度検知デバイス及びその組立体
(51)【国際特許分類】
F02C 7/00 20060101AFI20170227BHJP
F02C 7/18 20060101ALI20170227BHJP
F02C 9/00 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
F02C7/00 A
F02C7/18 E
F02C9/00 A
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-283891(P2012-283891)
(22)【出願日】2012年12月27日
(65)【公開番号】特開2013-139813(P2013-139813A)
(43)【公開日】2013年7月18日
【審査請求日】2015年12月18日
(31)【優先権主張番号】13/341,268
(32)【優先日】2011年12月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】309012096
【氏名又は名称】ユニゾン・インダストリーズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・パトリック・パーソンズ
【審査官】
山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2007/0220984(US,A1)
【文献】
米国特許第05718512(US,A)
【文献】
米国特許第05348395(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/00
F02C 7/18
F02C 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンエンジンのための温度検知デバイスを組み立てる方法であって、
温度センサを提供するステップと、
冷却空気をその前方領域からその後方領域に送るハウジングを提供するステップと、
温度センサの一部が前記ハウジングの外部に配置されるように前記温度センサを前記ハウジング内に取り付けるステップと、
複数のインピンジメントアパーチャを有する冷却管を前記ハウジング内に提供するステップであって、前記冷却管が、前記温度センサにほぼ平行に前記温度センサの前方に配置され、前記冷却空気が圧力差に少なくとも部分的に基づいて前記冷却管に導かれる、前記ステップと、
前記冷却管と前記温度センサとが複数の個別の冷却領域を定める離間された関係となるように前記冷却管と前記温度センサに結合する1組の支持リブを提供するステップであって、冷却空気が圧力差に少なくとも部分的に基づいて前記冷却管の長手方向で前記冷却管を通り、前記複数のインピンジメントアパーチャから排出されて前記複数の個別の冷却領域に流れる、前記ステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記温度センサを前記ハウジング内の冷却空気から断熱するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記支持リブは、前記ハウジングに結合されない、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ハウジングが、前記冷却空気を前記ハウジングから排出するための複数の出口アパーチャを含む、請項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
ガスタービンエンジン用の温度検知デバイスであって、
温度センサと、
前記温度センサの第2の部分が前記ハウジングの外部に配置されるように前記温度センサの第1の部分を覆うよう構成されたハウジングと、
複数のインピンジメントアパーチャを含む冷却管であって、前記冷却管が、前記温度センサにほぼ平行に前記温度センサの前方に配置され、前記冷却空気が圧力差に少なくとも部分的に基づいて前記冷却管に導かれる、前記冷却管と、
前記冷却管と前記温度センサとが複数の個別の冷却領域を定める離間された関係となるように前記冷却管と前記温度センサに結合する1組の支持リブと、
を備え、前記ハウジングが、冷却空気の流れを受け取るよう構成され、
冷却空気が圧力差に少なくとも部分的に基づいて前記冷却管の長手方向で前記冷却管を通り、前記複数のインピンジメントアパーチャから排出されて前記複数の個別の冷却領域に流れる、デバイス。
【請求項6】
