特許第6091906号(P6091906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6091906端子台及びこの端子台を接続した電気機器システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6091906
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】端子台及びこの端子台を接続した電気機器システム
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/00 20060101AFI20170227BHJP
【FI】
   H01R9/00 B
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-9992(P2013-9992)
(22)【出願日】2013年1月23日
(65)【公開番号】特開2014-143043(P2014-143043A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2016年1月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592062541
【氏名又は名称】木谷電器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062225
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 輝雄
(72)【発明者】
【氏名】河野 兼祐
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 祐一
(72)【発明者】
【氏名】小崎 友寛
【審査官】 竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−004421(JP,U)
【文献】 特開平09−097555(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/00 − 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隔壁で仕切られたケーブル収容空間内部の台座上に導電部を配し、該導電部にケーブル端子をネジ止めする締結ネジを備えたケーブル端子取付部を設け、該ケーブル端子取付部の少なくとも上部側の開口を覆うカバーを有する端子台であり、前記導電部と前記締結ネジ間に当該ネジ側へ付勢力を発生する規制部材が配設され、前記規制部材は、前記ネジにて前記導電部へ締め付けられる主体部と、この主体部の先端を前記カバーに向けた従動片とを有し、かつ前記従動片と前記カバーの関係は、前記ネジによる前記主体部の締め付けが所定の締結トルクの場合は、前記従動片による前記カバーの閉止が規制されず、前記ネジによる前記主体部の締め付けが締結トルク不足の場合は、前記従動片と前記カバーとの当接により前記カバーが押し上げ方向に付勢される、ことを特徴とする端子台。
【請求項2】
隔壁で仕切られたケーブル収容空間内部の台座上に導電部を配し、該導電部にケーブル端子をネジ止めする締結ネジを備えたケーブル端子取付部を設け、該ケーブル端子取付部の少なくとも上部側の開口を覆うカバーを有する端子台であり、前記導電部と前記締結ネジ間に当該ネジ側へ付勢力を発生する規制部材が配設され、前記規制部材は、前記ネジにて前記導電部へ締め付けられる主体部と、この主体部の先端を前記カバーに向けた従動片とを有し、かつ該主体部は前記導電部に対して前記従動片に向かう上り勾配で傾斜した状態で該導電部上に配設され、前記従動片と前記カバーの関係は、前記ネジによる前記主体部の締め付けが所定の締結トルクの場合は、前記従動片による前記カバーの閉止が規制されず、前記ネジによる前記主体部の締め付けが締結トルク不足の場合は、前記従動片と前記カバーとの当接により前記カバーが押し上げ方向に付勢される、ことを特徴とする端子台。
【請求項3】
前記主体部の端部に曲成された固定部を有し、該固定部が前記ケーブル端子取付部に係止されることを特徴とする請求項1または2に記載の端子台。
【請求項4】
前記主体部の端部に前記台座に沿って垂下した延設部を有し、該延設部の端部が前記ケーブル端子取付部に係止されることを特徴とする請求項1または2に記載の端子台。
【請求項5】
前記主体部の端部が曲げ戻し形成された延設部を有し、該延設部が前記導電部に配置された状態で前記主体部と共に締結ネジで緊締されることを特徴とする請求項1または2に記載の端子台。
【請求項6】
