(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術に係る電池パックの構造においては、
図17(a)に示すように、ケース部材90の突き合わせ端とケース部材91の突き合わせ端との間に隙間Kが開くように設計されているが、この隙間Kに浸入した水分が、隙間Kを周方向に伝搬し、防水ラベル93の裏側(ケース部材90,91で構成されたケース内側)に浸入することがある。具体的には、
図17(b)に示すように、隙間Kに浸入した水分は、溶着部91gに沿って周方向に伝搬し、コネクタ928が露出する周辺部分の隙間(矢印Lで指し示す部分など)からケース部材90,91内側へと浸入することがある。
【0007】
このように、ケース部材90,91内側へと水分が浸入してしまうと、内部の素電池921〜926や回路基板927などで短絡を起こしたり、露出した金属部材が腐食したりすることになる。このような事態が生じると、電池パックの信頼性の低下をもたらす。
なお、ケース部材同士の嵌合部分にパッキンを介挿する構成とした場合においても、コネクタの露出部分周辺でリブが立設されていない領域が存在する構造を採る場合には、同様の問題を生ずることが考えられる。
【0008】
本発明は、少なくとも2つのケース部材の嵌合により構成される外装体を有し、防水性能の向上を図ることで、高い信頼性を有する電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電池パックは、ケースと、当該ケースの内部空間に収納されたコアパックとを備える。ケースは、第1ケース部材と第2ケース部材との組み合わせを以って形成され、コアパックは、少なくとも素電池を有し形成されている。
本発明に係る電池パックでは、ケースの一部に、コアパックの一部が露出する窓部が設けられている。また、第1ケース部材の外周縁部には、第2ケース部材に向けて立設された衝立状のリブが、窓部を除く領域に連設されており、第2ケース部材の外周縁部には、第1ケース部材におけるリブの侵入を受け入れる溝部が形成されている。
【0010】
さらに、本発明に係る電池パックでは、リブが溝部内に侵入した状態において、第1ケース部材におけるリブの外側面と第2ケース部材における溝部を臨む内側面との間には隙間があいた部分が存在している。そして、第1ケース部材におけるリブの外側面と第2ケース部材における溝部を臨む内側面との間には、第1ケース部材の外周縁部に沿った方向において、窓部を臨む部分に水分の移動を抑制する水分移動規制部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る電池パックでは、第1ケース部材の外周縁部に沿った方向における窓部を臨む部分であって、第1ケース部材におけるリブの外側面と第2ケース部材における溝部を臨む内側面との間に、水分の移動を抑制する水分移動規制部が設けられている。このため、第1ケース部材におけるリブの外側面と第2ケース部材における溝部を臨む内側面との間に隙間が存在し、その隙間に浸入した水分が窓部の方に向けて移動してきた場合にあっても、水分移動規制部で移動が規制されるので、窓部を通りケース内部に水分が浸入するのを抑制することができる。
【0012】
従って、本発明に係る電池パックは、防水性能の向上を以って高い信頼性を有する。
本発明に係る電池パックは、次のようなバリエーション構成を採用することができる。
本発明に係る電池パックでは、リブの頂部分が溝部の底部分に対して溶着されているという構成を採用することができる。これにより、リブの頂部分と溝部の底部分との間についても水分の浸入を抑制することができる。
【0014】
本発明に係る電池パックは、別の具体的な水分移動規制部として、第1ケース部材におけるリブの外側面と第2ケース部材における溝部を臨む内側面との間に液密に介挿された防水テープであるという構成を採用することができる。このように防水テープを介挿させるという構成によっても、水分の浸入を抑制することができる。
本発明に係る電池パックは、別の具体的な水分移動規制部として、第1ケース部材におけるリブの外側面と第2ケース部材における溝部を臨む内側面との間に液密に充填形成された充填部材であるという構成を採用することができる。これによっても、水分の浸入を抑制することができる。
【0015】
なお、充填する部材としては、例えば、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂などを採用することができる。
本発明に係る電池パックは、第1ケース部材と第2ケース部材との間に、第1ケース部材における外周縁部を通る環状のパッキンが介挿されており、パッキンには、第1ケース部材の外周縁部に沿った方向における窓部を臨む部分に、第1ケース
部材における前記リブの外側面に対して交差する方向に凸部が一体に形成されている。そして、このパッキンにおける凸部が水分移動規制部として機能するという構成を採用することができる。このようにパッキンを介挿する構成の場合においても、凸部を形成することで水分が隙間に沿って移動するのを規制することができる。これより、ケース内側への水分の浸入を抑制す
ることができる。
【0016】
本発明に係る電池パックは、ケースの外面における窓部を囲む部分に、外部からの水分の浸入を抑制する防水ラベルが貼着されており、防水ラベルが第1ケース部材と第2ケース部材との突き合わせ部分も被覆しているという構成を採用することができる。このようにケースの外面における窓部を囲む部分への防水ラベルの貼着により、窓部を囲む部分からの水分の浸入も抑制することができる。
【0017】
本発明に係る電池パックは、窓部が前記第2ケース部材の側壁に閉じた環状に開けられており、第1ケース部材の内底面からは、第2ケース部材における窓部を臨む縁部に向けて柱部が立設されており、柱部の頂部が第2ケース部材における内底面に当接または近接しているという構成を採用することができる。これにより、窓部を囲む部分に防水ラベルを貼着する際に、ケースの剛性を確保することができ、ケースの外面からの防水ラベルの浮きを抑制することができる。
【0018】
なお、「近接」とは、防水ラベルの貼着に際して、通常の人の押圧力でケースを押圧したときにケースの内面に柱部の頂部が当接することができる隙間をいう。具体的には、0.3mm程度までの隙間があいた状態を指している。
本発明に係る電池パックは、窓部が第2ケース部材の側壁に閉じた環状に開けられており、窓部から一部が露出するのが、素電池と電気的に接続された角丸直方体形状のコネクタであり、コネクタに、第2ケース部材における窓部を臨む縁部に対して当接または近接する棚部が設けられているという構成を採用することができる。このような構成を採用することによっても、ケースの外面における窓部を囲む部分に防水ラベルを貼着する際に、ケースの剛性を確保することができ、ケースの外面からの防水ラベルの浮きを抑制することができる。
【0019】
なお、「近接」の定義については、上記同様である。
本発明に係る電池パックでは、第1ケース部材と第2ケース部材との組み合わせからなるケースが、第1ケース部材と第2ケース部材との嵌合方向に扁平な形状であるという構成を採用することができる。このように扁平薄型のケースを備える場合においては、窓部を設けた部分の周辺にリブを立てることが実質的に不可能となるため、本発明に係る構成を採用することが、水分の浸入を抑制する上で効果的となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】(a)は、本発明の実施の形態1に係る電池パック1の外観構成を一方の側から示す模式斜視図であり、(b)は、他方の側から示す模式斜視図である。
【
図2】電池パック1におけるコネクタ128が露出した側面を示す模式側面図である。
【
図3】(a)は、ケース部材10に対してコアパック12を装着する工程を示す模式斜視図であり、(b)は、ケース部材11を嵌合する工程を示す模式斜視図である。
【
図4】電池パック1におけるケース部材11の構成を内面側から示す模式斜視図である。
【
図5】(a)は、電池パック1におけるケース部材10とケース部材11との溶着部分の周辺構造を示す模式断面図であり、(b)は、ケース部材10とケース部材11との嵌合部分の一部を示す模式平面図である。
【
図6】(a)は、本発明の実施の形態1に係る電池パック1におけるコネクタ128の周辺構造を示す模式断面図であり、(b)は、比較例に係る電池パックにおけるコネクタ828の周辺構造を示す模式断面図である。
【
図7】本発明の実施の形態2に係る電池パックにおけるケース部材21の構成の一部を拡大して示す模式斜視図である。
【
図8】実施の形態2に係る電池パックにおけるケース部材10とケース部材21との溶着部分の周辺構造を示す模式断面図である。
【
図9】本発明の実施の形態3に係る電池パックにおけるケース部材31の構成の一部を拡大して示す模式斜視図である。
【