前記温度センサが、前記ハウジング内の冷却空気から断熱されるよう構成される、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記デバイスは、2300°Fと2800°Fの間の使用温度を有するように構成される、請求項5または6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記ハウジングが、前記冷却空気を前記ハウジングから排出するための複数の出口アパーチャを含む、請求項5乃至7のいずれかに記載のデバイス。
【請求項9】
ガスタービンエンジンであって、
燃焼室と、
前記燃焼室に延びる請求項5乃至8のいずれかに記載のデバイスと、
を備える、ガスタービンエンジン。
【請求項10】
前記燃焼セクションがバイパス流路を含み、前記温度検知デバイスが、前記バイパス流路から前記冷却空気を受け取るよう構成される、請求項9に記載のガスタービンエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術分野は、全体的に、センサに関し、より詳細には、ガスタービンエンジンの燃焼セクション用の温度検知デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンの燃焼セクションの排出ガス温度は、燃焼器への燃料入力を求めるためにエンジン制御ユニットによって使用されることが多い動作パラメータである。従って、燃焼器内の排出ガス温度の正確な測定によって燃料入力を最適化することにより、エンジンの動作効率を改善することが可能となる。加えて、燃焼セクション内及び燃焼セクションの下流側のエンジン構成要素(例えば、タービンブレード)は通常、排出ガスの高温に伴うかなりの熱応力に曝され、これら下流側構成要素の有効寿命は、燃焼器内の予想される排出ガス温度を用いて推定されることが多い。従って、排出ガス温度の正確な測定は、予想される排出ガス温度をより正確なものにし、結果として、構成要素の推定寿命もまたより正確にすることが可能になる。
【0003】
ガスタービンエンジンで使用される少なくとも一部の公知の排出ガス温度(EGT)センサは、熱電対素線を含む。しかしながら、より高いリアクタンスを持たせるために、これらの熱電対素線は、小直径を有することが多い。この点に関して、エンジン内の排出ガスは、少なくとも240m/sの速度に達する可能性があり、これら小直径の熱電対素線は通常、排出ガス流速に伴う抗力に耐える程十分な剛性を持っていない。その結果、一部の公知のEGTセンサは、関連の抗力に耐える支持の増大をもたらすようなより剛性のあるハウジング内に配置された熱電対素線を有し、これらのハウジングのほとんどは、より高温定格の合金から作製される。しかしながら、排出ガスは、少なくとも2300°Fの温度に達することができる。結果として、ほとんどの公知のEGTセンサは、排出ガス温度が合金ハウジングの使用限度を下回る区域(例えば、高圧タービンの幾つかの段)において燃焼器の下流側に挿入され、下流側温度測定値は、燃焼器における排出ガスの温度を推定するのに使用される。次いで、これらの推定された排出ガス温度は、エンジンコントローラによって使用され、燃焼器における燃料入力パラメータを求める。従って、排出ガス温度測定値の精度を改善するために、燃焼器の排出ガス流内の高温位置に直接挿入できる温度検知デバイスを有することが望ましいことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7,056,085号明細書
【発明の概要】
【0005】
1つの態様において、ガスタービンエンジンのための温度検知デバイスを組み立てる方法が提供される。本方法は、温度センサを提供するステップと、温度センサを覆うように構成されたハウジングを提供するステップとを含む。本方法は更に、温度センサの一部がハウジングの外部に配置されるよう、且つハウジングが冷却空気の流れを受け取るよう構成されるように温度センサをハウジング内に取り付けるステップを含む。
【0006】
別の態様において、ガスタービンエンジン用の温度検知デバイスが提供される。温度検知デバイスは、温度センサと、該温度センサの一部がハウジングの外部に配置されるように温度センサを覆うよう構成されたハウジングと、を含む。ハウジングは、冷却空気の流れを受け取るよう構成される。
【0007】
別の態様において、ガスタービンエンジンが提供される。ガスタービンエンジンは、燃焼室と、該燃焼室に延びる温度検知デバイスとを含む。温度検知デバイスは、温度センサと、該温度センサの一部がハウジングの外部に配置されるように温度センサを覆うよう構成されたハウジングと、を含む。ハウジングは、冷却空気の流れを受け取るよう構成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図1に示すガスタービンエンジンの燃焼セクションの概略図。