前記カバーの裏面の揺動支点付近に前記従動片の端部が係止されてカバーの降下が阻止される係止部を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の端子台。
【請求項7】
前記規制部材が板バネ状を成すことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の端子台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば給電装置のケーブルを電気機器に接続するための端子台に関するもので、締結ネジの緊締の不足によるこのケーブルの端子と導電板間に発生する接触抵抗、またはアーク放電による発熱を防止するため、締結ネジの締付トルクが不十分であることを配線作業時に認知できるように改良したものである。
【背景技術】
【0002】
配電盤あるいは電源装置などの電気機器に採用されている一般的な端子台は、高電圧印加時の保護や塵埃の付着を防止するため、端子台の上面を覆う板状のカバーを装着するようにしている(特許文献1参照)。
【0003】
また、ケーブル端末と導電板との締結トルクの不足による接触不足が生じないようにする必要があり、振動などの外力により締結ネジの緩みを防止するためのネジ緩み防止カバーを装着する端子台が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−176946号公報
【特許文献2】特開2003−346942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1、2に示すような端子台において、締結ネジの緩みにより導電板とケーブルの端子との間に僅かでも隙間が生じると、接触抵抗増加、またはアーク放電の発生により発熱して火災の発生原因となることが知られている。例えば30〜40Aの電流が流れる電気機器では発熱事故や発火事故に至る場合もあり、ケーブルの端子台への確実な緊締は重要な作業となる。
【0006】
ところで、端子台でのケーブルの端子を接続する作業は、太陽光発電システムのように、家屋の天井側に配置される電気機器では脚立等に乗っての作業になるので、締結トルクの不足する作業になることがあり、また作業者の経験が乏しい場合は特にこの作業不備が生じやすく、発熱事故や機器の故障に至る場合も確認されている。
本発明は、かかる問題を解決するためになされたもので、何れの作業者によっても締結ネジの確実な締結状態が確認でき、導電板とケーブル端子の間に隙間のない確実な緊締が可能となるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明は、以下に述べる各手段により上記の課題を解決するようにした。即ち、請求項1に記載の発明では、隔壁で仕切られたケーブル収容空間内部の台座上に導電部を配し、該導電部にケーブル端子をネジ止めする締結ネジを備えたケーブル端子取付部を設け、該ケーブル端子取付部の少なくとも上部側の開口を覆うカバーを有する端子台であり、
前記導電部と前記締結ネジ間に当該ネジ側へ付勢力を発生する規制部材が配設され、前記規制部材は、前記ネジにて前記導電部へ締め付けられる主体部と、この主体部の先端を前記カバーに向けた従動片とを有し、かつ前記従動片と前記カバーの関係は、前記ネジによる前記主体部の締め付けが所定の締結トルクの場合は、前記従動片による前記カバーの閉止が規制されず、前記ネジによる前記主体部の締め付けが締結トルク不足の場合は、前記従動片と前記カバーとの当接により前記カバーが押し上げ方向に付勢される、端子台となるようにする。
【0008】
請求項2に記載の発明では、隔壁で仕切られたケーブル収容空間内部の台座上に導電部を配し、該導電部にケーブル端子をネジ止めする締結ネジを備えたケーブル端子取付部を設け、該ケーブル端子取付部の少なくとも上部側の開口を覆うカバーを有する端子台であり、前記導電部と前記締結ネジ間に当該ネジ側へ付勢力を発生する規制部材が配設され、前記規制部材は、前記ネジにて前記導電部へ締め付けられる主体部と、この主体部の先端を前記カバーに向けた従動片とを有し、かつ該主体部は前記導電部に対して前記従動片に向かう上り勾配で傾斜した状態で該導電部上に配設され、前記従動片と前記カバーの関係は、前記ネジによる前記主体部の締め付けが所定の締結トルクの場合は、前記従動片による前記カバーの閉止が規制されず、前記ネジによる前記主体部の締め付けが締結トルク不足の場合は、前記従動片と前記カバーとの当接により前記カバーが押し上げ方向に付勢される、ようにする。
【0009】
請求項3に記載の発明では、上記請求項1または2に記載の端子台において、前記主体部の端部に曲成された固定部を有し、該固定部が前記ケーブル端子取付部に係止される
【0010】
請求項4に記載の発明では、上記請求項1または2に記載の端子台において、前記主体部の端部に前記台座に沿って垂下した延設部を有し、該延設部の端部が前記ケーブル端子取付部に係止される