図10】(a)は、ケース部材30とケース部材31とを嵌合し、リブ31b先端部分を溶着した状態を示す模式断面図であり、(b)は、穴30i,31iに対して樹脂を充填して防水樹脂部35を形成した状態を示す模式断面図である。
【
図11】(a)は、本発明の実施の形態4に係る電池パックの一部構成を示す模式斜視図であり、(b)は、ケース部材40の外面にラベル44,45および防水ラベル43を貼着する工程を示す模式斜視図である。
【
図12】ケース部材41に対して装着されるパッキン47の構造を示す模式斜視図である。
【
図13】(a)は、パッキン47の一部を拡大して示す模式平面図であり、(b)は、パッキン47を介挿した状態でケース部材40とケース部材41とを嵌合させた状態でのパッキン47と防水ラベル43との関係を示す模式断面図である。
【
図14】(a)は、本発明の実施の形態5に係る電池パックが備えるコネクタ528の構造を示す模式斜視図であり、(b)は、実施の形態5に係る電池パックにおけるコネクタ528の周辺構造を示す模式断面図である。
【
図15】(a)は、変形例1に係るコネクタ628の構造を示す模式斜視図であり、(b)は、変形例2に係るコネクタ728の構造を示す模式斜視図である。
【
図16】従来技術に係る電池パックを示す模式斜視図である。
【
図17】(a)は、従来技術に係る電池パックにおけるケース部材90とケース部材91との嵌合部分を示す模式断面図であり、(b)は、コネクタ928が露出する部分の周辺構成を示す模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
[実施の形態1]
1.電池パック1の外観構成
図1(a)および
図1(b)に示すように、本発明の実施の形態に係る電池パック1は、ケース部材10とケース部材11との組み合わせを以ってケースが構成されており、Z軸方向における高さが、X軸方向およびY軸方向の寸法に比べて小さい扁平な外観形状を有する。電池パック1においては、ケースにおけるX軸方向の右手側面からコネクタ128の一部が露出している。
【0022】
図2に示すように、コネクタ128は、ケース部材10の側面10aに設けられた窓部から外部に露出しており、その周囲を囲むように防水ラベル13が貼着されている。防水ラベル13は、例えば、防水性を付与されたマイクロセルポリマーシートからなり、ケース部材10とケース部材11との突き合わせ部分も被覆するようにケース部材10とケース部材11との間で一体に貼着されている。
【0023】
2.電池パック1の内部構成
図3(a)に示すように、ケース部材10は、角形の浅皿形状をしており、その内底面10cに当接または近接するように、コアパック12が収納されている。コアパック12の収納に際しては、ケース部材10における側面10aに設けられた窓部10bに対してコネクタ128を差し込み、当該状態で素電池121〜126などを収納するという手順で行われる。なお、ケース部材10に設けられた窓部10bは、閉じた角形環状をしている。
【0024】
コアパック12は、6つの扁平角形の素電池121〜126と、これらに電気的に接続された回路基板127と、回路基板127に実装されたコネクタ128とを有し構成されている。
図3(b)に示すように、コアパック12が収納されたケース部材10に対して、そのZ軸方向上側の開口を塞ぐように、ケース部材11が嵌合される。ケース部材11は、角形平板形状をしており、その外周縁部においてケース部材10と超音波接合される。
【0025】
なお、超音波接合に際しては、ケース部材11の外面に対して超音波ホーンが当接され、ケース部材11とケース部材10との外周縁部同士の突き合わせ部分に超音波振動が付与される。
3.ケース部材11の構成
図4に示すように、ケース部材11は、内側主面11aの外周縁部にZ軸方向に立設されたリブ11bを有する(二点鎖線で囲んだA
1,A
2部分を参照)。リブ11bは、全周を囲むように形成されているのではなく、コネクタ128が配される開口11cの部分は省略されている。これは、
図2などに示すように、扁平形のケースを採用することからスペースの観点からである。
【0026】
また、
図4のA
1部分に示すように、開口11cのY軸方向両脇部分には、Z軸方向に延びる柱部11e,11fが設けられている(矢印B部分などを参照)。柱部11eと柱部11fとの間の間隙は、コネクタ128の幅に相当する。柱部11e,11fは、それぞれL字の横断面を有する形状となっている。
図4のA