【
図3】
図2に示す燃焼セクションで使用する温度検知デバイスの斜視図。
【
図5】
図3に示す温度検知デバイスの冷却システムの斜視図。
【
図6】
図3に示す温度検知デバイスのセンサユニットの一部の概略部分断面図。
【
図8】
図1に示すガスタービンエンジンの作動中に
図3に示す温度検知デバイスを通る冷却空気流の概略図。
【
図9】
図3に示す温度検知デバイスの別の実施形態の斜視図。
【
図10】
図1に示すガスタービンエンジンの作動中に
図9に示す温度検知デバイスを通る冷却空気流の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な説明は、限定ではなく例証として温度検知デバイス及びその組立方法について記載している。本明細書は、温度検知デバイスを当業者が実施し利用することを可能にするものであり、温度検知デバイスに関して現時点で最良の形態であると考えられるものを含む幾つかの実施形態、改良、変更、変形、及び使用法について記載している。温度検知デバイスは、本明細書では好ましい実施形態、すなわち、ガスタービンエンジンに適用されるものとして説明されている。しかしながら、温度検知デバイス及びその組立方法は、広範なシステムにおける一般的応用、並びに様々な他の商用、産業、及び民生用途があることは企図される。
【0010】
図1は、中心線軸107に沿って整列されたファンセクション102、圧縮機セクション104、燃焼セクション106、高圧タービンセクション108、及び低圧タービンセクション110を含む、例示的なガスタービンエンジン100の概略図である。作動中、空気は、ファンセクション102を流れ、圧縮機セクション104に供給される。加圧空気は、燃焼セクション106に送給され、ここで加圧空気が燃料と混合されて点火され、燃焼ガスを生成する。燃焼ガスは、燃焼セクション106からタービンセクション108、110を通って流れ、次いで、ガスタービンエンジン100から排出される。他の実施形態では、ガスタービンエンジン100は、あらゆる好適な方法で配列された、あらゆる好適な数のファンセクション、圧縮機セクション、及び/又はタービンセクションを含むことができる。
【0011】
図2は、燃焼セクション106の概略図である。例示的な実施形態において、燃焼セクション106は、環状内側ケーシング構造体114、環状外側ケーシング構造体116、及び燃焼器組立体118を含む。燃焼器組立体118は、内側ケーシング構造体114と外側ケーシング構造体116との間に配置され、燃料ノズル120、点火装置(図示せず)、並びに内側及び外側ライナ122、124のペアを含む。燃料ノズル120は、外側ケーシング構造116を通って延び、ライナ122、124は、燃料ノズル120に結合されて、該燃料ノズル120から高圧タービンセクション108のノズル126に延びて、燃焼室128がライナ122、124間に定められるようになる。内側バイパス流路130は、内側ケーシング構造体114と内側ライナ122との間に定められ、外側バイパス流路132は、外側ケーシング構造体116と外側ライナ124との間に定められる。圧縮機セクション104から送給される加圧空気134は、内側ライナ122を冷却する内側バイパス流136と、外側ライナ124を冷却する外側バイパス流138と、中間流140とに分割され、該中間流は、燃焼室128に配向され、燃料と混合されて点火され、燃焼室128を通って高圧タービンセクション108のノズル126内に流入する燃焼ガス流142を生成する。
【0012】
以下で詳細に説明するように、温度検知デバイス200(例えば、排出ガス温度(EGT)検知デバイス)は、外側ケーシング構造体116に結合され、外側バイパス流路132を通り、外側ライナ124を貫通して燃焼室128に入り、燃焼ガス流142の温度を求めるのを可能にする。他の実施形態では、温度検知デバイス200は、内側ケーシング構造体114に結合去れ、内側バイパス流路130を通って燃焼室128内に延びることができる。代替として、温度検知デバイス200は、該温度検知デバイス200が本明細書で記載されるように機能することを可能にする、ガスタービンエンジン100のあらゆる好適な構造体に結合することができる。本明細書で使用されるように、ガスタービンエンジン100内の向きに関する温度検知デバイス200への言及(例えば、温度検知デバイス200の構成要素Xなどの言及は、「軸方向前方領域」又は「軸方向後方領域」を有する)は、温度検知デバイス200が本明細書で説明されるようにガスタービンエンジン100内に装着されたときのような向きにされるよう構成されることを意味するものであり、このような向きに対する言及は、ガスタービンエンジン100内に実際に装着されるこれらの温度検知デバイスにのみ本開示の範囲を限定することを意図するものではない。むしろ、本開示は、ガスタービンエンジン内に装着されるか否かに関係なく、一般的に温度検知デバイスに適用することを意図している。