【0011】
請求項5に記載の発明では、上記請求項1または2に記載の端子台において、前記主体部の端部が曲げ戻し形成された延設部を有し、該延設部が前記導電部に配置された状態で前記主体部と共に締結ネジで緊締される
【0012】
請求項6に記載の発明では、上記請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の端子台において、前記カバーの裏面の揺動支点付近に設けた係止部に、前記従動片の端部が係止されてカバーの降下が阻止されるようにする。
【0013】
請求項7に記載の発明では、上記請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の端子台において、前記規制部材が板バネ状を成すようにする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、締結ネジの締結トルクが所定値に達していない場合は、規制部材の従動片の端部がカバーの裏面を押圧し、該カバーの閉止を阻止する方向に付勢されるようにしたので、作業者がカバーを閉止しようとしても指先にカバーの反発力が伝わり、締結ネジの締結トルクの不足を認知することができる。
【0016】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項6に記載の端子台において、規制部材が板バネ状を成すことにより、締結ネジによる主体部の締め付けが所定の場合と、締結トルク不足の場合が、カバーが押し上げ方向に付勢されているか否かで判断できることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の端子台の外観を示す斜視図である。
図2】本発明の端子台の本体の基本構成を示す平面図である。
図3】本発明の端子台の作用を説明する実施例1の説明図である。
図4】本発明の端子台の作用を説明する実施例1の説明図である。
図5】本発明の端子台の作用を説明する実施例1の説明図である。
図6】本発明の端子台の作用を説明する実施例1の説明図である。
図7】本発明の端子台に採用する規制部材の他の例を説明する図である。
図8】本発明の端子台に採用する規制部材の更に他の例を説明する図である。
図9】本発明の端子台の作用を説明する実施例2の説明図である。
図10】本発明の端子台の作用を説明する実施例2の説明図である。
図11】本発明の端子台の作用を説明する実施例2の説明図である。
図12】本発明の端子台の作用を説明する実施例2の説明図である。
図13】太陽光発電システムの設置状態を説明するための図である。
図14】太陽光発電システムの電気回路系を説明するための図である。
図15】本発明の端子台の使用例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は本発明の端子台Aの外観を示す斜視図であり、2本のケーブルを接続する2端子構成を実施例として示す。同図に示すように本体1は隔壁1a、1b、1cによりケーブル収容空間G1、G2が形成され、締結ネジ2a、2bを螺着する図1に示す台座1d、1eが形成され、夫々ケーブル端子取付部となるようにしている。本実施例では2つのケーブル端子取付部を列設しているが、1つ、もしくは2つ以上列設して構成してもよい。
【0019】
また、隔壁1a、1b、1cの後端頂部には各ケーブル収容空間G1、G2の上面を覆うカバー3a、3bの基端が揺動支点となるように軸支され、該カバー3a、3bを閉じたとき、その先端の係支爪3a−1、3b−1が隔壁1a、1b、1cの係止段部1a−1、1b−1、1c−1に係合し、カバー3a、3bの閉止状態が維持されるようにしてある。
【0020】
なお、図1に示す構成ではカバーを各々のケーブル収容空間G1、G2に配するようにしてあるが、カバー3a−1、3b−1一体成形し、ケーブル収容空間G1、G2の上面を同時に閉止するようにしてもよい。
【0021】
図2は本発明を実施する端子台Aの基本構成の平面図であり、電気機器のスイッチ要素に併置した状態を示し、図3以下に同基本構成の説明図を示す。前記各図に示すように電力を供給するケーブルC1、C2の先端の裸線端末に装着された端子(圧着端子)C1a、C2aを、導電板(導電部)4a、4bに締結ネジ2a、2bの緊締により固定する。本発明の端子台Aは、締結ネジ2a、2bにより締め付けられる端子C1a、C2aと導電板4a、4bの部分の構成に関するものであり、図3図6に示す実施例1および図9図12に示す実施例2に基づいて以下に説明する。
【0022】
(実施例1)