2部分に示すように、リブ11bの外側面には、副リブ11dが設けられている。副リブ11dは、リブ11bの外側面からケース部材11の内主面11aにおけるリブ11bよりも外側部分まで一続きに設けられており、全体としてL字状となっている。
【0027】
また、副リブ11dにおけるZ軸方向上端部分は、テーパー状となっている。具体的には、リブ11bの外側面からX軸方向外側に行くに従って、Z軸方向の高さが低くなるように形成されている。
ここで、副リブ11dについては、開口11cを挟んだY軸方向の反対側にも同様に形態を以って形成されている。
【0028】
なお、
図4に示すケース部材11の形状については、ケース部材10との接合前の部品の状態を示すものである。
4.ケース部材10とケース部材11との嵌合
図5(a)に示すように、ケース部材10とケース部材11とは、その外周縁部同士が突き合わされた状態で超音波接合されている。上述のように、ケース部材11には、リブ11bが設けられており、ケース部材10には、リブ11bの挿入を受け入れる溝部が形成されている。超音波接合により、リブ11bの頂部分が溶融して、ケース部材10における溝底に溶着している(溶着部11g)。なお、
図5(a)では、溶着部11gについては模式的に図示をしており、実際の状態とは異なっている。以下においても同様である。
【0029】
また、リブ11bの外側面における開口11cを臨む両脇部分に設けられた副リブ11dは、その先端辺部分がケース部材10の溝部を臨む内側面に溶着する(溶着部11h)。これにより、ケース部材11におけるリブ11bの外側面とケース部材10の溝部を臨む内側面との間に隙間は、液密に封止されることになる。
図5(b)に示すように、ケース部材11のリブ11bの外側面とケース部材10の溝部を臨む内側面との隙間に仮に水分が浸入した場合にあっても、リブ11bの頂部分の溶着部11gによりX軸方向への直接の水分の浸入が抑制される。また、矢印Flowで示すように、ケース部材11のリブ11bの外側面とケース部材10の溝部を臨む内側面との隙間を水分が伝搬していった場合にあっても、副リブ11dの先端辺部分の溶着部11hにより(矢印C
1部分)、Y軸方向への水分の伝搬が当該部分で阻止され、窓部(矢印C
2部分)を介してのケース内側への水分浸入が抑制できる。
【0030】
従って、電池パック1において、先端辺部分が溶着された(溶着部11hを備えた)副リブ11dは、窓部(リブ11bが途切れた開口11c)を臨む部分への水分の移動を抑制する水分移動規制部として機能するものである。これより、本実施の形態に係る電池パック1では、防水性能が高く、携帯電子機器や車両用の電源として高い品質を備える。
5.ケース部材11における柱部11e,11fの果たす役割
図6(a)に示すように、本実施の形態に係る電池パック1では、ケース部材11の内底面からZ軸方向上向きに柱部11e,11f(
図6(a)では、柱部11eのみを図示。)が立設されており、当該柱部11e,11fは、回路基板127の対応箇所に開けられた孔1217aを挿通して(矢印D部分)、ケース部材10の内底面に当接している。なお、柱部11e,11fの頂部分については、必ずしもケース部材10の内底面に当接している必要はなく、若干の隙間があいた近接状態(例えば、0.3mm以下)となっていても構わない。
【0031】
上記のような構成で設けられたケース部材11の柱部11e,11fは、防水ラベル13を貼着する際に、ケース部材10の撓み量を軽減する効果を奏し、防水ラベル13の浮きを防止するのに寄与する。即ち、防水ラベル13は、ケース部材10,11に対してコネクタ128が露出する部分の周囲を取り囲むように貼着されるのであるが(貼着部13a,13b)、特に、貼着部13aの貼着に際して、貼着に係る力Fによるケース部材10の底面の撓みを抑える構造材として機能する。
【0032】
特に、本実施の形態のように、ケース部材10に設けられた閉じた窓部10bからコネクタ13の一部を露出させる構成を採用する場合には、ケース部材10の窓部10b周辺に剛性補強部を設けることが困難であるため、本実施の形態のような構成を採用することが有効である。
一方、
図6(b)に示すように、比較例に係る電池パックのように、ケース部材801に柱部が形成されていない場合には、コネクタ828の周囲を取り囲む防水ラベル813の貼着に際して、貼着部813aへの力Fによりケース部材800の底面がZ軸方向下方に撓み、貼着部813aにおいてケース部材900の外面との間に浮きを生じる場合がある。このように浮きを生じると、外部からの水分の浸入を確実に防止することができず、電池パックの信頼性の低下に繋がってしまう。