【0013】
図3及び4は、それぞれ、温度検知デバイス200の斜視図及び分解図である。例示的な実施形態において、温度検知デバイス200は、ハウジング202、冷却システム204、及びセンサユニット206を含む。
図5は、センサユニット206が内部に配置された冷却システム204の斜視図であり、
図6は、センサユニット206の一部の概略部分断面図であり、
図7は、ハウジング内に配置された組み付け冷却システム204及びセンサユニット206を備えた温度検知デバイス200の断面図である。
【0014】
例示的な実施形態において、センサユニット206は、長手方向軸線214を有し、絶縁材料210(例えば、セラミック粉体)内に配置され且つ粒子安定化プラチナベースシェルのようなシェル212内に収容された温度センサ208(例えば、プラチナベースのS型熱電対)を含む(すなわち、センサユニット206は、シールされ断熱された温度センサ208を含む)。温度センサ208は先端215を有する。一部の実施形態において、シェル212は、以下で詳細に説明するように、ハウジング202内にセンサユニット206を位置付ける、流れ方向に延びて円周方向に離間したフィンのアレイを含むことができる。他の実施形態では、シェル212は、オーステナイトニッケルクロムベースの合金材料から作製することができる。代替として、センサユニット206は、温度検知デバイス200が本明細書で記載されるように機能することを可能にするあらゆる好適な材料から作製された温度センサ、絶縁体、及び/又はシェルのあらゆる好適な構成を有することができる。
【0015】
例示的な実施形態において、冷却システム204は、冷却チャンネル216と、該冷却チャンネル216から外向きに延びる複数の支持リブ218とを含む。冷却チャンネル216は、近位端220、遠位端222、前方領域224、後方領域226、及び近位端220から遠位端222まで延びる長手方向軸線228を有する。前方領域224は、離間したインピンジメントアパーチャ232の複数の平行に長手方向に延びる列230を有し、遠位端222は、孔236を貫通してセンサユニットの周りに互いに離間して配置されたインピンジメントアパーチャ232のほぼ環状の配列を有する。例示的な実施形態において、支持リブ218は、ほぼリング形状にされ、長手方向に離間した関係で冷却チャンネル216に結合(例えば、ろう付け)される。一部の実施形態において、支持リブ218は、冷却チャンネル216から別個に形成されて該冷却チャンネル216に結合されるのではなく、冷却チャンネル216と一体的に形成することができる。他の実施形態では、支持リブ218は、温度検知デバイス200が本明細書で記載されるように機能することを可能にするあらゆる好適な形状及び配置を冷却チャンネル216上に有することができる。
【0016】
例示的な実施形態において、以下で詳細に説明するように、冷却チャンネル216は、ガスタービンエンジン100の作動中にハウジング202内の冷却空気によって囲まれ、冷却チャンネル216が燃焼室128内の燃焼ガス流142に曝されないようにする。1つの実施形態において、冷却チャンネル216は、作動中のハウジング202内の冷却チャンネル216を囲む冷却空気のほぼ予想温度の冷却器仕様温度を有するよう構成される。このようにして、冷却チャンネル216は、クリープを生じにくく、従って、ガスタービンエンジン100の作動中に燃焼室128を通る燃焼ガス流142の速度に耐えるように温度検知デバイス200に対する大きな構造的支持を提供するよう構成される。1つの実施形態において、冷却チャンネル216は、高強度、低伝導率、及び低酸化性のオーステナイトニッケルクロムベースの合金から作製される。或いは、冷却チャンネル216は、温度検知デバイス200が本明細書で記載されるように機能することを可能にするあらゆる好適な材料から作製することができる。
【0017】