図3図6は本発明の実施例1の端子台Aの各ケーブル端子取付部の説明図であり、何れも同一の断面構造となることから、ケーブル収容空間G1の部分に特定して説明する。本発明の実施例1の構成では前記各図に示すように、締結ネジ2aの首下と導電板4aとの間に銅合金などの弾性を有する導電性の規制部材5を配設する。この規制部材5は、その一方の端部を曲成して導電板4aの台座1d上の端部から外れずに、定位置に保たれるように係止されて固定部5aとなるようにしている。なお、符号5dは締結ネジ2aを挿通するための通孔であり、また、締結ネジ2aの首下に必要に応じてワッシャ6を介装してもよい。
【0023】
このように成された規制部材5は、その固定部5aが台座1dに固定され導電板4a上に取り付けられたとき、図3に示すように導電板4aに対し規制部材5の主体部5cが固定部5aから上り勾配θで傾斜するようにしてある。そして、主体部5cに作用が及んでいない傾斜した状態では、従動片5bの端部5b−1が本体1a、1bの上面から突出する状態となる。なお、前記規制部材5は板バネ状の素材であり、上り勾配θで傾斜していることからバネ力が自ずから発生するが、別部材、例えばコイルスプリングなどを用いてバネ力を付与するようにしてもよい。
【0024】
本発明の実施例1の端子台Aは以上のごとく構成されており、締結ネジ2aと規制部材5の主体部5cとの間にケーブルC1の端子C1aを介装し、図4に示すように締結ネジ2aにより所定以上の締結トルクで端子C1aの締め付けが行われると、規制部材5の主体部5cが導電板4aに圧着される。主体部5cの上り勾配θは固定部5aで維持されているので、この上り勾配θで傾斜した主体部5cを導電板4aに接するまで押圧するに要する力は固定部5aで決定されることになる。即ち、締結トルクはこの固定部5aの形状で定まり、図4に示す実施例では固定部5aを円弧状に曲成しており、この曲成の程度で必要とするバネ力が得られるようにしている。
【0025】
なお、このバネ力は規制部材5の材質・厚み・形状を変えることによっても可能であるが、カバー3aの開閉を規制するための所定の上り勾配θを確保して、カバー3aの閉まらない状態が容易に認識できるようにする必要がある。また、このバネ力が維持されれば、固定部5aの構成は本実施例1に示す構造に限るものではなく、図7に示すように主体部5cの端部を台座1dに沿って垂下した延設部5eの折曲端5e−1を台座1dの切欠部1d−1に係止するようにしてもよい。また、図8に示すように規制部材5の主体部5cの端部で曲げ戻し、締結ネジ2aを挿通するための通孔5f−1を形成した延設部5fを前記導電板4aに配し、主体部5c、延設部5f、導電板4aを締結ネジ2aで同時に緊締するようにしてもよい。
【0026】
以上のように構成された実施例1の端子台Aにおいて、締結ネジ2aを所定の締結トルク以上で締めると、規制部材5の従動片5bの端部5b−1がカバー3aの揺動支点の近傍で本体1の隔壁1a、1bの上端面と同等または同等以下の位置に降下する。したがって、図4に示す状態でカバー3aを降下すると、該カバー3aの裏面に前記端部5b−1が接触することなく、作業者の指先に何ら抵抗感を与えずに、図5に示すようにカバー3aを閉めることが可能となる。これにより、締結ネジ2aによりケーブルC1の端子C1aが確実に接続されたことを作業者が容易に認知することができる。なお、締結ネジ2aの締め付けが完了すると、規制部材5の主体部5cの張力が締結ネジ2aに作用し、スプリングワッシャを装着したと同様の効果により緩みを防止する作用も得られる。
【0027】
一方、締結ネジ2aの締結トルクが不足し、規制部材5の従動片5bの端部5b−1が本体1の隔壁1a、1bの上端面から突出している図3に相当するような状態においてカバー3aを降下すると、該カバー3aの裏面に前記端部5b−1が接触することになる。そして、更にカバー3aを押し下げると、図6に示すように端部5b−1がカバー3aの揺動支点から離れつつ規制部材5の主体部5cの導電板4aに接触していない部分が下方に撓む状態となり、カバー3aを押し上げる方向に付勢される。これにより、作業者は指先に反発力による抵抗感を知覚し、締結ネジ2aの締結トルクが不足していることを認知することができる。
【0028】
(実施例2)
図9図12は本発明の実施例2の端子台Aの各ケーブル端子取付部の中央断面であり、何れも同一の断面構造となることから、ケーブル収容空間G1の部分に特定して説明する。本発明の実施例2の構成においても、端子C1aと導電板4aとの間に規制部材5を配設するが、この規制部材5の構成は実施例1と全く同一であるので、その説明を省略する。なお、実施例2の場合においても、図9に示すように導電板4aに対し規制部材5の主体部5cが固定部5aから上り勾配θで傾斜するようにしてある。
【0029】