【0033】
以上のように、ケース部材11に柱部11e,11fを設ける本実施の形態に係る電池パック1では、コネクタ128周りからの水分の浸入も確実に抑制することができる。
なお、リブ11bの外側面に副リブ11dを設ける構成を採用せず、ケース部材11に柱部11e,11fを設ける構成だけを採用した場合にも、その分だけ防水性能を向上させることが可能となる。
【0034】
[実施の形態2]
1.ケース部材21の構成
図7に示すように、本発明の実施の形態に係る電池パックでは、ケース部材21におけるリブ21bに対して、その外側面に対して防水テープ24が貼着されている。防水テープ24は、リブ21bの外側面からケース部材21の内底面21aにおけるリブ21bの外側にも一続きに貼着されている。
【0035】
防水テープ24の貼着箇所は、上記実施の形態1に係る電池パック1における副リブ11dと同様の箇所であって、コネクタが通過する開口21cを臨む両脇部分である。なお、防水テープ24は、リブ21bおよび内底面21aに対して液密に貼着されている。
なお、ケース部材21および貼着されている防水テープ24を除く他の構成については、上記実施の形態1と同様であるので、図示および説明を省略する。
【0036】
2.ケース部材10とケース部材21との嵌合
図8に示すように、本実施の形態に係る電池パックにおいても、ケース部材10とケース部材21とは、外周縁部同士を突き合わせた状態で超音波接合される。このため、ケース部材21におけるリブ21bの頂部分が溶融してケース部材10の溝底に溶着されている(溶着部21g)。
【0037】
そして、本実施の形態では、ケース部材21におけるリブ21bの外側面とケース部材10における溝部を臨む内側面との間に、液密に防水テープ24が介挿された状態となる。このため、本実施の形態に係る電池パックにおいても、ケース部材21のリブ21bの外側面とケース部材10の溝部を臨む内側面との隙間を水分が伝搬していった場合にあっても、防水テープ24の介挿により水分の伝搬が当該部分で阻止され、窓部を介してのケース内側への水分浸入が抑制できる。
【0038】
また、本実施の形態においても、リブ21bの頂部分の溶着部21gによりX軸方向への直接の水分の浸入が抑制され、さらに、コネクタの周囲を囲むように防水ラベルが貼着されている構成は上記実施の形態1と同様であるので、当該部分からの水分の浸入を抑制できる点も上記同様である。
なお、本実施の形態に係る防水テープ24の材質については、防水性があれば特に限定はされないが、例えば、ポリオレフィンの発泡材を基材とし、その一方の面にアクリル樹脂系の粘着剤が塗布されたテープを用いることができる。
【0039】
[実施の形態3]
1.ケース部材31の構成
図9に示すように、本発明の実施の形態に係る電池パックのケース部材31では、リブ31bの外側面の一部、および内底面31aにおけるリブ31bの外側に連続した状態で、筋状の溝31iが刻設されている。溝31iが刻設されているのは、リブ31bにおける開口31cを臨む部分であり、図示を省略しているが、開口31cを挟んだ反対側にも同様に溝31iが刻設されている。
【0040】
2.ケース部材30とケース部材31との嵌合
図10(a)に示すように、本実施の形態に係る電池パックにおいても、その組み立て時において、ケース部材30とケース部材31とは、外周縁部同士を突き合わせた状態で超音波接合される。このため、ケース部材31におけるリブ31bの頂部分が溶融してケース部材30の溝底に溶着されている(溶着部31g)。
【0041】
ここで、ケース部材30についても、ケース部材31の溝31iに対応した箇所に、同様の形態の溝30iが刻設されている。
図10(b)に示すように、本実施の形態に係る電池パックでは、ケース部材30とケース部材31とを超音波接合した後に、溝30i,31iに対して防水性の接着剤を充填し、例えば、UV(紫外光)を照射することで硬化させ防水樹脂部35を設けている。これにより、
図10(b)に示すように、ケース部材31におけるリブ31bの外側面とケース部材30における溝部を臨む内側面との間の隙間が、防水樹脂部35により液密に塞がれる。なお、防水樹脂部35については、コネクタが露出する窓部を挟んだ反対側の溝30i,31iにも充填形成されている。
【0042】