例示的な実施形態において、ハウジング202は、ほぼ円筒形状にされ、近位端240、遠位端242、前方領域244、後方領域246、及び近位端240から遠位端242まで延びる長手方向軸線248を有する。1つの実施形態において、ハウジング202は、燃焼室128内の燃焼ガス流142への暴露に伴う酸化及び熱疲労に対する良好な耐性を可能にするようプラチナベース材料から作成される。別の実施形態において、ハウジング202は、ロジウムを有するプラチナベース材料から作成してもよい。他の実施形態において、ハウジング202は、温度検知デバイス200が本明細書で記載されるように機能することを可能にするあらゆる好適な材料から作製することができる。
【0018】
例示的な実施形態において、孔250を通るセンサユニットは、遠位端242に定められ、離間した出口アパーチャ254の実質的に長手方向の列252は、後方領域246に定められる。1つの実施形態において、出口アパーチャ254は、ほぼ円形形状とすることができ、実質的に等間隔に配置することができる。別の実施形態において、出口アパーチャ254は、細長い形状(例えば、楕円形状)とすることができる。一部の実施形態において、出口アパーチャ254は、長手方向軸線248に沿った所定位置でハウジング202から流出する冷却空気を増大又は減少させるよう、長手方向軸線248に沿った形状及び/又はスペースを変えることができる(例えば、出口アパーチャ254は、ハウジング202の近位端240付近でより小さく、ハウジング202の遠端242付近でより大きくすることができる)。別の実施形態において、ハウジング202はまた、先端カバー(図示せず)(例えば、粒子安定化プラチナ材料などのプラチナベース材料から作製される)を含むことができ、該先端カバーは、孔250を通ってセンサユニットでハウジング202の遠位端242から延びる。先端カバーは、センサユニット206がハウジング202内に配置されたときに、先端215がハウジング202の先端カバー内に配置されるように遠位端242に押圧及び/又は溶接することができる(例えば、シェル212は、先端215を先端カバー内に位置付けるためのフィンガー又はネジを有することができる)。或いは、ハウジング202は、ハウジング202が本明細書で記載されるように機能することを可能にするあらゆる好適な構成を有することができる(例えば、ハウジング202は、離間して配置された出口アパーチャ254を有するのではなく、近位端240から遠位端242まで実質的に延びる単一の拡大出口スロットを有することができ、又は、出口アパーチャ254は、後方領域246上に定められない場合があり、むしろ、ハウジング202の側部領域上に定めることができる)。
【0019】
例示的な実施形態において、ハウジング202は、遠位端242と一体的に形成された内部支持スリーブ238を含む。支持スリーブ238は、孔250を貫通してセンサユニットと整列され、遠位端242から近位端240まで長手方向に延びて、支持スリーブ238がハウジング202の両端240、242で開放されるようになる。組み立てられた構成では、センサユニット206は、支持スリーブ238内に挿入されて、センサユニット206が、孔250を貫通しセンサユニットを介してハウジング202の外部に配置されたセンサユニット206の一部(例えば、先端215)に対してハウジング202内で実質的に中心に位置付けられる。代替の実施形態において、ハウジング202内のセンサユニット206を位置付けるために支持スリーブ238を有するのではなく、センサユニット206のシェル212は、上述の長手方向に延びるフィンの列を備えることができ、フィンは、冷却空気が冷却チャンネル216に沿って長手方向に流れるのを可能にしながら、センサユニット206を冷却チャンネル216内に(例えば、冷却チャンネル216内に実質的に中心に)位置付けることを可能にすることになる。
【0020】
例示的な実施形態において、冷却システム204及びセンサユニット206は、ハウジング202内に配置されて、冷却チャンネル216が支持スリーブ238(従って、センサユニット206)を覆うようにし、また、ハウジング202は、支持リブ218が冷却チャンネル216をハウジング202内に実質的に中心に位置付けた状態で冷却チャンネル216を覆うようにする。このようにして、隣接する支持リブ218は、ハウジング202に沿って長手方向に配列された複数の別個の環状冷却領域256を定め、ハウジング202全体にわたって冷却空気のより均一な分配を可能にする。例示的な実施形態において、支持リブ218は、ハウジング202に結合されず、これにより冷却システム204をハウジング202から容易に取り外すことを可能にする。他の実施形態では、支持リブ218は、ハウジング202に好適に結合(例えば、溶接)することができる。