実施例2においては、規制部材5の従動片5bの端部5b−1がカバー3aにより押圧されたとき、端部5b−1がカバー3aの裏面で移動せず定位置が保たれるようにし、規制部材5の付勢力がカバー3aに伝わる効果が大きくなるようにしてある。このため、カバー3aの裏面の前記従動片5bの端部5b−1に対応する位置に係止部3a−2を形成する。この係止部は同実施例に示すような凸部でもよいが、凹部としてもよい。
【0030】
本発明の実施例2の端子台Aは以上のごとく構成されており、締結ネジ2aと規制部材5の主体部5cとの間にケーブルC1の端子C1aを介装し、図10に示すように締結ネジ2aにより所定の締結トルクで前記端子C1aの締め付けが行われると、規制部材5の主体部5cが導電板4aに圧接し、従動片5bの端部5b−1がカバー3aの揺動支点の近傍で本体1の隔壁1a、1bの上端面と同等または同等以下の位置に降下する。したがって、図10に示す状態でカバー3aを降下すると、該カバー3aの裏面に前記端部5b−1が接触することなく、作業者の指先に何ら抵抗感を与えずに、図11に示すようにカバー3aの閉止が可能となる。
【0031】
一方、従動片5bの端部5b−1が本体1の隔壁1a、1bの上端面から突出している図9に相当するような状態においてカバー3aを降下すると、該カバー3aの裏面に前記端部5b−1が接触することになる。そして、更にカバー3aを押し下げると、図12に示すように端部5b−1がカバー3aの係止部3a−2に当接してその移動が阻止されつつ規制部材5の主体部5cの導電板4aに接触していない部分が下方に撓む状態となり、カバー3aを押し上げる方向に付勢される。これにより、作業者は指先に反発力による抵抗感を知覚し、締結ネジ2aの締結トルクが不足していることを認知することができる。なお、実施例2による場合は、規制部材5の端部5b−1の移動が係止部3a−2により阻止されるので、より大きな反発力をカバー3aに与えることができる。
【0032】
つぎに、以上のように構成された本発明の端子台Aを採用して太陽光発電システムSを構成した例を以下に説明する。図13に示すように家屋Hの屋根に複数の太陽電池パネルPVが配設され、各太陽電池パネルPVのプラス側ケーブルとマイナス側ケーブルは接続箱CB1、CB2に分配して配線され、この接続箱CB1にまとめた後、直流電源は電力変換器PCに配線接続されている。なお、接続箱CB1における接続箱CB2との結線部に本発明の端子台Aを用いてケーブル端子を共締めした例を図15に示す。同図に示すようにケーブル端子を共締めした場合においても、規制部材5による作用効果は、上記実施例に記載したと同様に得られる。
【0033】
前記接続箱CBの内部は図14に示すように、各太陽電池パネルPVのプラス側ケーブルがパワースイッチSW1および逆流防止用のダイオードD1を介して共通に接続され、マイナス側ケーブルも共通に接続される。一方、電力変換器PCは、昇圧部PC1、変換部PC2、フィルターPC3、切換部PC4を主要な構成要素とし、供給された直流電力を変換して所定の電圧の家庭用の交流電力として出力する。
【0034】
このように各電気機器を相互に接続して太陽光発電システムを設置する場合、各電気機器間は設置現場でのケーブルの配線作業を伴うことになる。既述したように太陽電池パネルPVは共通に接続されるため、その直流電力の電流は30〜40Aの電流となることがある。そのため、特に接続箱CB1と電力変換器PCとの間は確実な接続されなければならないが、本発明の端子台Aを採用することにより、経験の乏しい作業者によっても適切な締結トルクで確実な接続作業が可能となる。
【0035】
以上詳細に説明したように、本発明の端子台を採用してケーブルの配線作業を行うことにより、ケーブルの端子の締め付け不足に伴う発熱などの不具合を未然に防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明に係る上記実施例による端子台は、2本のケーブルを接続する2端子構成であるが、端子数はこれに限定されるものではない。また、本発明の端子台の採用例として太陽光発電システムを例示したが、これに限定されるものではなく、特に大電流を扱う電気機器システムには好適な端子台とすることができる。
【符号の説明】
【0037】
A・・・・・・・・端子台
1・・・・・・・・本体
1a〜1c・・・・隔壁
1d、1e・・・・台座
2a、2b・・・・締結ネジ
3a、3b・・・・カバー
3a−2・・・・・係止部
4a、4b・・・・導電板
5・・・・・・・・規制部材
5a・・・・・・・固定部
5b・・・・・・・従動片
5c・・・・・・・主体部
G1、G2・・・・ケーブル収容空間
S・・・・・・・・太陽光発電システム
PV・・・・・・・太陽電池パネル
CB1・CB2・・接続箱
PC・・・・・・・電力変換器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15