従って、本実施の形態に係る電池パックにおいても、ケース部材31のリブ31bの外側面とケース部材30の溝部を臨む内側面との隙間を水分が伝搬していった場合にあっても、防水樹脂部35の充填形成により水分の伝搬が当該部分で阻止され、窓部を介してのケース内側への水分浸入が抑制できる。
なお、本実施の形態においても、リブ31bの頂部分の溶着部31gによりX軸方向への直接の水分の浸入が抑制され、さらに、コネクタの周囲を囲むように防水ラベルが貼着されている構成は上記実施の形態1と同様であるので、当該部分からの水分の浸入を抑制できる点も上記同様である。
【0043】
[実施の形態4]
1.電池パックの概略構成
図11(a)に示すように、本発明の実施の形態では、ケース部材40とケース部材41とで構成される扁平角形のケース内側に、コアパック42が収納され、ケース部材40とケース部材41とは9つのねじ461〜469で接合されている。
【0044】
コアパック42は、円筒形の外観形状をした9本の素電池421〜429と、これらに電気的に接続された回路基板430と、回路基板430に実装されたコネクタ431とを備える。そして、コネクタ431は、上記実施の形態1に係る電池パック1と同様に、ケースに設けられた窓部からその一部が露出するようになっている。
なお、本実施の形態に係る電池パックにおいても、ケース部材40とケース部材41とは、互いの外周縁部同士が突き合わされている構成については、上記実施の形態1と同様である。ただし、超音波接合がなされていない点で異なる。
【0045】
図11(b)に示すように、コアパック42を収納したケース(ケース部材40とケース部材41との組み合わせ)の外面に対して、ラベル44,45および防水ラベル43が貼着され、これにより電池パック2が構成されている。
ここで、ラベル44,45については、コーションラベルなどとして用いられるものであり、防水ラベル43については、上記実施の形態1に係る電池パック1の防水ラベル13と同様の構成となっている。
【0046】
2.ケース部材41およびパッキン47
図12に示すように、ケース部材41は、浅皿形状をしており、その外周縁部にZ軸方向に向けてリブ41aが立設されている。本実施の形態に係るケース部材41においても、コネクタ431の露出部分についてはリブ41aが設けられていない。また、ケース部材41の外周縁部において、リブ41aの外側には、浅い溝41jが設けられており、当該溝41jに対して環状のパッキン47が填め込まれている。
【0047】
パッキン47は、ケース部材41の外周縁部の形状に合わせて平面視において略矩形状をしており、コネクタ431に相当する部分(二点鎖線で囲む部分E
1)がコネクタ431を避けるようにZ軸方向下側に逃げる形状となっている。
3.パッキン47の一部詳細
図13(a)に示すように、パッキン47の二点鎖線で囲んだ部分E
1を矢印E
2の方向から見たとき、コの字状に逃げ部分47cが設けられている。当該逃げ部分47cのサイズは、コネクタ431に合わせて設定されている。
【0048】
図13(a)および二点鎖線で囲んで抜き出した部分に示すように、逃げ部分47cのY軸方向の両脇部分47dには、X軸方向に突出した凸部47a,47bが設けられている。凸部47a,47bを含めてパッキン47は、弾性材料を用い一体形成されている。パッキン47の形成に用いる弾性材料としては、例えば、シリコーンゴムなどを採用することができる。
【0049】
4.パッキン47と防水ラベル43
図13(b)に示すように、本実施の形態に係る電池パックにおいては、ケース部材40,41におけるコネクタ431を囲む部分に防水ラベル43を貼着したときに、パッキン47の凸部47a,47bの先端が防水ラベル43の内面に対して弾性付勢されることになる(矢印G部分)。なお、
図13(b)では、凸部47bが設けられた部分だけを図示しているが、凸部47aが設けられたに部分についても同様の構成となっている。
【0050】
このように、ケース部材40とケース部材41との間にパッキン47を介挿し、さらにパッキン47に設けた凸部47a,47bを防水ラベル43の内面に弾性付勢する構成を採用する本実施の形態に係る電池パック2では、超音波接合を行わないものの、上記実施の形態1に係る電池パック1と同様の防水性能を確保することができる。即ち、ケース部材41におけるリブ41aの外側面とケース部材40における溝部を臨む内側面との間に浸入し、伝搬してきた水分について、少なくともその一部がパッキン47の凸部47a,47bで遮断され、コネクタ431周りからの内部への浸入を抑制することができる。
【0051】