例示的な実施形態において、冷却システム204は、ハウジング202内部に向けられて、冷却チャンネル216の前方領域224が、ハウジング202の前方領域244に面する(すなわち、ハウジング202が以下で詳細に説明するようにガスタービンエンジン100内に取り付けられたときに、上流側の外側ケーシング構造体142内に面する前方領域244に起因してガスタービンエンジン100の作動中にハウジング202の前方領域244が増大した熱応力を生じるので、インピンジメントアパーチャ232は、ハウジング202の前方領域244に向けて冷却空気を配向するような向きにされる)ようになる。加えて、センサユニット206は、孔250を介してハウジング202の外部に延び、センサユニット206の一部(例えば、先端215)が、ガスタービンエンジン100の作動中に燃焼室128の燃焼ガス流142内でハウジング202の外部に配置されるようになる。一部の実施形態において、ハウジング202の外部にあるセンサユニット206のシェル212の一部は、温度センサ208がハウジング202と接触すること、或いはハウジング202によって冷却されるのを阻止し、これにより温度センサ208が燃焼室128内の温度を正確に求めることを可能にする。
【0021】
上述のように組み立てられた温度検知デバイス200では、温度検知デバイス200は、ハウジング202の近位端240にて外側ケーシング構造体116上に取り付けられ、温度検知デバイス200が外側バイパス流と132を通って燃焼室128内に延び、先端215が、燃焼室128内でハウジング202の外部に配置される(例えば、温度検知デバイス200は、外側ケーシング構造体116のカウンタボア内にバネ付勢状態で外側ケーシング構造体116に結合することができる)。1つの実施形態において、温度検知デバイス200は、外側ケーシング構造体116に結合され、冷却チャンネル216が外側バイパス流路132と流れ連通するようになり(例えば、外側バイパス流路132から冷却チャンネル216内に外側バイパス流138を通気するための入口アパーチャを有するエンジン境界シールを介して)、また、出口アパーチャ254が燃焼室128と流れ連通するようになる。他の実施形態では、温度検知デバイス200は、ガスタービンエンジン100のあらゆる好適な流路から冷却空気を受け取るよう構成することができる。例示的な実施形態において、ハウジング202は、前方領域244が燃焼ガス流142に対して上流側に(すなわち、燃料ノズル120に向かって)面するように、また、後方領域246が燃焼ガス流142に対して下流側に(すなわち、燃料ノズル120から離れる方向に)面するような向きにされる。代替として、温度検知デバイス200は、本明細書で説明されるような冷却空気によってハウジング202を冷却可能にするあらゆる好適な方式でガスタービンエンジン100内に取り付け又は配向することができる。
【0022】
図8は、温度検知デバイス200を通る冷却空気の概略図である。ガスタービンエンジン100の作動中、外側バイパス流路132と燃焼室128との間の圧力差によって、外側バイパス流138を冷却チャンネル216内に吸い込むようにする(例えば、エンジン境界シールの入口アパーチャを介して)。燃焼室128内の燃焼ガス流142の温度は、約2,300°F〜約2,800°Fの範囲にわたり、且つ外側バイパス流138の温度は、燃焼ガス流142の温度よりも低いので、外側バイパス流138は、温度検知デバイス200用の冷却空気258としての役割を果たす。冷却空気258は、近位端240から遠位端242に向かって冷却チャンネル216を通って長手方向に配向される。冷却空気258が、冷却チャンネル216を通って流れると、該冷却空気258は、冷却チャンネル216からインピンジメントアパーチャ232を通りハウジング202の前方領域244に向けて吐出される。インピンジメントアパーチャ232から吐出される冷却空気258は、領域256内に流れるのが許容され、次いで、ハウジング202から出口アパーチャ254を通って燃焼ガス流142内に排出される。他の実施形態では、ハウジング202からの冷却空気258は、外側バイパス流路132(例えば、エンジン境界シールを通じて)内、ガスタービンエンジン100の他の何れかの好適な流路内、及び/又はハウジング202と流れ連通した排出チャンネルのあらゆる好適な配列により環境内に排出することができる。
【0023】
冷却空気258は領域256内で循環し、該冷却空気258は、対流によってハウジング202を冷却し、燃焼室128内の燃焼ガス流142によって引き起こされたハウジング温度の上昇を下げるようにする。貫通孔250を介したハウジング202の外部に配置される温度センサ208の先端215では、温度センサ208は、燃焼室128内の燃焼ガス流142の温度を求めることができる。加えて、センサユニット206は、ハウジング202の支持スリーブ238内に配置されること、及び温度センサ208がシェル212内で断熱されることに起因して、冷却空気258による温度センサ208の冷却が実質的に阻止される(すなわち、温度センサ208は、冷却空気258から十分に断熱され、温度センサ208の冷却を最小限にする)。このようにして、温度検知デバイス200は、燃焼ガス流142の速度及び温度に十分に耐えながら、燃焼室128内の燃焼ガス流142の温度を求めるよう構成される。
【0024】
図9及び10は、それぞれ、温度検知デバイス200の別の実施形態の斜視図及び概略図である。例示的な実施形態において、ハウジング202は、翼形部形状であり、支持リブ218は、これに対応する形状を有する。ハウジング202が翼形部形状であることにより、冷却空気をハウジング202の前方領域244から後方領域246に向けて送り込むことに加えて、燃焼室128における燃焼ガス流142が妨げられることに伴う空力抵抗を低下させ、これにより冷却空気258を出口アパーチャ254に向けて配向することができる。加えて、センサユニット206は、冷却チャンネル216内には配置されないが、冷却チャンネル216は、ハウジング202内のセンサユニット206の前方に配置される(すなわち、支持リブ218は、冷却チャンネル216及びセンサユニット206に結合され、該冷却チャンネル216及びセンサユニット206が実質的に長手方向に平行にハウジング202を通って延びるようにされる)。従って、冷却空気258は、冷却チャンネル216を通って長手方向に配向され、インピンジメントアパーチャ232を通ってこれから吐出され、該冷却空気258が隣接する支持リブ218間の領域256内に流れるようになる。次いで、冷却空気258は、ハウジング202の後方領域246にて(すなわち、翼形部形状の後縁にて)出口アパーチャ254を介してハウジング202から吐出される。温度センサ208がシェル212内で断熱されるので、冷却空気258と温度センサ208との間の伝導性熱伝達が実質的に阻止される。
【0025】
本明細書で記載される方法及びシステムは、温度センサを燃焼室内の燃焼ガス流に挿入し、燃焼ガス流の温度を測定するよう構成された温度検知デバイスを提供することができる。本明細書で記載される方法及びシステムはまた、2300°Fを超える使用限度を有する温度検知デバイスを提供することができる。本明細書で記載される方法及びシステムは更に、燃焼室の推定温度を得るために下流側温度データを外挿する必要もなく、燃焼室内の燃焼ガス流の温度を求めることを可能にする温度検知デバイスを提供することができる。本明細書で記載される方法及びシステムは更に、エンジン燃料入力のより良好な最適化を可能にし、これによりエンジン作動効率を高める温度検知デバイスを提供することができる。本明細書で記載される方法及びシステムは更に、燃焼セクションの下流側にあるエンジン構成要素(例えば、タービンブレード)の有効寿命に関する良好な推定を可能にする温度検知デバイスを提供することができる。従って、本明細書で記載される方法及びシステムは、ガスタービンエンジンの作動効率を高め、有効寿命を延ばして、これによりガスタービンエンジンの作動に伴うコストを低減することができる温度検知デバイスを提供することができる。
【0026】
温度検知デバイス及びその組み立て方法の例示的な実施形態を上記で詳細に説明した。本方法及びシステムは、本明細書で記載される特定の実施形態に限定されるものではなく、むしろ本方法及びシステムの構成要素は、本明細書で記載した他の構成要素とは独立して別個に利用することができる。例えば、本明細書で記載される方法及びシステムは、他の産業及び/又は消費者向けの用途を有することができ、本明細書で記載されるガスタービンエンジンでの実施に限定されるものではない。むしろ、上記の特定的特徴及び行為は、実施形態を実施する例示的な形態として開示されている。
【0027】
種々の特定の実施形態について本発明を説明してきたが、請求項の技術的思想及び範囲内にある修正により本発明を実施することができる点は、当業者であれば理解されるであろう。
【符号の説明】
【0028】
106 燃焼セクション
108 高圧タービンセクション
114 内側ケーシング構造体
116 環状外側ケーシング構造体
118 燃焼器組立体
120 燃料ノズル
122 内側ライナ
124 外側ライナ
126 ノズル
128 燃焼室
130 内側バイパス流路
132 外側バイパス流路
136 内側バイパス流
138 外側バイパス流
140 中間流
142 燃焼ガス流
200 温度検知デバイス
258 冷却空気