従って、本実施の形態に係る電池パック2においても、高い防水性能を確保し、高い品質を維持することができる。
[実施の形態5]
本発明の実施の形態5に係る電池パックでは、コネクタ528の形状の特徴を有し、他の構成については、上記実施の形態1と同様である。以下では、コネクタ528の形態について説明する。
【0052】
1.コネクタ528の構成
図14(a)に示すように、コネクタ528は、接続端子として機能するコネクタ本体部528aと、そのX軸方向背面側に設けられた棚部528b(矢印H部分)とが一体に形成されている。棚部528bは、コネクタ本体部528aのZ軸方向上面よりも一段低く形成されている。
【0053】
2.ケース部材50,51とコネクタ528
図14(b)に示すように、ケース部材50とケース部材51とを嵌合したときに、コネクタ528の一部は露出するようになっている。そして、ケース部材50,51におけるコネクタ528周りには、防水ラベル13が上記実施の形態1と同様に貼着されている。
【0054】
コネクタ528における棚部528bは、ケース部材50における開口縁を支持する役割を果たす。これにより、ケース部材50の外面に対して防水ラベル13を貼着する際に貼着部13aに力Fを加えたときに、コネクタ528の棚部528bがケース部材50の撓みを抑える支持部材として機能することで、ケース部材50の外面に対して防水ラベル13が浮いてしまうという事態を抑制することができる。
【0055】
従って、本実施の形態に係るコネクタ528を採用する場合には、コネクタ528周りにおけるケース部材50の外面と防水ラベル13との間からの水分の浸入を抑制することができる。
[変形例1]
図15(a)に示すように、コネクタ628には、コネクタ本体部628aに対して一体的に3つの棚部628b,628c,628dが形成されている(矢印I1,I2,I3部分)。このような構成のコネクタ628を採用する電池パックにおいても、上記実施の形態1,5と同様の防水性能により、高い品質を確保することができる。
【0056】
[変形例2]
図15(b)に示すように、コネクタ728には、コネクタ本体部728aに対して、そのX軸方向背面側に棚部728bが一体形成されているとともに、さらに、Y軸方向両側にも棚部728cが形成されている(矢印J部分)。このようなコネクタ728を採用する電池パックでは、コネクタ728における両側部分でもケース部材を支持することができるため、上記実施の形態5および変形例1に係る構成を採用する場合よりも、さらに確実にケース部材の撓みを抑制することができる。
【0057】
従って、本変形例に係るコネクタ728を採用する電池パックにおいても、防水性能の向上により、高い品質を確保することができる。
[その他の事項]
上記実施の形態1では、ケース部材11に設ける副リブ11dの構成と、ケース部材11から立設される柱部11e,11fの構成とを両方採用することとしたが、どちらか一方の構成だけを採用することとしても、その分だけ防水性能の向上を図ることができる。
【0058】
また、上記実施の形態1〜5および変形例1,2では、ケースの窓部からコネクタ128,431,528,628,727の一部が露出する構成としたが、窓部を設ける目的については、これに限定されるものではない。例えば、配線の引き出し口としての窓部や、各種設定のためのスイッチ類を設けるための窓部、さらには、LEDや液晶などのインジケータを設けるための窓部に対しても、上記同様の構成を採用することで、同様の効果を得ることができる。
【0059】
また、上記実施の形態1〜5および変形例1,2では、ケースの外観形状を扁平角形としたが、角形でなく円形や楕円形の平面形状であってもよいし、扁平でない立方体や直方体などの形状とすることもできる。
また、上記実施の形態1〜5および変形例1,2では、コネクタ128,431,528,628,728の外観形状を角丸直方体形状としたが、装着機器との関係から種々の形状とすることができる。立方体形状や薄板形状とすることなどもできる。
【0060】
コアパック12,42に含まれる素電池121〜126,421〜429の電池種類については、特に言及しなかったが、例えば、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等を採用することができる。また、素電池の外観形状についても、扁平角形や円筒形の他に、コイン形、ガム形などを採用することもできるし、ラミネート外装電池を採用することもできる。